JP2008282616A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池全体の含水量が適正な状況下で、セル群の一部のセルの含水量が過多のまま放置されるのを防止すること。
【解決手段】セルを含む燃料電池20に対して電圧センサ97、電流センサ98を用いてインピーダンスを測定し、このインピーダンスから燃料電池全体の含水量を測定し、燃料電池20全体の含水量が適正であっても、単位セルのうち含水量が相対的に多くなり易い特定の端部セル102に対して電圧測定部101を用いて開回路電圧を測定し、特定の端部セル102の開回路電圧の低下速度を基に燃料電池20の含水量の適否を判断する。
【選択図】図1
【解決手段】セルを含む燃料電池20に対して電圧センサ97、電流センサ98を用いてインピーダンスを測定し、このインピーダンスから燃料電池全体の含水量を測定し、燃料電池20全体の含水量が適正であっても、単位セルのうち含水量が相対的に多くなり易い特定の端部セル102に対して電圧測定部101を用いて開回路電圧を測定し、特定の端部セル102の開回路電圧の低下速度を基に燃料電池20の含水量の適否を判断する。
【選択図】図1
Description
本発明は、システム停止時に燃料電池の掃気処理を実施する燃料電池システムに関する。
水素と酸素との電気化学反応を利用して発電する燃料電池としては、例えば、固体高分子型燃料電池がある。この固体高分子型燃料電池は、複数のセルを積層して構成されたスタックを備えている。スタックを構成するセルは、アノード(燃料極)とカソード(空気極)とを備えており、これらのアノードとカソードとの間には、イオン交換基としてスルフォンサン基を有する固体高分子電解質膜が介在している。
アノードには燃料ガス(水素ガスまたは炭化水素を改質して水素リッチにした改質水素)を含む燃料ガスが供給され、カソードには酸化剤として酸素を含むガス(酸化剤ガス)、一例として、空気が供給される。アノードに燃料ガスが供給されることで、燃料ガスに含まれる水素がアノードを構成する触媒層の触媒と反応し、これによって水素イオンが発生する。発生した水素イオンは固体高分子電解質膜を通過して、カソードで酸素と電気反応を起こす。この電気化学反応によって発電が行われる構成となっている。
ところで、固体高分子型燃料電池を動力源とする燃料電池システムにおいて、システムの運転を停止すると、燃料電池の温度が下がり、高温多湿の状態にあった燃料電池内部の水分が凝結して結露したり、凍結したりすることがある。このため、システムを停止する際に、掃気ガスを燃料電池に供給して掃気することが行われている。
この際、燃料電池に対する掃気が適正に行われたか否かを診断するために、セルの開回路電圧に基づいてセルの水分状態(含水量)を診断することが行われている。例えば、第1閾値電圧と、この第1閾値電圧よりも高い電圧値の第2閾値電圧とを設定し、セルの開回路電圧が第1閾値電圧以下のときはセル内が乾燥状態あると診断するとともに、セルの開回路電圧が第2閾値以上のときはセル内が水分過多状態にあると診断するようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。
しかし、燃料電池スタック全体に対する開回路電圧を測定する方法では平均値しか測定することができず、一部のセルの含水量が過多であっても、燃料電池全体の含水量は適正な状態にあると診断されることが危惧される。すなわち、燃料電池はその構造上、掃気ガスを用いて掃気を行っても、端部に配置された特定のセルから水分を十分に除去できないことがあり、一部のセルの含水量が多くなることがある。一部のセルの含水量が過多の状態で放置されると、燃料電池の始動ができない場合がある。
本発明は、前記従来技術に鑑みて為されたものであり、その目的は、燃料電池全体の含水量が適正な状況下で、セル群の一部のセルの含水量が過多のまま放置されるのを防止することにある。
前記課題を解決するために、本発明は、セルが積層された燃料電池を備えた燃料電池システムにおいて、該セルのうち含水量が相対的に多くなり易い特定のセルについて開回路電圧を測定する電圧測定部と、該電圧測定部の測定による開回路電圧の低下速度に基づいて、該燃料電池の含水量の適否を判断する判断部と、を備えてなることを特徴とする燃料電池システムを構成したものである。
係る構成によれば、セル群のうち含水量が相対的に多くなり易い特定のセルについて開回路電圧を測定し、開回路電圧の低下速度に基づいて、燃料電池の含水量の適否を判断するようにしたため、燃料電池全体の含水量が適正な状況下にあっても、一部のセル(特定のセル)の含水量が過多のまま放置されるのを防止することができ、燃料電池の始動を確実に行うことが可能になる。
ここでそ「含水量が相対的に多くなり易い」とは、インピーダンス測定等で把握されるセル全体の含水量の平均値よりも含水量が多い傾向にあることで、そのような「特定のセル」とは例えば、スタックの端部に位置するセルである。
ここでそ「含水量が相対的に多くなり易い」とは、インピーダンス測定等で把握されるセル全体の含水量の平均値よりも含水量が多い傾向にあることで、そのような「特定のセル」とは例えば、スタックの端部に位置するセルである。
燃料電池システムを構成するに際しては、以下の要素を付加することができる。
好適には、前記判断部は、前記電圧測定部の測定による開回路電圧が基準値に達するまでの時間を基に前記開回路電圧の低下速度を求める。
好適には、前記判断部は、前記電圧測定部の測定による開回路電圧が基準値に達するまでの時間を基に前記開回路電圧の低下速度を求める。
係る構成によれば、特定のセルの開回路電圧が基準値に達する(低下する)までの時間を基に特定のセルの開回路電圧の低下速度を求めることができる。開回路電圧の低下速度が速いほど含水量が少ない傾向にあるところから、いずれのセルに対しても等しい開回路電圧から基準値までの経過時間の多少が低下速度に対応しており、そのような基準値までに低下する時間tを求めれば、例えば開回路電圧をVOC、基準値をVthとすれば、低下速度vは、v=(Vth−VOC)/t(負値)として求めることができる。
好適には、前記判断部から前記燃料電池の含水量が不適正であるとの判断結果が出力されたときに、前記燃料電池に掃気ガスを供給して外部に排出する掃気処理を実施する掃気駆動部を備える。
係る構成によれば、燃料電池の含水量が不適正であると判断されたときには、燃料電池に掃気ガスを供給して外部に排出する掃気処理を実施することで、燃料電池の含水量が不適正なままで放置されるのを防止することができる。
好適には、前記燃料電池全体の含水量を測定する含水量測定部を備え、前記電圧測定部は、前記含水量測定部の測定結果が適正であることを条件に前記特定のセルについての開回路電圧を測定する。
係る構成によれば、燃料電池全体の含水量が適正であることを条件に特定のセルの開回路電圧を測定することで、燃料電池全体の含水量が適正であっても、一部のセル(特定のセル)の含水量が過多のまま放置されるのを防止することができる。
本発明によれば、含水量が相対的に多くなり易い特定のセルについて開回路電圧を測定し、開回路電圧の低下速度に基づいて燃料電池の含水量の適否を判断するので、燃料電池全体の含水量が適正な状況下にあっても、特定のセルの含水量が過多のまま放置されるのを防止することができ、燃料電池の始動を確実に行うことが可能になる。
図1は、本発明が適用された燃料電池システムのシステム構成図である。
図1において、燃料電池システム10は、燃料電池20に燃料ガス(水素ガス)を供給するための燃料ガス供給系統4と、燃料電池20に酸化ガス(空気)を供給するための酸化ガス供給系統7と、燃料電池20を冷却するための冷却液供給系統3と燃料電池20からの発電電力を充放電する電力系統9とを備えて構成されている。
図1において、燃料電池システム10は、燃料電池20に燃料ガス(水素ガス)を供給するための燃料ガス供給系統4と、燃料電池20に酸化ガス(空気)を供給するための酸化ガス供給系統7と、燃料電池20を冷却するための冷却液供給系統3と燃料電池20からの発電電力を充放電する電力系統9とを備えて構成されている。
燃料電池20は、フッ素系樹脂などにより形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜などから成る高分子電解質膜21の両面にアノード極22とカソード極23をスクリーン印刷などで形成した膜・電極接合体24を備えている。膜・電極接合体24の両面は、燃料ガス、酸化ガス、冷却水の流路を有するセパレータ(図示せず)によってサンドイッチされ、このセパレータとアノード極22およびカソード極23との間に、それぞれ溝状のアノードガスチャンネル25およびカソードガスチャンネル26を形成している。アノード極22は、燃料極用触媒層を多孔質支持層上に設けて構成され、カソード極23は、空気極用触媒層を多孔質支持層上に設けて構成されている。これら電極の触媒層は、例えば、白金粒子を付着して構成されている。
アノード極22では、次の(1)式の酸化反応が生じ、カソード極23では、次の(2)式の還元反応が生じる。燃料電池20全体としては、次の(3)式の起電反応が生じる。
H2→2H++2e−・・・(1)
(1/2)O2+2H++2e−→H2O・・・(2)
H2+(1/2)O2→H2O・・・(3)
H2→2H++2e−・・・(1)
(1/2)O2+2H++2e−→H2O・・・(2)
H2+(1/2)O2→H2O・・・(3)
なお、図1では説明の便宜上、膜・電極接合体24、アノードガスチャンネル25およびカソードガスチャンネル26からなる単位セルの構造を模式的に図示しているが、実際には、上述したセパレータを介して複数の単位セル(セル群)が直列に接続したスタック構造を備えている。
本発明では、このような燃料電池の単位セルが複数スタックされている場合に、特定のセル、例えば端部に位置する単位セルにおいて、含水量が相対的に低くなる傾向にあることに鑑み、このような単位セルにおける開回路電圧の低下速度に基づき、含水量の適否を判断するものである。詳しくは後述する。
燃料電池システム10の冷却液供給系統3には、冷却液を循環させる冷却路31、燃料電池20から排水される冷却液の温度を検出する温度センサ32、冷却液の熱を外部に放熱するラジエータ(熱交換器)33、ラジエータ33へ流入する冷却液の水量を調整するバルブ34、冷却液を加圧して循環させる冷却液ポンプ35、燃料電池20に供給される冷却液の温度を検出する温度センサ36などが設けられている。
燃料電池システム10の燃料ガス供給系統4には、燃料ガス供給装置42からの燃料ガス(アノードガス)、例えば、水素ガスをアノードガスチャンネル25に供給するための燃料ガス流路40と、アノードガスチャンネル25から排気される燃料オフガスを燃料ガス流路40に循環させるための循環流路(循環経路)51が配管されており、これらのガス流路によって燃料ガス循環系統が構成されている。
燃料ガス流路40には、燃料ガス供給装置42からの燃料ガス流出を制御する遮断弁(元弁)43、燃料ガスの圧力を検出する圧力センサ44、循環経路51の燃料ガス圧力を調整する調整弁45、燃料電池20への燃料ガス供給を制御する遮断弁46が設置されている。
燃料ガス供給装置42は、例えば、高圧水素タンク、水素吸蔵合金、改質器などより構成される。循環流路51には、燃料電池20から循環流路51への燃料オフガス供給を制御する遮断弁52、燃料オフガスに含まれる水分を除去する気液分離器53および排出弁54、アノードガスチャンネル25を通過する際に、圧力損失を受けた燃料オフガスを圧縮して適度なガス圧まで昇圧させて、燃料ガス流路40に還流させる水素ポンプ(循環ポンプ)55、燃料ガス流路40の燃料ガスが循環流路51側に逆流するのを防止する逆流阻止弁56が設置されている。水素ポンプ55をモータによって駆動することで、水素ポンプ55の駆動による燃料オフガスは、燃料ガス流路40で燃料ガス供給装置42から供給される燃料ガスと合流した後、燃料電池20に供給されて再利用される。なお、水素ポンプ55には、水素ポンプ55の回転数を検出する回転数センサ57が設置されている。
また、循環流路51には、燃料電池20から排気された燃料オフガスを、希釈器(例えば水素濃度低減装置)62を介して車外に排気するための排気流路61が分岐して配管されている。排気流路61にはパージ弁63が設置されており、燃料オフガスの排気制御を行えるように構成されている。パージ弁63を開閉することで、燃料電池20内の循環を繰り返して、不純濃度が増加した燃料オフガスを外部に排出し、新規の燃料ガスを導入してセル電圧の低下を防止することができる。また、循環流路51の内圧に脈動を起こし、ガス流路に蓄積した水分を除去することもできる。
一方、燃料電池システム10の酸化ガス供給系統7には、カソードガスチャンネル26に酸化ガス(カソードガス)を供給するための酸化ガス流路71と、カソードガスチャンネル26から排気されるカソードオフガスを排気するためのカソードオフガス流路72が配管されている。酸化ガス流路71には、大気からエアを取り込むエアクリーナ74、および、取り込んだエアを圧縮し、圧縮したエアを酸化剤ガスとして、カソードガスチャンネル26に送給するエアコンプレッサ75が設定されており、エアコンプレッサ75には、エアコンプレッサ75の回転数を検出する回転数センサ73が設置されている。酸化ガス流路71とカソードオフガス流路72との間には湿度交換を行う加湿器76が設けられている。カソードオフガス流路72には、カソードオフガス流路72の排気圧力を調整する調圧弁77、カソードオフガス中の水分を除去する気液分離器64、カソードオフガスの排気音を吸収するマフラー65が設けられている。気液分離器64から排出されたカソードオフガスは分流され、一方は、希釈器62に流れ込み、希釈器62内に滞留する燃料オフガスと混合希釈され、また分流された他方のカソードオフガスは、マフラー65にて吸音され、希釈器62により混合希釈されたガスと混合されて、車外に排出される。
また、燃料電池システム10の電力系統9には、一次側にバッテリ91の出力端子が接続され、二次側に燃料電池20の出力端子が接続されたDC−DCコンバータ90、二次電池として余剰電力を蓄電するバッテリ91、バッテリ91の充電状況を監視するバッテリコンピュータ92、燃料電池20の負荷または駆動対象となる車両走行用モータ94に交流電力を供給するインバータ93、燃料電池システム10の各種高圧補機96に交流電力を供給するインバータ95、燃料電池20の出力電圧を測定する電圧センサ97、および出力電流を測定する電流センサ98が接続されている。
DC−DCコンバータ90は、燃料電池20の余剰電力または車両走行用モータ94への制動動作により発生する回生電力を電圧変換してバッテリ91に供給して充電させる。また、車両走行用モータ94の要求電力に対する、燃料電池20の発電電力の不足分を補填するため、DC−DCコンバータ90は、バッテリ91からの放電電力を電圧変換して二次側に出力する。
インバータ93および95は、直流電流を三相交流電流に変換して、車両走行用モータ94および高圧補機96にそれぞれ出力する。車両走行用モータ94には、モータ94の回転数を検出する回転数センサ99が設置されている。モータ94は、ディファレンシャルを介して車輪100が機械的に結合されており、モータ94の回転力を車両の推進力に変換可能となっている。
電圧センサ97および電流センサ98は、電力系統9に重畳された交流信号の電圧に対する電流の位相と振幅とに基づいて交流インピーダンスを測定するためのものである。交流インピーダンスは、燃料電池20の含水量に対応している。この交流インピーダンス測定によって測定される含水量は燃料電池20にスタックされている単位セル全体の平均的な含水量に対応している。
さらに、燃料電池システム10には、燃料電池12の発電を制御するための制御部80が設置されている。制御部80は、例えば、CPU(中央処理装置)、RAM、ROM、インターフェイス回路などを備えた汎用コンピュータで構成されており、温度センサ32、36、圧力センサ44、回転数センサ57、73、99からのセンサ信号や電圧センサ97、電流センサ98、イグニッションスイッチ82からの信号を取り込み、電池運転の状態、例えば、電力負荷に応じて各モータを駆動して、水素ポンプ55およびエアコンプレッサ75の回転数を調整し、さらに、各種の弁(バルブ)の開閉制御または弁開度の調整などを行うようになっている。
特に、制御部80は、電圧センサ97と電流センサ98を含む含水量測定部に対して、燃料電池全体の含水量の測定を指令し、燃料電池全体の含水量が不適正なときには掃気駆動部に対して掃気駆動を指令する。さらに制御部80は、燃料電池全体の含水量が適正であっても、電圧測定部101に対して、単位セルのうち含水量が相対的に多くなり易い特定の単位セルについて開回路電圧の測定を指令し、電圧測定部101の測定による開回路電圧の低下速度に基づいて、燃料電池20の含水量の適否を判断する判断部として動作するように構成されている。
すなわち、エアコンプレッサ75と水素ポンプ55を含む掃気駆動部を用いて掃気ガスを燃料電池20に供給して外部に排出する掃気処理を実施しても、燃料電池20を構成する単位セルの一部には水分が除去されず、含水量が多い状態になることがある。
例えば、図2に本実施形態における燃料電池20のスタック積層構造を示す。
図2に示すように、N個の単位セル102が、2列に分かれて配置され、一方の列に1チャネルの単位セル102からN/2チャネルの単位セル102までが配置され、他方の列に(N/2+1)チャネルの単位セル102からNチャネルの単位セル102までが配置されている。
図2に示すように、N個の単位セル102が、2列に分かれて配置され、一方の列に1チャネルの単位セル102からN/2チャネルの単位セル102までが配置され、他方の列に(N/2+1)チャネルの単位セル102からNチャネルの単位セル102までが配置されている。
図3に燃料電池2のセル毎の含水量の違いを示す。
上記のように積層された単位セル102に対して、エアコンプレッサ75と水素ポンプ55を用いて掃気ガスを供給して掃気処理を行っても、燃料電池20全体の含水量は、図3に示すように、含水量基準値Qth以下にあって適正な状態にあるが、端部に配置される特定の単位セル、例えば、1チャネルやNチャネルの単位セル102と、これらに近接して端部に配置された数個の単位セル102の含水量は含水量基準値Qth以上になることがある。
上記のように積層された単位セル102に対して、エアコンプレッサ75と水素ポンプ55を用いて掃気ガスを供給して掃気処理を行っても、燃料電池20全体の含水量は、図3に示すように、含水量基準値Qth以下にあって適正な状態にあるが、端部に配置される特定の単位セル、例えば、1チャネルやNチャネルの単位セル102と、これらに近接して端部に配置された数個の単位セル102の含水量は含水量基準値Qth以上になることがある。
すなわち、スタック内に配置されたセル群のうち掃気ガス導入口から離れた位置となる、端部に配置された単位セルには、掃気ガスが十分に供給されないことがあるので、掃気ガス導入口から離れた端部に配置される単位特定のセル102の含水量が含水量基準値Qth以上になる。
このため、本実施形態では、燃料電池全体の含水量が適正な状況下にあっても、セルのうち含水量が相対的に多くなり易い特定のセル(端部に配置される一部の単位セル102)102について開回路電圧を測定することとした。そして制御部80は、特定の単位セル102の開回路電圧が基準値に達するまでの時間を基に開回路電圧の低下速度を求め、開回路電圧の低下速度に基づいて、燃料電池20の含水量の適否を判断することとしている。
図4に、開回路電圧(OCV)と時間tとの関係から定まる開回路電圧低下曲線を示す。図4において、fOCV0は、含水量が含水量基準値Qthのときの開回路電圧低下曲線を示し、このとき開回路電圧(OCV)が基準値Vthに達する時間が基準時間tthとなる。fOCV1は含水量が含水量基準値Qth未満であって含水量が適正な範囲にあるときの開回路電圧低下曲線を示し、このとき開回路電圧(OCV)が基準値Vthに達する時間は基準時間tthよりも長く、時間t1となる。fOCV2は含水量が含水量基準値Qth以上であって、含水量が不適正な範囲にあるときの開回路電圧低下曲線を示し、このとき開回路電圧(OCV)が基準値Vthに達する時間は基準時間tthよりも短く、時間t2となる。
図4において、開回路電圧低下曲線fOCV0の開回路電圧低下曲線fOCV1側の領域Aは含水量が少ない(小さい)領域を示し、開回路電圧低下曲線fOCV2の開回路電圧低下曲線fOCV0側の領域Bは含水量が多い(大きい)領域を示す。すなわち、図4から、開回路電圧低下曲線が領域Bに属すよりも領域Aに属し、開回路電圧(OCV)の低下速度が速いほど含水量が少ない傾向にあることが分かる。
次に、図5のフローチャートにしたがって、制御部80の処理を説明する。
制御部80は、処理を開始するとともにタイマを起動し、タイマの計測値から含水量タイミングか否かを判定し(S10)、含水量測定タイミングでないときには(NO)このルーチンでの処理を終了し、含水量測定タイミングのときには(YES)含水量の測定を実施する(S11)。例えば、制御部80は、電圧センサ97と電流センサ98を含む含水量測定部を用いて、燃料電池20全体のインピーダンスを求め、燃料電池20全体のインピーダンスから燃料電池20全体の含水量を測定する。
制御部80は、処理を開始するとともにタイマを起動し、タイマの計測値から含水量タイミングか否かを判定し(S10)、含水量測定タイミングでないときには(NO)このルーチンでの処理を終了し、含水量測定タイミングのときには(YES)含水量の測定を実施する(S11)。例えば、制御部80は、電圧センサ97と電流センサ98を含む含水量測定部を用いて、燃料電池20全体のインピーダンスを求め、燃料電池20全体のインピーダンスから燃料電池20全体の含水量を測定する。
次に、制御部80は、含水量測定部の測定結果を基に燃料電池20全体の含水量が適正な範囲にあるか否かの判定を行い(S12)、適正と判断したときには(YES)、さらに含水量が相対的に多くなり易い特定の単位セル、例えば、1チャネルの単位セル102やNチャネルの単位セル102を含む端部セル102に対して、開回路電圧測定処理を実施する(S13)。すなわち、制御部80は、電圧測定部101に対して測定を指令し、端部セル102の開回路電圧(OCV)を測定するとともに、開回路電圧(OCV)が基準値Vthに達するまでの時間を測定し、測定した時間を基に開回路電圧(OCV)の低下速度を算出し、開回路電圧(OCV)が適正の範囲内にあるか否かを判定する(S14)。
例えば、開回路電圧(OCV)が基準値Vthに達するまでの時間が基準時間tthよりも長い場合には、制御部80は、開回路電圧(OCV)の低下速度が開回路電圧低下曲線fOCV0で規定される速度よりも遅く、開回路電圧(OCV)が適正な範囲にあると判定し(YES)、含水量が含水量基準値Qthよりも少なく、含水量が正常と判断し(S15)、このルーチンでの処理を終了する。
一方、開回路電圧(OCV)が基準値Vthに達するまでの時間が基準時間tthよりも短い場合には、制御部80は、開回路電圧(OCV)の低下速度が開回路電圧低下曲線fOCV0で規定される速度よりも速く、開回路電圧(OCV)が不適正な範囲にあると判定し(NO)、含水量が含水量基準値Qthよりも多く、含水量が異常と判断する。
ステップS12で燃料電池全体の含水量が適正範囲ではないと判断したとき(NO)、およびステップS14で含水量が異常と判断したとき(NO)には、制御部80は、エアコンプレッサ75と水素ポンプ55を含む掃気駆動部に対して、掃気駆動を指令し、エアコンプレッサ75と水素ポンプ55の駆動による掃気ガスを燃料電池20に供給して外部に排出する掃気処理を実施し(S16)、このルーチンでの処理を終了する。
以上、本実施形態によれば、燃料電池20に対して電圧センサ97、電流センサ98を用いてインピーダンスを測定し、このインピーダンスから燃料電池20全体の含水量を測定し、燃料電池20全体の含水量が適正であっても、単位セルのうち含水量が相対的に多くなり易い特定の端部セル102に対して、電圧測定部101を用いて開回路電圧(OCV)を測定し、特定の端部セル102の開回路電圧(OCV)の低下速度を基に燃料電池20の含水量の適否を判断するようにしたため、燃料電池20全体の含水量が適正な状況下にあっても、特定の端部セル102の含水量が過多のまま放置されるのを防止することができ、燃料電池20の始動を確実に行うことが可能になる。
また、本実施形態によれば、燃料電池20の含水量が不適正であるときには、燃料電池20に掃気ガスを供給して外部に排出する掃気処理を実施するようにしているため、燃料電池20の含水量が不適正なままで放置されるのを防止することができる。
(変形例)
本発明は上記実施形態に限定されることなく種々に変形して実行可能である。
例えば、上記実施形態では、制御部80が単位セルの開回路電圧の低下速度に基づいて特定のセルの含水量を判定していたが、特定のセルの含水量に対応する物理量なら、開回路電圧の低下速度に限定されずに用いることが可能である。例えば、開回路電圧を用いる場合でも一定の基準値に達するまでの経過時間は開回路電圧の低下速度に直接対応しているため、低下速度を演算することなく測定された経過時間のみに従って特定のセルの含水量を判定可能である。
本発明は上記実施形態に限定されることなく種々に変形して実行可能である。
例えば、上記実施形態では、制御部80が単位セルの開回路電圧の低下速度に基づいて特定のセルの含水量を判定していたが、特定のセルの含水量に対応する物理量なら、開回路電圧の低下速度に限定されずに用いることが可能である。例えば、開回路電圧を用いる場合でも一定の基準値に達するまでの経過時間は開回路電圧の低下速度に直接対応しているため、低下速度を演算することなく測定された経過時間のみに従って特定のセルの含水量を判定可能である。
10 燃料電池システム、20 燃料電池、40 燃料ガス流路、55 水素ポンプ、71 酸化ガス流路、80 制御部、101 電圧測定部、102 単位セル
Claims (4)
- セルが積層された燃料電池を備えた燃料電池システムにおいて、
該セルのうち含水量が相対的に多くなり易い特定のセルについて開回路電圧を測定する電圧測定部と、
該電圧測定部の測定による開回路電圧の低下速度に基づいて、該燃料電池の含水量の適否を判断する判断部と、を備える
ことを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、
前記判断部は、前記電圧測定部の測定による開回路電圧が基準値に達するまでの時間を基に前記開回路電圧の低下速度を求める、燃料電池システム。 - 請求項1または2に記載の燃料電池システムにおいて、
前記判断部から前記燃料電池の含水量が不適正であるとの判断結果が出力されたときに、前記燃料電池に掃気ガスを供給して外部に排出する掃気処理を実施する掃気駆動部を備える、燃料電池システム。 - 請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、
前記燃料電池全体の含水量を測定する含水量測定部を備え、
前記電圧測定部は、前記含水量測定部の測定結果が適正であることを条件に前記特定のセルについての開回路電圧を測定する、燃料電池システム。
Priority Applications (1)
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JP2007124487A JP2008282616A (ja) | 2007-05-09 | 2007-05-09 | 燃料電池システム |
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2007
- 2007-05-09 JP JP2007124487A patent/JP2008282616A/ja active Pending
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JP5459223B2 (ja) * | 2008-12-26 | 2014-04-02 | トヨタ自動車株式会社 | 燃料電池システム |
US8691458B2 (en) | 2008-12-26 | 2014-04-08 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Fuel cell system |
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