JP2008300664A - パッケージ用キャップ及び光学素子搭載用パッケージ - Google Patents
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Abstract
【課題】光透過窓の材料として使用するガラスの歪み点の温度以上に耐熱性を高め、光学素子を搭載したパッケージ全体の耐熱信頼性の向上に寄与すること。
【解決手段】パッケージ用キャップ10は、光不透過性の材料からなり、中央に所要の大きさで形成された開口部を有するトップハット部12及びその外側周囲に一体的に形成されたフランジ部13によって構成されたキャップ本体11と、このキャップ本体11の材料と熱膨張係数が近似している材料からなり、上記開口部の側面周囲に気密に接合されたガラス窓14とを有する。トップハット部12の幅方向の寸法をW、厚み方向の寸法をDと表したときに、WのDに対する比率W/Dを、ガラス窓14を構成するガラスの歪み点の温度においてガラス面にクラックが発生しないような特定の値以上の値に選定する。
【選択図】図1
【解決手段】パッケージ用キャップ10は、光不透過性の材料からなり、中央に所要の大きさで形成された開口部を有するトップハット部12及びその外側周囲に一体的に形成されたフランジ部13によって構成されたキャップ本体11と、このキャップ本体11の材料と熱膨張係数が近似している材料からなり、上記開口部の側面周囲に気密に接合されたガラス窓14とを有する。トップハット部12の幅方向の寸法をW、厚み方向の寸法をDと表したときに、WのDに対する比率W/Dを、ガラス窓14を構成するガラスの歪み点の温度においてガラス面にクラックが発生しないような特定の値以上の値に選定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、光学素子を搭載するためのパッケージの構造に関し、より詳細には、DMD(Digital Micro-mirror Device)等に代表される反射型光デバイスが内部に搭載されるパッケージ本体の開口部を気密封止するのに用いられるパッケージ用キャップ、及び該キャップを用いた光学素子搭載用パッケージに関する。
光学素子搭載用パッケージは、その基本構成として、光学素子が内部に搭載されるパッケージ本体と、このパッケージ本体の開口部を気密封止するのに用いられるキャップ(パッケージ用キャップ)とを備えている。このパッケージ用キャップは、パッケージ内部に搭載される光学素子に入出射させる光を透過させるためのガラス窓を有しているが、このガラス窓をキャップの本体(金属部分)に接合する際には高度な気密性が要求される。同様に、キャップをパッケージ本体に接合する際にも高度な気密性が要求される。
例えば、DMDの一種であるMEMS素子(=Micro Electro-Mechanical Systems、マイクロサイズのセンサ、アクチュエータ、制御回路を集積化した微細システムの総称)を内部に搭載するパッケージの場合、製品の信頼性を確保するために、パッケージの本体に相当する基板にはセラミックパッケージを使用し、このセラミックパッケージとの間を気密封止するために使用する部材として、ガラスと金属を封止したキャップ構造が採用されている。そして、このキャップ構造には高い封止気密性が要求されるため、ガラスと金属との封止面積を大きくする必要があることから、厚いガラスと厚い金属キャップ(キャップ本体)を使用した構造として設計・製造が行われている。さらに、金属キャップとセラミックパッケージとの接合(気密封止)のためにシーム溶接を行う必要があることから、金属キャップのフランジ部は薄肉部分として構成されている。
このような構造を有した金属キャップは、その形態として、パッケージ内に搭載されるべきMEMS素子等の光デバイスの大きさや配置形態等に応じて多種多様のものが考えられている。金属キャップによって気密に保持されるガラス窓は、所要の光学特性を満足させるためにそのガラス面が鏡面研磨されるが、そのガラス研磨に先立ってガラスと金属キャップを溶着法により接合する処理が行われる。その際、「マッチド・タイプ」と呼ばれる溶着法を用いている。これは、互いに熱膨張係数の近似した材料を使用して両者を接合することで、溶着時と溶着後の温度の変化に左右されずに両者間の気密性を高く維持するための手法である。例えば、金属キャップの材料としてコバールを使用し、ガラスはコバールの熱膨張係数に近似したガラス材を使用し、金属キャップ側に酸化膜を介してガラスと溶着接合させることで、気密性を向上させることができる。
上記の従来技術に関連する技術としては、例えば、特許文献1に記載されるように、光学部品が搭載される基板と、この基板の周囲に立設された金属枠と、中央部にガラス窓を気密に保持し、周囲にフランジ部を有した金属キャップとを備えたパッケージにおいて、金属キャップのフランジ部の、基板側の金属枠に接合される部分の内側に、接合の際の応力を吸収するための部分(応力吸収部)を設けるようにしたものがある。
特開2006−145610号公報
上述したように従来のパッケージ用キャップの構成では、光透過窓を構成するガラスは金属キャップ(コバール)の熱膨張係数に近似したガラス材を使用しているため、キャップそれ自体の耐熱性、ひいては当該キャップで封止されたパッケージ全体の耐熱性は、金属部分(キャップ本体)の形状等にもよるが、そのガラスが有している特性値の一つである歪み点(歪み温度)によって決まってしまうといった不都合があった。
一般的に、コバール封止用ガラスの歪み点の温度は450〜470℃前後であり、このガラスの歪み温度において、ガラス面(金属部分との接合部分)にクラックが発生する。従って、上記のパッケージ構造にて形成された場合、パッケージ用キャップ(ひいてはパッケージ全体)の耐熱温度は、光透過窓を構成するガラスの歪み点に近い温度(450〜470℃前後)に制限されるといった課題があった。
本発明は、かかる従来技術における課題に鑑み創作されたもので、光透過窓の材料として使用するガラスの歪み点の温度以上に耐熱性を高めることができ、ひいては光学素子を搭載したパッケージ全体の耐熱信頼性の向上に寄与することができるパッケージ用キャップ及び光学素子搭載用パッケージを提供することを目的とする。
上述した従来技術の課題を解決するため、本発明の基本形態によれば、光不透過性の材料からなり、中央に所要の大きさで形成された開口部を有するトップハット部及び該トップハット部の外側周囲に一体的に形成されたフランジ部によって構成されたキャップ本体と、前記開口部の側面周囲に気密に接合されたガラス窓とを有し、前記トップハット部の幅方向の寸法をW、厚み方向の寸法をDと表したときに、WのDに対する比率W/Dが、前記ガラス窓を構成するガラスの歪み点の温度においてガラス面にクラックが発生しないような特定の値以上の値に選定されていることを特徴とするパッケージ用キャップが提供される。
本発明に係るパッケージ用キャップによれば、キャップ本体を構成するトップハット部の幅方向/厚み方向の比率W/Dを特定の値(ガラスの歪み点の温度においてガラス面にクラックが発生しないような値)以上の値に選定しているので、キャップそれ自体の耐熱性を、ガラス窓の材料として使用するガラスの歪み点の温度以上に高めることができる。この「特定の値」の具体例については、後述する実施例において説明する。
また、かかる構成により、本キャップで気密封止されるべきDMD等の光学素子を内部に搭載したパッケージ全体の耐熱信頼性を向上させることが可能となる。
また、本発明の他の形態によれば、上記の形態に係るパッケージ用キャップと、光学素子を搭載するための素子搭載部が内部に画定され、前記パッケージ用キャップによって気密封止されるべき開口部を有すると共に、該開口部の周縁に沿って前記パッケージ用キャップのフランジ部の位置に対応する部分にシール用金属枠が設けられたパッケージ本体とを備えたことを特徴とする光学素子搭載用パッケージが提供される。
本発明に係るパッケージ用キャップ及び光学素子搭載用パッケージの他の構成上の特徴及びそれに基づく有利な利点等については、発明の実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るパッケージ用キャップの構成を模式的に示したものである。図中、(a)は本実施形態に係るパッケージ用キャップ10を上面側(パッケージ内部に対向する側と反対側の面)から見た構造、(b)は(a)のA−A線に沿って見たキャップ10の断面構造を示している。
本実施形態に係るパッケージ用キャップ10は、DMD等に代表される反射型光デバイス(チップ)を内部に搭載したパッケージの本体(セラミックパッケージ)の開口部を気密封止するのに好適に使用され得る。本キャップ10で当該パッケージの開口部を封止したときの状態(構成例)については、後で説明する。
本実施形態のパッケージ用キャップ10は、図示のように中央に所要の大きさで面方向と垂直な方向に貫通する開口部が形成されたキャップ本体11と、このキャップ本体11の開口部の側面周囲に気密に接合された板状のガラス窓14とによって構成されている。キャップ本体11は、図1(b)に示すように開口部の周囲に段差部を有するよう一体的に加工成形されており、この段差部より内側の部分は肉厚部分12を構成し、外側の部分は薄肉部分13を構成する。キャップ本体11の肉厚部分12は、その側面形状から、以下の記述では便宜上、「トップハット部」ともいう。また、キャップ本体11の薄肉部分13は、トップハット部12の外側周囲に突出した「フランジ部」を規定し、このフランジ部13の下面(本キャップ11によって気密封止されるべきパッケージ本体に対向する側の面)は、平坦化されたシール面を規定する。このシール面は、後述するようにパッケージ本体の開口部周縁に沿って設けられた、シーム溶接の際に使用されるシール用金属枠に接触する部分である。
キャップ本体11は光不透過性の金属材料からなる。本実施形態では、後述するようにガラス部分(ガラス窓14)と金属部分(キャップ本体11)を溶着法により接合しているが、溶着時と溶着後の温度の変化に左右されずに両者間の気密性を高く維持できるようにするため、「マッチド・タイプ」と呼ばれる溶着法(互いに熱膨張係数の近似した材料を使用して両者を接合する方法)を用いている。
このため、キャップ本体11を構成する材料として、当該技術分野では代表的な金属材であるコバール(鉄(Fe):53%、ニッケル(Ni):28%、コバルト(Co):18%の合金)を使用し、ガラス窓14の材料としては、コバールとの熱膨張係数の差が小さいアルカリ含有の硼珪酸ガラスを使用している。ちなみに、コバールの熱膨張係数はほぼ47×10-7ppm/℃、硼珪酸ガラスの熱膨張係数はほぼ51×10-7ppm/℃である。また、後の段階で客先等において行うパッケージの組み立て工程においてキャップ10側のフランジ部13(シール面)とパッケージ本体側のシール用金属枠とをシーム溶接した際に両者間の気密性を高めるために、コバール(キャップ本体11)の表面にニッケル(Ni)めっき及び金(Au)めっきを施している。
ガラス窓14は、所要の光学特性を満足させるためにそのガラス面が鏡面研磨されており、さらにその表面には、図示はしていないが、通常のガラス表面に被着されている反射防止膜と同様の透明な単層膜もしくは多層膜が形成され(反射防止コーティング)、所要の透過率を確保している。例えば、弗化マグネシウムや二酸化珪素などの材料からなる光透過性の単層膜、あるいはこれを複数層重ね合わせた多層膜を、所要の厚さ(300nm程度)に形成して反射防止膜とすることができる。
本実施形態に係るパッケージ用キャップ10は、図1に示すように枠状のトップハット部12の幅方向の寸法をW、その厚み方向の寸法をDと表したときに、幅方向(W)の厚み方向(D)に対する比率W/Dを特定の値以上の値に設定したことを特徴とする。この特定の値以上の値は、使用したガラス窓14を構成するガラス(硼珪酸ガラス)の歪み点の温度(一般的に450〜470℃前後)においてガラス面にクラックが発生しないような各寸法W,Dの組合せの中から適宜選択される。
以下の表は、実際に各寸法W,Dを変えて幾つかのサンプルを試作した場合の実施例を示しており、この例では、トップハット部12の厚み方向の寸法Dを一定値(=3mm)に保ったままで幅方向の寸法Wのみを1mm、2mm、3mmと変更して試作した3つのサンプルについて、それぞれパッケージ耐熱温度を測定したときの結果を示している。ここでいう「パッケージ耐熱温度」とは、当該キャップのガラス窓を構成するガラスの表面にクラックが発生した時の温度を示している。
トップハット寸法(W) パッケージ耐熱温度
サンプル1 1mm 450℃
サンプル2 2mm 500℃
サンプル3 3mm 550℃
この表に示す結果から、サンプル1(W/D=1/3≒0.33)については、ガラスの歪み点以下の温度(450℃)でガラス面にクラックが発生していることがわかる。従って、ガラスの歪み点の温度以上にキャップ10(ひいてはパッケージ全体)の耐熱性を高めるためには、この実施例では、ガラスの歪み温度の上限値(470℃前後)を考慮し上記の結果に内挿法を適用して、W≒1.4〜1.5mmとしたときに470℃前後のパッケージ耐熱温度が得られるものと期待される。このときの比率W/Dは、ほぼ0.5である。
サンプル1 1mm 450℃
サンプル2 2mm 500℃
サンプル3 3mm 550℃
この表に示す結果から、サンプル1(W/D=1/3≒0.33)については、ガラスの歪み点以下の温度(450℃)でガラス面にクラックが発生していることがわかる。従って、ガラスの歪み点の温度以上にキャップ10(ひいてはパッケージ全体)の耐熱性を高めるためには、この実施例では、ガラスの歪み温度の上限値(470℃前後)を考慮し上記の結果に内挿法を適用して、W≒1.4〜1.5mmとしたときに470℃前後のパッケージ耐熱温度が得られるものと期待される。このときの比率W/Dは、ほぼ0.5である。
一方、上記の結果に外挿法を適用すると、トップハット寸法(W)を長くすればするほどパッケージ耐熱温度が上昇し続けるようにも理解されるが、そのようなことは起こり得ないことはもちろんである。実際問題として、パッケージ耐熱温度が上昇してガラス転移点(軟化点)の温度(ガラスの種類にもよるが、600〜700℃前後)に達すると、ガラス自体に支障が生じることが予想される。このため、この温度以下となるように各寸法W,Dを選定するのが望ましい。上記の実施例では、ガラス転移点温度の下限値(600℃前後)を考慮し上記の結果に外挿法を適用して、W≒4.0mmとしたときに600℃前後のパッケージ耐熱温度が得られるものと予想される。このときの比率W/Dは、ほぼ1.33である。
従って、上記の実施例に限定して言えば、トップハット部12の幅方向の寸法Wと厚み方向の寸法Dとの比率W/Dを0.5〜1.33の範囲内で選定するのが望ましい。
ただし、本発明が意図する「ガラスの歪み点の温度以上に耐熱性を高めること」を実現するためには、少なくとも、ガラス窓14を構成するガラスの歪み点の温度(450〜470℃前後)においてガラス面にクラックが発生しない条件を満たすように各寸法W,Dが選定されていれば十分である。従って、上記の実施例の場合、比率W/Dを0.5以上の値に選定すれば十分である。
本実施形態に係るパッケージ用キャップ10は、基本的には従来の製造方法と同様にして製造することができる。図2はその製造方法の一例を示したものである。
先ず、図2(a)、(b)に示すように、中央に所要の大きさで面方向と垂直な方向に貫通する開口部OPが形成された板状の金属製のキャップ本体11を用意する一方で、この開口部OPに嵌合する大きさに成形された板状のガラス14aを用意する。このガラス14aは、最終的にガラス窓14として残存するガラスの厚さよりも若干厚めのものを用意する。キャップ本体11は、上述したようにガラスと溶着される際の便宜を考慮して、使用するガラス(硼珪酸ガラス)と熱膨張係数が近似しているコバールを使用し、開口部OPを有する肉厚部分のトップハット部12及びその周囲の薄肉部分のフランジ部13を規定するように、コバールを適宜切削加工して一体的に形成する。その際、シール面を構成すべきフランジ部13の下面が平坦となるように加工する。さらに、コバール(キャップ本体11)の表面にニッケル(Ni)めっき及び金(Au)めっきを施す。
次に、図2(c)に示すように、ガラス14aをキャップ本体11の開口部OPに嵌合し、「マッチド・タイプ」の溶着法(溶着温度:600〜700℃前後)により両者を気密に接合する。
さらに図2(d)に示すように、ガラス14aの両面を鏡面研磨して平坦に成形する。この研磨は、上述したように所要の光学特性を満足させるために行う。この場合、理想的にはガラス14aの表面がキャップ本体11の表面と完全に一致するように平坦化できればよいが、ガラス14aの表面がキャップ本体11の表面と同一面に達した時点で研磨を正確に止めることは技術的に困難であり、その場合にガラス14aと異なる材質(金属)からなるキャップ本体11も同時に研磨してしまうことになり、ガラス表面にキズが付いたりすることがある。よって、ガラス14aの研磨を金属部分(キャップ本体11)の表面が研磨される直前の時点で止める。さらに、研磨を終えたガラスの表面に、所要の透過率を満足させるための反射防止コーティングを施す。
以上の工程により、図2(e)に示すように最終的な製品であるパッケージ用キャップ10が得られる。なお、最終的に出来上がったキャップ10には、上記の研磨処理に起因して、図示のようにガラス窓14とキャップ本体11の接合部分(上下2箇所)において僅かに段差部分(100〜200μm程度)が生じている。
以上説明したように、本実施形態に係るパッケージ用キャップ10(図1)の構成によれば、キャップ本体11におけるトップハット部12の幅方向の寸法Wと厚み方向の寸法Dとの比率W/Dを、ガラス窓14を構成するガラスの歪み点の温度(一般的に450〜470℃前後)においてガラス面にクラックが発生しない条件を満たす特定の値以上の値に選定しているので、キャップ11それ自体の耐熱性を当該ガラスの歪み点の温度以上に高めることができる。上記の実施例では、W/D=0.5以上の値に選定することで、パッケージ耐熱温度を470℃以上に高めることができる。
また、かかる構造を有したパッケージ用キャップ10を用いて、DMD等の反射型光デバイス(チップ)を内部に搭載したパッケージの本体(セラミックパッケージ)の開口部を気密封止した場合には、その光デバイスを含めたパッケージ全体としての耐熱信頼性を向上させることが可能となる。
本実施形態に係るパッケージ用キャップ10でセラミックパッケージを封止したときの構成については、本発明の要旨と直接関係しないので詳細な説明は省略するが、簡単に説明すると以下の通りである。
すなわち、図3に一実装例としてその概略構成を示すように、本キャップ10で気密封止されるべきパッケージ本体(セラミックパッケージ)20側では、その開口部21の周縁に沿ってその上面(キャップ10のフランジ部13のシール面の位置に対応する部分)にシール用金属枠22が設けられている。このシール用金属枠22は、先ず開口部21の周縁の上面にメタライズ膜(例えば、タングステン(W)にニッケル(Ni)めっきを施したもの)を環状に形成し、次にこのメタライズ膜上にコバールのシールリングを金属ろう(例えば、銀(Ag)−銅(Cu)ろう)を介して接合し、更にその表面にNi/Auめっきを施すことにより、形成され得る。本実施形態のパッケージ用キャップ10は、シーム溶接により、フランジ部13のシール面を介してパッケージ本体20側のシール用金属枠22に熱圧着されて、当該開口部21を気密封止する。
本キャップ10でパッケージ本体20を気密封止する前に、パッケージ本体20の内部には、基板上で所定の箇所に画定された素子搭載部にDMDチップ25が搭載される。DMDは、米国テキサス・インスツルメンツ社が開発したマイクロミラーによる光・電子集積デバイスの商標であり、数十万個以上のマイクロミラーをCMOSのSRAM上に集積し、光源からの光を反射させその反射光の向きを制御する反射型光変調装置である。かかるDMDはDLP(Digital Light Processing )と呼ばれる映像技術を利用したシステムに多く使用されている。DMDはMEMS素子であり、SRAMからのデジタル信号によって個々のマイクロミラーが電気機械的に制御され、所定の角度で互いにぶつからないように傾く。SRAMからのデジタル信号により、映像を映し出すために必要な部分のマイクロミラーは「オン」状態に傾き、必要でない部分のマイクロミラーは「オフ」状態に傾く。ミラー面に光を当てると、「オン」状態のマイクロミラーに当たった光だけが反射される。
かかるDMDチップ25を内部に搭載し、その開口部21を本キャップ10で気密封止したパッケージにおいては、映像投影用の光源26からキャップ10のガラス窓14を透して照射された光を、DMDチップ25上で個々に制御された各マイクロミラーで反射させ、その反射光によって画像(投影映像)を作り出し、その映像をガラス窓14を透し、さらに投影レンズ(図示せず)を透して所要の範囲内の方向(スクリーン上)に指向させている。
上述した実施形態(図1)では、板状のコバールを切削加工することで肉厚部分(トップハット部12)と薄肉部分(フランジ部13)の混在したキャップ本体11を形成する場合を例にとって説明したが、キャップ本体を構成する金属部分の形状がこれに限定されないことはもちろんである。例えば、板状のコバールを折り曲げるように加工して「段差部」を形成し、この段差部より内側に規定される部分を「トップハット部」とし、当該段差部より外側に規定される部分を「フランジ部」とすることも可能である。図4はその場合の実施形態を示したものである。
図4において、(a)は本実施形態に係るパッケージ用キャップ30を上面側(パッケージ内部に対向する側と反対側の面)から見た構造、(b)は(a)のD−D線に沿って見たキャップ30の断面構造を示している。本実施形態に係るパッケージ用キャップ30は、上述した実施形態に係るパッケージ用キャップ10と同様に、DMD等に代表される反射型光デバイスを内部に搭載したパッケージ本体(図3のセラミックパッケージ20)の開口部を気密封止するのに好適に使用され得る。
本実施形態に係るパッケージ用キャップ30の構成では、上述した実施形態に係るパッケージ用キャップ10の構成とは違い、板状のコバールを切削加工するのではなく折り曲げ加工しているため、段差部より内側に規定されるトップハット部32と当該段差部より外側に規定されるフランジ部33は、ともに同じ厚さの部分からなっている。この構成において、トップハット部32の幅方向の寸法Wは、図示のようにキャップ本体31に形成された開口部のエッジ部分(ガラス窓34との接合部分)から折り曲げ部分(段差部)の中心位置までの距離(幅)によって規定され、厚み方向の寸法Dは、使用した板状のコバールの厚さによって規定される。
上述した実施形態(図1)の場合と同様に、トップハット部32の幅方向の寸法Wと厚み方向の寸法Dとの比率W/Dを特定の値(上記の実施例では、0.5)以上の値に選定している。かかる構成により、上述した実施形態(図1)の場合と同様の効果を奏することが期待される。
上述した各実施形態では、パッケージ用キャップ10,30を製造するに際し、金属部分(キャップ本体11,31)とガラス部分(ガラス窓14,34)を「マッチド・タイプ」の溶着法により接合する場合を例にとって説明したが、本発明の要旨(トップハット部12,32の幅方向の寸法Wと厚み方向の寸法Dの比率W/Dを特定の値以上の値に選定したこと)からも明らかなように、金属部分とガラス部分を接合する方法はこれに限定されないことはもちろんである。要は、両者間に十分な気密性が確保されていればよく、上記の方法以外にも、「コンプレッション・タイプ」と呼ばれる溶着法を用いることも可能である。これは、上記の場合とは異なり、互いに熱膨張係数の差が大きい材料(この場合、金属部分の熱膨張係数よりもガラス部分の熱膨張係数の方が大きくなっている材料)を使用し、溶着時に両者間に作用する熱膨張係数の差に起因する収縮力を利用して両者を気密に接合する方法である。
また、上述した各実施形態では、パッケージ用キャップ10,30のガラス窓14,34の形状が円形の場合を例にとって説明したが、ガラス窓の形状が円形に限定されないことはもちろんである。例えば、パッケージを構成する上での設計上の都合(光源や投影レンズ等の配置、内部に搭載される光デバイスに対する光の入出射方向等)や、本パッケージ用キャップを使用する客先からの要望などに応じて、ガラス窓の形状を矩形や楕円形など所要の形状に成形してもよい。
10,30…パッケージ用キャップ、
11,31…キャップ本体(金属部分)、
12,32…トップハット部、
13,33…フランジ部、
14,34…ガラス窓、
20…パッケージ本体(セラミック基板)、
21…パッケージ本体の開口部、
22…シール用金属枠、
25…DMD(光学素子)、
OP…キャップ本体の開口部、
W…トップハット部の幅方向の寸法、
D…トップハット部の厚み方向の寸法。
11,31…キャップ本体(金属部分)、
12,32…トップハット部、
13,33…フランジ部、
14,34…ガラス窓、
20…パッケージ本体(セラミック基板)、
21…パッケージ本体の開口部、
22…シール用金属枠、
25…DMD(光学素子)、
OP…キャップ本体の開口部、
W…トップハット部の幅方向の寸法、
D…トップハット部の厚み方向の寸法。
Claims (7)
- 光不透過性の材料からなり、中央に所要の大きさで形成された開口部を有するトップハット部及び該トップハット部の外側周囲に一体的に形成されたフランジ部によって構成されたキャップ本体と、
前記開口部の側面周囲に気密に接合されたガラス窓とを有し、
前記トップハット部の幅方向の寸法をW、厚み方向の寸法をDと表したときに、WのDに対する比率W/Dが、前記ガラス窓を構成するガラスの歪み点の温度においてガラス面にクラックが発生しないような特定の値以上の値に選定されていることを特徴とするパッケージ用キャップ。 - 前記比率W/Dは、好適には0.5以上の値に選定されていることを特徴とする請求項1に記載のパッケージ用キャップ。
- 前記キャップ本体及び前記ガラス窓は、互いに熱膨張係数の近似した材料からなることを特徴とする請求項1に記載のパッケージ用キャップ。
- 前記キャップ本体は、コバールの表面にニッケルめっき及び金めっきが施された金属材からなり、前記ガラス窓は、硼珪酸ガラスからなることを特徴とする請求項3に記載のパッケージ用キャップ。
- 前記キャップ本体は、前記開口部の周囲に段差部を有するよう一体的に加工成形され、当該段差部より内側に規定される前記トップハット部は、肉厚部分からなり、当該段差部より外側に規定される前記フランジ部は、薄肉部分からなることを特徴とする請求項1に記載のパッケージ用キャップ。
- 前記キャップ本体は、前記開口部の周囲に段差部を有するよう一体的に加工成形され、当該段差部より内側に規定される前記トップハット部、及び当該段差部より外側に規定される前記フランジ部は、ともに同じ厚さの部分からなることを特徴とする請求項1に記載のパッケージ用キャップ。
- 請求項1から6のいずれか一項に記載のパッケージ用キャップと、
光学素子を搭載するための素子搭載部が内部に画定され、前記パッケージ用キャップによって気密封止されるべき開口部を有すると共に、該開口部の周縁に沿って前記パッケージ用キャップのフランジ部の位置に対応する部分にシール用金属枠が設けられたパッケージ本体とを備えたことを特徴とする光学素子搭載用パッケージ。
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