JP2008287467A - 避難誘導システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 火災発生時に避難誘導装置が被災しても常に最新の安全な避難口への誘導が可能な避難誘導システムを提供する。
【解決手段】 ビル内や地下道に設けられる避難誘導システムにおいて、この避難誘導システムは所定間隔離間して設置された複数の避難誘導装置を無線LANにて関連付けることで構成され、前記避難誘導装置は視覚的に認知させる避難誘導装置部の他に、誘導音声を発するスピーカーと、個々の避難誘導装置を他の避難誘導装置から区別するIDデータとを備え、火災が発生した際に、出火付近の避難誘導装置から安全な避難口付近の避難誘導装置までのルートを自動生成し、避難口に向かう当該ルートに沿って配置される複数の避難誘導装置から発せられる誘導音声に時間差をつけることで、ハース効果により避難者に避難誘導案内を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、屋内における火災発生時に、罹災者に避難場所の方向などを示す避難誘導システムに関する。
近年、大型高層ビルが増え、火災発生時における避難誘導の有用性が増している。しかし、火災によって発生した煙が建物内部に充満すると視界が悪くなり、また煙が目に入ると目が開けられず避難誘導装置や誘導灯があっても避難路の識別が難しくなる。この場合には視覚以外の五感のうち聴覚が避難誘導のための残された有効な感覚となる。
特許文献1には、所属するアドレスシリアルコードを有する火災検知器と、各通路及び公共場所に設置された複数の経路指示器と、安全死角の場所に設置された無線緊急呼出器とを使うインテリジェント無線火災地点通報装置において、前記経路指示器が該無線警報信号を受信すると、それに含まれるディジタルエンコードナンバーによりそれがどの火災検知器の発生した信号であるかを識別し、これにより最良の避難経路を判断し、並びに出火地点と避難経路を表示する記載がある。
特許文献2には、火災感知器で火災を感知すると、制御装置では避難口誘導灯を通常のモードから非常時のモードに切り換え、スピーカーから音声誘導を行なうとともに、キセノンランプを点滅させ、避難口誘導灯がこの非常時のモードになるとともに、光点滅誘導装置用リングカウンタを動作させ、光点滅誘導装置を毎秒2〜8mの速さで、避難口方向に光の流れを生じさせる。スピーカー用リングカウンタにより、誘導音声発生時期においてハース効果を生じるようにずらし、誘導音声に避難口に向かう方向感を付与するようにした避難誘導装置について記載されている。
特許文献3には、建物内の通路に設けられた複数のスピーカーと、隣接するスピーカー間でハース効果を生じさせるための遅延時間の情報を、前記複数のスピーカーの配置位置に基づいて分けた複数の系列ごとに記憶したスピーカー間遅延時間記憶手段と、連続する複数の系列の指定によって前記建物の出口への誘導経路の入力を受け付ける誘導経路入力手段と、前記誘導経路として指定された系列における各スピーカー出力を制御する制御遅延時間を、出口から隣接する系列までの遅延時間と前記スピーカー間遅延時間記憶手段に記憶された遅延時間とに基づいて算出する制御遅延時間算出手段と、前記制御遅延時間算出手段にて算出された制御遅延時間に基づいて、前記各スピーカーの出力を制御するスピーカー制御手段とを備えた音声誘導装置について記載されている。
実願2001−003834 特開平05−266368 特開2006−340159
中央管制室で制御すると、地震や突発的な事故で中央管制室の機能が働かなくなることがある。
しかし、特許文献1に記載されているインテリジェント無線火災地点通報装置は、ハース効果などの火災発生時に煙などで視界が悪くなった場合にも分かり易い避難指示方法(例えばハース効果)が記載されていない。更に火災発生時にデフォルトの避難ルートを設定するだけで、火災が広がった場合のルート更新が出来ないし、集中管理しているのでインテリジェント無線火災地点通報装置と各経路指示器の通信路が断たれると役に立たない。
特許文献2に記載された避難誘導装置は、有線によって中央管制室から各スピーカーをコントロールしているので、当然のことながら火災などの有事にスピーカーの接続ケーブルが途中において熱などで断線すると機能しなくなり、最悪の場合は停電により機能が完全に停止する虞れもある。かと言って、該文献のスピーカーを電池駆動するとしても有線接続されたスピーカーはIDを持っていないので個別制御ができない。また、スピーカー用リングカウンタにより誘導音声発生時期を誘導音声が避難口に向かう方向感を付与するようにハース効果を持たせて発生させているが、火災の進行状態に対応して誘導方向を変えることが出来ないし、集中管理しているので制御装置と各スピーカーの接続が断たれると機能しなくなる。
特許文献3には、建物内の通路に設けられた複数のスピーカーと、隣接するスピーカー間でハース効果を生じさせるための遅延時間の情報を出口から隣接する系列までの遅延時間とスピーカー情報記憶部に記憶された遅延時間とに基づいて算出していて、複数のスピーカーは系列毎にグルーピングされているが、火災が進行してルートを変更させる必要が生じても誘導ルートを変更することが出来ないし、センター装置と各スピーカーの通信経路が断たれるとスピーカーによる経路誘導ができなくなる問題がある。
本発明は、火災などの緊急事態が生じても被災者を安全な避難口へ誘導するために、ビル内や地下道に設けられる避難誘導システムにおいて、この避難誘導システムは所定間隔離間して設置された複数の避難誘導装置を無線LANにて関連付けることで構成され、前記避難誘導装置は視覚的に認知させる避難誘導装置部の他に、誘導音声を発するスピーカーと、個々の避難誘導装置を他の避難誘導装置から区別するIDデータとを備え、火災が発生した際に、前記各CPUの前記時計機能の時刻合わせをしながら出火付近の避難誘導装置から安全な避難口付近の避難誘導装置までの案内ルートを自動生成し、この案内ルートに沿って出火付近の避難誘導装置から安全な避難口に向かって、隣接する避難誘導装置間に遅延時間を持たせたタイミングで順次音声(例えば同一の文章)を発するようにした。
上記構成とすることで、火災発生箇所から避難口まで移動する物体から音声が発せられているように錯覚し、罹災者はその錯覚に音声の移動方向に沿って移動することで安全に避難口までたどり着くことができる。
ところで、人間は、日常の生活において、音の到来方向や到来時間、遅延時間などから音源の方向や距離及び移動する音源の方向などを認識している。全ての音は音速(国際標準大気の海面上気温での音速約340m/秒)で進行するので、人間は音速に基づいて距離感や方向感を認識する能力が自然に備わっている。
そこで、避難誘導装置間のリレータイミングを適宜に設定することによりハース効果が期待でき避難者は避難口に向かう案内音声にハース効果がもたらされるので音声について行くことにより安全に避難口まで辿り着くことができる。
更に、前記避難誘導装置はID識別可能なデータキャリアとメモリーを内蔵し、火災が発生した付近の避難誘導装置に内蔵の火災センサー又は外部の火災センサーからの火災検知信号を当該避難誘導装置に隣接する避難誘導装置が受信し、更にその信号を隣接する避難誘導装置に送信するバケツリレー方式によって順次火災情報を伝達し、出口の避難誘導装置に到達するまでのルートを生成する。ルートが生成された後にルート情報をコールバックしながら前記ルートデータを前記メモリーに書き込んでゆくことも考えられる。
また、本発明の避難誘導システムの避難誘導装置においては、前記電波の入出力手段にはバックプレッシャ輻輳制御機能を持たせることも考えられる。これにより、受信モードの避難誘導装置が他の複数の避難誘導装置から同時に電波を受けた時に、最優先で電波を送って来た避難誘導装置と通信を開始し、他の避難誘導装置をポーリング待ち状態で待機させることにより避難誘導装置同士の混信を防ぐことができるようになる。
本発明の避難誘導システムは、防災センターからの指示がなくとも、火災センサーからの出火情報が入力されると、個々の避難誘導装置自身が連携して自ら最適なルートを判断して安全な避難口付近の避難誘導装置までのルートをネットワークとして生成し、ハース効果を使って安全な避難口に向かって避難誘導することが可能になる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一機能を有するものは同一の符号とし、その繰り返しの説明は省略する。
図1(a)〜(c)はビルの出火場所が1ヶ所の場合における避難ルート生成例を示している。該フロアには第1避難口1、第2避難口2,第3避難口3、第4避難口4、第5避難口6、第6避難口6の六つの避難口が設けられ、第1避難口1付近には避難誘導装置A、a1、a2が、第2避難口2付近には避難誘導装置B、b1、b2が、第3避難口3付近には避難誘導装置C、c1、c2が、第4避難口4付近には避難誘導装置D、d1、d2が、第5避難口5付近には避難誘導装置E、e1、e2が、第6避難口6付近には避難誘導装置F、f1、f2が、更に建物内部には避難誘導装置z1、z2、z3が備えられている。
図1(a)は、第1避難口1付近のみから出火した場合の出火情報通報ルートを示している。ここでは、前記建物内部に設けられた火災センサーによって検知されて防災センターからの操作に基づき、あるいは避難誘導装置A自体に内蔵された火災センサーの信号により、各避難誘導装置のCPUの時刻調整を行う。
最初に避難誘導装置Aから出火通報データが電波で送信され、第2〜6避難口2〜6に向けて相互認証機能を使ったリレー方式で避難誘導装置B〜Fに通達されると共に、各避難誘導装置のCPUはリレールート情報(避難誘導装置Aの出火情報をどの避難誘導装置から受信して、どの避難誘導装置へ送信したか)を内部メモリーに保存しておく。
上記において、例えば第1避難口1から第5避難口5までの経路としては、避難誘導装置Aからa1、a2、z1、z2、z3、e2、e1、Eの順番でデータが伝達される。このデータ通信プロセスにおいて、各避難誘導装置は出火元情報(避難誘導装置A)とIDデータを送受信することにより特定出火元情報をどの避難誘導装置から受信したかを記憶する機能を持つ。
前記出火情報の通信形態としては、開始信号、出火元情報(避難誘導装置AのIDデータ)、送信元となる避難誘導装置のIDデータ、終了信号をひとかたまりとしたパケット通信が考えられる。
また、防災センターからの電波を最初の避難誘導装置が受信したタイミング、あるいは自身に搭載した火災センサーで火災を検知した避難誘導装置のCPUが持つ時刻を起点として、前記避難誘導装置のCPUが管理するタイマーにリセットをかけて時間を計測し、このデータを上記パケットに付加することも考えられる。これにより、発信側の避難誘導装置からタイマーで設定した基準時に基準音声信号を送信し、受信側の避難誘導装置で電波と音声の両方を受信することにより音波の伝達時間を測定することが出来るので受信側と発信側の避難誘導装置間の距離を計算することができる。該距離データを使うことにより、避難誘導装置間のリレー速度を音速かそれよりも若干遅く設定にすればハース効果によって火災発生箇所から安全な避難口に向かって音声が移動しているように感じる。
図1(b)は、避難誘導装置Eから避難誘導装置Aへのコールバック信号通報ルートを示している。安全な避難口5付近の避難誘導装置Eは、第1避難口1付近にある避難誘導装置Aからのデータを受信した後に、前記リレールート情報を使って、逆の経路でコールバック信号を相互認証しながら第1避難口1付近の避難誘導装置Aまで通信をリレー送信する。
火災が発生した場合において、どの避難誘導装置が被災したかを確認することは困難であり、前記コールバック信号を避難口付近の避難誘導装置まで戻すことにより前記ルート上で被災していない避難誘導装置だけで構成する最新のルートを確定することができる。
前記の例においては、避難誘導装置Eは避難誘導装置e1に前記コールバック信号を送信し、次に避難誘導装置e1は避難誘導装置e2にコールバック信号を送信すると同時に、避難誘導装置E←避難誘導装置e1←避難誘導装置e2という避難ルートデータを登録する。
次に避難誘導装置e2は避難誘導装置z3に前記コールバック信号を送信し、同様に避難誘導装置z2→避難誘導装置z1→避難誘導装置a2→避難誘導装置a1→避難誘導装置Aの順番にコールバック信号がリレーされ、最終的に、避難誘導装置A→避難誘導装置a1→避難誘導装置a2→避難誘導装置z1→避難誘導装置z2→避難誘導装置z3→避難誘導装置e2→避難誘導装置e1→避難誘導装置Eという避難ルートが確定する。
図1(c)には、避難誘導装置Eからの避難誘導音声ルートが図示されている。コールバック信号が避難誘導装置Aに到達すると、避難誘導装置Aが起点となって避難誘導装置B〜Fに向かって避難誘導装置Aから、a1、a2、z1、z2、z3、e2、e1、Eの順番に電波を使って出火情報を再発信する。避難誘導装置Eが避難誘導装置Aからの再発信データを受信すると、避難誘導装置EからAに向かって順番にハース効果を持たせた音声による避難誘導音声案内を開始する。
前記ハース効果を作り出す方法としては、隣接する2つの避難誘導装置間の距離を340m/秒の音速で除算した時間に対して100ミリ秒以内の範囲の遅延時間を持たせたタイミングで前記避難口付近の避難誘導装置から順次連続的に時間差を持たせて音声案内をする方法がある。ハース効果の効果を高める為には、隣接する避難誘導装置間の案内音声における遅延時間は、避難誘導装置間の距離を前記遅延時間で除算した速度数値が音速よりも遅いことが望ましいが、火災の場合は現場の温度が上昇するので音速が速くなることから、前記速度数値は340m/秒に設定しておいても問題ない。
もし、隣接する避難誘導装置間のリレー切換時間を予め設定して固定してしまうと、予期せぬ事態が発生し、火災発生中に避難経路途中の避難誘導装置に不具合が生じた場合には、避難ルート上の避難誘導装置の中で使えなくなる可能性がある。その場合は、最初に火災センサーの信号により、避難誘導装置Aから出火通報データが電波で送信され、第2〜6避難口2〜6に向けて相互認証機能を使ったリレー方式で避難誘導装置B〜Fに通達された後は、出火口付近の避難誘導装置A以外の避難誘導装置B〜Fの各々から定期的に電波を発信する。これにより安全な避難口付近の避難誘導装置から前記各避難ルートデータに基づいて火元、あるいは火災などで損傷を受けて不具合のある避難誘導装置までの避難ルートを繰り返し避難誘導することが可能となる。この場合において、ある避難誘導装置から次の避難誘導装置に対して電波を送り、例えば前回の通信時間の2倍の時間待っても応答信号が帰って来ない場合は前記次の避難誘導装置には不具合があるものと判定し、この判定をした避難誘導装置は自分自身を火元に近い避難誘導装置として認定する。そして前記火元に近い避難誘導装置と自己認定した避難誘導装置から火元認定登録データを前記安全な避難口付近の避難誘導装置にフィードバックすることで新しい避難ルートを更新する。
避難誘導装置間の距離の設定は、各避難誘導装置のスピーカーをマイク代わりに使って隣接する避難誘導装置からの音を拾うことにより、音と電波を併用して避難誘導装置間のリレーを実施し、該音と電波の送受信により音と電波の両方を受信出来た場合に正常通信可として、該装置間の距離を校正測定できる。これにより火災現場の温度が上昇して音速が変わっても音の遅延時間を適正化することが可能となり、前記スピーカーから発生される誘導音声に適切なハース効果を持たせることが出来る。
また、別のハース効果において、音が大きい音源と音の小さな音源を同時に使うと、音が大きい方から聞こえるようになる。この場合、最初に音を出す安全な避難口付近の避難誘導装置において最大音量で音声案内を開始し、順次出火元方面に向かって前記の時間的な遅延と音量の低減化を調節しつつ連鎖して音声による案内を繰り返すようにすれば良い。
更に前記において、火元に一番近い避難誘導装置においては、火元付近ということで前記音声案内とは別のブザー等の効果音を使うことも考えられる。
前記ハース効果を使った避難誘導音声案内の後、あるいは該音声案内の途中において、図1(b)と同様に避難誘導装置Eから避難誘導装置Aに向かってコールバック信号の通報が実行され、以降避難誘導装置Aと避難誘導装置Eの間で情報のやり取りとハース効果を使った避難誘導音声案内が繰り返される。
上記においては避難誘導装置Aと避難誘導装置F間の通信を説明したが、他の避難誘導装置B、C、D、Fについても同様の交信が行われる。1対多数の更新ではあるが、実際の交信は1対1で行われているので順番を決める必要がある。ここでは、例えば避難誘導装置Aが受信した避難誘導装置B〜FのID番号を使って昇順に送信することが考えられ、後述するバックプレッシャ輻輳制御機能を使うことにより通信の重複を避けることができる。
また、電波の入出力手段は避難情報のデータ通信用に使う第1の電波周波数と衝突通知信号を送受信する第2の電波周波数を使い、前記電波の入出力手段はバックプレッシャ輻輳制御機能を持ち、通信中の送信側避難誘導装置以外の衝突信号を検出した送信側避難誘導装置では、未接続の送信を中断して送信待機状態とし、既定単位時間に乱数を掛けた時間を待機時間として再試行することにより接続タイミングを調整することが出来る。
図2(a)は避難誘導装置の正面図である。これは、例えば2mm厚程の金属板上に蓄光材を塗布したものを焼成させたもので、取付穴にネジを挿通して壁や床などに固定することができる。前記蓄光材により、例えば火災が発生して電力線が切断された場合においても蓄光の放出により避難方向を表示することができる。
図2(b)は避難誘導装置の裏面構成図である。電波を受信するコンポーネントとして受信アンテナ10、受信RF回路11、復調回路12が備えられ、前記復調回路12の出力が全体の制御をするCPU8に入力される。また音を受信するコンポーネントとしてマイクロホンMがCPU8に接続され、後述する探索信号して機械−電気変換をした後の電気信号をCPU8に供給する。前記CPU8は時計機能を内蔵し、火災発生時には火災を検知した避難誘導装置あるいは火災センターからの時刻情報を持った電波を受信すると前記時計機能の時刻を同期させ、次の避難誘導装置にも同様の電波をリレーすることにより連鎖的にCPU8の時計機能を同期させてゆく。また前記CPU8にはIDデータを保存するメモリー9とシステムROM13が接続されている。
前記避難誘導装置の電波出力系統として、前記CPU8の出力端子に接続された第1変調回路14、第1RF出力回路15、第1出力アンテナ16および第2変調回路17、第2RF出力回路18、第2出力アンテナ19の2系統の出力ルートが形成される。また音を発信するコンポーネントとしては、スピーカーSPがCPU8に接続されていて、CPU8あるいは不図示の音響増幅器などの電力出力手段から出力される電気信号を電気−機械変換によって音に変換し、後述する探索信号や避難誘導案内音声として出力する。電源は電池Bから不図示の電気的配線手段によって各部品に供給される。前記電池Bは交換容易なボタン電池でも良いし、一般の乾電池を用いても良いが、後述するように充電手段と併用すれば充電バッテリーを使うことも可能である。
上記において、単一搬送波を使う場合には、第1変調回路14、第1RF出力回路15、第1出力アンテナ16のみを使い、第2変調回路17、第2RF出力回路18、第2出力アンテナ19は不要となる。
該避難誘導装置は電池駆動なので常時電源を通電しておくと緊急時にに電池切れを生じる畏れもあり、平常時は、出力系統は通電せず、受信系統のみを間欠駆動することが好ましい。間欠駆動で検出する起動トリガ信号としては、防災センターからの電波および他の避難誘導装置からの電波がある。また、前記防災センターか他の避難誘導装置からの指令が出たら起動させる方法以外に、センサーSによって煙あるいは火災による温度上昇を検知してセルフスタートする方法、および前記2つの方法の併用が考えられる。
また、搭載するスピーカーSPについては、磁石とボイスコイルを使って駆動する通常のスピーカーでも良いが、金属板自体あるいは他の平面自体を圧電素子などで振動させることにより音波を発生させることも考えられる。
図3(a)〜(c)は、2個所目のビル火災が発生した場合の避難ルート生成例を示している。
図3(a)においては、防災センターの指令又は避難誘導装置Cに内蔵された温度センサー第2の出火元である第3避難口付近にある避難誘導装置Cから出火通報データが電波で送信され、第2〜6避難口2〜6に向けてリレー方式で避難誘導装置B〜Fに通達されるが、既に避難誘導装置A付近から出火していることが避難誘導装置A以外の避難誘導装置B〜Fに登録されているので、避難誘導装置Cから避難誘導装置Aに向けての出火通報データ送信は行われない。
ここで避難誘導装置Cからの出火通報データが避難誘導装置B、D、E、Fに到達すると、返信として各避難誘導装置からコールバック信号が逆ルートで避難誘導装置Cに送られる。
図3(b)は第6避難口付近の避難誘導装置Fから第3避難口までのコールバックルートを示している。避難誘導装置F→避難誘導装置f1→避難誘導装置f2という順番でコールバック信号が避難誘導装置間で相互認証されながらリレーされる。避難誘導装置f2の周囲には避難誘導装置a1、避難誘導装置b2、避難誘導装置z1があるが、前記の避難誘導装置Cからの出火通報データの履歴が残っているのは避難誘導装置z1のみであるから、避難誘導装置z1のみが避難誘導装置f2からのコールバック信号を受け付け、避難誘導装置z2にリレーする。同様にして、避難誘導装置z2→避難誘導装置z3→避難誘導装置c2→避難誘導装置c1→避難誘導装置Cという順番で相互認証とコールバック信号のリレーが行われる。
上記において、各避難誘導装置にはバックプレッシャ輻輳制御機能が備えられ、複数の避難誘導ひょう通信中の送信側避難誘導装置以外の衝突信号を検出した送信側避難誘導装置では、送信を中断して送信待機状態となり、例えば既定単位時間に乱数を掛けた時間を待機時間として再試行することにより、避難誘導装置f2の周囲には避難誘導装置a1、避難誘導装置b2、避難誘導装置z1があっても通信上での混乱は生じない。
避難誘導装置Cと避難誘導装置B、D、E、Fとの間でデータが相互通信されて相互認証を使ったデータのキャッチボールが行われるが、もしキャッチボールの途中で避難誘導装置Cが火災で破壊された場合には、避難誘導装置c1と避難誘導装置Cとの間の相互認証が取れなくなるので、避難誘導装置c1から避難誘導装置Cとの通信が出来なくなった内容の情報を避難誘導装置B、D、E、Fに向かって送信し、避難誘導装置Cに代わって避難誘導装置c1が避難誘導装置B、D、E、Fとの通信相手となり、前記バックプレッシャ輻輳制御機能を使った電波通信及びハース効果を使った避難誘導音声案内を実行する。
上記の仕組みによって、避難誘導装置Cが被災して通信機能が使えなくなっても、安全な出口に近い避難誘導装置Fから火災が発生して危険な場所に近い避難誘導装置c1までの避難ルートをハース効果によって案内し続けることが可能となる。また更に火災が広まり、様々な危険地帯が発生したとしても、安全な避難口に近い避難誘導装置が機能する限りは、避難口に向かってハース効果で避難誘導が出来ることになる。
図4は、本発明の避難誘導システムで用いられる避難誘導装置の機能ブロック図を示している。CPU8はシステムROM13に組み込まれたプログラムにより動作し、必要に応じてIDデータを保存するメモリー9から避難誘導装置7のIDデータを読み出して送出することにより周囲の避難誘導装置に対して相互認証を可能とする。
火災が発生すると建物に設置された火災センサーが動作して、防災センターに通報され、該防災センターのオペレーターが火災通報を出すことにより、室内に設けられた不図示の火災通報アンテナから通報電波が出力され、該通報電波は受信アンテナ10によって前記火災通報を受信し、受信RF回路11によって選択された周波数で受信データが復調回路12を経てCPU8によって火災発生が認識される。
上記においては火災センサーから防災センターに火災発生情報が通達されたが、CPU8にセンサーSを取り付けてCPU8が直接火災を検知することも考えられる。
CPU8がセンサーSからの検出信号で火災を検知すると、CPU8は火災警報信号を生成し、前記防災センターからの受信電波とは異なる周波数で、前記防災センターからの電波とは異なる電波周波数を使う第1変調回路14又は第2変調回路17にデータを送出する。
探索信号や避難誘導案内音声はCPUの制御でスピーカーSPから出力され、隣接する避難誘導装置からの音声はマイクロホンMによって受信されてCPUの制御で前記アンテナからの電波との受信タイミングの差を利用して前記隣接する避難誘導装置との距離を計算する。
CPU8から第1変調回路14に前記火災警報信号が送出された場合は、第1RF出力回路15を経てアンテナ16から電波が出力される。
CPU8から第2変調回路17に探索信号やコールバック信号が送出された場合は、第2RF出力回路18を経てアンテナ19から電波が出力される。
避難誘導装置7が前記図1(a)における避難誘導装置A〜Fの場合は、上記のように前記不図示の火災通報アンテナからの電波を受信すると共に隣接する避難誘導装置a1、b1、c1、d1、e1、f1と前記火災通報アンテナから受信した周波数とは異なる周波数で通信するが、避難誘導装置A〜F以外の避難誘導装置においても2つの周波数で送受信可能とされていて、また更に周波数ホッピングをすれば様々な障害が発生する火災現場においても安定した電波通信が可能となるので確実にデータをバケツリレーすることが可能となる。
図5は、本発明の避難誘導システムで用いられる充電機能を持つ避難誘導装置のブロック図を示している。避難誘導装置7aには、前記の避難誘導装置7の機能以外に充電用の搬送波を受信する第2受信アンテナ20、第2受信RF回路21、搬送波を直流に変換する整流回路22、充電バッテリー23が備えられている。
避難誘導装置7aが図1における避難誘導装置A〜Fの場合には、前記防災センターからの電波に含まれる搬送波を第2受信アンテナ20で受信する。前記防災センターからの電波は、使用する周波数にも依存するが、電波法を遵守する必要性からあまり大きな出力は出せない場合は、隣接する避難誘導装置間の距離は使用する電波が届く範囲に設置しなくてはならない。
前記整流回路によって充電された充電バッテリー23の電圧レベルがCPU8によって検出され、第1既定値以上になってから既定時間以上経過すると、CPU8の指令によりスイッチ24が閉じられ、充電バッテリー23から第2変調回路17に直流が供給されて無変調の第2搬送波が生成され、第2RF出力回路18を介して第2出力アンテナ19から搬送波のみの無変調電波が出力される。
上記の搬送波のみの無変調電波は隣接する避難誘導装置7aの第2受信アンテナ20によって受信され、充電バッテリー23を充電する。
前記充電バッテリー23の放電は、電圧値が第2既定値に達したことをCPU8が検出するまで継続され、CPU8が充電バッテリー23の電圧値が前記第2既定値に達したことを確認するとCPU8の指令によりスイッチ24が閉じられ、第2受信アンテナ20で受信した電波によって充電バッテリー23の充電が再開される。
各避難誘導装置が上記の如く充電バッテリー23の充放電を繰り返すことにより隣接する避難誘導装置の充電バッテリー23は少なくとも第2既定値の電圧を維持出来るので、火災発生時において電源電圧が低くなって避難誘導装置が動作しないという不具合は防げる。
また、充電バッテリー23の電圧値を監視するバッテリーチェッカ機能を持たせ、例えば充電バッテリー23の電圧が設定値よりも低くなった場合にはLEDが点滅する、あるいはCPU8から警告信号を送出し、前記警告信号をバケツリレーにより防災センターに通じるアンテナに送出することにより防災センターで集中管理することもできる。
上記実施例においては受信アンテナと送信アンテナを別体としたが、時分割によりアンテナを共有化することも考えられる。また、センサーSからの電波をトリガとするプロセスは前記図4と同様なので説明を省略する。
図6は、本発明の避難誘導システムにおける避難誘導装置Aと避難誘導装置E間の通信例を示している。横軸には避難誘導装置A、a1、a2、z1、z2、z3、e2、e1、Eの順番に並んでいる。
最初に避難誘導装置Aに出火情報が入力されると、避難誘導装置A→a1→a2→z1→z2→z3→e2→e1→Eの順に避難誘導装置間の相互認証とCPU8のクロック同期を行いながら出火情報(この場合は避難誘導装置A付近から出火を想定し、非難誘導装置AのIDが情報となる)とリレーの送信元IDデータが送信される。例えば、避難誘導装置z1から送出されるデータは、避難誘導装置AのIDと避難誘導装置z1のIDとなり、避難誘導装置e1から送出されるデータは避難誘導装置AのIDと避難誘導装置e1のIDとなり、これらの情報を避難誘導装置Eが受信すると、火元が避難誘導装置A付近で、避難ルートで避難誘導装置Aに最も近い避難誘導装置が避難誘導装置e1であるとCPU8によって認識される。
次に避難誘導装置Eが避難誘導装置e1から上記の出火情報データ(避難誘導装置AのIDと避難誘導装置e1のID)を受信すると、避難誘導装置Eは避難ルートと逆方向に音と電波で探索信号を送出する。
前記探索信号の音は、避難誘導装置の受音手段、例えば
前記探索信号の電波には、安全な非難口に近い避難誘導装置EのIDと、発信元の避難誘導装置が持つIDが含まれる。例えば、避難誘導装置z1から避難誘導装置a2に送信される探索信号は、安全な非難口に近い避難誘導装置EのIDと、発信元の避難誘導装置z1のIDである。
前記探索信号が非難誘導装置Aによって受信されると、今度は避難誘導装置Aから避難誘導装置Eに向かって順次避難誘導音声案内を開始し、前記避難ルートに沿って各避難誘導装置が所定時間差を置いて次々と音声案内出力する。避難誘導装置A付近で出火した場合には、出火元に一番近い避難誘導装置Aから避難誘導装置B〜Fに向かってバックプレッシャ輻輳制御機能により個別ルート別に避難誘導音声案内が流れるので、被災者に聞こえる前記避難誘導音声案内は混乱することはない。該被災者は順番に流れる前記避難誘導音声案内の中から自分の近くを流れる音声の移動方向に進めば安全な避難口を見つけることができる。
前記音声案内が終わると、避難誘導装置Eからは再び探索信号が電波で発信され、E→e1→e2→z3→z2→z1→a2→a1→Aの順番で探索信号を送信する。前記探索信号としては、応答元情報(この場合は避難誘導装置EのIDデータ)と発信元情報(例えば避難誘導装置e2から避難誘導装置z3に送信する場合は避難誘導装置e2のIDデータ)となる。
ここで例えば、3回目の探索信号を送った時に、避難誘導装置Aに不具合が発生したとすると、前記探索信号は避難誘導装置a1までしか到達しない。ここで規定の時間、例えば1秒待っても避難誘導装置Aからコールバック信号が受信できない場合には、避難誘導装置Aに不具合が発生したものとみなす。避難誘導装置a1は自らのIDを火元情報としてコールバック信号を避難誘導装置a2に向かって電波を発信すると共に、避難誘導音声案内を開始する。避難誘導装置a1を新しい火元情報とする新しい火元情報は避難ルートに沿ってリレーされ、避難誘導装置Eまで届けられる。
次に避難誘導装置Eからの4回目の探索信号が出火元に最も近い避難誘導装置a1に到達すると、避難誘導装置a1は再び避難誘導装置a1→a2→z1→z2→z3→e2→e1→Eの順に相互認証しながら出火元情報(この場合は避難誘導装置a1)と送信元IDデータをコールバック送信する。
上記のように、出火場所に最も近い非難誘導装置からの出火情報送出の後は、安全な位置にある避難誘導装置から避難ルートとは逆の方向に探索信号を送り、前記避難ルートで出火場所に最も近くて被災していない避難誘導装置まで前記探索信号がたどり着くと、該出火場所に最も近くて被災していない避難誘導装置からコールバック信号の電波と避難誘導音声案内が避難ルートに沿って順番に発生され、前記探索信号とコールバック信号のやり取りが繰り返される。
もし探索信号送出のバケツリレーが途中で途切れたら、最後に探索信号を送出し、コールバック信号を受信できなかった避難誘導装置から避難ルートに沿ってコールバック信号を送出することにより、安全な避難口付近の避難誘導装置までの避難ルートを確立し、前記コールバック信号を最初に発信した避難誘導装置と前記安全な避難口付近の避難誘導装置の間で電波による探索信号送出とコールバック信号送出が繰り返えされると同時に避難ルートに沿った避難誘導案内が音声で流れる。
また、火災以外の原因で避難ルート途中にある避難誘導装置に不具合が発生した場合においても不具合を発生した避難誘導装置の次の避難誘導装置からの電波をキャッチ出来れば該不具合装置をスキップするようにCPU8のプログラムを設定しておけば、前記スキップ動作により前記コールバック信号を確実にバケツリレー方式で中継できるので安全に非難誘導をすることができる。
更に前記最初にコールバック信号を送出した避難誘導装置からは、音声案内ではなく、サイレンなどの警報音によっても避難誘導ができる。
上記の実施例において、本発明の避難誘導システムは、監視室のシステムと少なくとも1台の避難誘導装置とを無線LAN接続することにより、例えば無線を使った入退管理システムなどと連携利用すれば火災などの非常時でなくとも稼働するシステムと併用運用することが出来る。この場合、平常時は入退管理システムなどを稼働させ、非常時にのみ当該避難誘導システムを動作させることができるので設備の有効活用が出来る。更に、避難誘導装置に内蔵/外付けするセンサーとして前記の火災や煙を検知するセンサー以外に、焦電型赤外線センサーなどの人体温度を検知するセンサーを付ければ、避難誘導システムを夜間の不審者侵入検知システムとしても兼用することも考えられる。
集中管理の避難誘導システムを設置していないビルなどにおいても、本発明の避難誘導システムを後付けで設置することにより、火災発生時においてもハース効果で実効的に避難誘導ができるようになる。また、リレー式により充電バッテリーの自動充電機能によりいつでも適切な電圧値で避難誘導装置を駆動することができるのでメンテナンスが簡単になりメンテナンスコストの低減に繋がる。
(a)第1避難口付近のみから出火した場合の出火情報通報ルート (b)避難誘導装置Eから避難誘導装置Aへのコールバック信号通報ルート (c) 避難誘導装置Eからの避難誘導音声ルート (a)避難誘導装置の正面図 (b)避難誘導装置の裏面構成図 (a)2箇所目のビル火災が発生した場合の避難ルート生成例 (b)第6避難口から2番目の出火地点へのコールバックルート (c)第6避難口から2番目の出火地点への避難誘導ルート案内 避難誘導システムの機能ブロック図 充電機能を持つ避難誘導システムのブロック図 避難誘導装置Aと避難誘導装置E間の通信例
符号の説明
1…第1避難口、 2…第2避難口、 3…第3避難口、 4…第4避難口、 5…第5避難口、 6…第6避難口、 7…避難誘導装置、 7a…充電機能を備えた避難誘導装置、 8…CPU、 9…IDデータを保存するメモリー、 10…第1受信アンテナ、 11…受信RF回路、 12…復調回路、 13…システムROM、 14…第1変調回路、 15…第1RF出力回路、 16…第1出力アンテナ、 17…第2変調回路、 18…第2RF出力回路、 19…第2出力アンテナ、 20…第2受信アンテナ、 21…第2受信RF回路、 22…整流回路、 23…充電バッテリー、 24…スイッチ、 B…電池、 M…マイクロホン、 S…センサー、 SP…スピーカー。

Claims (3)

  1. ビル内や地下道に設けられる避難誘導システムにおいて、この避難誘導システムは所定間隔離間して設置された複数の避難誘導装置を無線LANにて関連付けることで構成され、前記避難誘導装置は視覚的に認知させる表示部の他に、誘導音声を発するスピーカーと、個々の避難誘導装置を他の避難誘導装置から区別するIDデータと、時計機能を持つCPUとを備え、火災が発生した際に、前記各CPUの前記時計機能の時刻合わせをしながら出火付近の避難誘導装置から安全な避難口付近の避難誘導装置までの案内ルートを前記IDデータとCPUによって自動生成し、この案内ルートに沿って、前記個々の避難誘導装置に設けたスピーカーが、前記出火付近の避難誘導装置から安全な避難口に向かって、隣接する避難誘導装置間に遅延時間を持たせたタイミングで順次音声を発することを特徴とする避難誘導システム。
  2. 請求項1に記載の避難誘導システムにおいて、前記避難誘導装置はID識別可能なデータキャリアとメモリーを内蔵し、火災が発生した付近の避難誘導装置に内蔵の火災センサー又は外部の火災センサーからの火災検知信号を当該避難誘導装置に隣接する避難誘導装置が受信し、更にその信号を隣接する避難誘導装置に送信するバケツリレー方式によって順次火災情報を伝達し、出口の避難誘導装置に到達するまでのルートを生成し、ルートが生成された後にルート情報を逆ルートでコールバックしながら前記ルートデータを前記メモリーに書き込んでゆくことを特徴とする避難誘導システム。
  3. 請求項1乃至請求項2のいずれか1項に記載の避難誘導装置において、前記電波の入出力手段はバックプレッシャ輻輳制御機能を持つことを特徴とする避難誘導システム。
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