JP2008281661A - ホログラフィック記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的厚い記録層を有するボリュームホログラフィック記録媒体を効率的に製造し得る手段を提供すること。
【解決手段】少なくとも、第一基板、記録層、および第二基板をこの順に有するホログラフィック記録媒体の製造方法。第一基板と第二基板との間に、熱可塑性を有するホログラフィック記録用組成物を配置し、基板間に配置されたホログラフィック記録用組成物を、基板を介して熱圧することにより記録層を形成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ホログラフィを利用して情報を記録するホログラフィック記録媒体の製造方法に関する。より詳しくは、比較的厚い記録層を有する体積型ホログラフィック記録媒体の製造方法に関する。
従来より、ホログラフの原理を用いたホログラフィック光記録媒体の開発が進められてきた。ホログラフィック光記録媒体への情報の記録は、イメージ情報を含んだ情報光と参照光とを感光性組成物からなる記録層中で重ね合わせ、そのときにできる干渉縞を記録層に書き込むことによって行われる。一方、情報の再生時には、情報が記録された記録層に所定の角度で参照光を入射させることにより、形成された干渉縞による参照光の光回折が起こり、情報光が再生される。
ホログラフィック記録媒体としては、膜厚が干渉縞間隔の5倍以下程度または1μm以下程度のホログラムを平面型または表面型ホログラフィが知られている。また、近年、超高密度光記録のため、ボリューム(体積型)ホログラフィ、特にデジタルボリュームホログラフィが実用域で開発され、注目を集めている。ボリュームホログラフィとは、光記録媒体の厚み方向も積極的に活用して、三次元的に干渉縞を書き込む方式であり、厚みを増すことで回折効率を高め、多重記録を用いて記録容量の増大を図ることができるという特長がある。そして、デジタルボリュームホログラフィとは、ボリュームホログラフィと同様の記録媒体と記録方式を用いつつも、記録するイメージ情報は2値化したデジタルパターンに限定した、コンピュータ指向のホログラフィック記録方式である。このデジタルボリュームホログラフィでは、例えば、アナログ的な絵のような画像情報も、一旦デジタイズして、二次元デジタルパターン情報に展開し、これをイメージ情報として記録する。再生時は、このデジタルパターン情報を読み出してデコードすることで、元の画像情報に戻して表示する。これにより、再生時にS/N比(信号対雑音比)が多少悪くても、微分検出を行ったり、2値化データをコード化してエラー訂正を行ったりすることで、極めて忠実に元の情報を再現することが可能になる(特許文献1参照)。
上記ボリュームホログラフィは、通常、平面型または表面型ホログラフィと比べて膜厚が厚い。特許文献2には、このように比較的厚い記録層を有するホログラフィック記録媒体の製造方法として、イソシアネートを含有する記録用組成物を2枚の基板の間に流し込み熱硬化させて記録層を成膜する方法が開示されている。しかし、この方法は熱硬化反応を利用するため、成膜に比較的時間がかかる。そのため、製造効率の点で更なる改善が求められていた。
特開平11−311936号公報 特開2006−301127号公報
そこで、本発明の目的は、比較的厚い記録層を有するボリュームホログラフィック記録媒体を効率的に製造し得る手段を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、記録層形成用組成物として熱可塑性組成物を用い、この組成物をホットプレス法によって成膜することにより、比較的厚いボリュームホログラフィ用記録層を簡便かつ効率的に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記目的は、下記手段によって達成された。
[1]少なくとも、第一基板、記録層、および第二基板をこの順に有するホログラフィック記録媒体の製造方法であって、
第一基板と第二基板との間に、熱可塑性を有するホログラフィック記録用組成物を配置し、
基板間に配置されたホログラフィック記録用組成物を、基板を介して熱圧することにより記録層を形成することを特徴とするホログラフィック記録媒体の製造方法。
[2]第一基板と第二基板との間に配置されるホログラフィック記録用組成物は、ペレット状、粒状、または粉末状である[1]に記載のホログラフィック記録媒体の製造方法。
[3]第一基板および第二基板の少なくとも一方は、形成される記録層の厚さを規定するためのスペーサーを有する[1]または[2]に記載のホログラフィック記録媒体の製造方法。
[4]スペーサーの厚さ±10%の厚さを有する記録層を形成する[3]に記載のホログラフィック記録媒体の製造方法。
[5]100〜1,000μmの範囲の厚さを有する記録層を形成する[1]〜[4]のいずれかに記載のホログラフィック記録媒体の製造方法。
[6]熱圧時の温度は、100℃以上である[1]〜[5]のいずれかに記載のホログラフィック記録媒体の製造方法。
[7]熱圧時の圧力は、3.5kg/cm2以上である[1]〜[6]のいずれかに記載のホログラフィック記録媒体の製造方法。
[8]熱圧は、90秒以下の時間内に行われる[1]〜[7]のいずれかに記載のホログラフィック記録媒体の製造方法。
[9]ホログラフィック記録用組成物は、少なくとも熱可塑性樹脂および記録用化合物を含有する[1]〜[8]のいずれかに記載のホログラフィック記録媒体の製造方法。
[10]熱可塑性樹脂は、三次元架橋構造を有するポリマーである[9]に記載のホログラフィック記録媒体の製造方法。
[11]三次元架橋構造を有するポリマーは、アイオノマー樹脂である[10]に記載のホログラフィック記録媒体の製造方法。
本発明によれば、ホログラフィック記録媒体、特にボリュームホログラフィック記録媒体の記録層の成膜時間を短縮し製造適性を改善することができる。
本発明は、少なくとも、第一基板、記録層、および第二基板をこの順に有するホログラフィック記録媒体の製造方法に関する。前記製造方法では、第一基板と第二基板との間に、熱可塑性を有するホログラフィック記録用組成物を配置し、基板間に配置されたホログラフィック記録用組成物を、基板を介して熱圧することにより記録層を形成する。
例えば前述の特開2006−301127号公報のように熱硬化性組成物を記録層形成用組成物として使用すると、成膜時に硬化反応を行う必要がある。特に比較的厚い膜厚の記録層を形成する場合には、硬化反応に時間がかかることにより成膜工程が長時間に及ぶこととなる。これに対し、本発明のホログラフィック記録媒体の製造方法では、記録層形成用組成物として熱可塑性組成物を使用する。熱可塑性組成物を使用することにより、いわゆるホットプレス法によって組成物を塑性変形させることにより簡便かつ短時間で記録層を形成することが可能になる。なお、ホログラフィック記録とは、情報を含んだ情報光と参照光とを記録層中で重ね合わせ、そのときにできる干渉像を記録層に書き込むことによって情報を記録する情報記録方法であり、ボリュームホログラフィック記録とは、ホログラフィック記録のなかでも記録層に三次元的に干渉像を書き込む情報記録方法である。
以下に、前記ホログラフィック記録用組成物(以下、単に「組成物」ともいう)について詳細に説明する。
熱可塑性を有するホログラフィック記録用組成物
本発明において「ホログラフィック記録用組成物」とは、少なくともバインダーとホログラフィック記録可能な記録用化合物を含むものである。バインダーとして熱可塑性樹脂を使用することにより、ホログラフィック記録用組成物へ熱可塑性を付与することができる。記録層形成用組成物として熱可塑性樹脂組成物を使用することにより、基板間で熱圧処理することにより記録層を簡便かつ短時間で形成することができる。
以下に、ホログラフィック記録用組成物に含まれる各成分について説明する。
(i)熱可塑性樹脂
前記熱可塑性樹脂としては、線形のポリマーを使用することもできるが、記録保持性の点からは、三次元架橋構造を有するポリマーを用いることが好ましい。また、三次元架橋構造を有するポリマーは、重合反応により三次元構造を形成するポリマーでもよいが、面内乃至厚み方向の均一性の点では、非重合性相互作用により三次元架橋構造を形成するポリマーであることが好ましい。ここで、「非重合性相互作用により三次元架橋構造を形成する」とは、重合反応によらずに三次元架橋構造を形成することを意味する。
なお、ポリマーが三次元架橋構造を有することは、二価以上のイオン基を有するポリマーを使用した場合には、例えば、前記ポリマーを大過剰の溶液に添加した際に、膨潤させることができても完全に溶解させることができないことから確認できる。また、結晶構造領域またはイオン会合体領域を有するポリマーの場合には、例えば、微小な結晶領域またはイオン会合体領域が固体中で架橋点となるので、その存在をX線回折で確認することができる。
前記非重合性相互作用による三次元架橋構造を形成するポリマーとしては、(A)イオン性基を有し、該イオン性基により、対イオンと共に塩を形成したポリマー、(B)結晶構造を有するポリマーが挙げられる。以下に、上記(A)および(B)のポリマーについて説明する。
(A)イオン性基を有し、該イオン性基により、対イオンと共に塩を形成したポリマー
前記イオン性基を有し、該イオン性基により、対イオンと共に塩を形成したポリマーにおける、対イオンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、遷移金属イオン、有機アンモニウムイオン、遷移金属−有機アミン錯イオン、異種高分子鎖間の結合、陰イオンなどが挙げられる。
前記アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンとしては、例えば、Li+、Na+、Rb+、Cs+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+などが挙げられる。また、前記アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンには該当しないが、Al3+も用いることができる。
前記遷移金属イオンとしては、例えば、Zn2+、Cu2+、Mn2+、Ni2+、Co2+などが挙げられる。
前記有機アンモニウムイオンとしては、例えは、NH4 +、NHmRn+(m+n=4)、下記構造式で表されるイオンなどが挙げられる。
前記遷移金属−有機アミン錯イオンとしては、例えば、〔MRn〕2+などが挙げられる。前記Mは、2価のZn、Cu、Mn、または5価のCoのいずれかを表し、Rはアルキルアミンを表し、nは配位数を表す。
前記陰イオンとしては、例えば、Cl-、Br-、I-などが挙げられる。
これらの対イオンの中でも、安定性の観点からは、Na+、Zn2+が一般的である。
前記イオン性基を有し、該イオン性基により、対イオンと共に塩を形成したポリマーとしては、例えば、アイオノマー樹脂が挙げられる。「アイオノマー樹脂」とは、ポリマー鎖にイオン基を導入したイオン性樹脂を意味する。
前記アイオノマー樹脂は、疎水性のマトリックス中で親水性イオン基が凝集し、ミクロ相分離を起こし、マルチプレットあるいはイオン会合体のようなイオン凝集体を形成し、このイオン凝集体が強い架橋点となり、三次元架橋体を形成すると考えられている。
前記アイオノマー樹脂としては、例えば、エチレン系アイオノマー樹脂、スチレン系アイオノマー樹脂、パーフルオロカーボン系アイオノマー樹脂、テレケリックアイオノマー樹脂、ポリウレタンアイオノマー樹脂などが挙げられる。これらの中でも、成形性、熱接着性、安全性等に優れる観点から、エチレン系アイオノマー樹脂が好ましい。
前記エチレン系アイオノマー樹脂としては、例えば、エチレン−メタアクリル酸共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂などが挙げられる。なお、本発明では、「メタクリル、アクリル」の双方あるいはいずれかを指す場合、「(メタ)アクリル」と表記することがある。
前記エチレン−メタアクリル酸共重合体樹脂の市販品としては、例えば、エチレン−メタアクリル酸共重合体亜鉛塩(メタアクリル酸15質量%、融点73℃、軟化点61℃、溶融粘度14g/10分:Aldrich社製,426660)、Surlyn(DuPont社製)、Hi−Milan(三井・デュポンポリケミカル社製)などが好適に挙げられる。
前記スチレン系アイオノマー樹脂としては、例えば、スチレン−メタクリル酸共重合体樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体樹脂、スチレン−カルボン酸共重合体樹脂などが挙げられる。
前記パーフルオロ系アイオノマー樹脂としては、例えば、市販品として、Nafion(DuPont社製)、Asiplex(旭化成社製)、Flemion(旭硝子社製)、PFSI(Dow Chemical社製)などが挙げられる。
前記テレケリックアイオノマー樹脂としては、例えは、α,ω−ジカルボン酸テレケリックポリブタジエンなどが挙げられる。
前記α,ω−ジカルボン酸テレケリックポリブタジエンの市販品としては、例えば、Hycar(BFGoodrich社製)などが挙げられる。
(B)結晶構造を有するポリマー
前記結晶構造を有するポリマーは、分子内の結晶を構成する構造同士が当接することにより、結晶状に三次元架橋構造を形成すると考えられている。
前記結晶構造を有するポリマーにおける、前記結晶構造としては、高い結晶性を有する観点から、例えばエチレンが好適に挙げられる。
したがって、前記結晶構造を有するポリマーとしては、例えばエチレン共重合体樹脂が好適に挙げられる。
前記エチレン共重合体樹脂としては、結晶を小さくできる観点から、例えば、エチレン−カルボン酸共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂が好ましい。
前記エチレン−カルボン酸共重合体樹脂としては、例えば、市販品として、エチレン−メタクリル酸共重合体(メタアクリル酸15質量%、軟化点62℃、溶融粘度60g/10分:Aldrich社製、426628)、エチレン−アクリル酸共重合体(アクリル酸15質量%、融点87℃:Aldrich社製、448672)などが挙げられる。
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル40質量%、融点110〜120℃:Aldrich社製、340502)、エバテート、スミテート(いずれも住友化学社製)などが挙げられる。
前記結晶構造を有するポリマーの分子量は、例えば、質量平均分子量で、1,000〜1,000,000が好ましく、5,000〜500,000がより好ましい。
前記熱可塑性樹脂の熱可塑性樹脂組成物中の含有量は、組成物の全固形分中、10〜98質量%の範囲であることが好ましく、35〜95質量%の範囲であることがより好ましい。前記含有量が10質量%以上であれば、前記組成物から形成された記録層にホログラム像を記録した後のホログラム像の経時安定性が高く、98質量%以下であれば、記録されたホログラム像の回析効率が高く良好な記録特性を得ることができる。
(ii)記録用化合物
記録用化合物としては、光照射により干渉縞を屈折率変調として記録することが可能な化合物であればよく、記録方式に応じて選択することができる。重合反応を利用するフォトポリマー方式の記録方式用のホログラフィック記録媒体を製造する場合は記録用化合物として、重合性化合物を使用する。本発明の製造方法では、ホログラム露光前の熱圧よりバインダーマトリックスを形成することができるため、ホログラム露光により重合性化合物が拡散重合して形成された重合体の記録層内での移動を防止させることができる。そのため、本発明の製造方法は、フォトポリマー方式のホログラフィック記録媒体の製造方法として好適である。
本発明において「重合性」とは、光照射、放射線照射、加熱、ラジカル開始剤の使用等により重合可能であることをいう。暗反応が進行しないという点で、ラジカル重合性であることが好ましい。
ホログラフィック記録媒体にした際の基材との密着やバインダー(熱可塑性樹脂)との相溶性などを考慮すると、分子内にアシルオキシ基またはアシルアミド基を有する化合物が好ましく、更にラジカル重合する際の立体障害の点から(メタ)アクリロイル基を有する化合物がより好ましい。なお、本発明でいう(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。
前記(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を1個有する化合物としてフェノール、ノニルフェノールおよび2−エチルヘキサノールの(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、並びにこれらのアルコールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートや(メタ)アクリルアミド、などが挙げられる。
前記(メタ)アクリロイル基を2個有する化合物としては、ビスフェノールA、イソシアヌル酸およびフルオレンのジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、並びにこれらのアルコールのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールやプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、などが挙げられる。
前記(メタ)アクリロイル基を3個有する化合物としては、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンおよびイソシアヌル酸のトリ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリルアミド、並びにこれらのアルコールのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリルアミド、などが挙げられる。
前記(メタ)アクリロイル基を4個以上有する化合物としては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド、などが挙げられる。
また、ウレタン結合を主鎖とするウレタンアクリレート、エステル結合を主鎖とするポリエステルアクリレート、エポキシ化合物にアクリル酸を付加したエポキシ(メタ)アクリレート等の従来公知のアクリルまたはアクリルアミド系モノマー・オリゴマーなども本発明においては適時選択して用いることができる。
なお、前記複数個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物においては(メタ)アクリレート単独または(メタ)アクリルアミドを単独に有していてもよいし、(メタ)アクリレートと(メタ)アクリルアミドを有した化合物であってもよい。
また、前記熱可塑性樹脂として三次元架橋構造を有するポリマー(以下、「バインダーマトリックス」または「三次元ポリマーマトリックス」と称することもある。)を使用する場合、該ポリマーに対して、拡散重合で得られるエチレン性二重結合を有する重合性モノマーの重合体との屈折率差をより顕著に持たせるためには、該重合性モノマーの屈折率として、前記バインダーおよび/または架橋剤よりも高いものを用いるか、或いは低いものを用いることが好ましい。特に、前記バインダー化合物および/または架橋剤の屈折率が、1.47前後の化合物を用いる場合には、重合性モノマーとしては、1.52以上の化合物を用いることが、高屈折率の重合性モノマーの重合体が得られることから好ましい。
前記重合性モノマーとしては、具体的には、例えば、アクリロイルモルホリン、フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールプロピレンオキサイド(PO)変性ジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、2−ナフト−1−オキシエチルアクリレート、2−カルバゾイル−9−イルエチルアクリレート、(トリメチルシリルオキシ)ジメチルシリルプロピルアクリレート、ビニル−1−ナフトエート、N−ビニルカルバゾール、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート、EO変性トリブロモフェニルアクリレート、ペンタブロムフェニルアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、スチレンなどが好適に挙げられる。
これらの重合性モノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの重合性モノマーの組成物中における含有量としては、全固形分中、2〜80質量%が好ましく、2〜70質量%がより好ましく、3〜20質量%が特に好ましい。前記含有量が、2質量%以上であれば、十分な回析効率を得ることができ、80質量%以下であれば、ホログラム記録時に良好な解像度を得ることができ、記録密度を向上させることができる。
(iii)重合開始剤
記録用化合物として重合性化合物を使用する場合、通常、重合開始剤、好ましくは光重合開始剤が併用される。光重合開始剤としては、光によって化学反応を起こす開始種になり得るものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
具体的には、例えば、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビイミダゾール、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、ベンゾイン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−2−オン、ベンゾフェノン、チオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルアシルホスフィンオキシド、トリフェニルブチルボレートテトラエチルアンモニウム、ビス(η−5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)〕フェニルチタニウム、特開2005−49608号公報記載の光吸収部と遊離基を発生する活性部を分子内に有する化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合開始剤の組成物中における含有量は、全固形分中、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。前記含有量が、0.01質量%以上であれば、良好な光感度および多重記録特性を得ることができる。但し、重合開始剤が過剰であると、保存時に結晶析出を生じるなど光散乱を発生し、記録の読み取りを悪化させることがある。この点から、重合開始剤の含有量は20質量%以下とすることが好ましい。
(iv)増感色素
前記組成物は、増感色素を併用してもよい。増感色素は、記録時に照射する光の波長に合わせて選択することが好ましい。
前記増感剤としては、例えば、メロシアニン色素、シアニン色素、スクアリウム色素、ジベンジルアセトン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン系色素、若しくは、アクリジニウム色素、または、チオキサントン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、アクリジン、カルバゾール、フェノチアジンの誘導体などが挙げられる。
前記増感色素は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。ホログラフィック記録媒体における記録層は、記録波長光の透過率が10〜99%であることが好ましく、20〜95%であることがより好ましく、30〜90%であることが更に好ましく、40〜85%であることが、回折効率、感度、記録密度(多重度)の点で最も好ましい。従って上記透過率の記録層が得られるように、記録層の膜厚に合わせて増感色素の記録波長における添加モル濃度を調整することが好ましい。
(v)添加剤
前記組成物には、記録層の貯蔵安定性を改良する目的でフォトポリマーの重合禁止剤や酸化防止剤を加えてもよい。前記重合禁止剤、酸化防止剤としては例えば、ハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−ターシヤリ−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシヤリ−ブチルフェノール)、トリフェルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト,フェノチアジン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、などが挙げられる。
前記添加剤の添加量は、良好な記録性能を維持するためには、組成物中の記録用化合物(例えば重合性モノマー)の全量に対して、3質量%以下とすることが好ましい。
また、これら以外にも、記録後の熱収縮を防止する目的で熱膨張剤、記録用組成物調製時の液粘度を調整するための可塑剤または熱溶融性化合物などを必要に応じて適時選択して用いてもよい。
前記組成物は、熱可塑性樹脂および記録材料、更に必要に応じて添加される各種成分を混合することにより調製することができる。前記組成物は、基板間に配置できる形状であればよくペレット状、粒状、粉末状等のいずれの形状であってもよい。
特に熱可塑性樹脂として三次元架橋構造を有するポリマーを使用すると、ペレット状、粒状または粉末状への作製が容易である。具体的には、ポリマー(バインダー)以外の成分を溶媒に混合し、溶解した後、前記バインダーを添加し、室温にて攪拌を行う。三次元架橋構造を有するポリマーは、溶媒にて溶解乃至膨潤することができる。溶解できないポリマーは、膨潤した状態で攪拌を行い、ポリマー(ペレット状、粒状または粉末状)内部に平衡に達するまで記録用化合物等の各種成分を含浸させる。その後、平衡に達したポリマー(ペレット状、粒状または粉末状)より溶媒を除去し、更に乾燥した上で、得られた組成物を粉砕し、ペレット状、粒状または粉末状の組成物を得ることができる。前記溶媒としては、使用するポリマーを溶解乃至膨潤できるものから選択すればよく、例えばテトラヒドロフラン等を用いることができる。なお、本発明において「ペレット状」とは、32℃における粘度が2,000mPa・s以上であり、室温(例えば23℃程度)状態ではガラス状態で接着しないことを意味する。前記粘度は、例えば、粘弾性測定装置(レオメータ)DAR−50(レオロジカインスツルメンツ社製)を用いて測定することができる。
次に、前記組成物を使用して記録層を形成する方法について説明する。
まず、第一基板と第二基板との間に、例えばペレット状の組成物を配置する。基板間に配置する組成物の量は所望の膜厚に応じて決定すればよい。
前記基板としては、ガラスが一般的に用いられるが、ガラス以外にも、データ記録に用いる照射光に透明な他の材料、例えばポリカーボネート、ポリ(メチルメタクリレート)、環状オレフィン系開環重合物等のプラスチックを用いることもできる。前記基板は、公知の方法により成形したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。本発明の製造方法では、熱圧時に基板に熱および圧力が加わるため耐熱性および強度の高い基板を使用することが好ましい。この点で好適な基板としては、ガラス基板およびポリカーボネート基板を挙げることができる。
前記基板としては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記形状としては、例えば、ディスク形状、カード形状などが挙げられる。また、記録および再生に用いる光が基板を通して入射する場合は、用いる光の波長領域で十分に透明である基板を使用することが好ましい。
また、第一基板および第二基板の少なくとも一方は、組成物が配置される側の表面(即ち媒体の状態で記録層側となる表面)にサーボピットパターンを有することが好ましい。更に、サーボピットパターン上に反射層が形成されていることが好ましい。
通常、基板には、半径方向に線状に延びる複数の位置決め領域としてのアドレス−サーボエリアが所定の角度間隔で設けられ、隣り合うアドレス−サーボエリア間の扇形の区間がデータエリアになっている。アドレス−サーボエリアには、サンプルドサーボ方式によってフォーカスサーボおよびトラッキングサーボを行うための情報とアドレス情報とが、予めエンボスピット(サーボピット)等によって記録されている(プリフォーマット)。なお、フォーカスサーボは、反射層を用いて行うことができる。トラッキングサーボを行うための情報としては、例えば、ウォブルピットを用いることができる。なお、ホログラフィック記録媒体がカード形状の場合には、サーボピットパターンは無くても構わない。
前記基板の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜5mmが好ましく、0.3〜2mmがより好ましい。基板の厚みが、0.1mm以上であれば、ディスク保存時に形状に歪みが生じることがなく、5mm以下であれば、ディスク全体の重量が大きくなってドライブモーターに過剰な負荷をかけることを回避することができる。
前述のサーボピットパターン表面に形成される反射層の材料としては、記録光や参照光に対して高い反射率を有する材料を用いることが好ましい。使用する光の波長が400〜780nmである場合には、例えば、Al、Al合金、Ag、Ag合金、などを使用することが好ましい。使用する光の波長が650nm以上である場合には、Al、Al合金、Ag、Ag合金、Au、Cu合金、TiN、などを使用することが好ましい。
なお、前記反射層として、光を反射すると共に、追記および消去のいずれかが可能なホログラフィック記録媒体、例えば、DVD(ディジタル ビデオ ディスク)を使用すれば、ホログラムをどのエリアまで記録したか、いつ書き換えたか、どの部分にエラーが存在し交替処理をどのように行ったか、などのディレクトリ情報などをホログラムに影響を与えずに追記および書き換えすることが可能となる。
前記反射層の形成方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、各種気相成長法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などを用いることができる。これらの中でも、スパッタリング法が、量産性、膜質等の点で優れている。前記反射層の厚さは、十分な反射率を実現し得るように、50nm以上とすることが好ましく、100nm以上とすることがより好ましい。
また、二枚の基板の間に、ホログラム記録媒層を所望の厚みで形成するために、形成される記録層の厚みを規定するためのスペーサー(例えばリング状)を配置してもよい。または、第一基板および第二基板の少なくとも一方が、形成される記録層の厚さを規定するためのスペーサーを有していてもよい。この場合、熱圧時に下側基板となる基板がスペーサーを有することが好ましい。
図1に、スペーサーを有する下側基板の一例を示す。図1に示す下側基板102は、内周スペーサー103と外周スペーサー104を有する。これらスペーサーは接着剤で下側牙に貼り付けることができる。スペーサー103と104に囲まれる部分に、凹部106が形成される。この凹部106に組成物を配置すればよい。凹部106に組成物を配置した状態の下側基板の概略断面図を図2に示す。その後、図3に示すように、下側基板と同形状のセンターホールを有する上側基板を、下側基板上に押し付け熱圧することにより基板間の組成物を塑性変形により膜状に変形させ記録層を形成することができる。
図4に熱圧の説明図を示す。基板間に配置された熱可塑性樹脂への加熱および図4に示すように、組成物への加圧は、組成物を間に配置した2枚の基板を加熱したプレッサーにより圧縮することによって行うことができる。
前記熱圧時の温度は、組成物が塑性変形可能な温度であればよく、例えば76℃以上とすることができる。なお、熱圧時の温度とは、熱圧時の基板および/または組成物の温度をいうものとする。また、スペーサーにより膜厚を規定する場合、加熱温度を100℃以上とすることが好ましい。これにより、短時間でスペーサーの厚さ(記録層厚の設計値に相当)と形成される記録層との厚さの誤差を小さくし所望の厚さの記録層を形成することができる。熱圧時の温度は、より好ましくは110〜120℃とすることができる。更に、熱圧時、基板温度を維持するために、熱圧を行う雰囲気温度を昇温してもよい。
また、形成される記録層のスペーサーの厚さに対する誤差は±10%の範囲内とすることが好ましい。また、製造効率向上のためには熱圧は90秒以内に行うことが好ましい。
また、熱圧時の圧力も組成物が塑性変形可能な圧力であればよく、例えば1.5kg/cm2(1.47×10-1MPa)以上とすることができる。また、スペーサーにより膜厚を規定する場合、熱圧時の圧力を3.5kg/cm2(3.43×10-1MPa)以上とすることが好ましい。これにより、スペーサーの厚さ(記録層厚の設計値に相当)と形成される記録層との厚さの誤差を小さくし所望の厚さの記録層を形成することができる。熱圧時の圧力は、より好ましくは4.0〜4.5kg/cm2(3.92×10-1〜4.41×10-1MPa)とすることができる。
気泡混入防止の点から、熱圧を行う雰囲気は減圧下とすることが好ましい。具体的には、100kPa以下の雰囲気下で熱圧を行うことが好ましく、1kPa〜10kPaの雰囲気下で熱圧を行うことが好ましい。
形成される記録層は、ホログラフィを利用して情報が記録され得るものであり、所定の波長の電磁波を照射すると、その強度に応じて吸光係数や屈折率などの光学特性が変化し得るものである。形成される記録層の厚みとしては、1〜5,000μmが好ましい。記録層の厚みが1μm以上であれば、多重記録により高い記録容量を得ることができ、5,000μm以下であれば、ホログラフィック記録媒体の散乱によりS/N比が悪化することを回避することができる。特に記録層の厚さが100〜1,000μmであればボリュームホログラフィに好適であり、10〜数百多重といった多重記録を行っても、十分なS/N比を得ることができる。
本発明の製造方法により製造されるホログラフィック記録媒体は、少なくとも第一基板、記録層および第二基板をこの順に有し、更に波長選択反射層、第1ギャップ層、第2ギャップ層、などのその他の層を有することができる。
以下、本発明の製造方法により製造されるホログラフィック記録媒体が任意に有し得る各層について説明する。なお、以下の説明において、上側基板とは2枚の基板の中で記録および再生のために照射される光の入射側の基板をいい、他方の基板を下側基板という。
波長選択反射層
波長選択反射層は、入射角が変化しても選択反射波長にずれが生じることなく、情報光および参照光による光記録媒体の反射膜からの乱反射を防止し、ノイズの発生を防止する機能があり、通常、記録層と下側基板との間に配置される。波長選択反射層を設けることにより、高解像度かつ高回折効率の光記録を行うことができる。
波長選択反射層の機能は、第一の波長の光を透過し、該第一の波長の光と異なる第二の波長の光を反射することが好ましく、前記第一の波長の光が350〜600nmであり、かつ第二の波長の光が600〜900nmであることが好ましい。そのためには、光学系側(光の入射側)から見て、記録層、波長選択反射層、およびサーボビットパターンの順に積層されていることが好ましい。
また、前記波長選択反射層は、入射角度±40°における655nmでの光透過率が50%以上であることが好ましく、80%以上であることが更に好ましく、かつ532nmでの光反射率が30%以上であることが好ましく、40%以上であることが更に好ましい。
前記波長選択反射層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、誘電体蒸着層、単層または2層以上のコレステリック層、更に必要に応じてその他の層の積層体により形成される。また色材含有層を有していてもよい。色材含有層については特開2007−102185号公報を参考にできる。
前記波長選択反射層は、基板上に塗布などにより積層してもよく、フィルムなどの基材上に積層して光記録媒体用フィルタを作製し、この光記録媒体用フィルタを基板上に積層してもよい。
誘電体蒸着層(ダイクロイックミラー層)
前記誘電体蒸着層は、互いに屈折率の異なる誘電体薄膜を複数層積層して形成されるものである。波長選択反射膜とするためには、高屈折率の誘電体薄膜と低屈折率の誘電体薄膜とを交互に複数層積層することが好ましいが、2種以上に限定されず、それ以上の種類であってもよい。また色材含有層を設ける場合は、誘電体蒸着層の下に形成する。
前記積層数は、2〜50層が好ましく、4〜20層が更に好ましく、6〜15層が特に好ましい。前記積層数が、50層を超えると、多層蒸着により生産効率性が低下し、本発明の目的および効果を達成できなくなることがある。
前記誘電体薄膜の積層順については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、隣接する膜の屈折率が高い場合にはそれより低い屈折率の膜を最初に積層する。その逆に隣接する層の屈折率が低い場合にはそれより高い屈折率の膜を最初に積層する。前記屈折率が高いか低いかを決めるしきい値としては1.8が好ましい。なお、屈折率が高いか低いかは絶対的なものではなく、高屈折率の材料の中でも、相対的に屈折率の大きいものと小さいものとが存在してもよく、これらを交互に使用してもよい。
前記高屈折率の誘電体薄膜の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Sb23、Sb23、Bi23、CeO2、CeF3、HfO2、La23、Nd23、Pr611、Sc23、SiO、Ta25、TiO2、TlCl、Y23、ZnSe、ZnS、ZrO2などが挙げられる。これらの中でも、Bi23、CeO2、CeF3、HfO2、SiO、Ta25、TiO2、Y23、ZnSe、ZnS、ZrO2が好ましく、これらの中でも、SiO、Ta25、TiO2、Y23、ZnSe、ZnS、ZrO2がより好ましい。
前記低屈折率の誘電体薄膜の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Al23、BiF3、CaF2、LaF3、PbCl2、PbF2、LiF、MgF2、MgO、NdF3、SiO2、Si23、NaF、ThO2、ThF4などが挙げられる。これらの中でも、Al23、BiF3、CaF2、MgF2、MgO、SiO2、Si23が好ましく、これらの中でも、Al23、CaF2、MgF2、MgO、SiO2、Si23がより好ましい。
なお、前記誘電体薄膜の材料においては、原子比についても特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、成膜時に雰囲気ガス濃度を変えることにより、原子比を調整することができる。
前記誘電体薄膜の成膜方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオンプレーティング、イオンビーム等の真空蒸着法、スパッタリング等の物理的気相成長法(PVD法)、化学的気相成長法(CVD法)などが挙げられる。これらの中でも、真空蒸着法、スパッタリングが好ましく、スパッタリングがより好ましい。
前記スパッタリングとしては、成膜レートの高いDCスパッタリング法が好ましい。なお、DCスパッタリング法においては、導電性が高い材料を用いることが好ましい。
また、前記スパッタリングにより多層成膜する方法としては、例えば、(1)1つのチャンバで複数のターゲットから交互または順番に成膜する1チャンバ法、(2)複数のチャンバで連続的に成膜するマルチチャンバ法とがある。これらの中でも、生産性および材料コンタミネーションを防ぐ観点から、マルチチャンバ法が特に好ましい。
前記誘電体薄膜の膜厚としては、光学波長オーダーで、λ/16〜λの膜厚が好ましく、λ/8〜3λ/4がより好ましく、λ/6〜3λ/8がより好ましい。
コレステリック液晶層
前記コレステリック液晶層は、少なくともネマチック液晶化合物、および光反応型カイラル化合物を含有する層であり、重合性モノマー、更に必要に応じてその他の成分を含有することができる。
前記波長選択反射層におけるコレステリック液晶層は、光反応型カイラル化合物を用い螺旋ピッチを液晶層の厚み方向に連続的に変化させることにより、垂直入射を0°とし±20°の範囲であるλ0〜λ0/cos20°(ただし、λ0は照射光波長を表す)における光反射率が40%以上であることが好ましく、垂直入射を0°とし±40°の範囲であるλ0〜λ0/cos40°(ただし、λ0は照射光波長を表す)における光反射率が40%以上であることが特に好ましい。
前記λ0〜λ0/cos20°、特にλ0〜λ0/cos40°(ただし、λ0は照射光波長を表す)の範囲における光反射率が40%以上であれば、照射光反射の角度依存性を解消でき、通常のホログラフィック記録媒体に用いられているレンズ光学系を採用することができる。
具体的には、前記カイラル化合物として感光性を有し、光によって液晶の螺旋ピッチを大きく変化させることができる光反応型カイラル化合物を用い、該光反応型カイラル化合物の含有量やUV照射時間を調整することにより、螺旋ピッチを液晶層の厚み方向に連続的に変化したホログラフィック記録媒体用波長選択反射層が得られる。
前記コレステリック液晶層としては、円偏光分離機能を有するものが好ましい。前記円偏光分離機能を有するコレステリック液晶層は、液晶の螺旋の回転方向(右回りまたは左回り)と円偏光方向とが一致し、波長が液晶の螺旋ピッチであるような円偏光成分の光だけを反射する選択反射特性を有する。このコレステリック液晶層の選択反射特性を利用して、一定の波長帯域の自然光から特定波長の円偏光のみを透過分離し、その残りを反射する。
したがって、前記コレステリック液晶層は、第一の波長の光を透過し、該第一の波長の光と異なる第二の波長の円偏光を反射することが好ましく、第一の波長の光が350〜600nmであり、かつ第二の波長の光が600〜900nmであることが好ましい。
前記コレステリック液晶層の選択反射波長帯域幅は、100nm以上が好ましく、150〜300nmがより好ましい。前記選択反射波長帯域幅が100nm未満であると、±20°以内の入射光に対する反射適性が不十分となることがある。
また、前記コレステリック液晶層の選択反射波長帯域は連続的であることが好ましい。ここで、前記「連続的」とは、波長λ0〜λ0/cos20°(好ましくはλ0〜λ0/cos40°)の間にギャップがなく、実質的にこの範囲の反射率が40%以上であることを意味する。
−ネマチック液晶化合物−
前記ネマチック液晶化合物は、液晶転移温度以下ではその液晶相が固定化することを特徴とし、その屈折率異方性Δnが、0.10〜0.40の液晶化合物、高分子液晶化合物、および重合性液晶化合物の中から目的に応じて適宜選択することができる。溶融時の液晶状態にある間に、例えば、ラビング処理等の配向処理を施した配向基板を用いる等により配向させ、そのまま冷却等して固定化させることにより固相として使用することができる。
前記ネマチック液晶化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記の化合物などを挙げることができる。
前記式中において、nは1〜1,000の範囲の整数を表す。なお、前記各例示化合物においては、その側鎖連結基を、以下の構造に変えたものも同様に好適なものとして挙げることができる。
上記の各例示化合物のうち、ネマチック液晶化合物としては、十分な硬化性を確保する観点から、分子内に重合性基を有するネマチック液晶化合物が好ましく、これらの中でも、UV重合性液晶が好適である。該UV重合性液晶としては、市販品を用いることができ、例えば、BASF社製の商品名PALIOCOLOR LC242;Merck社製の商品名E7;Wacker−Chem社製の商品名LC−Sllicon−CC3767;高砂香料株式会社製の商品名L35、L42、L55、L59、L63、L79、L83、などが挙げられる。
前記ネマチック液晶化合物の含有量としては、前記コレステリック液晶層の全固形分質量に対し30〜99質量%が好ましく、50〜99質量%がより好ましい。前記含有量が30質量%未満であると、ネマチック液晶化合物の配向が不十分となることがある。
−光反応型カイラル化合物−
前記光反応型カイラル化合物とは、感光性を有し、光によって液晶の螺旋ピッチを大きく変化させることができるカイラル化合物を意味する。
前記光反応型カイラル化合物は、キラル部位と、光反応性基とを有し、該キラル部位がイソソルビド化合物、イソマンニド化合物およびビナフトール化合物から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記光反応性基としては、光照射により炭素−炭素二重結合のトランスからシスへの異性化を生じる基が好ましい。
前記イソソルビド化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2002−80851号公報、特開2002−179681号公報、特開2002−179682号公報、特開2002−338575号公報、特開2002−338668号公報、特開2003−306490号公報、特開2003−306491号公報、特開2003−313187号公報、特開2003−313292号公報、特開2003−313189号公報、などに例示されている。
前記イソマンニド化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2002−80478号公報、特開2003−313188号公報、などに例示されている。
前記ビナフトール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2002−302487号公報、特開2002−179670号公報、特開2002−179669号公報、などに例示されている。
前記光反応型カイラル剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
前記カイラル化合物の含有量としては、前記コレステリック液晶層の全固形分質量に対し1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。前記含有量が1質量%未満であると、螺旋ピッチが長くなりすぎて、システムとして採用できる選択波長から外れることがあり、30質量%を超えると、コレステリック液晶層の配向が不十分となることがある。
−重合性モノマー−
前記コレステリック液晶層には、例えば、膜強度等の硬化の程度を向上させる目的で重合性モノマーを併用することができる。該重合性モノマーを併用すると、光照射による液晶の捻れ力を変化(パターンニング)させた後(例えば、選択反射波長の分布を形成した後)、その螺旋構造(選択反射性)を固定化し、固定化後のコレステリック液晶層の強度をより向上させることができる。ただし、前記液晶化合物が同一分子内に重合性基を有する場合には、必ずしも添加する必要はない。
前記重合性モノマーとしては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレン性不飽和結合を持つモノマー等が挙げられ、具体的には、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能モノマーが挙げられる。
前記エチレン性不飽和結合を持つモノマーの具体例としては、以下に示す化合物を挙げることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合性モノマーの添加量としては、前記コレステリック液晶層の全固形分質量に対し0〜50質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。前記添加量が50質量%を超えると、コレステリック液晶層の配向を阻害することがある。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光重合開始剤、増感剤、バインダー樹脂、重合禁止剤、溶媒、界面活性剤、増粘剤、色素、顔料、紫外線吸収剤、ゲル化剤、などが挙げられる。
前記光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、p−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、9,10−ジメチルベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール、ベンジルジメチルケタール、チオキサントン/アミン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、チバスペシャルティケミカルズ社製の商品名イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア784、イルガキュア814;BASF社製の商品名ルシリンTPO、などが挙げられる。
前記光重合開始剤の添加量としては、前記コレステリック液晶層の全固形分質量に対し0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。前記添加量が0.1質量%未満であると、光照射時の硬化効率が低いため長時間を要することがあり、20質量%を超えると、紫外線領域から可視光領域での光透過率が劣ることがある。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール;ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン等のポリスチレン化合物;メチルセルロース、エチルセルロース、アセチルセルロース等のセルロース樹脂;側鎖にカルボキシル基を有する酸性セルロース誘導体;ポリビニルフォルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂;メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体;アクリル酸アルキルエステルのホモポリマーまたはメタアクリル酸アルキルエステルのホモポリマー;その他の水酸基を有するポリマー、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アクリル酸アルキルエステルのホモポリマーまたはメタアクリル酸アルキルエステルのホモポリマーにおけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマル−プロピル基、ノルマル−ブチル基、イソ−ブチル基、ノルマル−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、などが挙げられる。
前記その他の水酸基を有するポリマーとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタアクリル酸のホモポリマー)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーの多元共重合体、などが挙げられる。
前記バインダー樹脂の含有量としては、前記コレステリック液晶層の全固形質量に対し0〜80質量%が好ましく、0〜50質量%がより好ましい。前記含有量が80質量%を超えると、コレステリック液晶層の配向が不十分となることがある。
前記重合禁止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、ベンゾキノン、またはこれらの誘導体、などが挙げられる。
前記重合禁止剤の添加量としては、前記重合性モノマーの固形分に対し0〜10質量%が好ましく、100ppm〜1質量%がより好ましい。
前記溶媒としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3−メトキシプロピオン酸メチルエステル、3−メトキシプロピオン酸エチルエステル、3−メトキシプロピオン酸プロピルエステル、3−エトキシプロピオン酸メチルエステル、3−エトキシプロピオン酸エチルエステル、3−エトキシプロピオン酸プロピルエステル等のアルコキシプロピオン酸エステル類;2−メトキシプロピルアセテート、2−エトキシプロピルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のアルコキシアルコールのエステル類;乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸エステル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、テトラヒドロフラン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
基材
波長選択反射層を形成する際に基材を使用する場合、基材としては、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。その形状としては、例えば平板状、シート状などが挙げられる。その構造は、単層構造であってもいし、積層構造であってもよい。その大きさは、前記波長選択反射層の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
前記基材の材料としては、特に制限はなく、無機材料および有機材料のいずれをも好適に用いることができる。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、などが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記基材は、公知の方法により成形することができ、市販品を使用してもよい。
前記基材の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10〜500μmが好ましく、50〜300μmがより好ましい。前記基材の厚みが、10μm未満であると、基板の撓みにより密着性が低下することがある。一方、500μmを超えると、情報光と参照光の焦点位置を大きくずらさなければならなくなり、光学系サイズが大きくなってしまう。
前記波長選択反射層の形成方法としては、例えば、前記溶媒を用いて調製したコレステリック液晶層用塗布液を前記基材上に塗布し、乾燥させて、例えば紫外線照射することにより、コレステリック液晶層を形成することができる。
最も量産適性のよい手法としては、前記基材をロール状に巻いた形で準備しておき、該基材上にコレステリック液晶層用塗布液をバーコート、ダイコート、ブレードコート、カーテンコートのような長尺連続コーターにて塗布する方法が挙げられる。
前記塗布方法としては、例えば、スピンコート法、キャスト法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法、などが挙げられる。
前記紫外線照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、照射紫外線は、波長160〜380nmが好ましく、250〜380nmがより好ましい。照射時間としては、例えば、0.1〜600秒が好ましく、0.3〜300秒がより好ましい。紫外線照射の条件を調整することによって前記コレステリック液晶層における螺旋ピッチを液晶層の厚み方向に沿って連続的に変化させることができる。
前記紫外線照射の条件を調整するために、前記コレステリック液晶層に紫外線吸収剤を添加することもできる。該紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤などが好適に挙げられる。これらの紫外線吸収剤の具体例としては、特開昭47−10537号公報、同58−111942号公報、同58−212844号公報、同59−19945号公報、同59−46646号公報、同59−109055号公報、同63−53544号公報、特公昭36−10466号公報、同42−26187号公報、同48−30492号公報、同48−31255号公報、同48−41572号公報、同48−54965号公報、同50−10726号公報、米国特許第2,719,086号明細書、同第3,707,375号明細書、同第3,754,919号明細書、同第4,220,711号明細書などに記載されている。
前記コレステリック液晶層の厚みは、例えば、1〜10μmが好ましく、2〜7μmがより好ましい。前記厚みが1μm未満であると、選択反射率が十分でなくなり、10μmを超えると、液晶層の均一配向が乱れてしまうことがある。
前記コレステリック液晶層は、前記基材上にコレステリック液晶層用塗布液を塗布し、配向し、固化され、基材ごとディスク形状に加工(例えば打ち抜き加工)して、第2基板(下側基板)上に配置されるのが好ましい。また、ホログラフィック記録媒体の波長選択反射層に用いる場合には、基材を介さず直接第2基板(下側基板)上に設けることもできる。具体的には、(1)第2基板に直接スピンコート等の手段で塗布する方法、(2)基材上に一旦コレステリック液晶層を形成した後、第2基板上にラミネートして基材のみを剥ぎ取り、得られたコレステリック液晶層を第2基板に貼り付ける方法、などが挙げられる。
第1ギャップ層
第1ギャップ層は、必要に応じて前記波長選択反射層と前記反射層との間に設けられ、第2基板(下側基板)表面を平滑化する目的で形成される。また、記録層内に生成されるホログラムの大きさを調整するためにも有効である。即ち、前記記録層は、記録用参照光および情報光の干渉領域をある程度の大きさに形成する必要があるので、前記記録層とサーボピットパターンとの間にギャップを設けることが有効となる。
前記第1ギャップ層は、例えば、サーボピットパターンの上から紫外線硬化樹脂等の材料をスピンコート等で塗布し、硬化させることにより形成することができる。また、波長選択反射層として透明基材の上に塗布形成したものを使用する場合には、該透明基材が第1ギャップ層としても働くことになる。
前記第1ギャップ層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1〜200μmが好ましい。
第2ギャップ層
第2ギャップ層は、必要に応じて記録層と波長選択反射層との間に設けられる。
前記第2ギャップ層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリスルホン(PSF)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリメタクリル酸メチル−ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のような透明樹脂フィルム、または、JSR社製商品名ARTONフィルムや日本ゼオン社製商品名ゼオノアのような、ノルボルネン系樹脂フィルム、などが挙げられる。これらの中でも、等方性の高いものが好ましく、TAC、PC、商品名ARTON、および商品名ゼオノアが特に好ましい。
前記第2ギャップ層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1〜200μmが好ましい。
ここで、本発明の製造方法により製造されるホログラフィック記録媒体の具体例を、図面を参照して更に詳しく説明する。
本発明の製造方法により製造されるホログラフィック記録媒体は、例えば図5に示す層構成を有する。図5に示すホログラフィック記録媒体は、下側基板1表面にサーボピットパターン3を有し、このサーボピットパターン表面にアルミニウム等からなる反射層2と、この反射膜上に記録層4と、この記録層上に上側基板5とを有する。また、本発明の製造方法により製造されるホログラフィック記録媒体の具体例としては、下記第一の実施形態および第二の実施形態を挙げることもできる。
<第一の実施形態>
図6は、第一の実施形態におけるホログラフィック記録媒体の構成を示す概略断面図である。この第一の実施形態に係るホログラフィック記録媒体21では、ポリカーボネート樹脂製基板またはガラス基板1にサーボピットパターン3が形成され、該サーボピットパターン3上にアルミニウム、金、白金等でコーティングして反射層2が設けられている。なお、図6では第2基板1全面にサーボピットパターン3が形成されているが、サーボピットパターンは周期的に形成されていてもよい。また、このサーボピットパターン3の高さは、通常1750Å(175nm)であり、基板を始め他の層の厚さに比べて充分に小さいものである。
第1ギャップ層8は、紫外線硬化樹脂等の材料を第2基板1の反射層2上にスピンコート等により塗布して形成される。第1ギャップ層8は、反射層2を保護すると共に、記録層4内に生成されるホログラムの大きさを調整するためにも有効である。つまり、ホログラム記録層4において記録用参照光と情報光の干渉領域をある程度の大きさに形成する必要があるため、記録層4とサーボピットパターン3との間にギャップを設けると有効である。
第1ギャップ層8上には波長選択反射層6が設けられ、該波長選択反射層6と第1基板5(ポリカーボネート樹脂基板やガラス基板)によってホログラム記録層4を挟むことによってホログラフィック記録媒体21が構成される。
図6において、波長選択反射層6は、赤色光のみを透過し、それ以外の色の光を通さないものである。従って、情報光、記録および再生用参照光は緑色または青色の光であるので、波長選択反射層6を透過せず、反射層2まで達することなく、戻り光となり、入出射面Aから出射することになる。
この波長選択反射層6は、螺旋ピッチが液晶層の厚み方向に連続的に変化した単層のコレステリック液晶層からなる。このコレステリック液晶層からなる波長選択反射層6は、第1ギャップ層8上に塗布によって直接形成してもよいし、基材上にコレステリック液晶層を形成したフィルムをホログラフィック記録媒体形状に打ち抜いて配置してもよい。螺旋ピッチが液晶層の厚み方向に連続的に変化した単層のコレステリック液晶層によって、λ0〜λ0/cos20°、特にλ0〜λ0/cos40°(ただし、λ0は照射光波長を表す)における光反射率が40%以上となり、入射角が変化しても選択反射波長にずれが生じることがなくなる。
本実施形態におけるホログラフィック記録媒体21は、ディスク形状でもいいし、カード形状であってもよい。カード形状の場合にはサーボピットパターンは無くてもよい。また、このホログラフィック記録媒体21では、第2基板1は0.6mm、第1ギャップ層8は100μm、波長選択反射層6は2〜3μm、記録層4は0.6mm、第1基板5は0.6mmの厚さであって、合計厚みは約1.9mmとなっている。
次に、図8を参照して、ホログラフィック記録媒体21周辺での光学的動作を説明する。まず、サーボ用レーザから出射したサーボ用光(赤色光)は、ダイクロイックミラー13でほぼ100%反射して、対物レンズ12を通過する。対物レンズ12によってサーボ用光は反射層2上で焦点を結ぶようにホログラフィック記録媒体21に対して照射される。つまり、ダイクロイックミラー13は緑色や青色の波長の光を透過し、赤色の波長の光をほぼ100%反射させるようになっている。ホログラフィック記録媒体21の光の入出射面Aから入射したサーボ用光は、第1基板5、ホログラム記録層4、波長選択反射層6、および第1ギャップ層8を通過し、反射層2で反射され、再度、第1ギャップ層8、波長選択反射層6、ホログラム記録層4、および第1基板5を透過して入出射面Aから出射する。出射した戻り光は、対物レンズ12を通過し、ダイクロイックミラー13でほぼ100%反射して、サーボ情報検出器(不図示)でサーボ情報が検出される。検出されたサーボ情報は、フォーカスサーボ、トラッキングサーボ、スライドサーボ等に用いられる。ホログラム記録層4を構成するホログラム材料は、赤色の光では感光しないようになっているので、サーボ用光がホログラム記録層4を通過したり、サーボ用光が反射層2で乱反射したとしても、ホログラム記録層4には影響を与えない。また、サーボ用光の反射層2による戻り光は、ダイクロイックミラー13によってほぼ100%反射するようになっているので、サーボ用光が再生像検出のためのCMOSセンサまたはCCD14で検出されることはなく、再生光に対してノイズとなることもない。
また、記録用/再生用レーザーから生成された情報光および記録用参照光は、偏光板16を通過して線偏光となりハーフミラー17を通過して1/4波長板15を通った時点で円偏光になる。ダイクロイックミラー13を透過し、対物レンズ12によって情報光と記録用参照光ホログラム記録層4内で干渉パターンを生成するようにホログラフィック記録媒体21に照射される。情報光および記録用参照光は入出射面Aから入射しホログラム記録層4で干渉し合って干渉パターンをそこに生成する。その後、情報光および記録用参照光はホログラム記録層4を通過し、波長選択反射層6に入射するが、該波長選択反射層6の底面までの間に反射されて戻り光となる。つまり、情報光と記録用参照光は反射層2までは到達しない。波長選択反射層6は螺旋ピッチが液晶層の厚み方向に連続的に変化した単層のコレステリック液晶層から形成され、赤色光のみを透過する性質を有するからである。或いは、波長選択反射層を漏れて通過する光を入射光強度の20%以下に抑えていれば、たとえその漏れ光が底面に到達して戻り光となっても、再度波長選択反射層で反射されるので再生光へ混じる光強度は20%×20%=4%以下となり、実質的に問題とはならない。
<第二の実施形態>
図7は、本発明の第二の実施形態におけるホログラフィック記録媒体の構成を示す概略断面図である。この第二の実施形態に係るホログラフィック記録媒体22では、ポリカーボネート樹脂またはガラス基板1にサーボピットパターン3が形成され、該サーボピットパターン3表面にアルミニウム、金、白金等でコーティングして反射層2が設けられている。また、このサーボピットパターン3の高さは、通常1750Å(175nm)である点については、第一の実施形態と同様である。
第二の実施形態と第一の実施形態の構造の差異は、第二の実施形態に係るホログラフィック記録媒体22では、波長選択反射層6とホログラム記録層4との間に第2ギャップ層7が設けられていることである。
螺旋ピッチが液晶層の厚み方向に連続的に変化した単層のコレステリック液晶層からなる波長選択反射層6は、第1ギャップ層8を形成した後、該第1ギャップ層8上に形成され、前記第一実施形態と同様のものを用いることができる。
第2ギャップ層7は、情報光および再生光がフォーカシングするポイントが存在する。このエリアをフォトポリマーで埋めていると過剰露光によるモノマーの過剰消費が起こり多重記録能が下がってしまう。そこで、無反応で透明な第2ギャップ層を設けることが有効となる。
また、ホログラフィック記録媒体22では、第2基板1は1.0mm、第1ギャップ層8は100μm、波長選択反射層6は3〜5μm、第2ギャップ層7は70μm、記録層4は0.6mm、第1基板5は0.4mmの厚さであって、合計厚みは約2.2mmとなっている。
情報の記録または再生を行う場合、このような構造を有するホログラフィック記録媒体22に対して、赤色のサーボ用光および緑色の情報光並びに記録および再生用参照光が照射される。サーボ用光は、入出射面Aから入射し、ホログラム記録層4、第2ギャップ層7、波長選択反射層6、および第1ギャップ層8を通過して反射層2で反射して戻り光となる。この戻り光は、再度、第1ギャップ層8、波長選択反射層6、第2ギャップ層7、ホログラム記録層4および第1基板5をこの順序で通過して、入出射面Aより出射する。出射した戻り光は、フォーカスサーボやトラッキングサーボ等に用いられる。ホログラム記録層4を構成するホログラム材料は、赤色の光では感光しないようになっているので、サーボ用光がホログラム記録層4を通過したり、サーボ用光が反射層2で乱反射したとしても、記録層4には影響を与えない。緑色の情報光等は、入出射面Aから入射し、ホログラム記録層4、第2ギャップ層7を通過して、波長選択反射層6で反射して戻り光となる。この戻り光は、再度、第2ギャップ層7、ホログラム記録層4および第1基板5をこの順序で通過して、入出射面Aより出射する。また、再生時についても再生用参照光はもちろん、再生用参照光をホログラム記録層4に照射することによって発生する再生光も反射層2に到達せずに入出射面Aから出射する。なお、ホログラフィック記録媒体22周辺(図8における対物レンズ12、波長選択反射層6、検出器たるCMOSセンサまたはCCD14)での光学的動作は、第一の実施形態(図8)と同様なので説明を省略する。
本発明の製造方法における記録層形成工程の詳細は、先に説明した通りである。以下に、先に説明した任意に形成される各層の形成方法を説明する。
<波長選択反射層形成工程>
前記波長選択反射層形成工程は、ホログラフィック記録媒体と同一形状に加工した波長選択反射層を前記第2基板に貼り合わせる工程であり、該波長選択反射層の形成方法については、上述した通りである。
<反射層形成工程>
前記反射層形成工程は、基板のサーボピットパターン表面に反射面を形成する工程であり、反射層の形成方法については、上述した通りである。
前記ホログラフィック記録媒体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ディスク形状、カード形状、などが挙げられる。
前記加工としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プレスカッターによる切り出し加工、打ち抜きカッターによる打ち抜き加工、などが挙げられる。
前記貼り合わせでは、例えば、接着剤、粘着剤、などを用いて気泡が入らないようにフィルタを基板に貼り付けることが好ましい。
前記接着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、UV硬化型、エマルジョン型、一液硬化型、二液硬化型等の各種接着剤が挙げられ、それぞれ公知の接着剤を任意に組み合わせて使用することができる。
前記粘着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤、などが挙げられる。
前記接着剤または前記粘着剤の塗布厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、光学特性や薄型化の観点から、接着剤の場合、0.1〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましい。また、粘着剤の場合、1〜50μmが好ましく、2〜30μmがより好ましい。
なお、場合によっては、基板上に直接波長選択反射層を形成することもできる。例えば、基板上に少なくともネマチック液晶化合物、および光反応型カイラル化合物を含有するコレステリック液晶層用塗布液を塗布してコレステリック液晶層を形成する方法などが挙げられる。
(ホログラム記録方法およびホログラム再生方法)
本発明の製造方法により製造されるホログラフィック記録媒体への情報の記録は、二次元的な強度分布が与えられた情報光と、該情報光と強度がほぼ一定な参照光とを記録層内部で重ね合わせ、それらが形成する干渉パターンを利用してホログラム記録層内部に光学特性の分布を生じさせることにより行うことができる。一方、書き込んだ情報の読み出し(再生)は、記録時と同様の配置で参照光のみをホログラム記録層に照射することによって行うことができる。これにより、ホログラム記録層内部に形成された光学特性分布に対応した強度分布を有する再生光としてホログラム記録層から出射され再生を行うことができる。
ホログラム記録方法およびホログラム再生方法、並びにホログラム記録再生装置としては、各種提案されているものの中から適時使用できる。そのようなホログラム記録およびホログラム再生する方法、並びにホログラム記録再生装置としては、例えば、米国特許5,719,691号明細書、同5,838,467号明細書、同6,163,391号明細書、同6,414,296号明細書、米国公開公報2002−136143号、特開平9−305978号公報、同10−124872号公報、同11−219540号公報、特開2000−98862号公報、同2000−298837号公報、同2001−23169号公報、同2002−83431号公報、同2002−123949号公報、同2002−123948号公報、同2003−43904号公報、同2004−171611号公報、国際公開99/57719号、同02/05270号、同02/75727号等に記載されたもの挙げることができる。上述したようなホログラム記録およびホログラム再生する方法、並びにホログラム記録再生装置に用いられるレーザーとして光源としては、記録メディア中の光応答性成分(たとえば光重合開始剤)を活性化しホログラフィック記録可能、および記録されたホログラムを読み取ることのできるレーザー光源であれば特に制限なく用いることができる。このような光源としては、青色領域の半導体レーザー、アルゴンレーザー、He−Cdレーザー、周波数2倍YAGレーザー、He−Neレーザー、Krレーザー、近赤外領域の半導体レーザーなどを挙げることができる。
ホログラム露光後の記録層には定着を施すことができる。定着を行うことにより、ホログラム記録が終了したホログラム記録層に対して、光照射することにより記録層中の光開始剤を光分解し、もはやその重合開始能力を失わせることができる。この定着によりホログラム像を損なうことがないように、光照射はホログラム記録層に対して温和な条件で行うことが好ましい。
前記光照射方法としては、全面照射に照射してもよいし、ライン状に照射してもよいし、点状に照射してもよい。
前記定着に用いる光源としては、インコヒーレントな光を照射することが好ましく、例えば、蛍光灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、発光ダイオードが好適に挙げられる。これらの光照射時のエネルギー強度としては、1J/cm2未満であることが好ましく、300mJ/cm2未満であることがより好ましい。該エネルギー強度が1J/cm2以下であれば、定着によりホログラム像を損うことがなく好ましい。
ここで、ホログラム記録再生装置について、図9を参照して説明する。
図9は、本発明の製造方法により製造されたホログラフィック記録媒体への情報記録および再生に使用可能なホログラム記録再生装置の全体構成図である。なお、ホログラム記録再生装置は、ホログラム記録装置とホログラム再生装置を含んでなる。
このホログラム記録再生装置100は、ホログラフィック記録媒体20が取り付けられるスピンドル81と、このスピンドル81を回転させるスピンドルモータ82と、ホログラフィック記録媒体20の回転数を所定の値に保つようにスピンドルモータ82を制御するスピンドルサーボ回路83とを備えている。
また、ホログラム記録再生装置100は、ホログラフィック記録媒体20に対して情報光と記録用参照光とを照射して情報を記録すると共に、ホログラフィック記録媒体20に対して再生用参照光を照射し、再生光を検出して、ホログラフィック記録媒体20に記録されている情報を再生するためのピックアップ31と、このピックアップ31をホログラフィック記録媒体20の半径方向に移動可能とする駆動装置84とを備えている。
ホログラム記録再生装置100は、ピックアップ31の出力信号よりフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE、および再生信号RFを検出するための検出回路85と、この検出回路85によって検出されるフォーカスエラー信号FEに基づいて、ピックアップ31内のアクチュエータを駆動して対物レンズ(不図示)をホログラフィック記録媒体20の厚み方向に移動させてフォーカスサーボを行うフォーカスサーボ回路86と、検出回路85によって検出されるトラッキングエラー信号TEに基づいてピックアップ31内のアクチュエータを駆動して対物レンズをホログラフィック記録媒体20の半径方向に移動させてトラッキングサーボを行うトラッキングサーボ回路87と、トラッキングエラー信号TEおよび後述するコントローラからの指令に基づいて駆動装置84を制御してピックアップ31をホログラフィック記録媒体20の半径方向に移動させるスライドサーボを行うスライドサーボ回路88とを備えている。
ホログラム記録再生装置100は、更に、ピックアップ31内の後述するCMOSまたはCCDアレイの出力データをデコードして、ホログラフィック記録媒体20のデータエリアに記録されたデータを再生したり、検出回路85からの再生信号RFより基本クロックを再生したりアドレスを判別したりする信号処理回路89と、ホログラム記録再生装置100の全体を制御するコントローラ90と、このコントローラ90に対して種々の指示を与える操作部91とを備えている。
コントローラ90は、信号処理回路89より出力される基本クロックやアドレス情報を入力すると共に、ピックアップ31、スピンドルサーボ回路83、およびスライドサーボ回路88等を制御するようになっている。スピンドルサーボ回路83は、信号処理回路89より出力される基本クロックを入力するようになっている。コントローラ90は、CPU(中央処理装置)、ROM(リード オンリ メモリ)、およびRAM(ランダム アクセス メモリ)を有し、CPUが、RAMを作業領域として、ROMに格納されたプログラムを実行することによって、コントローラ90の機能を実現するようになっている。
以下、実施例に基づき本発明について更に説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
[実施例1]
粒状のアイオノマー(Poly(ethylene-co-methacrylic acid)zinc salt、メーカー:Aldrich)0.5gに、重合開始剤(ビス(η−5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)〕フェニルチタニウム、チバ・スペシャリティケミカルズ(株)社製イルガキュア(R)−784)0.0144gとモノマー:トリブロモフェニルアクリレート(第一工業製薬(株)ニューフロンティアBR−30)0.0705gをテトラヒドロフラン(関東化学(株)製)0.3gに溶かした混合物を18時間放置して、アイオノマーに重合開始剤および重合性モノマーを含浸させ組成物を作製した。これを図4に示すように0.6mm厚さのガラス板とガラス板の間に0.5mm厚さのスペーサーと一緒に挟んで、温度113.2℃で、圧力3.465kg/cm2で挟んで、90秒間保持した。これにより粒状のアイオノマーは熱塑性変形して0.5mm厚さの膜に成形された。アイオノマーを凍結粉砕するなどして、粉状にすれば、開始剤・モノマーの浸透時間を短くすることができる。
[実施例2]
次に、熱圧時の温度および圧力を変更した以外は実施例1と同様の方法により記録層の形成を行った。実施例2における記録層厚の時間変化を図10に示す。
図10に示すように、圧力が1.5kg/cm2の時に加熱温度が100℃未満(98℃)では、圧縮開始から90秒経過したときの記録層厚とスペーサーの厚さとの差は10%超であった。これに対し、加熱温度が100℃以上(112℃)であれば、記録層厚とスペーサーの厚さとの差は10%以下となった。
また、温度が98℃の時に1.5kg/cm2以下の圧力では圧縮開始から90秒たったときの記録層厚とスペーサーの厚さとの差は10%超であった。これに対し、3.5kg/cm2の圧力であれば、記録層厚とスペーサーの厚さとの差を10%以下とすることができた。
以上の結果から、短時間で所望の膜厚の記録層を形成するためには、熱圧時の圧力を3.5kg/cm2以上とするか、または加熱温度を100℃以上とすることが好ましいことがわかる。
本発明の製造方法は、比較的厚い記録層を有するボリュームホログラフィック記録媒体の製造方法として好適である。
図1に、スペーサーを有する下側基板の一例を示す。 図1に示す下側基板のホログラフィック記録用組成物を配置した状態の概略断面図を示す。 上側基板の一例を示す。 熱圧の説明図を示す。 本発明の製造方法によって製造されるホログラフィック記録媒体の層構成の一例を示す。 本発明の製造方法によって製造されるホログラフィック記録媒体の層構成の一例を示す。 本発明の製造方法によって製造されるホログラフィック記録媒体の層構成の一例を示す。 ホログラフィック記録媒体21周辺での光学的動作の説明図である。 ホログラム記録再生装置の全体構成図である。 実施例2における成形時間と膜厚変化を示すグラフである。
符号の説明
1 第2基板
2 反射層
3 サーボピットパターン
4 記録層
5 第1基板
6 波長選択反射層
7 第2ギャップ層
8 第1ギャップ層
12 対物レンズ
13 ダイクロイックミラー
14 検出器
15 1/4波長板
16 偏光板
17 ハーフミラー
20 ホログラム記録媒体
21 ホログラム記録媒体
22 ホログラム記録媒体
31 ピックアップ
81 スピンドル
82 スピンドルモータ
83 スピンドルサーボ回路
84 駆動装置
85 検出回路
86 フォーカスサーボ回路
87 トラッキングサーボ回路
88 スライドサーボ回路
89 信号処理回路
90 コントローラ
91 走査部
100 ホログラム記録再生装置
A 入出射面
FE フォーカスエラー信号
TE トラッキングエラー信号
RF 再生信号
101 上側基板
102 下側基板
103 内周スペーサー
104 外周スペーサー
105 ホログラフィック記録用組成物
106 凹部

Claims (11)

  1. 少なくとも、第一基板、記録層、および第二基板をこの順に有するホログラフィック記録媒体の製造方法であって、
    第一基板と第二基板との間に、熱可塑性を有するホログラフィック記録用組成物を配置し、
    基板間に配置されたホログラフィック記録用組成物を、基板を介して熱圧することにより記録層を形成することを特徴とするホログラフィック記録媒体の製造方法。
  2. 第一基板と第二基板との間に配置されるホログラフィック記録用組成物は、ペレット状、粒状、または粉末状である請求項1に記載のホログラフィック記録媒体の製造方法。
  3. 第一基板および第二基板の少なくとも一方は、形成される記録層の厚さを規定するためのスペーサーを有する請求項1または2に記載のホログラフィック記録媒体の製造方法。
  4. スペーサーの厚さ±10%の厚さを有する記録層を形成する請求項3に記載のホログラフィック記録媒体の製造方法。
  5. 100〜1,000μmの範囲の厚さを有する記録層を形成する請求項1〜4のいずれか1項に記載のホログラフィック記録媒体の製造方法。
  6. 熱圧時の温度は、100℃以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載のホログラフィック記録媒体の製造方法。
  7. 熱圧時の圧力は、3.5kg/cm2以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載のホログラフィック記録媒体の製造方法。
  8. 熱圧は、90秒以下の時間内に行われる請求項1〜7のいずれか1項に記載のホログラフィック記録媒体の製造方法。
  9. ホログラフィック記録用組成物は、少なくとも熱可塑性樹脂および記録用化合物を含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載のホログラフィック記録媒体の製造方法。
  10. 熱可塑性樹脂は、三次元架橋構造を有するポリマーである請求項9に記載のホログラフィック記録媒体の製造方法。
  11. 三次元架橋構造を有するポリマーは、アイオノマー樹脂である請求項10に記載のホログラフィック記録媒体の製造方法。
JP2007124078A 2007-05-09 2007-05-09 ホログラフィック記録媒体の製造方法 Pending JP2008281661A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8609300B2 (en) 2009-06-25 2013-12-17 Sabic Innovative Plastics Ip B.V. Method of making holographic recording materials and articles formed thereby
US8663873B2 (en) 2012-01-13 2014-03-04 Sabic Innovative Plastics Ip B.V. Holographic recording medium and method of recording a hologram

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