JP2008297226A - ピロメリット酸二無水物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高純度ピロメリット酸二無水物の工業的に有利な製造法を提供する。
【解決手段】不溶性微粉体を含有する粗ピロメリット酸を溶媒に溶解後粗ピロメリット酸溶液を得て、細孔0.1〜20μmのフィルターを用いろ過を行い、0.5μm以上の不溶性微粒体の含有量が1g当り1×105個以下であるピロメリット酸溶液を得て、ピロメリット酸溶液を液状媒体中で加熱して脱水閉環反応を行う、又は、ピロメリット酸溶液からピロメリット酸結晶を得て加熱脱水反応を行うことによりピロメリット酸二無水物を得る製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】不溶性微粉体を含有する粗ピロメリット酸を溶媒に溶解後粗ピロメリット酸溶液を得て、細孔0.1〜20μmのフィルターを用いろ過を行い、0.5μm以上の不溶性微粒体の含有量が1g当り1×105個以下であるピロメリット酸溶液を得て、ピロメリット酸溶液を液状媒体中で加熱して脱水閉環反応を行う、又は、ピロメリット酸溶液からピロメリット酸結晶を得て加熱脱水反応を行うことによりピロメリット酸二無水物を得る製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ピロメリット酸二無水物の製造法に関する。詳しくは、不溶性微粒体含有量のきわめて少ないピロメリット酸二無水物の製造法に関する。
ピロメリット酸二無水物(以下PMDAとも言う。)は、耐熱性樹脂として注目されている芳香族ポリイミドの製造用原料として、有用な化合物である。PMDAを用いた芳香族ポリイミドは、PMDAと芳香族ジアミンとの重合反応によって製造する方法、PMDAと芳香族ジアミンの常温付近の低温での重合によってポリアミック酸を得て次に閉環イミド化する方法、のいずれかによって製造することができる。
PMDAを用いた芳香族ポリイミドは、電子材料分野において主に使用され、近年、電子材料製品に対する機能高度化の要求に伴い、フィルムやワニスとして使用される芳香族ポリイミドにも高性能が要求されるようになった。特に、芳香族ポリイミドの特徴である耐熱性、絶縁性、ガスバリヤー性などに関しても、より高性能化を目指して種々の改良検討が行なわれている。例えば、代表的な用途として、ガス分離膜、フレキシブルプリント基板などがあるが、膜機能への高度化及び基板への高機能化の要求に伴い、膜、成形品の欠陥改良の要求が強くなってきた。
従来から、有機化合物はその用途によっては、不溶性微粒体の含有を極端に嫌う場合がある。例えば、芳香族ポリイミドの原料となるPMDAに、これらの製造過程、その他の原因で不溶性微粒体が含有していると、当然ながらそのまま、製品芳香族ポリイミドに残ることとなる。不溶性微粒体としては、(a) 製造過程で混入するもの、および、(b) 有機化合物製造後にこれを取り扱う過程で混入するものがある。上記(a) の具体例には、触媒、触媒の担体に由来するもの、金属粉、パッキング粉などの製造機器に由来するものなどがあり、上記(b) の具体例には、製品を取り扱う雰囲気中に浮遊している粉塵などの微粉末である。
PMDAは、ピロメリット酸(以下PMAとも言う。)を150〜270℃の温度範囲に加熱し、脱水閉環反応させることやPMAに対して2倍モル以上の無水酢酸等の無水物と共に加熱することによって得ることができるが、この工程のみでは、不溶性微粒体含有量及び製品の着色などの観点から、満足できるPMDAが得られない。そこで、PMAを加熱することによって得られる粗PMDAを、減圧下、250〜400℃の温度に加熱して揮発させ、次いで、この揮発したPMDAの蒸気を冷却し、精製結晶として回収する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この方法では、製品の着色は満足できるが芳香族ポリイミド製造用原料に要求される不溶性微粒体含有量を満足できないことがあり、不溶性微粒体含有量の極めて少ないPMDAを安定して製造する方法の開発が望まれていた。
特開2002−69073号公報
本発明者らは、芳香族ポリイミドの特性と、特定範囲の大きさの不溶性微粒体含有量との間に、何等かの相関があることを見出した。即ち、特定範囲の大きさの不溶性微粒体の含有量を一定レベル以下にすると、上述の芳香族ポリイミドの特性を大幅に向上させることができること、即ち、その微粒体の大きさが0.5〜30μmの範囲の不溶性微粒体含有量が、1g当たり1×105 個を越えて混入していると、種々の欠陥が発生することを見出した。例えば、芳香族ポリイミドの用途が、繊維向けである場合には、紡糸の際に糸切れの原因になり、また、用途がフィルムの場合には、フィッシュアイ、ピンホールなどの原因になり、さらに、用途がワニスの場合にはフィッシュアイが発生し、用途がガス分離膜の場合には分離特性が低下し、いずれも製品価値を著しく低下させるという欠点がある。0.5〜30μmの範囲の不溶性微粒子の含有量が1g当り2×105 個のPMDAと芳香族ジアミンとの反応によって得られるフィルムは、絶縁性に乏しくフレキシブルプリント基板として使用することができなかった。また、単にポリイミドのろ過性を考えると30μm以上の異物も少ない方が好ましく、30〜200μmの大きさの範囲の不溶性微粒体含有量が1g当たり1×103 個以下にすることが好ましい。
これら不溶性微粒体に由来する欠点を排除するために、一般に、芳香族ポリイミドを製造する工程中に、フィルターを設置して芳香族ポリイミドを含む溶液から不溶性微粒体を除去する方法がとられる。このフィルターの寿命は、フィルターの材質、使用条件、使用時間などにもよるが、芳香族ポリイミドを含む溶液中の不溶性微粒体含有量に支配されることが多く、不溶性微粒体の含有量が多いと、寿命は短命となり、生産性や歩留りが低下する、高価なフィルターの頻繁な交換が必要である、などにより製造コストの上昇は免れられない。いずれにしても、芳香族ポリイミド中の不溶性微粒体を少なくすることが強く望まれている。
本発明の目的は、高純度ピロメリット酸二無水物の工業的に有利な製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、芳香族ポリイミドの特性と、特定範囲の大きさの不溶性微粒体含有量との間に、何等かの相関があることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、不溶性微粉体を含有する粗ピロメリット酸を溶媒に溶解後粗ピロメリット酸溶液を得て、細孔0.1〜20μmのフィルターを用いろ過を行い、0.5μm以上の不溶性微粒体の含有量が1g当り1×105個以下であるピロメリット酸溶液を得て、ピロメリット酸溶液を液状媒体中で加熱して脱水閉環反応を行う、又は、ピロメリット酸溶液からピロメリット酸結晶を得て加熱脱水反応を行うことによりピロメリット酸二無水物を得る製造方法を提供するものである。
すなわち本発明は、不溶性微粉体を含有する粗ピロメリット酸を溶媒に溶解後粗ピロメリット酸溶液を得て、細孔0.1〜20μmのフィルターを用いろ過を行い、0.5μm以上の不溶性微粒体の含有量が1g当り1×105個以下であるピロメリット酸溶液を得て、ピロメリット酸溶液を液状媒体中で加熱して脱水閉環反応を行う、又は、ピロメリット酸溶液からピロメリット酸結晶を得て加熱脱水反応を行うことによりピロメリット酸二無水物を得る製造方法を提供するものである。
本発明方法によれば、不溶性微粒体の含有量が極めて少ない高純度のピロメリット酸二無水物を容易に製造することができ、これと芳香族ジアミンとの反応させてポリイミドを製造した際、耐熱性、絶縁性、ガスバリヤー性などに優れ、ガス分離膜に加工した場合には、膜欠陥の少ない製品が得られる効果を奏する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、不溶性微粉体を含有する粗ピロメリット酸を溶媒に溶解後粗ピロメリット酸溶液を得て、細孔0.1〜20μmのフィルターを用いろ過を行い、0.5μm以上の不溶性微粒体の含有量が1g当り1×105個以下であるピロメリット酸溶液を得て、ピロメリット酸溶液を液状媒体中で加熱して脱水閉環反応、又は、ピロメリット酸溶液の溶媒を除去後直接加熱脱水反応によりピロメリット酸二無水物を得る製造方法である。
本発明は、不溶性微粉体を含有する粗ピロメリット酸を溶媒に溶解後粗ピロメリット酸溶液を得て、細孔0.1〜20μmのフィルターを用いろ過を行い、0.5μm以上の不溶性微粒体の含有量が1g当り1×105個以下であるピロメリット酸溶液を得て、ピロメリット酸溶液を液状媒体中で加熱して脱水閉環反応、又は、ピロメリット酸溶液の溶媒を除去後直接加熱脱水反応によりピロメリット酸二無水物を得る製造方法である。
本発明において、不溶性微粒体は、原料、製品に混入する大きさが0.5〜30μmの範囲のものであり、ピロメリット酸、ピロメリット酸二無水物及び溶媒にほとんど溶解しない微粒体を言う。ここで溶媒とは、水又は酢酸、無水酢酸等の有機溶媒が挙げられる。
不溶性微粒体の大きさ、個数などは、粒径画像処理装置、例えば三菱化学(株)製のGX−10などの微粒子を拡大・計数することができる装置によって、確認、計数することができる。
本発明方法においては、特定量以下の不溶性微粒体を含有するPMAの脱水閉環反応又は直接加熱脱水反応によって得られるPMDAとする方法が採用される。
本発明において使用される粗PMAは、製法には特に制約はなく、いずれの方法によって製造されたものであってもよいが、例えば、ジュレン又は2,4,5−トリメチルベンズアルデヒドを、溶媒を用いて液相酸化する方法、固体触媒を用いて気相酸化する方法、又は、硝酸で酸化する方法が知られている。粗PMAは通常、金属、金属酸化物、金属水酸化物、カーボン、シリカ、ポリマー等不溶性微粉体を含有している。本発明は、PMAを特定量以下の不溶性微粒体を含有するPMAにする。先ず、PMA結晶を水、酢酸、無水酢酸等の溶媒に完全に溶解させ粗PMA溶液を得て、細孔が0.1〜20μm、好ましくは0.1〜15μmの焼成金属フィルター、多孔質カーボンフィルター又は樹脂フィルター等を利用して、ろ過を行いPMA溶液を得る。フィルターは通常1段または複数段直列に組合せて用いられる。必要であれば、さらにフィルターを2セット設置し、詰まり等発生した場合切り替える方法がとられる。焼成金属の材質は任意のものが用いられるが、特にカーボン、ステンレス、チタン、ジルコニア、シリカ、シリカアルミナ系の材質が好ましい。樹脂フィルターを使用する場合は、樹脂の種類はテフロン(登録商標)系が好ましい。窒素等のガスを使用する場合もフィルター等を利用して不溶性微粒体の含有量を下げる必要がある。窒素等のガスに含まれる0.5μm以上の不溶性微粒体の含有量が1m3当り5×104個以下であることが好ましい。
次に、PMA溶液を液状媒体中で加熱して脱水閉環反応を行いPMDAを得るか、又は、PMA溶液からPMA結晶を得て加熱脱水反応によりPMDAを得る。
上記粗PMA溶液が溶媒として無水酢酸を含有している場合は、PMA溶液を液状媒体中で加熱して脱水閉環反応を行いPMDAを得る。ここで液状媒体とは、粗PMA溶液を組成する溶媒を言う。加熱温度は、70℃以上120℃又は任意の圧力における液状媒体の沸点の温度以下の範囲が好ましい。
上記粗PMA溶液が溶媒として無水酢酸を含有していない場合は、必要に応じて溶媒の濃縮を行い、冷却してPMAを晶析しPMAスラリーを得る。得られたPMAスラリーをろ過し、異物を除去した溶媒で洗浄を行った後、乾燥をさせてPMA結晶を得る。以上の処理によって大きさが0.5〜30μm不溶性微粒体の含有量が1g当り1×105 個以下のPMAが得られる。PMAからPMDAを合成した後、ろ過する方法も可能であるがPMDAは種々の溶媒に対して溶解度が低いため原料PMAの段階で不溶性微粒体をろ過することが好ましい。
続いて、上記の方法で調整したPMA結晶を原料とし、PMDAを製造する。PMA結晶を原料としてPMDAを得るには、公知の方法に従って製造できる。例えば、PMA結晶の2〜10重量倍の無水酢酸に溶解させた溶液中、又は、デカリンなどの分散液に分散させた分散液中で、70℃以上120℃又は任意の圧力における無水酢酸又は分散液の沸点の温度以下の範囲に加熱して脱水閉環反応させる方法がある。無水酢酸に溶解させた溶液の場合はPMDA溶液が得られ、デカリンなどの分散液に分散させた分散液の場合はPMDA分散液が得られる。
上記の脱水閉環反応によって得られたPMDA溶液は、完全溶解させてフィルターを通し、不溶性微粒体を除去することが好ましい。その後、必要であれば無水酢酸を留去してPMDA溶液のの濃縮を行い、冷却してPMDAを晶析しPMDA結晶を得る。PMDA中の0.5〜30μmの不溶性微粒体の含有量は、1g当り1×105個以下である。溶解に用いる無水酢酸は、PMA結晶の溶解に用いる前に蒸留及び/又はフィルターを通し、不溶性微粒体を除去することが好ましい。
上記のPMDA結晶は、必要に応じて、磁石を用いることにより鉄粉等の磁性を有する不溶性微粒体を除去することが行われる。
PMA結晶を原料とし、そのまま加熱脱水反応によりPMDAを製造することもできる。PMA結晶を、乾燥装置として個体を均一に加熱できるような装置で、窒素下、加熱する。乾燥装置の加熱源としては、スチーム、熱媒体が用いられる。乾燥装置で、加熱源の温度を150〜270℃とし、4〜100時間加熱脱水反応を行いPMDA結晶を得る。
このようにして得られたPMDAは、0.5〜30μmの大きさの不溶性微粒子の含有量が1g当り1×105 個以下の高純度であり、芳香族ポリイミド製造用原料として好適であり、耐熱性、絶縁性、ガスバリヤー性などに優れた芳香族ポリイミドを得ることができる。このようにして得られたPMDAの5〜30μmの不溶性微粒体の含量は、2×103個以下であり、重量としては、不溶性微粒体の種類にもよるが1g当たり0.05〜50ppmの範囲である。そして、上記の高純度PMDAを原料とした芳香族ポリイミドから製造したガス分離膜は、膜欠陥が極めて少なく、従来品に較べ格段に優れた分離特性を発揮する。更に、好ましくは、0.5〜30μmの大きさの不溶性微粒子の含有量が1g当り1×105個以下のPMDAと芳香族ジアミンとの反応によって得られるフィルムは、ガスバリヤー性が著しく向上する。
次に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、以下の記載例に限定されるものではない。なお、以下の例において、溶媒の準備、サンプルの調整、不溶性微粒体の計数は、次の手順によった。
<溶媒の準備>
クラス100のクリンベンチ内で、和光純薬工業株式会社製のN−メチルピロリドンを、細孔0.1μmのテフロン(登録商標)製フィルターを通し、大きさが0.1μm以上の不溶性微粒体を除去した。
<溶媒の準備>
クラス100のクリンベンチ内で、和光純薬工業株式会社製のN−メチルピロリドンを、細孔0.1μmのテフロン(登録商標)製フィルターを通し、大きさが0.1μm以上の不溶性微粒体を除去した。
<サンプルの調整>
まず、クラス100のクリンベンチ内で、サンプル約1gを洗浄・乾燥済のガラス瓶に精秤し、これに上記N−メチルピロリドン200ml加えたのち、この混合物を超音波洗浄器に入れ、約3時間にわたり洗浄器を作動させ、サンプルを溶解させた。次いで、この溶液を細孔0.1μmのテフロン(登録商標)製フィルターを通し、不溶性微粒体を濾別した。
まず、クラス100のクリンベンチ内で、サンプル約1gを洗浄・乾燥済のガラス瓶に精秤し、これに上記N−メチルピロリドン200ml加えたのち、この混合物を超音波洗浄器に入れ、約3時間にわたり洗浄器を作動させ、サンプルを溶解させた。次いで、この溶液を細孔0.1μmのテフロン(登録商標)製フィルターを通し、不溶性微粒体を濾別した。
<不溶性微粒体の計数>
クラス1000のクリンルーム内で、粒径画像処理装置{三菱化学(株)製、GX−10}を用いて、フィルター上の不溶性微粒体の数を測定した。測定した不溶性微粒体の数をサンプル重量で補正し、サンプル1.0g当りの個数に換算した。
クラス1000のクリンルーム内で、粒径画像処理装置{三菱化学(株)製、GX−10}を用いて、フィルター上の不溶性微粒体の数を測定した。測定した不溶性微粒体の数をサンプル重量で補正し、サンプル1.0g当りの個数に換算した。
参考例1(粗PMAの製造)
還流冷却器、攪拌装置、加熱装置および原料送入口、ガス導入口、反応物排出口を有するZr製酸化反応器2台を接続した連続2段式反応器の1段目の反応器に臭素イオン濃度2.3重量%、マンガンイオン濃度0.44重量%、鉄イオン濃度13ppmの触媒水溶液を1000g仕込み、2段目の反応器に1段目と同じ組成の触媒水溶液を500g仕込んだ。ガス導入口から窒素を圧入し、1MPaに昇圧し、加熱装置で210℃まで昇温した。ついで1段目反応器に2,4,5−トリメチルベンズアルデヒドを90g/hの割合で、触媒液(反応器仕込み液と同一組成)を780g/hの割合で別々に供給した。2,4,5−トリメチルベンズアルデヒドの供給と同時にガス導入口から空気の送入を開始し、反応器よりの排ガス中の酸素を2.5体積%に保つように流量を制御した。ついで1段目反応器中の液面を仕込み液面と同一に保ちつつ、1段目反応器より2段目反応器への液移送を開始し、同時に2段目反応器にガス導入口から空気の送入開始し、反応器よりの排ガス中の酸素を4.5体積%に保つように流量を制御した。2段目反応器中の液面を仕込み液面と同一に保ちつつ、2段目反応器より反応生成物を抜き出した。上記で得た反応生成物を0.5重量%Pd/C触媒存在下、150℃、1MPaで水添反応を行いアルデヒド等の中間体や色成分を除去した。冷却後、得られた結晶を濾過分離した後、乾燥して粗PMAを得た。粗PMAは、大きさが0.5〜30μmの不溶性微粒体を1g当り3×107個含んでいた。
還流冷却器、攪拌装置、加熱装置および原料送入口、ガス導入口、反応物排出口を有するZr製酸化反応器2台を接続した連続2段式反応器の1段目の反応器に臭素イオン濃度2.3重量%、マンガンイオン濃度0.44重量%、鉄イオン濃度13ppmの触媒水溶液を1000g仕込み、2段目の反応器に1段目と同じ組成の触媒水溶液を500g仕込んだ。ガス導入口から窒素を圧入し、1MPaに昇圧し、加熱装置で210℃まで昇温した。ついで1段目反応器に2,4,5−トリメチルベンズアルデヒドを90g/hの割合で、触媒液(反応器仕込み液と同一組成)を780g/hの割合で別々に供給した。2,4,5−トリメチルベンズアルデヒドの供給と同時にガス導入口から空気の送入を開始し、反応器よりの排ガス中の酸素を2.5体積%に保つように流量を制御した。ついで1段目反応器中の液面を仕込み液面と同一に保ちつつ、1段目反応器より2段目反応器への液移送を開始し、同時に2段目反応器にガス導入口から空気の送入開始し、反応器よりの排ガス中の酸素を4.5体積%に保つように流量を制御した。2段目反応器中の液面を仕込み液面と同一に保ちつつ、2段目反応器より反応生成物を抜き出した。上記で得た反応生成物を0.5重量%Pd/C触媒存在下、150℃、1MPaで水添反応を行いアルデヒド等の中間体や色成分を除去した。冷却後、得られた結晶を濾過分離した後、乾燥して粗PMAを得た。粗PMAは、大きさが0.5〜30μmの不溶性微粒体を1g当り3×107個含んでいた。
参考例2(粗PMAの製造)
触媒液の供給量を500g/hにした以外は、参考例1と同様に反応を行い、粗PMAを得た。粗PMAは、大きさが0.5〜30μmの不溶性微粒体を1g当り6×107個含んでいた。
触媒液の供給量を500g/hにした以外は、参考例1と同様に反応を行い、粗PMAを得た。粗PMAは、大きさが0.5〜30μmの不溶性微粒体を1g当り6×107個含んでいた。
[実施例1]
攪拌機、ジャケット、コンデンサー、温度計、不活性ガス供給口を備えた縦型筒状反応器に、参考例1で得た粗PMAを10重量部、蒸留水100反応器内容物を攪拌しながら、常圧下、90℃に加熱し完全に溶解した後粗PMA溶液を得た。粗PMA溶液を、細孔0.1μmのテフロン(登録商標)製フィルターに通液し、ろ過を行った。得られたPMA溶液を減圧しながら30℃まで冷却し、気化した水を50部系外に抜き出した。得られたPMAスラリーをろ過し、得られたPMA結晶の乾燥を行った。得られたPMA結晶中には、0.5〜30μmの不溶性微粒体を1g当り5×104個含まれていた。このPMA結晶を窒素下、220℃で24時間加熱してPMDAを得た。得られたPMDA結晶には0.5〜30μmの不溶性微粒体が1g当り5×104個含まれていた。
攪拌機、ジャケット、コンデンサー、温度計、不活性ガス供給口を備えた縦型筒状反応器に、参考例1で得た粗PMAを10重量部、蒸留水100反応器内容物を攪拌しながら、常圧下、90℃に加熱し完全に溶解した後粗PMA溶液を得た。粗PMA溶液を、細孔0.1μmのテフロン(登録商標)製フィルターに通液し、ろ過を行った。得られたPMA溶液を減圧しながら30℃まで冷却し、気化した水を50部系外に抜き出した。得られたPMAスラリーをろ過し、得られたPMA結晶の乾燥を行った。得られたPMA結晶中には、0.5〜30μmの不溶性微粒体を1g当り5×104個含まれていた。このPMA結晶を窒素下、220℃で24時間加熱してPMDAを得た。得られたPMDA結晶には0.5〜30μmの不溶性微粒体が1g当り5×104個含まれていた。
[実施例2]
原料を、参考例2で得た粗PMAに替えた他は、実施例1と同様にして操作した。得られたPMDA結晶には大きさが0.5〜30μmの不溶性微粒体が1g当り7×104個含まれており、原料のPMA中の不溶性微粒体の数に較べて大幅に少なくなっていた。
原料を、参考例2で得た粗PMAに替えた他は、実施例1と同様にして操作した。得られたPMDA結晶には大きさが0.5〜30μmの不溶性微粒体が1g当り7×104個含まれており、原料のPMA中の不溶性微粒体の数に較べて大幅に少なくなっていた。
[比較例1]
粗PMAを0.1μmのテフロン(登録商標)製フィルターに通液することを行わなかった以外は実施例1と同様にして加熱脱水し、PMDAを得た。えられたPMDAには0.5〜30μmの不溶性微粒体が1g当り3×107 個含まれていた。
粗PMAを0.1μmのテフロン(登録商標)製フィルターに通液することを行わなかった以外は実施例1と同様にして加熱脱水し、PMDAを得た。えられたPMDAには0.5〜30μmの不溶性微粒体が1g当り3×107 個含まれていた。
Claims (1)
- 不溶性微粉体を含有する粗ピロメリット酸を溶媒に溶解後粗ピロメリット酸溶液を得て、細孔0.1〜20μmのフィルターを用いろ過を行い、0.5μm以上の不溶性微粒体の含有量が1g当り1×105個以下であるピロメリット酸溶液を得て、ピロメリット酸溶液を液状媒体中で加熱して脱水閉環反応を行う、又は、ピロメリット酸溶液からピロメリット酸結晶を得て加熱脱水反応を行うことによりピロメリット酸二無水物を得る製造方法。
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JPN6012048711; 緒方章: 化学実験操作法上巻 第27版, 1963, 第251-252頁 * |
JPN6012048712; 日本化学会編: 化学便覧 応用化学編 第6版 , 200301, 第4章第176頁 * |
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