JP2008296681A - 車両のステアリング制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 未熟練なオペレータといえども高速走行時にステアリング切り直しを行わせないようにして、タイヤの寿命向上を図る。車両の仕様を変更することなく、熟練度に応じた最適な操作性が得られるようにする。未熟練なオペレータが迅速に操作技能レベルを高めていくことができる、車両の運転教育を兼ねたステアリング制御装置を市場に提供する。
【解決手段】 判定手段20では、高速走行時にステアリング切り直し操作が行われたか否かが判定される。習熟度判別手段40では、判定手段20の判定結果に基づいて、ステアリング感度の大きさを低くするか、あるいはステアリング感度を高くするかが判別される。ステアリング感度変更手段30では、習熟度判別手段40の判別結果に応じて、ステアリング感度が変更される。
【選択図】 図6
【解決手段】 判定手段20では、高速走行時にステアリング切り直し操作が行われたか否かが判定される。習熟度判別手段40では、判定手段20の判定結果に基づいて、ステアリング感度の大きさを低くするか、あるいはステアリング感度を高くするかが判別される。ステアリング感度変更手段30では、習熟度判別手段40の判別結果に応じて、ステアリング感度が変更される。
【選択図】 図6
Description
本発明は、ホイールローダ、フォークリフト等の作業車両を含む車両に関し、特に車両のステアリング機構を制御する装置に関するものである。
ホイールローダ、フォークリフトなどの作業車両では、ステアリングハンドル、レバー等のステアリング用操作子の操作に応じて車両のステアリング機構が動作されて、ステアリング機構の操舵角が変化されて、車両の走行方向(旋回半径)が変化される。
図1は、ホイールローダ100のステアリング機構90を一例として示している。
すなわち、図1に示すホイールローダ100は、車体屈折式(アーティキュレート式)の作業車両であり、ステアリング用操作子としてのジョイスティック1が操作されることにより、センタヒンジ91を回動支点として、車体100Aの後部100Rに対して車体100Aの前部100Fが相対的に左右に回動するように構成されている。これにより車体100Aの後部100Rに対する車体の前部100Fの操舵角(アーティキュレート角)αが変化し、この操舵角αに応じた旋回半径で車両100を旋回させることができる。
この車両100のステアリング制御装置は、ステアリング用操作子1の操作量βに応じた流量の圧油をステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lに対して供給してステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lを作動させ、ステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lの作動量に応じて車両100のステアリング機構90の操舵角(アーティキュレート角)αを変化させるように構成されている。
ホイールローダなどの作業車両の分野では、ジョイスティックやステアリングハンドルなどのステアリング用操作子の操作と、ステアリング機構の操舵との関係、つまりステアリング感度を一義的な一定の関係とするのではなく、車速によってステアリング感度を変化させることで操作性、走行性などを向上させる試みがなされている。
(特許文献に見られる従来技術1)
特許文献1、2には、ステアリング用操作子をジョイスティックレバーにて構成し、ジョイスティックレバーの傾き角βと、アーティキュレート角αとの偏差がなくなるように、ステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lに供給される圧油の流量を制御するステアリング制御装置が開示されている。特許文献1、2には、高速走行時の旋回安定性を確保するために、上記偏差の大きさが同じであっても、車速が高いときには、ステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lに供給される圧油の流量を減らしてアーティキュレート角αの変化量を少なくするともに、車速が低いときには、ステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lに供給される圧油の流量を増加させてアーティキュレート角αの変化量を大きくするという発明が記載されている。
特許文献1、2には、ステアリング用操作子をジョイスティックレバーにて構成し、ジョイスティックレバーの傾き角βと、アーティキュレート角αとの偏差がなくなるように、ステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lに供給される圧油の流量を制御するステアリング制御装置が開示されている。特許文献1、2には、高速走行時の旋回安定性を確保するために、上記偏差の大きさが同じであっても、車速が高いときには、ステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lに供給される圧油の流量を減らしてアーティキュレート角αの変化量を少なくするともに、車速が低いときには、ステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lに供給される圧油の流量を増加させてアーティキュレート角αの変化量を大きくするという発明が記載されている。
(特許文献に見られる従来技術2)
特許文献3には、非熟練オペレータが熟練オペレータが操作したのと同様の高品質な作業をなし得るようにするために、作業車両に、学習制御器を搭載して、オペレータが熟練者であるか未熟練であることを判別する手段と、熟練オペレータが操作レバーを操作したときの操作レバーの操作信号と作業機用アクチュエータに与える動作指令信号との関係を記憶する手段と、未熟練オペレータが操作レバーを操作したときに、操作レバーの操作信号と作業機用アクチュエータに与える動作指令信号との関係が熟練オペレータと同様の関係となるように、操作レバーの操作信号と作業機用アクチュエータに与える動作指令信号との関係を修正する手段を設けるという発明が記載されている。
特開平11-105723号公報
特開平11-321664号公報
特開2001-142506号公報
特許文献3には、非熟練オペレータが熟練オペレータが操作したのと同様の高品質な作業をなし得るようにするために、作業車両に、学習制御器を搭載して、オペレータが熟練者であるか未熟練であることを判別する手段と、熟練オペレータが操作レバーを操作したときの操作レバーの操作信号と作業機用アクチュエータに与える動作指令信号との関係を記憶する手段と、未熟練オペレータが操作レバーを操作したときに、操作レバーの操作信号と作業機用アクチュエータに与える動作指令信号との関係が熟練オペレータと同様の関係となるように、操作レバーの操作信号と作業機用アクチュエータに与える動作指令信号との関係を修正する手段を設けるという発明が記載されている。
ホイールローダは、近年大型化が進んでいる。このため未熟練なオペレータにとっては、運転操作時に車幅感覚を把握しにくく、ステアリング用操作子の操作に対する車体の挙動を把握しにくくなってきている。
車両が低速で走行しているときには、単位時間当たりの旋回量が小さいために未熟練なオペレータといえども、ステアリング操作によって車両の進行方向を制御することが可能である。しかし、車両が高速で走行しているときには、単位時間当たりの旋回量が大きいために、ステアリング操作によって車両の進行方向を制御することが困難となり、未熟練なオペレータは、ステアリング切り直し操作を行ってしまうことが多い。
ここで、ステアリング切り直し操作について図2を参照して説明する。
図2は、車両を高速で旋回させてから直進走行に戻すときの車両の挙動を示している。図2の実線は目標走路で、破線は車両の実際の走行軌跡を示している。
すなわち、未熟練なオペレータは、カーブを曲がりきって直進走行に戻す際に車両の進行方向を制御しきれず、ステアリング操作子を逆方向に操作することを繰り返し、矢印a1、b1、a2、b2…と示すように左右に車両を蛇行させる傾向がある(ステアリング切り直し操作)。
このようなステアリング切り直し操作が行われると、つぎのような問題が発生する。
1)ステアリング切り直し操作が行われると、車体のふらつきによって作業効率が損なわれるばかりでなく、車体の左右のタイヤに大きな負荷がかかる。このためタイヤの摩耗の進行が早まりタイヤの寿命が低下する。とりわけ大型の作業車両のタイヤは、非常に高価であり、タイヤの寿命が低下してタイヤの交換時期が早まると、高コストを招き、ユーザにとって大きな負担となる。
2)車両を運転操作するオペレータの熟練度は様々である。一方、車両のステアリング感度は、従来技術1に示されるごとく、車速に応じて変化はするものの、オペレータの熟練度に応じては変化しない。またオペレータが任意にステアリング感度を選択できるような仕様にすると、別のオペレータがステアリング感度が変更されたことを認識せずに違和感を覚えながら操作することになり、作業が非効率になるなどの問題が発生する。このため、現在はオペレータが自由に選択できない仕様となっている。通常は、熟練したオペレータを想定したステアリング感度に設定されている。この熟練したオペレータを想定したステアリング感度は、熟練者にとっては扱いやすい操作性ではあるものの、未熟練なオペレータにとっては、高速走行時にステアリング操作に対する車体の挙動が敏感であるという印象を与え、図2で説明したごとくステアング切り直し操作を強いられ、極めて操作性が良くないという印象を与えることとなっている。
3)上述したごとく、ステアリング感度が、熟練したオペレータを想定したステアリング感度に設定されていると、未熟練なオペレータにとっては、きわめて操作技能レベルのハードルが高く、操作に慣れるまでに時間がかかり、操作技能レベルの迅速な向上が望めない。このため未熟練オペレータの操作技能レベルの迅速な向上を図ることができる、車両の運転教育を兼ねたステアリング制御装置の開発が望まれている。
本発明は、こうした実状に鑑みてなされたものであり、未熟練なオペレータといえども高速走行時にステアリング切り直しを行わせないようにして、タイヤの寿命向上を図り、上記1)の問題点を解決することを課題とする。また、本発明は、車両の仕様を変更することなく、熟練度に応じた最適な操作性が得られるようにして、上記2)の問題点を解決することを課題とする。また、本発明は、未熟練なオペレータが迅速に操作技能レベルを高めていくことができる、車両の運転教育を兼ねたステアリング制御装置を市場に提供して、上記3)の問題点を解決することを課題とする。
なお、上記従来技術1によれば、車両のステアリング感度は、車速に応じて変化はするものの、オペレータの熟練度を考慮したものではない。よって、従来技術1は、本発明の上記課題を何ら示唆するものではない。
また、上記従来技術2によれば、未熟練なオペレータに熟練した操作を行わせるためには、車両の学習制御器に、熟練したオペレータの操作内容のデータを「仕込む」ことが不可欠となる。すなわち、従来技術2は、熟練者の存在無しでは成立し得ないものである。これに対して本発明は、熟練者の存在無しで、未熟練なオペレータに熟練した操作を行わせようとするものである。また、上記従来技術2によれば、オペレータの操作がそのまま指令として出力されているわけではなく、熟練者のものに修正された上で出力される。未熟練者に操作に対して熟練者による補助が行われるものであり、これでは未熟練なオペレータの操作技能レベルの向上は望めない。つまり従来技術2は、運転教育を兼ねたステアリング制御装置を市場に提供しようとする上記3)の課題を示唆するものではない。
第1発明は、
ステアリング用操作子の操作に応じて車両のステアリング機構を動作させてステアリング機構の操舵角を変化させるようにした車両のステアリング制御装置において、
高速走行時にステアリング切り直し操作が行われたか否かを判定する判定手段と、
判定手段の判定結果に基づいて、ステアリング感度を変更するステアリング感度変更手段と
を備えたことを特徴とする。
ステアリング用操作子の操作に応じて車両のステアリング機構を動作させてステアリング機構の操舵角を変化させるようにした車両のステアリング制御装置において、
高速走行時にステアリング切り直し操作が行われたか否かを判定する判定手段と、
判定手段の判定結果に基づいて、ステアリング感度を変更するステアリング感度変更手段と
を備えたことを特徴とする。
第2発明は、
ステアリング用操作子の操作に応じて車両のステアリング機構を動作させてステアリング機構の操舵角を変化させるようにした車両のステアリング制御装置において、
高速走行時にステアリング切り直し操作が行われたか否かを判定する判定手段と、
判定手段の判定結果に基づいて、ステアリング感度の大きさを低くするか、あるいはステアリング感度を高くするかを判別する習熟度判別手段と、
習熟度判別手段の判別結果に応じて、ステアリング感度を変更するステアリング感度変更手段と
を備えたことを特徴とする。
ステアリング用操作子の操作に応じて車両のステアリング機構を動作させてステアリング機構の操舵角を変化させるようにした車両のステアリング制御装置において、
高速走行時にステアリング切り直し操作が行われたか否かを判定する判定手段と、
判定手段の判定結果に基づいて、ステアリング感度の大きさを低くするか、あるいはステアリング感度を高くするかを判別する習熟度判別手段と、
習熟度判別手段の判別結果に応じて、ステアリング感度を変更するステアリング感度変更手段と
を備えたことを特徴とする。
第3発明は、第1発明または第2発明において、
ステアリング感度は、高速走行時の基準のステアリング感度を上限として、複数のレベルが予め設定されていること
を特徴とする。
ステアリング感度は、高速走行時の基準のステアリング感度を上限として、複数のレベルが予め設定されていること
を特徴とする。
第4発明は、第1発明または第2発明において、
作業機を備えた作業車両に適用され、
判定手段は、作業が行なわれる速度域よりも高い速度域を、高速走行であると判定すること
を特徴とする。
作業機を備えた作業車両に適用され、
判定手段は、作業が行なわれる速度域よりも高い速度域を、高速走行であると判定すること
を特徴とする。
第5発明は、第1発明または第2発明において、
ステアリング用操作子の操作量に応じた流量の圧油をステアリング用油圧アクチュエータに対して供給して当該ステアリング用油圧アクチュエータの作動に応じて車両のステアリング機構を動作させて当該ステアリング機構の操舵角を変化させる作業車両に適用されること
を特徴とする。
ステアリング用操作子の操作量に応じた流量の圧油をステアリング用油圧アクチュエータに対して供給して当該ステアリング用油圧アクチュエータの作動に応じて車両のステアリング機構を動作させて当該ステアリング機構の操舵角を変化させる作業車両に適用されること
を特徴とする。
第1発明のステアリング制御装置10は、図1に示すように、ステアリング用操作子1の操作に応じて車両100のステアリング機構90を動作させてステアリング機構90の操舵角αを変化させる制御装置である。
ステアリング制御装置10は、図3に示すように、判定手段20と、ステアリング感度変更手段30とを含んで構成される。
判定手段20では、高速走行時にステアリング切り直し操作が行われたか否かが判定される。
ステアリング感度変更手段30では、判定手段20の判定結果に基づいて、ステアリング感度が変更される。
第2発明のステアリング制御装置10は、判定手段20と、習熟度判別手段40と、ステアリング感度変更手段30とを含んで構成される。
判定手段20では、高速走行時にステアリング切り直し操作が行われたか否かが判定される。
習熟度判別手段40では、判定手段20の判定結果に基づいて、ステアリング感度の大きさを低くするか、あるいはステアリング感度を高くするかが判別される。
ステアリング感度変更手段30では、習熟度判別手段40の判別結果に応じて、ステアリング感度が変更される。
第1発明、第2発明では、オペレータの任意の選択によってステアリング感度の変更が可能になっているわけではなく、オペレータが実際にステアリング操作子を操作して、その操作をした結果から判定を行い、その判定結果に基づいて、熟練度に応じたステアリング感度に変更される。
このため車両の仕様を変更することなく、熟練度に応じた最適な操作性が得られる。これにより上記2)の問題点が解決される。
このように熟練度に応じた最適なステアリング感度に変更されステアリング操作子が最適な操作性をもって操作されるため、ステアリング感度変更後は、高速走行時にステアリング切り直し操作が行われることが回避される。この結果、未熟練なオペレータといえども高速走行時にステアリング切り直しが行われなくなり、タイヤの寿命が向上する。これにより上記1)の問題点が解決される。
また本発明によれば、未熟練なオペレータに、最初から、熟練オペレータを想定した未熟練なものにとってハードルの高いステアリング操作を強いるわけではなく、熟練度に応じて段階的にステアリング感度が変更されていく。このため迅速に操作技能レベルを高めることが可能となる。これにより車両の運転教育を兼ねたステアリング制御装置を市場に提供することができ、上記3)の問題点が解決される。
第3発明では、図5に示すように、ステアリング感度Lは、高速走行時の基準のステアリング感度L0を上限として、複数のレベルL0、L1、L2、L3が予め設定されている。すなわち、熟練したオペレータは、従来通り、ステアリング感度が高い基準のステアリング感度L0をもってステアリング操作子1を操作することができる。一方、未熟練なオペレータは、熟練度に応じて、基準のステアリング感度L0ないしは基準のステアリング感度L0よりも感度の低いステアリング感度L1またはL2またはL3をもってステアリング操作子1を操作することができる。
第4発明では、図1に示すように、作業機101を備えた作業車両100に適用される。
ステアリング制御装置10の判定手段20は、作業が行なわれる速度域よりも高い速度域を、高速走行であると判定する。
すなわち、ホイールローダなどの作業車両100は、たとえば積み込み作業を行うとき車速を低速にして、車体100Aを左右に操舵させる動作を煩雑に行う。かかる低速の作業時には、未熟練なオペレータといえども、ステアリング感度を基準の感度よりも低くしなくても、ステアリング切り直し操作を行うことはない。むしろ、ステアリング感度を低くすることによって車体100Aの挙動が鈍くなり作業効率が悪化するおそれがある。このため、作業が行なわれる速度域よりも高い速度域に限って、ステアリング感度を基準の感度から低くすることで、低速作業時の作業効率向上を図るものである。
第5発明では、図3に示すように、ステアリング用操作子1の操作量βに応じた流量の圧油をステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lに対して供給して当該ステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lの作動に応じて車両100のステアリング機構90を動作させて当該ステアリング機構90の操舵角αを変化させる構成の作業車両100に適用される。
すなわち、ホイールローダなどの作業車両100の多くは、油圧駆動のステアリング機構90が採用されており、このような油圧駆動のステアリング機構90では、油圧アクチュエータ2R、2Lに供給される圧油の流量を制御することで、ステアリング感度を変更することができる。
以下、図面を参照して本発明に係る車両のステアリング制御装置の実施の形態について説明する。なお、実施例では、ホイールローダ、フォークリフトなどの作業車両を想定して説明するが、本発明は、作業車両以外の一般自動車にも適用することができる。
図1は、作業車両100として代表的なホイールローダ100のステアリング機構90を一例として示している。
すなわち、図1に示すホイールローダ100は、車体屈折式(アーティキュレート式)の作業車両であり、センタヒンジ91を回動支点として、車体100Aの後部100Rに対して車体100Aの前部100Fが相対的に左右に回動自在に連結されている。車体100Aの左側には、右操向のためのステアリング用油圧アクチュエータ2Rが設けられているとともに、車体100Aの右側には、左操向のためのステアリング用油圧アクチュエータ2Lが設けられている。ステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lとしては油圧シリンダが用いられる。ステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lのシリンダボディは、車体後部100Rに連結されているとともに、ステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lのロッドは、車体前部100Fに連結されている。これらセンタヒンジ91、ステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lは、ステアリング機構90を構成している。ステアリング用油圧アクチュエータ2Rのロッドが伸張するとともにステアリング用油圧アクチュエータ2Lのロッドが縮退することで、車体後部100Rに対して車体前部100Fが相対的に右向きに回動する。また、ステアリング用油圧アクチュエータ2Lのロッドが伸張するとともにステアリング用油圧アクチュエータ2Rのロッドが縮退することで、車体後部100Rに対して車体前部100Fが相対的に左向きに回動する(図1の状態)。
ステアリング用操作子1が操作されることにより、ステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lに圧油が供給され、センタヒンジ91を回動支点として、車体の後部100Rに対して車体の前部100Fが相対的に左右に回動する。これにより車体の後部100Rに対する車体の前部100Fの折れ曲がり角(アーティキュレート角)αが変化し、このアーティキュレート角αに応じた旋回半径で車両1を旋回させることができる。なお、本実施例では、ステアリング用操作子1として、傾動操作でステアリング機構90を作動させるジョイスティックレバーを想定している。しかし本発明としては、傾動操作に限ることなくステアリングハンドルの回転操作、ボタンによる押動操作などによってステアリング機構90を作動させるステアリング用操作子に適用してもよい。
図3は、実施形態のステアリング制御装置の構成を示している。図3のステアリング制御装置は、図1に示す作業車両(ホイールローダ)100に搭載されている。
図3は、実施形態のステアリング制御装置の構成を示している。図3のステアリング制御装置は、図1に示す作業車両(ホイールローダ)100に搭載されている。
車両100のステアリング制御装置10は、ステアリング機構90を制御する装置であり、コントローラ50と、油圧回路60とからなる。コントローラ50は、判定手段20と、習熟度判別手段40と、ステアリング感度変更手段30とを含んで構成されている。油圧回路60は、ステアリング機構90のステアリング用アクチュエータ2R、2Lに圧油を供給する回路である。
本実施例の車両100では、ジョイスティックレバー1の傾動角βに対応する大きさの舵角が得られるように、操舵角(アーティキュレート角)αが制御される。
このため、油圧回路60は、前述の特許文献1、特許文献2に開示されたのと同様に、ジョイスティックレバー1の傾き角βと、アーティキュレート角αとの偏差がなくなるように、ステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lに供給される圧油の流量が制御される回路で構成されている。
また、油圧回路60は、ステアリング感度を調整するために、ステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lに供給される圧油の流量が調整可能に構成されている。ステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lに供給される圧油の流量の調整は、コントローラ50によって行われる。コントローラ50から制御電気指令を油圧回路60の電磁比例制御弁61に与えることで、ステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lに供給される圧油の流量が調整され、ステアリング感度が変更される。
上述の説明では、ジョイスティックレバー1の操作量βに対応する大きさの舵角が得られるように、操舵角αが制御されることを前提としている。しかし、車両100の種類によっては、ステアリング用操作子1の操作量βに対応する大きさの速度で、操舵角速度が変化するように、操舵角αが制御されるものもある。この場合には、油圧回路60を、ステアリング用操作子の操作量βに応じた流量の圧油がステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lに供給されるように、流量が制御される回路構成とすればよく、ステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lに供給される圧油の流量を調整することで、ステアリング感度を変化させることができる。
車両100には、自車両の速度Vを検出する車速センサ110が設けられている。
また、車両100には、現在の操舵角(アーティキュレート角)αを検出する操舵角センサ120が設けられている。なお、本実施例の車両100は、現在のステアリング操作子1の操作量(ジョイスティックレバー1の傾動角)βを、現在の操舵角(アーティキュレート角)αとみなすことができるため、現在のステアリング操作子1の操作量(ジョイスティックレバー1の傾動角)βを、操舵角として検出するセンサであってもよい。
車速センサ110、操舵角センサ120でそれぞれ検出された車速V、現在の操舵角αを示す信号は、コントローラ50に入力される。
図4に示すように、車両100の運転室には、操作盤が設けられている。操作盤には、モニタ画面が設けられている。モニタ画面は、画面上のボタンを操作することでユーザID入力画面70に切り替え可能に構成されている。
ユーザID入力画面70では、画面上のボタン70Aを操作することで、ユーザIDが入力可能に構成されている。
ここで、ユーザIDとは、車両100を運転するオペレータを特定し他者から識別する識別符号のことである。
ユーザID入力画面71Aで画面上のボタンが操作されてユーザIDが入力されると、入力されたユーザIDは、コントローラ50に取り込まれる。
コントローラ50の記憶手段51には ユーザIDと現在の習熟度とが対応づけられて記憶されている。
ここで、図5を参照して習熟度とステアリング感度との関係について説明する。
図5は、アーティキュレート角αと、ジョイスティックレバー1の傾き角βとの偏差α−βと、ステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lに供給されるべき圧油の流量Qとの対応関係LS、LM、L0、L1、L2、L3を示している。
LSは、車速が低いときの対応関係であり、車速が低いときのステアリング感度を示している。
LMは、車速が中間の大きさのときの対応関係であり、車速が中間速度のときのステアリング感度を示している。
L0、L1、L2、L3は、高速走行時の対応関係であり、基準のステアリング感度L0を上限として、ステアリング感度には、複数のレベルL0、L1、L2、L3が予め設定されている。
ステアリング感度のレベルL0、L1、L2、L3はそれぞれ、習熟度「通常レベル(L0)」、習熟度「レベル1(L1)」、習熟度「レベル2(L2)」、習熟度「レベル3(L3)」に対応している。
習熟度が「通常レベル(L0)」、「レベル1(L1)」、「レベル2(L2)」、「レベル3(L3)」と段階的に下がるに伴って、ステアリング感度は、L0、L1、L2、L3と段階的に低下し鈍くなる。すなわち、同じ偏差α−βであってもステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lに供給される流量Qが小さくなる。
逆に、習熟度が「レベル3(L1)」、「レベル2(L2)」、「レベル1(L1)」、「通常レベル(L0)」と段階的に上がるに伴って、ステアリング感度は、L3、L2、L1、L0と段階的に高くなり敏感になる。すなわち、同じ偏差α−βであってもステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lに供給される流量Qが大きくなる。
つぎに図6、図7のフローチャートを併せ参照して、コントローラ50で行われる処理の内容について説明する。コントローラ50は、車速センサ110、操舵角センサ120でそれぞれ検出された車速V、現在の操舵角αに基づき以下の処理を行う。
図6は、ステアリング感度変更処理を行うフローチャートを示す。ステアリング感度を低下させるか否か、つまり習熟度が下がっているか否かの判別処理は、図7に示すフローチャートにしたがい行われる。
コントローラ50にて行われる処理は、大きくは、以下のとおりである。
すなわち、判定手段20では、高速走行時にステアリング切り直し操作が行われたか否かが判定される(図7のステップ301〜307)。
習熟度判別手段40では、判定手段20の判定結果に基づいて、ステアリング感度の大きさを低くするか、あるいはステアリング感度を高くするかが判別される(図6のステップ205、あるいはステップ209〜211)。
ステアリング感度変更手段30では、習熟度判別手段40の判別結果(図6のステップ205)に応じて、ステアリング感度を低くするようにステアリング感度が変更される(ステアリング感度低下変更処理;図6のステップ206)。また、ステアリング感度変更手段30では、習熟度判別手段40の判別結果(図6のステップ209〜211)に応じて、ステアリング感度を高くするようにステアリング感度が変更される(ステアリング感度上昇変更処理;図6のステップ212)。
本実施例の場合、ステアリング感度低下変更処理(図6のステップ206)の実行を継続している時間t(以下、継続時間tという)には制限があり、継続時間tが制限時間T0の範囲でステアリング感度低下変更処理が行われるものとする(図6のステップ208)。制限時間T0は、たとえば図2で例示するように車両100が1旋回を終えるまでの時間に設定される。1旋回を終えてステアリング感度を低下させる必要のない通常の直進走行にもどっても、依然としてステアリング感度を低下させた状態が継続していることは好ましくないからである。
ステアリング感度変更処理(ステアリング感度低下変更処理およびステアリング感度上昇変更処理)は、具体的には、前述したように、コントローラ50で制御電気指令を生成し、制御電気指令を電磁比例制御弁61に与えることで、ステアリング用油圧アクチュエータ2R、2Lに供給される圧油の流量を調整して、ステアリング感度を変更する処理のことである。
以下、具体的に説明する。図6に示す処理と図7に示す処理は、同時に並行して行われるものとする。以下では、初期状態では、習熟度は、通常レベルに設定されているものとする。また、ユーザID毎に、現在の習熟度が対応づけられているものとする。
まず、車速Vが所定値のしきい値V0よりも大きいか否かが判断される。しきい値V0は、以下のような基準で定められている。
すなわち、ホイールローダなどの作業車両100は、たとえば積み込み作業を行うとき車速Vを低速にして、車体100Aを左右に操舵させる動作を煩雑に行う。かかる低速の作業時には、未熟練なオペレータといえども、ステアリング感度を基準の感度よりも低くしなくても、ステアリング切り直し操作を行うことはない。むしろ、ステアリング感度を低くすることによって車体100Aの挙動が鈍くなり作業効率が悪化するおそれがある。このため、作業が行なわれる速度域よりも高い速度域に限って、ステアリング感度を基準の感度から低くすることで、低速作業時の作業効率向上を図るものである(図6のステップ201)。
車速Vがしきい値V0より大きい(ステップ201の判断YES)場合には、高速時におけるステアリング操作を、現在の習熟度に対応するステアリング感度で行うべく、コントローラ50の記憶手段51から、ユーザID、現在の習熟度に対応するステアリング感度が読み出される。そして、読み出されたステアリング感度でステアリングが操作される(ステップ202)。
つぎに、ステアリングを切り始めたか否かが判断される。具体的には、アーティキュレート角α(若しくはステアリング操作角β)が、ステアリングを切ったと判断できる一定角度α1(たとえば5°)以上になったか否かが判断される(ステップ203)。
ステアリングを切り始めた時点で、継続時間tのカウントを開始する(t=set;ステップ204)。
つぎに、ステアリング切り直し操作が行われたか否かが判定される。
ステアリング切り直し操作の判定は、以下のような基準で行われる。
a)アーティキュレート角α(若しくはステアリング操作角β)が、ステアリングを切ったと判断できる一定角度α1(たとえば5°)以上になったこと(図7のステップ301)
b)つぎにアーティキュレート角α(若しくはステアリング操作角β)が、ステアリング中立位置になったと判断できる一定角度α2(たとえば2°)以内になったこと(図7のステップ302)
c)つぎに、アーティキュレート角α(若しくはステアリング操作角β)が、上記一定角度α2になってから、ステアリング切り直し操作をしたと判断できる所定時間ts(たとえば1sec)以内に、アーティキュレート角α(若しくはステアリング操作角β)が逆方向に、上述のステアリングを切ったと判断できる一定角度α3(たとえば5°)以上になったこと(図7のステップ303、304、305)
上記a)、b)、c)の条件が成立したときに(図7のステップ301の判断YES、ステップ302の判断YES、ステップ304の判断NO、ステップ305の判断YES)、ステアリング切り直し操作をしたと判断し、ステアリング感度を低下させるためのフラグCFをset(セット)状態にする(ステップ306)。一方、アーティキュレート角α(若しくはステアリング操作角β)が、上記一定角度α2になってから、ステアリング切り直し操作をしたと判断できる所定時間ts(たとえば1sec)を経過したとしても、アーティキュレート角α(若しくはステアリング操作角β)が逆方向に、上述のステアリングを切ったと判断できる一定角度α3(たとえば5°)以上になっていなかった場合(図7のステップ304の判断YES、ステップ305の判断NO)には、ステアリングを1回切ったときにステアリング切り直し操作を行なわなかったと判断し、ステアリング感度を低下させるためのフラグCFをReset(リセット)状態にする(ステップ307)。なお、ステリングを切り始めていない場合(ステップ301の判断NO)あるいは、ステアリングを1回切ったとしてもその後中立位置に戻されない場合には(ステップ301の判断YES、ステップ302の判断NO)、処理を終える。
b)つぎにアーティキュレート角α(若しくはステアリング操作角β)が、ステアリング中立位置になったと判断できる一定角度α2(たとえば2°)以内になったこと(図7のステップ302)
c)つぎに、アーティキュレート角α(若しくはステアリング操作角β)が、上記一定角度α2になってから、ステアリング切り直し操作をしたと判断できる所定時間ts(たとえば1sec)以内に、アーティキュレート角α(若しくはステアリング操作角β)が逆方向に、上述のステアリングを切ったと判断できる一定角度α3(たとえば5°)以上になったこと(図7のステップ303、304、305)
上記a)、b)、c)の条件が成立したときに(図7のステップ301の判断YES、ステップ302の判断YES、ステップ304の判断NO、ステップ305の判断YES)、ステアリング切り直し操作をしたと判断し、ステアリング感度を低下させるためのフラグCFをset(セット)状態にする(ステップ306)。一方、アーティキュレート角α(若しくはステアリング操作角β)が、上記一定角度α2になってから、ステアリング切り直し操作をしたと判断できる所定時間ts(たとえば1sec)を経過したとしても、アーティキュレート角α(若しくはステアリング操作角β)が逆方向に、上述のステアリングを切ったと判断できる一定角度α3(たとえば5°)以上になっていなかった場合(図7のステップ304の判断YES、ステップ305の判断NO)には、ステアリングを1回切ったときにステアリング切り直し操作を行なわなかったと判断し、ステアリング感度を低下させるためのフラグCFをReset(リセット)状態にする(ステップ307)。なお、ステリングを切り始めていない場合(ステップ301の判断NO)あるいは、ステアリングを1回切ったとしてもその後中立位置に戻されない場合には(ステップ301の判断YES、ステップ302の判断NO)、処理を終える。
つぎに、ステアリング切り直し操作がされたか否か、つまりステアリング感度を低下させるためのフラグCFがset(セット)状態であるか否かが判断される(図6のステップ205)。
この結果、車速Vがしきい値V0よりも大きくなっており(ステップ201の判断YES)、かつステアリング切り直し操作がなされたとき(ステップ205の判断YES)には、ステアリング感度を低くするように変更する処理が行われる。すなわち、車速Vがしきい値V0よりも大きくなっており(ステップ201の判断YES)、かつステアリング切り直し操作がなされたとき(ステップ205の判断YES)には、習熟度が下がっている、つまり現状のステアリング感度でステアリング操作するには未だ未熟である場合であるため、習熟度のレベルが現在の習熟度から一段階低く設定され、この一段階低く設定されたレベルの習熟度が現在の習熟度に更新されるとともに、ステアリング感度が一段低くなる。たとえば、現在の習熟度が「通常レベル」の場合に、1回だけ、高速走行時にステアリング切り直し操作が行われたと判定されると、現在の習熟度は、それよりも一段階低い「レベル1」に更新され、その「レベル1」に対応するステアリング感度にされる(ステップ206)。
かかるステアリング感度低下変更処理がなされると、フラグCFがReset(リセット)状態にされるとともに、ステアリング切り直し操作がされたことを示すフラグDFがset(セット)状態にされて(ステップ207)、手順は、再度ステップ205に移行して、フラグCFのセット状態の判別が再度行われる(ステップ205)。
一方、フラグCFがset(セット)状態ではないと判断されると(ステップ205の判断NO)、継続時間tが制限時間T0を越えたか否か、つまりステアリング感度低下変更処理を終了させるべきか否かが判断される(ステップ208)。
継続時間tが制限時間T0を越えていない限りは(ステップ208の判断NO)、継続時間tをタイマにてカウントアップするとともに、フラグCFがset(セット)状態になる毎に(ステップ205)、ステアリング感度低下変更処理を継続させて、習熟度を一段階づつ低くするとともにステアリング感度を一段階づつ低くする(ステップ206)。
一方、継続時間tが制限時間T0を越えた場合には(ステップ208の判断YES)、ステアリング切り直し操作がされたことを示すフラグDFがset(セット)状態になっているか否かが判断される(ステップ209)。
フラグDFがset(セット)状態になっていない場合(ステップ209の判断NO)は、車速Vがしきい値V0以上で(ステップ201の判断YES)、かつ制限時間T0の中でステアリングを1回切ったときにステアリング切り直し操作を行なわなかった場合であり(ステップ307)、一応は、習熟度が上がっている、つまり現状のステアリング感度よりもより高いステアリング感度でステアリング操作できるほど熟練していると判断することができる。
ただし、本実施例の場合には、習熟度の向上の見極めを確実にすべく、ステアリングを1回切ったときにステアリング切り直し操作を行なわなかった(ステップ209の判断NO)と判定された回数Nをカウントし、この回数Nが所定回数N0(たとえば5回)よりも大きくなったときに、習熟度のレベルを上げると判定する。すなわち、ステアリングを1回切ったときにステアリング切り直し操作を行なわなかった場合には(ステップ209の判断NO)、習熟度が上がったものと判定し、回数Nをプラス1インクリメントして、回数Nをカウントアップする(ステップ210)。そして、回数Nが所定回数N0(たとえば5回)よりも大きくなったときには(ステップ211の判断YES)、習熟度のレベルを上げた上で(ステップ212)、処理を終える。なお、ステップ209で、フラグDFがset(セット)状態になっている場合(ステップ209の判断YES)、あるいは、ステップ211で、回数Nが所定回数N0(たとえば5回)を超えていない場合(ステップ211の判断NO)も、同様に処理を終える。
このように、車速Vがしきい値V0以上で(ステップ201の判断YES)、かつステアリングを1回切ったときにステアリング切り直し操作を行なわなかったとき(ステップ209の判断NO)であって、その回数NがN0(5)回を超えたときに(ステップ211の判断YES)、習熟度のレベルが現在の習熟度から一段階高く設定され、この一段階高く設定されたレベルの習熟度が現在の習熟度に更新される(ステップ212)。たとえば、現在の習熟度が「レベル1」の場合に、高速走行時に1回ステアリングを切ったときにステアリング切り直し操作を行なわなかったことが6回以上判定されると、現在の習熟度は、それよりも一段階高い「通常レベル」に更新される。なお、現在の習熟度が「通常レベル」である場合には、上記習熟度向上の判定がなされても、習熟度は「通常レベル」に維持される。
よって、次回の図6、図7に示すフローチャートがスタートすると、この習熟度判別手段40の判別結果(ステップ212)に応じて、ステアリング感度を高くするように変更する処理(ステアリング感度上昇変更処理)が行われることになる(ステップ202)。
一方、図6のステップ201で、車速Vがしきい値V0以下の低速となっている場合(ステップ201の判断NO)、あるいは、車速Vがしきい値V0よりも大きい高速ではあるが(ステップ201の判断YES)、ステリングを切っていない場合(ステップ203の判断NO)には、ステアリング感度を通常レベルに対応する基準の感度に戻した上で(ステップ213)、処理を終える。
以上のようにして、図6、図7に示す制御ループが一巡する毎に、習熟度および習熟度に対応するステアリング感度が更新されることになる。これにより、図6、図7に示す次回の制御ループが開始されると、現在の習熟度に対応するステアリング感度(L3、L2、L1、L0)が図5にしたがい選択され、選択されたステアリング感度でステアリングを切ることができるようになる(ステップ202)。
なお、図6、図7の処理手順は、あくまで一例に過ぎず、本発明の範囲内で適宜変更が可能である。
図6では、高速走行時であると判断された時点で(ステップ201の判断YES)、現在の習熟度に対応するステアリング感度を設定するようにしている(ステップ202)が、現在の習熟度に対応するステアリング感度を設定するタイミングは、ステアリングを切り始めた時点、つまり図6においてステップ203の判断がYESとなった直後とする実施も可能であり、また、図7において、ステリングを切り直しが行われた時点、つまり図7においてステップ305の判断がYESとなった直後とする実施も可能である。
また、図6では、車速Vがしきい値V0以下の低速となっている場合(ステップ201の判断NO)、あるいは、車速Vがしきい値V0よりも大きい高速ではあるが(ステップ201の判断YES)、ステリングを切っていない場合(ステップ203の判断NO)に、ステアリング感度を通常レベルに対応する基準の感度に戻す(ステップ213)ようにしているが、継続時間tが一定時間を経過した時点で、ステアリング感度を通常レベルに対応する基準の感度に戻す(ステップ213)実施も可能である。
また、図7では、アーティキュレート角α若しくはステアリング操作角βの大きさに応じて、ステアリングの切り直しがなされたか否かを判断するようにしているが(ステップ301、302、305)、これは一例であり、ステアリングの切り直しがなされたか否かは、角度以外の別のパラメータ、たとえばステアリング操作速度の大きさに応じて、判断する実施も可能である。
また、本実施例では、1回切ったステアリングをもう一度逆方向に切る場合を「ステアリングの切り直し」としているが(ステップ301、ステップ305)、1回切ったステアリングをもう一度同じ方向に操作する「ステアリングの切り増し」操作も「ステアリングの切り直し」の概念の中に含まれる。よって、「ステアリングの切り増し」がなされた場合も同様に「ステアリングの切り直し」がなされたとして本発明を適用することができる。
ところで、車両100の運転、操作するオペレータが交替した場合には、操作盤のユーザID入力画面70で画面上のボタン70Aが操作されて、交替したオペレータのユーザIDが入力される。
入力されたユーザIDは、コントローラ50に取り込まれ、記憶手段51から、入力されたユーザIDに対応する現在の習熟度が読み出される。以下、この読み出されたユーザIDに対応する現在の習熟度に基づいて、上述した図6、図7に示す処理が行われるため、交替したオペレータに適合したステアリング感度でステアリング操作子1を操作することができる。
ただし、本発明としては、必ずしもユーザID毎に習熟度を設定し、ユーザID毎にステアリング感度を設定する必要はない。車両100毎に習熟度を設定し、車両100毎にステアリング感度を設定する実施も当然可能である。
また、上述した実施例では、習熟度のレベルを「通常」、「1」、「2」、「3」の4段階とし、高速走行時のステアリング感度を同4段階としているが、これは一例であり、少なくとも2段階であればよく、また5段階以上にする実施も可能である。
以上説明したように、本実施例によれば、オペレータの任意の選択によってステアリング感度の変更が可能になっているわけではなく、オペレータが実際にステアリング操作子1を操作して、その操作をした結果から判定を行い、その判定結果に基づいて、熟練度に応じたステアリング感度に変更される。
このため車両100の仕様を変更することなく、熟練度に応じた最適な操作性が得られる。
また、このように熟練度に応じた最適なステアリング感度に変更されステアリング操作子が最適な操作性をもって操作されるため、ステアリング感度変更後は、高速走行時にステアリング切り直し操作が行われることが回避される。この結果、未熟練なオペレータといえども高速走行時にステアリング切り直しが行われなくなり、タイヤの寿命が向上する。
また本実施例によれば、未熟練なオペレータに、最初から、熟練オペレータを想定した未熟練なものにとってハードルの高いステアリング操作を強いるわけではなく、熟練度に応じて段階的にステアリング感度が変更されていく。このため迅速に操作技能レベルを高めていくことができる。これにより車両の運転教育を兼ねたステアリング制御装置を市場に提供することができる。
なお、実施例では、ホイールローダなどの作業車両100の多くは、油圧駆動のステアリング機構90が採用されていることから、このような油圧駆動のステアリング機構90を前提として説明した。しかし、本発明は、油圧駆動のステアリング機構90に限定されることはない。また、本発明は、作業車両に限定されることなく、一般自動車を含むあらゆる車両に適用することができる。
1 ステアリング用操作子、2R、2L ステアリング用油圧アクチュエータ、100 車両、90 ステアリング機構、10 ステアリング制御装置、20 判定手段、40 習熟度判別手段と、30 ステアリング感度変更手段、50 コントローラ、60 油圧回路
Claims (5)
- ステアリング用操作子の操作に応じて車両のステアリング機構を動作させてステアリング機構の操舵角を変化させるようにした車両のステアリング制御装置において、
高速走行時にステアリング切り直し操作が行われたか否かを判定する判定手段と、
判定手段の判定結果に基づいて、ステアリング感度を変更するステアリング感度変更手段と
を備えたことを特徴とする車両のステアリング制御装置。 - ステアリング用操作子の操作に応じて車両のステアリング機構を動作させてステアリング機構の操舵角を変化させるようにした車両のステアリング制御装置において、
高速走行時にステアリング切り直し操作が行われたか否かを判定する判定手段と、
判定手段の判定結果に基づいて、ステアリング感度の大きさを低くするか、あるいはステアリング感度を高くするかを判別する習熟度判別手段と、
習熟度判別手段の判別結果に応じて、ステアリング感度を変更するステアリング感度変更手段と
を備えたことを特徴とする車両のステアリング制御装置。 - ステアリング感度は、高速走行時の基準のステアリング感度を上限として、複数のレベルが予め設定されていること
を特徴とする請求項1または2記載の車両のステアリング制御装置。 - 作業機を備えた作業車両に適用され、
判定手段は、作業が行なわれる速度域よりも高い速度域を、高速走行であると判定すること
を特徴とする請求項1または2記載の車両のステアリング制御装置。 - ステアリング用操作子の操作量に応じた流量の圧油をステアリング用油圧アクチュエータに対して供給して当該ステアリング用油圧アクチュエータの作動に応じて車両のステアリング機構を動作させて当該ステアリング機構の操舵角を変化させる作業車両に適用されること
を特徴とする請求項1または2記載の車両のステアリング制御装置。
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JP2013100007A (ja) * | 2011-11-08 | 2013-05-23 | Jtekt Corp | 車両用操舵装置及び荷役車両 |
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2007
- 2007-05-30 JP JP2007143472A patent/JP2008296681A/ja not_active Withdrawn
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