JP2008292095A - 冷蔵庫 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、冷蔵庫に保存する食品中の栄養素が減少するのを防止する。さらに詳細には、本発明は、毎日買い物をしてその日のうちに消費するのと同じように冷蔵庫に数日保存した後に消費しても同じ栄養価を摂取できるようにすることを課題とする。
【解決手段】本発明によれば、凍結点以上の温度にて、真空引きによって最適な減圧環境下で保存することにより、冷凍保存によるドリップや解凍の手間を省き、食品中の栄養素の劣化を抑制して美味しい肉・魚を保存することができる。
【選択図】図1
【解決手段】本発明によれば、凍結点以上の温度にて、真空引きによって最適な減圧環境下で保存することにより、冷凍保存によるドリップや解凍の手間を省き、食品中の栄養素の劣化を抑制して美味しい肉・魚を保存することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は酸素濃度を低減する装置を有する冷蔵庫に関するものである。
さらに詳細には、冷蔵室内に密閉構造を設け、冷蔵温度帯にて真空引きすることにより酸化による食品中の栄養素の劣化を抑制、保持する冷蔵庫に関するものである。
近年、有職主婦の増加から、食品を保存する日数が増えてきている。一方、ストレスを多く抱える現代人は、生活環境の変化、食生活の変化からメタボリックシンドロームといった成人病予備軍が多く、健康に対する関心、特に健康に良いといわれる栄養素に対する関心が高い。そして、健康に良いといわれる栄養素をたくさん摂取したいという願望が強く、健康に良いといわれる栄養素を多く含む食材の摂取を増やそうという努力をしている人は少なくない。
従って、特に健康に良いといわれる栄養素を多く含む食品をまとめ買いし、冷蔵庫に数日から一週間程度保存しながら消費していく家庭は少なくない。
しかし、健康に良いといわれる栄養素は抗酸化作用が強いため、栄養素自身は酸化されやすい特徴のものが多い。このため、毎日買い物をしてその日のうちに消費するのと、冷蔵庫に数日保存した後に消費するのでは同じ栄養価を摂取できているのか不安に思う人は少なくないだろう。
従来行なってきた食品保存技術は、低温で微生物の増殖抑制を主な視点で研究開発が行なわれて来た。しかし栄養素に着目すると、必ずしも低温が最適な保存手段とはいえない。マイナス18℃で保存する冷凍保存は、凍結により生成した氷結晶が細胞を破壊しアミノ酸や核酸などの健康に良い栄養素が含まれるドリップが流出してしまう。調理する際このドリップは廃棄されてしまうため、食する食品中の栄養価は結局冷凍保存前よりも減少してしまうことになる。また、低温でも酸素があれば酸化反応は起こり抗酸化採用は減少するし、酵素反応も冷蔵庫で実現できるマイナス18℃以上の温度環境では反応速度がゼロになるわけではないので、分解酵素による栄養素の分解は停止できず、現状の家庭用冷蔵庫における低温保存で栄養素の減少防止は十分とはいえない。
そこで、従来の温度管理に加え、ガス濃度をコントロールして保存する技術が考えられている。空気中のガス成分中の特に酸化反応を起す原因の酸素濃度をコントロールする方法である。具体的には分離膜を活用し、空気中の酸素のみを分離除去する技術や、容器中の空気自体を除去し容器中の酸素濃度を減少させる減圧技術などがある。
しかし、これらの技術は、空気中の酸素によって油脂の酸化や色素が生じ、不快なフレーバーの生成防止や、一般的に油焼けと呼ばれる油脂の酸化防止、酸化による食品の変色防止を目的としたものが多い。
減圧装置を有する冷蔵庫の従来例としては、例えば特許文献1に示すようにチルド室または冷凍室の酸素濃度を酸素濃度2.5%〜5%濃度になるように減圧ポンプを制御し、魚等の変色を抑制する冷蔵庫が挙げられる。この装置では、真空度の高い状態のため、肉・魚の酸化を抑制し長期保存が可能となる。
魚肉・生肉の主な品質劣化として、肉の変色が挙げられ、減圧により容器内を無酸素状態に近くすることで、酸化を抑制し長期保存が可能になることは一般的であるが、肉・魚では、かえって肉・魚の変色(メト化)を促進する危険性がある。例えば、マグロ肉の血合の変色はメト化によるものであり、その現象は雰囲気が大気より高い酸素分圧であれば、鮮赤色のオキシミオグロビン(oxyMb)に変化し、逆に酸素分圧が大気よりも低くなって若干の酸素が存在する、すなわち、数〜10mmHgのところで、酸化されて褐色のメトミオグロビン(metMb)になる(メト化)速度が最大になることが知られている。また減圧により水分蒸散が促進され、前述したように、乾燥によるメト化の進行の危険性も考えられる。そのため、保存する際に残存酸素濃度が0.2%〜5%になると血合肉の変色がかえって促進されてしまう問題があった。従来は特許文献1のように、冷凍魚を酸素濃度2.5%〜5%濃度に制御し保存することで、メト化を避けて酸化抑制をする保存を行っていた。
しかし、従来の技術において食品中の栄養素の減少防止についてはなんら記述はない。また、冷凍では前述したように最大氷結晶生成帯を通る際に筋肉組織内に含まれる水が氷結して、体積が増加しその結果、筋肉組織が破壊されるために、解凍の際に再度細胞に取り込まれなかった自由水がドリップとなって、流出し、栄養素もドリップに溶解して流失してしまう。
本発明は、鮮度保持はもちろんであるが、毎日買い物をしてその日のうちに消費するのと同じように冷蔵庫に数日保存した後に消費しても同じ栄養価を摂取できるようにすることを目的としている。
食品を凝固点以上の温度で、且つ最適な減圧下で保存することにより保存中の栄養素の減少を防止する。
本発明によれば、毎日買い物をしてその日のうちに消費するのと同じように冷蔵庫に数日保存した後に消費しても同じ栄養価を摂取することができる。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
まず、図1をもって本発明を採用する冷凍冷蔵庫について説明する。図1において、1は冷蔵庫本体、2は冷蔵室、3は冷蔵室扉、4は野菜室、5は野菜室の扉、6は冷蔵室ファン、7は冷蔵室冷却器、8は冷凍室、9は冷凍室冷却器、10はコンプレッサ、11は冷気通路、12は冷蔵室2を区切る棚、13は本発明の貯蔵室である。冷蔵庫本体1は貯蔵室を構成する冷蔵室1、野菜室4および冷凍室8を上下に位置して形成している。この野菜室4の背面部には冷蔵室ファン6および冷蔵室冷却器7が配置されている。そして、冷蔵室1と野菜室4は冷気通路13を介して冷蔵室ファン6および冷蔵室冷却器7を有する空間に連通している。冷却器7および9とコンプレッサ10は、冷媒が流れる配管で接続されて冷凍サイクルを構成している。19は貯蔵室13から空気を排気する負圧ポンプである。
図2において本発明の貯蔵室13について更に説明する。14は冷蔵室2内を区切って貯蔵室13を構成する側面構成部材で冷蔵室2内に固定されている。15も14と同様の構成部材で冷蔵室2内に固定されている。また、15は図1に示すように使い勝手を考慮し際下段に配置しているため、冷蔵庫扉3を開ければ貯蔵室13内の食品を貯蔵室13を開けなくても見えるように透明な素材が望ましい。14と15は一体に成型されていても別々の部品を組み合わせて構成されていても良い。16はパッキン、17は食品を載せるトレイ、18は貯蔵室13の扉、扉18には、図示していないが、減圧された貯蔵室13内を大気圧に戻すためのスイッチを備えている。
貯蔵室13は図2に示すようにトレイ17と扉18は一緒に動く構造であるため、食品を貯蔵室13に入れたいとき奥まで手を差し込んで食品を入れる面倒がない。ここで、食品を乗せるトレイ17は使い勝手を向上させるためには有効であるが、これにより貯蔵室13に収納できる内容積は減少することになるので、設置しても設置しなくても良い。
貯蔵室13は負圧ポンプ19と接続されており、食品を保存すると負圧ポンプ19を運転することにより密閉された貯蔵室13から空気が除去され、内部が減圧される。これにより貯蔵室13内の酸素濃度が低下して食品中の栄養素の劣化を防止することが出来る。また、食品を取り出す際には扉18に設置したスイッチ(図示せず)を押すことにより貯蔵室13内が大気圧に戻り、簡単に扉18を開け、食品の出し入れが出来る。
食品中の栄養素の変化と圧力の関係についての詳細を説明する。
図3から図5に生の秋刀魚を設定圧力を変化させた貯蔵室13に保存したときの圧力と残留栄養素との関係を示す。
図3は、予め購入当初のドコサヘキサエン酸(DHA)含有量を測定しておき、貯蔵室13に秋刀魚を入れ、内の圧力を−50kPaと−30kPaと大気圧にして、各4日経過後の秋刀魚中のドコサヘキサエン酸(DHA)含有量を測定し比較検討を行なった。23は大気圧保存の場合の購入時に対する変化量を100とした場合の−50kPaのドコサヘキサエン酸(DHA)の残存率を示す。24は大気圧保存の場合の購入時に対する変化量を100とした場合の−30kPaのドコサヘキサエン酸(DHA)の残存率を示す。25は大気圧保存の場合を示し、100である。
図4は、生の秋刀魚中のビタミンEについて、図3と同様に測定した結果である。26は大気圧保存の場合の購入時に対する変化量を100とした場合の−50kPaのビタミンEの残存率を示す。27は大気圧保存の場合の購入時に対する変化量を100とした場合の−30kPaのビタミンEの残存率を示す。25は大気圧保存の場合を示し、100である。
図5は、生の秋刀魚中のコエンザイムQ10について、図3と同様に測定した結果である。29は大気圧保存の場合の購入時に対する変化量を100とした場合の−50kPaのコエンザイムQ10の残存率を示す。27は大気圧保存の場合の購入時に対する変化量を100とした場合の−30kPaのコエンザイムQ10の残存率を示す。25は大気圧保存の場合を示し、100である。
この測定した各栄養素について説明する。
ドコサヘキサエン酸(DHA)は不飽和脂肪酸の一種で、摂取すると体内で、血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪を減らし、善玉コレステロールを上昇させるといわれ、特に、頭の働きが良くなり、アルツハイマーの予防や改善、記憶能力を高めるとの報告がある。また血圧を下げる効果もあるといわれている栄養素である。
ビタミンEは摂取すると体内で、動脈硬化や老化を進行させ、発がん性の疑いもあるといわれている過酸化物質の生成を抑える抗酸化採用が強く、ビタミンCやカロテノイドと相乗効果を発揮するといわれている。また、最近の研究では更年期障害の症状改善効果が報告されている。
コエンザイムQ10は、もともと人間の体内に存在する補酵素の一種で、体内で合成されるものであるが、一般的に20代をピークにだんだん合成量が減少していき、40代では体内のコエンザイムQ10の量は、20代の70%程度まで減少するといわれている。コエンザイムQ10は、体内で免疫力の向上作用をすると言われている。
このように健康増進に役立つ栄養を多種秋刀魚は含有していることになる。そして、これら栄養素は図3から図5に示すように、−30kPaで保存したほうが大気圧で保存するよりも保存中の減少を抑制できることが判った。更に、−50kpaではコエンザイムQ10は大気圧で保存するよりも保存中の減少を抑制できるが、他の栄養素では大気圧で保存するよりも保存中の減少を抑制できなかった。このことから圧力と栄養素残存量の関係は一致しないといえる。これは各栄養素の劣化のメカニズムが異なるためと考えられる。したがって、ひとつの栄養素に着眼し最適条件で保存しても、他に含有する栄養素の劣化が著しいと食事によりバランスよく栄養素を摂取しようとする目的に反する。そこで、バランスよく栄養素を保存できる圧力として−50kPaから大気圧未満に制御することが有効である。
本発明にかかる冷蔵庫は、温度−2〜4℃、湿度70〜95%の酸素低減手段を設けた密封容器に魚・肉等の保存をする際に、容器内の圧力として−50kPaから大気圧未満に制御することで、食品中の栄養素の劣化を抑えながら保存することが出来るので、肉魚を貯蔵する業務用貯蔵室等の用途が適用できる。
1…冷蔵庫本体、2…冷蔵室、3…冷蔵室扉、4…野菜室、5…野菜室扉、6…冷蔵室ファン、7…冷蔵室冷却器、8…冷凍室、9…冷凍室冷却器、10…コンプレッサ、11…冷気通路、12…冷蔵室棚、13…貯蔵室、14…貯蔵室構成側面部材、15…貯蔵室構成天井部材、16…パッキン、17…トレイ、18…貯蔵室蓋、19…負圧ポンプ、23…大気圧保存の場合の購入時に対する変化量を100とした場合の−50kPaのドコサヘキサエン酸(DHA)の残存率、24…大気圧保存の場合の購入時に対する変化量を100とした場合の−30kPaのドコサヘキサエン酸(DHA)の残存率、25…大気圧保存の場合の購入時に対する変化量を100とした場合の大気圧のドコサヘキサエン酸(DHA)の残存率、26…大気圧保存の場合の購入時に対する変化量を100とした場合の−50kPaのビタミンEの残存率、27…大気圧保存の場合の購入時に対する変化量を100とした場合の−30kPaのビタミンEの残存率、28…大気圧保存の場合の購入時に対する変化量を100とした場合の大気圧のビタミンEの残存率、29…大気圧保存の場合の購入時に対する変化量を100とした場合の−50kPaのコエンザイムQ10の残存率、30…大気圧保存の場合の購入時に対する変化量を100とした場合の−30kPaのコエンザイムQ10の残存率、31…大気圧保存の場合の購入時に対する変化量を100とした場合の大気圧のコエンザイムQ10の残存率。
Claims (4)
- 温度−2〜4℃、湿度70〜95%のチルド室を有する冷蔵庫において、チルド室が密閉可能な箱体で酸素濃度を低減する減圧手段を有することを特徴とした冷蔵庫。
- 減圧後の気圧を−50kPaから大気圧未満に制御することを特徴とする請求項1の冷蔵庫。
- 酸素濃度を低くすることで、大気圧で保存するよりも食品に含まれる鮮度の劣化抑制を可能とすることを特徴とする請求項1の冷蔵庫。
- 減圧手段として、冷蔵室内に負圧ポンプを設け、吸引作用によって、密閉容器内を減圧することを特徴とする請求項1の冷蔵庫。
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