以下、本発明の実施態様について詳細に説明する。図1は、本実施態様のパチンコ機GMを示す斜視図である。このパチンコ機GMは、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。この前枠3には、遊技盤5が、裏側からではなく表側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。
ガラス扉6の外周には、LEDランプなどによる電飾ランプが、略C字状に配置されている。前面板7には発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠3の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は発射モータと連動しており、発射ハンドル10の回動角度に応じて動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
上皿8の外周面には、チャンスボタン11が設けられている。このチャンスボタン11は、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなくチャンスボタン11を操作できる。このチャンスボタン11は、通常時には機能していないが、ゲーム状態がボタンチャンス状態となると内蔵ランプが点灯されて操作可能となる。なお、ボタンチャンス状態は、必要に応じて設けられるゲーム状態である。
上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する度数表示部と、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチとが設けられている。
図2に示すように、遊技盤5には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その内側の遊技領域5aの略中央には、液晶カラーディスプレイDISPが配置されている。また、遊技領域5aの適所には、図柄始動口15、大入賞口16、複数個の普通入賞口17(大入賞口16の左右に4つ)、単一のゲート18が配設されている。これらの入賞口15〜18は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。なお、図示の遊技盤では、図柄始動口15が単一であるが、図3に示す回路構成を特に変更することなく、2つ又はそれ以上の図柄始動口を設けることができる。同様に、その他の入賞口15〜18についても、回路構成(具体的には、主制御基板21の回路構成)を変更することなく、適宜にその個数を増減することができる。
液晶ディスプレイDISPは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。この液晶ディスプレイDISPは、中央部に特別図柄表示部Da〜Dcと右上部に普通図柄表示部19を有している。そして、特別図柄表示部Da〜Dcでは、大当り状態の招来を期待させるリーチ演出が実行され、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、当否結果を不確定に報知する予告演出などが実行される。
普通図柄表示部19は普通図柄を表示するものであり、ゲート18を通過した遊技球が検出されると、普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート18の通過時点において抽出された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止するようになっている。
図柄始動口15は、左右1対の開閉爪150を備えた電動式チューリップで開閉されるよう例えば構成され、普通図柄表示部19の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、開閉爪15aが所定時間だけ開放されるようになっている。なお、機種が変更されて、追加して図柄始動口を設ける場合には、例えば、第一の図柄始動口15の直ぐ上に、電動式チューリップを設けることなく第二の図柄始動口が配置される。
何れにしても図柄始動口15に遊技球が入賞すると、特別図柄表示部Da〜Dcの表示図柄が所定時間だけ変動し、図柄始動口15への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄で停止する。なお、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、一連の図柄演出の間に、予告演出が実行される場合がある。
大入賞口16は、例えば前方に開放可能な開閉板16aで開閉制御されるが、特別図柄表示部Da〜Dcの図柄変動後の停止図柄が「777」などの大当り図柄のとき、「大当りゲーム」と称する特別遊技が開始され、開閉板160が開放されるようになっている。
大入賞口16の開閉板16aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板16aが閉じる。このような動作は、最大で例えば15回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。なお、特別図柄表示部Da〜Dcの変動後の停止図柄が特別図柄のうちの特定図柄であった場合には、特別遊技の終了後のゲームが高確率状態となるという特典が付与される。
図3は、上記した各動作を実現するパチンコ機GMの全体回路構成を示すブロック図である。図中の一点破線は、主に、直流電圧ラインを示している。
図示の通り、このパチンコ機GMは、AC24Vを受けて各種の直流電圧やシステムリセット信号SYSなどを出力する電源基板20と、遊技制御動作を中心統括的に担う主制御基板21と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMDに基づいてランプ演出及び音声演出を実行する演出制御基板22と、演出制御基板22から受けた制御コマンドCMD’に基づいて液晶ディスプレイDISPを駆動する液晶制御基板23と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMD”に基づいて払出モータMを制御して遊技球を払い出す払出制御基板24と、遊技者の操作に応答して遊技球を発射させる発射制御基板25と、を中心に構成されている。
但し、この実施形態では、主制御基板21が出力する制御コマンドCMDは、コマンド中継基板26と演出インターフェイス基板27を経由して、演出制御基板22に伝送される。また、演出制御基板22が出力する制御コマンドCMD’は、演出インターフェイス基板27を経由して、液晶制御基板23に伝送され、主制御基板21が出力する制御コマンドCMD”は、主基板中継基板28を経由して、払出制御基板24に伝送される。
これら主制御基板21、演出制御基板22、液晶制御基板23、及び払出制御基板24には、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路がそれぞれ搭載されている。そこで、これらの制御基板21〜24に搭載された回路、及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、本明細書では、主制御部21、演出制御部22、液晶制御部23、及び払出制御部24と言うことがある。なお、演出制御部22、液晶制御部23、及び払出制御部24の全部又は一部がサブ制御部である。
ところで、このパチンコ機GMは、図3の破線で囲む枠側部材GM1と、遊技盤5の背面に固定された盤側部材GM2とに大別されている。枠側部材GM1には、ガラス扉6や前面板7が枢着された前枠3と、その外側の木製外枠1とが含まれており、機種の変更に拘わらず、長期間にわたって遊技ホールに固定的に設置される。一方、盤側部材GM2は、機種変更に対応して交換され、新た盤側部材GM2が、元の盤側部材の代わりに枠側部材GM1に取り付けられる。なお、枠側部材1を除く全てが、盤側部材GM2である。
図3の破線枠に示す通り、枠側部材GM1には、電源基板20と、払出制御基板24と、発射制御基板25と、枠中継基板32とが含まれており、これらの回路基板が、前枠3の適所に各々固定されている。一方、遊技盤5の背面には、主制御基板21、演出制御基板22、液晶制御基板23が、液晶ディスプレイDISPやその他の回路基板と共に固定されている。
そして、枠側部材GM1と盤側部材GM2とは、一箇所に集中配置された接続コネクタC1〜C4によって電気的に接続されている。接続コネクタC1〜C4は、この実施形態では、遊技盤5の背面視左下に集中配置されている。そして、ガラス扉6を開放した状態で、前枠3の表側から、遊技盤5の左端を前枠3に係止して回転支点を確保し、確保した回転支点を中心に遊技盤5を回転させることで、前枠3の内側に遊技盤5を嵌合させる。なお、遊技盤5を嵌合させると、全ての接続コネクタC1〜C4が接続状態となり、それだけで枠側部材GM1と盤側部材GM2の接続が完了し、パチンコ機GMが動作可能な状態となる。
図3に示す通り、電源基板20は、接続コネクタC2を通して、主基板中継基板28に接続され、接続コネクタC3を通して、電源中継基板30に接続されている。そして、主基板中継基板28は、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYS、RAMクリア信号、電圧降下信号、バックアップ電源、DC12V、DC32Vを、そのまま主制御部21に出力している。同様に、電源中継基板30も、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYSや、交流及び直流の電源電圧を、そのまま演出インターフェイス基板27に出力している。なお、演出インターフェイス基板27は、受けたシステムリセット信号SYSを、そのまま演出制御部22と液晶制御部23に出力している。
一方、払出制御基板24は、中継基板を介することなく、電源基板20に直結されており、主制御部21が受けると同様の、システムリセット信号SYS、RAMクリア信号、電圧降下信号、バックアップ電源を、その他の電源電圧と共に直接的に受けている。
ここで、電源基板20が出力するシステムリセット信号SYSは、電源基板20に交流電源24Vが投入されたことを示す信号であり、この信号によって各制御部21〜24のワンチップマイコンその他のIC素子が電源リセットされるようになっている。但し、この実施形態では、主制御部21の乱数生成回路(図4)には、システムリセット信号SYSが供給されず、特有の回路構成によって乱数生成回路を電源リセットしている。
主制御部21及び払出制御部24が、電源基板20から受けるRAMクリア信号は、各制御部21,24のワンチップマイコンの内蔵RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、係員が操作する初期化スイッチのON/OFF状態に対応した値を有している。
主制御部21及び払出制御部24が、電源基板20から受ける電圧降下信号は、交流電源24Vが降下し始めたことを示す信号であり、この電圧降下信号を受けることによって、各制御部21、24では、停電や営業終了に先立って、必要な終了処理を開始するようになっている。また、バックアップ電源は、営業終了や停電により交流電源24Vが遮断された後も、主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンの内蔵RAMのデータを保持するDC5Vの直流電源である。したがって、主制御部21と払出制御部25は、電源遮断前の遊技動作を電源投入後に再開できることになる(電源バックアップ機能)。このパチンコ機では少なくとも数日は、各ワンチップマイコンのRAMの記憶内容が保持されるよう設計されている。
一方、演出制御部22と液晶制御部23には、上記した電源バックアップ機能が設けられていない。しかし、先に説明した通り、演出制御部22と液晶制御部23には、電源中継基板30と演出インターフェイス基板27を経由して、システムリセット信号SYSが共通して供給されており、他の制御部21,24と、ほぼ同期したタイミングで電源リセット動作が実現される。
図示の通り、主制御部21は、主基板中継基板28を経由して、払出制御部25に制御コマンドCMD”を送信する一方、払出制御部25からは、遊技球の払出動作を示す賞球計数信号や、払出動作の異常に係わるステイタス信号CONを受信している。ステイタス信号CONには、例えば、補給切れ信号、払出不足エラー信号、下皿満杯信号が含まれる。
また、主制御部21は、遊技盤中継基板29を経由して、遊技盤5の各遊技部品に接続されている。そして、遊技盤上の各入賞口16〜18に内蔵された検出スイッチのスイッチ信号を受ける一方、電動チューリップなどのソレノイド類を駆動している。なお、スイッチ信号には、図柄始動口15から主制御部21に伝送される二系統の入賞スイッチ信号SWa、SWbが含まれる。
図4は、遊技盤中継基板29の部分を詳細に図示した回路図である。本実施形態では、図柄始動口15が単一であるので、図4(b)の回路構成となるが、図柄始動口が二個の場合には、図4(a)の回路構成となる。2つの回路図から明らかな通り、図柄始動口の個数が変化しても、主制御基板21の回路構成に何ら変更がない。したがって、異なる遊戯性を発揮する複数種類の遊技機において、同一の主制御基板21を共通的に使用することが可能となる。
図4(b)に示す通り、本実施形態の遊技盤中継基板29には、開閉爪15a及び開閉板16aに対応する2つのソレノイドL1,L2と、各種の入賞口15〜17及びゲート18に対応する合計7個の検出スイッチSW1〜SW7と、が接続されている。各検出スイッチSW1〜SW7は、高周波発振回路と検出コイルとを内蔵して構成され、遊技球の通過を、検出コイルのインピーダンス変化に基づいて検出する貫通型近接スイッチである。等価回路は、図4(c)に示す通りであり、近接スイッチ主回路と、近接スイッチ主回路の出力によってON/OFF動作するスイッチングトランジスタQと、保護用のツェナーダイオードZDと、内部抵抗rとで構成されている。
各検出スイッチSW1〜SW7には、+端子と−端子とが設けられ、+端子に正の直流電圧を供給することで、ON状態のトランジスタに向けて、+端子からON電流が流れ込むようになっている。なお、近接スイッチの外部には、電流制限抵抗Rを直列接続する必要がある。なお、電流制限抵抗Rは、r<<Rの関係にある。
図4(a)と図4(b)を対比すれば明らかな通り、図柄始動口が2つ設けられる遊技機の場合には、遊技盤中継基板の入力端子に、8個の検出スイッチSW1〜SW8が接続されるが(図4(a))、実施形態の遊技盤中継基板29の場合には、7個の検出スイッチSW1〜SW7しか接続されない(図4(b))。但し、遊技盤中継基板29の主制御基板側の構成は全く共通しており、検出スイッチ8個分の出力端子が設けられている。そして、遊技盤中継基板29の主制御基板側では、検出スイッチSW7の出力端子と検出スイッチSW8の出力端子とが短絡され、短絡された出力端子と、図柄始動口15の検出スイッチSW7の+出力端子との間に、抵抗値r’の補助抵抗が内部接続されている。ここで、補助抵抗は、検出スイッチSW7を保護する用途で設けられ、その抵抗値r’は、制限抵抗値Rの1/2より十分小さい値で足りる(r’<<R/2)。
ところで、主制御基板21には、遊技盤中継基板29に接続された上記の各センサL1,L2,SW1〜SW7に対応して、ソレノイドL1,L2を駆動するドライバ47と、検出スイッチSW1〜SW7から入賞スイッチ信号を受けるバッファ41とが設けられている。そして、ドライバ47の入力端子は、各々抵抗値Rのプルアップ抵抗を通して、直流電源+Vdにプルアップされている。なお、プルアップ抵抗は、検出スイッチ用の電流制限抵抗を兼ねている。また、主制御基板21から遊技盤中継基板29に、ソレノイド駆動用の直流電圧Vsが供給されている。
主制御基板21と遊技盤中継基板29とは上記の通りに接続されているので、例えば、検出スイッチSW1〜SW6の何れかがON状態になると、主制御基板21の直流電圧+Vdから流出した電流は、抵抗値Rのプルアップ抵抗(電流制限抵抗)→遊技盤中継基板29→検出スイッチSWiの+出力端子の経路で流れる。そして、バッファ41への入力電圧は、Vd×r/(r+R)のLレベルとなる。
一方、図柄始動口の検出スイッチSW7がON状態となった場合には、それぞれプルアップ抵抗を経由する2つの経路を通してON電流が流れ、それらのON電流が遊技盤中継基板29で合流した後に、検出スイッチSW7の+出力端子に流れ込む。ここで、遊技盤中継基板29には、抵抗値r’の補助抵抗が内部接続されているので、バッファ41への入力電圧は、やや増加して、Vd×(r’+r)/(r’+r+R/2)となるが(図4(c))、rやr’の値が十分小さいので(r,r’<<R/2)、バッファ41への入力電圧はLレベルとなる。したがって、本実施形態では、検出スイッチSWiの個数の増減に拘わらず、主制御基板21の回路素子を全く変更することなく、図柄始動口15を含む各種入賞口の個数を適宜に変更することができる。
ところで、以上の説明では、検出スイッチSWiの+端子を、遊技盤中継基板29を経由して主制御基板21に接続したが、このような構成に代えて、検出スイッチSWiの−端子を、遊技盤中継基板29を経由して主制御基板21に接続しても良い。図5は、この回路例を図示したものであり、主制御基板21では、検出スイッチSWiの−端子から流出するON電流を、抵抗値Rのプルダウン抵抗を通してアースに導いている。なお、プルダウン抵抗は、負荷抵抗と電流制限抵抗を兼ねている。このような回路構成を採った場合にも、遊技盤中継基板29の回路構成はほぼ同じであり、図柄始動口の個数に拘わらず、主制御基板21の回路構成が共通化される。
但し、図5の回路構成では、主制御基板21の直流電源Vdが遊技盤中継基板29に供給されるので、その電源ラインに、電磁ノイズが重畳される可能性が高い。そのため、直流電源Vdを、主制御基板のコンピュータ回路の電源電圧に共用することができず、もし、共用するとノイズによってCPUが暴走する可能性が高い。この点、図4の構成では、直流電源Vdの電源ラインが外部に引き回されることがないので上記の問題が少ない。
また、図5の回路構成では、ノイズ対策やチャタリング対策として負荷抵抗RにコンデンサCを並列接続せざるを得ないので、入賞スイッチ信号SWの立上りが鈍ってしまうが、図4の回路構成では、プルアップ抵抗のみで対処できるので、入賞スイッチ信号SWが鈍らず且つ外乱ノイズにも強い。
図6は、主制御部21のうち、特に、乱数生成回路を示す回路図である。乱数生成回路は、図柄始動口15への遊技球の入賞時に実行される大当り抽選処理(図6のST54)で使用される乱数値RNDを生成する回路であり、遊技盤中継基板29から受ける二系統の入賞スイッチ信号SWa、SWbに基づいて動作している。
図示の通り、この乱数生成回路には、電源基板20が出力するシステムリセット信号SYSが供給されず、電源投入時には、自ら生成する電源リセット信号RSTによって各IC素子がリセットされる。したがって、不正遊技者が、例えば、電源基板20と主制御基板21との間に複数設けられたコネクタ(C2など)を悪用して、意図的なシステムリセット信号SYSを発生させても、不正遊技者の望むタイミングでは、各IC素子が電源リセットされない。
乱数生成回路は、計数クロックΦを生成する発振回路40と、図柄始動口15から二系統の入賞スイッチ信号SWa,SWbを受けるバッファ41と、入賞スイッチ信号SWa,SWbの電圧レベルを一時保持するスイッチ信号ラッチ回路42と、計数クロックΦをカウントする2系列の計数回路43と、計数回路43の計数動作の異常を検出する異常検出回路44とを中心に構成されている。この実施態様では、異常検出回路44は電源リセット信号を自動生成するリセット回路を兼ねているので、以下の説明では、リセット回路44と称する場合がある。
入賞スイッチ信号SWa,SWbは、入力ポート45にも供給されており、ワンチップマイコン21AのCPUコアは、定期的なスイッチ入力処理(図6のST23)によって、図柄始動口15のスイッチ信号のON状態を重複して把握するようになっている。そして、入賞スイッチ信号SWa,SWbのON状態を把握したCPUコアは、計数回路43の16ビットデータを取得して乱数値RNDとする(図6のST27)。なお、16ビットデータは、CPUコアの処理能力に対応して8ビット毎に取得される。
以下、回路構成を更に詳細に説明すると、発振回路40は、25MHz程度の高周波パルスを発振する水晶発振回路OSCと、トグル型に配線されたD型フリップフロップFF1とで構成されている。そして、水晶発振回路OSCの出力信号がD型フリップフロップFF1のクロック端子CLKに供給されることで、発振周波数が二分周されて、12.5MHz程度の周波数の計数クロックΦとなる。
スイッチ信号ラッチ回路42は、2つのD型フリップフロップFF2,FF3で構成されている。そして、各フリップフロップFF2,FF3のD入力端子には、バッファ41を経由した入賞スイッチ信号SWa,SWbがそれぞれ供給されている。一方、各フリップフロップFF2,FF3のクロック端子CLKには、反転計数クロックΦ’が供給されている。そのため、反転計数クロックΦ’の信号エッジにおけるD入力端子の値(つまり、入賞スイッチ信号SWa,SWbのレベル値)が、反転計数クロックΦ’に同期して、各フリップフロップFF2,FF3に取得される。
計数回路43は、2系統の16ビットカウンタCTa,CTbと、カウンタCTa,CTbの出力を受ける各16ビット長の2つのラッチ(計数値保持回路)Ra,Rbと、前記ラッチRa,Rbの出力のうち、制御信号CTLで選択された8ビットデータを出力する出力レジスタRoと、を中心に構成されている。16ビットカウンタCTa,CTbは、共にリップルカウンタ形式の二進カウンタである。なお、16ビットカウンタCTaの桁上り信号CYaは、検知パルスPLとして出力される。
第一ラッチRaと第二ラッチRbには、フリップフロップFF2,FF3のQ出力信号であるラッチクロックRCKが供給されている。そして、ラッチクロックRCKのエッジに同期して、その時のカウンタCTa,CTbの計数値が、16ビット長のラッチRa,Rbに取得され、次のラッチクロックRCKを受けるまでその値が保持される。
出力レジスタRoは、ワンチップマイコン21Aが出力する制御信号CTLに基づいて動作している。制御信号CTLは、出力切替用の4ビットデータであり、第一ラッチRaの上位8ビット、第一ラッチRaの下位8ビット、第二ラッチRbの上位8ビット、第二ラッチRbの下位8ビットの何れかが選択されて、ワンチップマイコン21Aのデータバスに出力される。なお、出力レジスタRoの出力は、Hレベル、Lレベル、及びハイ・インピーダンスの3ステイトの何れかである。
異常検出回路44は、トグル型に配線されたD型フリップフロップFF4と、ウォッチドッグ回路46とで構成されている。D型フリップフロップFF4のクロック端子CLKには、計数回路43が出力する検知パルスPLが供給されている。そのため、D型フリップフロップFF4のQ出力端子からは、検知パルスPLを二分周した出力パルスが出力される。
この実施形態では、ウォッチドッグ回路46として、専用ICであるTA8030S(TOSHIBA)が使用されている。このウォッチドッグ回路46では、クリア端子WDに受けるクリアパルスが途絶えると、抵抗R1とコンデンサC1を構成要素とする発振回路が自走状態となり、出力端子RST1からパルス信号が出力される。但し、クリア端子WDに定期的なクリアパルスが供給されている状態では、出力端子RST1はHレベルを維持する。
図示の通り、ウォッチドッグ回路46のクリア端子WDには、二分周された検知パルスPLが、微分コンデンサC3を経由して供給されている。したがって、カウンタCTaが定期的に桁上がり信号CYaを出力している正常状態では、検知パルスPLがクリアパルスとして機能するので、ウォッチドッグIC46の出力端子RST1がHレベルを維持する。一方、カウンタCTaが計数動作を停止すると、クリアパルス(検知パルスPL)が途絶えるので、自走状態のウォッチドッグIC46の出力端子RST1からパルス信号(異常検出信号ABN)が出力される。
この異常検出信号ABNは、2つのNOTゲートG3,G4による波形整形回路を経由して、ワンチップマイコン21Aの入力ポートに供給されている。したがって、ワンチップマイコン21Aでは、異常検出信号ABNのレベルを定期的に判定することで(図8のST24)、乱数生成回路の異常を把握することができる。乱数生成回路のカウンタCTa,CTbの出力値は、大当り抽選処理の乱数値RNDとして使用されるので(図8のST27)、設計通りに高速で更新されることが極めて重要であり、異常検出回路44の意義は大きい。
ところで、ウォッチドッグ回路46は、+5Vの直流電源を受けた後、抵抗R1とコンデンサC1によって決まる若干の遅延時間τ1を経た上で、出力端子RST2がHレベルに立ち上がるよう構成されている。出力端子RST2の出力信号は、電源リセット信号に他ならず、したがって、ウォッチドッグ回路46は、リセット回路44を兼ねている。
この電源リセット信号RSTは、コンデンサC2と2つのNOTゲートG1,G2を経由することで更に遅延時間τ2が増加した状態で、各IC素子のクリア端子CLRに供給されている。電源リセット信号RSTは、具体的には、4つのフリップフロップFF1〜FF4と、計数回路43のクリア端子CLRに供給されている。
この電源リセット信号RSTが、各IC素子に供給されるのは、電源投入タイミングから、少なくともτ1+τ2だけ遅延するが、この遅延時間τ1+τ2は、関連する受動素子(R1,R2,C1,C2など)や能動素子(46,G1,G2など)の特性上のバラツキや、その時の温度や湿度に応じて少なからず変動する。したがって、電源投入時から計数回路43が実際に計数動作を開始するまでの経過時間は、遊技機毎に少なからずバラツクと共に、同一の遊技機であっても日々の温度や湿度に応じて変化する。関連する全ての素子のバラツキを総合した確認実験によれば、電源リセット動作の遅延時間には、全体として2.5mS程度のバラツキが確認された。
一方、計数クロックΦの周波数は、12.5MHz程度であるので、上記した遅延時間のバラツキ(時間変動)による計数回路43の計数値の差異は、30000程度の膨大な数となり不正遊技者の目論見は完全に失敗する。すなわち、何らかの違法な方法によって、システムリセット信号SYSを生成したり、或いは電源電圧をON/OFF操作し、且つ意図的な入賞スイッチ信号SWを生成したとしても、大当り当選値Hitに達するタイミングで入賞スイッチ信号SWを乱数生成回路に供給することは不可能となる。
続いて、遊技動作を統括的に制御する主制御部21のプログラムの概要を説明する。図7〜図9は、主制御部21の制御プログラムを示すフローチャートである。主制御部21の制御プログラムは、電源電圧の復旧や投入に基づいて起動されるシステムリセット処理(図7)と、所定時間毎(2mS)に起動されるマスク可能なタイマ割込み処理(図8(a))とで構成されている。なお、これらの処理を実現するワンチップマイコン21Aには、Z80CPU(Zilog社)相当品が内蔵されている。また、ワンチップマイコン21Aには、ウォッチドッグタイマも内蔵されており、これに対する定期的なクリア処理が途絶えるとCPUが強制的にリセットされるよう構成されている。
以下、図7を参照しつつ、システムリセット処理プログラム(メイン処理)について説明する。メイン処理が開始されるのは、停電状態からの復旧時のように初期化スイッチ(不図示)がOFF状態で電源がON状態になる場合と、遊技ホールの開店時のように、初期化スイッチがON操作されて電源がON状態になる場合とがある。なお、制御プログラムが暴走したことにより、ウォッチドッグタイマが起動してCPUが強制的にリセットされる場合もある。
何れの場合でも、Z80CPUは、最初に自らを割込み禁止状態に設定すると共に(ST1)、割込みモード2に設定する(ST2)。また、CPU内部のスタックポインタSPの値を、スタック領域の最終アドレスに初期設定する(ST3)。なお、この実施態様では、電源遮断時の動作を電源復帰時に再開しないので(CPUのレジスタも保存されず)、最初にスタックポインタSPの値を初期設定しても何の問題もない。すなわち、スタックポインタSPが初期設定されることで、電源遮断前にスタック領域に退避された電源監視サブルーチンST20のリターンアドレス(=乱数更新処理ST21の先頭アドレス)が破壊されても何の問題も生じない。
ステップST3の処理が終われば、ワンチップマイコンの各部を含めて内部レジスタの値を初期設定した後(ST4)、RAMクリア信号の値を判定する(ST5)。先に説明した通り、RAMクリア信号とは、ワンチップマイコン21Aの内蔵RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、係員が操作する初期化スイッチのON/OFF状態に対応した値を有している。
ここでは、RAMクリア信号がON状態であったと仮定すると、ステップST5の判定に続いて、内蔵RAMの全領域がゼロクリアされる(ST9)。したがって、図8(b)のステップST37の処理でセットされたバックアップフラグBFLの値は、他のチェックサム値などと共にゼロとなる。
次に、RAM領域がゼロクリアされたことを報知するための電源投入コマンドが出力され(ST10)、タイマ割込み動作(図8(a))を起動する割込み信号INTを出力するCTC(Z80 counter timer circuit)を初期設定する(ST11)。そして、CPUを割込み禁止状態にセットした状態で(ST12)、各種のカウンタついて更新処理を実行し(ST13)、その後、CPUを割込み許可状態に戻してステップST12に戻る。
したがって、この実施態様では、タイマ割込みが禁止された状態でカウンタが更新されることになり、上記したCTCからCPUに供給される割込み信号INTは、ステップST14の実行直後にしか受け付けられない。そのため、タイマ割込み処理終了後は、必ずステップST12の処理から再実行されることになり、タイマ割込み処理の最初に、CPUのレジスタ類を保存する必要がなくなる。このように、遊技制御に無関係な処理を排除する構成は、2mS以内の限られた時間内に複雑高度な演出処理を完了すべきタイマ割込み処理にとって極めて有効である。
なお、ステップST13で更新されるカウンタには、外れ図柄用カウンタが含まれているが、この外れ図柄用カウンタは、図8(a)の特別図柄処理(ST27)における大当り抽選処理(ST54)の結果が外れ状態となった場合に、どのような態様の外れゲームを演出するかを決定するためのカウンタである。
さて、ステップST5の判定処理に戻って説明すると、CPUが強制的にリセットされた場合や、停電状態からの復旧時には、初期化スイッチ(RAMクリア信号)はOFF状態である。そして、このような場合には、ステップST5の判定に続いて、バックアップフラグBFLの内容が判定される(ST6)。バックアップフラグBFLとは、図8(b)の電源監視処理の動作が実行されたことを示すデータであり、この実施態様では、電源遮断時のステップST37の処理でバックアップフラグBFLが5AHとされ、電源復帰後のステップST33の処理でゼロクリアされる。
電源投入時や、停電状態からの復旧時である場合には、バックアップフラグBFLの内容が5AHの筈である。但し、何らかの理由でプログラムが暴走状態となり、ウォッチドッグタイマによるCPUリセット動作が生じたような場合には、バックアップフラグBFL=00Hである。したがって、BFL≠5AH(通常はBFL=00H)となる場合には、ステップST6からステップST9の処理に移行させて遊技機の動作を初期状態に戻す。
一方、バックアップフラグBFL=5AHであれば、チェックサム値を算出するためのチェックサム演算を実行する(ST7)。ここで、チェックサム演算とは、内蔵RAMのワーク領域を対象とする8ビット加算演算である。そして、チェックサム値が算出されたら、この演算結果を、RAMのSUM番地の記憶値と比較をする(ST8)。
SUM番地には、電圧降下時に実行される電源監視処理(図8(b))において、同じチェックサム演算によるチェックサム値が記憶されている(ST38)。そして、記憶された演算結果は、内蔵RAMの他のデータと共に、バックアップ電源によって維持されている。したがって、本来は、ステップST8の判定によって両者が一致する筈である。
しかし、電源降下時にチェックサム演算(ST38)の実行できなかった場合や、実行できても、その後、メイン処理のチェックサム演算(ST7)の実行時までの間に、ワーク領域のデータが破損している場合もあり、このような場合にはステップST8の判定結果は不一致となる。判定結果の不一致によりデータ破損が検出された場合には、ステップST9の処理に移行させてRAMクリア処理を実行し、遊技機の動作を初期状態に戻す。一方、ステップST8の判定において、チェックサム演算(ST7)によるチェックサム値と、SUM番地の記憶値とが一致する場合には、ステップST11の処理に移行する。
続いて、上記したメイン処理を中断させて、2mS毎に開始されるタイマ割込み処理プログラム(図8(a))を説明する。タイマ割込みが生じると、CPUのレジスタを保存することなく、直ちに電源監視処理が実行される(ST20)。これは、タイマ割込み処理が起動されるタイミングが、ステップST14の直後に固定されているためである。
電源監視処理(ST20)では、電源基板20から供給されている電圧降下信号のレベルを判定するが、具体的な処理内容については後述する。電源監視処理(ST20)が終わると、普通図柄処理(ST26)における抽選動作で使用される当り用カウンタRGの値が更新される(ST21)。なお、特別図柄処理(ST27)における抽選動作で使用される大当り判定用の乱数値RNDについては、図6の乱数生成回路で生成されるので、ステップST21の処理で更新されることはない。
当り乱数更新処理(ST21)が終わると、各遊技動作の時間を管理しているタイマについて、タイマ減算処理が行なわれる(ST22)。ここで減算されるタイマは、主として、電動チューリップや大入賞口の開放時間やその他の遊技演出時間を管理するために使用される。
続いて、図柄始動口15や大入賞口16の入賞検出スイッチを含む各種スイッチ類のON/OFF信号が入力され、ワーク領域にON/OFF信号が記憶される(ST23)。なお、図柄始動口15から2つの経路を経て供給される入賞スイッチ信号SWa、SWbは、入力ポート45を経由して取得され、入賞スイッチ信号SWa,SWbの立上りエッジが検出されるとワーク領域(EDG番地)にON信号が記憶される。
図9(a)は、入賞スイッチ信号SWa、SWbの取得処理を詳細に図示したフローチャートである。本実施態様における入賞スイッチ信号SWa、SWbは、同一の検出スイッチSW7のON/OFF状態を示している。しかし、信号の伝送経路が異なるため、何れかの経路で断線や接触不調が生じている可能性がある。また、電磁ノイズなどの影響で、何れかのデータがビット化けしている可能性もある。
そこで、本実施形態では、2つの入賞スイッチ信号SWa、SWbを比較することで、取得する入賞スイッチ信号の正当性を担保している。なお、一回の割込み処理内の単純な処理(ST53〜ST56)だけで、異常の検知が可能となる。
以下、図9(a)に基づいて説明すると、先ず、入力ポート45の8ビットデータを、CPUのアキュムレータACCとBレジスタに連続して重複取得する(ST50,ST51)。なお、入力ポート45の8ビットデータのうち、bit1が入賞スイッチ信号SWaであり、bit0が入賞スイッチ信号SWbである。
ステップST50〜ST52は、アキュムレータACCとBレジスタの8ビットデータが一致するまで繰り返されるが、これは、リンギングなどの影響で入力データが安定しない場合を考慮したものである。また、入力ポート45の下位2bitには、検出スイッチSW7から同一の入賞スイッチ信号が供給されているとは言え、伝送経路が異なるため微妙に伝送遅延時間が異なることを考慮したものである。すなわち、図9(b)に示す通り、入賞スイッチ信号SWa(bit1)と、入賞スイッチ信号SWb(bit0)の立上りタイミングがずれることがあるので、この時間差τを吸収する意味でも、ステップST50〜ST52の処理は有効である。
ステップST50〜ST52の処理の結果、アキュムレータACCとBレジスタの8ビットデータが一致した場合には、ACCの8ビットデータを1ビット右シフトし、右シフト後のデータをBレジスタのデータとAND演算する(ST53)。そして、AND演算後のデータを、マスクデータ01HとAND演算することで、取得データのbit1とbit0とが一致することを確認する(ST53〜ST54)。
先に説明した通り、bit1が入賞スイッチ信号SWaであり、bit0が入賞スイッチ信号SWbであるが、これらは本来一致する筈である。しかし、二系統の信号伝送経路の何れかに断線や接触不良がある場合には、入賞スイッチ信号SWaと入賞スイッチ信号SWbとが一致しない。また、ノイズの影響で2つの信号が一致しない可能性もある。
そこで、そのような場合には、異常計数カウンタCTRをインクリメント(+1)しつつ(ST55)、ステップST50〜ST56の処理を繰り返す。そして、これらの処理を何回繰り返しても、入賞スイッチ信号SWaと入賞スイッチ信号SWbとが一致しない場合には、故障であると判断してエラー処理を実行する(ST57)。このように、本実施形態では、きわめて簡単なプログラム処理によって、この種の遊技機にとって最も重要な、図柄始動口15及びその入賞スイッチ信号SWの異常を迅速に検出することができる。
一方、取得データのbit1とbit0とが一致する場合には、BUF番地のデータをACCに取得し、全ビットをビット反転させた後、BレジスタのデータとAND演算する(ST58)。BUF番地には、前回のタイマ割込み時に取得した入力ポート45の8ビットデータが記憶されている(ST59参照)。したがって、ステップST58の処理は、前回の取得データ(8ビット)と、今回の取得データ(8ビット)とが完全に一致するか否かを判定していることになる。例えば、入賞スイッチ信号が今回のタイマ割込み時に立上ったような場合には、取得データの下位2ビットが、前回の取得データの下位2ビットと不一致となり、ステップST58のAND演算の結果、下位2ビットが1となる。
このように、ステップST58の処理後のACCは、取得データの立上りエッジを示すビットデータを保有することになる。そこで、次に、ACCのデータをEDG番地に格納すると共に、今回の取得データを保有するBレジスタの値をBUF番地に格納する(ST59)。なお、EDG番地のデータは、特別図柄処理(ST27)において参照される。以上、図柄始動口が単一個の場合の処理を説明したが、図柄始動口が2つ存在し、各々独立した入賞スイッチ信号SWa及び入賞スイッチ信号SWbが取得される場合にはステップST52の判定の後に、ステップST58の処理が実行される。したがって、極めて限定的な制御プログラムの変更だけで足りることになる。
さて、図8に戻って説明を続けると、以上のようにしてスイッチ入力処理(ST23)が終われば、次に、エラー管理処理が行われる(ST24)。エラー管理処理は、遊技球の補給が停止したり、遊技球が詰まっていないかなど、機器内部に異常が生じていないかの判定を含んでいる。また、このエラー管理処理(ST24)では、異常検出信号ABNのレベルも判定され、もし計数回路43の動作に異常が認められたら報知処理を含むエラー処理が起動される。本実施態様では、大当り判定用の乱数値RNDが計数回路43で生成されるので、カウンタCTaの動作が停止したような場合には、直ちに適切な対応が採れるよう、2mS毎に、異常検出信号ABNのレベルを判定している(ST24)。
次に、払出制御部24から受けた賞球計数信号に基づく管理処理を実行した後(ST25)、普通図柄処理を行う(ST26)。普通図柄処理とは、電動チューリップなど、普通電動役物を作動させるか否かの判定を意味する。具体的には、ステップST33のスイッチ入力結果によって遊技球がゲートを通過していると判定された場合に、乱数更新処理(ST21)で更新された当り用カウンタRGを、当り当選値と対比して行われる。そして、対比結果が当選状態であれば当り中の動作モードに変更する。また、当り中となれば、電動チューリップなど、普通電動役物の作動に向けた処理を行う。
続いて、図9(b)に要部を示す特別図柄処理を行う(ST27)。特別図柄処理とは、大入賞口16など特別電動役物を作動させるか否かの判定である。先ず、ステップST23のスイッチ入力処理によって遊技球が図柄始動口を通過しているか否かを判定する(ST60)。具体的には、EDG番地のデータのbit0又はbit1によって、入賞スイッチ信号がON状態か否かが判定される。なお、BUF番地のデータのbit0又はbit1によって、入賞スイッチ信号が立上ったか、立下がったかを特定する。
そして、入賞スイッチ信号がON状態であると判定された場合には、図6の計数回路43から、入賞スイッチ信号SWaに関する16ビット長データを取得する(ST61〜ST62)。具体的には、出力切替信号CTLを切り換えつつ、16ビットラッチRaの上位8ビットデータをRND_H番地に取得し、続いて、16ビットラッチRaの下位8ビットデータをRND_L番地に取得する。
入賞スイッチ信号SWaに関するラッチRaの16ビット長データの取得処理が終われば、次に、入賞スイッチ信号SWbに関する16ビットラッチRbの上位8ビット長データをBレジスタに取得する(ST63)。そして、BレジスタとRND_H番地のデータを対比し、2つの数値が大きく相違しているか否かを判定する。
そして、8ビットデータが一致するか、ほぼ等しい場合には、RND_H番地とRND_L番地に取得した16ビット長データに基づいて、大当り抽選処理を実行する(ST65)。そして、抽選結果が当選状態であれば大当り中の動作モードに変更する。また、大当り中となれば、大入賞口など種特別電動役物の作動に向けた処理を行う。
一方、ステップST64の判定処理において、2つの数値が大きく相違していることが判明した場合には、図6のバッファ41から出力レジスタRoに至る信号経路の何れかに異常が発生していると判断して、エラー処理を実行する(ST66)。なお、本実施形態では、カウンタCTaの桁上り信号CYaに基づいて異常検知をしており、且つ、カウンタCTa、CTbにはリップルカウンタを使用しているので、入賞スイッチ信号SWaに関する信号経路の異常は、異常検出信号ABNによって把握可能である。しかし、入賞スイッチ信号SWaに関する信号経路は正常であるものの、入賞スイッチ信号SWbに関する信号経路には異常がある場合もあり、そのような場合には、近い将来、全ての信号経路が異常となる可能性が高いので、本実施形態のステップST63〜ST64の意義は少なくない。なお、図柄始動口が2つ存在する場合は、ステップST63〜ST64の処理がスキップされる。
ところで、ステップST64の判定で、ラッチRaとラッチRbの下位8ビットデータを問題にしないのは、(a)2つのカウンタCTa,CTbに、同一の計数クロックΦが供給されているとは言え、カウンタCTaとカウンタCTbの計数値が相違することもあり得ること、及び、(b)二系統の経路で供給されるラッチクロックRCKのタイミングが、ずれることを考慮したためである。なお、ラッチクロックRCKのタイミングのずれは、計数クロックΦで換算して、255を超えるほどではないと期待できるので、ラッチRaとラッチRbの上位8ビットを判定している。
以上、特別図柄処理(ST27)の要部を説明したので、再度、図8に戻って説明を続ける。特別図柄処理(ST27)の後、主制御部21で管理するLEDについて点灯動作を進行させると共に(ST28)、電動チューリップや大入賞口などの開閉動作を実現するソレノイド駆動処理を実行した後(ST29)、CPUを割込み許可状態EIに戻してタイマ割込みを終える(ST30)。その結果、割込み処理ルーチンからメイン処理の無限ループ処理(図5)に戻り、ステップST12の処理が実行される。
続いて、図8(b)に示す電源監視処理(ST20)について念のため説明する。電源監視処理(ST20)では、先ず、電源基板20から供給される電圧降下信号を、入力ポート(不図示)を通して取得し(ST31)、それが異常レベルでないか判定する(ST32)。そして、異常レベルでない場合には、異常回数カウンタとバックアップフラグBFLをゼロクリアして処理を終える(ST33)。
一方、電圧降下信号が異常レベルである場合には、異常回数カウンタをインクリメント(+1)して(ST34)、計数結果が上限値MAXを超えていないかを判定する(ST35)。これは、入力ポートからの取得データが、ノイズなどの影響でビット化けしている可能性があることを考慮したものであり、所定回数(例えば、上限値MAX=2)連続して異常レベルを維持する場合には、交流電源が現に遮断されたと判定する。
このように、本実施態様では、電源遮断時にも、直ぐには以降のバックアップ処理を開始せず、動作開始のタイミングが、MAX×2mSだけ遅れる。しかし、(1)電源降下信号は、直流電源電圧の降下ではなく、交流直流電圧の降下を検出すること、(2)直流電源電圧は、大容量のコンデンサによって交流電源の遮断後もしばらくは維持されること、(3)電源監視処理が高速度(2mS毎)で繰り返されること、(4)バックアップ処理が極めてシンプルであり、迅速に終わることから、実質的には何の弊害もない。
ところで、ステップST35の判定の結果、異常回数カウンタの計数値が上限値MAXに一致した場合には、異常回数カウンタをゼロクリアした後(ST36)、バックアップフラグBFLに5AHを設定する(ST37)。次に、メインルーチンのステップST7の場合と、全く同じ演算を、全く同じ作業領域(ワークエリア)に対して実行し、その演算結果を記憶する(ST38)。なお、実行される演算は、典型的には8ビット加算演算である。
そして、その後はワンチップマイコン21AをRAMアクセス禁止状態に設定すると共に(ST39)、全ての出力ポートの出力データをクリアする(ST40)。その結果、同種の電源監視処理を主制御部21より遅れて開始する払出制御部24に対して、不合理なデータが送信させることが防止される。以上のバックアップ処理が終われば、CTCに対する設定処理によって割込み信号INTの生成を禁止すると共に、無限ループ処理を繰り返しつつ直流電源電圧が降下するのを待つ(ST41)。なお、このタイミングでは、CPUは、もともと割込み禁止状態であるが(ST30参照)、電源電圧の降下による誤動作の可能性を、可能な限り排除する趣旨から、本実施態様では、CTCからの割込み信号INTの出力も禁止している。
以上、本発明の実施態様を具体的に説明したが、具体的な記載内容は何ら本発明を限定するものではなく、各種の改変が可能である。例えば、上記の説明では、大当り抽選用の乱数値RNDを、図6に示す乱数生成回路で生成したが、プログラム処理によって乱数値RNDを生成しても良い。この場合には、例えば、当り用カウンタRGの場合と同様に、タイマ割込み処理において、大当りカウンタを定期的に更新すれば良い。
また、図4及び図5に示す遊技盤中継基板29では、補助抵抗r’を内部接続したが、この補助抵抗を省略して、遊技盤中継基板29の入力端子と出力端子とを基板内部で短絡させても良い。但し、この場合には、主制御基板21の電流制限抵抗の抵抗値Rやコンデンサの容量値Cを変化させるのが好適である。
図10は、このような実施形態を示す回路図である。図柄始動口15の検出スイッチSW7に対して、2つの経路を経由してON電流が流れるが、バッファ41への入力電圧は、Vd×r/(R+r)のLレベルとなる(図10(a))。一方、図10(b)の回路構成の場合には、ON状態の入賞スイッチ信号が、Vd×R/(r+R)のHレベルとなる。したがって、図10の実施態様でも、電流制限抵抗の抵抗値Rなどが変更されるだけであり、主制御基板の回路構成については、何も変更する必要はない。抵抗値2Rの制限抵抗は、実際には、抵抗値Rの抵抗素子を2つ直結して構成され、一方の抵抗素子が、がジャンパ線JPによって短絡されている。そして、必要に応じてジャンパ線を切断することで抵抗値2Rの制限抵抗が実現される。
なお、ON電流値に許容範囲が広い検出スイッチSWiを使用するか、及び/又は、電流制限抵抗の抵抗値Rを最適設計すれば、回路部品を全く変更することなく、図10の回路構成を実現することができる。つまり、図柄始動口の個数が一個であるか二個であるかに拘わらず、全く同一の主制御基板21を共通して使用することができる。