JP2008296865A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】前後輪のそれぞれのタイヤをともに同一の構造のものとしてなお、ラジアルタイヤと同等のトラクション性能を発揮させるとともに、バイアスタイヤと同等のブレーキング性能を発揮させることができる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】ベルトの外周側に配設したスパイラル補強層7を具えたタイヤにおいて、スパイラル補強層7の配設幅Lをトレッド幅Wの0.8〜1.2倍とし、一枚のカーカスプライをラジアルプライ5aとするとともに、他の一枚のカーカスプライをトレッド部1のそれぞれの側部域からビード部3側に向けて配設して、タイヤの回転方向の前方側からの透視下で、逆ハ字状プライ5bとし、この逆ハ字状プライ5bの配設域を、スパイラル補強層7に2mm以上、スパイラル補強層7の幅Lの1/6以下の範囲にわたって重なり合う位置から、タイヤビード部3の半径方向外線位置より内周側に位置することとなるまでの領域とした。
【選択図】図5
【解決手段】ベルトの外周側に配設したスパイラル補強層7を具えたタイヤにおいて、スパイラル補強層7の配設幅Lをトレッド幅Wの0.8〜1.2倍とし、一枚のカーカスプライをラジアルプライ5aとするとともに、他の一枚のカーカスプライをトレッド部1のそれぞれの側部域からビード部3側に向けて配設して、タイヤの回転方向の前方側からの透視下で、逆ハ字状プライ5bとし、この逆ハ字状プライ5bの配設域を、スパイラル補強層7に2mm以上、スパイラル補強層7の幅Lの1/6以下の範囲にわたって重なり合う位置から、タイヤビード部3の半径方向外線位置より内周側に位置することとなるまでの領域とした。
【選択図】図5
Description
この発明は、空気入りタイヤ、なかでも、カーカス構造に改良を加えた空気入りタイヤに関するものであり、とくには、ブレーキング性能を低下させることなく、トラクション性能を向上させる技術を提案するものである。
高性能乗用車用タイヤは、その回転速度がとくに高速となるため、一般市販車用のタイヤと比べると遠心力の影響が大きくなる。これがため、タイヤのトレッド部が外側に拡径変形して、高速走行時の操縦安定性能を損ねるおそれが生じる。
この一方で、市販車用のタイヤでも同種の問題を抱えることがある。たとえば、トラック用のタイヤでは、トレッドのゴム厚みを厚くするためにトレッド部の質量が必然的に大きくなるので、100km/h程度の速度でも遠心力の影響を受けてタイヤが拡径変形し、甚しくは、それがタイヤの故障に繋がることもある。
この一方で、市販車用のタイヤでも同種の問題を抱えることがある。たとえば、トラック用のタイヤでは、トレッドのゴム厚みを厚くするためにトレッド部の質量が必然的に大きくなるので、100km/h程度の速度でも遠心力の影響を受けてタイヤが拡径変形し、甚しくは、それがタイヤの故障に繋がることもある。
このようなことから、タイヤのトレッド部に、有機繊維コードを、タイヤ赤道線方向に延在させて、タイヤ子午線方向に螺旋状に巻回して構成してなる、キャップ、レイヤ等と称されるスパイラル補強層を配設して、タイヤの回転に際する、トレッド部の拡径変形を抑制することが提案され、広く使用されるに至っている。
なおここで、キャップとは、有機繊維コードを、トレッド部のほぼ全幅にわたって螺旋巻回配置してなるものをいい、レイヤとは、トレッド部の側部域だけに有機繊維コードを螺旋巻回配置してなるものをいう。
なおここで、キャップとは、有機繊維コードを、トレッド部のほぼ全幅にわたって螺旋巻回配置してなるものをいい、レイヤとは、トレッド部の側部域だけに有機繊維コードを螺旋巻回配置してなるものをいう。
ところで、螺旋巻回配置される有機繊維コードとして、従来は、ナイロン繊維コードを用いることが一般的であったが、近年においては、特許文献1〜3等に開示されているように、軽量で、強度が高く、しかも、高温でも伸長しない芳香族ポリアミドコードを用い、これにより、トレッド部に対するたが効果を高めて、そのトレッド部の拡径変形をより効果的に抑制し、結果として、高速回転時の操縦安定性や耐久性を向上させる技術が各種提案されるに至っている。
そしてまた、トラック、バス等の重荷重車両用のタイヤに対しても、特許文献4〜8等に開示されているように、波状に形付けしたスチールコードを、タイヤの赤道線方向への延在姿勢で螺旋状に巻回配置することが提案されている。
通常は、1〜10本の、相互に平行に引き揃えた有機繊維コードを一体的にゴム被覆してなるリボン状ストリップを螺旋巻回することによって成型されるこのようなスパイラル補強層は、高速耐久性、操縦安定性や高負荷耐久性に加え、トラクション性能やブレーキング性能の向上をも有効に寄与し得ることが確認されている。
特開平7−186615号公報
特開平7−276913号公報
特開平11−192809号公報
特開平9−156315号公報
特開平6−32108号公報
特開平6−191219号公報
特開平7−17209号公報
特開平8−188009号公報
高性能乗用車用タイヤは、高速走行の領度が高く、加速および減速性能にすぐれることが要求されることになり、かかる要求に対しては、前述したようなスパイラル補強層が有効であるとされている。
これは、タイヤに前後方向の力が作用した場合に、円周方向の引張り剛性の高いスパイラル補強層が接地面内に存在することで、接地面内やベルト内の無駄な変形を抑制して、タイヤから路面に効率よく力を伝達できることによるものである。
これは、タイヤに前後方向の力が作用した場合に、円周方向の引張り剛性の高いスパイラル補強層が接地面内に存在することで、接地面内やベルト内の無駄な変形を抑制して、タイヤから路面に効率よく力を伝達できることによるものである。
この一方で、カーカス構造に関しては、とくに駆動輪に装着されるタイヤでは、ラジアル構造のものが、バイアス構造のタイヤに比して、トラクション性能にすぐれるとの理由で多く採用されている。
これはすなわち、タイヤのトレッド接地面に、路面反力としての前後方向の力が作用した場合、カーカスおよびベルトを含むベルトパッケージを一つのリングとして考えたときのタイヤの変形形態は、図1に例示するように、そのリング全体が前後方向に偏心移動する変形形態(偏心変形)と、リングが、ビードコアないしはホイールディスクに対して円周方向にねじれる変形形態(捩れ変形)との二種類に大別することができ、これらの変形形態のうち、偏心変形の割合の大きいタイヤがトラクション性能を向上させる上で有利である、とされていることによる。
これはすなわち、タイヤのトレッド接地面に、路面反力としての前後方向の力が作用した場合、カーカスおよびベルトを含むベルトパッケージを一つのリングとして考えたときのタイヤの変形形態は、図1に例示するように、そのリング全体が前後方向に偏心移動する変形形態(偏心変形)と、リングが、ビードコアないしはホイールディスクに対して円周方向にねじれる変形形態(捩れ変形)との二種類に大別することができ、これらの変形形態のうち、偏心変形の割合の大きいタイヤがトラクション性能を向上させる上で有利である、とされていることによる。
より具体的には、路面からのトラクション反力がタイヤに作用したときに偏心変形が大きくなると、トレッド接地面につき、接地の重心が後方側へ移動することになる。
そしてこの重心の移動が生じると、接地面の、蹴出し側端付近の接地圧が高くなり、この蹴出し側端付近は、タイヤに前後方向の力を発生させるに当って最も大きな力を発生する、いいかえれば、ベルトとトレッドゴムとの間の前後方向剪断変形量が最も多くなる部位となるため、そこでの接地圧が高くなるほど、タイヤに発生する前後方向の力、すなわちトラクション力が大きくなる。
そしてこの重心の移動が生じると、接地面の、蹴出し側端付近の接地圧が高くなり、この蹴出し側端付近は、タイヤに前後方向の力を発生させるに当って最も大きな力を発生する、いいかえれば、ベルトとトレッドゴムとの間の前後方向剪断変形量が最も多くなる部位となるため、そこでの接地圧が高くなるほど、タイヤに発生する前後方向の力、すなわちトラクション力が大きくなる。
この一方で、ブレーキング性能は、路面からの前後方向反力がタイヤに作用したときの偏心変形の小さいバイアス構造のタイヤにおいて、ラジアル構造のタイヤに比してすぐれたものとなる。
すなわちこれは、偏心変形量の多い、ラジアル構造のタイヤでは、そこへのブレーキング力の作用に基づく、路面からのブレーキング反力がタイヤに作用した場合、それの偏心変形によって、逆に踏込み側の接地圧が高くなり、蹴出し側の接地圧が相対的に低下することによるものである。
すなわちこれは、偏心変形量の多い、ラジアル構造のタイヤでは、そこへのブレーキング力の作用に基づく、路面からのブレーキング反力がタイヤに作用した場合、それの偏心変形によって、逆に踏込み側の接地圧が高くなり、蹴出し側の接地圧が相対的に低下することによるものである。
以上の点を鑑みれば、たとえば、FRタイプ、MRタイプ等の高級乗用車に多い後輪駆動形式の車両については、トラクション性能がとくに必要となる後輪タイヤには、ラジアル構造のタイヤを用いる一方で、ブレーキング性能がとくに重要な、従動輪としての前輪のタイヤにはバイアス構造のタイヤを用いることが好適であるが、通常は、車両全体のバランスを考慮.して、前輪タイヤおよび後輪タイヤのいずれもラジアル構造のタイヤを用いることとしている。
そこでこの発明は、前後輪のそれぞれのタイヤをともに同一の構造のものとしてなお、ラジアル構造のタイヤと同等のトラクション性能を発揮させるとともに、バイアス構造のタイヤと同等のブレーキング性能を発揮させることができる空気入りタイヤを提供する。
この発明に係る空気入りタイヤは、トレッド部、一対のサイドウォール部および、各サイドウォール部の内周側に連続するビード部と、有機繊維コードからなるカーカスプライの二枚以上で形成されて、それぞれのビード部に配設した対をなすビードコア間にトロイダルに延在するカーカスと、このカーカスのクラウン域の外周側に配設した二層以上のベルト層からなり、少なくとも二層のベルト層のコードを相互に交差する方向、たとえば、タイヤ赤道線に対して相互に逆向きとなる方向に延在させて配置したベルトと、ベルトの外周側で、タイヤ赤道線方向に向けて延在させて、タイヤ子午線方向に螺旋状に巻回した、芳香族ポリアミド繊維コード等の、高剛性の有機繊維コードまたはスチールコードからなる一層以上のスパイラル補強層とを具えるものであって、そのスパイラル補強層の少なくとも一層の配設幅を、トレッド幅の0.8〜1.2倍の範囲とし、少なくとも一枚のカーカスプライを、タイヤ赤道線と直交する向きのコード配列になるラジアルプライとするとともに、他の一枚以上のカーカスプライを、トレッド部のそれぞれの側部域からビード部側に向けて配設されて、タイヤの回転方向の前方側からの透視下で、それぞれの側部域のコードが下方側に向けて相互に接近する向きに延在する逆ハ字状プライとし、この逆ハ字状プライの配設域を、スパイラル補強層に、それの2mm以上、スパイラル補強層の幅の1/6以下の範囲にわたって重なり合う位置から、タイヤビード部の半径方向外縁位置、たとえば、ビードフィラの外縁位置より内周側に位置することとなるまでの領域としてなるものである。
ここで好ましくは、逆ハ字状プライの半径方向の内端を、ビードコアの外周縁より半径方向内方に位置させる。
なおこの場合は、逆ハ字状プライを、ビードコアの外周縁より半径方向内方位置に一旦通過させてビードコアの周りに巻き上げることも可能である。
なおこの場合は、逆ハ字状プライを、ビードコアの外周縁より半径方向内方位置に一旦通過させてビードコアの周りに巻き上げることも可能である。
また好ましくは、上述したいずれかのタイヤにおいて、逆ハ字状プライコードの、タイヤ赤道線に対する傾き角を30〜70°の範囲とする。
そしてまた好ましくは、層間でコードが相互に交差して延びる、少なくとも二層のベルト層のそれぞれのコードを、タイヤ赤道線に対して45〜85°の範囲の角度で、たとえば、相互に逆向きに延在させて配置する。
また好ましくは、層間でコードが相互に交差して延びるベルト層の、少なくとも一層のベルト層コードをスチールコードとする。
そしてこの場合、より好ましくは、スチールコードベルト層のコードを、0.15〜0.25mmの範囲の直径を有する、スチール単線もしくはそれらを撚ったコードにより構成する。
そしてこの場合、より好ましくは、スチールコードベルト層のコードを、0.15〜0.25mmの範囲の直径を有する、スチール単線もしくはそれらを撚ったコードにより構成する。
この発明に係る空気入りタイヤでは、芳香族ポリアミド等の高剛性、いいかえれば高弾性の有機繊維コードまたは、スチールコードからなる一層以上のスパイラル補強層を設けることで、先にも述べたように、タイヤのトラクション性能およびブレーキング性能のそれぞれをともに有効に向上させることができ、しかも、そのスパイラル補強層の幅をトレッド幅の0.8〜1.2倍の範囲とすることにより、乗り心地の低下等の発生なしに、上記の両性能の十分なる発揮と担保することができる。
スパイラル補強層の幅が、トレッド幅の0.8倍未満では、上記の両性能を十分に発揮させることが難しくなる一方で、それがトレッド幅の1.2倍を越えると、生タイヤの成型自体が困難になるとともに、トレッド部の剛性が高くなりすぎて、乗り心地の低下が否めなくなる。
またここでは、一枚以上のカーカスプライをラジアルプライとすることにより、ラジアル構造のタイヤに特有のすぐれたトラクション性能を発揮させることが可能となる。
加えてここでは、一枚以上のラジアルプライとともに、一枚以上の逆ハ字状プライを配設することで、ラジアル構造のタイヤの利点と、バイアス構造のタイヤの利点との双方を、スパイラル補強層の配設に基づく、トラクション性能およびブレーキング性能の向上と併せて同時に確保することができる。
すなわち、このようなカーカス構造によれば、ブレーキング入力に対しては、タイヤの偏心変形を、バイアス構造のタイヤのように抑制することができ、トラクション入力に対しては、タイヤの偏心変形を、ラジアル構造のタイヤのように大きくすることができ、結果として、ブレーキング性能とトラクション性能とのそれぞれを高い次元で両立させることが可能となる。
すなわち、このようなカーカス構造によれば、ブレーキング入力に対しては、タイヤの偏心変形を、バイアス構造のタイヤのように抑制することができ、トラクション入力に対しては、タイヤの偏心変形を、ラジアル構造のタイヤのように大きくすることができ、結果として、ブレーキング性能とトラクション性能とのそれぞれを高い次元で両立させることが可能となる。
つまり、タイヤがそれの前後方向の路面反力を受けたときは、ベルトパッケージのリングは、図1に関して前述したように、前後方向に偏心変形しようとし、この場合ラジアル構造のタイヤは、図2に例示するように、荷重直下の位置を境として、路面反力の入り例(トラクションの場合は蹴出し例、ブレーキングの場合は踏込み例)の半部では、カーカスプライコードは圧縮方向の、そして、路面反力の出側の半部では、プライコードは引張方向のそれぞれの歪を受けることになり、引張り歪を受ける各半部のプライコードが偏心変形の抑制に寄与することになるも、このときの変形抑制力は、後述する、バイアス構造のタイヤのそれに比して小さいことから、タイヤとしては、相対的に偏心変形し易く、これがため、タイヤへのトラクション力の入力時には、蹴出し端付近の接地圧が高くなり、ブレーキング力の入力時には、逆に踏込み端付近の接地圧が相対的に高くなる。
従って、ラジアル構造のタイヤは、蹴出し端付近の接地圧が高くなるトラクション力に対しては、すぐれた性能を発揮することができるも、踏込み端付近の接地圧が高くなるブレーキング力に対しては、バイアス構造のタイヤほどの性能を発揮することができない。
従って、ラジアル構造のタイヤは、蹴出し端付近の接地圧が高くなるトラクション力に対しては、すぐれた性能を発揮することができるも、踏込み端付近の接地圧が高くなるブレーキング力に対しては、バイアス構造のタイヤほどの性能を発揮することができない。
この一方で、たとえば、プライコードが相互に交差する二枚のカーカスプライを有するバイアス構造のタイヤでは、ベルトパッケージのリングが同様の偏心変形を行う場合、図3(a),(b)のそれぞれに、タイヤへのトラクション力の入手時およびブレーキング力の入力時を例示するように、それぞれのカーカスプライのプライコードが、タイヤの下半部もしくは上半部のいずれか一方例では、プライコードの延在方向が、路面反力の向きに沿うことに起因する引張歪を、そして他方側では、プライコードの延在方向が、路面反力の向きに沿わないことに起因する圧縮歪をそれぞれ受けることになり、この結果として、プライコードが交差する二枚のカーカスプライを有するバイアス構造のタイヤでは、いずれか一方のカーカスプライのプライコードが、タイヤの下半部で、そして、他方のカーカスプライのプライコードが、タイヤの上半部でともに引張り歪を受けることになって、偏心変形の抑制に寄与する引張り歪プライコードが全周にわたって存在することになるため、ラジアル構造のタイヤに比して、偏心変形量が相対的に低減されることになる。
これがため、バイアス構造のタイヤでは、ラジアル構造のタイヤほどにすぐれたトラクション性能をもたらすことができない一方で、ラジアル構造のタイヤに比してよりすぐれたブレーキング性能を実現することができる。
これがため、バイアス構造のタイヤでは、ラジアル構造のタイヤほどにすぐれたトラクション性能をもたらすことができない一方で、ラジアル構造のタイヤに比してよりすぐれたブレーキング性能を実現することができる。
そこでこの発明に係るタイヤでは、一枚以上のラジアルプライに加えて、一枚以上の逆ハ字状プライを、逆ハ字状プライのプライコードの延在方向を選択して配設することとしており、これによれば、タイヤが、それの前後方向の路面反力を受けた場合のプライコードの歪態様を、トラクション力の入力時の路面反力に対しては、図4(a)に例示するように、ラジアル構造のタイヤにおける歪分布に近いものとて大きな偏心変形を許容し、また、ブレーキング力の入力時の路面反力に対しては、図4(b)に例示するように、バイアス構造のタイヤにおける歪分布に近いものとして偏心変形を抑制することによって、トラクション性能とブレーキング性能とのそれぞれを高い次元で両立させることができる。
さらにこのタイヤでは、上述したような逆ハ字状プライの半径方向外方域を、スパイラル補強層に、2mm以上、スパイラル補強層の幅の1/6以下の範囲にわたって重ね合わせることにより、トレッド部周方向の面外剛性の過度の増加を防ぎつつ、逆ハ字状プライに、十分な耐引抜け強度を付与することができる。
すなわち、両者の重なり量が2mm未満では、タイヤへの充填空気圧、負荷荷重等を、逆ハ字状プライによって十分に支持することができず、タイヤの側部剛性の低下が余儀なくされることになり、それが、スパイラル補強層の幅の1/6を越えると、トレッド部周方向の面外剛性が高くなりすぎて接地面積が不足し、操縦安定性の低下が否めなくなる。
すなわち、両者の重なり量が2mm未満では、タイヤへの充填空気圧、負荷荷重等を、逆ハ字状プライによって十分に支持することができず、タイヤの側部剛性の低下が余儀なくされることになり、それが、スパイラル補強層の幅の1/6を越えると、トレッド部周方向の面外剛性が高くなりすぎて接地面積が不足し、操縦安定性の低下が否めなくなる。
そしてまた、このような逆ハ字状プライの半径方向の内端を、タイヤビード部の半径方向外縁位置、たとえば、ビードフィラの半径方向外縁位置より内周側となる部分に位置させることにより、リムに固定される高剛性のビード部によって逆ハ字状プライの不測の抜け出しを有効に拘束することができる。
なおこのことは、請求項2に係る発明のように、逆ハ字状プライの半径方向の内端を、リムにより強固に固定されるビードコアの外周縁より半径方向内方に位置させて、そのビードコアをもって、プライの引き抜け拘束力を一層高めた場合により効果的であり、逆ハ字状プライのプライコードは、タイヤに入力される前後方向路面反力を、より確実に支持し、また効率良く伝達することができる。
なおこの場合は、逆ハ字状プライを、ビードコアの外周縁より半径方向内方位置に一旦通過させた後、その端部分をビードコアの周りに巻き上げることも可能であり、これによれば、逆ハ字状プライの耐引き抜け性をより一層高めることができる。
しかるに、逆ハ字状プライの端部分を、ビードコアの周りにこのように巻上げるときは、巻上げ高さが高くなりすぎると、その逆ハ字状プライそれ自体が交差層を形成することになって、タイヤの構造がバイアス構造に近くなりすぎるので、その巻上げ高さは、ビードコアの外周縁から、スパイラル補強層の側縁までの半径方向高さの2/3までの高さにすることが好ましい。
しかるに、逆ハ字状プライの端部分を、ビードコアの周りにこのように巻上げるときは、巻上げ高さが高くなりすぎると、その逆ハ字状プライそれ自体が交差層を形成することになって、タイヤの構造がバイアス構造に近くなりすぎるので、その巻上げ高さは、ビードコアの外周縁から、スパイラル補強層の側縁までの半径方向高さの2/3までの高さにすることが好ましい。
以上に述べたいずれかのタイヤにおいて、請求項3に記載したように、逆ハ字状プライの有機繊維コードの、タイヤ赤道線に対する傾き角を30〜70°の範囲としたときは、バイアス構造に特有の作用をより効果的に発揮させることができる。
それが30°未満では、スパイラル補強層の構造に近くなりすぎて、適切な側部剛性を確保することができず、操縦安定性等の性能の低下のおそれが高くなり、逆に70°を越えると、タイヤの構造がラジアル構造に近くなりすぎて、バイアス構造に由来する作用の実現が困難になる。
それが30°未満では、スパイラル補強層の構造に近くなりすぎて、適切な側部剛性を確保することができず、操縦安定性等の性能の低下のおそれが高くなり、逆に70°を越えると、タイヤの構造がラジアル構造に近くなりすぎて、バイアス構造に由来する作用の実現が困難になる。
そして、請求項4に記載したように、層間でコードが相互に交差して延びる、少なくとも二層のベルト層のそれぞれのコードを、タイヤ赤道線に対して45〜85°の範囲の角度で延在させた場合には、ベルトの、所要の面外剛性および面内剛性のそれぞれをうまく両立させることができる。
すなわち、ベルトコード角度が45°未満では、ベルトの面外剛性が高くなりすぎて接地面積が減少し、トラクション性能およびブレーキング性能の低下のおそれがあり、85°を越えると、ベルトの面内剛性が低くなりすぎて横力が不足するおそれがある。
すなわち、ベルトコード角度が45°未満では、ベルトの面外剛性が高くなりすぎて接地面積が減少し、トラクション性能およびブレーキング性能の低下のおそれがあり、85°を越えると、ベルトの面内剛性が低くなりすぎて横力が不足するおそれがある。
また、請求項5に係る発明のように、層間でコードが相互に交差して延びるベルト層の、少なくとも一層のベルト層コードをスチールコードとした場合は、ベルトの面内剛性を高めて操縦安定性を向上させることができる。
そして、この場合のスチールコードを、0.15〜0.25mmの直径を有する、スチール単線もしくは、それらを撚ったコードとしたときは、ベルトの剛性を適切なものとすることができる。
コード直径が0.15mm未満では、径が細くなりすぎて、ベルトに所要の剛性を付与することが難しく、それが0.25mmを越えるとベルトの剛性が高くなりすぎて接地性が損われるおそれがある。
そして、この場合のスチールコードを、0.15〜0.25mmの直径を有する、スチール単線もしくは、それらを撚ったコードとしたときは、ベルトの剛性を適切なものとすることができる。
コード直径が0.15mm未満では、径が細くなりすぎて、ベルトに所要の剛性を付与することが難しく、それが0.25mmを越えるとベルトの剛性が高くなりすぎて接地性が損われるおそれがある。
図5はこの発明の実施形態を示す図であり、図5(a)は、この発明に係るタイヤの子午線断面図である。
図5(a)中1はトレッド部を、2は、トレッド部1のそれぞれの側部に連続する一対のサイドウォール部を、そして3は、各サイドウォール部2の内周側に連続するビード部をそれぞれ示す。
図5(a)中1はトレッド部を、2は、トレッド部1のそれぞれの側部に連続する一対のサイドウォール部を、そして3は、各サイドウォール部2の内周側に連続するビード部をそれぞれ示す。
ここでは、各ビード部3に配設した一対のビードコア4間に、有機繊維コードからなる内外二枚以上、図では二枚のカーカスプライ5a,5bにて形成されて、上記の各部1,2,3を補強するカーカス5をトロイダルに延在させて配設するとともに、このカーカス5のクラウン域の外周側に、二層以上のベルト層、これも図では、二層のベルト層6a,6bからなるベルト6を配設しており、隣接する二層のベルト層6a,6bのコードを、相互に交差する方向、たとえば、タイヤ赤道線に対して相互に逆方向となる向きに延在させて配置している。
そしてまた、このようなベルト6のさらに外周側に、高弾性の有機繊維コードまたはスチールコードを、タイヤ赤道線の方向に向けて延在させて、タイヤ子午線方向に螺旋状に巻回して形成した一層以上、図では、ベルト6より広幅の一層のスパイラル補強層7を設け、かかるスパイラル補強層7のさらに外周側にトレッドゴム8を配設している。
ここで、スパイラル補強層7は、たとえば、生タイヤの成型に当って、一本もしくは、相互に平行に引き揃えた複数本のコードを一体的にゴム被覆してなる、2〜20mmの幅のリボン状ストリップを、ベルト素材の外周側で、赤道線方向への延在態様で、子午線方向に、隙間なくまたは、所定の隙間を隔てて螺旋状に連続巻回することによって成型したものに加硫を施すことにより構成することができる。
このタイヤでは、上述したようにして構成することができるスパイラル補強層7の少なくとも一層の配設幅Lを、トレッド幅Wの0.8〜1.2倍の範囲とし、また、少なくとも一枚のカーカスプライ、図では内層側のカーカスプライ5aを、有機繊維コードをタイヤ赤道線と直交する向きに配列させてなるラジアルプライとするとともに、他の一枚以上のカーカスプライ、図では外層側のカーカスプライ5bを、トレッド部1のそれぞれの側部域からビード部3側に向けて配設されて、図5(b)に模式的に例示するような、タイヤの正転方向の前方側からの透視下で、それぞれのトレッド側部域のコードが、図5(c)では、サイドウォール部2の一部までも含めて展開平面図で例示するように、下方側に向けて相互に接近する向きに延在する逆ハ字状プライとする。
そしてさらに、この逆ハ字状プライ5bの配設域を、それの半径方向の外方域では、図6に要部を拡大して例示するように、スパイラル補強層7に、2mm以上、そのスパイラル補強層7の幅Lの1/6以下の範囲にわたって重なり合う一方で、それの半径方向の内端が、ビード部3の半径方向の外縁位置、たとえば、ビードフィラ9の外縁位置より内周側に位置することとなるまでの領域とし、より好ましくは、この逆ハ字状プライ5bの半径方向の内端を、図5(a)に示すように、ビードコア4の外周縁より半径方向内方に位置させる。
そしてこの好適態様の下では、逆ハ字状プライ5bを、ビードコア4の周りに巻き上げることも可能である。
そしてこの好適態様の下では、逆ハ字状プライ5bを、ビードコア4の周りに巻き上げることも可能である。
以上のように構成してなるタイヤにおいてより好ましくは、図5(c)に例示するように、逆ハ字状プライ5bのプライコードの、タイヤ赤道線Eに対する傾き角α、βを30〜70°の範囲とし、また好ましくは、層間でコードが相互に交差して延びる二層のベルト層6a,6bのそれぞれのコードを、タイヤ赤道線Eに対して、図では相互に逆向きに、45〜85°の範囲の角度で延在させる。
そしてまた好ましくは、層間でコードが相互に交差して延びるベルト層6a,6bの、少なくとも一層のベルト層コードをスチールコードとし、この場合より好ましくは、スチールコードベルト層のコードを、0.15〜0.25mmの範囲の直径を有する、スチール単線もしくはそれらを撚ったコードにより構成する。
この発明に係る構成を採用した、サイズが245/40R18の実施例タイヤおよび、同サイズの比較例タイヤのそれぞれを用いた実車走行試験を行って、各種の性能を、熟練したテストドライバーのフィーリングをもって評価した。
実施例タイヤ1
実施例タイヤ1
一対のビードコアにトロイドダルに跨るカーカスプライを二枚設け、カーカスプライはいずれも直径0.5mmの、撚ったナイロンコードにより形成した。一枚をラジアルプライとし、もう一枚を逆ハ字状プライとした。
逆ハ字状プライは、ラジアルプライの外層側に配置した。プライコードは、前述した逆ハ字状配置の規定に沿って図7(a)に示すように配置した。角度はタイヤ赤道方向を0度としたとき、それぞれ40度に設定した。この逆ハ字状プライの幅は、スパイラル補強層の側縁より20mm内側から、ビードコアを跨ぐように配置するとともに、ビードコアの周りに巻上げたプライの端位置は、ビードコアのタイヤ径方向の上端と重なるように配置した。
逆ハ字状プライは、ラジアルプライの外層側に配置した。プライコードは、前述した逆ハ字状配置の規定に沿って図7(a)に示すように配置した。角度はタイヤ赤道方向を0度としたとき、それぞれ40度に設定した。この逆ハ字状プライの幅は、スパイラル補強層の側縁より20mm内側から、ビードコアを跨ぐように配置するとともに、ビードコアの周りに巻上げたプライの端位置は、ビードコアのタイヤ径方向の上端と重なるように配置した。
これらのプライの径方向外側に、タイヤ赤道線に対して60度の同一角度で交差する、スチールベルト層を2層配置した。これらのベルト層コードは、直径0.2mmのスチールの単線を3本撚ったものを、打ち込み間隔1.2mmで打ち込んだものを使用した。ベルト屑の幅はトレッド幅245mmに対してlベルト繊維コード(内側層)を235mm、2ベルト(外側層)を225mmに設定した。
これらのベルト層の外周側に、芳香族ポリアミド繊維コード(商標 ケブラー)をタイヤ赤道線方向に対して実質0度となるようにぐるぐると巻きつけたスパイラル補強層を配置した。ケブラーは直径0.7mmの撚ったケブラーコードを、打ち込み間隔1.0mmで配置している。スパイラル補強層はベルト層全体を覆うように配置し、トレッド幅よりも広い255mとした。
トレッドゴムは、補強層のうち径方向の最外層になるスパイラル補強層からタイヤ外表面までの厚みを10mmとし、一般的な乗用車に用いられる所定の溝を設けたタイヤとした。
実施例タイヤ2
実施例タイヤ2
実施例タイヤ1の構造をベースとしたが、実施例タイヤ1では、逆ハ字状プライの端部位置を、ラジアルプライと1ベルト間に位置させていたのに対し、この実施例タイヤ2では、図7(b)に示すように、1ベルトと2ベルトの間に挟む構成とした。他は実施例タイヤ1と同じ構造とした。
実施例タイヤ3
実施例タイヤ3
実施例タイヤ1の構造をベースとしたが、逆ハ字状プライの端部位置と、レイヤー層を付加した点で構成を異にする。
実施例タイヤ1ではラジアルプライ1とベルト間にプライ端を配置しているが、この実施例タイヤ3では、実施例タイヤ1のスパイラル補強層の上にさらにタイヤ赤道方向に対して実質0度となるようにぐるぐると巻きつけた層(レイヤ一層)を配置し、このレイヤー層とスパイラル補強層の間に挟む位置にプライ端を配置した。
実施例タイヤ1ではラジアルプライ1とベルト間にプライ端を配置しているが、この実施例タイヤ3では、実施例タイヤ1のスパイラル補強層の上にさらにタイヤ赤道方向に対して実質0度となるようにぐるぐると巻きつけた層(レイヤ一層)を配置し、このレイヤー層とスパイラル補強層の間に挟む位置にプライ端を配置した。
レイヤー層は、スパイラル補強層の両側部域にそれぞれ幅50mmの幅をもち、端位置は前記スパイラル補強層の側縁に揃う位置とした。レイヤー層の材質はコード径0.6mmの撚ったナイロンコードを用いた。
比較例タイヤ1
比較例タイヤ1
一対のビードコアにトロイドダルに跨るタイヤカーカスプライを二枚設け、いずれのカーカスプライも、直径0.5mmの撚ったナイロンコードにより形成しており、図8(a)に示すように、二枚ともラジアルプライ(タイヤ赤道線に対して90度の角度)とした。
これらのプライの径方向外側に、タイヤ赤道線に対して35度の同一角度で交差する、スチールベルト層を二層配置した。これらのベルト層は、直径0.2mmのスチールの単線を3本撚ったものを、打ち込み間隔1.2mmで打ち込んだものを使用した。
ベルト層の幅はトレッド幅245mmに対して1ベルト(内側層)を235mm、2ベルト(外側層)を225nmに設定した。
このベルト層のさらに径方向外側に、芳香族ポリアミド繊維コード(商標 ケブラー)をタイヤ赤道線方向に対して実質0度となるようにぐるぐると巻きつけたスパイラル補強層を配置した。ケブラーは直径0.7mmの撚ったケプラーコードを、打ち込み間隔1.0mmで配置している。スパイラル補強層はベルト層全体を覆うように配置し、トレッド幅よりも広い255mmとした。
比較例タイヤ2
ベルト層の幅はトレッド幅245mmに対して1ベルト(内側層)を235mm、2ベルト(外側層)を225nmに設定した。
このベルト層のさらに径方向外側に、芳香族ポリアミド繊維コード(商標 ケブラー)をタイヤ赤道線方向に対して実質0度となるようにぐるぐると巻きつけたスパイラル補強層を配置した。ケブラーは直径0.7mmの撚ったケプラーコードを、打ち込み間隔1.0mmで配置している。スパイラル補強層はベルト層全体を覆うように配置し、トレッド幅よりも広い255mmとした。
比較例タイヤ2
図8(b)に示すように、比較例タイヤ1のカーカスプライをバイアス構造に変更したものも製作した。
プライコードはタイヤ赤道線に対して40度の角度で交差するように製作した。
他の構造は全て比較例タイヤ1と同じとした。
比較例タイヤ3
プライコードはタイヤ赤道線に対して40度の角度で交差するように製作した。
他の構造は全て比較例タイヤ1と同じとした。
比較例タイヤ3
図8(c)に示すように、比較例タイヤ2の構成のうち、径方向内側に位置するカーカスプライをラジアル構造を有するものとした。
他は比較例タイヤ2と同じとした。
他は比較例タイヤ2と同じとした。
これらのそれぞれのタイヤについて、主に操縦安定性の評価を実施した。
FR形式(リア駆動)の車を高速走行可能なように改造したレース専用車両を用いたサーキット走行を行い、熟練したテストドライバーによる採点によって評価した。
タイヤは、フロント二輪(従動輪)を比較例タイヤ1のタイヤを常時装着し、リアの二輪(駆動輪)を変更することによって評価を行った。
FR形式(リア駆動)の車を高速走行可能なように改造したレース専用車両を用いたサーキット走行を行い、熟練したテストドライバーによる採点によって評価した。
タイヤは、フロント二輪(従動輪)を比較例タイヤ1のタイヤを常時装着し、リアの二輪(駆動輪)を変更することによって評価を行った。
天気は晴れ、風もなく良好なコンディションであった。サーキットでの最高速度は時速250キロに達した。サーキットを全開走行で10周してもらい、テストドライバーに100点満点でタイヤ6種を評価してもらった。
以下に各タイヤの評点とドライバーのコメントを示す。
以下に各タイヤの評点とドライバーのコメントを示す。
比較例タイヤ1(ラジアル):評点70点
「トラクション性能が高く、コーナー脱出時の加速が良いため直線での最高速度が伸びる。その一方でブレーキング性能はやや低く、そのためコーナ進入速度が遅くなる。」
「トラクション性能が高く、コーナー脱出時の加速が良いため直線での最高速度が伸びる。その一方でブレーキング性能はやや低く、そのためコーナ進入速度が遅くなる。」
比較例タイヤ2(バイアス):評点65点
「比較例タイヤ1と比べると、トラクション性能が劣る。直線立ち上がりが遅いため最高速度も伸びない。一方でブレーキング性能は比較例タイヤ1よりも高く、ブレーキングを遅らせてタイムを稼ぐことができる。コーナー通過速度も高いが、やや低速コーナーで横方向のグリップが不足する。」
「比較例タイヤ1と比べると、トラクション性能が劣る。直線立ち上がりが遅いため最高速度も伸びない。一方でブレーキング性能は比較例タイヤ1よりも高く、ブレーキングを遅らせてタイムを稼ぐことができる。コーナー通過速度も高いが、やや低速コーナーで横方向のグリップが不足する。」
比較例タイヤ3(ラジアル+角度付きプライ):評点60点
「コーナー進入時のグリップが不安定な傾向。右コーナーと左コーナーで挙動が異なる。運転しづらい。」
「コーナー進入時のグリップが不安定な傾向。右コーナーと左コーナーで挙動が異なる。運転しづらい。」
実施例タイヤ1(ラジアル1P+逆ハ字状プライピード巻きつけ):評点80点
「トラクション性能高く、比較例タイヤ1と同等レベルのトラクション性能を有する。またブレーキング性能も高く、比較例タイヤ2と近い。低速コーナーでの横方向グリップも高い。」
「トラクション性能高く、比較例タイヤ1と同等レベルのトラクション性能を有する。またブレーキング性能も高く、比較例タイヤ2と近い。低速コーナーでの横方向グリップも高い。」
実施例タイヤ2(ラジアル1P+逆ハ字状プライベルト間挟み):評点80点
「実施例タイヤ1とほぼ同等の性能。明確な差は感じられない。」
「実施例タイヤ1とほぼ同等の性能。明確な差は感じられない。」
実施例タイヤ3:(ラジアル1P+逆ハ字状プライレイヤー下挟み)評点75点
「操縦安定性能は実施例タイヤ1、2とほぼ同等だが、乗り心地がやや硬い印象。」
「操縦安定性能は実施例タイヤ1、2とほぼ同等だが、乗り心地がやや硬い印象。」
上記のように、実施例タイヤ1〜3のタイヤはいずれも比較例タイヤに比べていずれも高評価を得た。
比較例タイヤ1は、トラクション性能が高い点を指摘された。これはラジアルプライ構造を持つため、トラクション力が入力されたとき、前記したようにベルトリングが偏心変形し、接地面の蹴り出し側の接地圧が高くなったためと考えられる。一方でブレーキング性能がやや低いと評された理由は、同じメカニズムによって踏み込み側の接地圧が高くなり相対的に蹴り出し側の接地圧が低くなったためと考えられる。
比較例タイヤ1は、トラクション性能が高い点を指摘された。これはラジアルプライ構造を持つため、トラクション力が入力されたとき、前記したようにベルトリングが偏心変形し、接地面の蹴り出し側の接地圧が高くなったためと考えられる。一方でブレーキング性能がやや低いと評された理由は、同じメカニズムによって踏み込み側の接地圧が高くなり相対的に蹴り出し側の接地圧が低くなったためと考えられる。
比較例タイヤ2は、トラクション性能が比較例タイヤ1よりも劣り、ブレーキング性能が高いと評された。これはラジアル構造の項で説明した理由による。
また、低速コーナーでの横方向グリップが低いと評された理由は、バイアス構造はラジアル構造に比べてベルトの面外方向の曲げ剛性が高くなり、面外剛性が高いと、タイヤが接地したときに接地長が短くなってしまう(一方でラジアルプライの場合は、接地長方向に対してコードが平行に配置されているため、接地長ののびを阻害しない)ため、特に低速度コーナー(空力による荷重増加効果が減って低荷重になる)で接地面積が小さくなり、グリップが不足してしまうと考えられる。
また、低速コーナーでの横方向グリップが低いと評された理由は、バイアス構造はラジアル構造に比べてベルトの面外方向の曲げ剛性が高くなり、面外剛性が高いと、タイヤが接地したときに接地長が短くなってしまう(一方でラジアルプライの場合は、接地長方向に対してコードが平行に配置されているため、接地長ののびを阻害しない)ため、特に低速度コーナー(空力による荷重増加効果が減って低荷重になる)で接地面積が小さくなり、グリップが不足してしまうと考えられる。
比較例タイヤ3は、コーナー進入時のグリップが不安定と評された。これはラジアルプライ一枚に角度付きプライ一枚を組み合わせたことで、左右でプライの向き(角度)が同一となったためであると考えられる。
そのため進行方向に対して内側と外側で、それぞれブレーキング時とトラクション時の偏心変形のしやすさが異なってしまい、ステアリングを切ったときの接地形状の変化と相まって挙動が不安定になったと考えられる。
そのため進行方向に対して内側と外側で、それぞれブレーキング時とトラクション時の偏心変形のしやすさが異なってしまい、ステアリングを切ったときの接地形状の変化と相まって挙動が不安定になったと考えられる。
実施例タイヤ1は、トラクション性能が比較例タイヤ1と同等で、かつブレーキング性能は比較例タイヤ2と同等と評された。これはラジアルプライおよび逆ハ字状プライのそれぞれの、前述したような機能によるものと考えられる(トラクション時は偏心変形しやすく、ブレーキング時には偏心変形しにくい)。
また、比較例タイヤ2と比べて低速コーナーでのグリップが高いのは、トレッド内ではプライがラジアル構造となっているため、面外剛性が比較例タイヤ2(バイアス構造)よりも低く、十分な接地面横が確保できているためと考えられる。
また、比較例タイヤ2と比べて低速コーナーでのグリップが高いのは、トレッド内ではプライがラジアル構造となっているため、面外剛性が比較例タイヤ2(バイアス構造)よりも低く、十分な接地面横が確保できているためと考えられる。
実施例タイヤ2は、実施例タイヤ1とほぼ同等の性能であった。これは、逆ハ字状プライのプライ端の処理が、必ずしもベルトと、内層側のカーカスプライとの間でなくとも良いことを示している。
ベルト層間に挟んでもよいし、スパイラル補強層ベルトとの間に挟んでも良い。
スパイラル補強層の上にプライ端を持ってきても良いとかんがえられる。
ベルト層間に挟んでもよいし、スパイラル補強層ベルトとの間に挟んでも良い。
スパイラル補強層の上にプライ端を持ってきても良いとかんがえられる。
実施例タイヤ3は、操縦安定性能においては実施例タイヤ1、2と近い性能を発揮したものの、乗り心地がやや硬いと評された。これはレイヤー層の追加によってタイヤの剛性が上がったことで、路面段差の乗り越し時などの突き上げが悪化したためと考えられる。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 ビードコア
5 カーカス
5a ラジアルプライ
5b 逆ハ字状プライ
6 ベルト
6a,6b ベルト層
7 スパイラル補強層
8 トレッドゴム
9 ビードフィラ
E 赤道線
W トレッド幅
L スパイラル補強層幅
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 ビードコア
5 カーカス
5a ラジアルプライ
5b 逆ハ字状プライ
6 ベルト
6a,6b ベルト層
7 スパイラル補強層
8 トレッドゴム
9 ビードフィラ
E 赤道線
W トレッド幅
L スパイラル補強層幅
Claims (6)
- 有機繊維コードからなるカーカスプライの二枚以上にて形成されて、タイヤビード部に配設した対をなすビードコア間にトロイダルに延びるカーカスと、このカーカスのクラウン域の外周側に配設した二層以上のベルト層からなり、少なくとも二層のベルト層のコードを相互に交差する方向に延在させて配置したベルトと、ベルトの外周側で、タイヤ赤道線方向に向けて延在させて、タイヤ子午線方向に螺旋状に巻回した、有機繊維コードまたはスチールコードからなる一層以上のスパイラル補強層とを具えてなる空気入りタイヤであって、
スパイラル補強層の少なくとも一層の配設幅を、トレッド幅の0.8〜1.2倍の範囲とし、少なくとも一枚のカーカスプライを、タイヤ赤道線と直交する向きのコード配列になるラジアルプライとするとともに、他の一枚以上のカーカスプライを、トレッド部のそれぞれの側部域からタイヤビード部側に向けて配設されて、タイヤの回転方向の前方側からの透視下で、それぞれの側部域のコードが下方側に向けて相互に接近する向きに延在する逆ハ字状プライとし、この逆ハ字状プライの配設域を、スパイラル補強層に、2mm以上、スパイラル補強層の幅の1/6以下の範囲にわたって重なり合う位置から、タイヤビード部の半径方向外線位置より内周側に位置することとなるまでの領域としてなる空気入りタイヤ。 - 逆ハ字状プライの半径方向の内端を、ビードコアの外周縁より半径方向内方に位置させてなる請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 逆ハ字状プライのコードの、タイヤ赤道線に対する傾き角を30〜70°の範囲としてなる請求項1もしくは2に記載の空気入りタイヤ。
- 層間でコードが相互に交差して延びる、少なくとも二層のベルト層のそれぞれのコードを、タイヤ赤道線に対して、45〜85°の範囲の角度で延在させてなる請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 層間でコードが相互に交差して延びるベルト層の、少なくとも一層のベルト層コードをスチールコードとしてなる請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- スチールコードベルト層のコードを、0.15〜0.25mmの範囲の直径を有する、スチール単線もしくはそれらを撚ったコードで構成してなる請求項5に記載の空気入りタイヤ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013216249A (ja) * | 2012-04-11 | 2013-10-24 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | 空気入りタイヤ |
JP2014223839A (ja) * | 2013-05-15 | 2014-12-04 | 株式会社ブリヂストン | 空気入りタイヤ |
JP2016026129A (ja) * | 2010-06-21 | 2016-02-12 | 株式会社ブリヂストン | 乗用車用空気入りラジアルタイヤ |
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WO2018225387A1 (ja) * | 2017-06-05 | 2018-12-13 | 株式会社ブリヂストン | タイヤ |
-
2007
- 2007-06-04 JP JP2007148163A patent/JP2008296865A/ja not_active Withdrawn
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