JP2019121897A - 首掛け型スピーカー装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ユーザーの首部並びに肩部に係止可能なように略逆U字状に湾曲形成される筐体のユーザーの左右の耳に対応する位置にスピーカーを取り付ける首掛け型スピーカー装置を、低コストで提供する。【解決手段】 首掛け型スピーカー装置は、左側並びに右側のスピーカーが同一の構造を有してそれぞれ振動板を備える動電型スピーカーと、動電型スピーカーが取り付けられて振動板の前面側へ放射される音波を筐体の上面側に設けられる放音孔からユーザーの耳に向けて放射する音導部を有するキャビネットと、を備え、音導部は、振動板の前面側から放射される音波を筐体の放音孔に導出する音道を有し、音道における音波の導出方向に略直交する断面の面積が振動板の面積よりも狭く設定されて、導出方向が、動電型スピーカーの振動板が振動する方向と略直交するように、動電型スピーカーとキャビネットが取り付けられている。【選択図】 図3

Description

本発明は、ユーザーの首部並びに肩部に係止可能なように略逆U字状に湾曲形成される筐体に、スピーカーが取り付けられる首掛け型スピーカー装置に関する。
ユーザーの首部に装着する電子機器である首掛け型スピーカー装置は、ヘッドバンドを有するユーザーの頭部に載置するオーバーヘッドタイプのヘッドホンに似た形状・構成を備える。ヘッドホンが、スピーカーユニットを備えるハウジングがユーザーの耳に装着されて音声再生するのに対して、首掛け型スピーカー装置は、ユーザーの首部並びに肩部に係止可能なように略逆U字状に湾曲形成される筐体に音波を放射するスピーカーが取り付けられる場合がある。
首掛け型スピーカー装置では、スピーカーがユーザーの耳から離れた位置に固定されるので、ヘッドホンのように耳が塞がれない。この点において、ユーザーにとって、スピーカーから再生される音声以外の外部音にも注意を要するような場合には、首掛け型スピーカー装置がヘッドホンよりも有利となる。つまり、首掛け型スピーカー装置は、スピーカーから再生される音声以外の外部音もユーザーの耳に入ってくることが、ヘッドホン又はイヤホンに対する利点である。
なお、ここでいう首掛け型スピーカー装置は、左右一対のハウジングがヘッドバンドなどで連結されているステレオ型のものだけでなく、ユーザーの片耳にのみハウジングを装着させるモノラル型のものや、ハウジングがマイク装置を備える所謂ヘッドセットを含む。首掛け型スピーカー装置は、スピーカーのみならず、音声信号を増幅するアンプ、または、音声信号を無線送受信する送受信機、などの回路、イヤホンまたはヘッドホンをさらに接続する接続端子、等を備える場合がある。
例えば、簡易設置型スピーカーとして使用する、または、首掛けヘッドホンとして使用することができるように、一対のスピーカーとイアパッドとが略逆U字状に湾曲形成されたヘッドバンドの両端部に、ヘッドバンドの外側方向に回転できるスピーカー回転機構部を備え、スピーカーをヘッドバンドの内側に回転固着させるヘッドホンがある(特許文献1)。
また、首掛け型スピーカー装置には、例えば、聴者の耳と非接触状態で首掛けを可能にした首掛け式スピーカーであって、聴者の首の背に接する湾曲した部分を有したベース部と、音源となるスピーカー前面が湾曲した部分の内側近辺方向を向くように、このベース部の先端の一方または両方に、スピーカーの角度を固定または可変可能に設けたスピーカーユニットとを備えた首掛け式スピーカーがある(特許文献2)。
また、首掛け型スピーカー装置には、音響装置が使用者に装着された状態で、使用者の耳介よりも使用者の胴体側、かつ胴体の中心軸よりも耳介側に配置され、可聴音を発生可能に変調された超音波を放出する、複数の超音波トランスデューサーを並設したパラメトリックスピーカーと、音響装置が使用者に装着された状態で、パラメトリックスピーカーから放出される超音波の放出方向を、耳介に向けて調整可能に構成された調整部と備える携帯型の音響装置がある(特許文献3)。
ただし、首掛け型スピーカー装置は、ユーザーの身体に装着する部位がヘッドホンとは異なる電子機器であるので、その筐体が備えるべき構造およびそのスピーカーが備えるべき構造並びに特性は、通常のヘッドホンのものとは異なるものになる場合がある。例えば、特許文献3に記載された複数の超音波トランスデューサーを並設したパラメトリックスピーカーは、ユーザーの耳に向けて音波を放射するのに指向性を極めて絞ることができる点で優れるものの、再生音質が動電型スピーカーよりも劣るという不利な点がある。
また、パラメトリックスピーカーは、一般的な動電型のスピーカーに対して著しくコストが高くなるので、実用的では無いという問題もある。動電型のスピーカーを用いる首掛け型スピーカー装置は、コスト並びに重量の点で実現性が有利である。しかし一方で、特許文献1または2のように、単に動電型スピーカーの振動板をユーザーの耳に向けて音波を放射するものでは、再生する音波の波長に比べて小口径の振動板を有する動電型スピーカーの指向性は広くなるので、実際には周囲に音漏れが大きくなりやすい首掛け型スピーカー装置となりやすいなど、従来技術では十分ではないという問題がある。
なお、小型の動電型スピーカーには、一例として、振動板を備えるスピーカーと、スピーカーが取り付けられるキャビネットと、を備えるスピーカーシステムであって、キャビネットが、スピーカーの振動板の前面側へ放射される音波を自由空間へと導出する前面音導部を有し、前面音導部は、スピーカーの振動板を支持するフレーム周縁部に対応して音源空間を規定する前面キャビティと、音源空間から放射される音波を自由空間に導出する音道と、樹脂のシート部材から形成されて一方の面がスピーカーの振動板に対向するように前面キャビティの側壁部にその周囲部分の少なくとも一部を取り付けて振動板からの音波の放射に合わせて振動するように音源空間に配置される平面部材と、平面部材のスピーカーの振動板に対向しない他方の面に取り付けられる吸音部材と、を有する、スピーカーシステムがある(特許文献4)。
特開2000−316198号公報 特開2009−201088号公報 特開2013−191996号公報 特許第5987820号公報
本発明は、上記の従来技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、首掛け型スピーカー装置に関し、ユーザーの首部並びに肩部に係止可能なように略逆U字状に湾曲形成される筐体のユーザーの耳に対応する位置にスピーカーを取り付けて、首掛け型スピーカー装置に望まれる再生音質を実現するとともに、スピーカーから再生される音声以外の外部音もバランス良くユーザーが聴き取れるようにする首掛け型スピーカー装置を、低コストで提供することにある。
本発明の首掛け型スピーカー装置は、ユーザーの首部並びに肩部に係止可能なように略逆U字状に湾曲形成される筐体のユーザーの左耳に対応する位置に左側スピーカーが取り付けられ、ユーザーの右耳に対応する位置に右側スピーカーが取り付けられる首掛け型スピーカー装置であって、左側スピーカー並びに右側スピーカーが同一の構造を有するスピーカーであり、それぞれ、振動板を備える動電型スピーカーと、動電型スピーカーが取り付けられて振動板の前面側へ放射される音波を筐体の上面側に設けられる放音孔からユーザーの耳に向けて放射する音導部を有するキャビネットと、を備え、音導部は、動電型スピーカーの振動板の前面側から放射される音波を筐体の放音孔に導出する音道を有し、音道における音波の導出方向に略直交する断面の面積が振動板の面積よりも狭く設定されて、導出方向が、動電型スピーカーの振動板が振動する方向と略直交するように、動電型スピーカーとキャビネットが取り付けられている。
好ましくは、本発明の首掛け型スピーカー装置は、左側スピーカー並びに右側スピーカーが、略逆U字状に湾曲形成される筐体に対して、いずれか一方の動電型スピーカーの振動板の前面側が略逆U字状の筐体の外径側を向くように取り付けられる場合に、他方の動電型スピーカーの振動板の前面側が略逆U字状の筐体の内径側を向くように取り付けられる。
また、好ましくは、本発明の首掛け型スピーカー装置は、左側スピーカー並びに右側スピーカーは、同位相の音声信号がともに入力される場合に、いずれか一方の動電型スピーカーの振動板が略逆U字状の筐体の外径側に向かって変位し、かつ、他方の動電型スピーカーの振動板が略逆U字状の筐体の内径側に向かって変位する、ように筐体に取り付けられている。
また、好ましくは、本発明の首掛け型スピーカー装置は、左側スピーカー並びに右側スピーカーが、音声信号を入力されるそれぞれの入力端子を、ともに略逆U字状の筐体の後頸部側に配置する、または、ともに略逆U字状の筐体の前端部側に配置する、ように筐体に取り付けられている。
また、好ましくは、本発明の首掛け型スピーカー装置は、キャビネットが、動電型スピーカーの振動板の背面側に音響容量となる内部空間を規定する背面キャビネット部をさらに有する。
また、好ましくは、本発明の首掛け型スピーカー装置は、筐体の放音孔から離隔した位置に、音波を音声信号に電気音響変換するマイクロホンがさらに取り付けられている。
以下、本発明の作用について説明する。
本発明の首掛け型スピーカー装置は、ユーザーの首部並びに肩部に係止可能なように略逆U字状に湾曲形成される筐体のユーザーの左耳に対応する位置に左側スピーカーが取り付けられ、ユーザーの右耳に対応する位置に右側スピーカーが取り付けられる。筐体においてユーザーの耳に対応する位置とは、ユーザーの耳の真下方向もしくは真下方向から少し前方側の位置が好ましい。
ここで、左側スピーカー並びに右側スピーカーが同一の左右非対称の構造を有するスピーカーであり、それぞれ、振動板を備える動電型スピーカーと、動電型スピーカーが取り付けられて振動板の前面側へ放射される音波を筐体の上面側に設けられる放音孔からユーザーの耳に向けて放射する音導部を有するキャビネットと、を備える。また、音導部は、動電型スピーカーの振動板の前面側から放射される音波を筐体の放音孔に導出する音道を有し、音道における音波の導出方向に略直交する断面の面積が振動板の面積よりも狭く設定されて、導出方向が、動電型スピーカーの振動板が振動する方向と略直交するように、動電型スピーカーとキャビネットが取り付けられている。
したがって、振動板の面積よりも狭い音道からユーザーの耳に向けて音波を放射するので、指向性を狭くして聞き取りやすい音を提供するとともに、外部音もバランス良くユーザーが聴き取れるようにすることができる。また、音導部の音道における音波の導出方向が、動電型スピーカーの振動板が振動する方向と略直交するように、動電型スピーカーがキャビネットに取り付けられている。この様なキャビネットを備えるスピーカーは、首掛け型スピーカー装置に適するように全体構造が小型になって、首掛け型スピーカー装置において望まれる再生音質を低コストで実現できる利点がある。
さらに、本発明の首掛け型スピーカー装置では、左側スピーカー並びに右側スピーカーは、略逆U字状に湾曲形成される筐体に対して、いずれか一方の動電型スピーカーの振動板の前面側が略逆U字状の筐体の外径側を向くように取り付けられる場合に、他方の動電型スピーカーの振動板の前面側が略逆U字状の筐体の内径側を向くように取り付けられる。また、左側スピーカー並びに右側スピーカーは、同位相の音声信号がともに入力される場合に、いずれか一方の動電型スピーカーの振動板が略逆U字状の筐体の外径側に向かって変位し、かつ、他方の動電型スピーカーの振動板が略逆U字状の筐体の内径側に向かって変位する、ように筐体に取り付けられているようにしてもよい。
つまり、左側スピーカー並びに右側スピーカーは、同一の構造を有するスピーカーを用いることができるので、それぞれに専用の金型部品を必要とするような左右対称形状のスピーカーが望ましい首掛け型スピーカー装置であっても、専用の左側スピーカー並びに専用の右側スピーカーを作成せずに済むので、製造のコストを著しく下げることができる利点がある。
本発明の首掛け型スピーカー装置は、ユーザーの首部並びに肩部に係止可能なように略逆U字状に湾曲形成される筐体のユーザーの耳に対応する位置にスピーカーを取り付けて、首掛け型スピーカー装置に望まれる再生音質を実現するとともに、スピーカーから再生される音声以外の外部音もバランス良くユーザーが聴き取れるようにする首掛け型スピーカー装置を、低コストで実現できる。
本発明の好ましい実施形態による電子機器筐体を用いた首掛け型スピーカー装置について説明する図である。(実施例1) 本発明の好ましい実施形態による首掛け型スピーカー装置の装着状態について説明する図である。(実施例1) 本発明の好ましい実施形態による首掛け型スピーカー装置の構成について説明する図である。(実施例1) 本発明の好ましい実施形態によるスピーカー装置の構成について説明する図である。(実施例1) 本発明の好ましい実施形態によるスピーカー装置の構成について説明する図である。(実施例1)
以下、本発明の好ましい実施形態による首掛け型スピーカー装置、並びに、スピーカー装置について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
図1〜図5は、本発明の好ましい実施形態によるスピーカー3(または、左スピーカー3Lおよび右スピーカー3R)を用いた首掛け型スピーカー装置1について説明する図である。具体的には、図1は首掛け型スピーカー装置1の斜視図であり、図2は首掛け型スピーカー装置1の装着状態について説明する図である。また、図3は首掛け型スピーカー装置1の筐体2の構成について説明する斜視図である。また、図4はスピーカー3を上面側から見た拡大図であって、図5は図4におけるA−A断面図である。
なお、本実施例の首掛け型スピーカー装置1における左スピーカー3Lおよび右スピーカー3Rは、共通する構成を有する同一のスピーカー3を用いている。スピーカー3は、後述するように、動電型スピーカー30、キャビネット31および回路基板モジュール40を備えるスピーカー装置として構成されている。また、以下において、本発明の説明に不要な首掛け型スピーカー装置1、または、スピーカー3(または、左スピーカー3Lおよび右スピーカー3R)の一部の構造や、内部構造等は、図示並びに説明を省略する。また、図3では、筐体2の一部を取り除き、あるいは、透明視して図示している。
図1および図2に示すように、首掛け型スピーカー装置1は、ユーザー4の身体の首部5a並びに肩部5cに装着する電子機器であって、音波を放射するスピーカー3を筐体2に取り付けて、ユーザー4の耳5fから離れた位置に配置する音響再生機器である。首掛け型スピーカー装置1は、ユーザー4の首部5a並びに肩部5cに係止可能なように、略逆U字状に湾曲形成される筐体2にスピーカー3が取り付けられている。首掛け型スピーカー装置1をユーザー4が装着すると、略逆U字状に湾曲した筐体2の中央部付近がユーザー4の後頸部5bの付近に位置し、略逆U字状の筐体2の両端部がユーザー4の肩部5cから鎖骨5eを超えて胸部5dに至って位置することになる。本実施例の場合には、首掛け型スピーカー装置1には、左チャンネル音声信号並びに右チャンネル音声信号を含むステレオ信号に対応する左右スピーカー(3L、3R)が、それぞれユーザー4の耳5fのほぼ真下側、もしくは、真下の前方側であって鎖骨5eの付近の位置に配置される。
首掛け型スピーカー装置1では、スピーカー3がユーザー4の耳5fから離れた位置に固定されるので、頭部に装着して音声再生するヘッドホン、あるいは、耳に装着して音声再生するイヤホンのように耳が塞がれることがない。この点において、ユーザー4にとって、スピーカー3から再生される音声以外の外部音にも注意を要するような場合には、首掛け型スピーカー装置1がヘッドホンよりも有利となる。
首掛け型スピーカー装置1は、ユーザー4の首部5a並びに肩部5cに装着する電子機器であるので、ユーザー4の身体を傷付けないように、装着の際に柔軟に変形可能であることが好ましい。図1に示す座標軸において、首掛け型スピーカー装置1は、略逆U字状の筐体2の両端部がX方向に変位してそれらの間が大きく開くように変位すると、ユーザー4の後頸部5b側からY方向に動かすようにして首部5a並びに肩部5cに装着する作業を、容易にすることができる。本実施例の首掛け型スピーカー装置1は、後述するとおりに、その筐体2が熱可塑性または熱硬化性の弾性を有するエラストマー材料から形成される後側連結部25を含むので、筐体2の両端部がX方向並びにZ方向に変位するように変形可能になる。
本実施例の首掛け型スピーカー装置1の全体が略逆U字状に湾曲するような筐体2は、ユーザー4の右耳側の右側筐体部21と、ユーザー4の左耳側の左側筐体部23と、右側筐体部21と左側筐体部23とを連結する後側連結部25と、から構成されている。右側筐体部21並びに左側筐体部23は、湾曲する円筒状の外殻を有する樹脂で形成された筐体の内部に、基板11または13に取り付けられたスピーカー3または電子部品等の部品を取り付け、または、収容する。したがって、右側筐体部21並びに左側筐体部23は柔軟性を有しないが、後側連結部25が弾性変形可能な材料で細い輪の一部のような円弧状に形成されているので、略逆U字状の両端部が開いたり閉じたりできる程度に柔軟に変形可能な筐体2を構成することができる。
図1に示すように、首掛け型スピーカー装置1の左側筐体部23には、電源のオン/オフ、音量調整、等の必要な操作を行う操作部を設けることができる。また、左側筐体部23には、音波を音声信号に変換して集音するマイクロホン8、または、集音された音声信号を伝送する(図示しない)送受信機、等の回路をさらに備えれば、首掛け型スピーカー装置1を電話通信が可能なヘッドセット装置として利用可能である。もちろん、これらの回路は右側筐体部21に設けてもよい。
また、首掛け型スピーカー装置1には、上記操作部と同様に、(一部のみを図示する)イヤホン7を有線接続する接続端子6をさらに設けてもよい。イヤホン7は、ユーザー4の耳5fの耳穴に挿入して音声再生する電気音響変換器であり、スピーカー3から音声再生する場合に代えて音声を再生することができる。その場合には、ユーザー4の周囲に再生する音声が全く漏れないという利点がある。また、首掛け型スピーカー装置1は、他の音響機器からの音声信号を入力する接続線を接続するようにしていてもよい。
図1〜図3に図示するように、筐体2の右側筐体部21の基板11には右スピーカー3Rが取り付けられているので、右側筐体部21の(Z軸方向)上面側には、対応する位置に右スピーカー3Rから放射される音波をユーザー4の右耳に向けて放射する放音孔22が設けられる。同様に、筐体2の左側筐体部23の基板13には左スピーカー3Lが取り付けられているので、左側筐体部23の(Z軸方向)上面側には、対応する位置に左スピーカー3Lから放射される音波をユーザー4の左耳に向けて放射する放音孔24が設けられる。
なお、本実施例の放音孔22または24は多数の小孔を設けて構成しているが、後述するスピーカー3の音道36の出口に対応して、開効率を高めるように略矩形状の開口である放音孔であってもよい。スピーカー3の振動板を外観視できないように筐体2の内部に格納して、首掛け型スピーカー装置1の美観を向上させることができる。つまり、放音孔22または24は、小孔を多数設ける開口だけでなく、スリット状の開口、通気性のネットで保護する開口、等であってもよい
また、図4および図5に図示するスピーカー3は、図示するX軸方向に対して左右非対称の形状並びに構造を有するが、首掛け型スピーカー装置1の左スピーカー3Lおよび右スピーカー3Rとして共通して用いられている。スピーカー3は、動電型スピーカー30と、動電型スピーカー30を内部に収めるキャビネット31と、キャビネット31に取り付けられる回路基板モジュール40を備えるスピーカー装置として構成されている。
動電型スピーカー30は、ドーム状の振動板30aと、振動板30aに連結するボイスコイル30bと、ボイスコイル30bのコイルが配置される磁気空隙を有する磁気回路30cと、振動板31およびボイスコイル30bを振動可能に支持するエッジおよび磁気回路が連結するフレーム30dと、を備える。したがって、ボイスコイル30bのコイルに音声信号電流が供給されると、振動板30aおよびボイスコイル30bに駆動力が働いて振動し、振動板30aから音波がその前後方向に逆位相の関係で放射される。
キャビネット31は、動電型スピーカー30の振動板30aの前面側から放射される音波を導出する音道36を規定する音道部32と、振動板30aの背面側に音響容量となる内部空間37を規定する背面キャビネット部33と、を有する。この動電型スピーカー30は、音導部32の音道36における音波の導出方向(Z軸方向)が、動電型スピーカー30の振動板30aが振動する(X軸)方向と略直交するように、キャビネット31に対して取り付けられている。
このスピーカー3では、キャビネット31が2カ所に(図示しない)ネジがZ軸方向に通過可能な孔が形成される取付部35を有している。したがって、スピーカー3は、X軸を含む平面に沿って延びる基板11または13に対して上側から載置するように取り付け可能に構成されている。また、このスピーカー3では、音導部32の音道36の出口は、筐体2の上面側に設けられる放音孔22または24に対応して、X軸方向に振動する振動板30aの前面側から放射される音波が、音道36を通過してZ軸方向上面側に放射されるようになっている。
この音導部32は、音道36における音波の導出方向に略直交する断面の面積が振動板30aの面積よりも狭く設定されている。さらに、筐体2の放音孔22または24の面積が、動電型スピーカー30の振動板30aの面積と同程度になるように設けられている。その結果、音導部32の音道36において圧縮するかのように放射する音波を、ユーザー4の耳5fが位置するZ軸方向上面側に放射するので、指向性を狭くして周囲への音漏れを小さくするとともに、騒音下でも首掛け型スピーカー装置1のスピーカー3が再生する音波を、外来の別の音とは区別して聴きわけ易くなる。
なお、同一の動電型スピーカー30を用いても、このような音道36を備えないキャビネットの場合には、音の通りが悪くなる不都合が生じる場合がある。音導部32の音道36における音波の導出方向は、動電型スピーカー30の振動板30aが振動する方向と略直交する場合に限る必要は無く、音道36における音波の導出方向に略直交する断面の面積が、振動板30の面積よりも狭く設定されているようなものであれば、同様の効果が期待できる。音道36の断面の面積は、音道の出口に近づくにつれて大きくなってもよいが、音波の導出方向に略直交する断面の面積が、一様でほぼ変化しない部分の長さが全体の半分以上あるようにするのが好ましい。
首掛け型スピーカー装置1においてスピーカー3の指向性を狭くすることができれば、例えば、本実施例の場合の筐体2の左側筐体部23において放音孔24から離隔した位置に備えるマイクロホン8に左スピーカー3Lからの再生音が混入しないように作用させることができるので、首掛け型スピーカー装置1を電話通信が可能なヘッドセット装置として利用する場合に有利である。
また、このキャビネット31では、振動板30aの背面側に音響容量となる内部空間37を密閉型キャビネットとして規定する背面キャビネット部33を有している。もちろん、キャビネット31は、内部空間37に連通して動電型スピーカー30の振動板30aの背面側から放射される音波を自由空間に導出するダクトをさらに有するようにして、背面側の内部空間37をバスレフ型キャビネットとして規定する背面キャビネット部33を有していてもよい。低音域の再生能力に優れたスピーカー3を実現することができる。
スピーカー3の回路基板モジュール40は、音声信号を電力増幅する増幅回路を形成する回路素子42が配置された基板41を含む。本実施例の回路基板モジュール40では、基板41の片面もしくは両面に回路素子42が配置されて、音声信号をパルス変調して電力増幅する増幅回路が形成される。また、回路基板モジュール40では、基板41の片面にスイッチング電源素子43が配置されて、増幅回路に電源電位を供給する電源回路が形成される。
回路基板モジュール40には、スピーカー3が取り付けられる基板11(または13)からFPC(フレキシブルプリント基板)12(または14)を介して、増幅回路並びに電源回路を制御する制御信号が入力される。つまり、回路基板モジュール40は、(図示しない)制御信号入力端子と、音声信号を入力される(図示しない)音声入力端子と、電源回路に供給する電源電位を入力される(図示しない)電源端子と、を少なくとも備える。また、増幅回路から電力増幅された音声信号を出力される音声信号出力端子44は、本実施例では、回路素子42が配置される面であって、スイッチング電源素子43が設けられる面とは反対側に設けられている。
本実施例の回路基板モジュール40は、キャビネット31の背面キャビネット部33を規定して音声信号入力端子34が設けられる外殻面に、連結部材45を介して取り付けられている。この外殻面は、動電型スピーカー30の振動板30aが振動する方向と略直交する方向に延びる固定平面であるので、比較的に広い面積を確保することができる。音声信号入力端子34からは、(図示しない)リード線が背面キャビネット部33を通じて動電型スピーカー30のボイスコイル30bに接続する。なお、回路基板モジュール40は、基板41の片面のみに回路素子42が配置されて増幅回路並びに電源回路が構成されている場合には、連結部材45を間に挟まずに、キャビネット31の外殻面と基板41の他方の面とを密着させるように取り付けてもよい。
したがって、このスピーカー3では、回路基板モジュール40に設けられる増幅回路からの音声信号出力端子44と、キャビネット31の音声信号入力端子34とが、それらの間にコイル素子および接続線を介在させずに直接接続するようにできる。パルス変調の増幅回路の出力と、動電型スピーカー30に接続する入力端子34とが最短で接続できるので、 フィルタレス(フィルターなし)を実現できる。パルス変調して電力増幅する増幅回路の出力には、スピーカー接続線からのパルス変調による不要輻射を抑制するために低域通過フィルタとしてのコイルを設けることが一般的である。しかし、このスピーカー3では、パルス変調して電力増幅する増幅回路の出力にコイルと接続線が不要になるので、全体が小型軽量になり、低コストにすることができる。
なお、基板11(または13)と基板41とは略直交する位置関係になるので、本実施例のように曲げることができるFPC(フレキシブルプリント基板)12(または14)を介して接続するのが好ましい。また、連結部材45は、キャビネット31と回路基板モジュール40との位置関係を定めるネジ、スペーサー、などであればよい。また、キャビネット31と回路基板モジュール40は、接着、融着、溶着などの手段による固定手段で取り付けられていてもよい。また、キャビネット31の音声信号入力端子34は、キャビネット31の音道部32の外殻面に設けてもよく、その場合には回路基板モジュール40は音道部32側に取り付ければよい。
上述の通り、スピーカー3は、首掛け型スピーカー装置1の左スピーカー3Lおよび右スピーカー3Rとして共通して用いられている。スピーカー3は図示するX軸方向に対して左右非対称の形状並びに構造を有するものの、同一の構造を有するので、左右対称形状のスピーカーの場合に必要となるそれぞれに専用の金型を廃して、一通りの金型でキャビネット31を形成できる利点がある。つまり、左右対称な筐体2の形状が望ましい首掛け型スピーカー装置1であっても、専用の左右対称な左側スピーカー並びに右側スピーカーを作成せずに済むので、製造のコストを著しく下げることができる利点がある。
その結果、本実施例の首掛け型スピーカー装置1では、例えば、略逆U字状に湾曲形成される筐体2に対して、右スピーカー3Rの動電型スピーカー30の振動板30aの前面側が、筐体2の外径側(Outside)を向くように右スピーカー3Rが取り付けられる。そして、他方の左スピーカー3Lの動電型スピーカー30の振動板30aの前面側が、筐体2の内径側(Inside)を向くように左スピーカー3Lが取り付けられている。また、左スピーカー3L並びに右スピーカー3Rでは、回路基板モジュール40に対してFPC12(または14)を介して音声信号を入力されるので、同一構造の回路基板モジュール40に接続するFPCが、ともに略逆U字状の筐体2の後頸部側に配置されることになる。
つまり、左右のスピーカー3は、いずれか一方の動電型スピーカー30の振動板30aの前面側が略逆U字状の筐体2の外径側を向くように取り付けられる場合に、他方の動電型スピーカー30の振動板30aの前面側が略逆U字状の筐体2の内径側を向くように取り付けられていればよい。首掛け型スピーカー装置1の音質面の調整では、同一のスピーカー3を使用するので、左右での誤差が少なくなり、左右間のアンバランスの調整が不要になる利点がある。もちろん、回路基板モジュール40への音声信号の入力端子は、左右ともに略逆U字状の筐体2の前端部側に配置するように、左右のスピーカー3は筐体2に取り付けられていてもよい。
また、本実施例の首掛け型スピーカー装置1では、右スピーカー3R並びに左スピーカー3Lは、共通のスピーカー3であるので、同位相の音声信号がともに入力される場合に、いずれか一方の動電型スピーカー30の振動板30aが略逆U字状の筐体2の外径側(Outside)に向かって変位し、かつ、他方の動電型スピーカー30の振動板30aが略逆U字状の筐体2の内径側(Inside)に向かって変位する、ように筐体2に取り付けられている関係になっている。専用の左側スピーカー並びに専用の右側スピーカーを作成する場合に対して、首掛け型スピーカー装置1の略逆U字状の筐体2に発生する振動モードを変化させることができる。
また、首掛け型スピーカー装置1の筐体2は、ユーザー4の首部5a並びに肩部5cに係止可能な形状であれば、略逆U字状に湾曲形成されるものに限られない。筐体2の形状は、略対称なものに限られず、一方側が短く他方側が長い非対称形状であってもよい。また、筐体2の形状は、略逆U字状の筐体2の両端部がユーザー4の鎖骨5eにまで至らない短いものであってもよい。また、筐体2の形状は、略逆U字状の筐体2の両端部を連結して円環状にするものであってもよい。
また、上記実施例の首掛け型スピーカー装置1は、ユーザーの身体に装着する電子機器の一例であって、このようなスピーカー装置であるスピーカー3を用いる電子機器は、首掛け型スピーカー装置に限られるものではない。ユーザーの身体に装着しない電子機器であっても、ユーザーが操作する場合に音声を再生するような電子機器であれば、採用可能である。
本発明の首掛け型スピーカー装置、または、スピーカー装置は、家庭用のステレオ再生、もしくは電話通信に限られず、車載用のオーディオ機器や、映画館等の音響再生設備にも適用が可能である。
1 首掛け型スピーカー装置
2 筐体
3、3L、3R スピーカー
4 ユーザー
6 イヤホン端子
7 イヤホン
8 マイクロホン
11、12 基板
13、14 FPC
21 右側筐体部
23 左側筐体部
22、24 放音孔
25 後側連結部
30 動電型スピーカー
31 キャビネット
32 音道部
33 背面キャビネット部
36 音道

Claims (6)

  1. ユーザーの首部並びに肩部に係止可能なように略逆U字状に湾曲形成される筐体の該ユーザーの左耳に対応する位置に左側スピーカーが取り付けられ、該ユーザーの右耳に対応する位置に右側スピーカーが取り付けられる首掛け型スピーカー装置であって、
    該左側スピーカー並びに該右側スピーカーが同一の構造を有するスピーカーであり、それぞれ、振動板を備える動電型スピーカーと、該動電型スピーカーが取り付けられて該振動板の前面側へ放射される音波を該筐体の上面側に設けられる放音孔から該ユーザーの該耳に向けて放射する音導部を有するキャビネットと、を備え、
    該音導部は、該動電型スピーカーの該振動板の前面側から放射される音波を該筐体の該放音孔に導出する音道を有し、該音道における該音波の導出方向に略直交する断面の面積が該振動板の面積よりも狭く設定されて、該導出方向が、該動電型スピーカーの該振動板が振動する方向と略直交するように、該動電型スピーカーと該キャビネットが取り付けられている、
    首掛け型スピーカー装置。
  2. 前記左側スピーカー並びに前記右側スピーカーは、前記略逆U字状に湾曲形成される前記筐体に対して、いずれか一方の前記動電型スピーカーの前記振動板の前記前面側が該略逆U字状の該筐体の外径側を向くように取り付けられる場合に、他方の前記動電型スピーカーの前記振動板の前記前面側が該略逆U字状の該筐体の内径側を向くように取り付けられる、
    請求項1に記載の首掛け型スピーカー装置。
  3. 前記左側スピーカー並びに前記右側スピーカーは、同位相の音声信号がともに入力される場合に、いずれか一方の前記動電型スピーカーの前記振動板が前記略逆U字状の前記筐体の外径側に向かって変位し、かつ、他方の前記動電型スピーカーの前記振動板が該略逆U字状の該筐体の内径側に向かって変位する、ように該筐体に取り付けられている、
    請求項1または2に記載の首掛け型スピーカー装置。
  4. 前記左側スピーカー並びに前記右側スピーカーは、音声信号を入力されるそれぞれの入力端子を、ともに該略逆U字状の前記筐体の後頸部側に配置する、または、ともに前記略逆U字状の前記筐体の前端部側に配置する、ように該筐体に取り付けられている、
    請求項1から3のいずれかに記載の首掛け型スピーカー装置。
  5. 前記キャビネットが、前記動電型スピーカーの前記振動板の背面側に音響容量となる内部空間を規定する背面キャビネット部をさらに有する、
    請求項1から4のいずれかに記載の首掛け型スピーカー装置。
  6. 前記筐体の前記放音孔から離隔した位置に、音波を音声信号に電気音響変換するマイクロホンがさらに取り付けられている、
    請求項1から5のいずれかに記載の首掛け型スピーカー装置。
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