JP2008297419A - 電子ディスプレイ用の粘着シート - Google Patents
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Abstract
【課題】赤外線カット染料の種類、または組み合わせに限定されることなく、高温高湿等の過酷な環境下においても赤外線カット染料の性能が低下しない粘着層を備えた粘着シートを提供する。
【解決手段】本発明の電子ディスプレイ用の粘着シートは、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に形成された赤外線カット染料を含有する粘着層とからなる電子ディスプレイ用の粘着シートであって、
前記粘着層が、複数種のモノマーからなる共重合体であるアクリル系ポリマーを主成分として含有し、
前記複数種のモノマーの少なくとも一つは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーであり、該(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを構成するアルキル基が炭素原子数5以上の環式構造を有する。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の電子ディスプレイ用の粘着シートは、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に形成された赤外線カット染料を含有する粘着層とからなる電子ディスプレイ用の粘着シートであって、
前記粘着層が、複数種のモノマーからなる共重合体であるアクリル系ポリマーを主成分として含有し、
前記複数種のモノマーの少なくとも一つは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーであり、該(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを構成するアルキル基が炭素原子数5以上の環式構造を有する。
【選択図】なし
Description
本発明は、電子ディスプレイに貼着できる電子ディスプレイ用の粘着シートに関する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、ブラウン管(CRT)、有機ELディスプレイ等の電子ディスプレイでは各種光学フィルムが積層されている。例えば、PDPでは、電磁波と内部に封入されたネオンガスに起因するオレンジ色のネオン光やキセノンガスに起因する近赤外線が発生する。電磁波は、人体や他の機器に悪影響を及ぼすことになる。ネオン光は、画像の色再現性を低下させる。近赤外線は、例えば、リモコン、ワイヤレスヘッドホン等のワイヤレス機器を誤作動させたり、ノイズを発生させたりする。さらには、画面への外光の映り込みにより画像が見えにくくなる問題がある。
このため、上記のとおり電磁波、近赤外線、またはネオン光をカットする機能を持つ各種光学フィルムが積層され、さらには、反射防止(AR)用の光学フィルムが最表面に貼着されている。
このような光学フィルムの積層方法として、PDP、LCD、CRT等の電子ディスプレイについての高機能化、軽量化等の観点から、例えば、粘着層を有する粘着シートを光学機能を持つフィルムに貼着し、粘着シート化された各種機能フィルムが積層されている。
さらに、近年は、コストダウンや軽量化等の観点から、ARフィルムに赤外線カット染料をコーティングした複合化フィルムや、フィルムに赤外線カット染料をコーティングし、その上にネオンカット染料を重ねコーティングしたフィルムを使用し、フィルムのトータル使用枚数を減らす取り組みが進められている。
また、粘着剤に赤外線カット染料やネオンカット染料を含有させる取り組みがなされているが、粘着剤とこれら染料との反応等により、耐久性が低下するという問題があり、まして、高温、高湿等の過酷な環境下では、赤外線やネオンのカット機能が短期間で著しく低下してしまうという問題があった。
特許文献1では、(メタ)アクリル系樹脂を含有する粘着層にネオンカット染料、キセノンカット染料、近赤外線カット染料から選ばれた少なくとも1種とカーボンブラックを含有させることで、高温環境下または高温高湿環境下において、粘着剤層中の染料が退色されにくいようにする提案がなされている。
特開2003-82302号公報
しかしながら、特許文献1には、特定の近赤外線カット染料を用いた場合に高温高湿の環境下でも退色がなかったことが目視で観察されたことが記載されているにすぎない。
リモコンを使用する電子機器の増加により、PDP等では幅広い赤外線カット領域や、複数の赤外線カット領域を持たせるために、赤外線カット染料の種類、組み合わせ等に限定されることなく、高温環境下または高温高湿環境下においても十分な赤外線カット効果が維持される粘着層を備えた粘着シートが所望されている。
本発明は、赤外線カット染料の種類、または組み合わせに限定されることなく、高温高湿の環境下においても赤外線カット染料の性能が低下しない粘着層を備えた粘着シートを提供することを目的とする。
本発明の電子ディスプレイ用の粘着シートは、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に形成された赤外線カット染料を含有する粘着層とからなる粘着シートであって、前記粘着層が、複数種のモノマーからなる共重合体であるアクリル系ポリマーを主成分として含有し、前記複数種のモノマーの少なくとも一つは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーであり、該(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを構成するアルキル基が炭素原子数5以上の環式構造を有することを特徴とし、好適には炭素原子数5以上の環式構造が芳香環またはシクロ環である。
本発明の電子ディスプレイ用の粘着シートによると、粘着層に含有される赤外線カット染料の種類、組み合わせによらず、高温高湿の環境下においても赤外線カット染料の性能が十分に保持される。したがって、所望の波長領域、さらには複数の波長領域における赤外線カット機能を保持させた粘着シートを構成することができる。または、本発明の粘着シートによると、高温高湿等の過酷な環境下であってもこのような赤外線カット機能が保持されるように構成することができる。
本発明の電子ディスプレイ用の粘着シートは、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に形成された赤外線カット染料を含有する粘着層とからなり、前記粘着層が、複数種のモノマーからなる共重合体であるアクリル系ポリマーを主成分として含有し、
前記複数種のモノマーの少なくとも一つは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーであり、該(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを構成するアルキル基が炭素原子数5以上の環状構造を有する構成である。
前記複数種のモノマーの少なくとも一つは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーであり、該(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを構成するアルキル基が炭素原子数5以上の環状構造を有する構成である。
基材としては、例えば、PDP、LCD、CRT、有機ELディスプレイ等の電子ディスプレイの形成に用いられるものが使用され、その種類は特に制限されない。基材として、例えば、後述の基材層のみからなるもの、また後述する基材層と、一層以上の光学機能層とからなる光学フィルムが用いられる。光学機能層としては、例えば、反射防止層、電磁波遮蔽層、ネオン光カット層、偏光層、位相差層、光学補償層、輝度向上層、防眩層等が挙げられる。これらの光学機能層を備えることにより、粘着層における赤外線カット機能とともに、他の光学機能を備えることになり、電子ディスプレイにおいて、各種光学機能をもたせるために積層するフィルムの枚数を削減することが可能となり、製造コストの低減を図ることができ好ましい。
基材層としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリアリレート、ポリイミド、ポリエーテル、ポリカーボネート、シクロオレフィン系樹脂、ノルボルネン樹脂等の公知の透明な樹脂フィルムを好適に使用することができる。本発明の粘着シートは、電子ディスプレイ用の光学フィルムとして用いられるため、基材層には透明性に優れたPET、TACが特に好ましく用いられる。基材層には、光学機能層等の他の層との密着性を向上させるために、コロナ処理、アルカリ処理、プラズマ処理、易接着樹脂層コート処理等の表面処理を施すことが好ましい。
光学機能層としては、例えば偏光フィルムを用いることができる。偏光フィルムとして、例えば、偏光子の片面または両面に透明保護フィルムを有するものを用いることができる。ここでの偏光子は特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリ塩系配向フィルム等が挙げられる。
透明保護フィルムとしては、偏光特性や耐久性が良好な理由により、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーが好ましい。偏光子と透明保護フィルムとの接着処理には、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス、水系ポリエステル等が用いられる。
また、基材層として後述する剥離シートを用いてもよい。この場合、基材層上に形成された粘着層を所望の光学フィルムに貼着させて粘着フィルムを構成することができる。
粘着層を形成する粘着剤の主成分であるアクリル系ポリマーは、複数種のモノマーからなる共重合体であって、前記複数種のモノマーの少なくとも一つは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーであり、該(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを構成するアルキル基が炭素原子数5以上の環式構造を有することを特徴とする。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを構成するアルキル基が炭素原子数5以上の環式構造を有することにより、前記炭素原子数5以上の環状構造のもつ大きな立体障害により、高温または高温多湿等の過酷な条件下においても、粘着層内に添加する赤外線カット染料の経時劣化を抑制することができる。また、前記炭素原子数5以上の環式構造が芳香環またはシクロ環はであることが、各種赤外線カット染料との反応性が低く好ましい。前記環式構造がシクロ環である場合、より好ましくは、一又は二以上のシクロ環を有し、シクロ環を構成する炭素原子の総数が8以上である。
炭素原子数5以上の環状構造を有するアルキル基を備えた(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの具体例としては、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート等のアルキル基として芳香環を有するものや、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート等のアルキル基としてシクロ環を有するものがある。アルキル基として芳香環を有するものは、各種赤外線カット染料と反応性が低いため好ましく、例えばベンジルアクリレートが好適に用いられる。
粘着成分のアクリル系ポリマーを構成する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの全量のうち、炭素原子数が5以上の環式構造を有するアルキル基を備えたアクリルエステルモノマーの重量比率は、2〜15%が好ましく、特に3〜12%が好ましい。2%未満では赤外線カット染料の劣化を抑制することができず、15%を超えると粘着性能が低下し、光学フィルムの積層が困難となる。なお、上述の比率は固形分換算値であり、以下においても同様とする。
本発明において好適に用いることができる(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー以外の複数種のその他のモノマーとしては、共重合体であるアクリル系ポリマーを得られるものであれば特に制限なく用いられ、好適に使用できるモノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルである2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、および4−ヒドロキシブチルアクリレート、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルである2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、および4−ヒドロキシブチルメタクリレート、不飽和脂肪族カルボン酸であるアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、およびイタコン酸等の公知のものを使用することができるが、特に低温でも粘着力を持つ、ガラス転移点(Tg)の低いn−ブチルアクリレート(Tg=−55℃)、2−エチルヘキシルアクリレート(Tg=−70℃)を使用することが好ましい。
本発明に係る、複数種のモノマーからなる共重合体であるアクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、好ましくは30万〜200万、特に好ましくは80万〜130万である。本明細書において、重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC法)により測定したポリスチレン換算の値である。
前記複数種のモノマーからなる共重合体であるアクリル系ポリマーは、各種公知の方法により製造することができ、例えば、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法等のラジカル重合法を適宜選択することができる。重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のアゾ系重合開始剤、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル(BPO)等のパーオキサイド化合物、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系開始剤、2−メチルチオキサントン等のチオキサントン系開始剤、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインエーテル系開始剤等を使用することができるが、赤外線カット染料に与える影響が少ないアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤が特に好ましい。そして、上記方法により製造したアクリル系ポリマーをトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の溶剤に溶解させ、アクリルポリマー溶液を調製する。
さらに、前記アクリルポリマー溶液に架橋剤を添加し、粘着剤溶液を作成する。架橋剤の種類としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート系化合物;ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンイミン等のアミン系化合物;アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル等の多価金属がアセチルアセトンやアセト酢酸エチルに配位した金属キレート化合物;N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキサイド)、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリ−1−アジリジニルホスフィンオキサイド等のアジリジン系化合物のうち、1種類以上を好適に使用することができる。架橋剤により、アクリル系ポリマーを主成分とする粘着剤ポリマーを分子間架橋することで所定の粘着性能を得ることができる。架橋剤添加量は粘着剤ポリマー100重量部に対して、固形分換算で0.05〜15重量部が好ましい。0.05重量部未満では粘着剤が軟らかいため、PDP等の電子ディスプレイ内部での熱により粘着剤のはみ出しが発生しやすく、15重量部を超えると粘着力不足により光学フィルムの積層が困難となる。
粘着剤溶液に添加する赤外線カット染料としては、780nm以上に極大吸収波長を有する染料であって、フタロシアニン系、ジインモニウム系、スクリリアウム系、ポリメチン系等の有機系染料;ニッケル錯体、酸化スズ、等を挙げることができる。これらは、単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。赤外線カット染料の添加量は特に限定しないが、例えば、粘着剤ポリマー100重量部に対して、固形分換算で0.1〜5重量部程度である。
さらに、前記粘着剤溶液には、必要に応じて、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を適宜添加してもよい。
粘着層の形成方法は特に限定させることはなく、例えば上記粘着剤溶液を、グラビア印刷法、スプレー法、ディッピング法、ロールコーター法、ダイコーター法等の公知の方法により基材の表面に塗工し乾燥して粘着層を形成することができる。または、剥離シートに粘着層を設け、これを基材へ転写する方法により粘着層を形成してもよい。塗工後の粘着層の厚みは特に限定されないが、5〜50μm、特に15〜35μmとすることが好ましい。5μm未満では粘着力不足により意図しない剥離、ハガレが発生しやすく、50μmを超えると粘着剤が過剰となり、光透過性の低下の問題が生じやすく、また、加工時に粘着剤のはみ出しが発生しやすいという問題がある。
粘着層は基材の片面のみに設けてもよいし、両面に設けてもよい。また、粘着層の表面に剥離シートを設け粘着層を保護するようにしてもよい。基材として、または粘着層の保護用として用いる剥離シートとしては、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シート、金属箔、またはこれらのラミネート体等からなる適当な薄葉体を用いることができる。剥離シートの表面には、粘着層からの剥離性を高めるため、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理が施されていてもよい。
以下、実施例1〜16、および比較例1〜4の粘着シートを用いて、本発明を具体的に説明する。
(製造方法)
1.粘着剤溶液の調製
重量平均分子量(Mw)が120万のアクリル系ポリマー(n−ブチルアクリレート(BAと表記)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEAと表記)、その他のモノマー(ベンジルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、メチルアクリレート、またはアクリル酸)を表1に記載の重量%で配合して合成した共重合体であって、表1に記載の重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、または過酸化ベンゾイル(BPO))0.6重量部を用いて合成したポリマー)30重量部を溶媒70重量部(トルエン30重量部と酢酸エチル40重量部を混合した溶媒)へ溶解させ、固形分30重量%のアクリル系ポリマー溶液を得た。アクリル系ポリマー溶液の固形分を100重量部とすると、この溶液に架橋剤としてトリメチロールプロパントリレンジイソシアネートを固形分換算で0.3重量部添加し、さらには耐久試験で赤外線カット染料1種類の場合は表1に記載の赤外線カット染料(ジインモニウム系、ニッケル錯体系、またはフタロシアニン系)を0.5重量部、2種類の場合は表1に記載の2種類の赤外線カット染料を各0.5重量部加えたものを粘着剤溶液とした。
1.粘着剤溶液の調製
重量平均分子量(Mw)が120万のアクリル系ポリマー(n−ブチルアクリレート(BAと表記)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEAと表記)、その他のモノマー(ベンジルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、メチルアクリレート、またはアクリル酸)を表1に記載の重量%で配合して合成した共重合体であって、表1に記載の重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、または過酸化ベンゾイル(BPO))0.6重量部を用いて合成したポリマー)30重量部を溶媒70重量部(トルエン30重量部と酢酸エチル40重量部を混合した溶媒)へ溶解させ、固形分30重量%のアクリル系ポリマー溶液を得た。アクリル系ポリマー溶液の固形分を100重量部とすると、この溶液に架橋剤としてトリメチロールプロパントリレンジイソシアネートを固形分換算で0.3重量部添加し、さらには耐久試験で赤外線カット染料1種類の場合は表1に記載の赤外線カット染料(ジインモニウム系、ニッケル錯体系、またはフタロシアニン系)を0.5重量部、2種類の場合は表1に記載の2種類の赤外線カット染料を各0.5重量部加えたものを粘着剤溶液とした。
赤外線カット染料はアクリル系ポリマー溶液の固形分100重量部に対して全て各0.5重量部とし、下記の極大吸収波長λmaxの染料を使用した。
フタロシアニン系赤外線カット染料(極大吸収波長λmax;963nm)
ジインモニウム系赤外線カット染料(極大吸収波長λmax;1085nm)
ニッケル錯体系赤外線カット染料(極大吸収波長λmax;862nm)
ジインモニウム系赤外線カット染料(極大吸収波長λmax;1085nm)
ニッケル錯体系赤外線カット染料(極大吸収波長λmax;862nm)
2.粘着シートの作成
片面にシリコーン樹脂を塗布した厚さ75μmのPETフィルム(商品名;MRF75、三菱化学ポリエステルフィルム社製)からなる剥離シートのシリコーン樹脂塗布面上に下記で調製した粘着剤溶液を塗布し100℃にて1分間乾燥処理し、乾燥後の厚さが25μmの粘着層を有するシートを得た。厚さ100μmのPETフィルム(商品名;A−4300、東洋紡社製)の表面を反射防止(AR)処理後、処理面の反対面と上記粘着層を有するシートとを貼着させ、常温で1週間エージングした。このようにして各実施例および比較例について赤外線カット染料を1種類含有する粘着シート、および赤外線カット染料を2種類含有する粘着シートを得た。
片面にシリコーン樹脂を塗布した厚さ75μmのPETフィルム(商品名;MRF75、三菱化学ポリエステルフィルム社製)からなる剥離シートのシリコーン樹脂塗布面上に下記で調製した粘着剤溶液を塗布し100℃にて1分間乾燥処理し、乾燥後の厚さが25μmの粘着層を有するシートを得た。厚さ100μmのPETフィルム(商品名;A−4300、東洋紡社製)の表面を反射防止(AR)処理後、処理面の反対面と上記粘着層を有するシートとを貼着させ、常温で1週間エージングした。このようにして各実施例および比較例について赤外線カット染料を1種類含有する粘着シート、および赤外線カット染料を2種類含有する粘着シートを得た。
(評価方法および評価)
1.粘着性評価
上記各粘着シートについて、剥離シートを剥がして1mm厚のガラス板に貼着して積層し、そのときの積層状態について下記のように評価した。評価結果を表1に示す。
1.粘着性評価
上記各粘着シートについて、剥離シートを剥がして1mm厚のガラス板に貼着して積層し、そのときの積層状態について下記のように評価した。評価結果を表1に示す。
◎:積層時に外力によるスレがなく、光学用粘着シートとして問題なく積層可能である。
○:やや粘着力が低いものの、光学用粘着シートとして使用可能である。
○:やや粘着力が低いものの、光学用粘着シートとして使用可能である。
2.透過率評価
各実施例と比較例の粘着シートについて、恒温恒湿槽を用い下記条件の耐久試験を行い、その後JIS K 7105(測定法A)による透過率(%)を分光光度計(商品名;UV−3100、島津製作所製)により測定した。
各実施例と比較例の粘着シートについて、恒温恒湿槽を用い下記条件の耐久試験を行い、その後JIS K 7105(測定法A)による透過率(%)を分光光度計(商品名;UV−3100、島津製作所製)により測定した。
耐久試験1:温度60℃、湿度90%にて1,000時間放置
耐久試験2:温度80℃、湿度0%にて1,000時間放置
耐久試験3:温度−30℃、湿度0%にて1,000時間放置
耐久試験4:温度23℃、湿度50%にて1,000時間放置
透過率については各染料の極大吸収波長λmaxにおける値を測定した。2種類の染料を用いた場合は各極大吸収波長λmaxについて測定した。すなわち、フタロシアニン系赤外線カット染料を含む試料については、963nmでの値を測定した。ジインモニウム系赤外線カット染料を含む試料については、1085nmでの値を測定した。ニッケル錯体系赤外線カット染料を含む試料については、862nmでの値を測定した。表1に測定値を示す。
耐久試験2:温度80℃、湿度0%にて1,000時間放置
耐久試験3:温度−30℃、湿度0%にて1,000時間放置
耐久試験4:温度23℃、湿度50%にて1,000時間放置
透過率については各染料の極大吸収波長λmaxにおける値を測定した。2種類の染料を用いた場合は各極大吸収波長λmaxについて測定した。すなわち、フタロシアニン系赤外線カット染料を含む試料については、963nmでの値を測定した。ジインモニウム系赤外線カット染料を含む試料については、1085nmでの値を測定した。ニッケル錯体系赤外線カット染料を含む試料については、862nmでの値を測定した。表1に測定値を示す。
なお、表1には透過率の実測値を記載しているが、評価の目安としては下記のとおりである。
4%未満:赤外線カット効果が高く、リモコンが誤作動については全く問題なし(◎)。
4%以上5%未満:リモコンが誤作動については、実用上の問題ないレベルである(○)。
5%以上:赤外線をカットできず、リモコンが誤作動する可能性があり、使用できないレベルである(×)。
4%以上5%未満:リモコンが誤作動については、実用上の問題ないレベルである(○)。
5%以上:赤外線をカットできず、リモコンが誤作動する可能性があり、使用できないレベルである(×)。
表1からわかるように、各実施例においては、耐久試験後においても、赤外線カットの性能の低下がほとんどなく、実用上問題ないレベルであった。なお、粘着性についても積層して用いるという用途において、問題なかった。一方、アクリル系ポリマーのモノマー成分として炭素原子数が5以上の環式構造を有するアルキル基を備えた(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを含有しない各比較例においては、いずれの耐久試験によっても、リモコンの誤作動の可能性がある等、使用上問題が生じる可能性があるレベルまで赤外線カットの性能が低下していた。
本発明の粘着シートは、PDP、LCD、CRT、有機ELディスプレイ等の電子ディスプレイ用の粘着シートとして有用である。
Claims (3)
- 基材と、前記基材の少なくとも一方の面に形成された赤外線カット染料を含有する粘着層とからなる電子ディスプレイ用の粘着シートであって、
前記粘着層が、複数種のモノマーからなる共重合体であるアクリル系ポリマーを主成分として含有し、
前記複数種のモノマーの少なくとも一つは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーであり、該(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを構成するアルキル基が炭素原子数5以上の環式構造を有することを特徴とする、電子ディスプレイ用の粘着シート。 - 前記炭素原子数5以上の環式構造が、芳香環であることを特徴とする、請求項1に記載の電子ディスプレイ用の粘着シート。
- 前記炭素原子数5以上の環式構造が、シクロ環であることを特徴とする、請求項1に記載の電子ディスプレイ用の粘着シート。
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