JP2008284577A - レーザ加工方法、フレキシブルプリント基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】被加工物の炭化による電気的な不良を防止することが可能なレーザ加工技術を提供する。
【解決手段】超短パルスレーザ光源1から出射されるレーザ光18を、集光用対物レンズ10を介して加工ステージ12に載置された被加工物11に照射してレーザ加工を行うレーザ加工方法において、超短パルスレーザであるレーザ光18のパルス幅を500fs(フェムト秒)以下にし、被加工物11の加工点における照射エネルギ量が0.01から5マイクロジュール毎平方センチ(μJ/cm2)となるように制御して、被加工物11の有機材料部の加工点からの炭化範囲を、短絡等の電気的な障害が発生しにくい、0.05mm以下に制御する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、超短パルスレーザを用いた加工技術に関する。
近年、たとえば、フレキシブルプリント基板への穴あけや切断加工等にYAGレーザや炭酸ガスレーザなどを適用することが検討されている。この加工方法はガラスエポキシや、ポリイミド、アクリルのような有機材料層および金属配線層等から構成される基板に光学系を用いて集光した上述のようなレーザ光を照射し、照射領域近傍を加工するものである。
しかし、YAGレーザや炭酸ガスレーザの場合、照射された部分の材料を蒸散させる熱加工であるため、切断部周辺の炭化が発生する。この炭化は回路基板の用途として用いる場合には、電子部品等を実装する際の短絡や導通不良等の電気的な不良を引き起こす原因となる。
そこで近年では、炭化が発生しにくい、熱影響の少ない加工が可能である超短パルスレーザを用いて、フレキシブルプリント基板などに穴加工や、切断加工を行おうとする取り組みが行われている。
たとえば、特許文献1では、パルス幅1ps(ピコ秒)以下の超短パルスレーザを用いて、電気回路上の導通をとるためのビアホール(via hole)の加工を行う技術が開示されている。
しかし、パルス幅が1ps未満の超短パルスレーザを用いても、炭化は発生する。図7および図8はパルス幅500fsの超短パルスレーザを用いて、与えるパルスエネルギを変化させて加工を行った場合の加工部を示す平面写真である。
図7は加工に用いたフルエンス(照射エネルギ量)を90μJ/cm2で加工を行った場合の加工部であるのに対して、図8はフルエンスを3.6μJ/cm2に設定し加工を行った場合の加工部を示すものである。図7は炭化部位Bが、加工線に沿って広く発生していることがわかる。この炭化部位Bが生じた原因として、加工中に発生するプラズマの影響が考えられる。
一般的にレーザ加工はレーザ光源から出射されるレーザ光をレンズなどの光学系を用いて、非常に高い集光強度にして被加工物に照射する。これにより照射された領域の分子は瞬時に気化して、蒸散する。これにより被加工物は削りとられたようになり、加工現象が成立する。当然、超短パルスレーザも例外ではなく、高密度に集光されたレーザ光を照射することにより蒸散現象が発生する。
ただし超短パルスレーザの場合、パルス幅が短いため、照射によって生じた熱が周囲に伝播する前に加工が終了し、加工部近傍に熱影響が少ない加工が実現できる。
しかし集光点近傍では非常に高い集光強度となるため、加工に使われなかったエネルギが加工材料のプラズマ化に寄与し、熱源となる。このプラズマは一般的に数千度まで達するとされており、被加工物の加工部を炭化させる原因となる。
特開2004−351513号公報
本発明の目的は、被加工物の炭化による電気的な不良を防止することが可能なレーザ加工技術を提供することにある。
本発明の他の目的は、被加工物の加工部の変質を軽減することが可能なレーザ加工技術を提供することにある。
本発明の第1の観点は、有機材料部と金属材料部を含む被加工物に超短パルスレーザを照射して加工するレーザ加工方法であって、
前記超短パルスレーザのパルス幅および加工点における照射エネルギ量の少なくとも一方を、前記有機材料部と前記金属材料部の炭化による前記金属材料部の短絡が生じない範囲に制御するレーザ加工方法を提供する。
本発明の第2の観点は、第1の観点に記載のレーザ加工方法において、
前記超短パルスレーザのパルスが照射された第1照射位置に発生したプラズマの影響が及ばない第2照射位置に、次の前記超短パルスレーザの前記パルスを照射するレーザ加工方法を提供する。
本発明の第3の観点は、第1の観点に記載のレーザ加工方法において、
前記被加工物の加工領域の前後に前記超短パルスレーザの走査のための助走領域および減速領域を設けることにより、前記加工領域に対する前記超短パルスレーザの照射ピッチが一定となるように制御するレーザ加工方法を提供する。
本発明の第4の観点は、第1の観点に記載のレーザ加工方法において、
前記超短パルスレーザの前記パルス幅が500fs(フェムト秒)以下で、前記加工点における前記照射エネルギ量が0.01から5マイクロジュール毎平方センチ(μJ/cm2)となるように制御して、前記有機材料部の前記加工点からの炭化範囲を0.05mm以下に制御するレーザ加工方法を提供する。
本発明の第5の観点は、有機材料層と金属材料層が積層された被加工物に超短パルスレーザを照射して加工するレーザ加工方法であって、
前記超短パルスレーザのパルス幅が500fs(フェムト秒)以下で、加工時の加工点における照射エネルギ量が0.01から5マイクロジュール毎平方センチ(μJ/cm2)の条件で加工を行うことにより、前記有機材料層の炭化領域を、前記加工点の周囲で0.05mm以下にするレーザ加工方法を提供する。
本発明の第6の観点は、第5の観点に記載のレーザ加工方法において、
前記超短パルスレーザが照射された第1照射位置に発生したプラズマの影響が及ばない第2照射位置に次の前記超短パルスレーザを照射するレーザ加工方法を提供する。
本発明の第7の観点は、第5の観点に記載のレーザ加工方法において、
前記被加工物に対する前記超短パルスレーザの走査において、加工開始点の前に助走領域を、加工終了点の後に減速領域を設け、走査開始から前記助走領域の中で目的の速度まで加速し、前記加工開始点に達した位置で前記超短パルスレーザの出射を開始し、前記加工終了点に達した位置で前記出射を終了し、前記加工終了点から前記減速領域の中で減速を開始することにより、前記加工開始点から前記加工終了点の間の加工領域における前記超短パルスレーザの照射ピッチが一定となるように制御するレーザ加工方法を提供する。
本発明の第8の観点は、有機材料部と金属材料部を含み、レーザ照射によって加工されたフレキシブルプリント基板であって、
前記有機材料部の炭化領域の範囲が、前記加工点の周囲の0.05mm以下であるフレキシブルプリント基板を提供する。
本発明によれば、被加工物の炭化による電気的な不良を防止することが可能なレーザ加工技術を提供することができる。
また、被加工物の加工部の変質を軽減することが可能なレーザ加工技術を提供することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
最初に本実施の形態の趣旨を簡単に説明すると以下のようになる。後述のように、本実施の形態では、レーザ加工方法において、有機材料層と金属材料層が積層されたフレキシブルプリント基板のような被加工物をパルス幅500fs以下、加工時の加工点におけるフルエンスが0.01から5μJ/cm2(マイクロジュール毎平方センチ)の加工条件を用いて加工することにより、切断面より炭化領域が0.05mm以下に軽減する加工品を得ることを可能にする。
本実施の形態では、超短パルスレーザのパルス打ち込みは、あるパルスを打ち込んだ位置で発生したプラズマの影響が及ばない位置に次のパルスを照射することにより、加工中にプラズマの影響を受けない、効率的な加工を実現する。
たとえば、四角形の加工を行う場合を考えると、レーザに対し、ステージを四角形の形状に相対的に走査させる場合、角部では加減速の影響で、パルス打ち込みのピッチが短くなる。この影響により角部では直線部に対し、炭化が促進される。これを解決するために、本実施の形態では、ステージの加減速領域を考慮し、加工開始点前に助走領域を、加工終了点後に減速領域を設け、ステージが駆動し始めて、助走領域の中で目的の速度まで加速し、加工開始点に達した位置でレーザの出射を開始し、加工終了点に達した位置でレーザの出射を終了し、加工終了点から減速を開始することにより、加工領域内は常に一定の速度で加工する。
図1は、本発明の一実施の形態であるレーザ加工方法を実施する超短パルスレーザ加工装置の構成の一例を示す概念図である。
本実施の形態では、フレキシブルプリント基板等の被加工物にレーザを照射して、切断や穴明け、パターンの彫り込み等の加工を行うレーザ加工について説明する。
図1に示すように、超短パルスレーザ加工装置は大別すると超短パルスレーザ光源1とビームスプリッタ8や集光用対物レンズ10から構成されるレーザ光学系と、X−Y−Zの各軸が制御可能な加工ステージ12、加工の様子を観察するためのCCDカメラ6により構成されている。
超短パルスレーザ光源1から照射されるレーザ光18は、たとえば、発振波長780nm、パルス幅300fsの特性を備えている。さらに、繰り返し周波数に関しては許容される範囲内であれば、作業者側で任意に設定できる特性を持っている。
このようなレーザ光18の特性や、照射開始、照射停止等の制御は、制御コンピュータ16から、超短パルスレーザ光源制御部17を介して、超短パルスレーザ光源1の動作を制御することによって行われる。
超短パルスレーザ光源1の下流側には、ビームエキスパンダ2と、ピンホール3aが開設されたピンホール板3を配置している。そして、ビームエキスパンダ2でレーザ光18のビームを一度拡散し、ピンホール3aによって中央部のみを切り出すことで、照射するビーム面内の強度のバラツキを少なくする機能を実現している。
ピンホール板3の下流にはレーザ光18のエネルギを調節するためのNDフィルタ4が配置してあり、このNDフィルタ4によりレーザのエネルギの調節を行っている。NDフィルタ4の下流には手動のシャッタ5が設けられている。このシャッタ5は安全のために設けており、加工開始準備が完了した際に、作業者が自ら開状態にすることにより、レーザ光18の誤照射を防ぐ。
シャッタ5の下流にはダイクロイックミラー7が設置されている。なお、このダイクロイックミラー7は波長400から700nmの光は透過し、その他の光は反射する特性を持つ。よって、このダイクロイックミラー7は後述の観察用照明9から照射された観察光19とレーザ光18を分離する機能を持つ。
ダイクロイックミラー7の後段にはビームスプリッタ8が配置されており、このビームスプリッタ8により観察用照明9から出射された観察光19を被加工物11の表面に導く構成となっている。
ビームスプリッタ8の下流には集光用対物レンズ10を配置しており、レーザ光路上のレーザ光18を集光させて、エネルギ密度を上げて被加工物11の表面に照射することにより加工を行う。
なお、上述のビームスプリッタ8の側方には観察用照明9が配置されており、この観察用照明9から出射された観察光19はビームスプリッタ8で反射し、集光用対物レンズ10により集光後、被加工物11の表面で反射し、集光用対物レンズ10で拡大され、ビームスプリッタ8を透過し、ダイクロイックミラー7を透過し、上部のCCDカメラ6により動画として取り込まれる。この構成により、観察光19によって被加工物11の加工領域を観察しながら加工を行うことが可能となっている。
なお、本実施の形態の超短パルスレーザ加工装置の構成は図1に示したものに限らず、被加工物11に対する良好な加工性能が得られる構成であればよい。
また、必要に応じて、アシストガスを用いることができる。本実施の形態の場合には、アシストガスボンベ13が設置してあり、アシストガス20のガス種を変更する際にはアシストガスボンベ13を希望のガス種に交換する。また、被加工物11の表面に供給するアシストガス20の流量、圧力は、アシストガスボンベ13に取り付けられたアシストガス用レギュレータ14で調節する。
アシストガス用レギュレータ14で調節されたアシストガス20はアシストガス噴射ノズル15から被加工物11に噴射される。
以下、本実施の形態の作用の一例について説明する。
本実施の形態では、被加工物11の一例として、フレキシブルプリント基板に対して加工を行った。このフレキシブルプリント基板は、後述の図6の断面写真に例示されるように、一例として、ポリイミド層11a、接着剤層11b(アクリル系接着剤)、Cu層11c、ポリイミド層11d、Cu層11e、接着剤層11f(アクリル系接着剤)、ポリイミド層11gの7層からなり、総厚は約0.2mmである。
次に、本実施の形態の超短パルスレーザ光源1は、上述のように、発振波長780nm、最大出力1W、最大パルスエネルギ:1mJ/パルス(ミリジュール毎パルス)、パルス幅:300fs、繰り返し周波数:1kHz、ビームスポット径:約20μm(マイクロメートル)の特性を有する。この超短パルスレーザ光源1を用いて被加工物11としてのフレキシブルプリント基板を加工した。
具体的な加工条件としては、超短パルスレーザ光源1から、たとえば直径が5mmで出射されたレーザ光18を、ビームエキスパンダ2を用いて、ビーム断面の口径が約20mm程度まで一度拡散し、たとえば、直径が5mmのピンホール3aを備えたピンホール板3を用いて中央部のみを切り出し、光軸に直交する断面内における強度分布がトップハット形状の光ビームとしてレーザ光18を取り出した。
その後、光学濃度を調節することが可能な回転型のNDフィルタ4を用いて、集光用対物レンズ10透過後のパルスエネルギが目的のパルスエネルギ値になるように、エネルギメーターで計測しながら、NDフィルタ4の回転角の調整を行った。なお、この集光用対物レンズ10によって、ビームスポット径を20μmに集光している。
本実施の形態におけるレーザ加工時のフルエンス(照射エネルギ量)について説明する。
本実施の形態では、加工時のフルエンスの範囲の下限として0.01μJ/cm2(マイクロジュール毎平方センチ)が設定される。この値は、上述の被加工物11としてのフレキシブルプリント基板を構成する材料の中で、最も損傷閾値の高い銅(Cu)(Cu層11c、Cu層11e)に関して、フルエンスを小さくしながら加工を行い、加工痕が取得できなくなった時の損傷閾値フルエンスの値である。つまりこの下限値よりも低いフルエンスであれば、被加工物11のCu層11c、Cu層11eを加工することができない。
また、フルエンスの上限値である5μJ/cm2(マイクロジュール毎平方センチ)は、本発明者らがフレキシブルプリント基板を用いた実験において、この上限値よりも高いフルエンスで加工した場合、フレキシブルプリント基板の最表面のポリイミド層11gの切断部位から広がる炭化領域幅Lcが、たとえば0.05mmを超えてしまうことを確認したことにより、導出された値である。
一般的に加工深さは照射するレーザ光18のフルエンスが高いほど加工効率が良いとされている。そこで、本実施の形態では、上述の下限値と上限値の範囲の中では比較的大きな値となる、加工位置においてのフルエンスの値が3.6μJ/cm2になるように設定し、加工を行った。
次に加工ステージ12の制御について説明する。本実施の形態の場合、たとえば、集光用対物レンズ10の光軸を鉛直(Z軸)方向の合焦点位置に固定し、被加工物11が載置される加工ステージ12を水平面(X−Y平面)内で移動させることにより、レーザ光18の被加工物11に対する相対的な走査制御を実現する。
図2は、この加工ステージ12の移動制御によるレーザ光18の被加工物11に対する加工軌跡の一例を示す平面図であり、図3は、加工ステージ12の移動速度(走査速度)の制御例を示す線図である。
図2に例示されるように、本実施の形態では、各辺(加工距離Lw)が、たとえば3mmの四角形の加工を行った。この場合、通常の連続した加工ステージ12の移動による走査では、角部における加減速の影響で、角部のパルススポットのピッチが短くなり、炭化が促進される。そこで、本実施の形態では、以下のようにして、このような角部等における炭化の促進を回避する。
なお、本実施の形態で用いた加工ステージ12は目的の速度に達するまでに、たとえば、各々2mmの助走距離La、減速距離Lsが必要であることがわかっていたため、図3に例示されるように、加工領域(加工距離Lw)内で走査速度が一定になるように、実際の加工距離Lwの前後にそれぞれ助走距離La、減速距離Lsとして2mmを設けて加工を行った。
なお、加工ステージ12の移動は図1に例示された制御コンピュータ16で行い、加工開始、終了を制御するための、超短パルスレーザ光源1のシャッタ5も同様に、制御コンピュータ16で行った。
すなわち、図2では、四角形の実線の加工距離Lwの部分が、実際にレーザ光18を照射して加工される領域であり、破線で示された助走距離La、減速距離Ls、および減速距離Lsから次の助走距離Laに至る走査領域では、レーザ光18の照射は停止されている。
たとえば、任意の1辺の延長線上から助走距離Laで加速しつつ走査を開始し、加工距離Lwの開始点で一定速度に切り替えるとともにレーザ光18の照射を開始し、加工距離Lwの終点でレーザ光18の照射を停止するとともに、減速距離Lsの間に減速する。そして、次の辺(加工距離Lw)のための助走距離Laの開始位置に移動して、助走距離Laの間に再度加速を開始し、加工距離Lwの開始点から一定速度で走査しつつ、レーザ光18の照射を行う、という動作を、辺(加工距離Lw)の数だけ繰り返す。
次に、レーザ光18の被加工物11に対するパルスの打ち込みについて説明する。本実施の形態では、被加工物11の加工領域の任意の第1照射位置にパルスを照射したことにより発生したプラズマの影響が及ばない第2照射位置に次のパルスを照射するように速度を設定して加工を行った。
なお、本実施の形態の場合には、加工ステージ12に設定された走査速度では、図1に示す装置構成の集光用対物レンズ10で得られるビームスポット径Dと、超短パルスレーザ光源1に設定した周波数で、任意時点で被加工物に打ち込まれたパルススポット18a(第1照射位置)と、その次に打ち込まれたパルススポット18b(第2照射位置)が確実につながっていることを確認している。
図4は、本実施の形態の加工装置における被加工物の加工領域でのレーザ光のビームスポットの配列状態を模式的に表した概念図である。
この図4に例示されるように、パルススポット18a(ビームスポット径D)は、任意時点で照射された1パルスでの加工形状である。本実施の形態場合には、次に打ち込まれるパルススポット18b(ビームスポット径D)は、1パルスで加工されたビームスポット径D以下の照射ピッチLp(≦D)の間隔で打ち込む。
つまり、本実施の形態の場合には、図4中の点線で示されるビームスポット境界部Aは確実につながっている状態になるとともに、相互のプラズマが影響しない間隔となるように照射ピッチLpが設定される。このように、被加工物11に照射されるパルススポット18aと次のパルススポット18bが確実につながっていると、確実に被加工物11の切断が可能になる。
また、本実施の形態の場合には、アシストガス20として、圧力0.2MPaの圧縮空気を被加工物11の加工部の近傍に供給してレーザ加工を行った。このアシストガス20の効果により、被加工物11の加工点の近傍を冷却することが可能となり、加工部位の炭化の軽減、すなわち炭化領域幅Lcの縮小に効果がある。
なお、本実施の形態における上述の各種加工条件の組み合わせはこれに限るものではない。
本実施の形態においては加工点でのフルエンスを3.6μJ/cm2に設定する場合を例示したが、この限りではない。
すなわち、上述の0.01μJ/cm2から5μJ/cm2の範囲内であれば、被加工物11における炭化部位(炭化領域幅Lc)が、切断面より0.05mm以下となるような加工が実現可能であることを発明者らは確認している。
また、アシストガス20に関しても、本実施の形態では、一例として圧縮空気を用いたが、特にこれに限定されるものではなく、圧縮空気以外にも、窒素、酸素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の他の気体をアシストガス20として用いても、上述の場合と同じ効果を得ることができる。
以上のような加工条件の設定による本実施の形態のレーザ加工方法によれば、フレキシブルプリント基板に代表される積層基板等の被加工物11を加工する際に発生する炭化領域(炭化領域幅Lc)等の変質領域を切断線等の加工部位より0.05mm以下に軽減した加工を行うことができた。
図5は本実施の形態のレーザ加工方法にて例示された加工条件で加工されたフレキシブルプリント基板の平面写真であり、図6は本実施の形態のレーザ加工方法にて例示された加工条件で加工されたフレキシブルプリント基板の断面写真である。
図5に例示されるように、炭化領域幅Lcで示される炭化部は、切断位置18cから0.05mm以下(この場合、炭化領域幅Lcは、約0.04mm(40μm(マイクロメートル))になっていることがわかる。
また、図6に例示されるように、被加工物11の加工断面においては炭化も少なく、非常に明瞭な加工断面が得られている。
本実施の形態によれば、フレキシブルプリント基板に代表される有機材料層と金属材料層を積層した構成の基板等の被加工物11を加工する際に、レーザ光18のパルス幅、加工点におけるフルエンス、さらにはビームパルスを打ち込む間隔(照射ピッチLp)を制御することにより、炭化領域(炭化領域幅Lc)、すなわち変質領域を、加工部位より0.05mm以下に軽減したレーザ加工が実現できる。
これにより、フレキシブルプリント基板等の被加工物11を回路基板として用いる際に、加工断面の炭化部が原因となって配線経路が短絡する等の電気的な不良を防止でき、フレキシブルプリント基板を備えた製品の信頼性や機能向上に寄与することができる。
なお、本発明は、上述の実施の形態に例示した構成に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
本発明の一実施の形態であるレーザ加工方法を実施する超短パルスレーザ加工装置の構成の一例を示す概念図である。 本発明の一実施の形態であるレーザ加工方法によるレーザ光の被加工物に対する加工軌跡の一例を示す平面図である。 本発明の一実施の形態であるレーザ加工方法による加工ステージの移動速度(走査速度)の制御例を示す線図である。 本発明の一実施の形態である加工装置における被加工物の加工領域でのレーザ光のビームスポットの配列状態を模式的に表した概念図である。 本発明の一実施の形態であるレーザ加工方法にて例示された加工条件で加工されたフレキシブルプリント基板の平面写真である。 本発明の一実施の形態であるレーザ加工方法にて例示された加工条件で加工されたフレキシブルプリント基板の断面写真である。 本発明の参考技術として、パルス幅500fsの超短パルスレーザを用いて、フルエンスを90μJ/cm2に設定して加工を行った場合の加工部の平面写真である。 本発明の参考技術として、パルス幅500fsの超短パルスレーザを用いて、フルエンスを3.6μJ/cm2に設定して加工を行った場合の加工部の平面写真である。
符号の説明
1 超短パルスレーザ光源
2 ビームエキスパンダ
3 ピンホール板
3a ピンホール
4 NDフィルタ
5 シャッタ
6 CCDカメラ
7 ダイクロイックミラー
8 ビームスプリッタ
9 観察用照明
10 集光用対物レンズ
11 被加工物
11a ポリイミド層
11b 接着剤層
11c Cu層
11d ポリイミド層
11e Cu層
11f 接着剤層
11g ポリイミド層
12 加工ステージ
13 アシストガスボンベ
14 アシストガス用レギュレータ
15 アシストガス噴射ノズル
16 制御コンピュータ
17 超短パルスレーザ光源制御部
18 レーザ光
18a パルススポット
18b パルススポット
18c 切断位置
19 観察光
20 アシストガス
A ビームスポット境界部
D ビームスポット径
La 助走距離
Ls 減速距離
Lw 加工距離
Lc 炭化領域幅
Lp ビームスポットの照射ピッチ

Claims (8)

  1. 有機材料部と金属材料部を含む被加工物に超短パルスレーザを照射して加工するレーザ加工方法であって、
    前記超短パルスレーザのパルス幅および加工点における照射エネルギ量の少なくとも一方を、前記有機材料部と前記金属材料部の炭化による前記金属材料部の短絡が生じない範囲に制御することを特徴とするレーザ加工方法。
  2. 請求項1記載のレーザ加工方法において、
    前記超短パルスレーザのパルスが照射された第1照射位置に発生したプラズマの影響が及ばない第2照射位置に、次の前記超短パルスレーザの前記パルスを照射することを特徴とするレーザ加工方法。
  3. 請求項1記載のレーザ加工方法において、
    前記被加工物の加工領域の前後に前記超短パルスレーザの走査のための助走領域および減速領域を設けることにより、前記加工領域に対する前記超短パルスレーザの照射ピッチが一定となるように制御することを特徴とするレーザ加工方法。
  4. 請求項1記載のレーザ加工方法において、
    前記超短パルスレーザの前記パルス幅が500fs(フェムト秒)以下で、前記加工点における前記照射エネルギ量が0.01から5マイクロジュール毎平方センチ(μJ/cm2)となるように制御して、前記有機材料部の前記加工点からの炭化範囲を0.05mm以下に制御することを特徴とするレーザ加工方法。
  5. 有機材料層と金属材料層が積層された被加工物に超短パルスレーザを照射して加工するレーザ加工方法であって、
    前記超短パルスレーザのパルス幅が500fs(フェムト秒)以下で、加工時の加工点における照射エネルギ量が0.01から5マイクロジュール毎平方センチ(μJ/cm2)の条件で加工を行うことにより、前記有機材料層の炭化領域を、前記加工点の周囲で0.05mm以下にすることを特徴とするレーザ加工方法。
  6. 請求項5記載のレーザ加工方法において、
    前記超短パルスレーザが照射された第1照射位置に発生したプラズマの影響が及ばない第2照射位置に次の前記超短パルスレーザを照射することを特徴とするレーザ加工方法。
  7. 請求項5記載のレーザ加工方法において、
    前記被加工物に対する前記超短パルスレーザの走査において、加工開始点の前に助走領域を、加工終了点の後に減速領域を設け、走査開始から前記助走領域の中で目的の速度まで加速し、前記加工開始点に達した位置で前記超短パルスレーザの出射を開始し、前記加工終了点に達した位置で前記出射を終了し、前記加工終了点から前記減速領域の中で減速を開始することにより、前記加工開始点から前記加工終了点の間の加工領域における前記超短パルスレーザの照射ピッチが一定となるように制御することを特徴とするレーザ加工方法。
  8. 有機材料部と金属材料部を含み、レーザ照射によって加工されたフレキシブルプリント基板であって、
    前記有機材料部の炭化領域の範囲が、前記加工点の周囲の0.05mm以下であることを特徴とするフレキシブルプリント基板。
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CN109940284A (zh) * 2019-01-25 2019-06-28 武汉铱科赛科技有限公司 一种线路板金手指激光切割方法和系统

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