JP2008291921A - 円すいころ軸受用樹脂製保持器および円すいころ軸受 - Google Patents

円すいころ軸受用樹脂製保持器および円すいころ軸受 Download PDF

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Abstract

【課題】取り付けスペースの制約を緩和することができると共に、保守性を向上させることができる円すいころ軸受用樹脂製保持器を提供する。
【解決手段】円すいころ軸受用樹脂製保持器14は、大径円環部16と、大径円環部16と同軸に配置された小径円環部17と、大径円環部16と小径円環部17との間に円周方向に略等間隔で複数配置され、大径円環部16と小径円環部17とを連結する柱部18と、を備え、円周方向に互いに隣り合う柱部18間に円すいころを転動可能に保持するポケット部19が形成される。そして、ポケット部19の外径側および内径側の開口幅を円すいころのころ径より狭くし、径方向から円すいころを柱部18の弾性変形を利用してポケット部19に挿入可能とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、自動車の減速部分等の回転支持部に配置される円すいころ軸受に組み込まれる樹脂製保持器および該樹脂製保持器が組み込まれた円すいころ軸受に関する。
従来、円すいころ軸受では、円すいころを保持する保持器として、鋼製の保持器を用い、該保持器の軸方向の端部を加締めて、内輪の小鍔部と保持器とによって円すいころを保持するようにしている。
このため、鋼製の保持器を用いた場合は、内輪、保持器および円すいころを一体型として取り扱う必要があり、取り付けスペースの制約や、保持器の加締め時の塑性変形により寸法精度が落ちるという問題があった。
そこで、この対策として、保持器内径側のポケット部の開口幅を円すいころのころ径より狭くして、円すいころが保持器内径側に落ちないようにした樹脂製保持器を用いることにより、外輪、保持器、円すいころをハウジング等に予め組み込んでおき、その後、軸に取り付けた内輪を組み込むようにした円すいころ軸受が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
実開平1−75621号公報
しかしながら、上記特許文献1では、外輪、保持器および円すいころを別々に取り扱うことができないため、取り付けスペースの制約や、保守性の悪化等の嫌いがあり、改善の余地があった。
また、保持器のポケット部と円すいころとの間には若干のすき間があるため、円すいころがスキューすることにより、すべり摩擦が発生して、軌道面または円すいころの転動面(外周面)に損傷が生じる虞れがある。
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、取り付けスペースの制約を緩和することができると共に、保守性を向上させることができる円すいころ軸受用樹脂製保持器および円すいころ軸受を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、円すいころのスキューを防止して、すべり摩擦を低減することができる円すいころ軸受用樹脂製保持器および円すいころ軸受を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 大径円環部と、該大径円環部と同軸に配置された小径円環部と、前記大径円環部と前記小径円環部との間に円周方向に略等間隔で複数配置され、前記大径円環部と前記小径円環部とを連結する柱部と、を備え、円周方向に互いに隣り合う柱部間に円すいころを転動可能に保持するポケット部が形成される円すいころ軸受用樹脂製保持器であって、
前記ポケット部の外径側および内径側の開口幅は前記円すいころのころ径より狭く形成されて、そして
前記円すいころが、前記柱部の弾性変形により、径方向から前記ポケット部に挿入され得る
ことを特徴とする円すいころ軸受用樹脂製保持器。
(2) 前記ポケット部の内周面と前記円すいころの外周面とが、断面視で4点接触する
ことを特徴とする上記(1)に記載の円すいころ軸受用樹脂製保持器。
(3) 前記柱部の外径面または内径面に切欠き部が形成され、そして
該切欠き部には、前記ポケット部に前記円すいころが挿入された後、樹脂が充填される
ことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の円すいころ軸受用樹脂製保持器。
(4) 内周面に円すい状の外輪軌道面を有する外輪と、外周面に円すい状の内輪軌道面を有する内輪と、前記外輪軌道面と前記内輪軌道面との間に転動可能に配設される複数の円すいころと、該円すいころを円周方向に等間隔に保持する保持器と、を備える円すいころ軸受であって、
前記保持器は、上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の円すいころ軸受用樹脂製保持器である
ことを特徴とする円すいころ軸受。
本発明によれば、保持器のみで円すいころを保持することができるので、内輪、外輪、保持器、円すいころを別々に取り扱うことができる。これにより、取り付けスペースの制約を緩和することができると共に、各部品の交換等の保守性を向上させることができる。また、保持器のみで円すいころを保持することができることから、内輪の小鍔部を不要にすることができる。
また、本発明では、ポケット部の内周面と円すいころの外周面とを断面視で4点接触させることにより、円すいころを保持器のポケット部で確実に保持することができるので、スキューの発生を防止することができる。これにより、すべり摩擦を防止して、軌道面または円すいころの転動面(外周面)に損傷が生じるのを回避することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照に従って詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態である円すいころ軸受用樹脂製保持器が組み込まれた円すいころ軸受を説明するための要部断面図、図2は本発明の第1実施形態である円すいころ軸受用樹脂製保持器を説明するための斜視図、図3は図2に示す円すいころ軸受用樹脂製保持器を軸方向から見た図、図4は図1のA−A線断面図、図5〜図8は本発明の第1実施形態である円すいころ軸受用樹脂製保持器の変形例を説明するための図である。
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態である円すいころ軸受用樹脂製保持器(以下、単に保持器ともいう。)が組み込まれた円すいころ軸受から説明する。
この円すいころ軸受10は、図1に示すように、内周面に円すい状の外輪軌道面11aを有する外輪11と、外周面に円すい状の内輪軌道面12aを有する内輪12と、外輪軌道面11aと内輪軌道面12aとの間に転動可能に配設される複数の円すいころ13と、円すいころ13を円周方向に等間隔に保持する本発明の第1実施形態である保持器14と、を備えて構成される。
なお、内輪12における内輪軌道面12aの大径側端部には、円すいころ13の大径側端面を案内する大鍔部15が形成されているが、内輪軌道面12aの小径側端部には、円すいころ13の軸方向移動を規制する小鍔部は形成されていない。
本発明の第1実施形態である保持器14は、合成樹脂の射出成形等で形成されており、図1および図2に示すように、外輪軌道面11aの大径側と内輪軌道面12aの大径側との間に配置される大径円環部16と、外輪軌道面11aの小径側と内輪軌道面12aの小径側との間に大径円環部16と同軸に配置される小径円環部17と、大径円環部16と小径円環部17との間に円周方向に略等間隔で複数配置され、大径円環部16と小径円環部17とを連結する柱部18と、を備える。
保持器14の円周方向に互いに隣り合う各柱部18の間には、円すいころ13を転動可能に保持するポケット部19が形成されている。また、図1および図3に示すように、大径円環部16および小径円環部17は、いずれもポケット部19に保持される円すいころ13のPCD(ピッチ円直径)に略一致する位置に配置されている。
ここで、本実施形態では、図4に示すように、保持器14のポケット部19の外径側の開口幅aおよび内径側の開口幅bは、いずれも円すいころ13のころ径φdより狭く形成されている(φd>a,φd>b)。
ここで、上述したように、大径円環部16および小径円環部17が、いずれもポケット部19に保持される円すいころ13のPCD(ピッチ円直径)に略一致する位置に配置されているため、保持器14の外径側および内径側の両方向から円すいころ13を柱部18の弾性変形を利用してポケット部19に容易に挿入することができる。
また、本実施形態では、図4に示すように、ポケット部19の内周面に相当する柱部18の円周方向を向く面を2つのR中心を有する円弧面として、ポケット部19の内周面と円すいころ13の転動面(外周面)とが断面視で4点接触(実際には線接触)する形状としている。
以上説明したように、本実施形態の保持器14によれば、保持器14のポケット部19の外径側の開口幅aおよび内径側の開口幅bをいずれも円すいころ13のころ径φdより狭くしているので、保持器14のみで円すいころ13を保持することができる。これにより、内輪12、外輪11、保持器14、円すいころ13を別々に取り扱うことができ、取り付けスペースの制約を緩和することができると共に、各部品の交換等の保守性を向上させることができる。また、保持器14のみで円すいころ13を保持することができることから、内輪12の小鍔部を不要にすることができる。
また、ポケット部19の内周面と円すいころ13の転動面(外周面)とを断面視で4点接触させているので、円すいころ13を保持器14のポケット部19で確実に保持してスキューの発生を防止することができる。これにより、すべり摩擦を防止して、軌道面11a,12aまたは円すいころ13の転動面(外周面)に損傷が生じるのを回避することができる。
なお、本実施形態では、大径円環部16および小径円環部17をポケット部19に保持される円すいころ13のPCD(ピッチ円直径)に略一致する位置に配置した場合を例示したが、これに代えて、図5および図6に示す第1変形例のように、大径円環部16および小径円環部17を前記PCDの内径側に配置して、保持器14の外径側から円すいころ13をポケット部19に挿入しやすくしてもよく、また、図7および図8に示す第2変形例のように、大径円環部16および小径円環部17を前記PCDの外径側に配置して、保持器14の内径側から円すいころ13をポケット部19に挿入しやすくしてもよい。
(第2実施形態)
次に、図9および図10を参照しながら、本発明の第2実施形態である保持器について説明する。
図9は本発明の第2実施形態である保持器を説明するための要部断面図、図10は切欠き部に樹脂を充填する工程を説明するための説明図である。なお、上記第1実施形態と重複する部分については図示および説明を省略し、異なる部分についてのみ符号を流用して説明する。
図9を参照して、本実施形態の保持器24は、上記第1実施形態と同様に、合成樹脂の射出成形等により形成されており、保持器24のポケット部19の外径側の開口幅aおよび内径側の開口幅bがいずれも円すいころ13のころ径φdより狭くなっている(φd>a,φd>b)。なお、本実施形態では、ポケット部19の内周面に相当する柱部18の円周方向を向く面を円すいころ13の外周面に対応する円弧面としているが、上記第1実施形態と同様に、ポケット部19の内周面に相当する柱部18の円周方向を向く面を2つのR中心を有する円弧面として、ポケット部19の内周面と円すいころ13の転動面(外周面)とが断面視で4点接触(実際には線接触)する形状としてもよい。
また、本実施形態では、柱部18の内径側の面に切欠き部25が形成されている。この切欠き部25により、保持器24の内径側から円すいころ13を柱部18の弾性変形を利用してポケット部19に挿入する際に、柱部18が弾性変形しやすくなり、円すいころ13の挿入作業をより容易に行なうことができる。
そして、ポケット部19に円すいころ13を挿入した後、図10に示すように、切欠き部25に合成樹脂26を注入充填して冷却固化させる。充填樹脂26については、固着性を考慮して、保持器24と同一種類の樹脂材料が好適である。
なお、本実施形態では、保持器24の内径側から円すいころ13をポケット部19に挿入する場合を想定しているが、保持器24の外径側から円すいころ13をポケット部19に挿入する場合は、柱部18の外径側の面に切欠き部25を形成し、ポケット部19に円すいころ13を挿入した後、上記同様にして、切欠き部25に合成樹脂26を注入充填して冷却固化させる。その他の構成および作用効果は、上記第1実施形態と同様である。
なお、本発明は、上記各実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
本発明の第1実施形態である円すいころ軸受用樹脂製保持器が組み込まれた円すいころ軸受を説明するための要部断面図である。 本発明の第1実施形態である円すいころ軸受用樹脂製保持器を説明するための斜視図である。 図2に示す円すいころ軸受用樹脂製保持器を軸方向から見た図である。 図1のA−A線断面図である。 本発明の第1実施形態である円すいころ軸受用樹脂製保持器の第1変形例を説明するための斜視図である。 図5に示す円すいころ軸受用樹脂製保持器を軸方向から見た図である。 本発明の第1実施形態である円すいころ軸受用樹脂製保持器の第2変形例を説明するための斜視図である。 図7に示す円すいころ軸受用樹脂製保持器を軸方向から見た図である。 本発明の第2実施形態である円すいころ軸受用樹脂製保持器を説明するための要部断面図である。 切欠き部に樹脂を充填する工程を説明するための説明図である。
符号の説明
10 円すいころ軸受
11 外輪
11a 外輪軌道面
12 内輪
12a 内輪軌道面
13 円すいころ
14 保持器
16 大径円環部
17 小径円環部
18 柱部
19 ポケット部
24 保持器
25 切欠き部
26 充填樹脂

Claims (4)

  1. 大径円環部と、該大径円環部と同軸に配置された小径円環部と、前記大径円環部と前記小径円環部との間に円周方向に略等間隔で複数配置され、前記大径円環部と前記小径円環部とを連結する柱部と、を備え、円周方向に互いに隣り合う柱部間に円すいころを転動可能に保持するポケット部が形成される円すいころ軸受用樹脂製保持器であって、
    前記ポケット部の外径側および内径側の開口幅は前記円すいころのころ径より狭く形成されて、そして
    前記円すいころが、前記柱部の弾性変形により、径方向から前記ポケット部に挿入され得る
    ことを特徴とする円すいころ軸受用樹脂製保持器。
  2. 前記ポケット部の内周面と前記円すいころの外周面とが、断面視で4点接触する
    ことを特徴とする請求項1に記載の円すいころ軸受用樹脂製保持器。
  3. 前記柱部の外径面または内径面に切欠き部が形成され、そして
    該切欠き部には、前記ポケット部に前記円すいころが挿入された後、樹脂が充填される
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の円すいころ軸受用樹脂製保持器。
  4. 内周面に円すい状の外輪軌道面を有する外輪と、外周面に円すい状の内輪軌道面を有する内輪と、前記外輪軌道面と前記内輪軌道面との間に転動可能に配設される複数の円すいころと、該円すいころを円周方向に等間隔に保持する保持器と、を備える円すいころ軸受であって、
    前記保持器は、請求項1〜3のいずれか1つに記載の円すいころ軸受用樹脂製保持器である
    ことを特徴とする円すいころ軸受。
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