JP2008300647A - 半導体素子及びその製造方法、並びに半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ユビキタスセンシングのための、熱容量の低減や省スペースの小型の半導体素子及びその製造方法、並びに半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体製造プロセスを用いて形成された感応部1を有する半導体素子であって、感応部1を覆うようにフィルタ2が形成された。
【選択図】図1

Description

本発明は、周囲環境に暴露された微細構造又は周囲環境に感応する機構を有し、環境現場内に設置される素子に関し、特に、製造及び使用にあたり脆弱なセンサを保護するとともに周囲環境に迅速に馴染ませるためのフィルタを備え、周囲環境に影響を与え難くするために小型化した素子及びその製造技術に関する。
環境保全、住居環境、防災や災害対策、医療や健康管理、気象観測又は機器類の精密制御などで、ネットワーク社会インフラも相まって、現場の環境情報を観測するためのユビキタスセンシングネットワークを構築する動きが進んでいる。
そこで、高密度(空間的)にリアルタイム(時間的)に計測できたり制御できたりするセンサやアクチュエータの素子があれば、さらにユビキタスが高度化される。
しかし、現場への設置の自由度を高め、素子自身の存在そのものが周囲環境に影響を与えない(低侵襲)ようにしなければ、高密度にリアルタイムに計測したり制御したりできないため、熱容量の低減や省スペース化のために必然的に素子や制御回路は小型化を目指すこととなる。
このため、半導体微細加工技術を用い、素子や制御回路の面積を低減させる方法として、一般的には同一基板内にパターン寸法を微細化することによって集積化する。
また、機能別の素子をスタックして面積を低減させるSiP(System in Package)もある。
また、素子や制御回路を収納するパッケージを無くして小型化する方法として、半導体微細加工技術を用い、ウエハ段階で気密封止し、その後でダイシングによってパッケージ一体化の形態で個片化して素子とすることにより、ウエハプロセス段階で素子サイズに制限できるウエハレベルチップサイズパッケージ(WLCSP:Wafer Label Chip Size Packaging)がある。
一方、半導体微細加工技術などを適用して、機械的強度の小さい微細構造体を形成するMEMS(Micro Electro Mechanical System)、マイクロマシン、マイクロセンサ、マイクロアクチュエータ又は、表面にデリケートな感応部を配置する素子類がある。
これらの中には、オープンパッケージに(気密封止しないパッケージに)実装したり、素子表面を樹脂モールドしない形態で、周囲環境をセンシングしたり、周囲環境に出し入れする機構であったりするため、表面が暴露された形態で使用しなければならない素子がある。
これらは周囲環境になじみやすくさせなければならない構造であり、小型であるので周囲環境に影響を与えにくく、迅速な応答性能であり機能も集積されているので、環境現場への設置の自由度が高く、ユビキタスセンサとして適している。
しかし、半導体微細加工技術を用いて、ウエハプロセス段階でダイシングによって個片化しパッケージングする場合には、表面が暴露された形態であるため、個片化した後では損傷を受けてしまうので、損傷しないように保護しなければならない。
したがって、これらを気密封止しないでWLCSP技術を適用するためには、新たな工夫が必要となる。
環境を検出するセンサに関する従来技術として、特許文献1に開示される「ガス検出装置」や特許文献2に開示される「熱依存性検出装置」がある。
特許文献1に開示される発明は、ガスなどの環境雰囲気を検出するセンサチップをプリント基板に実装したものであり、センサチップがガスに暴露されなければならないため、架橋構造や感応材料などの表面微細構造を破損や汚染から防止するためにフィルタで覆っている。よって、急速に変動する周囲環境へのセンサの熱応答が迅速であっても、部品が多くパッケージサイズが大きいためセンサチップ全体としては熱容量が大きく、パッケージの熱応答が緩慢となり、その影響を受けてしまう。かといって、寸法を小さくすると、フィルタを設置する工程で高い実装精度が要求されることとなってしまい、製造が困難となる。
特許文献2に開示される発明は、感応部を小さくし、さらに熱容量の大きなパッケージから隔離することにより、周囲雰囲気に馴染みやすくして、迅速な熱応答性の必要性を開示している。したがって、素子の小型化並びに熱容量の大きなパッケージを不要にする形態を示唆している。
素子を小型化すると封止の際の微細加工精度も必要となるため、必然的にWLCSPが好ましい。WLCSPに関する従来技術としては、特許文献3〜6及び被特許文献1に開示される発明がある。
特許文献3の「ウェハレベル半導体装置の製造方法」は、一般的なマイクロデバイスのウエハレベルのチップスケールパッケージの技術や必要性を開示している。デバイスを使用する装置の小型化が進む現状にあっては、小型・薄型のウエハレベルパッケージが強く求められている。
非特許文献1には、ウエハ接合によって気密封止することにより、ダイシングの際にMEMSウエハを保護し、損傷を防止することが開示されている。
特許文献4の「一体集積型ウエハパッケージ及びウエハパッケージの組立方法」には、MEMSウエハと能動デバイスウエハとを気密封止一体化したウエハレベルパッケージが開示されている。
特許文献5の「改良式MEMSウエハレベル・パッケージ」は、素子表面に微細加工物があり、気密封止せずに表面を露出して使用する素子では、ウエハを個片化した後では、通常の半導体装置製造プロセスで行われているようなダイシン・ソーやコンタクトしてバキュームピックアップした上でソートする工程などで損傷しやすく、そのまま大量生産することは難しい。
すなわち、通常のLSIやC−MOS製造工程を一緒に組み込むことは困難であり、素子に回路を混載するのにも適していない。
微細加工構造物の素子をダイシング(個片化)することに関する従来技術として、特許文献6〜11がある。
特許文献6に開示される「基板の分割方法」は、ダイシング・ソーでの切り離しを行わず、ウエハを切り離す箇所を薄くすることで、微細加工構造物を破損させずに個片化するものであり、空間部を形成したシリコン微細加工構造物のウエハをダイシングするに当たっては、半導体製造工程で通常用いられている冷却しながら切削するダイシング・ソーでは困難を生じることが示されている。
特許文献7の「マイクロマシンウエーハの分割方法及びダイシングフレーム」には、シリコン微細加工構造物のダイシングによる問題がさらに詳しく示されている。
特許文献8の「マイクロブリッジセンサの製造方法」は、保護シートで仮カバーをすることで、シリコン微細加工物のダイシングにおける問題を解決しようとするものである。特許文献8には、冷却しながら切削をするダイシング・ソーにより微細加工構造物の破損に対して空間部を形成したシリコン微細加工構造物のウエハの表面をダイシング時には粘着し、ダイシング後に加熱やUV照射によって剥離できるシートで保護する技術が開示されている。
しかし、チップサイズを小さくしていくにしたがい、粘着領域が小さくなっていくため、粘着力だけではシートを十分な強度で固定することが難しくなる。このため、強力な半永久的接着力が必要である。
特許文献9の「微小構造を有する装置の製造方法」には、保護の際にも除去の際にも微小装置に機械的に力をかけてしまう保護法は、破損しやすい微小装置への適用が困難であることが示されている。
特許文献10の「MEMSの製造方法」は、剥離できるシートの貼り付け時の表面接触で表面の微細加工構造物が破損する可能性がある。さらに、表面が付着力の弱い構造やデリケートな官能器でできている感応膜であると破損の可能性があり、粘着剤が残留する可能性もある。
この他にも、仮シートで保護する方法には次のような問題がある。
・貼付箇所が軟質で粘着性の低い有機材料や多孔質膜で形成されているとシートが貼り付かない。
・シートは廃棄されるため無駄になる。
・シート貼り付け時に気泡が入り込んだまま粘着されやすい。気泡が入り込んだ箇所は隙間が生じるため、ダイシング時にシートが剥がれたり、切削水や切りくずが入り込み内部の微細加工構造物へダメージを及ぼす。よって、気泡が入り込まないようにする対策が必要となる。
シートで封止された場合、環境気圧や温度変動により、シートは柔軟性があるため封止内部の容積が増減して、シートが剥がれたり、シートに凸が生じてダイシングの障害となったり、シートに凹が生じて内部の微細加工構造物を破損したりする。よって、シートに凹凸が生じないようにする必要がある。
すなわち、素子にパッケージとなる封止を施すのであるが、気密封止後に個片化し、気密封止を通気性を有するなどの封止(フィルタ装着)置き換える。素子に個片化した後でフィルタを装着することになるが、素子は熱容量を極限まで低減するために小型化されているため、封止接合箇所が小さくなるため気密封止が強固である必要があり、フィルタ装着に置き換えることは困難であるし、小型化によってフィルタ装着位置精度も得がたい。したがって、個片化の際に必要な気密封止に代わる、気密の性能を得るフィルタ装着であれば、個片化の際にフィルタ装着してあれば、置き換えが不要でフィルタ装着位置精度が得られる。
特許文献11の「レーザ加工方法」は、MEMSをダイシングするのに有効であるが、少なくとも外部応力を加えるため、破損や破片の発生に繋がる。また、特許文献11に開示されるダイシング技術は、ダイシングライン幅が大きく、ダイシングソーよりもコスト・ロスとなるし、シリコンウエハの内部の改質層の深さの制限で、ウエハ厚さの範囲が狭くなってしまう。
また、無機材料層のフィルタが形成されているウエハは個片化できるが、有機材料膜のフィルタを接着したウエハは個片化しにくい。
また、通常半導体生産ラインではこのような特殊なダイシング設備はまだ普及しておらず、適用するためには設備投資が必要となる。
したがって、素子に回路を混載することにも適していない。
素子は、環境に暴露されなければならないため、どのみちフィルタは形成する必要がある。
MEMS構造にフィルタを組み込むことに関する従来技術として、特許文献12〜15がある。
特許文献12に開示される「インクジェット記録ヘッドの製造方法、およびインクジェット記録ヘッド」は、MEMS加工構造であってフィルタが形成されているが、インク中のごみ、異物の侵入防止を目的としており、ダイシングとは関係ない。
特許文献13に開示される「圧力変換器」は、MEMS構造、音響透過フィルタ、装着する基板との温度順応性のための小型化について開示されており、電気接続方法などからウエハサイズパッケージが示唆されている。しかし、音響透過フィルタであり、ダイシング時に切削水からのダメージを防止する冷却水不透過の役割はなさない。
また、装着する基板との温度順応性のために金属被覆することが述べられているが、高精度のセンシングやユビキタスセンシングに必要な、周囲環境への温度順応性の向上のための通気性フィルタについて示していない。
特許文献14は、ダイシング時に切削水からのダメージを防止する冷却水不透過の役割を示していない。
特許文献15の「隔膜式センサ」は、微小化が目的であり、気液分離膜が撥水性外面と親水性内面とを有する多孔質であることを開示している。そして、電界液を注入する電解液収容溝の開口箇所があって、ダイシングを行う場合には電解液収容溝の内部にダイシングの破片などが残留してしまう恐れがある。
MEMS構造ではないが、センサにフィルタを組み込むことに関する従来技術として、特許文献16〜18がある。
特許文献16の「水素ガスセンサー」は、分離膜による気体のセンシングという目的は同一であるが、気体分離透過膜をセンサの外側を覆うように設置していて、半導体装置などを微細加工する方法によるものではないため、気体分離透過膜とセンサとの距離が離れている。
特許文献17の「ガスセンサ」は、小型化を想定した素子ではなく、セラミックガス選択性透過体と基板上の固体電解質とを接合した後、個片化することを示していない。
特許文献18の「シリコン製マイクロセンサ」は、素子の防水性のために撥水フィルタを組み合わせたものであるが、素子を小型個片化することを目的としていない。
特許文献19の「多孔蓋を有した気体センシングデバイス」は、使用環境のみの影響を解決することだけで、製造プロセスでダイシングによる小型に個片化するにあたり、特有の課題に対して考慮されたことを示してはいない。
さらに、分離機能が固体及び液体と気体との分離の機能だけである。
しかも、蓋がウエハ段階から形成されたものではない。多孔蓋の孔サイズが最も小さくできるフォトエッチングによっても、フォトレジストよりも孔径は大きく、せいぜいφ数100μmまでにしか小さくできない。また、板状多孔蓋は接着されるため、総計性によって量産性がすぐれ、高精度に形成する方法を示していない。
図23〜図25に、従来の素子の製造工程の流れを示す。
まず、Siウエハ3上に絶縁材料や感応材料、電気抵抗材料を成膜する(図23(a))。次に、感応材料や電気抵抗材料をパターニングして感応部1を形成する(図23(b))。続いて、フォトリソグラフによって、ボンディングパッド(電極パッド)とSiエッチング窓とを形成する(図23(c))。さらに、Siウエハ3をエッチングして空洞を形成する図23(d)。図26に、この段階までの処理が完了した時のウエハ3の状態を示す。また、素子レイアウトの隣接状態を図27に示す。
この状態でダイシングを行うと、空洞部に架橋する構造物(ここでは感応部1)に損傷を与えるため、これを防ぐために表面保護シートを貼り付ける(図24(a))。そして、チップ保持用ダイシングシート5をウエハ3に貼り付けてから、ダイシングラインに沿ってウエハ3をカットする(図24(b))。その後、ダイシングシート5からダイソートして個片化し、パッケージへダイボンドし、表面保護シートを剥離する(図24(c))。そして、素子をパッケージへ収納し、電極パッドとパッケージインナーリードとをワイヤボンディングした後、パッケージに通気性フィルタを装着する(図25(a)、(b))。最後に素子パッケージを回路基板へ実装する(図25(c))。
特公平4−1301号公報 特許第3402525号公報 (0004) 特開2006−303061号公報 (0001〜0013) 特開2006−173598号公報 特開2001−144117号公報 (0002〜0003) 特開平1−289265号公報 特開2005−096052号公報 (0004) 特開平11−173882号公報 (第1頁、図1) 特許第3572366号公報 (0008) 特開2004−349416号公報 (第1頁) 特開2006−114627号公報 (0038) 特開2000−94700号公報 (第1頁、図3) 特表2003−508997号公報 (0005〜0011、0018、0029) 特開2007−28671号公報 (0040、0042) 特開2001−281204号公報 (0012、0028、0032、図1、図3、図4) 特開2007−047124号公報 (0030、図2) 特許第3885357号公報 (0040、図1) 特開2004−93470号公報 (0061) 特開2006−153782号公報 (0006、0009、0015、0019) 特開2004−24551号公報 http://www.mew.co.jp/mems/wafer/
近年、ユビキタスセンシングと呼ばれる情報処理手法では、センサが任意の多数箇所に必要となっている。
環境計測にユビキタスセンシングを適用し、環境計測センサの設置箇所が多数となれば、環境情報の分布や挙動情報が解明できることとなる。例えば、より正確な環境影響評価、環境変動予測や、最適な環境制御が可能となる。
そこで、環境要素のうち、環境雰囲気の成分、圧力、流れ、粘性、温度や湿度などを測定するに当たっては、熱力学的挙動として説明されるように、これらは温度依存性があり、熱影響があれば変化する。
しかし、環境要素をセンシングする上では、計測センサの保有する熱的性質からの影響を受けることは免れないため、センサ自身の存在によって環境に影響を与え、センサの設置によって環境要素の状態が変化してしまうと、正確に計測できない。すなわち、環境要素をセンシングする上では環境へ低侵襲でなければならない。
逆に、環境の状態が変化しないようにセンサや設置条件を限定すると、どこの箇所にも設置し計測しようとするユビキタスセンシングにとっては障害となる。
また、センサの検出部の温度依存性による計測値への影響も考慮しなくてはならない。センサの検出部がセンサの周囲環境と異なる温度では、周囲環境の温度における測定値ではない。
このため、センサの検出部は周囲環境温度と同じようになることが必要であり、周囲環境に迅速になじめるように熱容量が小さく、流動抵抗を小さくしなければならない。
そのためには、特許文献1のような形態ではなく、センサのサイズが極限まで小さく、センサのエネルギー放散量も極小さくして計測しなければならない。
すなわち、急速に変動する周囲環境へのセンサの熱応答が迅速であっても、部品が多くパッケージサイズが大きいので、熱容量が大きく、パッケージの熱応答が緩慢になり、環境流動性の点で迅速になじめるような構造ではなく、その影響を受けてしまい正確に測定できない。
そこで、素子を小型化するととともに、熱容量の大きなパッケージを不要にしなければならないため、特許文献2に示すように素子を小型化する必要がある。しかし、部品を減らして寸法を小さくすると、フィルタを設置する上で高精度が要求されることとなる。
また、素子は小型化すると封止に対する微細加工精度も求められるため、素子寸法で制限される特許文献3、4や非特許文献1のように、ウエハ段階で素子寸法のパッケージ(WLCSP)が有効である。
しかし、素子は環境との流通性を持たせる必要があるため、気密封止はされずに表面は露出させる必要がある。
このことが、ウエハプロセス段階でダイシングによって個片化されるに当たって損傷を受けやすいことから、特許文献6〜11に示すように、損傷から保護する種々の工夫が必要となる。
一方、素子表面を暴露させる素子で、フィルタが形成されている従来技術として、特許文献12には、インク中のごみや異物の進入を防止するフィルタが形成されているが、ダイシングとは関係がない。
特許文献13は、フィルタの役割は音響透過のみであり、ダイシング時に切削水からのダメージを防止する保護機能や、冷却水不透過機能を示してはいない。また、フィルタは基板との温度順応性を示しているが、周囲環境と順応させるため、及び周囲環境変動を迅速に取り入れるための通気性フィルタは示していない。
特許文献15は、ダイシング時に切削水の侵入を妨げるように、開口箇所が塞がれている必要がある。
特許文献16は、半導体微細加工技術を用いた寸法精度で、気体分離透過膜とセンサとの距離を近接させる必要がある。
特許文献17は、素子を個片化するための構造を示していない。
特許文献18は、素子を小型個片化するための構造を示していない。
素子は小型であってパッケージの部品の点数が少なく、不要部を削除する必要があるため、ウエハレベルでパッケージにすることが望ましい。この場合、半導体装置の既存製造装置に組み込むため、特別な工程や部材を加えずに素子の小型個片化が行えるようにしなければならない。少なくとも、通常のLSIやC−MOS製造工程に用いられるダイシングソーで個片化できるようにすることが好ましい。
ダイシングソーで個片化する場合、発生する熱の冷却や切削片を排除し潤滑させるための切削液や切削ゴミが生じる。素子は、脆弱な構造、性質であるので、ウエハをダイシングする際の切削や分割によるダメージを防止するために保護フィルタが必要である。
なお、特許文献12のような切削液を用いないレーザダイシングの場合でも、エキスパンド分離で発生する破片や、ピックアップ時の表面損傷を回避する必要があるため、フィルタをあらかじめ設置することが好ましい。
また、素子は小型化されるため、この保護フィルタとウエハとの接合面積が小さくなる。このため、接合強度が大きくなければ、ウエハをダイシングしている最中にフィルタが剥がれてしまう。
加えて、ウエハをダイシングした後で使用目的(環境要素の計測)の機能を持つフィルタを接合する方法では、素子は小型化されているので、精度、均一性が困難であり、接合強度も十分に得られず、手間も多大である。
フィルタを接着剤や接合部材で接合する場合、ウエハとフィルタとの接合部は小さいので、接合部の気泡混入で強度低下が起こるのを回避しなければならない。
製造工程でフィルタを形成する段階は、素子の製造工程に適合し、形成する箇所はより効果があることが望ましい。
ダイシングソーで個片化する場合、残留物がないように十分に洗浄する必要がある。
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、表面が暴露された素子に、損傷から保護できるようなフィルタ構造を形成させ、例えば透湿防水フィルムをウエハに接着することによって、冷却水を用いるダイシングで損傷なく、WLCSPを完成させ、小型化したユビキタスセンサを実現することにある。換言すると、ユビキタスセンシングのための、熱容量の低減や省スペースの小型の半導体素子及びその製造方法、並びに半導体装置を提供することを目的とする。
また、さらに種々の分離検出機能を持たせたり、特許文献20に開示されるような装置への適用に適した小型の素子を実現する。
上記目的を達成するため、本発明は、第1の態様として、半導体製造プロセスを用いて形成された機能部を有する半導体素子であって、機能部を覆うように選択透過性フィルタが形成されたことを特徴とする半導体素子を提供するものである。
本発明の第1の態様においては、選択透過性フィルタは、液体又は気体の特定成分を透過することが好ましい。また、選択透過性フィルタは、半導体製造プロセスを利用してフィルタ層として形成されることが好ましい。また、選択透過性フィルタは、異なる成分を分離するフィルタを2以上組み合わせて形成されていることが好ましい。また、選択透過性フィルタは、素子表面及び裏面の少なくとも一方の空洞部、又は素子を貫通する空洞部の開口部を覆うことが好ましい。また、選択透過性フィルタと素子との接合部材は、感光性樹脂材料の感光によって形成されたパターンであることが好ましい。また、機能部は、物理化学反応機構を有するか、3次元立体構造であるかの少なくとも一方であることが好ましく、これに加えて、機能部は、圧力センサ、温度センサ、放射熱センサ、熱流センサ、雰囲気センサ、真空センサ、又はフローセンサであること、又は、機能部は、電解質溶液を形成した隔膜式センサであること、若しくは、機能部は、静電式又は熱式のマイクロスイッチ、マイクロリレー又はマクロメカニカルリレーであることがより好ましい。
また、上記目的を達成するため、本発明は、第2の態様として、上記本発明の第1の態様のいずれかの構成に係る半導体素子に、半導体製造プロセスで電気回路を組み込んだことを特徴とする半導体装置を提供するものである。
また、上記目的を達成するため、本発明は、第3の態様として、半導体製造プロセスを用いて形成された機能部を有する半導体素子の製造方法であって、ウエハレベルで機能部を覆うように選択透過性フィルタを形成したのちに個片化することを特徴とする半導体素子の製造方法を提供するものである。
本発明の第3の態様においては、選択透過性フィルタは、液体又は気体の特定成分を透過することが好ましい。また、選択透過性フィルタを、半導体製造プロセスを利用してフィルタ層として形成することが好ましい。また、選択透過性フィルタを、異なる成分を分離するフィルタを2以上組み合わせて形成することが好ましい。また、選択透過性フィルタを、素子表面及び裏面の少なくとも一方の空洞部、又は素子を貫通する空洞部の開口部を覆うように形成することが好ましい。
本発明によれば、ユビキタスセンシングのための、熱容量の低減や省スペースの小型の半導体素子及びその製造方法、並びに半導体装置を提供できる。
〔第1の実施形態〕
本発明を好適に実施した第1の実施形態にかかる素子について説明する。
図1に本実施形態にかかる素子の構造を示す。なお、従来と同様の構成要素は同じ符号を用いて示す。この素子は、微細構造部である感応部1がフィルタ2によって隠蔽された構造である。フィルタ2は防水通気シートであり、気体は透過するが液体は透過させない性質を備えている。
図2に、本実施形態にかかる素子の製造工程の流れを示す。図3、図4に、製造工程の各段階における素子の状態を示す。
成膜、パターニング、フォトリソグラフ、エッチングまでの工程は従来と同様である。
空洞が形成されたウエハ3に対して接着層4を形成する(図3(a))。
接着層4は、感光体樹脂材料を用いて光学的プロセスによって所定の形状のパターンとして形成されることが好ましい。フィルタ2が感応部1に接触すると特性に影響を与えるため、感応部1との距離を確保するために、フィルタ2と基板表面とを接着する接着層4はある程度(例えば10〜100μm)の厚さとすることが好ましい。
メンブレンフィルタをウエハに接合する構成の場合、半導体微細加工技術に多少の付加的工程が必要となるため、より小型の寸法で接合するためには、平面性、平行度、設置位置精度や接合剤の形成条件に高精度の管理が必要となる。
これには、接合剤を用いた接合では精度が得にくいという問題がある。すなわち、フィルタの接合箇所は、素子内部に水や切削ゴミを侵入させないようにしなければならないため、精度良く、接合強度を大きくしなければならない。
特許文献8や9には、保護の目的で個片化後に容易に除去できる仮止めの粘着性シートを貼り合わせる場合が示されているが、センサ寸法を小さく個片化するには貼り合わせ面積が小さいために粘着性だけでは個片化時の衝撃で剥がれてしまい、保護できなくなるという課題がある。
フィルタ2の接合強度は、仮止めではなく残留させる程度の強度や耐久性が必要である。また、素子とフィルタ2との接合部は小さいので、精度良く均一に高い接合強度で接合しなければならない。そして、接合箇所に気泡が入り込まないことが必要である。また、フィルタ2の凹凸が生じないように平面にしなければならない、さらに、フィルタ2の気体透過量は下記式1に示す関係にあり、気体透過量が多いほど熱交換においても検出においても好ましい。しかし、気体種類に対して気体透過係数が小さいフィルタ材料で、フィルタ膜が厚く、圧力差が無い場合には、気体透過量が小さくなってしまう。
(式1):気体浸透量=(気体透過係数)・{(気体の圧力差)・(面積)・(時間)/(膜の厚さ)
よって、接合部の形状精度を高めて、接合部をより狭くすることによって素子の小型化を行い、ユビキタスに適用できるようにする。接着層4は、感光体樹脂材料を用い、光学的プロセスによって所定の形状に形成することが好ましい。エポキシ系接着剤は強固な接着力、耐熱性、耐環境性が優れていて、さらにパターンの形成に当たっては、感光性を有するエポキシ樹脂(化学増幅型フォトレジスト)が、ウエハ上の接合箇所へフォトレジストパターニングによって形成されるため、精度が高いだけでなく、半導体微細加工プロセスに組み込める。なお、回路と集積化する際に、回路領域も樹脂封止できる。
そして、接着層4を介してフィルタ2をウエハ3に貼り付ける(図3(b))。なお、図3(c)に示すように、フィルタ側に接着層4を形成し、これをウエハ3に貼り付けても良い。
フィルタ2は、素子に接合された「膜」か、素子に積層された「層」であって、フィルタとしての機能を有する。防水通気機能を有する公知の有機高分子(ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンなど)の膜を延伸することによって多孔構造とした膜や、多孔質膜へフッ素系の撥水剤で気液分離機能を付与した膜や層などが用いられる。
なお、無孔質であっても、気体の透過係数とフィルタの性能との組み合わせとなるため、必ずしも多孔質である必要はない。無効質のように透過係数が小さくても、検出部と近接して形成できるため、迅速に高感度の検出が可能となる。
フィルタ2は、利用目的に応じた機能を持つものであって、有機材料からなるメンブレンフィルタや、無機材料を多孔質化した特定の物質の透過性能を有する。
フィルタ2(防水通気シート)の防水性能は、ウエハ3をダイシングする際、ダイシングソーを冷却する冷却水の素子への影響を防ぐ役割を果たす。
ウエハ3にフィルタ2を接合する手段としては、有機材料からなるメンブレンシートの場合、接合箇所に接着剤を介して接着しても良いし、接合箇所に接着剤を配置せずに、ホットメルトしても良い。
フィルタ2を貼り付けたのち、チップ保持用のダイシングシート5をウエハ3に貼り付け、ダイシングラインに沿ってウエハ3をカットする(図3(d))。以後の工程においては、従来の製造工程のように表面保護シートを除去して通気性フィルタを接着する必要は無く、フィルタ2が残留するため、ダイシングシート5から分離した段階で図4(a)に示すようにパッケージとして完成される。よって、これを図4(b)に示すようにプリント基板へ実装可能である。
なお、パッケージとして動作させるためには、素子外部と電気的に連結できなければならないため、接着層4を形成するまでにはんだバンプ6を形成しておく必要がある。
素子が小型でフィルタの接着面積を十分に確保できない場合や、素子の電極パッドがフィルタの形状加工寸法精度に適さない場合には、図5(a)〜(c)及び図6(a)、(b)に示すように、電極パッド(換言すると、外部との電気的接続のための領域)を除く全面にフィルタ2を接着してもよい。この場合には、素子外部との電気的連結箇所(電極パッド)を確保するにあたり、フィルタ2はフォトエッチングなどの半導体加工技術を用いて高精度に形状加工すればよい。
素子は脆弱な構造・性質であるので、本実施形態においては、ダイシングソーを用いたダイシングでの損傷回避のために、素子内部に冷却や潤滑のための切削液や切削ゴミを侵入させない不透液性のあるフィルタとしてフィルタ2を形成した。フィルタ2は、ウエハ段階で形成し、フィルタ2ごとダイシングして小型個片化した。ダイシングでの影響回避のためのフィルタ2は、個片化後も付け替えられること無く残留し、後の使用目的(環境要素の計測)のための機能(通気性など)も備えている。すなわち、上記のように本実施形態では、表面保護及び環境要素計測の両機能を備えたフィルタ2をウエハレベルで形成している。
素子へフィルタ2を形成するに当たり、少なくとも個片化する前までにウエハ3にフィルタ2を形成する。この際、フィルタ2は少なくとも微細構造部(感応部1)を覆うように形成する。すなわち、フィルタ2の形成されるべき箇所は、ウエハ3に形成された脆弱でデリケートな箇所を完全にカバーする領域である。また、フィルタ2は、外部との回路接続のための電源供給、信号入出力のための電極領域には形成しない。
フィルタ2は、感応部1及び空洞部を開口無く覆い、電極パッドを覆わないように形成する。なお、ダイシングラインは覆っても覆わなくても良い。
特許文献13では、圧力変換器の音響学的に透過する材料からなる可撓性シートは、第一開口部との接合仮称が面や線になっておらず、十分な接合強度が得られない。フィルタの接合強度を高めるには接合面積を大きくすれば良いが、素子を小型化すると接合面積を確保するのは困難となる。また、ウエハに形成した脆弱でデリケートな部分(感応部)にはフィルタを接合できない。
製造フローにおいてフィルタ2を形成するステップはダイシングで個片化する直前であることが好ましい。これは、機能箇所の加工が終わる前にウエハ3にフィルタ2を形成すると、機能箇所の加工条件が狭められてしまい、構造や形状設計内容に制約を生じてしまうためである。
一方、ウエハ3を個片化した後にフィルタ2を形成するようにすると、接合位置精度が得られない上に、強固で均一な接合強度を得ることが困難となる。
したがって、素子に分離する前にウエハ3全面に平滑な連続膜状のフィルタ2を接合する。
フィルタ2の接合に当たっては、粘着剤よりも接合強度が大きい永続的な接合力が維持できる材料を選定することが好ましい。
フィルタ2の材質は、接合部での気泡混入によって接合強度が低下することを防止するため、気泡を逃がせるように通気性のあるものを選定する。すなわち、フィルタ2は不透液性且つ通気性を有する。フィルタ2が通気性を有するため、接合箇所に介在する気体が気泡として残留することはない。通気性能は、接着時に気泡を逃がして強固な接着力を生み出すとともに、フィルタ2で閉塞された内部空間の圧力を外部と同一にできるため、内部空間内の気体の膨張や収縮がなく、表面が平坦となるため扱いやすく、内部構造の破損も発生しにくい。
フィルタ2は、素子が半導体微細加工によって製造される同一の工程に組み込む便宜性もあり、ダイシングにおいて表面保護のための防水性を有し、ダイシング以降の工程での表面保護、及び実用に際しての通気性を有するフィルタ2をウエハレベルで一体化(層構造化、接合、接着)し、ウエハ段階で装着してから素子に個片化する。
個片化された素子はフィルタ2の接合面積が小さいため、確実にフィルタ2が接合される必要があり、接合箇所の精度が高い必要がある。また、強力な接合強度が必要であり、再剥離を考慮する粘着剤での接合では不十分であるため、フィルタ2を強力な接合強度で永久に残置する必要がある。このため、ウエハ3にフィルタ2を形成して個片化する上で必要な要件と、フィルタ2を残置する上で必要な要件との組み合わせが必要である。
なお、冷却水を必要としないレーザダイシングの場合はフィルタ2に防水性は必要とならないが、個別化後のチップソータによるピックアップから表面を保護する必要があることに加え、微小なフィルタ2を個別化の後に接合することは困難であるから、表面の保護及び使用目的に適した種類のフィルタをレーザダイシング前に形成しておく。
気体や液体の熱伝導率を、気体や液体との熱伝導量として検出測定する(熱伝導検出原理を有する)センサ、ガス種の選択性を有する触媒反応や導電性変化を有する機構によって検出するガスセンサ、赤外線放射量を熱電変換又は導電材料の温度係数依存性によって電気抵抗値の変化として得る熱線センサ、気体の静電容量や気体を吸着し、静電容量が変化する機構の気体センサなどの素子や、MEMSマイクロマシン、マイクロセンサ、マイクロアクチュエータと呼ばれるものがある。
環境要素をセンシングすることにおいて表面反応を行うため、表面が感応膜や触媒などで構成されている脆弱な構造、性質の素子は、ダイシング時や使用時に保護される必要がある。
3次元の立体構造物を形成するMEMS素子も、脆弱な強度や複雑な構造部へのゴミの付着にデリケートなので、形成後の表面の洗浄や接触は、損傷、変質、劣化に繋がるため回避する必要がある。
さらに、素子をピックアップする際などの素子への接触時に表面を保護する必要がある。
これらは設置されるそれぞれの環境要素に温度依存性があり、また、センサやMEMS自身の温度状態によって特性に影響がある。
半導体微細加工によって均一に大量生産される小型の素子のうち、製造工程でダイシング等の外力や冷却剤、切削屑から保護が必要なもの、及び使用時に気密封止せず且つ表面が破損・変質しやすい性質を有するセンサや能動機能を有するものにフィルタ2を設置してWLCSPを行っている。
センサなどの素子やMEMSは、脆弱な構造、性質の素子であるので、ダイシング前にフィルタ2を設置してWLCSPを行っている。このフィルタがピックアップ時に素子表面を保護する。
また、センサなどの素子やMEMSは、設置されるそれぞれの環境要素に温度依存性があり、また、センサやMEMS自身の温度状態によって特性に影響がある。従って、センサやMEMSは熱容量を低減するために小型化する必要があり、検出部の温度順応性が迅速になるように、通気性を備えている。
WLCSPでフィルタ2を形成することにより、脆弱な構造・性質の素子が半導体微細加工によって均一に大量生産でき、小型化でき、設置自由度も高まる。
素子は製造時も使用時も損傷を受けにくくなるとともに、小型で通気性を備えることによって、周囲環境温度が急速に変化しても迅速かつ正確に測定できる。また、温度依存性を高精度に補償できる。
〔第2の実施形態〕
本発明を好適に実施した第2の実施形態について説明する。製造工程の流れは第1の実施形態と同様である。図7に本実施形態にかかる素子の構成を示す。本実施形態にかかる素子は、フィルタ2が素子の裏面側に配置された構造である。
本実施形態にかかる素子の製造工程について説明する。図8、図9に、製造工程における素子の断面構成を示す。成膜、パターニング、フォトリソグラフまでの工程を従来と同様に行った後に、基板を貫通するようにエッチングを施す(図8(a))。そして、ウエハ3の裏面(電極などの基板外部との電気的な接続のための領域が存在しない側の面)に接着層4を形成する(図8(b))。その後、フィルタ2を接着層4を介してウエハ3の裏面に貼り付ける(図8(c))。それから基板表面側にチップ保持用ダイシングシート5を貼り付け、ダイシングラインに沿ってウエハ3をカットする(図8(d))。ダインシングが完了したらダイシングシート5から素子を取り外してチップソートする(図9(a))。最後に、素子をプリント基板へ実装する(図9(b))。
フィルタ2を素子の裏面側に配置させる構造は、フィルタ自体の形状やフィルタの形成方法が簡単であるだけでなく、接合面積を大きく確保できるため、素子をより小型化することが可能となる。また、電極などの基板外部との電気接続のための領域がない、貫通空洞の素子構造の裏面にフィルタ2を形成することにより、ウエハ3に形成した脆弱でデリケートな箇所から遠い部分でフィルタを接合できるので、接合の際に感応部1にフィルタ2が接触する恐れも無く、接合面積を大きく確保できる。
また、平面を平滑なフィルタ2で覆うことになるため、ダイシングの洗浄が十分に行え残留物がない。
なお、レーザダイシングによる場合でも、エキスパンド分離で発生する破片や、ピックアップ時の表面損傷を回避する必要があるから、防水機能を備えていなくても良いからフィルタ2を設置することが好ましい。
このように、本実施形態によれば、ウエハ3を素子へダイシングする前に、構造体を防液性フィルタであるフィルタ2で覆うことにより、ダイシングによって構造体が破損することがない。
また、同時にパッケージとして実装できるウエハレベルパッケージを実現できる。
また、パッケージのための特別なプロセスや装置が不要であるため、通常の半導体装置の製造プロセスで扱うことができ、回路の混載が可能である。
これにより、素子サイズ、パッケージサイズをより縮小でき、ユビキタスに設置できるデバイスを実現できる。
〔第3の実施形態〕
本発明を好適に実施した第3の実施形態について説明する。
特定環境要素にのみ感応する構成要素をセンシング部材として付与したセンサや、特定物質成分にのみ感応する感応基をセンシング材料として付与したセンサは、それぞれの特定対象に対応して、感応部がより微細でデリケートに作り分ける必要がある。
しかし、このような微細でデリケートな加工は困難な作業であるため、センサの製造コストが高くなってしまう。
よって、本実施形態では、種々の対象に感応する汎用性能のセンサに特定対象への選択的な検出機能を持たせたセンサについて説明する。
本実施形態にかかる素子の構成は、第1の実施形態と同様である。ただし、フィルタは、特定対象である特定成分を透過又は分離する性質を備えた材質で形成されている。
すなわち、本実施形態においては、フィルタは、切削水は透過せず空気は透過する機能の他に、気体は透過して液体は透過しない機能や、特定の成分の気体分離機能を備えている。
例えば、液体を遮断する機能は、ポリテトラフルオロエチレンを延伸加工して多孔質化した膜を防水通気フィルタとして適用することで実現できる。この膜は、気体透過性にも優れている。
また、フッ素系樹脂に限らず、シリコーン変性ポリマー、ポリスルホン−シリコーン、変性ポリスルホン、ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、セルロースアセテート、微多孔質ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエステル系熱可塑性エラストマー樹脂などを適宜選定できる。
液体を遮断できない材質に撥液性を付与する他の方法としては、フッ素系樹脂をスプレーコーティングしたり、プラズマ改質処理したりする方法を適用できる。
少なくとも片面は液不透過性を備えた又は付与したフィルタで、気体の特定成分を分離するフィルタを覆うことにより、二重構造のフィルタとしても良い。
これらのフィルタによって、液中やミスト中の気体、さらに溶存気体を検出する機能を汎用のセンサに付与できる。
上記の例の他に、以下のような分離機能を有する膜があり、これらを適宜適用できる。
水素吸収性ポリマー触媒混合膜、水素選択透過性ポリイミド膜、炭酸ガス分離用ポリエーテルスルホン非対称膜、CO分離高透過性ポリイミドガス分離膜、酸素透過性シリコン含有ポリアミド膜、気体透過性シロキサン変性ポリイミド膜、水蒸気透過性無孔型ポリエステルポリエーテル樹脂、無孔型親水基導入ポリウレタン膜、ガス選択透過性高分子/液晶複合超薄膜、酸素選択透過性ケイ酸スチレン高分子膜、炭化水素分離用ポリスルホンゲル複合膜などをフィルタとして形成する。
また、他の環境雰囲気成分と分離し、ガス種の特定と濃度検出とを目的として、亜硫酸ガス、一酸化炭素ガス、硫化水素ガス、窒素酸化物ガス、ダイオキシンガスなどの有害ガス分離膜、メタン、ブタン、アルコール、水素、酸素などの燃料用ガス工業用高圧ガスの取り扱い安全性における漏洩検知のためのガス分離膜、固体高分子膜燃料電池の改質器や電池セル内のアルコール濃度測定において、アルコールを抽出する水−アルコール液体分離膜などをフィルタとして形成する。
これらのフィルタを素子に形成する方法としては、ウエハに層形成する方法やウエハに接合する方法がある。ウエハに接合する方法としてはフィルタメンブレンシートを接着するか、有機材料のように低融点の材料であれば、ホットメルト法でウエハに接合する。
また、目的に応じて、多種のフィルタを組み合わせて多重形成しても良い。
以上のように、特定気体成分濾過によってガス検知や分析を行うセンサや、特定成分を輸送するアクチュエータとして微量な特定成分を輸送するマイクロ化学システムチップや、燃料電池内の水蒸気加湿した状態の水素濃度や一酸化炭素濃度を測定する燃料電池の制御センサに適用できる。
本実施形態にかかる素子は、小型で均一に製造されることにより、被検体の状態を変化させにくく、迅速かつばらつき無いことに加え、複数設置するのにも好適である。
また、特定成分が、他の成分と比較して、特性を検出する際差が少ない場合、特定の成分を分離するフィルタを透過させることによって、高精度の検出が可能となる。
また、小型で、フィルタと検出部とを近接させられるため、透過量の小さい成分でもフィルタ内外差圧が小さくても迅速に検出できる。
さらに、迅速に検出できるため、多層にフィルタを設置することによって高精度の弁別性能が得られる。
〔第4の実施形態〕
本発明を好適に実施した第4の実施形態について説明する。
上記第3の実施形態にかかる素子のフィルタは、メンブレンシートを接合させるため、半導体微細加工技術に多少の付加的工程が含まれることとなり、より小型での寸法で接合させるためには、平面性、平行度、設置位置精度、接合剤の形成条件に高精度の管理を要する。
ホットメルト法でウエハに接合する場合には多少緩和されるものの、接合剤を用いる場合には精度が得にくいため、接合剤を用いない構造が望ましい。
このため、本実施形態にかかる素子は、半導体微細加工技術を用いて形成されたフィルタを備える。すなわち、フィルタを接合するのではなく、ウエハ上に形成する。
フィルタは、防水、撥水、気液分離や特定気体成分分離などの機能を備える。
ウエハ上にフィルタ層を形成する方法として、シリコンウエハをフッ化水素酸溶液中で陽極酸化すると、表面に黒色〜茶色の膜が形成され、局所的な電気化学溶解反応でシリコンウエハ表面が多孔質シリコン化される。
また、ウエハ上にAl膜を形成し、陽極酸化法によって多孔質化することもできる。
他にもフィルタ層の形成においては、ゾルゲル法による多孔質層、セラミックス焼結による多孔質層や、陽極酸化法による多孔質層や、水素透過性パラジウム−多孔質ガラス複合膜のような形成法も適用可能である。
さらに、多孔質層表面にフッ素化合物などをコーティングしたり、プラズマ改質処理を行って、撥水性や防水性を付与する。
用途、目的、便宜性に応じて、必要であれば複層構造としても良いし、さらにメンブレンシートを接合しても良い。
フィルタ形成後、ダイシングし個別化することでウエハレベルパッケージが完成する。
なお、ここではウエハにフィルタ層を形成した場合を例として示したが、フィルタ層を形成した他の部材をウエハに接合しても良い。
多孔質層ではなく無孔質層であっても、フィルタとして機能するものもある。例えば、水素分離用バナジウム合金膜、水素選択透過膜であるポリイミド膜はフィルタとして適用可能である。特に、感光性ポリイミド膜は微細加工性に優れている。
これらのフィルタは集積した複数の弁別機能を有するガスセンサに有効である。
本実施形態にかかる素子の製造工程について説明する。図10に、本実施形態にかかる素子の製造工程を示す。成膜、パターニング、フォトリソグラフまでの工程を従来と同様に行った後に、Siウエハ3の裏面に多孔質Si層7を形成する(図10(a))。そして、Siをエッチングして貫通空洞8を形成する(図10(b))。
この例はSiを陽極酸化する方法であるが、基板の裏面にAl膜を成膜して陽極酸化する方法によって多孔質層を形成することもできる。この場合の製造工程の流れを図11に示す。成膜、パターニング、フォトリソグラフまでの工程を従来と同様に行った後に、Siウエハ3の裏面にAl(アルミニウム)層9を形成する(図11(a))。そして、そのAl層9を陽極酸化して多孔質Al層10とする(図11(b))。その後、Siをエッチングして貫通空洞8を形成する(図11(c))。
また、次のように、感光性樹脂を光造形することによって多孔質層を形成することもできる。この場合の製造工程の流れを図12に示す。成膜、パターニング、フォトリソグラフまでの工程を従来と同様に行った後に、Siウエハ3の裏面に感光性樹脂層11を形成する(図12(a))。そして、Siをエッチングして貫通空洞8を形成する(図12(b))。その後、感光性樹脂と貫通空洞とが接する箇所の感光性樹脂を光照射し、その部分の感光性樹脂層を多孔質化し多孔質感光性樹脂層12を形成する(図12(c))。
本実施形態にかかる素子は、通常の半導体微細加工プロセスを用いて大量生産が可能である。しかも、孔径をφ数nmまで小さくできるため、気体分子サイズレベルでの分離が可能である。
〔第5の実施形態〕
本発明を好適に実施した第5の実施形態について説明する。
本実施形態にかかる素子の構成は、第1の実施形態とほぼ同様である。ただし、図13(a)、(b)に示すように、本実施形態においては、異なる特定物質の分離機能をそなえた2以上のフィルタが組み合わされている。
特定環境要素にのみ分離させて検出する構成要素をフィルタ材料として付与したセンサを、より多種類の検出や、より高精度に検出できるように微細加工技術を工夫する余地がある。
よって、2種類以上の分離性能を組み合わせることによって、個別のフィルタ分離性能以上に、分離精度をより高めることができる。
分離性能の異なるフィルタをそれぞれに形成した素子を集積した素子は、例えば、A+B+C成分として空気全体の成分が構成されている場合、全ての気体成分を検出できる性能の感応部を設置し、B成分として水蒸気、C成分としてガスを分離するフィルタであると、空気中の水蒸気、ガス成分をそれぞれ分離して測定できる。これにより、集積した複数の弁別既往を有するガスセンサを実現できる。
本実施形態にかかる素子は、特定成分を検出する際、他の成分と特性に差が少ない場合、複数設置することによって異なる成分を分離するフィルタを複数組み合わすことによって、他の干渉成分を排除し、高精度の検出が可能である。
小型で均一に製造されることにより、被検体の状態を変化させにくく、迅速且つバラツキ無く測定が可能であり、複数設置するにも好適である。
なお、ここでは第1の実施形態とほぼ同様の構成である場合を例として説明したが、他の実施形態と同様の構造で複数のフィルタを組み合わせても良いことはいうまでもない。
〔第6の実施形態〕
本発明を好適に実施した第6の実施形態について説明する。
図14(a)に、本実施形態にかかる素子の構成を示す。この素子は検出部としてサーマルフローセンサを備えている。
ウエハ3の表面と裏面とにフィルタ2を形成し、貫通空洞内に設置された感応部1によって表面及び裏面のフィルタ2を透過して本流と平行分流して空洞内を通過する流体の流速を検出する。
また、図14(b)に、本実施形態にかかる素子の別の構成例を示す。この素子は先の例とほぼ同様の構成であるが、Siウエハ3同士が背中合わせに貼り合わせられており、感応部1を二つ備えている。
さらに、図14(c)に本実施形態にかかる素子のさらに別の構成例を示す。この素子は、フィルタ2を透過して本流と平行分流する流体の流速を、ウエハ3表面に形成された凹部に設置された感応部によって検出する構成である。
サーマルフローセンサは、特に高流速を測定する場合では、検知部の熱特性を変化させるゴミの付着確率が高く、また、高流速域に対して検出分解能が低下するため別途バイパス構造を設置してその低流速を計測する必要がある。
しかし、本実施形態にかかる素子は、フィルタ2が装着されているため、高流速箇所に設置してもバイパスと同じようにフィルタ2を通過する流れは低流速となり、高流速域に対して検出分解能が低下することがない。しかも、バイパス構造が不要である。さらに、フィルタ2によって流れが層流となるため、整流機構も不要となり、設置自由度が広がる。
なお、ここではサーマルフローセンサを例として説明したが、環境雰囲気をセンシングする際に表面反応を行うため、表面が感応膜や触媒などで構成されている脆弱な構造、性質の素子としては、気体・液体の圧力を検出測定する圧力センサ、温度・湿度・ガス・真空度・流速などを検出測定する雰囲気センサがある。
静電容量型温度センサであれば、吸湿性、水溶性のポリマーが表面に形成され、ガスセンサであれば多孔質の触媒が表面に形成されている。これらの表面は脆弱な性質であり、形成後の表面の洗浄や接触は損傷、変質、劣化の原因となるので回避する必要がある。よって、静電容量の変化に応じて検出する温度センサや変位センサは、電解質膜などの水溶性、吸湿性表面なので、ダイシング時だけでなくセンサ使用時においても汚染物質が付着したり結露したりすることを防ぐため、防水透湿フィルタを設置すればよい。
また、ガスセンサにおいては、フィルタに検知部が近接設置できるため、分離透過して拡散する距離が短く、分離透過性の優れない成分でも迅速に高感度に検出できる。
圧力センサや加速度センサである場合も同様で、周囲雰囲気と同一にしておくために、温度順応性を迅速にする必要性がある。
気密封止された圧力センサや加速度センサは、周囲雰囲気と同一温度にして温度順応性を迅速にするために、素子にフィルタを形成して被検気体中に設置される。
焦電型赤外線センサは、赤外線吸収率を高めるために検知部表面を金黒微粒子で覆った表面であるが、脆弱な付着力であるため、洗浄や接触は避けなければならない。よって、赤外線センサや熱放射量検出器などは、フィルタを形成することによって吸熱作用を高める表面として多孔質の触媒や金黒で形成された黒体であるので、表面への付着力が小さく壊れにくい。
さらに、通常赤外線に透明なガラスやシリカ板で気密封止されているが、気密されているので周囲雰囲気が流通せず、温度のなじみが遅く、周囲温度に対する温度補正をする時は誤差となってしまう。よって、気密封止せずにフィルタを形成し、周囲環境と馴染みやすく通気性を持たせる方が良い。
〔第7の実施形態〕
本発明を好適に実施した第7の実施形態について説明する。
図15、図16に、本実施形態にかかる隔膜型センサの製造工程を示す。
まず、ウエハ3に電解液収容溝13と電極14とを形成する(図15(a))。次に、電解液収容溝13内に電解質15を形成する(図15(b))。そして、ウエハ3上に撥水性防水透湿膜であるフィルタ2を形成する(図15(c))。それからダイシングによって個片化する(図16(a))。そして、ウエハ3の温度を露点以下に所定時間保持し、結露量を制御してフィルタ2を通して水蒸気を溝へ導入する(図16(b))。これにより、電解質収容溝13内に収容されていた電解質15が溶解して電解質溶液16となり、隔膜式センサとなる(図16(c))。
液体を保持するガス透過膜、液体成分を分離するなど、液体分離膜を形成する構造の素子がある。例えば、ガス中の特定成分の濃度を湿式電気化学的に検出する代表的ガスセンサとして定電位電界式ガスセンサとガルバニ電池式ガスセンサがある。
しかし、特許文献15に開示されるように、電解液を注入する電解液収容溝の開口箇所があって、ダイシングを行う場合には電解液収容溝の内部にダイシングの破片などが残留してしまう可能性がある。
このため、本実施形態においては、注入開口部を設けずにフィルタ2で電解液収容溝13を覆っている。すなわち、電解液収容溝13の中に電解質15を固体形成した後でフィルタ2で封止し、ダイシングして個片化し、フィルタ2を透過させて水蒸気を電解質15に吸湿させて固体から溶液化させている。具体的には、電解質溶液をスプレー塗布やスピン塗布などで電解液収容溝13に収納し、次に膜接合に付着した電解質を除去し、電解質溶液を乾燥させて固体化し電解質15を形成する。その後、フィルタ2で封止し、ダイシングしたウエハ3又は個片化した素子群を露点以下に均一温度制御することによって、フィルタ2を通じて素子内部に水蒸気を透過、結露させ、電解質15を溶解させる。
定電位電解式ガスセンサは、電解液と被検ガスとの接触面にガス透過性の隔膜を設け、その隔膜の電解液側には作用極(検知極ともいう)が形成され、作用極に対し電解液を介して対極と参照極とが配置され、参照極の電位を基準として、これに対する作用極の電位が一定に保たれ、対極と作用極との間の電流によって被検ガス中の特定成分濃度が検出される。
低電位電解式ガスセンサは、一酸化炭素や硫化水素などの毒性ガスを測定する携帯用や一酸化炭素、硫化水素、半導体材料ガス、ハロゲン、オゾン、窒素酸化物、塩化水素等を検出することに優れる。また、ガルバニ電池式ガスセンサは、二つの電極(Pt−Pb)と隔膜、電解液で構成された電池の反応物質として酸素を利用した時に生じる反応電流を測定する。
この隔膜式ガスセンサは、採取した試料ガスを分析する計測器や、ガス中の特定成分濃度を制御する制御器や内燃機関や外燃機関からの排出ガス中の特定成分の濃度測定などに用いられる。
測定される特定成分としては、NO、CO、H2S、C25OH、C25SH及びHCHOなどの被酸化性ガス、NO2及びSO2などの被還元性ガスの他、O2、O3、C38、C818、H2などがある。
本実施形態にかかる隔膜式センサは、電解質溶液16を注入するための注入口そのものが不要であるため、当然のことながらその封止も不要である。しかも、細いシリンジやチューブ等を介して注入される液量よりもばらつきが小さく、適量に微量に調整できる。
電解質溶液を注入するための注入口が不要であるのでさらに小型化可能であり、拡散距離を短縮できるため迅速な応答性能を得られる。
なお、上記のガス検出だけではなく、燃料電池においては、ポリマー隔膜はガスを透過させることができるが、ガスが溶解している溶液は透過させないので、このポリマー隔膜をフィルタに用いることにより、ガス濃度を検出できる。
また、メタノールを用いた燃料電池においては、メタノール濃度測定が必要であるので、メタノールと水とを分離する隔膜を素子に形成することによって実現できる。
〔第8の実施形態〕
本発明を好適に実施した第8の実施形態について説明する。
図17、図18に、本実施形態にかかるRM−MEMSスイッチの製造工程を示す。
まず、ウエハ3に絶縁材料層17、犠牲層18、導電材料層19をパターン形成する(図17(a))。次に、フィルタ2を接着するために接着層4をパターン形成する(図17(b))。そして、犠牲層18をエッチング除去して空洞部20、リード21を形成する(図17(c))。その後、フィルタ2をウエハ3に接合する(図18(a))。それからダイシングによって個片化し、電気的接続を行い、不活性気体を充填した気密容器内に封入する(図18(b))。
図19に、ダイシングによって個片化した素子の状態を示す。説明の都合上、(a)フィルタが貼り付けられた状態、(b)フィルタを取り外した状態、(c)フィルタ及び接着剤層を取り除いた状態を示す。図示するように、個々のスイッチ(リード)素子は接着剤層によって通気性のフィルタ越しに隔離される。
気密容器内に充填された不活性気体の冷媒は、粘性が小さい気体であって、その中でも熱伝導率の大きい期待としてHeなどを用いる。
また、図20に示すように、スイッチ素子アレイ全体をまとめて不活性気体を充填気密した方が、気密性やガス圧の制御がしやすく、扱いが容易であり、歩留まり良く製造できる。
近年、高周波スイッチに関する技術が属する技術分野は、RF−MEMS(Radio Frequency Micro Electro Mechanical Systems)と称され、静電式マイクロスイッチ、静電マイクロリレーや熱式カンチレバー型マイクロリレーがある。
このようなMEMS構造の高周波スイッチは、微細な構造物の動作なので、熱影響が構造物の熱膨張変位を生じさせ動作状態を変化させる。
また、高速で動作させることによって熱を発生蓄積させるため、熱が蓄積するにつれて特性が変化する。
構造物がスイッチである場合には、接点抵抗値の安定性を維持するために、接点温度を制御する必要性がある。
温度を安定させるためには、発生する熱を運び出す必要があり、またできるだけ低温度にして抵抗値を小さくすることが好ましい。
また、この種の素子は、接点の酸化、接点間の放電生成物の付着、放電摩耗を減らすために、不活性気体を充填して気密封止されることが多い。
したがって、スイッチ素子をアレイ状に配列した場合、個々のスイッチ素子を多少なりとも発生する隣接するスイッチ素子からの放出物の影響を回避するには、個別に気密封止することが好ましい。
しかし、個別に不活性気体を充填した気密封止を行う上で、微小で高密度に配列された個々の素子を、歩留まり良く封止するのは困難である。
また、気密封止してしまうと、素子の外部に熱が運ばれにくい。
よって、本実施形態においては、気体透過性のあるフィルタ2でフィルタ内外の気流の循環を可能とし、熱交換を促進している。
温度制御に当たっては、比熱、熱伝導率の大きい液体冷媒を使用すると冷却効果が大きいが、液体冷媒は粘性が大きく、微小なスイッチの動作速度を遅くしてしまう。したがって、冷媒は粘性の小さい気体であって、その中でも熱伝導率の大きい気体を使用している。また、素子を複数アレイ状に配置すると、隣接する素子からの放出物の影響を回避しなければならないため、素子にカバーを形成している。この場合、素子個別に気密封止するよりも、スイッチアレイ全体をまとめて気密封止した方が、気密性やガス圧の制御がしやすく、扱いが容易である。素子個別に気密しないで冷媒を循環できる構造の方が冷却しやすいので、通気性を付与する。
スイッチ素子アレイに不活性気体が透過する通気性フィルタを形成することによって、素子の外部に熱が運ばれやすくなる。
本実施形態にかかるMEMSスイッチは、個々の素子に形成されたフィルタ2が防水性を持ち、ダイシングでの支障を回避できるのみならず、素子からの発塵物に対し、個々の素子はフィルタ2でカバーされているため、隣接する素子へのダメージを防ぐこともできる。気密封止であると、素子の外部に熱が運ばれにくいが、気体冷媒によってフィルタを通過して熱輸送されるため、冷却効率が高くなる。従って、フィルタを形成したことによって、MEMS構造物の損傷を保護できるだけでなく、動作速度を遅くさせることなく熱制御ができ安定した特性が得られた。
〔第9の実施形態〕
本発明を好適に実施した第9の実施形態について説明する。
図21(a)に、本実施形態にかかる素子のベアチップ構成を示す。このチップには、第1の実施形態と同様のフィルタを備えた素子と、メモリや比較、演算処理、出力変換、変換、タイマ、電源などの各回路とが混載されている。
素子とに回路等とを混載するために、フィルタを備えた素子は通常のLSIやC−MOS製造工程で形成されている。
少なくとも通常のLSIやC−MOS製造工程に特異な工程を持ち込まず、特別な工程や部材を加えずに、通常の製造工程のダイシングソーを用いた個片化が行えるようにすることで、素子の製造工程を半導体微細加工プロセスに持ち込める。これによって素子と回路とを混載でき、さらにユビキタスセンシングネットワークの機能を高めること可能となる。これにより、図22(b)に示すように、素子に検出部とともに駆動、検出、データ処理、及び信号出力などの機能を合わせた回路を組み込むことができ、且つ素子全体の保護もできる。
また、熱的バランスの向上や誘導ノイズの影響の低減、更なる高速化のために伝送距離の短縮も実現できる。
さらに、回路の領域のみを樹脂で気密封止できるため好適である。
また、検出部が温度センサである場合には、多量の付着物があると熱応答速度が緩慢となって正確な温度制御にならなくなってしまう。したがって、付着物がつきにくいフィルタ、具体的には汚染物質を分解する性質を備えたTiO2やZnOなどの金属酸化物触媒をフィルタに付加し、センサ部分だけでなくIC全体をフィルタで覆うことが好ましい。
このように、環境から多量に付着物が予想される用途において、特性に影響がある素子に対しても、フィルタを装着することによって環境影響を低減できる。
なお、上記各実施形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明はこれに限定されることなく様々な変形が可能である。
本発明を好適に実施した第1の実施形態にかかる半導体素子の構成を示す図である。 第1の実施形態にかかる半導体素子の製造フローを示す図である。 第1の実施形態にかかる半導体素子の製造工程における断面状態を示す図である。 第1の実施形態にかかる半導体素子の製造工程における断面状態を示す図である。 第1の実施形態にかかる半導体素子の別の製造工程における断面状態を示す図である。 第1の実施形態にかかる半導体素子の別の製造工程における断面状態を示す図である。 本発明を好適に実施した第2の実施形態にかかる半導体素子の構成を示す図である。 第2の実施形態にかかる半導体素子の製造工程における断面状態を示す図である。 第2の実施形態にかかる半導体素子の製造工程における断面状態を示す図である。 本発明を好適に実施した第4の実施形態にかかる半導体素子の製造工程を示す図である。 第4の実施形態にかかる半導体素子の別の製造工程を示す図である。 第4の実施形態にかかる半導体素子の別の製造工程を示す図である。 本発明を好適に実施した第5の実施形態にかかる半導体素子の構成を示す図である。 本発明を好適に実施した第6の実施形態にかかる半導体素子の構成を示す図である。 本発明を好適に実施した第7の実施形態にかかる隔膜式センサの製造工程を示す図である。 第7の実施形態にかかる隔膜式センサの製造工程を示す図である。 本発明を好適に実施した第8の実施形態にかかるRM−MEMSスイッチの製造工程を示す図である。 第8の実施形態にかかるRM−MEMSスイッチの製造工程を示す図である。 第8の実施形態にかかるRM−MEMSスイッチの構成を示す図である。 第8の実施形態にかかるRM−MEMSスイッチを不活性ガスを充填した気密容器に収納した状態を示す図である。 本発明を好適に実施した第9の実施形態にかかる半導体素子の構成を示す図である。 従来の半導体素子の製造工程の流れを示す図である。 従来の半導体素子の製造工程における断面構成を示す図である。 従来の半導体素子の製造工程における断面構成を示す図である。 従来の半導体素子の製造工程における断面構成を示す図である。 Siウエハをエッチングして空洞を形成した段階でのウエハの状態を示す図である。 素子レイアウトの隣接状態を示す図である。
符号の説明
1 感応部
2 フィルタ
3 ウエハ
4 接着層
5 ダイシングシート
6 はんだバンプ
7 多孔質Si層
8 貫通空洞
9 Al層
10 多孔質Al層
11 感光性樹脂
12 多孔質感光性樹脂
13 電解液収容溝
14 電極
15 電解質
16 電解液
17 絶縁材料層
18 犠牲層
19 導電材料層
20 空洞部
21 リード

Claims (16)

  1. 半導体製造プロセスを用いて形成された機能部を有する半導体素子であって、前記機能部を覆うように選択透過性フィルタが形成されたことを特徴とする半導体素子。
  2. 前記選択透過性フィルタは、液体又は気体の特定成分を透過することを特徴とする請求項1記載の半導体素子。
  3. 前記選択透過性フィルタは、前記半導体製造プロセスを利用してフィルタ層として形成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の半導体素子。
  4. 前記選択透過性フィルタは、異なる成分を分離するフィルタを2以上組み合わせて形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の半導体素子。
  5. 前記選択透過性フィルタは、素子表面及び裏面の少なくとも一方の空洞部、又は前記素子を貫通する空洞部の開口部を覆うことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の半導体素子。
  6. 前記選択透過性フィルタと前記素子との接合部材は、感光性樹脂材料の感光によって形成されたパターンであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の半導体素子。
  7. 前記機能部は、物理化学反応機構を有するか、3次元立体構造であるかの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の半導体素子。
  8. 前記機能部は、圧力センサ、温度センサ、放射熱センサ、熱流センサ、雰囲気センサ、真空センサ、又はフローセンサであることを特徴とする請求項7記載の半導体素子。
  9. 前記機能部は、電解質溶液を形成した隔膜式センサであることを特徴とする請求項7記載の半導体素子。
  10. 前記機能部は、静電式又は熱式のマイクロスイッチ、マイクロリレー又はマクロメカニカルリレーであることを特徴とする請求項7記載の半導体素子。
  11. 請求項1から10のいずれか1項記載の半導体素子に、前記半導体製造プロセスで電気回路を組み込んだことを特徴とする半導体装置。
  12. 半導体製造プロセスを用いて形成された機能部を有する半導体素子の製造方法であって、ウエハレベルで前記機能部を覆うように選択透過性フィルタを形成したのちに個片化することを特徴とする半導体素子の製造方法。
  13. 前記選択透過性フィルタは、液体又は気体の特定成分を透過することを特徴とする請求項12記載の半導体素子の製造方法。
  14. 前記選択透過性フィルタを、前記半導体製造プロセスを利用してフィルタ層として形成することを特徴とする請求項12又は13記載の半導体素子の製造方法。
  15. 前記選択透過性フィルタを、異なる成分を分離するフィルタを2以上組み合わせて形成することを特徴とする請求項12から14のいずれか1項記載の半導体素子の製造方法。
  16. 前記選択透過性フィルタを、素子表面及び裏面の少なくとも一方の空洞部、又は前記素子を貫通する空洞部の開口部を覆うように形成することを特徴とする請求項12から5のいずれか1項記載の半導体素子の製造方法。
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