JP2008293844A - 電子源用探針およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子源用探針を先鋭化するにあたって、従来のものよりもさらに先鋭化が可能であり、かつ先鋭化する工程を制御しやすいため再現性良く電子源用探針を作製することが可能な電子源用探針の製造方法と、この製造方法によって得られる電子源用探針を提供する。
【解決手段】酸素の導入によって、<111>方向を向いた単結晶タングステンワイヤ21の先端部のタングステン原子22に酸素原子が結合して、酸化タングステンが形成される。この酸化タングステンが断続的に剥がれることにより、単結晶タングステンワイヤ21からなる探針の先端部が著しく先鋭化される。
【選択図】図9

Description

本発明は、電子顕微鏡、電子分光装置、電子回折装置などに用いられる電子源用探針であって、エネルギーの揃った、指向性と集束性の高い電子ビームの放出を可能とするために、先端部が先鋭化された電子源用探針と、この電子源用探針を再現性良く作製することが可能な電子源用探針の製造方法に関する。
電子顕微鏡、電子分光装置、電子回折装置などには、電子ビームを放出する電子源が設けられて電子ビームが放出される。電子ビームを作り出す方法として、高温で熱電子を取り出す方法、先鋭化した針の先端に高電圧を加えて電子を放出する方法、光で電子を励起する方法などが用いられている。
電子ビームはエネルギーが揃い、指向性と集束性が高いことが求められるが、この点において、先鋭化した針の先端に高電圧を加えて電子を放出する方法が優れている。
このような電子源用探針の一例として、タングステンワイヤを先鋭化して形成されたタングステン針が用いられている。電子源用探針は、放出される電子線が空間的な広がりを持たずに放出されることが望ましいことから、できる限り先鋭化していることが求められる。
タングステン針の先鋭化はこれまで、電解溶液中での溶断や、真空中での加熱・高電圧印加によって行われているが、これらの方法では再現性に乏しく、偶然に任せるしかないため、再現性良く原子レベルでの先鋭化を実現することが求められていた。
タングステンを材料とした電子源用探針の先鋭化を、窒素ガスの導入によるエッチングによって行った例が、非特許文献1に記載されている。
M.Rezeq,J.Pitters and R.Wolkow,J.Chem.Phys.124(2006)(エム.レゼック, ジェイ.ピターズ アンド アール.ウォルコウ, ジャーナル オブ ケミカル フィジックス 124(2006))
非特許文献1に記載された、窒素ガスの導入によるエッチングによると、確かにタングステンをある程度先鋭化することは可能であるが、本発明者は、非特許文献1に記載のものとは異なるエッチング方法によって、非特許文献1に記載のものよりもさらに先鋭化することが可能であり、かつ再現性良く電子源用探針を作製できることを見出した。
本発明は、以上の事情を考慮してなされたもので、電子源用探針を先鋭化するにあたって、従来のものよりもさらに先鋭化が可能であり、かつ先鋭化する工程を制御しやすいため再現性良く電子源用探針を作製することが可能な電子源用探針の製造方法と、この製造方法によって得られる電子源用探針を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明の電子源用探針は、タングステンからなる電子源用探針であって、酸素の導入により形成された酸化タングステンが脱落することにより、先端部が先鋭化されていることを特徴とする。
酸素の導入によりタングステンの先端部近傍に酸化タングステンの層が形成されるが、この酸化タングステンの層は、酸素の導入開始から所定の時間が経過する度に断続的に剥がれるように脱落する。その結果、タングステンの先端部が極めて良好に先鋭化されるため、指向性と集束性の高い電子ビームを放出することが可能な電子源用探針が得られる。
本発明の電子源用探針は、酸化タングステンの脱落による先鋭化によって、先端部の曲率半径を6nm以下とすることができる。
本発明の電子源用探針の製造方法は、酸素とヘリウムとを導入し、タングステンワイヤの先端部を酸素エッチングにより先鋭化する電子源用探針の製造方法であって、タングステンワイヤ先端部の電界イオン顕微鏡像の観察に基づいて、酸素エッチングの進行を制御することにより行うことを特徴とする。
本発明の電子源用探針の製造方法では、タングステンワイヤの先端部を酸素エッチングにより先鋭化しているため、窒素エッチングによるものと比べて先鋭化を顕著に行うことができるばかりでなく、酸素エッチングによる先鋭化の過程をタングステンワイヤ先端部の電界イオン顕微鏡像によって観察しながら行うことができるため、操作性に優れている。そのため、電子源用探針を再現性良く製造することができる。
本発明によると、タングステンの先端部が極めて良好に先鋭化されるため、指向性と集束性の高い電子ビームを放出することが可能な電子源用探針が得られる。また、酸素エッチングによる先鋭化の過程をタングステンワイヤ先端部の電界イオン顕微鏡像によって観察しながら行うことができるため、電子源用探針を再現性良く製造することができる。
以下に、本発明をその実施形態に基づいて説明する。
図1に、本発明の実施形態に係る電子源用探針を作製するための装置構成の概略を示す。
チャンバー1内において、探針ホルダー2に取り付けられた探針3と、この探針3と対向するようにマイクロチャネルプレート(MCP)4が配置され、マイクロチャネルプレート4の後方には蛍光スクリーン5が配置されている。探針ホルダー2とマイクロチャネルプレート4と蛍光スクリーン5にはコントローラ6が接続されて、印加される電圧の調整がなされる。蛍光スクリーン5上に映し出される画像を撮影するためにCCDカメラ7が設置され、CCDカメラ7にはコンピュータ8を介してDVD等の記録装置9とモニタ10とが接続されており、蛍光スクリーン5に映し出された電界電子顕微鏡(FEM)像、電界イオン顕微鏡(FIM)像はCCDカメラ7で撮影されて、その画像はコンピュータ8を介してDVD等の記録装置9に保存されるとともに、モニタ10に表示される。チャンバー1には、ヘリウムボンベ11と酸素ボンベ12とが取り付けられて、ヘリウムガスと酸素ガスとがチャンバー1内に導入される。また、チャンバー1内の探針3の先端側には、接地された引き込み電極13が配置されている。
電界イオン顕微鏡による探針の形状観察の原理を、図2に基づいて説明する。
真空度が1×10-5Torr(1.3×10-3Pa)になるまで、He等のガスを導入し、このような真空中で探針3を保持する。探針3の先端前方には引き込み電極13が配置されている。探針3の表面には原子の配列による原子レベルでの凸凹が生じており、探針3に高電圧を加えると、原子が突出した部分で強い電界を生じる。この強い電界によって、導入されたHe等のガスがイオン化されて、探針3と対面する位置に配置されたマイクロチャネルプレート4に衝突し、蛍光スクリーン5上で輝点を生じる。この輝点は、探針3の表面の原子レベルでの凸凹を数十万倍から100万倍程度に拡大した像となるため、電界イオン顕微鏡によると、探針3の形状を拡大して観察することができる。
探針3の材料として用いられるタングステンの結晶構造を図3に示す。本発明においては、<111>方位を向いた単結晶タングステンワイヤ、または<110>方位を向いた通常のタングステンワイヤを電解研磨により予め先鋭化したものを用いており、図3(a)は、<111>方位を向いた単結晶タングステンワイヤであり、図3(b)は、<110>方位を向いた通常のタングステンワイヤである。いずれについても、FIM像を併せて表示している。タングステンワイヤを作製すると、通常<110>方位に結晶軸が揃い、その微少領域を見ると<110>方位を向いた結晶となるが、ここでいう通常のタングステンワイヤとは、このようにして作製されたタングステンワイヤのことを言う。
本発明においては、電界イオン顕微鏡観察時にヘリウムとともに酸素を導入することにより、タングステンワイヤの形状の変化を観察しながら、酸素エッチングによるタングステン探針の先鋭化を行うことが可能である点に大きな特徴がある。
以下に、その先鋭化の詳細について説明する。
図4は、<111>方位を向いた単結晶タングステンワイヤを電解研磨により予め先鋭化した探針に対して、酸素エッチングによってさらに先鋭化するプロセスを示すFIM像である。ここでは、電解研磨により先端部の曲率半径が100nm以下となるようにしたものを用いている。
はじめに、酸素は導入せず、ヘリウムのみを導入したときのFIM像を観察しながら、タングステンの結晶構造がきれいに見えるまで電界蒸発を行って不純物を取り除いた。その後、ヘリウムの圧力を5×10-6Torr(6.7×10-4Pa)まで減らし、全体で1×10-5Torr(1.3×10-3Pa)になるまで酸素を導入した。図4(a)は、酸素を導入してから16分20秒までの間のFIM像を示しており、この間FIM像にはほとんど変化は見られなかった。しかし、酸素を導入してから16分20秒後にFIM像は突然図4(b)へ変化した。また、図4(b)のFIM像は酸素導入後16分20秒から28分57秒までほとんど変化しなかったが、酸素導入後28分57秒後に突然図4(c)へ変化した。さらに、図4(c)に示すFIM像は酸素導入後28分57秒から42分10秒までほとんど変化しなかったが、酸素導入から42分10秒後に突然図4(d)へ変化した。図4(d)から(e)を経て(f)へは徐々に変化した。図4(f)の状態は酸素導入後42分54秒から49分52秒までの間変化しなかった。
このように、図4(a)から(f)までのFIM像を見ると、酸素の導入から所定の時間が経過したときに、酸素エッチングが断続的に進行して、単結晶タングステンワイヤの外側の原子が段階的に消失して先鋭化していることがわかる。また、各タングステン原子に対応する輝点とその間隔が時間の経過とともに大きくなっており、このことから、単結晶タングステンワイヤ先端の曲率半径が小さくなった、すなわち先端が鋭くなったことがわかる。図4(a)に示す単結晶タングステンワイヤの先端部の曲率半径は10nm〜20nmであるのに対して、図4(f)に示す単結晶タングステンワイヤの先端部の曲率半径は3nm〜6nmであり、酸素エッチングによって単結晶タングステンワイヤの先鋭化が良好に行われている。この単結晶タングステンワイヤの先端部の曲率半径については後に詳述する。
また、FIM観察時の探針バイアス電圧は、図4(a)のときに+4.40kVであるのに対し、図4(f)のときには+1.28kVと小さくなっており、このことからも単結晶タングステンワイヤ先端の曲率半径が小さくなっていることがわかる。
図5は、酸素エッチングを行う前後の単結晶タングステンワイヤのFEM像を示す。図5(a)は図4(a)に示すFIM像となる直前のFEM像であり、このときのバイアス電圧は−300Vである。単結晶タングステンワイヤの<114>方位に3つの輝点があり、これは3回回転対称に対応する。図5(b)は図4(f)に示すFIM像となる直後のFEM像であり、バイアス電圧は−160Vである。バイアス電圧の減少は単結晶タングステンワイヤの先端の曲率半径が小さくなったことに対応しており、また、単結晶タングステンワイヤの<111>方向に1つの輝点のみが見える。図5(c)はさらに酸素による処理を行って極低バイアス電子放出の針を作ったときのFEM像である。このときのバイアス電圧は−10Vあるいはそれより小さく、輝点は、極低バイアス電子放出に特有な六角形の形状をしている。
図6に、酸素の導入から28分57秒後に起きたFIM像の突然の変化の様子を詳細に示す。図6においては、(a)から(f)に至るまでの各フレームは、1/25秒経過毎に撮影したものである。図6(b)では既に単結晶タングステンワイヤの外側の部分が消失しており、この変化が急激に起きていることがわかる。このような急激な構造変化が起こるのが酸素エッチングの場合の大きな特徴であり、窒素エッチングにおいてはこのような突然の大きな変化は起こらない。この酸素エッチングに特有な現象が、単結晶タングステンワイヤを用いた探針の先鋭化に大きく寄与している。
図7(a)〜(f)は、上述した酸素エッチングによって得られた鋭い探針の先端から、タングステン原子が電界蒸発により取り除かれる様子を調べたFIM像である。このプロセスから、酸素エッチングにより非常に鋭い探針が形成されていたことがわかる。
図3(b)において図示した<110>方位を向いた通常のタングステンワイヤが、酸素エッチングにより先鋭化されるプロセスのFIM像を図8に示す。図8(a)は酸素導入から7分00秒経過後、(b)は17分00秒経過後、(c)は25分40秒経過後、(d)は26分49秒経過後、(e)は41分50秒経過後、(f)は47分30秒経過後に測定したFIM像である。
このFIM像によると、時間の経過とともに、図8(a)から(f)に向かってタングステンワイヤが先鋭化していることがわかる。このように、タングステンワイヤの先鋭化は、<111>方位を向いた単結晶タングステンワイヤだけでなく、他の方位を向いたタングステンワイヤについても可能であることが確認できた。ただし、<110>方位を向いた通常のタングステンワイヤを用いた場合には、先端部全体が脱落してしまうことが多いため、安定的に先鋭化を行うためには、<111>方位を向いた単結晶タングステンワイヤを用いることが好ましい。
上述した観測結果から、本発明の酸素エッチングによる探針の製造方法では、酸素導入後に酸化タングステンの層がある程度形成された後に、突然酸化タングステンの層が脱落してエッチングが進行するというプロセスが断続的に起こっていることが明らかとなっており、その結果、先端周辺部を深く削ることができ、より先鋭化された探針を作製することができる。
酸素エッチングによってタングステンワイヤが先鋭化されることによる探針先端部の形状の変化の過程を図9に図示する。
図9(a)は酸素エッチング開始前、図9(b)は酸素エッチングの途中段階、図9(c)は酸素エッチングの最終段階での探針の先端部の形状を示している。図9においては、単結晶タングステンワイヤの<111>方位を上向きにして表示している。
酸素の導入によって、<111>方位を向いた単結晶タングステンワイヤ21の先端部のタングステン原子22に酸素原子が結合して、酸化タングステンが形成されており、図9(b)では、酸化タングステンが剥がれるようにして、断続的に酸素エッチングが進行し、その結果、図9(c)に示すように、単結晶タングステンワイヤ21の先端部の先鋭化がなされている。
図9(a)での先端部の曲率半径は11nmであるのに対し、図9(b)では曲率半径は7nmとなり、酸素エッチングの最終段階における図9(b)では、曲率半径は3.5nmとなっている。このように酸化タングステンが剥がれることにより、単結晶タングステンワイヤ21からなる探針の先端部が著しく先鋭化されるようになる。本発明の酸素エッチングによると、単結晶タングステンワイヤ21の先端部の曲率半径を6nm以下、例えば3nm〜6nmとすることが可能である。
これに対して、従来行われていた窒素エッチングでは、タングステン原子22に窒素原子が結合して形成される窒化タングステンは、集合体が断続的に脱落するのではなく、印加される電界が最適となる場所で1原子ずつのエッチングが連続的に進行するため、個別にタングステンワイヤから離れていく。そのため、窒化タングステンが離脱した後のタングステンワイヤの先端部は、なだらかな傾斜面となり、酸素エッチングの場合のように、鋭い先端部が形成されない。
また、<111>方位を向いた単結晶タングステンワイヤによって作製した探針の先端部は、(110)面が谷、(112)面が尾根に相当する角張った構造であるため、方位によって電界が異なる。そのため、均一にエッチングを進めることが困難である。
このように、<111>方位を向いた単結晶タングステンワイヤを酸素エッチングで先鋭化すると、窒素エッチングで先鋭化した場合と比較して、はるかに鋭い針先端を得ることができるが、酸素エッチングは、先端の先鋭化にとどまらず、先鋭化の工程における制御のしやすさの点でも窒素エッチングよりも有利である。この点について以下に説明する。
本発明における酸素エッチングにおいては、酸素を1×10-5Torr(1.3×10-3Pa)から1×10-6Torr(1.3×10-4Pa)、 ヘリウムを1×10-6Torr(1.3×10-4Pa)から1×10-5Torr(1.3×10-3Pa)導入し、単結晶タングステンワイヤの先端から電界蒸発が起こらない程度のバイアス電圧で電界イオン顕微鏡像の観察を行うが、エッチングの進行は針の結晶構造に依存しており、この依存性を利用するためには、<111>方位を向いた単結晶タングステンワイヤを電解研磨して作ったものが適している。図8で示したように、<110>方位を向いた通常のタングステンワイヤを酸素でエッチングすることも可能であるが、エッチングにより針先端部全体が脱落してしまうことが多い。このように、エッチングの進行がタングステンワイヤの結晶構造に依存しているため、好適な結晶構造のものを選択することにより、再現性よく先鋭化を繰り返すことができる。
これに対し、窒素エッチングの進行は、電界イオン顕微鏡像観察時の電界に依存していており、最適な電界がかかっている部分のみが少しずつ削られていくように進行する。このため、常に削りたい場所の電界が最適になるようにバイアス電圧を調整する必要がある。また、電界の調整具合によっては、エッチング後の形状が異なる。<111>方位を向いた単結晶タングステンワイヤを電解研磨して作った探針の場合、方位による凹凸が大きく、電界の大きさが異なってしまうため所望のエッチングを行うことが難しい。
窒素エッチングでは、<110>方位を向いた通常のタングステンワイヤを電解研磨して作った探針の方が適しているが、この方位は安定面であるため、酸素エッチングの場合と比べて鋭い針を作ることが難しい。
このように、酸素エッチングによると、窒素エッチングのように、複雑な電界の調整が不要であるため、操作性に優れており、また再現性も良好である。
また、本発明者は、特願2006−86443号において、極めて低い印加電圧であっても電子ビームを放出することが可能である、タングステンと酸素とが結合した電子源用探針に関する出願をしているが、この出願に係る電子源用探針では、電解研磨による先鋭化によって充分鋭い針ができていなければ、極低バイアス電子放出の状態に達することはできなかった。また、極低バイアス電子放出状態に達した探針も、大電流を取り出したり、何らかの理由で先端部が壊れたりすると、再度極低バイアス電子放出状態に達することは難しかった。これに対して、本発明の酸素エッチングによると、予め電解研磨でそれほど鋭くしていなくても、充分に鋭い探針を作製することができる。また、電界蒸発などにより先端部を除去しても、再び酸素エッチングにより鋭い針を作成することによって、極低バイアス電子放出状態に達することができる。
このように、本発明の電子源用探針の製造方法は、操作性、再現性の点で優れている。
本発明は、高分解能電子顕微鏡の電子源や、走査トンネル顕微鏡、非接触原子間力顕微鏡用の探針として利用することができる。
本発明の実施形態に係る電子源用探針を製造するための装置構成の概略を示す図である。 電界イオン顕微鏡による探針の形状観察の原理を説明するための図である。 探針の材料として用いられるタングステンの結晶構造を示す図である。 <111>方位を向いた単結晶タングステンワイヤを電解研磨により予め先鋭化した探針に対して、酸素エッチングによってさらに先鋭化するプロセスを示すFIM像である。 酸素エッチングを行う前後の単結晶タングステンワイヤのFEM像を示す図である。 酸素の導入から53分57秒後に起きたFIM像の突然の変化の様子を詳細に示す図である。 酸素エッチングによって得られた鋭い探針の先端から、タングステン原子が電界蒸発により取り除かれる様子を調べたFIM像である。 <110>方位を向いた通常のタングステンワイヤが、酸素エッチングにより先鋭化されるプロセスのFIM像である。 酸素エッチングによってタングステンワイヤが先鋭化されることによる探針先端部の形状の変化の過程を示す図である。
符号の説明
1 チャンバー
2 探針ホルダー
3 探針
4 マイクロチャネルプレート
5 蛍光スクリーン
6 コントローラ
7 CCDカメラ
8 コンピュータ
9 記録装置
10 モニタ
11 ヘリウムボンベ
12 酸素ボンベ
13 引き込み電極
21 単結晶タングステンワイヤ
22 タングステン原子

Claims (3)

  1. タングステンからなる電子源用探針であって、酸素の導入により形成された酸化タングステンが脱落することにより、先端部が先鋭化されていることを特徴とする電子源用探針。
  2. 前記先端部の曲率半径が6nm以下であることを特徴とする請求項1記載の電子源用探針。
  3. 酸素とヘリウムとを導入し、タングステンワイヤの先端部を酸素エッチングにより先鋭化する電子源用探針の製造方法であって、タングステンワイヤ先端部の電界イオン顕微鏡像の観察に基づいて、酸素エッチングの進行を制御することにより行うことを特徴とする電子源用探針の製造方法。
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