JP2008291155A - 封止用エポキシ樹脂組成物および半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形時の流動性が低下することなく、半導体チップやリードフレーム等への優れた密着性を有し、優れた耐リフロークラック性を有する封止用エポキシ樹脂組成物および半導体装置を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂、フェノール硬化剤、および無機充填材を必須成分として含有する封止用エポキシ樹脂組成物であって、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールを含有することを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】エポキシ樹脂、フェノール硬化剤、および無機充填材を必須成分として含有する封止用エポキシ樹脂組成物であって、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールを含有することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、封止用エポキシ樹脂組成物および半導体装置に関するものである。
近年の電子機器の小型化、薄型化にともない、表面実装型パッケージが主流になりつつある(特許文献1〜6参照)。表面実装型パッケージでは、赤外線リフロー等の手段で半田接合を行う際に、直接半田温度に曝されるため、パッケージが吸湿していると、半田接合時に吸湿水分が急激に気化膨張し、それによる応力で半導体装置にクラックが発生したり、半導体チップやリードフレーム等とパッケージとの界面で剥離が生じたりする場合がある。
このようなリフロークラック等を改善する技術として、エポキシ樹脂組成物中の無機充填材の充填量を増加させることが知られているが、無機充填材を高充填化すると、耐リフロークラック性が向上する一方で、同時に成形時の流動性の低下を招くために、高充填化には限界があり、結果として耐リフロークラック性の大幅な向上は望めない状況にあった。
耐リフロークラック性を改善するためのその他の技術としては、封止用エポキシ樹脂組成物に有機チオール化合物を配合することが提案されている(特許文献1,2参照)。
特開2004−292516号公報
特開2007−63549号公報
特開昭62−260344号公報
特許第3751171号明細書
特開2001−114992号公報
特開2005−314684号公報
しかしながら、このような有機チオール化合物を配合しても、耐リフロークラック性の向上効果が必ずしも十分ではない場合があり、耐リフロークラック性をさらに向上させる技術が望まれていた。
本発明は以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、成形時の流動性が低下することなく、半導体チップやリードフレーム等への優れた密着性を有し、優れた耐リフロークラック性を有する封止用エポキシ樹脂組成物および半導体装置を提供することを課題としている。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
第1に、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、フェノール硬化剤、および無機充填材を必須成分として含有する封止用エポキシ樹脂組成物であって、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールを含有することを特徴とする。
第2に、上記第1の封止用エポキシ樹脂組成物において、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールの配合量が、エポキシ樹脂、フェノール硬化剤、および無機充填材の全量に対して0.01〜0.5質量%であることを特徴とする。
第3に、本発明の半導体装置は、上記第1または第2の封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体チップを封止してなることを特徴とする。
上記第1の発明によれば、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールを配合したので、半導体チップやリードフレーム等への密着性が向上し、優れた耐リフロークラック性を有する信頼性の高いパッケージとすることができる。さらに、成形時の流動性が低下することもない。
上記第2の発明によれば、特定量の3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールを配合したので、上記第1の発明の効果に加え、特に優れた耐リフロークラック性を有するパッケージとすることができる。
上記第3の発明によれば、上記第1および第2の発明の封止用エポキシ樹脂組成物を用いて封止されているので、優れた耐リフロークラック性を有する半導体装置を得ることができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、フェノール硬化剤、および無機充填材を必須成分として含有し、さらに、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールを含有することを特徴としている。このように3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールを配合したので、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物を用いて成形したパッケージは半導体チップやリードフレーム等へ密着性が高く、優れた耐リフロークラック性を有している。
3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールの配合量は、エポキシ樹脂、フェノール硬化剤、および無機充填材の全量に対して、好ましくは0.01〜0.5質量%、より好ましくは0.1〜0.4質量%である。3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールの配合量が0.01質量%未満であると、有効な密着性が発揮されない場合があり、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールの配合量が0.5質量%を超えると、封止の際に硬化等に悪影響して耐リフロー性が低下する場合がある。
本発明において、エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであれば特に制限なく使用することができる。このようなエポキシ樹脂の具体例としては、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明で用いられるフェノール硬化剤は、エポキシ樹脂の硬化剤として作用するものであり、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有するモノマー、オリゴマー、またはポリマーであれは特に制限なく使用することができる。その具体例としては、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、フェノールアラルキル、ナフトールアラルキルなどの多価フェノール化合物、あるいはナフトール化合物などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フェノール硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂のエポキシ基に対するフェノール硬化剤のフェノール性水酸基の当量比が0.5〜2.0となるように調整することが好ましい。当量比が0.5未満であるとエポキシ樹脂組成物が硬化不足になる場合があり、当量比が2.0を超えると、硬化剤が未反応で残り、耐湿信頼性などのパッケージの性能が低下する場合がある。
本発明ではさらに、エポキシ樹脂組成物に硬化促進剤を配合してもよい。このような硬化促進剤としては、エポキシ基とフェノール性水酸基との反応を促進するものであれば特に制限はないが、たとえば、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートやトリフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;ジアザビシクロウンデセンなどの第三級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
硬化促進剤の配合量は、エポキシ樹脂とフェノール硬化剤の合計量に対して0.1〜5.0質量%が好ましい。硬化促進剤の配合量が0.1質量%未満であると、硬化促進作用が十分に発揮されない場合があり、硬化促進剤の配合量が5.0質量%を超えると、耐湿信頼性などのパッケージの性能が低下する場合がある。
本発明に用いられる無機充填材としては、一般に封止用エポキシ樹脂組成物に使用されているものを用いることができる。その具体例としては、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。これらの中では、球状の溶融シリカまたはアルミナが好ましく、その平均粒径は、成形性や流動性の点から5〜30μmのものが好ましい。なお、平均粒径は、たとえばレーザー回折法等による重量平均値(またはメディアン径)等として求めることができる。
無機充填材の配合量は、封止用エポキシ樹脂組成物の配合成分の全量に対して好ましくは25〜95質量%、より好ましくは75〜95質量%の量である。無機充填材の配合量が25質量%未満であると、耐湿性、半田耐熱性、機械的特性および成形性が低下し、無機充填材の配合量が95質量%を超えると、成形時の流動性が低下し、所要の成形が困難になる場合がある。
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内において、他の任意成分を配合することができる。このような任意成分の具体例としては、カルナバワックス、ステアリン酸、モンタン酸、カルボキシル基含有ポリオレフィン等の離型剤;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、難燃剤、着色剤、シリコーン可撓剤などが挙げられる。
上記のエポキシ樹脂、フェノール硬化剤、無機充填材、および任意成分である硬化促進剤等、そして3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールを配合し、ミキサー、ブレンダー等を用いて十分均一に混合した後、熱ロールやニーダー等の混練機により加熱状態で溶融混合し、これを室温に冷却した後、公知の手段によって粉砕して成形材料とすることができる。
本発明の半導体装置は、上記のようにして得られた封止用エポキシ樹脂組成物を用いて、半導体チップ(受光素子や発光素子等の光半導体素子を除いた、集積回路(IC)、大規模集積回路(LSI)などの半導体素子をいう。)を封止することにより製造される。封止の最も一般的な方法としては、低圧トランスファー成形法があるが、射出成形、圧縮成形、注型等による封止も可能である。封止用エポキシ樹脂組成物を封止の際に加熱して硬化させることで、この封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物によって封止された半導体装置が得られる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1〜6,比較例1〜4>
表1に示す各配合成分を、表1に示す割合(質量%)で配合し、ブレンダーで30分間混合して均一化した後、80℃に加熱した2本ロールで混練溶融させて押し出し、冷却後、粉砕機で所定粒度に粉砕して粒状の封止用エポキシ樹脂組成物を得た。
<実施例1〜6,比較例1〜4>
表1に示す各配合成分を、表1に示す割合(質量%)で配合し、ブレンダーで30分間混合して均一化した後、80℃に加熱した2本ロールで混練溶融させて押し出し、冷却後、粉砕機で所定粒度に粉砕して粒状の封止用エポキシ樹脂組成物を得た。
表1に示す配合成分として、以下のものを使用した。
エポキシ樹脂1:O−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(住友化学(株)製「ESCN 195XL」 エポキシ当量 195)
エポキシ樹脂2:ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YX4000H」 エポキシ当量 196)
フェノール硬化剤1:フェノールノボラック(荒川化学(株)製「タマノール752」 水酸基当量104)
フェノール硬化剤2:フェノールアラルキル樹脂(三井化学(株)製「XL−225」 水酸基当量176)
3,6−ジチア−1,8−オクタンジオール:和光純薬(株)製
無機充填材:球状の溶融シリカ(電気化学工業(株)製「FB820」) 平均粒径 25μm
カップリング剤:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製「KBM403」)
離型剤:カルナバワックス(大日化学工業(株)「F1−100」)
カーボンブラック:三菱化学(株)製「40B」
硬化促進剤:TPP(北興化学(株)製)
得られた封止用エポキシ樹脂組成物を下記条件にて成形し、次の評価を行った。
トランスファー成形条件
金型温度:175℃
注入圧力:70kgf/cm2
成形時間:90秒
後硬化:175℃/6h
評価
(1)スパイラルフロー
ASTM D3123に準じたスパイラルフロー測定金型を用いて上記条件にて成形し、流動距離(cm)を測定した。
(2)耐リフロークラック性1
Cuリードフレームに寸法8×9×0.4mmのテスト用チップを銀ペーストを用いて搭載した、外形寸法14×14×2.7mmの128pinQFPのパッケージを上記条件にて成形し、85℃、85%の条件で168時間吸湿させた後、IRリフロー装置により、240℃、10秒の条件でリフロー処理を行い、クラックの有無を確認し、試験パッケージ数に対するクラック発生パッケージ数で評価した。
(3)耐リフロークラック性2
吸湿時間を72時間、96時間または168時間とし、IRリフロー装置で260℃、10秒の条件でリフロー処理を行った以外は、上記耐リフロークラック性1と同様にして評価した。
エポキシ樹脂1:O−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(住友化学(株)製「ESCN 195XL」 エポキシ当量 195)
エポキシ樹脂2:ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YX4000H」 エポキシ当量 196)
フェノール硬化剤1:フェノールノボラック(荒川化学(株)製「タマノール752」 水酸基当量104)
フェノール硬化剤2:フェノールアラルキル樹脂(三井化学(株)製「XL−225」 水酸基当量176)
3,6−ジチア−1,8−オクタンジオール:和光純薬(株)製
無機充填材:球状の溶融シリカ(電気化学工業(株)製「FB820」) 平均粒径 25μm
カップリング剤:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製「KBM403」)
離型剤:カルナバワックス(大日化学工業(株)「F1−100」)
カーボンブラック:三菱化学(株)製「40B」
硬化促進剤:TPP(北興化学(株)製)
得られた封止用エポキシ樹脂組成物を下記条件にて成形し、次の評価を行った。
トランスファー成形条件
金型温度:175℃
注入圧力:70kgf/cm2
成形時間:90秒
後硬化:175℃/6h
評価
(1)スパイラルフロー
ASTM D3123に準じたスパイラルフロー測定金型を用いて上記条件にて成形し、流動距離(cm)を測定した。
(2)耐リフロークラック性1
Cuリードフレームに寸法8×9×0.4mmのテスト用チップを銀ペーストを用いて搭載した、外形寸法14×14×2.7mmの128pinQFPのパッケージを上記条件にて成形し、85℃、85%の条件で168時間吸湿させた後、IRリフロー装置により、240℃、10秒の条件でリフロー処理を行い、クラックの有無を確認し、試験パッケージ数に対するクラック発生パッケージ数で評価した。
(3)耐リフロークラック性2
吸湿時間を72時間、96時間または168時間とし、IRリフロー装置で260℃、10秒の条件でリフロー処理を行った以外は、上記耐リフロークラック性1と同様にして評価した。
表1に示されるように、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールを配合した実施例1〜6の封止用エポキシ樹脂組成物を用いた場合には、高い耐リフロークラック性を示した。また、成形時の流動性の尺度となるスパイラルフローも良好な流動性を示すものであった。
一方、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールを配合しなかった以外は実施例1〜6と同等の配合比をもつ比較例1〜4では、いずれもリフロー処理によりクラックが有為に発生した。
Claims (3)
- エポキシ樹脂、フェノール硬化剤、および無機充填材を必須成分として含有する封止用エポキシ樹脂組成物であって、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールを含有することを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物。
- 3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールの配合量が、エポキシ樹脂、フェノール硬化剤、および無機充填材の全量に対して0.01〜0.5質量%であることを特徴とする請求項1に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載の封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体チップを封止してなることを特徴とする半導体装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007139619A JP2008291155A (ja) | 2007-05-25 | 2007-05-25 | 封止用エポキシ樹脂組成物および半導体装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007139619A JP2008291155A (ja) | 2007-05-25 | 2007-05-25 | 封止用エポキシ樹脂組成物および半導体装置 |
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JP2008291155A true JP2008291155A (ja) | 2008-12-04 |
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ID=40166225
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JP2007139619A Pending JP2008291155A (ja) | 2007-05-25 | 2007-05-25 | 封止用エポキシ樹脂組成物および半導体装置 |
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---|---|
JP (1) | JP2008291155A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009057530A1 (ja) * | 2007-10-29 | 2009-05-07 | Sumitomo Bakelite Co., Ltd. | 半導体用接着剤組成物およびそれを用いて製造した半導体装置 |
JP2009096872A (ja) * | 2007-10-16 | 2009-05-07 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 |
JP2009191214A (ja) * | 2008-02-18 | 2009-08-27 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | 熱伝導性樹脂組成物、接着剤層、及びそれらを用いて作製した半導体装置。 |
JP2009203416A (ja) * | 2008-02-29 | 2009-09-10 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | 熱伝導性樹脂組成物、接着剤層、及びそれらを用いて作製した半導体装置 |
-
2007
- 2007-05-25 JP JP2007139619A patent/JP2008291155A/ja active Pending
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