以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明をデジタルカメラに適用した場合の実施形態の概略的な構成を示す一部切り欠き斜視図である。すなわち、図1は、カメラ本体の一部を切断して、その内部構成を概略的に示す斜視図である。
本実施形態のカメラ1は、それぞれが別体に構成されるカメラ本体11及びレンズユニット12とからなり、このカメラ本体11及びレンズユニット12の両者は、互いに着脱自在に構成されてなるものである。
そして、レンズユニット12は、複数のレンズやその駆動機構等からなる撮影光学系12aを内部に保持して構成されている。
この撮影光学系12aは、被写体からの光束を透過させることによって、当該被写光束により形成される被写体の像を所定の位置(後述する撮像素子の光電変換面上)に結像せしめるように、例えば、複数の光学レンズ等によって構成されるものである。
このレンズユニット12は、カメラ本体11の前面に向けて突出するように配設されている。
また、カメラ本体11は、内部に各種の構成部材等を備えて構成され、かつ撮影光学系12aを保持するレンズユニット12を着脱自在となるように配設するための連結部材である撮影光学系装着部11aをその前面に備えた、いわゆる一眼レフレックス方式のカメラである。
つまり、カメラ本体11の前面側の略中央部には、被写体光束を当該カメラ本体11の内部へと導き得る所定の口径を有する露光用開口が形成されており、この露光用開口の周縁部に撮影光学系装着部11aが形成されている。
そして、このカメラ本体11の前面に上述の撮影光学系装着部11aが配設されているほか、上面部や背面部等の所定の位置にカメラ本体11を動作させるための各種の操作部材、例えば、撮影動作を開始せしめるための指示信号等を発生させるためのレリーズボタン17等が配設されている。
このカメラ本体11の内部には、各種の構成部材、例えば、いわゆる観察光学系を構成するファインダ装置13と、撮像素子の光電変換面への被写体光束の照射時間等を制御するシャッタ機構等を備えたシャッタ部14と、被写体像に対応した画像信号を得る不図示の撮像素子及びこの撮像素子の光電変換面の前面側の所定の位置に配設され、当該光電変換面への塵挨等の付着を予防する防塵部材である防塵フィルタ(防塵ガラスともいう)21等を含む撮像ユニット15と、電気回路を構成する各種の電気部材が実装される主回路基板16に加えて複数の回路基板(主回路基板16のみを図示している)等が、それぞれ所定の位置に配設されている。
ファインダ装置13は、撮影光学系12aを透過した被写体光束の光軸を折り曲げて観察光学系の側へと導き得るように構成される反射鏡13bと、この反射鏡13bから出射する光束を受けて正立正像を形成するペンタプリズム13aと、このペンタプリズム13aにより形成される像を拡大して観察するのに最適な形態の像を結像させる接眼レンズ13c等によって構成されている。
反射鏡13bは、撮影光学系12aの光軸から退避する位置と当該光軸上の所定の位置との間で移動自在に構成され、通常状態においては、撮影光学系12aの光軸上において当該光軸に対して所定の角度、例えば、角度45度を有して配置されている。
これにより、撮影光学系12aを透過した被写体光束は、当該カメラ1が通常状態にあるときには、反射鏡13bによってその光軸が折り曲げられて、当該反射鏡13bの上方に配置されるペンタプリズム13aの側へと反射されるようになっている。
一方、本カメラ1が撮影動作の実行中においては、当該反射鏡13bは撮影光学系12aの光軸から退避する所定の位置に移動するようになっており、これによって、被写体光束は、撮像素子側へと導かれる。
また、シャッタ部14は、例えば、フォーカルプレーン方式のシャッタ機構やその駆動回路等、従来のカメラ等において一般的に利用されているものと同様のものが適用される。
図2は、本発明の一実施形態に係るカメラシステムの構成を示すブロック図である。
すなわち、この実施形態のカメラシステムは、カメラ本体11と、交換レンズとしてのレンズユニット12とから主に構成されており、カメラ本体11の前面に対して所望のレンズユニット12が着脱自在に装着されている。
レンズユニット12の制御は、レンズ制御用マイクロコンピュータ(以下、Lucomと称する)205が行う。
カメラ本体11の制御は、ボディ制御用マイクロコンピュータ(以下、Bucomと称する)150が行う。
なお、これらLucom205とBucom150とは、合体時において通信コネクタ206を介して通信可能に電気的接続がなされる。
そして、この場合、カメラシステムとしてLucom205がBucom150に従属的に協働しながら稼動するようになっている。
また、レンズユニット12内には、撮影光学系12aと、絞り203とが設けられている。
この撮影光学系12aは、レンズ駆動機構202内に在る図示しないDCモータによって駆動される。
また、絞り203は、絞り駆動機構204内に在る図示しないステッピングモータによって駆動される。
Lucom205は、Bucom150からの指令に従って、これらの各モータを制御する。
そして、このカメラ本体11内には、次の構成部材が図示のように配設されている。
例えば、光学系としての一眼レフレックス方式の構成部材(ペンタプリズム13a、反射鏡13b、接眼レンズ13c、サブミラー114)と、光軸上のフォーカルプレーン式のシャッタ115と、上記サブミラー14からの反射光束を受けて自動測距するためのAFセンサユニット116とが設けられている。
また、上記AFセンサユニット116を駆動制御するAFセンサ駆動回路117と、上記反射鏡13bを駆動制御するミラー駆動機構118と、上記シャッタ115の先幕と後幕を駆動するためのばね力をチャージするシャッタチャージ機構119と、それら先幕と後幕の動きを制御するシャッタ制御回路120と、上記ペンタプリズム13aからの光束に基づき測光処理する測光回路121とが設けられている。
光軸上には、上記光学系を通過した被写体像を光電変換するための撮像素子(CCDユニット)27が光電変換素子として設けられている。
この場合、この撮像素子27は、該撮像素子27と撮影光学系12aとの間に配設された光学素子としての透明なガラス部材からなる防塵フィルタ21によって保護されている。
そして、この防塵フィルタ21を所定の周波数で振動させる加振手段の一部として、例えば、圧電素子22がその防塵フィルタ21の周縁部に取り付けられている。
また、圧電素子22は2つの電極を有しており、この圧電素子22が加振手段の一部としての防塵フィルタ駆動回路140によって防塵フィルタ21を振動させ、そのガラス表面に付着していた塵を除去できるように構成されている。
なお、撮像素子27の周辺の温度を測定するために、防塵フィルタ21の近傍には、温度測定回路133が設けられている。
このカメラシステムには、また、撮像素子27に接続されたインターフェース回路123と、液晶モニタ124と、記憶領域として設けられたSDRAM125と、FlashROM126及び記録メディア127などを利用して画像処理する画像処理コントローラ128とが設けられ、電子撮像機能と共に電子記録表示機能を提供できるように構成されている。
その他の記憶領域としては、カメラ制御に必要な所定の制御パラメータを記憶する不揮発性記憶手段として、例えば、EEPROMからなる不揮発性メモリ129が、Bucom150からアクセス可能に設けられている。
また、Bucom150には、当該カメラの動作状態を表示出力によってユーザへ告知するための動作表示用LCD151と、カメラ操作スイッチ(SW)152とが設けられている。
上記カメラ操作SW152は、例えば、レリーズSW、モード変更SW及び電源SWなどの、当該カメラを操作するために必要な操作釦を含むスイッチ群である。
さらに、電源としての電池154と、この電源の電圧を、当該カメラシステムを構成する各回路ユニットが必要とする電圧に変換して供給する電源回路153が設けられている。
次に、上述したように構成されるカメラシステムの動作について説明すると、このカメラシステム各部が次のように稼動する。
まず、画像処理コントローラ128は、Bucom150の指令に従ってインターフェース回路123を制御して撮像素子27から画像データを取り込む。
この画像データは,画像処理コントローラ128でビデオ信号に変換され、液晶モニタ124にて出力表示される。
ユーザは、この液晶モニタ124の表示画像から、撮影した画像イメージを確認することができる。
SDRAM125は、画像データの一時的保管用メモリであり、画像データが変換される際のワークエリアなどに使用される。
また、この画像データはJPEGデータに変換された後には記録メディア127に保管されるように設定されている。
撮像素子27は、前述したように透明なガラス部材からなる防塵フィルタ21によって保護されている。
この防塵フィルタ21の周縁部にはそのガラス面を加振するための圧電素子22が配置されており、この圧電素子22は、後で詳しく説明するように、該圧電素子22の駆動手段としても働く防塵フィルタ駆動回路140によって駆動される。
撮像素子27及び圧電素子22は、防塵フィルタ21を一面とし、かつ破線で示すような枠体によって囲まれたケース内に一体的に収納されることが、防塵のためにはより好ましい。
通常、温度はガラス製の物材の弾性係数に影響し、その固有振動数を変化させる要因の1つであるため、運用時にその温度を計測してその固有振動数の変化を考慮しなければならない。
稼動中に温度上昇が激しい撮像素子27の前面を保護するため設けられた防塵フィルタ21の温度変化を測定して、そのときの固有振動数を予想するようにしたほうがよい。
したがって、この例の場合、上記温度測定回路133に接続されたセンサ(不図示)が、撮像素子27の周辺温度を測定するために設けられている。
なお、そのセンサの温度測定ポイントは、防塵フィルタ21の振動面の極近傍に設定されるのが好ましい。
ミラー駆動機構118は、反射鏡13bをUP位置とPOWN位置へ駆動するための機構であり、この反射鏡13bがDOWN位置にあるとき、撮影光学系12aからの光束はAFセンサユニット116側とペンタプリズム13a側へと分割されて導かれる。
AFセンサユニット116内のAFセンサからの出力は、AFセンサ駆動回路117を介してBucom150へ送信されて周知の測距処理が行われる。
また、ペンタプリズム13aに隣接する接眼レンズ13cからはユーザが被写体を目視できる一方、このペンタプリズム13aを通過した光束の一部は測光回路121内のホトセンサ(不図示)へ導かれ、ここで検知された光量に基づき周知の測光処理が行われる。
次に、本実施形態のカメラ1における撮像ユニット15の詳細について説明する。
図3、図4、図5は、本実施形態のカメラ1における撮像ユニット15の一部を取り出して示す図であって、図3は、当該撮像ユニットを分解して示す要部分解斜視図である。また、図4は、当該撮像ユニット組み立てた状態の一部を切断して示す斜視図であり、図5は、図4の切断面に沿う断面図である。
なお、本実施形態のカメラ1の撮像ユニット15は、上述したようにシャッタ部14を含む複数の部材によって構成されるユニットであるが、図3乃至図5においては、その主要部を図示するに留め、シャッタ部14についての図示を省略している。
また、各構成部材の位置関係を示すために、図3乃至図5においては、当該撮像ユニット15の近傍に設けられ、撮像素子27が実装されると共に、画像信号処理回路及びワークメモリ等からなる撮像系の電気回路が実装される主回路基板16を合わせて図示している。
なお、この主回路基板16、それ自体の詳細については、従来のカメラ等において、一般的に利用されているものが適用されるものとして、その説明は省略する。
撮像ユニット15は、CCD等からなり撮影光学系12aを透過し自己の光電変換面上に照射された光に対応した画像信号を得る撮像素子27と、この撮像素子27を固定支持する薄板状の部材からなる撮像素子固定板28と、撮像素子27の光電変換面の側に配設され、撮影光学系12aを透過して照射される被写体光束から高周波成分を取り除くべく形成される光学素子である光学的ローパスフィルタ(Low Pass Filter;以下、光学LPFという)25と、この光学LPF25と撮像素子27との間の周縁部に配置され、略枠形状の弾性部材等によって形成されるローパスフィルタ受け部材26と、撮像素子27を収納し固定保持すると共に光学LPF25(光学素子)をその周縁部位乃至その近傍部位に密着して支持し、かつ所定の部位を後述する防塵フィルタ受け部材23に密に接触するように配設される撮像素子収納ケース部材24(以下、CCDケース24という)と、このCCDケース24の前面側に配置され防塵フィルタ21をその周縁部位乃至その近傍部位に密着して支持する防塵フィルタ受け部材23と、この防塵フィルタ受け部材23によって支持されて撮像素子27の光電変換面の側であって光学LPF25の前面側において当該光学LPF25の間に所定の間隔を持つ所定の位置に対向配置される防塵部材である防塵フィルタ21と、この防塵フィルタ21の周縁部に配設され当該防塵フィルタ21に対して所定の振動を与えるための加振用部材であり、例えば、電気機械変換素子等からなる圧電素子22と、防塵フィルタ21を防塵フィルタ受け部材23に対して気密に接合させ固定保持するための弾性体からなる押圧部材20等によって構成されている。
撮像素子27は、撮影光学系12aを透過した被写体光束を自己の光電変換面に受けて光電変換処理を行うことによって、当該光電変換面に形成される被写体像に対応した画像信号を取得するものであって、例えば、電荷結合素子(CCD;Charge Coupled Device)が用いられる。
この撮像素子27は、撮像素子固定板28を介して主回路基板16上の所定の位置に実装されている。
この主回路基板16には、上述したように画像信号処理回路及びワークメモリ等が共に実装されており、撮像素子27から出力された信号は、これらの回路で処理されるようになっている。
撮像素子27の前面側には、ローパスフィルタ受け部材26を挟んで光学LPF25が配設されている。
そして、これらの撮像素子27、ローパスフィルタ受け部材26、光学LPF25を覆うようにCCDケース24が配設されている。
つまり、CCDケース24には、略中央部分に矩形状からなる開口24cが設けられており、この開口24cには、その後方側から光学LPF25及び撮像素子27が配設されるようになっている。
この開口24cの後方側の内周縁部には、図4、図5に示すように断面が略L字形状からなる段部24aが形成されている。
上述したように、光学LPF25と撮像素子27との間には、弾性部材等からなるローパスフィルタ受け部材26が配設されている。
このローパスフィルタ受け部材26は、撮像素子27の前面側の周縁部においてその光電変換面の有効範囲を避ける位置に配設され、かつ光学LPF25の背面側の周縁部近傍に当接するようになっている。
そして、光学LPF25と撮像素子27との間を略気密性が保持されるようにしている。
これにより、光学LPF25には、ローパスフィルタ受け部材26による光軸方向への弾性力が働くことになる。
そこで、光学LPF25の前面側の周縁部を、CCDケース24の段部24aに対して略気密に接触させるように配置することによって、当該光学LPF25をその光軸方向に変位させようとするローパスフィルタ受け部材26による弾性力に抗して当該光学LPF25の光軸方向における位置を規制するようにしている。
換言すれば、CCDケース24の開口24cの内部に背面側より挿入された光学LPF25は、CCDケース24の段部24aによって光軸方向における位置規制がなされている。
これにより、当該光学LPF25は、CCDケース24の内部から前面側へ向けて外部に抜け出ないようになっている。
このようにして、CCDケース24の開口24cの内部に背面側から光学LPF25が挿入された後、光学LPF25の背面側には、撮像素子27が配設されるようになっている。
この場合において、光学LPF25と撮像素子27との間には、周縁部においてローパスフィルタ受け部材26が挟持されるようになっている。
また、撮像素子27は、上述したように撮像素子固定板28を挟んで主回路基板16に実装されている。
そして、撮像素子固定板28は、CCDケース24の背面側からネジ孔24eに対してネジ28bによってスペーサ28aを介して固定されている。
また、撮像素子固定板28には、主回路基板16がスペーサ16cを介してネジ16dによって固定されている。
CCDケース24の前面側には、防塵フィルタ受け部材23がCCDケース24のネジ孔24bに対してネジ23bによって固定されている。
この場合において、CCDケース24の周縁側であって前面側の所定の位置には、図4、図5において詳細に示すように、周溝24dが略環状に形成されている。
その一方で、防塵フィルタ受け部材23の周縁側であって背面側の所定の位置には、CCDケース24の周溝24dに対応させた環状凸部23d(図3には図示せず)が全周にわたって略環状に形成されている。
したがって、環状凸部23dと周溝24dとが嵌合することによりCCDケース24と防塵フィルタ受け部材23とは、環状の領域、すなわち、周溝24dと環状凸部23dとが形成される領域において相互に略気密に嵌合するようになっている。
防塵フィルタ21は、全体として円形乃至多角形の板状をなし、少なくとも自己の中心から放射方向に所定の広がりを持つ領域が透明部をなしており、この透明部が光学LPF25の前面側に所定の間隔をもって対向配置されているものである。
また、防塵フィルタ21の一方の面(本実施形態では背面側)の周縁部には、当該防塵フィルタ21に対して振動を与えるための所定の加振用部材であり、電気機械変換素子等によって形成される圧電素子22が一体となるように、例えば、接着剤による貼着等の手段により配設されている。
この圧電素子22は、外部から所定の駆動電圧を印加することによって防塵フィルタ21に所定の振動を発生させることができるように構成されている。
そして、防塵フィルタ21は、防塵フィルタ受け部材23に対して気密に接合するように、板ばね等の弾性体からなる押圧部材20によって固定保持されている。
防塵フィルタ受け部材23の略中央部近傍には、円形状又は多角形状からなる開口23fが設けられている。
この開口23fは、撮影光学系12aを透過した被写体光束を通過させて、当該光束が、その後方に配置される撮像素子27の光電変換面を照射するのに十分な大きさとなるように設定されている。
この開口23fの周縁部には、前面側に突出する壁部23e(図4、図5参照)が略環状に形成されており、この壁部23eの先端側には、さらに前面側に向けて突出するように、受け部23cが形成されている。
一方、防塵フィルタ受け部材23の前面側の外周縁部近傍には、所定の位置に複数(本実施形態では3箇所)の突状部23aが前面側に向けて突出するように形成されている。
この突状部23aは、防塵フィルタ21を固定保持する押圧部材20を固設するために形成される部位であって、当該押圧部材20は、突状部23aの先端部に対してねじ20a等の締結手段により固設されている。
押圧部材20は、上述したように板ばね等の弾性体によって形成される部材であって、その基端部が突状部23aに固定され、自由端部が防塵フィルタ21の外周縁部に当接することによって、当該防塵フィルタ21を防塵フィルタ受け部材23の側、すなわち、光軸方向に向けて押圧するようになっている。
この場合において、防塵フィルタ21の背面側の外周縁部に配設される圧電素子22の所定の部位が、受け部23cに当接することによって、防塵フィルタ21及び圧電素子22の光軸方向における位置が規制されるようになっている。
これにより、防塵フィルタ21は、圧電素子22を介して防塵フィルタ受け部材23に対して気密に接合するように固定保持されている。
換言すれば、防塵フィルタ受け部材23は、押圧部材20による付勢力によって防塵フィルタ21と圧電素子22を介して気密に接合するように構成されている。
ところで、上述したように防塵フィルタ受け部材23とCCDケース24とは、周溝24dと環状凸部23d(図4、図5参照)とが相互に略気密に嵌合するようになっているのと同時に、防塵フィルタ受け部材23と防塵フィルタ21とは、押圧部材20の付勢力により圧電素子22を介して気密に接合するようになっている。
また、CCDケース24に配設される光学LPF25は、当該光学LPF25の前面側の周縁部とCCDケース24の段部24aとの間で略気密となるように配設されている。
さらに、光学LPF25の背面側には、撮像素子27がローパスフィルタ受け部材26を介して配設されており、光学LPF25と撮像素子27との間においても、略気密性が保持されるようになっている。
これにより、光学LPF25と防塵フィルタ21とが対向する間の空間には、所定の空隙部51aが形成されている。
また、光学LPF25の周縁側、すなわち、CCDケース24と、防塵フィルタ受け部材23と、防塵フィルタ21とによって、空間部51bが形成されている。
この空間部51bは、光学LPF25の外側に張り出すようにして形成されている封止された空間である(図4、図5参照)。
また、この空間部51bは、空隙部51aよりも広い空間となるように設定されている。
そして、空隙部51aと空間部51bとからなる空間は、上述した如くCCDケース24と防塵フィルタ受け部材23と防塵フィルタ21と光学LPF25とによって、略気密に封止される封止空間51となっている。
このように、本実施形態のカメラにおける撮像ユニット15では、光学LPF25及び防塵フィルタ21の周縁に形成され空隙部51aを含む略密閉された封止空間51を形成する封止構造部が構成されている。
そして、この封止構造部は、光学LPF25の周縁乃至その近傍から外側の位置に設けられるようになっている。
さらに、本実施形態においては、防塵フィルタ21をその周縁部位乃至その近傍部位に密着して支持する第1の部材である防塵フィルタ受け部材23と、光学LPF25をその周縁部位乃至その近傍部位に密着して支持すると共に、自己の所定部位で防塵フィルタ受け部材23と密に接触するように配設される第2の部材であるCCDケース24等によって、封止構造部が構成されている。
上述のように構成された本実施形態のカメラにおいては、撮像素子27の前面側の所定の位置に防塵フィルタ21を対向配置し、撮像素子27の光電変換面と防塵フィルタ21との周縁に形成される封止空間51を封止するように構成したことによって、撮像素子27の光電変換面に塵挨等が付着するのを未然に予防している。
そして、この場合においては、防塵フィルタ21の前面側の露出面に付着する塵挨等については、当該防塵フィルタ21の周縁部に一体となるように配設される圧電素子22に周期電圧を印加して防塵フィルタ21に対して所定の振動を与えることによって、除去することができるようになっている。
図6は、本カメラ1における撮像ユニット15のうち防塵フィルタ21及びこれに一体に設けられる圧電素子22のみを取り出して示す正面図である。
また、図7、図8は、図6の圧電素子22に対して駆動電圧を印加した際の防塵フィルタ21及び圧電素子22の状態変化を示し、図7は図6のA−A線に沿う断面図、図8は図6のB−B線に沿う断面図である。
ここで、例えば、圧電素子22に負(マイナス;−)電圧を印加した場合には、防塵フィルタ21は、図7、図8において実線で示すように変形する一方、圧電素子22に正(プラス;+)電圧を印加した場合には、防塵フィルタ21は、同図において点線で示すように変形することになる。
この場合において、図6乃至図8の参照符号21aで示すような振動の節の位置では、実質的に振幅は零になることから、この節21aに対応する部位に防塵フィルタ受け部材23の受け部23cを当接させるように設定する。
これにより、防塵フィルタ21の振動を阻害することなく、防塵フィルタ21を効率的に支持し得ることになる。
そして、この状態において、所定のときに防塵フィルタ駆動部48を制御して、圧電素子22に対して周期的な電圧を印加することによって、防塵フィルタ21が振動し、当該防塵フィルタ21の表面に付着した塵挨等は除去される。
なお、このときの共振周波数は、防塵フィルタ21の形状や板厚・材質等により決まるものである。
上述の図6乃至図8に示す例では、1次の振動を発生させた場合を示しているが、これに限らず、高次の振動を発生させるようにしてもよい。
次に、図9に示すような防塵フィルタ駆動回路140の回路図と、図10に示すタイムチャートに基づいて、この本実施形態における防塵機能付きカメラの防塵フィルタ21の駆動方法について説明する。
ここに例示した防塵フィルタ駆動回路48は図9に示すような回路構成を有し、その各部において、図10のタイムチャートで表わす波形の信号(Sig1〜Sig4)が生成され、それらの信号に基づいて次のように制御される。
防塵フィルタ駆動回路48は図9に例示の如く、N進カウンタ241と、1/2分周回路242と、インバータ243と、複数のMOSトランジスタ(Q00、Q01、Q02)244a、244b、244cと、トランス245と、抵抗(R00)246とから構成されている。
上記トランス245の1次側に接続されたトランジスタ(Q01)244bおよびトランジスタ(Q02)244cのON/OFF切替え動作によって、トランス245の2次側に所定周期の信号(Sig4)が発生するように構成されており、この所定周期の信号に基づき圧電素子22を駆動させ、防塵フィルタ21を共振させるようになっている。
Bucom150は、制御ポートとして設けられた2つのIOポートP_PwCont及びD_NCntと、このBucom150内部に存在するクロックジェネレータ255を介して防塵フィルタ駆動回路140を次のように制御する。クロックジェネレータ255は、圧電素子22へ印加する信号周波数より十分に早い周波数でパルス信号(基本クロック信号)をN進カウンタ241へ出力する。
この出力信号が図10中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig1である。そしてこの基本クロック信号はN進カウンタ241へ入力される。
N進カウンタ241は、当該パルス信号をカウントし所定の値“N”に達する毎にカウント終了パルス信号を出力する。即ち、基本クロック信号を1/Nに分周することになる。この出力信号が図10中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig2である。
この分周されたパルス信号はHighとLowのデューティ比が1:1ではない。そこで、1/2分周回路242を通してデューティ比を1:1へ変換する。尚、この変換されたパルス信号は図10中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig3に対応する。
この変換されたパルス信号のHigh状態において、この信号が入力されたMOSトランジスタ(Q01)244bがONする。一方、トランジスタ(Q02)244cへはインバータ243を経由してこのパルス信号が印加される。したがって、パルス信号のLow状態において、この信号が入力されたトランジスタ(Q02)244cがONする。トランス245の1次側に接続されたトランジスタ(Q01)244bとトランジスタ(Q02)244cが交互にONすると、2次側には図10中の信号Sig4の如き周期の信号が発生する。
トランス245の巻き線比は、電源回路153のユニットの出力電圧と圧電素子22の駆動に必要な電圧から決定される。尚、抵抗(R00)246はトランス245に過大な電流が流れることを制限するために設けられている。
圧電素子22を駆動するに際しては、トランジスタ(Q00)244aがON状態にあり、電源回路153からトランス245のセンタータップに電圧が印加されていなければならない。図中トランジスタ(Q00)244aのON/O制御はIOポートのP_PwContを介して行われる。N進カウンタ241の設定値“N”はIOポートD_NCntから設定でき、よって、Bucom150は、設定値“N”を適宜に制御することで、圧電素子22の駆動周波数を任意に変更可能である。
ここで、上記駆動周波数は次式によって算出可能である。
fdrv = fpls/2N …(式1)
ここで、N:カウンタへの設定値、
fpls:クロックジェネレータの出力パルスの周波数、
fdrv:圧電素子へ印加される信号の周波数、
尚、この式1に基づいた演算は、Bucom150のCPU(制御手段)で行われる。
(第1実施形態)
図11は、本発明の第1実施形態に係るカメラシステムにおけるBucom150の動作を説明するためのフローチャートである。
Bucom150は、カメラの電源SWがON操作されると、その稼動を開始する。ステップS100において、カメラシステムを起動するための処理が実行される。電源回路153を制御して当該カメラシステムを構成する各回路ユニットへ電力を供給する。また各回路の初期設定を行う。
ステップS101では、カメラ本体11に対する交換レンズとしてのレンズユニット12の着脱を検出するためのステップである。レンズユニット12が、カメラ本体11に装着されたことを検出する着脱検出動作は、Bucom150が周期的にLucom205と通信を行うことでレンズユニット12の着脱状態を調べる。
もしステップS101で、レンズユニット12がカメラ本体11に装着されたことを検出すると、ステップS102の判断がYESとなり、処理がステップS102からステップS103へ移行して防塵動作(塵埃除去動作)が実行される。防塵フィルタ21を共振周波数(f0)で加振するためにN進カウンタ241に設定される値は不揮発性メモリ129に記憶されている。防塵フィルタ21を加振する時間(T0)も不揮発性メモリ129に記憶されているものとする。本実施形態ではこれらのデータに基づいて防塵動作が実行される。
また、ステップS101でレンズユニット12がカメラ本体11に装着されていない場合にはステップS102の判断がNOとなり、処理がステップS102からステップS104へ移行する。ステップS104はカメラ操作SW152の状態を周期的に監視する動作ステップである。ステップS105でカメラ操作SW152の1つである撮影モード選択SWが操作されたか否かを判断し、撮影モード選択SWが操作されたと判断されるとステップS105からステップS106へ移行する。
ステップS106では連写撮影モードが選択されているか否かを判断し、連写撮影モードが選択されていないときは連写撮影モードが設定され、すでに連写撮影モードが設定されているときは連写撮影モードが解除される。連写撮影モードではレリーズSWがONしている間は撮影動作が連続して実行される。ユーザがレリーズSWをOFFするか、又は画像データを記録するメモリがデータで充填されるまで撮影動作が継続して行われる。連写撮影モードが設定されていないときは、レリーズSWがONしても1回のみ撮影動作が実行され、連続して撮影動作が実行されることはない。再度撮影動作を実行させるためにはいったんレリーズSWをOFFした後、レリーズSWをONしなければならない。
また、ステップS105で撮影モード選択SWが操作されない場合はステップS107に移行する。ステップS107ではカメラ操作SW152の1つである1stレリーズSWの操作状態を判定する。1stレリーズSWの操作がなされているときはステップS108へ移行し、当該操作がない時はステップS101へ移行する。
ステップS108では測光回路121から被写体の輝度情報を入手する。そしてこの情報から撮像素子27の露光時間(Tv値)とレンズユニット12の絞り設定値(Av値)を算出する。
ステップS109では、AFセンサ駆動回路117を経由してAFセンサユニット116の検知データを入手する。Bucom150は、このデータに基づきピントのズレ量を算出する。
ステップS110では、その算出されたズレ量が許可された範囲内にあるか否かを判定し、NOの場合はステップS111で撮影光学系12aにおける撮影レンズの駆動制御を行い、ステップS101へ戻る。
一方、ズレ量が許可された範囲内に在る場合は、ステップS112へ移行する。
ステップS112ではカメラ操作SW152の1つである2ndレリーズSWの操作状態を判定する。2ndレリーズSWの操作がなされているときはステップS113へ移行し操作がない時はステップS101へ移行する。
ステップS113では撮影モードが連写撮影モードに設定されているか否かを判定する。連写撮影モードでないときは撮影動作に先立って防塵動作を実行するためにステップS115へ移行する。ステップS115の動作はすでに説明したステップS103と同じ動作である。連写撮影モードが設定されていないときは撮影動作と次の撮影動作までのインターバルが長いために塵埃等が防塵フィルタ21に付着する確率が高くなる。そこで撮影動作のまえに必ず防塵動作を実行する構成としている。
ステップS113で連写撮影モードが設定されているとステップS113からステップS114へ移行する。ステップS114では連写撮影モードにおいてレリーズSWが操作され、1回目の撮影動作であるか否かを判定する。1回目の撮影動作であるならば、撮影動作に先立って防塵動作を実行する必要がある。そこで、ステップS115へ移行する。一方2回目以降の撮影動作であるときはステップS114からステップS116へ移行する。
ステップS116では露光時間が所定時間より長いか否かを判定する。ここでは、すでにステップS108において算出された露光時間(Tv値)に基いて判断する。露光時間が所定時間より長いときは、防塵動作を実行するためステップS115へ移行する。所定時間よりも短いときは、防塵動作を禁止してステップS117へ移行する。
連写撮影モードにおいては短いインターバルで連続的に撮影動作を実行されることが望まれる。したがって撮影動作ごとに防塵動作を実行するとは望ましくない。また連続的に撮影する動作はシステムに電力供給を行う電池には大きな負荷を与える。そこで第1実施形態では、少しでも電池の負荷を下げるために連続撮影の2回目以降の防塵動作を止めている。ただし露出時間が長く撮影のインターバルが長くなるときはこの限りではない。そこでステップS116の動作ステップが設けられている。
ステップS117ではすでに算出されたAv値に基づいて撮影レンズの絞りが制御される。さらにTv値に基づいてシャッタ14が制御され、撮像素子27が露光されて画像データが取り込まれる。
ステップS118では取り込んだ画像データを所定のフォーマットへ変換し記録メディアへ保管する。そしてステップS101へ移行する。
最近の電子スチルカメラは簡易的な動画撮影機能(MJPEG)を有するものが存在する。本実施形態をこのようなカメラに適用することも可能である。静止画撮影モードにおいては撮影動作ごとに防塵動作を実行する。動画撮影モードにおいては撮影開始時にのみ防塵動作を実行すればよい。
上記した第1実施形態によれば、連写撮影モードにおいて、防塵フィルタ21による防塵動作を第1回目の撮影動作に先立って行い、第2回目以降の撮影動作時には前記防塵動作を行わないようにしたので、連写撮影の実行時における撮影インターバルを短縮することができる。
(第2実施形態)
図12は、本発明の第2実施形態に係るカメラシステムにおけるBucom150の動作を説明するためのフローチャートである。
Bucom150は、カメラの電源SWがON操作されると、その稼動を開始する。ステップS200において、カメラシステムを起動するための処理が実行される。電源回路を制御して当該カメラシステムを構成する各回路ユニットへ電力を供給する。また各回路の初期設定を行う。
ステップS201では、カメラ本体11に対するレンズユニット12の着脱を検出するためのステップである。レンズユニット12が、カメラ本体11に装着されたことを検出する着脱検出動作は、周期的にLucom205と通信を行うことでレンズユニット12の着脱状態を調べる。
もしステップS201で、レンズユニット12がカメラ本体11に装着されたことを検出すると、ステップS202の判断がYESとなり、処理がステップS202からステップS203へ移行して防塵動作(塵埃除去動作)が実行される。防塵フィルタ21を共振周波数(f0)で加振するためにN進カウンタに設定される値は不揮発性メモリ129に記憶されている。防塵フィルタ21を加振する時間(T0)も不揮発性メモリ129に記憶されている。本実施形態ではこれらのデータに基づいて防塵動作が実行される。
また、ステップS201でレンズユニット12がカメラ本体11に装着されていない場合にはステップS202の判断がNOとなり、処理がステップS202からステップS204に移行する。ステップS204はカメラ操作SW152の状態を周期的に監視する動作ステップである。ステップS205でカメラ操作SW152の1つである撮影モード選択SWが操作されたか否かを判断し、撮影モード選択SWが操作されたと判断されると、ステップS205からステップS206へ移行する。
ステップS206では連写撮影モードが選択されていないときは連写撮影モードが設定される。すでに連写撮影モードが設定されているときは連写撮影モードが解除されることになる。
また、ステップS205で撮影モード選択SWが操作されない場合はステップS207に移行する。ステップS207ではカメラ操作SW152の1つである1stレリーズSWの操作状態を判定する。1stレリーズSWの操作がなされているときはステップS208へ移行し操作がない時はステップS201へ移行する。
ステップS208では測光回路121から被写体の輝度情報を入手する。そしてこの情報から撮像素子27の露光時間(Tv値)と、レンズユニット12の絞り設定値(Av値)を算出する。
ステップS209では、AFセンサ駆動回路117を経由してAFセンサユニット116の検知データを入手する。Bucom150は、このデータに基づきピントのズレ量を算出する。
ステップS210では、その算出されたズレ量が許可された範囲内にあるか否かを判定し、NOの場合はステップS211で撮影光学系12aにおける撮影レンズの駆動制御を行い、ステップS201へ戻る。
一方、ズレ量が許可された範囲内に在る場合は、ステップS212へ移行する。
ステップS212ではカメラ操作SW152の1つである2ndレリーズSWの操作状態を判定する。2ndレリーズSWの操作がなされているときはステップS213へ移行し操作がない時はステップS201へ移行する。
ステップS213では撮影モードが連写撮影モードに設定されているか否かを判定する。連写撮影モードでなければステップS215へ移行して防塵動作が実行される。ステップS215で実行される防塵動作の条件はすでに説明したステップS203の動作と同じである。
ステップS213で連写撮影モードが選択されているときはステップS213からステップS214へ移行する。ステップS214では連写撮影モードにおいてレリーズSWが操作され、1回目の撮影動作を実行しようとしているのか否かを判定する。1回目の撮影動作であるならば、撮影動作に先立って確実に防塵フィルタ21に付着した塵を除去する必要がある。そこでステップS215へ移行してステップS203と同じ条件で防塵動作を実行する。ステップS203の防塵動作は、レンズユニット12が装着された際に実行される動作である。レンズユニット12の装着前は防塵フィルタ21がカメラの外部に露出されて外気と触れ合う。したがって大きな塵や除去しづらい塵が付着する可能性が高い。そこでステップS203で実行される防塵動作は確実に塵が除去出来るように時間が設定されている。ステップS215の次にステップS217に移行する。
一方、ステップS214において2回目以降の撮影動作であるときはステップS214からステップS216へ移行する。
ステップS216で実行される防塵動作の実行時間T1はステップS215の実行時間T0より短く設定されている。連写撮影モードにおいては短いインターバルで連続的に撮影動作を実行されることが望まれる。したがって撮影動作ごとに確実な防塵動作を実行することは望ましくない。また連続的に撮影する動作において最初の撮影で確実に塵を除去すれば2回目以降は防塵動作の時間を短くしても問題は少ない。撮影と撮影の間の短い時間で除去しずらい塵が付着する可能性は少ないからである。ステップS216の次にステップS217に移行する。
ステップS217ではすでに算出されたAv値に基づいて撮影レンズの絞りが制御される。さらにTv値に基づいてシャッタ14が制御され、撮像素子27が露光されて画像データが取り込まれる。
ステップS218では画像データを所定のフォーマットへ変換し記録メディア127へ保管する。そしてステップS201へ移行する。
上記した第2実施形態によれば、連写撮影モードにおいて、防塵フィルタ21による防塵動作を、第1回目の撮影動作に先立って所定の時間(T0)だけ行い、第2回目以降の撮影動作時には所定の時間(T0)よりも短い時間(T1)だけ前記防塵動作を行うようにしたので、連写撮影の実行時における撮影インターバルを短縮することができる。
なお、連続撮影回数に応じて防塵フィルタ21の振動時間を適宜変更するようにしても良い。
(第3実施形態)
図13は、本発明の第3実施形態に係るカメラシステムにおけるBucom150の動作を説明するためのフローチャートである。
Bucom150は、カメラの電源SWがON操作されると、その稼動を開始する。ステップS300において、カメラシステムを起動するための処理が実行される。電源回路153を制御して当該カメラシステムを構成する各回路ユニットへ電力を供給する。また各回路の初期設定を行う。
ステップS301では、カメラ本体11に対するレンズユニット12の着脱を検出するためのステップである。レンズユニット12が、カメラ本体11に装着されたことを検出する着脱検出動作は、周期的にLucom205と通信を行うことでレンズユニット12の着脱状態を調べる。
もしステップS301で、レンズユニット12がカメラ本体11に装着されたことを検出すると、ステップS302の判断がYESとなり、処理がステップS302からステップS303へ移行して防塵動作(塵埃除去動作)が実行される。防塵フィルタ21を共振周波数(f0)で加振するためにN進カウンタ24に設定される値は不揮発性メモリ129に記憶されている。防塵フィルタ21を加振する時間(T0)も不揮発性メモリ129に記憶されている。これらのデータに基づいて防塵動作が実行される。
また、ステップS301でレンズユニット12がカメラ本体11に装着されていない場合にはステップS302の判断がNOとなり、処理がステップS302からステップS304へ移行する。ステップS304はカメラ操作SW152の状態を周期的に監視する動作ステップである。ステップS305でカメラ操作SW152の1つである撮影モード選択SWが操作されたか否かを判断し、撮影モード選択SWが操作されたと判断されるとステップS305からステップS306へ移行する。
ステップS306では連写撮影モードが選択されていないときは連写撮影モードが設定される。すでに連写撮影モードが設定されているときは連写撮影モードが解除されることになる。
また、ステップS305で撮影モード選択SWが操作されない場合はステップS307に移行する。ステップS307ではカメラ操作SW152の1つである1stレリーズSWの操作状態を判定する。1stレリーズSWの操作がなされているときはステップS308へ移行し1stレリーズ操作がない時はステップS301へ移行する。
ステップS308では測光回路121から被写体の輝度情報を入手する。そしてこの情報から撮像素子27の露光時間(Tv値)とレンズユニット12の絞り設定値(Av値)を算出する。
ステップS309では、AFセンサ駆動回路117を経由してAFセンサユニット116の検知データを入手する。このデータに基づきピントのズレ量を算出する。
ステップS310では、その算出されたズレ量が許可された範囲内にあるか否かを判定し、NOの場合はステップS311で撮影光学系12aにおける撮影レンズの駆動制御を行い、ステップS301へ戻る。
一方、ズレ量が許可された範囲内に在る場合は、ステップS312へ移行する。ステップS312ではカメラ操作SW152の1つである2ndレリーズSWの操作状態を判定する。2ndレリーズSWの操作がなされているときはステップS313へ移行し操作がない時はステップS301へ移行する。
ステップS313では撮影モードが連写撮影モードに設定されているか否かを判断する。連写撮影モードに設定されていないときはステップS315へ移行して撮影動作に先立って防塵動作を実行する。この場合の動作条件はステップS303と同じである。
ステップS313で連写撮影モードが選択されているときはステップS313からステップS314へ移行する。ステップS314では連写撮影モードにおいてレリーズSWが操作され、1回目の撮影動作を実行しようとしているのか否かを判定する。1回目の撮影動作であるならば、撮影動作に先立って確実に防塵フィルタ21に付着した塵埃を除去する必要がある。そこでステップS315へ移行してステップS303と同じ条件で防塵動作を実行する。
一方、ステップS314で2回目以降の撮影動作ならばステップS316へ移行して制御フラグである駆動フラグを設定する。このフラグが設定されている場合には撮影動作中に防塵動作が実行される。連写撮影モードにおいては撮影動作のインターバルが短いほうが望ましい。撮影動作と撮影動作の間で防塵動作が実行されるとインターバルが増大して望ましくない。
そこで2回目以降の撮影動作と平行して防塵動作が実行される。ただし防塵動作により防塵フィルタ21が大きく変形すると撮影レンズの収差が増えて画質が劣化する。したがって撮像素子27の露光中に防塵フィルタ21を加振するときは変形量を抑えて駆動する必要がある。ステップS317の撮影動作は駆動フラグの有無によって動作が変わる。駆動フラグが設定されていない時は、ステップS3170の動作のみが実行される。
ステップS3170ではすでに算出されたAv値に基づいて撮影レンズの絞りが制御される。さらにTv値に基づいてシャッタ14が制御され撮像素子27が露光される。そして画像データが読み出される。
一方、駆動フラグが設定されているときはステップS3170の動作と平行してステップS3172の防塵動作が実行される。ステップS3172の防塵動作における駆動周波数は防塵フィルタ21の形状で決まる共振周波数(f0)からずらす必要がある。f0からずらすことで防塵フィルタ21の変形量を小さくできる。Δfが共振点からのズレ量を示している。防塵フィルタ21の変形量が少ない振動方法ならば他の振動方法を採用してもかまわない。本出願人による特願第2002−183269号において屈曲進行波でフィルタを振動させる方法が開示されている。この振動方法を使うのも1つの手段である。
撮像動作が終了するとステップS318において駆動フラグをクリアする。ステップS319では画像データを所定のフォーマットへ変換し記録メディアへ保管する。そしてステップS3201へ移行する。
上記した第3実施形態によれば、連写撮影モードにおいて、防塵フィルタ21による防塵動作を第1回目の撮影動作に先立って行い、第2回目以降の撮影動作時には当該撮影動作と平行して前記防塵動作とは異なる駆動周波数(f0+Δf)で防塵動作を行うようにしたので、連写撮影の実行時における撮影インターバルを短縮することができる。
(付記)
上記した具体的な実施形態から以下のような構成の発明を抽出することができる。
1. 連続的に撮影動作を実行する連写撮影モードを有するカメラにおいて、
被写体の光学像を結像する撮像光学系と、
上記光学像を電気信号に変換する光電変換手段と、
上記撮像光学系と上記光電変換手段との間に配置され、設定周期で振動可能な防塵フィルタと、
を具備しており、
上記連写撮影モードにおける連続撮影動作の実行時は、連続撮影動作の開始に先だって上記防塵フィルタを所定時間振動させるようにしたことを特徴とするカメラ。
2. 上記防塵フィルタの振動動作を実行するか否かを、露光制御秒時に応じて決定するようにしたことを特徴とする1.に記載のカメラ。
3. 連続的に撮影動作を実行する連写撮影モードを有するカメラにおいて、
被写体の光学像を結像する撮像光学系と、
上記光学像を電気信号に変換する光電変換手段と、
上記撮像光学系と上記光電変換手段との間に配置され、撮影動作に先立って所定時間振動する防塵フィルタと、
を具備しており、
上記連写撮影モードにおける連続撮影動作の実行時は、上記防塵フィルタの振動時間を連続撮影回数に応じて変化させるようにしたことを特徴とするカメラ。
4. 連続撮影の1回目に先立つ防塵動作の時間を2回目以降よりも長くしたことを特徴とする3.に記載のカメラ。
5. 連続的に撮影動作を実行する連写撮影モードを有するカメラにおいて、
被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手段と、
上記撮像手段に被写体光束を導く撮像光学系と、
上記撮像手段の前面に配置された防塵フィルタと、
上記防塵フィルタを振動させる加振手段と、
上記撮像手段による撮像動作の実行中に、上記加振手段を駆動して上記防塵フィルタ上に付着した塵埃を除去するように制御する制御手段と、
を具備し、
上記連写撮影モードにおける連続撮影動作の実行時は、連続撮影動作の開始に先だって上記防塵フィルタを所定時間振動させるようにしたことを特徴とするカメラ。
6. 1回目の撮影動作中は、上記防塵フィルタを振動させないようにしたことを5.に記載のカメラ。