以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態について説明する。図1は、本発明の実施の一形態のパチンコ機の遊技盤1を示す正面図である。図示を省略しているけれども、遊技盤1はパチンコ機の遊技盤取付枠に取付けられ、遊技盤取付枠の前面側に前扉が取付けられる。遊技板取付枠の隅部には、発光ダイオード(Light Emitting Diode:略称LED)43(図8参照)およびスピーカ44(図8参照)が配置されている。また遊技板取付枠の下方Z2には、遊技球を貯留する上皿が設けられており、上皿の下方Z2には、下皿が配置されている。前扉には透明な窓板としてガラス板が設けられ、ガラス板は、前扉を閉扉したときに、遊技盤1と略平行になる。ガラス板は遊技球が転動可能な遊技領域2の前方Y1側を覆うように設けられ、遊技者はガラス板を通して前方Y1側から遊技領域2での遊技球の動きを見ることができる。以下、ガラス板の厚み方向を前後方向Yと称する。またガラス板の厚み方向に対して垂直な方向のうち、厚み方向に垂直な投影面に投影した場合に、遊技盤1の表面の長辺に沿って延びる方向を上下方向Zと称する。また前後方向Yおよび上下方向Zに対してともに垂直な方向を左右方向Xと称する。パチンコ機が店舗などに設置され、遊技可能な状態では、上下方向Zは鉛直方向と略平行であり、左右方向Xおよび前後方向Yは水平方向と略平行にとなるように設定される。
遊技領域2は、図示は省略するが、上皿に貯留された遊技球が、ハンドルの操作により発射装置から発射されて釘4などと衝突しながら落下していく領域であり、種々の表示演出を行うための可変表示装置である液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:略称LCD)13が中央に配置されている。図1に示すように、遊技盤1の前面側には、発射された遊技球を案内するためのガイドレール3が設けられ、ガイドレール3に囲まれた遊技領域2の上部に遊技球が案内される。遊技領域2には、遊技球を転動させるための釘4が打設されるとともに、通過チャッカー5、およびアウト口6の各種構造物が配設される。
さらに、図1に示す遊技盤1を前後方向Y一方の前方Y1から見て、遊技領域2の中央から上下方向Z一方の上方Z1側に入賞装置7が設けられる。入賞装置7は、発射された遊技球が通常通過する通常領域8とは区画された入賞領域9が形成され、予め定める入賞条件で、入賞装置7の上部にある遊技球流入部10に備えられた可動部11が開放することによって、遊技球が入賞装置7内の入賞領域9に流入可能になる。図1に示す入賞装置7の場合の入賞条件は、通過チャッカー5を遊技球が通過することである。遊技球が通過チャッカー5を通過すると、入賞装置7は可動部11を開放し、遊技球が入賞領域9に入り難い状態から遊技球が入り易い状態に切換わり、遊技球が入り易い状態が数秒間だけ維持される。
次に、入賞装置7について説明する。入賞装置7の内部の構成は、パチンコ機の機種によって様々である。本実施の形態のパチンコ機は、アナログ式の抽選機能を有している。このようなパチンコ機では、入賞装置7には入賞領域9に「Vゾーン」と呼ばれる特別入賞口12が設けられる。パチンコ機は、特別入賞口12に遊技球が入賞することで大当りを生起する。大当りとは、パチンコ機の動作態様が遊技者にとって有利な状態になることをいう。大当りになったときのパチンコ機の動作態様は機種によって様々であるが、本実施の形態のパチンコ機では、遊技球流入部10に備えられた可動部11の開放状態が維持され、遊技球が入賞装置7内に流入可能な状態が継続され、さらに特別入賞口12に再び遊技球が進入することによって、多くの賞球を獲得することが可能になる。
入賞装置7は、液晶表示器13、遊技球を振分ける多段ステージ14、多段ステージ14に遊技球を落下させる遊技球流入部10、および各部を駆動する駆動部15を含んで構成される。また入賞領域9には、入賞領域9の下方Z2を形成する底壁16、遊技者にとって有利な球通路に向けて形成される特別入賞口12、および遊技者にとって不利な球通路に向けて形成される排出口17が設けられる。
遊技球流入部10は、前述したように、入賞領域9の上部に設けられ、可動部11が開放することによって、遊技球が入賞領域9に流入可能になり、閉鎖している状態では、入賞領域9への流入不可になる。遊技球流入部10から流入した遊技球は、多段ステージ14に落下する。液晶表示器13は、可変表示装置であって、画像が表示されるとともに前記画像の表示状態が変化可能である。
多段ステージ14は、遊技球流入部10の下方Z2に設けられる。また多段ステージ14は、液晶表示器13の前方Y1に設けられる。多段ステージ14は、遊技球を案内する部材の少なくとも一部を構成し、透光性を有する部材である。多段ステージ14は、遊技球を載せた状態で左右方向Xに遊動させる遊動面として機能するステージ18を有し、ステージ18に載った遊技球を遊技者側となる前方Y1に落下させる。多段ステージ14は、前後方向Yに向く予め定める軸線L1まわりに角変位可能に設けられる。本実施の形態では、多段ステージ14は、前後方向Yに向く予め定める軸線L1まわりに揺動可能に軸支される。多段ステージ14は、本実施の形態では全体が透光性を有し、左右方向Xの延びる遊技球が転動可能な複数のステージ18が上下方向Zに階段状に形成される。多段ステージ14は、略円板状であって、その中心軸線L1と略同軸(用語「略同軸」は同軸を含む)に前後方向Yに延びる軸線L1まわりに角変位することによって、各ステージ18に載った遊技球を左右方向Xに転動させ、左右方向Xのいずれかの位置から下方Z2に落下するように、遊技球を振分ける。また多段ステージ14は、予め定める位置、本実施の形態でが、特別入賞口12の上方Z1の位置から、遊技球を落下可能に構成される。
底壁16は、入賞領域9の下方Z2を形成する。底壁16は、水平方向に対して傾斜するように構成される。本実施の形態では、底壁16は、前方Y1に進むにつれて下方Z2に進むように傾斜する。底壁16の前方Y1には、遊技者にとって有利な球排出通路19と、遊技者にとって不利な球排出通路19が2つ設けられる。有利な球排出通路19は、その一端部が特別入賞口12として上方Z1に臨んで開口している。また不利な球排出通路19は、その一端部が排出口17として上方Z1に臨んで開口している。特別入賞口12は、入賞領域9の左右方向Xの中心付近であって、遊技球よりやや大きい寸法に形成される。排出口17は、特別入賞口12を除く残余の部分に形成される。したがって特別入賞口12には、排出口17より遊技球が入る確率が低い。
多段ステージ14から落下した遊技球は、底壁16の傾斜によって前方Y1へこぼれ落ち、底壁16の前方Y1に設けられる特別入賞口12または排出口17に入り、各球排出通路19によって入賞装置7の後方Y2側から遊技領域2の外部に排出される。また多段ステージ14の予め定める位置から落下した遊技球は、多段ステージ14の角度位置によっては、底壁16に到達することなく、直接、特別入賞口12または排出口17に入る。
各球排出通路19には、遊技球が通過の有無を検出する特別入賞口スイッチ20(図8参照)などのスイッチが設けられる。したがって特別入賞口12を通過した遊技球の数は特別入賞口スイッチ20によってカウントされ、排出口17を通過した遊技球の数、およびアウト口6を通過した遊技球の数は、各スイッチによってそれぞれカウント可能に構成される。これによって遊技者の操作によって遊技領域2に与えられた遊技球と、遊技領域2から排出された遊技球との数を比較することができる。したがって遊技球の過不足によって、遊技の不正および遊技球詰まりを検出することができる。
駆動部15は、駆動手段であって、遊技球流入部10に備えられた可動部11、および多段ステージ14をそれぞれ駆動する。駆動部15は、可動部用ソレノイド21(図8参照)、および多段ステージ用モータ23(図8参照)を含み、可動部用ソレノイド21は、可動部11が開閉運動するように駆動する。また多段ステージ用モータ23は、多段ステージ14が回転軸線L1まわりに回転するように駆動する。多段ステージ14の回転周期は、予め定める周期となるように設定される。多段ステージ用モータ23は、多段ステージ14を図1に示す多段ステージ14の基準位置から、前方Y1から見て時計回りまたは反時計まわりに予め定める角速度で、予め定める最大角度、たとえば30度ずつ揺動するように、駆動力を与える。駆動部15は、モータならびに電磁ソレノイドなどのアクチュエータ、およびラック、ピニオンならびに歯車などの伝達手段によって適宜構成される。このような駆動部15は、各部を制御するための主基板23(図8参照)によって予め定める動作をするように制御される。
次に、多段ステージ14の構成に関してさらに詳細に説明する。図2は、多段ステージ14を示す斜視図である。図3は、多段ステージ14を示す正面図である。図4は、多段ステージ14を示す側面図である。図5は、多段ステージ14を示す平面図である。図6は、多段ステージ14を示す下面図である。図7は、多段ステージ14を示す背面図である。多段ステージ14は、前述したように、左右方向Xに延びる複数、本実施の形態では2つのステージ18a,18b(以下、不特定のステージを示す場合、添え字「a」、「b」を省略する。)が前後方向Yに階段状に形成される。各ステージ18は、上方Z1に臨む面24(以下、「ステージ18の上面24」ということがある)が凹部29と凸部28を交互に並ぶ波状の連続する斜面として形成される。また各上面24は、2つの上面24の内、後方に位置するステージ18bの上面24の上を転動させた遊技球を、前方に位置するステージ18aの上面24に落下させた後、その上面24の斜面に沿って転動させる。また下方Z2のステージ18aのさらに下方Z2には、前方Y1に突出する特別案内部25が設けられる。
また各ステージ18の凸部28の頂部分26は、前後方向Yに沿って延びる面であり、凹部29の底部分27は、前後方向Yに対して傾斜するように構成され、本実施の形態では、底部分27は、前方Y1に進むにつれて下方Z2に進むように傾斜する。これによってステージ18の凸部28の頂部分26に載った遊技球は、凸部28の頂部分26によってステージ18の左右方向Xに振分けられ、凹部29の底部分27に載った遊技球は、底部分27の傾斜によって前方Y1に案内される。また上方Z1のステージ18bの凹部29の底部分27の下方Z2には、下方Z2のステージ18aの凸部28の頂部分26となるように設けられ、上方Z1のステージ18bの凸部28の頂部分26の下方Z2には、下方Z2のステージ18aの凹部29の底部分27となるように設けられる。また上方Z1のステージ18bの左右方向X中央には、凸部28となるように構成される。これによって遊技球流入部10から落下してきた遊技球は、上方Z1のステージ18bの左右方向X中央に位置する凸部28に落下するので、このような凸部28によって、左右方向Xのいずれか一方に振分けられる。また上方Z1のステージ18bの凹部29に案内された遊技球は、凹部29の底部分27の傾斜によって前方Y1に案内され、落下すると、下方Z2のステージ18aの凸部28に向かって落下する。このような下方Z2のステージ18aの凸部28によって、再び、左右方向Xのいずれか一方に振分けられる。下方Z2のステージ18aの中央に位置する凹部29に案内された遊技球は、凹部29の底部分27の傾斜によって前方Y1に案内され、特別案内部25に案内される。
特別案内部25は、多段ステージ14の左右方向X中央に設けられ、遊技球を前方Y1に転動させる。また特別案内部25の前方Y1の端部には、遊技球が落下可能な落下孔30が形成される。遊技球は、下方Z2のステージ18aの左右方向X中央の凹部29から特別案内部25の後方Y2の端部に落下すると、前方Y1に転動し、落下孔30から落下する。落下孔30は、図1に示す基準位置に、多段ステージ14が配置されている状態では、特別入賞口12の上方Z1に位置するように設定される。これによって図1に示す状態では、遊技球が落下孔30から落下すると、特別入賞口12に向かって落下するので、特別入賞口12に入る確率が高くなる。また多段ステージ14が図1に示す状態から角変位すると、落下孔30から落下された遊技球は、排出口17に入りやすくなり、特別入賞口12に入りにくくなる。このように多段ステージ14の角度位置によって、特別入賞口12に入る確率が変化する。
多段ステージ14は、内方が中空であり、後方Y2に臨んで開口する枠体状に形成される。多段ステージ14の後方Y2には、多段ステージ14の半径方向外方に向かって凸となるリブ31が設けられる。このリブ31には、ギヤ(図示せず)が形成される。多段ステージ14のギヤは、多段ステージ14の半径方向外方に設けられる動力伝達機構である歯車32を介して駆動源として機能する多段ステージ用モータ22に連結される。またこのリブ31を支持する支持部(図示せず)が、多段ステージ14の周方向にそって、複数、たとえば3つ設けられ、多段ステージ14を角変位可能に支持する。これによって多段ステージ用モータ22が駆動力を受けた歯車は、駆動力を揺動力に変換することによって、多段ステージ14の外周部であるリブ31に揺動力が伝達され、多段ステージ14が軸線L1まわりに揺動する。
また多段ステージ14には、半径方向外方に凸となる被検出部33が設けられる。この被検出部33の位置を、フォトセンサなどの位置検出部34によって検出することによって、回転体13の角度位置を検出することができる。位置検出部34は、多段ステージ14の下方Z2に設けられる。したがって位置検出部34が被検出部33を検出すると、多段ステージ14が予め定める基準位置、本実施の形態では、図1に示すような基準位置に多段ステージ14が配置されていることを検出することができる。したがって基準位置に多段ステージ14が配置される毎に、基準位置に関して補正をするができるので、基準位置からの位置ずれを防止することができる。
次に、パチンコ機の制御システムに関して説明する。図8は、制御システムの電気的構成を簡略化して示すブロック図である。パチンコ機の裏面側には、図8に示すように、主基板23、サブ基板35、払出基板36、表示基板37、音基板38、LED基板39および電源基板(図示せず)が配置されており、これらの各基板23,35〜39によって制御手段である制御システムが構成されている。各基板23,35〜39は、図示は省略するが、中央処理装置(Central Processing Unit:略称CPU)、リードオンリーメモリ(Read Only Memory:略称ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access
Memory:略称RAM)および入出力部(I/O)を主な構成要素として備えている。各基板23,35〜39は、入出力部を介して他の構成要素と電気的に接続される。各ROMには、各基板23,35〜39において実行される制御プログラムおよび設定データなどが格納されており、各RAMには、制御プログラムの実行に必要なデータなどが一時的に格納される。
主基板23は、払出基板36およびサブ基板35に接続されている。また主基板23は、通過チャッカー5、位置検出部34および特別入賞口スイッチ20の検出信号が入力され、さらに、可動部用ソレノイド21および多段ステージ用モータ23に接続される。主基板23のROMには、メインプログラムおよび割り込みプログラムなどのプログラムが格納されており、主基板23において、これらのプログラムが実行することによって、各部を制御する。主基板23は、通過チャッカー5の検出信号に基づいて、可動部用ソレノイド21に駆動指令を与える。また主基板23は、位置検出部34による検出信号に基づいて、液晶表示器13によって表示されるキャラクタの位置および姿勢などを制御するように、サブ基板35に指令を与える。また主基板23は、多段ステージ用モータ23に与える駆動指令に基づいて、液晶表示器13によって表示されるキャラクタの位置および姿勢などを制御するように、サブ基板35に指令を与える。したがって主基板23は、可変表示制御手段としての機能を有し、液晶表示器13に表示される画像を制御する。
払出基板36は、主基板23からの指示に基づいて払出モータ40の駆動を制御し、所定数量の遊技球を払い出す。払い出された遊技球は、払出球確認センサ41により検出され、検出結果が払出基板36にフィードバックされる。サブ基板35は、表示基板37、音基板38およびLED基板39にそれぞれ接続されており、主基板23からの指示に基づいて、表示基板37、音基板38およびLED基板39への指示信号を生成し、出力する。表示基板37は、表示手段である液晶表示器13に接続されている。表示基板37は、サブ基板35の指示に基づいて、図柄の変動や演出用の画像処理を指示し、液晶表示器13に動画像を表示させる。音基板38は、サブ基板35の指示に基づいて、スピーカ44から発生する効果音などの出力を制御する。また、LED基板39は、サブ基板35の指示に基づいて、LED43の点滅などを制御する。
また主基板23およびサブ基板35は、不図示のクロック回路を備えており、クロック信号に基づいて順次加算されたカウンタ値が、RAMに格納される。カウンタ値は、予め設定された最大値を超えると最小値0に戻る。主基板23のRAMに格納されるカウンタ値としては、大当りカウンタ、指示図柄カウンタ、変動パターンカウンタなどがあり、サブ基板35のRAMに格納されるカウンタ値としては、演出カウンタ、図柄カウンタなどがある。たとえば変動パターンカウンタは、サブ基板35へ送る変動パターンコマンドを決定するためのカウンタであり、この変動パターンコマンドに基づいて、液晶表示器13に表示される動画像の演出時間や演出方針が決定される。
図9は、多段ステージ14と液晶表示器13との一部を拡大して示す側面図である。図10は、キャラクタの一例を液晶表示器13が表示した状態で、多段ステージ14を示す正面図である。主基板23は、可変表示制御手段として、位置検出部34によって検出される多段ステージ14の角度位置に基づいて、液晶表示器13に表示される画像が連動するように制御する。多段ステージ14の位置の真後ろである後方Y2に相当する表示領域内の位置に表示させるキャラクタを、多段ステージ14が角変位した際に、多段ステージ14の位置と合致する位置に表示制御する。換言すると、多段ステージ14とキャラクタが表示される位置関係が、多段ステージ14が角変位した場合であっても、合致するように表示制御される。具体的には、主基板23は、位置検出部34によって検出される多段ステージ14の角度位置に基づいて、前方Y1から見て、液晶表示器13によって表示されるキャラクタの輪郭線42と、各ステージ18の上面24とが合致する位置、すなわち略同一(用語「略同一」は同一を含む)となるようにキャラクタの表示を制御する。キャラクタの輪郭線42と、各ステージ18の上面24とが略同一とは、ステージ18の上面24を前方Y1から見た場合に、上面24を構成する前方Y1の角部、すなわち稜線と、キャラクタの輪郭線42とが略同一であることと同義である。換言すると、主基板23は、位置検出部34によって検出される多段ステージ14の角度位置に基づいて、前方Y1から見て、各ステージ18の境界部分を、液晶表示器13に表示されるキャラクタの輪郭線42と一致するように、キャラクタの表示を制御する。
図9に示すように、多段ステージ14は中空状であるの、前方Y1から見て、ステージ18の上面24を構成する部分44と、残余の部分45とでは、前後方向Yの厚み寸法が異なる。したがって多段ステージ14全体が同じ透明材質から成る場合であっても、前方Y1から見ると、全体として光透過率が異なる。このような光透過率が異なる部分は、キャラクタの輪郭線42を表示するように、制御する。したがって前方Y1から見て、液晶表示器13が画像を表示する表示領域46のうち、ステージ18の上面24を介して視認可能なステージ領域47と、残余の領域48うち前記ステージ領域47に隣接する領域の位置とでは、表示する色彩が異なるように制御される。図10に示すように、キャラクタの顔が表示されている状態では、ステージ領域47に表示される色は、キャラクタの輪郭線42であって、目および口の輪郭線42と重複する位置では、たとえば黒色となる。
また図10に示す基準位置から、多段ステージ14が角変位した場合であっても、その角度位置は、多段ステージ用モータ23に与える駆動指令に基づいて、検出することができる。基準位置は、位置検出部34によって高精度に検出することができるので、たとえば多段ステージ用モータ23がステッピングモータである場合、1パルス当たりの角変位量を予め測定しておくことによって、基準位置から何パルスの駆動指令を与えたかに基づいて、多段ステージ14の角度位置を検出することができる。また液晶表示器13に表示されるキャラクタの画像は、角度位置と、傾いたキャラクタの画像とが関連付けて変動パターンカウンタとして記憶されている。したがって主基板は、多段ステージ14の角度位置に基づいて、変動パターンカウンタを決定し、変動パターンカウンタによってサブ基板35へ送る変動パターンコマンドが決定され、この変動パターンコマンドに基づいて、液晶表示器13に表示される動画像の演出時間や演出方針が決定される。このように多段ステージ14の角度位置が検出されるので、液晶表示器13に表示される画像は、多段ステージ14の角度位置に応じて、図10に示すようにキャラクタの輪郭線42と多段ステージ14のステージ18の上面24とが略同一となるように制御される。たとえば多段ステージ14が基準位置から3度角変位した場合、液晶表示器13によって表示されるキャラクタも3度角変位した状態で表示する。
以上説明したように、本実施の形態の形態のパチンコ機では、多段ステージ14は、透光性を有し、液晶表示器13の前方Y1に設けられる。したがって多段ステージ14を設けても、パチンコ機全体の上下方向Zの寸法が大きくなることを抑制することができ、多段ステージ14を介して遊技者は画像を視認することができる。
また主基板23が、位置検出部34の検出信号に基づき、多段ステージ14の位置の真後ろに相当する表示領域内の位置に表示させるキャラクタを、多段ステージ14が角変位した際に、多段ステージ14の位置と合致する位置に表示制御する。これによって遊技者は、多段ステージ14を介しても、液晶表示器13から遊技者に向かう光の進行角度が、ほぼ変わらない状態で、多段ステージ14の真後ろに映し出されるキャラクタを視認することができる。このため、遊技者は違和感なくキャラクタを視認することができる。
また多段ステージ14のように、段差が生じるように形成されていると、その箇所の前後方向Yの肉厚が異なってしまい、光透過率が異なる部分となり、キャラクタの画像全体を分断してしまうことになるが、一部に光透過率が異なる部分が、キャラクタの輪郭線に合致するように、キャラクタの表示位置を制御することで、遊技者は、違和感なくキャラクタを視認することができる。
換言すると、主基板23は、前方Y1から見て、液晶表示器13によって表示されるキャラクタの輪郭線42と、各ステージ18の上面24とが略同一となるようにキャラクタの表示を制御する。これによって遊技者は、透明な多段ステージ14を介してキャラクタを視認した場合であっても、各ステージ18の上面24とキャラクタの輪郭線42が略同一であるので、キャラクタの画像がステージ18によって上下に分断されることを防ぐことができ、違和感なくキャラクタを視認することができる。
また多段ステージ14は、多段ステージ用モータ23によって、軸線L1まわりに角変位され、多段ステージ14の角度位置は、位置検出部34によって検出される。多段ステージ14の各ステージ18を前方Yに向いた軸線L1まわりに角変位させることによって、ステージ18上に載った遊技球を左右方向Xに遊動させる際に、変化を与えることができる。主基板23は、多段ステージ14の角度位置に基づいて、キャラクタの表示を制御する。これによって多段ステージ14の真後ろに映し出されるキャラクタをステージ18の位置に合致するように変化させることで、遊技者は、違和感なくキャラクタを視認することができる。換言すると、多段ステージ14が角変位した場合であっても、キャラクタの表示を多段ステージ14の角度位置に応じて、変化させることができ、各ステージ18の上面24とキャラクタの輪郭線42が常に略同一にすることができる。これによって液晶表示器13が表示する画像は、静止画に限らず、動画であっても、遊技者に違和感を与えることがないので、画像内容の制約を緩和することができる。
また本実施の形態では、多段ステージ用モータ23は、多段ステージ14のリブ31に歯車32を介して駆動力を伝達することによって、伝達した駆動力が揺動力に変換される。したがって多段ステージ14が揺動することによって、多段ステージ14を構成する波状の各ステージ18の上に載った遊技球を、左右方向Xへ転動させることができる。したがって下方Z2の波状ステージ18に上方Z1から落下してきた遊技球であっても、多段ステージ14の揺動、すなわち角変位によって左右方向Xへの勢いを与えることができる。したがって遊技者は、多段ステージ14の各ステージ18において遊技球の挙動を楽しむことができる。また歯車32は、多段ステージ14の多段ステージ14の半径方向外方に位置するリブ31に揺動力が伝達される。したがって遊技者は、多段ステージ14を駆動させるための動力伝達手段によって視野を遮られることなく、揺動する多段ステージ14を介して、液晶表示器13によって表示される画像を視認することができる。また多段ステージ用モータ23は、軸線L1まわりに多段ステージ14を角変位させる。
また本実施の形態では、液晶表示器13は遊技板1に固定されて設けられ、多段ステージ14が角変位するように構成される。液晶表示器13を遊技板1に対して角変位可能に構成することによって、本実施の形態と同様の作用および効果を達成することも考えられるが、液晶表示器13を遊技板1に対して角変位可能に構成するためには、複数の問題点がある。たとえば1つ目の問題点として、液晶表示器13は多段ステージ14に比べて重いので、液晶表示器13を回転させるために回転軸などの構成への負荷が大きくなる。したがって回転軸などがぶれるおそれがあり、また摩耗もしやすいという問題がある。またたとえば2つ目の問題点として、液晶表示器13に電気信号を与えるための配線も、一端が固定で他端が液晶表示器13に連動して変位するので、断線するおそれが高くなる。これに対して、本実施の形態の多段ステージ14では、電気的構成を有していないので、このような問題点を解消している。またたとえば3つ目の問題点としては、液晶表示器13は、多段ステージ14よりも大きいので、このようなものを回転させるためには、回転させるためのスペースが必要であるが、このようなスペースを確保することは、パチンコ機のように限られた装置内では、困難である。これに対して、本実施の形態の多段ステージ14では、液晶表示器13に前方Y1に設けるので、前述のようにパチンコ機全体の上下方向Zの寸法が大きくなることを抑制することができる。
また本実施の形態では、多段ステージ14の複数のステージ18は、波状に構成される。これによってキャラクタの輪郭線42が直線などに限らず、湾曲している場合であっても、略同一となるように、ステージ18を構成することができる。
前述の実施の各形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において構成を変更することができる。透光性を有する部材としての多段ステージ14は、所定方向、たとえば左右方向Xまたは上下方向Zに沿って移動するように構成してもよい。多段ステージ14は、通常領域8に設けてもよい。多段ステージ14は、電源投入状態で、常に周期的に角変位してもよく、予め定める条件、たとえば通過チャッカー5の検出により、一定時間角変位させてもよい。また多段ステージ14は、少なくとも一部が透光性を有する部材であればよく、たとえば前方Y1から見て、少なくとも液晶表示器13によって画像が表示される領域と重複する部分だけ透光性を有するように構成すればよい。また多段ステージ14のステージ18の数、すなわち段数は、2つ以上であればよい。また多段ステージ14のステージ18は、多段ステージ14の左右方向Xの一部の領域に部分的に設けられてもよい。
位置検出部34は、複数設けてもよい。これによってさらに高精度に多段ステージ14の角度位置を検出することができる。また多段ステージ14が、予め定める臨界位置を超えて角変位しないように、臨界位置にストッパを設けてもよい。これによって不所望に臨界位置を超えることを確実に防ぐことができる。
液晶表示器13によって表示されるキャラクタは、常に表示してもよく、予め定める条件、たとえば通過チャッカー5の検出により、一定時間表示させてもよい。また液晶表示器13に表示されるキャラクタの表示状態は、大当りなどの遊技状態に応じて、変化させてもよい。たとえばキャラクタが人物の顔である場合、大当りなどの遊技状態に応じて、口の開閉、目の開閉、顔の紅潮など、顔の表情を変化させてもよい。またキャラクタは、人物、動物および物の一部、および全体であってもよく、単数、および複数でもよく、人物、動物、物を適宜組み合わせてもよい。
また特別案内部25に遊技球を検出するスイッチを設け、特別案内部25に遊技球が入り、かつ多段ステージ14が基準位置に有る場合、液晶表示器13に表示される画像が、大当りを予告するような画像を表示するようにしてもよい。これによって遊技者は、特別入賞口12に入る瞬間を視認することができる。
またステージ領域47に表示する画像は、多段ステージ18の光透過率を考慮して、色の濃淡で、ステージ領域47に隣接する領域と同様の色として、遊技者に認識されるように、ステージ領域47に表示される色の色彩を制御してもよい。また主基板23は、位置検出部34によって検出される多段ステージ14の角度位置に基づいて、前方Y1から見て、液晶表示器13によって表示されるキャラクタの輪郭線42と、多段ステージ14の半径方向外方の面とが略同一となるようにキャラクタの表示を制御してもよい。
動力伝達機構は、リンク機構であってもよく、複数の歯車またはベルトなどで機械的に連結して駆動力を揺動力に変換して、多段ステージ14に与えてもよい。
1…遊技盤、2…遊技領域、7…入賞装置、12…特別入賞口、13…液晶表示器、14…多段ステージ、15…駆動部、16…底壁、18…ステージ、23…主基板、24、ステージの上面、25…特別案内部、42…輪郭線