JP2008285505A - インクジェット記録用水分散体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電率を低減させるインクジェット記録用水分散体の製造方法、その製法により得られた水分散体、その水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク、及びインクジェット記録用水分散体の導電率の低減方法を提供する。
【解決手段】(1)自己分散型顔料の水分散体と水難溶性アミンを含有する吸着材とを接触させる工程を有する、インクジェット記録用顔料水分散体の製造方法、(2)前記(1)の方法により得られたインクジェット記録用水分散体、(3)前記(2)の水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク、及び(4)自己分散型顔料の水分散体と、水難溶性アミンを含有する吸着材とを接触させる工程を有する、インクジェット記録用水分散体の導電率の低減方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用水分散体の製造方法、その製法により得られた水分散体、その水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク、及びインクジェット記録用水分散体の導電率の低減方法に関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易でかつ安価であり、記録部材として普通紙が使用可能で、被印字物に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。特に近年は、印字物の耐候性や耐水性の観点から、顔料系インクを用いるものが多くなってきている。
その中でも、例えば、黒色インク顔料としてはカーボンブラックを用いた場合、顔料同士の凝集による保存安定性及び吐出性の低下が問題となる。この問題を解決する方法の1つとして、カーボンブラック等を酸化剤等で処理して、その表面に親水性官能基を付与して自己分散性を改善した、いわゆる自己分散型顔料を含有するインクジェット記録用水系インクが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、特に硝酸、次亜塩素酸塩等の酸化剤処理法では、副生するカルボン酸や、酸化剤に起因する塩素イオンやナトリウムイオン等の導電性不純物が液中に残存し、これらがインクジェットノズル部で固形物となり、保存安定性や印字品質を悪化させる等の問題がある。
上記問題の改善策として、特許文献2には、酸化処理カーボンブラックが水に分散している分散液から、液中のフミン酸を除去することにより、液中のフミン酸濃度を吸光度で1以下とすることを特徴とするカーボンブラック分散液の製造方法が開示されている。
特許文献3には、イオン性有機基が結合したカーボンブラックと、溶解した遊離種を含む分散体から、約1μm超の粒子を除去する工程、遊離種を除去する工程、及び前記カーボンブラックを他の対イオンで交換する工程を含む分散体の純化方法が開示されている。
また、特許文献4には、水、アニオン性基を有する自己分散型顔料、及び水難溶性のアミン又はその塩を含有するインクジェット記録用水系インクが開示されている。
しかし、上記の特許文献に開示された分散液の製造方法は、導電性物質を除去することにおいて、未だ満足しうるものではない。
特開平10−140064号公報 特開平10−212426号公報 特表2002−501965号公報 特開2006−83304号公報
本発明は、効果的に導電率を低減させるインクジェット記録用水分散体の製造方法、その製法により得られた水分散体、その水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク、及びインクジェット記録用水分散体の導電率の低減方法に関する。
本発明者らは、自己分散型顔料を特定の条件下で吸着材処理することにより、吐出性不良の原因となる自己分散型顔料の製造時に由来する導電性物質を効果的に低減することができることを見出した。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(4)を提供する。
(1)自己分散型顔料の水分散体と水難溶性アミンを含有する吸着材とを接触させる工程を有する、インクジェット記録用水分散体の製造方法。
(2)前記(1)の方法により得られたインクジェット記録用水分散体。
(3)前記(2)の水分散体を含有する、インクジェット記録用水系インク。
(4)自己分散型顔料の水分散体と、水難溶性アミンを含有する吸着材とを接触させる工程を有する、インクジェット記録用水分散体の導電率の低減方法。
本発明によれば、導電率を効果的に低減させるインクジェット記録用水分散体の効果的な製造方法、その製法により得られた水分散体、その水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク、及びインクジェット記録用水分散体の導電率の低減方法を提供することができる。
本発明の水分散体及び水系インクは、自己分散型顔料の水分散体と水難溶性アミンを含有する吸着材とを接触させる工程を有する製造方法により得ることができる。
以下、本発明に用いられる各成分、工程について説明する。
(自己分散型顔料)
自己分散型顔料とは、アニオン性又はカチオン性の親水性官能基の1種以上を直接又は他の原子団を介して顔料の表面に結合することで、界面活性剤や樹脂を用いることなく水系媒体に分散可能である顔料を意味する。ここで、他の原子団としては、炭素原子数1〜24、好ましくは炭素原子数1〜12のアルカンジイル基、置換基を有してもよいフェニレン基又は置換基を有してもよいナフチレン基が挙げられる。
アニオン性親水性官能基としては、顔料粒子を水系媒体に安定に分散しうる程度に十分に親水性が高いものであれば、任意のものを用いることができる。その具体例としては、カルボキシ基(−COOM)、スルホン酸基(−SO3M)、リン酸基(−PO32)、−SO2NH2、−SO2NHCOR1、又はそれらの解離したイオン形(−COO-、−SO3 -、−PO3 2-、−PO3 -M)等の酸性基が挙げられる。
上記化学式中、Mは、同一でも異なってもよく、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;アンモニウム;モノメチルアンモニウム基、ジメチルアンモニウム基、トリメチルアンモニウム基;モノエチルアンモニウム基、ジエチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基;モノメタノールアンモニウム基、ジメタノールアンモニウム基、トリメタノールアンモニウム基等の有機アンモニウムである。
1は、炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基である。
カチオン性親水性官能基としては、アンモニウム基、アミノ基等が挙げられる。これらの中でも第4級アンモニウム基が好ましい。これらの親水性官能基の中では、特にカルボキシル基(−COOM)が印字濃度、保存安定性の観点から好ましい。
これらの中では、インク中の他の配合物との混合性の観点からアニオン性親水性官能基が好ましい。
自己分散型顔料に用いられる顔料としては特に制限はなく、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
また、カラー水系インクにおいては、有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンソラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメント・ブルー、C.I.ピグメント・グリーンから選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
顔料を自己分散型顔料とするには、上記のアニオン性親水性官能基又はカチオン性親水性官能基の必要量を、顔料表面に化学結合させればよい。そのような方法としては、任意の公知の方法を用いることができる。例えば、米国特許第5571311号明細書、同第5630868号明細書、同第5707432号明細書、J.E.Johnson,Imaging Science and Technology's50th Annual Coference(1997)、Yuan Yu, Imaging Science and Technology's 53th Annual Conference(2000)、ポリファイル,1248(1996)等に記載されている方法が挙げられる。
より具体的には、硝酸、硫酸、過硫酸、ペルオキソ2硫酸、次亜塩素酸、クロム酸のような酸化性を有する酸類及びそれらの塩等あるいは過酸化水素、窒素酸化物、オゾン等の酸化剤によってカルボキシ基を導入する方法、過硫酸化合物の熱分解によってスルホン基を導入する方法、カルボキシ基、スルホン基、アミノ基等を有するジアゾニウム塩化合物によって上記の親水性官能基を導入する方法等があるが、これらの方法に限定されるものではない。これらの中では、導電率低下効果を高める観点、及び保存安定性と経済性の観点から、本発明に用いられる自己分散型顔料は、酸化剤によるカルボキシ基を導入してなる自己分散型顔料、特に自己分散型カーボンブラックが好ましい。
自己分散型顔料中のアニオン性親水性官能基又はカチオン性親水性官能基の量は、保存安定性及び印字濃度の観点から、自己分散型顔料1g当たり100〜1000μmol/gが好ましく、150〜750μmol/gがより好ましく、200〜600μmol/gが更に好ましく、200〜480μmol/gが特に好ましい。
アニオン性親水性官能基又はカチオン性親水性官能基の量の測定は、実施例記載の電位差滴定法による。
水分散体中及び水系インク中、自己分散型顔料の平均粒子径は、該分散体及び水系インクの保存安定性の観点から、50〜300nmが好ましく、60〜200nmがより好ましく、80〜180nmが更に好ましい。なお、平均粒子径の測定は、実施例記載の方法による。
上記の自己分散型顔料は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
(水難溶性アミン)
本発明で用いられる水難溶性アミンは、吸着材に担持されて、自己分散型顔料の製造時に由来する導電性物質を低減するために用いられる。水難溶性アミンは導電性物質と高い親和性を有し、かつ水との親和性が低いために、自己分散型顔料の水分散体から導電性物質を効果的に低減できると考えられる。更に、水難溶性アミンは吸着材に担持されているために、自己分散型顔料の水分散体から容易に除去することができる。
本発明における水難溶性アミンは、水への難溶性を示すものであれば特に限定されず、任意のものを用いることができる。より具体的には、20℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が5g以下が好ましく、1g以下が更に好ましく、0.1g以下が特に好ましい。
本発明の水難溶性アミンとしては、(i)炭素数6〜44の脂肪族アミン、(ii)炭素数6〜36の芳香族アミン、及び(iii)下記一般式(1)で表されるアミンから選ばれる1種以上が好ましく挙げられる。
Figure 2008285505
(式中、R1、R2及びR3の内、少なくとも1つは、エーテル結合又はアミド結合を有する炭素数6〜22の炭化水素基を示し、残余のR1、R2及びR3は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜22の炭化水素基又は水素原子を示す。)
(i)炭素数6〜44、好ましくは炭素数8〜36の脂肪族アミンは、直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を1〜3個有する、第一級、第二級及び第三級のいずれのアミンであってもよい。
第一級アミンとしては、炭素数6〜44、好ましくは炭素数8〜36、更に好ましくは炭素数8〜18のアルキルアミンが挙げられる。より具体的には、ヘキシルアミン(1.9g/100g)、n−オクチルアミン(0.02g/100g)、2−エチルへキシルアミン(0.25g/100g)、t−オクチルアミン、デシルアミン、イソデシルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン等が挙げられる。ここで、( )内は、20℃の水100gに溶解させたときの溶解量を示し、以下も同様である。
第二級アミンとしては、総炭素数6〜44、好ましくは総炭素数8〜36、更に好ましくは総炭素数8〜24のジアルキルアミンが挙げられる。より具体的には、ジブチルアミン(0.3g/100g)、ジアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−2−エチルへキシルアミン、ジデシルアミン等が挙げられる。
また、第三級アミンとしては、総炭素数6〜44、好ましくは総炭素数8〜36、更に好ましくは総炭素数8〜24のトリアルキルアミンが挙げられる。より具体的には、トリプロピルアミン(0.25g/100g)、トリブチルアミン(0.0386g/100g)、トリへキシルアミン、トリオクチルアミン(0.005mg/100g)、トリ−2−エチルヘキシルアミン、トリドデシルアミン、ジメチル−n−オクチルアミン、ジメチル−2−エチルヘキシルアミン、ジメチルドデシルアミン、ジメチルステアリルアミン等が挙げられる。
また(i)脂肪族アミンは、デカンジアミン、ドデカンジアミン等のジアミンやトリアミン等の多価アミンであってもよい。
上記の(i)脂肪族アミンの中では、第三級アミンがより好ましく、直鎖又は分岐鎖のアルキルを有する総炭素数8〜36、好ましくは総炭素数12〜36のトリアルキルアミンがより好ましい。
(ii)炭素数6〜36の芳香族アミンは、窒素原子に結合する置換基が、脂肪族炭化水素基を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基であり、また芳香環構造の中に窒素原子が組み入れられた、いわゆる窒素原子を含む複素環化合物をも包含するものである。なお、複素環化合物においても、脂肪族炭化水素基を置換基として有していてもよい。
芳香族アミンの具体例としては、2−エチルピリジン(4.5g/100g)、4−エチルピリジン(4.7g/100g)、アニリン(3.6g/100g)、N,N−ジメチルアニリン等の炭素数6〜22のアリール基(アルキルアリール基、アリールアルキル基を含む)を有するアミン、フェニルイミダゾール等が挙げられる。
また(ii)芳香族アミンは、N,N−ジエチル−P−フェニレンジアミン、1,8−ジアミノナフタレン等のジアミンやトリアミン等の多価アミンであってもよい。
(iii)上記一般式(1)で表されるアミンにおいて、R1、R2及びR3の内、少なくとも1つは、炭素数6〜22のエーテル結合又はアミド結合を有する炭化水素基であり、好ましくは炭素数8〜22、更に好ましくは炭素数8〜18の、エーテル結合又はアミド結合を有する炭化水素基である。
本発明においてエーテル結合を有する炭化水素基としては、ブトキシプロピル基、2−エチルヘキシルオキシプロピル基、ラウリルオキシプロピル基等が挙げられる。また、アミド結合を有する炭化水素基としては、2−アセトアミノ−2−メチル−エチル基等が挙げられる。
残余のR1、R2及びR3は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜22の炭化水素基又は水素原子であるが、インクの保存安定性の点より、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基、又は水素原子が好ましい。
本発明における一般式(1)で表される水難溶性のアミンの具体例としては、ブトキシプロピルアミン、2−エチルヘキシロキシプロピルアミン(1.5g/100g)、ラウロキシプロピルアミン(0.1g/100g)等が挙げられる。
(吸着材)
本発明における吸着材は、吐出性、印字濃度に影響を与える導電性物質等の不純物を低減するための水難溶性アミンを担持するために用いられる。
吸着材の平均粒径は、吸着材の除去を容易にするために、自己分散型顔料の平均粒径に比べてかなり粒径が大きく、1μm〜5mmが好ましく、3μm〜3mmがより好ましい。吸着材の平均粒径は、光学顕微鏡又は目視により、100個の数平均として求めることができる。吸着材に短径と長径がある場合は、長径で測定する。
吸着材としては、不純物を吸着材の表面に吸着できる性能を有していればよく、その他の制限はない。具体的には、活性炭、ゼオライト、アルミナ、シリカゲル、活性白土、吸着用合成樹脂、イオン交換樹脂、キレート樹脂等を用いることができる。これらの中では、導電性物質等の不純物を低減する観点から、活性炭、特に賦活工程により親水化された活性炭を用いることが好ましい。
吸着性と操作性の観点から、活性炭の物理的性状は下記のとおりである。
活性炭の平均粒径は、好ましくは0.01〜5mm、より好ましくは0.2〜3mm、特に好ましくは0.5〜2mmである。測定方法は前記のとおりである。
液体窒素温度における窒素吸着量から求めた窒素吸着等温線において、BET法(多点法)で算出した活性炭の比表面積は、好ましくは500〜2500m2/g、より好ましくは800〜2000m2/gである。
また、JIS K1474−1991に従って測定した硬度は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。
活性炭の市販品としては、三菱化学カルゴン株式会社製の石炭系又は木質系の粒状破砕炭、造粒炭、粉末炭(ダイヤホープ)、椰子殻粒状破砕炭、粉末炭(ダイヤソープ)等、二村化学工業株式会社製の太閤K、S、M、P、A、SG、SGP等、武田薬品工業株式会社製の白鷺A、M、C、P、カルボラフィン、強力白鷺等、太平化学産業株式会社製の梅蜂A、MA、HC等、味の素ファインテクノ株式会社製のGS−A、GS−B、CL−K等、関東化学株式会社製の粒状活性炭、粉末活性炭等が挙げられる。
これらの中では、操作性の観点からは、粒状炭が好ましく、吸着性の観点からは、粉末炭、破砕炭が好ましい。
(水難溶性アミンを含有する吸着材)
本発明における水難溶性アミンを含有する吸着材とは、前記の水難溶性アミンを吸着材に担持させたものを意味する。
水難溶性アミンを吸着材に担持させる方法は、特に限定されない。例えば、(1)水難溶性アミンを有機溶媒に溶解させ、この溶液と吸着材とを混合した後に有機溶媒を除去する方法、(2)攪拌機を用いて吸着材を高速混合しながら、水難溶性アミンを加えて均一に混和させる方法等が挙げられる。
有機溶媒は、水難溶性アミンと親和性が高く、水への親和性が低いことが好ましく、20℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が5g以下が好ましく、1g以下がより好ましく、0.5g以下が特に好ましい。
有機溶媒は、除去のし易さの観点から、揮発性であることが好ましく、1気圧での沸点が150℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。具体的には、ヘキサン、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン等を用いることができる。
ここで水難溶性アミンと吸着材との重量比〔水難溶性アミン/吸着材〕は、導電性物質の除去を効率的に行う観点と、水難溶性アミンに要するコストを低減させるという観点から、0.005〜0.5が好ましく、0.01〜0.3がより好ましく、0.01〜0.2が特に好ましい。
(インクジェット記録用水分散体の製造方法、及びインクジェット記録用水分散体の導電率の低減方法)
本発明のインクジェット記録用水分散体の製造方法、及びインクジェット記録用水分散体の導電率の低減方法は、自己分散型顔料の水分散体と水難溶性アミンを含有する吸着材(以下、単に「吸着材」ともいう)とを、接触させる工程を有するものであり、接触後、該吸着材を該水分散体から分離することが好ましい。
本発明の製造方法及び導電率の低減方法の原料として用いられる自己分散型顔料の水分散体(導電率の低減前)の導電率は、好ましくは1.2〜3mS/cmであり、より好ましくは1.2〜2mS/cmである。導電率の測定は、実施例記載の方法による。
水難溶性アミンを含有する吸着材の使用量は、自己分散型顔料(自己分散型顔料の固形分換算)100重量部に対して、好ましくは0.1〜100重量部であり、より好ましくは0.5〜50重量部であり、特に好ましくは1〜30重量部である。
吸着材に含有された水難溶性アミンの使用量は、自己分散型顔料と水難溶性アミンとの重量比〔水難溶性アミン/自己分散型顔料(固形分換算)〕が、好ましくは〔0.3/100〕〜〔20/100〕、更に好ましくは〔0.3/100〕〜〔10/100〕、特に好ましくは、〔0.5/100〕〜〔5/100〕となる量である。
吸着性及び操作性の観点から、吸着剤処理を行う際の自己分散型顔料の水分散体の固形分濃度は、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは5〜40重量%、更に好ましくは10〜30重量%である。なお、水分散体とは、水を主成分とする溶媒であればよく、他の溶剤、湿潤剤も本発明を損なわない限り、存在していてもよい。
自己分散型顔料の水分散体と吸着材の接触温度は、顔料中に存在する導電性物質等の不純物を効率的に溶出させ、保存安定性、吐出性、印字濃度を向上させる観点及び製造のし易さの観点から、好ましくは40〜120℃、より好ましくは50〜110℃であり、必要により加圧することができる。
接触時のpHは、導電性物質等の不純物の溶出性と吸着材への吸着性のバランスをとる観点から、好ましくは2〜7、より好ましくはpH3〜6.5、更により好ましくは3〜6である。pHの測定方法は実施例記載の方法による。
自己分散型顔料の水分散体と吸着材との接触方法は、(1)自己分散型顔料の水分散体と吸着材とを混合し、望ましくは攪拌を加えた後、該吸着材を除去する方法、(2)吸着材を充填したカラムに自己分散型顔料の水分散体を通液する方法、(3)配管内の一部あるいは前面に吸着材を塗布した配管に自己分散型顔料の水分散体を通液する方法、(4)吸着材を充填したフィルターバッグを自己分散型顔料の水分散体に投入した後、該フィルターバックを除去する方法、(5)吸着材を表面に担持した粒子と自己分散型顔料の水分散体とを混合し、該粒子を除去する方法、(6)吸着材を表面に担持した粒子を充填したカラムに自己分散型顔料の水分散体を通液する方法等があるが、これらに限定されるものではない。
自己分散型顔料の水分散体と吸着材との接触時間は、生産効率の観点から、好ましくは0.1〜24時間、より好ましくは1〜10時間である。なお、前記(2)、(3)及び(6)の方法の場合は、接触時間は通液時間とする。
また、前記(2)、(3)及び(6)の接触方法において、自己分散型顔料の水分散体を通液する場合の、自己分散型顔料の水分散体の通液回数は、生産効率の観点から、好ましくは平均0.5〜500回、より好ましくは1〜200回、更に好ましくは5〜100回である。
吸着処理された水分散体中に、吸着処理の際に吸着材の一部または全部が混入するような場合は、混合物から吸着材を除去する。吸着材を除去する方法は特に制限はなく、フィルターでろ過してもよく、遠心分離機を用いて分離してもよい。
本発明の製造方法及び及び導電率の低減方法で得られたインクジェット記録用水分散体における、自己分散型顔料の水分散体の導電率は、保存安定性、吐出性、印字濃度の観点から、好ましくは1mS/cm以下であり、更に好ましくは0.4mS/cm以下であり、下限は好ましくは製造効率の観点から0.1mS/cm以上である。
水分散体の導電率の調整は、吸着材の量、処理時間等により行うことができる。
本発明の水系インクは、印字濃度を更に向上させる観点から金属酸化物粒子及び/又はポリマー粒子を含有することが好ましい。
(金属酸化物粒子)
本発明に用いられる金属酸化物粒子は、金属酸化物を一種以上含有する粒子である。
金属酸化物を構成する元素は、周期律表(長周期型)の2A族、2B族、3A族、3B族、4A族、4B族、5A族、6A族、7A族又は8族に由来のものである。金属は、半金属であってもよい。金属酸化物の具体例としては、酸化珪素(以下、「シリカ」という)、酸化アルミニウム(以下「アルミナ」という)、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン(以下、「チタニア」という)、酸化セリウム(以下、「セリア」という)、酸化ジルコニウム等が挙げられ、印字濃度および分散性の観点からシリカが好ましい。
金属酸化物粒子としては、印字濃度を向上させる観点から、金属酸化物微粒子、金属酸化物二次粒子が好ましく挙げられる。
金属酸化物微粒子は、金属酸化物の微粒子の表面を官能基で修飾又は表面改質したものや、界面活性剤で複合粒子化したものを包含する。
金属酸化物微粒子は、分散性の観点から、コロイダル粒子が好ましく、コロイダルシリカ、コロイダルチタニア、コロイダルセリア、及びコロイダルアルミナから選ばれる1種以上が更に好ましい。中でも、ケイ酸水溶液から生成させる製法により得られるコロイダルシリカが特に好ましい。更に、分散性の観点から、分散媒体は水が好ましい。
金属酸化物微粒子の形状には特に制限はないが、印字濃度と保存安定性の観点から、球状、板状等が好ましい。
金属酸化物微粒子の平均粒径は、印字濃度、保存安定性、吐出性等の観点から、20〜400nm、好ましくは30〜350nm、より好ましくは40〜200nmである。
金属酸化物微粒子の平均粒径は、実施例に記載した自己分散型顔料の平均粒径と同様の光散乱法により測定することができる。また、金属酸化物微粒子が粉体の場合には、金属酸化物微粒子1重量部に対して約0.1重量部のポリアクリル酸塩(例えば、花王株式会社製「ポイズ532A」)で水に分散させた水分散体を用いて測定することができる。
また、前記金属酸化物二次粒子とは、前記金属酸化物微粒子(金属酸化物一次粒子)同士が化学結合により連続して複数結合したものである。金属酸化物一次粒子同士の結合部位は、形成された金属酸化物二次粒子において、その部位がくびれを有する場合であっても有さない場合であってもよく、これは製造方法に依存して、いずれの形態も包含される。
金属酸化物二次粒子を構成する一次粒子の平均粒子径は、印字濃度向上の観点から、好ましくは1〜100nm、更に好ましくは5〜80nmであり、電子顕微鏡写真で観測される50個の金属酸化物一次粒子の平均直径で表される。具体的には、日本電子株式会社製、透過電子顕微鏡「JEM2100FX」を用いて撮影された顕微鏡写真において、目視で50個の一次粒子の粒子径を測定し、それらを平均した値を平均粒子径として測定することができる。
また、金属酸化物二次粒子の平均粒子径は、印字濃度向上の観点から、好ましくは40〜300nm、より好ましくは40〜200nm、更に好ましくは60〜200nmである。この平均粒子径は実施例に記載した自己分散型顔料の平均粒径と同様の光散乱法により測定することができる。
金属酸化物がシリカである場合、シリカ二次粒子は、国際公開第00/15552号パンフレットの請求の範囲第2項、及びそれに関する明細書の開示部分に記載の方法、特許2803134号公報、特許2926915公報の請求項2及びそれに関する明細書の開示部分に記載の方法等、又はこれに準じて製造することができる。
本発明に使用することができる前記シリカ二次粒子の具体例としては、日産化学工業株式会社製の「スノーテックス−OUP」(平均二次粒子径:40〜100nm)、同「スノーテックス−UP」(平均二次粒子径:40〜100nm)、同「スノーテックスPS−M」(平均二次粒子径:80〜150nm)、同「スノーテックスPS−MO」(平均二次粒子径:80〜150nm)、同「スノーテックスPS−S」(平均二次粒子径:80〜120nm)、同「スノーテックスPS−SO」(平均二次粒子径:80〜120nm)、「IPA−ST−UP」(平均二次粒子径:40〜100nm)、扶桑化学工業株式会社製の「クォートロンPL−7」(平均二次粒子径:130nm)等が挙げられる。
酸化チタン二次粒子の具体例としては、触媒化成工業株式会社製の「PW−6030」(平均二次粒子径:93nm)、酸化セリウム二次粒子の具体例としては、多木化学株式会社製の「ニードラールP−10」(平均二次粒子径:49nm)等が挙げられる。
これらの金属酸化物粒子は、単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(ポリマー粒子)
本発明に用いられるポリマー粒子としては、連続相を水系とする媒体中に、界面活性剤の存在下又は不存在下で、ポリマーエマルジョンとなって分散可能であるポリマー粒子が好ましい。特に、(i)エチレン性不飽和モノマーを乳化重合してなるポリマー粒子、及び(ii)塩生成基含有モノマー由来の構成単位を含む自己乳化ポリマー粒子が好ましい。
ここで、前記(i)のポリマー粒子とは、界面活性剤及び/又は反応性界面活性剤を用いて、エチレン性不飽和モノマーを乳化重合して得たポリマー(以下、「乳化重合ポリマー」という)の微粒子をいう。前記(ii)の自己乳化ポリマー粒子とは、界面活性剤の不存在下、ポリマー自身の官能基(特に塩生成基又はその塩)によって、水中で乳化状態である水不溶性ポリマーの粒子をいう。
ポリマー粒子を構成するポリマーの具体例としては、(メタ)アクリル系ポリマー、酢酸ビニル系ポリマー、スチレン−ブタジエン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、スチレン−(メタ)アクリル系ポリマー、ブタジエン系ポリマー、スチレン系ポリマー等が挙げられる。(メタ)アクリル系ポリマー、(メタ)アクリル−スチレン系ポリマー、スチレン系ポリマーが好ましく、特にスチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステルを共重合した(メタ)アクリル−スチレン系ポリマーが好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマー、(メタ)アクリル−スチレン系ポリマーを合成するためのモノマーとしては、(メタ)アクリル基を有するモノマーを用いることが好ましい。
これらのモノマー中では、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。それらの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリル−スチレン系ポリマー、スチレン系ポリマーを合成するためのスチレン系モノマーとしては、スチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、クロロスチレン等が好ましく挙げられる。
スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステルを共重合する場合の重量比(スチレン系モノマー:(メタ)アクリル酸エステル)は70:30〜10:90が好ましい。得られるポリマー粒子の固形分濃度は、保存安定性と配合性の観点から、1〜80重量%が好ましい。なお、(メタ)アクリルとは、アクリル、メタクリル又はそれらの両者をいう。
本発明で用いられるポリマー粒子は、保存安定性、吐出性の観点から、アニオン性ポリマー粒子が好ましい。アニオン性ポリマー粒子は、1種以上のアニオン性モノマーを重合するか、又はアニオン性界面活性剤存在下で疎水性モノマーを乳化重合することにより得ることができる。疎水性モノマーは、前記(メタ)アクリル酸エステル、スチレン系モノマー等が挙げられる。
アニオン性のポリマー粒子を構成するアニオン性モノマーの代表例としては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
不飽和スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコネート等が挙げられる。
ポリマー中におけるアニオン性モノマー由来の構成単位の含有量は、ポリマー粒子の保存安定性の観点から、好ましくは0〜40重量%、より好ましくは0〜20重量%、特に好ましくは0〜10重量%である。
アニオン性のポリマーが疎水性モノマー由来の構成単位を含有している場合、その疎水性モノマー由来の構成単位の含有量は、得られるポリマー粒子の保存安定性の観点から、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは60〜100重量%、特に好ましくは70〜100重量%である。
アニオン性のポリマー中における〔(アニオン性モノマー由来の構成単位)/(疎水性モノマー由来の構成単位)〕の重量比は、印字濃度等の観点から、好ましくは0〜0.5、より好ましくは0〜0.3、特に好ましくは0〜0.2である。
ポリマー粒子が、前記(i)エチレン性不飽和モノマーを乳化重合してなるポリマー粒子である場合、公知の乳化重合法により製造することができる。
乳化重合における重合開始剤としては、各種の無機過酸化物、有機系過酸化物、アゾ系開始剤、レドックス重合開始剤等の公知のものを使用できる。
乳化重合に用いる界面活性剤は特に限定されないが、アニオン系界面活性剤が好適である。アニオン系界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルキル硫酸塩、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸石鹸、アルキルリン酸塩等が挙げられる。
また、反応性界面活性剤としては、例えばスルホコハク酸エステル系(例えば、花王株式会社製、ラテムルS−120P、S−180A、三洋化成株式会社製、エレミノールJS−2等)、及びアルキルフェノールエーテル系(例えば、第一工業製薬株式会社製、アクアロンHS−10、RN−20等)が挙げられる。
前記(i)エチレン性不飽和モノマーを乳化重合してなるポリマー粒子の市販品としては、日本エイアンドエル株式会社製の「MR172」(カルボキシ変性メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体のラテックス、平均粒子径200nm)、「MR180」(未変性メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体のラテックス、平均粒子径190nm)、「SR140」(カルボキシ変性スチレン−メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体のラテックス、平均粒子径150nm)、「NA13」(変性アクリロニトリル−ブタジエン共重合体のラテックス、平均粒子径130nm)、JSR株式会社製の「2108」(スチレン−ブタジエン共重合体のラテックス)等が挙げられる。
ポリマー粒子が、前記(ii)の自己乳化ポリマー粒子である場合、塩生成基含有モノマーとしては、前記アニオン性モノマーが挙げられる。
自己乳化ポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、前記塩生成基含有モノマーを含むモノマー混合物を共重合させることによって製造することができる。
自己乳化ポリマー粒子は、公知の方法により、自己乳化ポリマー、中和剤、水及び有機溶媒を含有する混合物を分散処理した後、該有機溶媒を除去して、自己乳化ポリマー粒子の水分散体として得ることが好ましい。前記中和剤としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリブチルアミン等の塩基が挙げられる。
(インクジェット記録用水分散体、水系インク)
本発明で得られるインクジェット記録用水分散体は、水を主成分とする溶媒中に、自己分散型顔料が分散している形態であり、乾燥性等の観点から、湿潤剤等を配合して保存しておくことが多い。水分散体は、そのままインクとして使用することも可能であるが、プリンターのヘッドやノズルの特性、印字の性能、安定性等、プリンター仕様や用途に合わせて、各種のインク用ビヒクルに分散して分散液とし、必要により、溶剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、消泡剤、防黴剤、キレート剤等の添加剤を添加して、インクを調製することができる。特に水性媒体に分散して水分散体とすることにより、優れた性能を有する水系インクとすることができる。
本発明の水分散体及び水系インク中の自己分散型顔料、特に自己分散型カーボンブラックの含有量は、吐出性及び印字濃度を高める観点から、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは2〜10重量%、更に好ましくは3〜8重量%である。
本発明のインクジェット記録用水系インク中の金属酸化物粒子とポリマー粒子との合計及び個々の含有量は、吐出性及び印字濃度を高める観点から、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.5〜5重量%、更に好ましくは1〜4重量%である。
自己分散型顔料に対する金属酸化物粒子とポリマー粒子との合計重量の含有比率〔自己分散型顔料/金属酸化物粒子とポリマー粒子との合計重量比〕は、印字濃度を向上させ、水系インク中での良好な保存安定性を得るために、好ましくは0.1〜20であり、より好ましくは0.5〜10、更に好ましくは2〜5である。
本発明の水分散体及び水系インク中の水の含有量は、好ましくは30〜90重量%,より好ましくは40〜80重量%である。
本発明の水分散体及び水系インク中のポリマー粒子の平均粒径は、インクの保存時に安定に存在すればよく、特に限定されないが、好ましくは5〜300nmであり、より好ましくは30〜200nmである。なお、ポリマー粒子の平均粒径は、自己分散型顔料の平均粒径と同様の方法により測定することができる。
本発明の水分散体及び水系インクの好ましい表面張力(20℃)は、水分散体としては好ましくは30〜65mN/m、更に好ましくは35〜60mN/mであり、水系インクとしては、好ましくは25〜50mN/m、更に好ましくは27〜45mN/mである。
本発明の水分散体の20重量%(固形分)の粘度(20℃)は、水系インクとした際に好ましい粘度とするために、好ましくは1〜12mPa・s、更に好ましくは1〜9mPa・sである。水系インクの粘度(20℃)は、良好な吐出性を維持するために、好ましくは2〜12mPa・s、更に好ましくは2.5〜10mPa・sである。
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。
自己分散型カーボンブラックの親水性官能基量、自己分散型カーボンブラック及び顔料水分散体の導電率、自己分散型顔料の平均粒子径、及びpHは下記の方法により測定した。
<自己分散型顔料中の親水性官能基量の測定>
アニオン性親水性官能基量(酸性基量)は、NaOHやKOH等の強アルカリと反応した量として、以下の方法により求めることができる。
(測定条件)
装置:京都電子工業株式会社製、電位差自動滴定装置、AT−610
滴定条件:0.01N−HCl、滴定量0.02ml、間欠時間30秒、25℃
0.01N−NaOHは和光純薬製0.01mol/L水酸化ナトリウム(容量分析用)、0.01N−HClは和光純薬製0.01mol/L塩酸(容量分析用)を使用した。
(測定手順)
カーボンブラックの水分散体を固形分で0.05gとなるように精秤し、イオン交換水を加え50mlとし、0.01N−NaOHを1.5ml(過剰量)添加し30分間攪拌することにより、表面酸性基を全てNa塩とした。このアルカリ分散液に、0.01N−HClを0.02gずつ、30秒間隔で、分散液を攪拌しながら滴下し、pHを測定する。過剰アルカリが中和される中和点(変曲点1)を起点として、続いて起こる中和変曲点の中で最も酸性よりの中和点(最終変曲点2)を終点としたときの、最終変曲点2−変曲点1の間の0.01N−HClの使用量から粒子表面の酸性基量を算出し、固形分1g当りの当量として求めた。測定は20℃で行った。
なお、カチオン性親水性官能基量は、アニオン性親水性官能基とは逆に、過剰量の0.01N−HClを添加した後、0.01N−NaOHで同様に中和することで求めることができる。
<導電率の測定>
JIS K0130−1995に準拠し、株式会社堀場製作所製、D−24(導電率用電極3551−10D)を用いて測定した。測定条件は、25℃、カーボンブラック濃度10%、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH8になるように調製した。
なお、測定の水分散体には、水以外の溶剤、湿潤剤等は導電率に影響を与えるので除去して測定する。導電率は、pHにより異なるので、アニオン性親水性官能基を有する場合は、pH8(20℃)で測定し、カチオン性親水性官能基を有する場合は、pH3(20℃)で測定する。
<自己分散型顔料の平均粒子径の測定>
大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント解析) を用いて測定した。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力した。測定濃度は、約5×10-3重量%で行った。
<pH>
20重量%の水溶性懸濁液又は泥状物を調製し、JIS Z8802法(20℃)で測定した。
製造例1
(水難溶性アミンを担持した活性炭の調製)
水難溶性アミンとしてトリオクチルアミン0.2g、有機溶媒としてヘキサン50g(沸点69℃)を200mlのビーカーに秤量し、マグネティックスターラーで攪拌する。これに活性炭(武田薬品工業株式会社製、白鷺C)2gを加え、ビーカー上部から窒素気流を通じて徐々にヘキサンを揮発させ、揮発が完了した後にも更に24時間窒素気流を通じ続け、水難溶性アミン担持活性炭を得た。
実施例1
平均粒径130nm、濃度20%、導電率1.36mS/cm、pH6.0、全親水性官能基(アニオン性)量290μmol/gのペルオキソ2硫酸塩で酸化処理された自己分散型カーボンブラックの水分散液100gを1Lのセパラブルフラスコに入れ、製造例1で得られた水難溶性アミンを担持した活性炭2gを加えた。(重量比(アミン/顔料):0.9g/100g)
次いで、スリーワンモータに接続したテフロン(登録商標)製アンカー型攪拌翼で100rpmで0.5時間攪拌(温度25℃)した後、セパラブルフラスコを90℃の水浴に浸漬した状態で3時間保持した。その後セパラブルフラスコをゆっくり傾斜させて上澄み部分のみを取り出し、取り出した水分散体を目開き5μmのメンブランフィルター(ザルトリウス社製)でろ過し、固形分を15%に調製することで、導電性物質を低減した自己分散型カーボンブラック(CB1)の水分散体を得た。導電率は、0.38mS/cmであった。
比較例1
実施例1において、水難溶性アミンを担持した活性炭2gの代わりに、活性炭(武田薬品工業株式会社製、白鷺C)2gをそのまま用いた以外は製造実施例1と同様の操作を行い、導電性物質を低減した自己分散型カーボンブラック(CB2)の水分散体を得た。導電率は、0.42mS/cmであった。
比較例2
実施例1において、自己分散顔料の水分散体を90℃の水浴に浸漬した状態で3時間保持した後、目開き5μmのメンブランフィルターでろ過し、イオン交換水を加えて固形分を15%に調製することで、水難溶性アミンで処理しない自己分散型カーボンブラック(CB3)の水分散体を得た。導電率は、1.42mS/cmであった。
(水系インクの調製)
実施例1及び比較例1〜2で得られた自己分散型カーボンブラック(CB1)の水分散体26.7部に、グリセリン5部、及び水(残部)を加え、全体で100重量部になるように配合し、25℃で混合、撹拌して分散液を調製し水系インクを得た。
本発明で得られた水分散体を用いた水系インクは、吐出性に優れていた。

Claims (7)

  1. 自己分散型顔料の水分散体と水難溶性アミンを含有する吸着材とを接触させる工程を有する、インクジェット記録用水分散体の製造方法。
  2. 水難溶性アミンと吸着材との重量比〔水難溶性アミン/吸着材〕が、0.005〜0.5である、請求項1に記載のインクジェット記録用水分散体の製造方法。
  3. 接触時のpHが、2〜7である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用水分散体の製造方法。
  4. 自己分散型顔料と水難溶性アミンとの重量比〔水難溶性アミン/自己分散型顔料(固形分換算)〕が〔0.3/100〕〜〔20/100〕である、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られたインクジェット記録用水分散体。
  6. 請求項5に記載の水分散体を含有する、インクジェット記録用水系インク。
  7. 自己分散型顔料の水分散体と、水難溶性アミンを含有する吸着材とを接触させる工程を有する、インクジェット記録用水分散体の導電率の低減方法。
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