JP2008280956A - 内燃機関及び内燃機関の始動制御装置 - Google Patents

内燃機関及び内燃機関の始動制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】排気弁の伸びにより排気弁が閉じ切らないことに起因する燃焼悪化を抑制すること。
【解決手段】内燃機関1は、油圧式の排気側ラッシュアジャスタ14を備える。機関ECU7の粘度推定部75は、内燃機関1の始動時における機関回転数の最大値や、始動時におけるスタータモータのクランキング回転数に基づいて、内燃機関1の摺動部を潤滑するための潤滑油の粘度を推定する。機関ECU7の始動時制御変更部76は、粘度推定部75によって推定された潤滑油の粘度に基づいて、内燃機関1の始動時における点火時期及び吸入空気量を制御する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関を始動する際における制御に関する。
近年においては、環境負荷を低減する観点から、内燃機関の排ガス規制が強化されつつある。触媒コンバータを早期に活性化させるため、例えば、特許文献1には、内燃機関の冷間始動時において、吸気弁と排気弁とのオーバーラップ量を増加させ、点火時期を遅角させるとともに空燃比を弱リーン化する制御が開示されている。また、内燃機関の冷間始動時において、内燃機関の機関回転数が、始動完了とみなされる所定の値に達するまでは、始動性の安定性を考慮して、吸気弁と排気弁とのオーバーラップ量を増加させ、点火時期を遅角させるとともに空燃比を弱リーン化する制御を禁止することが開示されている。
特開平11−336574号公報、段落番号0007〜0011、0079
ところで、内燃機関の冷間始動時において、点火時期を遅角させるとともに空燃比を弱リーン化(すなわち吸入空気量の増加)する制御を実行すると、排気弁が急速に暖機されて伸びることにより、排気弁が閉じ切らない現象が発生する。特許文献1に開示されている制御では、この排気弁が閉じ切らない現象については考慮されておらず、排気弁が閉じ切らない現象に起因して燃焼悪化が発生し、内燃機関から排出される排ガスに含まれるNOxや未燃のHCが増加するおそれがある。
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、内燃機関の冷間始動時において、排気弁の伸びにより排気弁が閉じ切らないことに起因する燃焼悪化を抑制できる内燃機関及び内燃機関の始動制御装置を提供することを目的とする。
本発明者らは上述した課題を解決するために鋭意研究した結果、油圧式のラッシュアジャスタを備える内燃機関においては、ラッシュアジャスタの作動油である内燃機関の潤滑油の粘度と、排気弁の伸びに起因する排気弁が閉じ切らない現象との相関が高いことを見出し、本発明を完成させた。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る内燃機関は、少なくとも排気弁に対する油圧式のラッシュアジャスタと、摺動部を潤滑するための潤滑油の粘度を推定する粘度推定手段と、前記粘度推定部によって推定された前記潤滑油の粘度に基づいて、始動時における点火時期及び吸入空気量を制御する始動時制御変更手段と、を含むことを特徴とする。
この内燃機関は、油圧式のラッシュアジャスタを備える内燃機関において、潤滑油の粘度を推定するとともに、推定した潤滑油の粘度に基づいて、内燃機関の点火時期及び吸入空気量を制御する。このような構成により、例えば、排気弁に対して設けられるラッシュアジャスタの作動油である潤滑油の粘度が所定の値よりも大きい場合には、内燃機関の点火時期の遅角及び吸入空気量の増量を禁止する。これによって、排気弁の伸びを抑制できるので、ラッシュアジャスタが排気弁の伸びを吸収しにくい状態であっても、排気弁の伸び自体が抑制される。その結果、内燃機関の冷間始動時において、排気弁の伸びにより排気弁が閉じ切らないことに起因する燃焼悪化を抑制できる。
本発明の望ましい態様としては、前記内燃機関において、前記始動時制御変更手段は、前記潤滑油の粘度が高くなるにしたがって、基準の点火時期から点火時期を遅角させる点火時期の遅角量を小さくするとともに、基準の吸入空気量から増加させる吸入空気量増量分を小さくすることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記内燃機関において、前記粘度推定手段は、前記内燃機関の始動時における前記内燃機関の機関回転数の最大値に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記内燃機関において、前記粘度推定手段は、前記内燃機関の始動時における前記内燃機関の機関回転数の上昇速度に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記内燃機関において、前記粘度推定手段は、前記内燃機関の始動時において前記内燃機関の機関回転数が所定の値に到達するまでの時間に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記内燃機関において、前記粘度推定手段は、前記内燃機関の始動時において実行される、前記内燃機関の機関回転数の上昇速度に対応した点火時期の補正量に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記内燃機関において、前記粘度推定手段は、前記内燃機関を始動させるための動力を前記内燃機関に与える内燃機関始動手段の回数数に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記内燃機関において、前記粘度推定手段は、前記内燃機関の吸気弁の開閉時期を変更する開閉時期変更手段、又は排気弁の開閉時期を変更する開閉時期変更手段の少なくとも一方の動作指令に対する応答時間に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記内燃機関において、前記粘度推定手段は、前記潤滑油の圧力の上昇に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することが好ましい。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る内燃機関の始動制御装置は、少なくとも排気弁に対する油圧式のラッシュアジャスタを備える内燃機関において、前記内燃機関の摺動部を潤滑するための潤滑油の粘度を推定する粘度推定部と、前記粘度推定部によって推定された前記潤滑油の粘度に基づいて、前記内燃機関の始動時における前記内燃機関の点火時期及び吸入空気量を制御する始動時制御変更部と、を含むことを特徴とする。
この内燃機関の始動制御装置は、油圧式のラッシュアジャスタを備える内燃機関において、潤滑油の粘度を推定する粘度推定部と、粘度推定部が推定した潤滑油の粘度に基づいて、内燃機関の点火時期及び吸入空気量を制御する始動時制御変更部とを備える。このような構成により、例えば、排気弁に対して設けられるラッシュアジャスタの作動油である潤滑油の粘度が所定の値よりも大きい場合には、内燃機関の点火時期の遅角及び吸入空気量の増量を禁止する。これによって、排気弁の伸びを抑制できるので、ラッシュアジャスタが排気弁の伸びを吸収しにくい状態であっても、排気弁の伸び自体が抑制される。その結果、内燃機関の冷間始動時において、排気弁の伸びにより排気弁が閉じ切らないことに起因する燃焼悪化を抑制できる。
本発明の望ましい態様としては、前記内燃機関の始動制御装置において、前記始動時制御変更部は、前記潤滑油の粘度が高くなるにしたがって、基準の点火時期から点火時期を遅角させる点火時期の遅角量を小さくするとともに、基準の吸入空気量から増加させる吸入空気量増量分を小さくすることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記内燃機関の始動制御装置において、前記粘度推定部は、前記内燃機関の始動時における前記内燃機関の機関回転数の最大値に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記内燃機関の始動制御装置において、前記粘度推定部は、前記内燃機関の始動時における前記内燃機関の機関回転数の上昇速度に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記内燃機関の始動制御装置において、前記粘度推定部は、前記内燃機関の始動時において前記内燃機関の機関回転数が所定の値に到達するまでの時間に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記内燃機関の始動制御装置において、前記粘度推定部は、前記内燃機関の始動時において実行される、前記内燃機関の機関回転数の上昇速度に対応した点火時期の補正量に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記内燃機関の始動制御装置において、前記粘度推定部は、前記内燃機関を始動させるための動力を前記内燃機関に与える内燃機関始動手段の回数数に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記内燃機関の始動制御装置において、前記粘度推定部は、前記内燃機関の吸気弁の開閉時期を変更する開閉時期変更手段、又は排気弁の開閉時期を変更する開閉時期変更手段の少なくとも一方の動作指令に対する応答時間に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記内燃機関の始動制御装置において、前記粘度推定部は、前記潤滑油の圧力の上昇に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することが好ましい。
本発明に係る内燃機関及び内燃機関の始動制御装置は、内燃機関の冷間始動時において、排気弁の伸びにより排気弁が閉じ切らないことに起因する燃焼悪化を抑制できる。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
本実施形態は、油圧式のラッシュアジャスタを備える内燃機関において、潤滑油の粘度を推定するとともに、推定した潤滑油の粘度に基づいて、内燃機関の点火時期及び吸入空気量を制御する点に特徴がある。
図1は、本実施形態に係る内燃機関の概略構成図である。この内燃機関1は、燃料供給装置2と、気筒30を備えた内燃機関本体3と、内燃機関本体3に接続される吸気経路5と、この内燃機関本体3に接続される排ガス経路6とを備える。内燃機関1の運転は、制御装置である機関ECU(Electronic Control Unit)7によって制御される。内燃機関1は、複数の気筒30を備えており、複数の気筒30は、例えば、直列に4個配置される。なお、本実施形態において、気筒30の数や配置は、直列4気筒に限定されるものではない。
この内燃機関1は、燃料供給装置2により燃料タンク22内に貯留されている燃料(例えばガソリン)Fが気筒30に供給される。この燃料供給装置2は、燃料噴射弁21と、燃料タンク22と、燃料ポンプ23と、燃料供給配管とを有する。この燃料供給装置2は、内燃機関本体3の気筒30毎に設けた吸気ポート37に燃料噴射弁21を配置して、燃料噴射弁21から吸気ポート37内へ燃料Fを噴射する。そして、この燃料供給装置2は、燃料ポンプ23により加圧された燃料Fを燃料噴射弁21から吸気ポート37内へ噴射する。
このように、本実施形態に係る内燃機関1は、いわゆるポート噴射形式によって燃料Fが供給される。燃料噴射弁21の燃料噴射量(内燃機関1に供給する燃料Fの燃料供給量)や噴射タイミング等に関する燃料噴射制御は、制御装置である機関ECU7で実行する。なお、本実施形態においては、燃料噴射弁から、内燃機関1の気筒内燃焼部B内へ直接燃料Fを噴射する、いわゆる直噴形式によって内燃機関1へ燃料Fを供給するようにしてもよい。
内燃機関1の内燃機関本体3は、シリンダブロック31と、このシリンダブロック31に締結して一体化したシリンダヘッド32と、気筒30に設けられるピストン33及びコネクティングロッド34と、クランク軸35と、気筒30に設けられる点火プラグ36と、弁装置4とを備える。
内燃機関本体3が備える気筒30には、ピストン33と、シリンダブロック31と、シリンダヘッド32とにより囲まれた気筒内燃焼部Bが形成される。気筒30の気筒内燃焼部Bには、吸気経路5に接続する吸気ポート37と、排ガス経路6に接続する排気ポート38とが形成される。なお、吸気ポート37と排気ポート38とは、シリンダヘッド32に形成される。
ピストン33は、コネクティングロッド34に回転自在に取り付けられ、また、コネクティングロッド34は、クランク軸35に回転自在に取り付けられる。これによって、ピストン33は、コネクティングロッド34を介してクランク軸35と連結される。内燃機関本体3においては、気筒30の気筒内燃焼部B内で空気Aと燃料Fとの混合気を燃焼させることによりピストン33をシリンダブロック31内で往復運動させ、この往復運動をクランク軸35によって回転運動に変換して出力する。
内燃機関本体3は、機関回転数検出手段として機能するクランク角度センサ39を備える。クランク角度センサ39は、クランク軸35の角度であるクランク角度(CA)を検出して機関ECU7に出力する。なお、機関ECU7は、このクランク角度センサ39により検出されたクランク角度から内燃機関1の機関回転数(単位時間あたりの回転数)を算出したり、それぞれの気筒30を判別したりする。
内燃機関1は、クランク軸35の軸受やクランク軸35とコネクティングロッド34との連結部等といった、内燃機関1の摺動部を潤滑するために、潤滑油が用いられる。潤滑油は、クランク軸35の出力によって駆動される潤滑油ポンプ90によって吐出され、内燃機関1の各部へ送られる。このように、潤滑油ポンプ90は、潤滑油吐出手段として機能する。
潤滑油ポンプ90の潤滑油吐出口91には、潤滑油ポンプ90から吐出される潤滑油の圧力(油圧)を検出する油圧スイッチ92が取り付けられている。油圧スイッチ92によって、潤滑油ポンプ90から吐出される潤滑油の油圧が適正な値となっているか否かを判定できる。また、潤滑油ポンプ90の潤滑油吐出口91には油圧センサ93が取り付けられている。これによって、潤滑油ポンプ90から吐出される潤滑油の圧力を検出することができる。
内燃機関本体3のシリンダヘッド32には、点火プラグ36が取り付けられている。点火プラグ36の電極36Sは、気筒30の気筒内燃焼部Bへ突き出している。また、点火プラグ36には、ダイレクトイグニッション36DIが取り付けられている。ダイレクトイグニッション36DIは、点火時期調整手段として機能する機関ECU7からの点火信号によって点火プラグ36を放電させ、気筒30の気筒内燃焼部B内の混合ガスに着火する。これによって、混合気は燃焼して高温、高圧の燃焼ガスとなり、ピストン33を駆動する。ここで、点火プラグ36の放電タイミング等に関する点火動作は、制御装置である機関ECU7が制御する。
内燃機関本体3は、吸気弁41と排気弁42とを開閉させるための弁装置4を備える。弁装置4は、気筒30に設けられる吸気弁41及び排気弁42と、吸気カムシャフト43と、排気カムシャフト44と、吸気弁タイミング変更機構45と、排気弁タイミング変更機構47とを含んで構成される。弁装置4を構成する吸気弁41は、吸気ポート37と気筒内燃焼部Bとの間の開口部分に配置され、吸気カムシャフト43が回転することにより開閉する。また、弁装置4を構成する排気弁42は、排気ポート38と気筒内燃焼部Bとの間の開口部分に配置され、排気カムシャフト44が回転することにより開閉する。
弁装置4の吸気カムシャフト43及び排気カムシャフト44は、タイミングチェーンやタイミングベルトを介して、クランク軸35の回転に連動して回転する。弁装置4の吸気弁タイミング変更機構45は、吸気カムシャフト43とクランク軸35との間に配置されている。吸気弁タイミング変更機構45及び排気弁タイミング変更機構47は、可変動弁機構であり、吸気弁タイミング変更機構45が吸気カムシャフト43の位相を連続的に変化させ、排気弁タイミング変更機構47が排気カムシャフト44の位相を連続的に変化させる。これによって、吸気弁タイミング変更機構45及び排気弁タイミング変更機構47は、吸気弁41の開閉時期と排気弁42の開閉時期とを連続的に変化させることができるので、内燃機関1の運転状態に応じて吸気弁41の開閉時期と排気弁42の開閉時期とを最適なタイミングに制御することができる。吸気弁タイミング変更機構45及び排気弁タイミング変更機構47の構成については後述する。
弁装置4は、吸気カムシャフト43の回転位置を検出して機関ECU7に出力するための吸気カムポジションセンサ46、及び排気カムシャフト44の回転位置を検出して機関ECU7に出力するための排気カムポジションセンサ49を備える。吸気カムポジションセンサ46及び排気カムポジションセンサ49の出力は、機関ECU7に取り込まれ、点火プラグ36の点火時期の制御や吸気弁タイミング変更機構45及び排気弁タイミング変更機構47の制御に用いられる。
吸気カムシャフト43には吸気カム43Cが取り付けられており、排気カムシャフト44には排気カム44Cが取り付けられている。吸気カム43Cは、吸気側ロッカーアーム11に接しており、また、排気カム44Cは、排気側ロッカーアーム13に接している。吸気カムシャフト43及び排気カムシャフト44が回転することにより、吸気カム43C及び排気カム44Cが回転する。これによって、吸気カム43Cは、吸気側ロッカーアーム11を介して吸気弁41を開閉し、排気カム44Cは、排気側ロッカーアーム13を介して排気弁42を開閉する。
吸気側ロッカーアーム11の吸気弁41とは反対側の支点には、吸気側ラッシュアジャスタ12が配置されており、排気側ロッカーアーム13の排気弁42とは反対側の支点には、排気側ラッシュアジャスタ14が配置されている。吸気側ラッシュアジャスタ12及び排気側ラッシュアジャスタ14は、吸気カム43Cと吸気側ロッカーアーム11との間の隙間、及び排気カム44Cと排気側ロッカーアーム13との間の隙間を常に0にするものであり、内燃機関1の摺動部を潤滑するための潤滑油によって動作する。吸気側ラッシュアジャスタ12及び排気側ラッシュアジャスタ14の構成については後述する。
内燃機関本体3の吸気経路5は、大気中の空気Aを吸気し、この吸入された空気Aを内燃機関本体3の気筒30の気筒内燃焼部Bに導入する。吸気経路5は、エアクリーナ51と、エアフローメーター52と、スロットル弁53と、エアクリーナ51から気筒30の吸気ポート37までを連通する吸気通路54とを有する。吸気経路5は、エアクリーナ51によってごみや塵等が除去された空気Aを、吸気通路54及び吸気ポート37を介して、気筒30の各気筒内燃焼部Bに導入する。吸気経路5に設けられるエアフローメーター52は吸入空気量検出手段であり、吸気経路5から吸入されて気筒30に導入される吸入空気量を検出し、機関ECU7に出力する。
吸気経路5には、気筒内燃焼部Bに供給する吸入空気量を調整制御する吸入空気量調整手段として機能するスロットル弁53が設けられる。スロットル弁53は、気筒30の気筒内燃焼部Bに導入する吸入空気量を調整する。スロットル弁53は、ステッピングモータ等のアクチュエータ53aにより開閉される。吸入空気量調整手段として機能するスロットル弁53のバルブ開度、すなわちスロットル弁の開度は、機関ECU7がアクチュエータ53aによってスロットル弁53の開度を調整することにより制御される。
内燃機関本体3に接続される排ガス経路6には、気筒30の気筒内燃焼部Bで燃焼してピストン33を駆動した後の燃焼ガスが、排ガスとして排出される。排ガス経路6は、排ガス通路62と、排ガス通路62に設けられる排ガス浄化触媒61とを含んで構成される。排ガス経路6に設けられる排ガス浄化触媒61は、排ガス通路62から送られる排ガスExに含まれる窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)を浄化するものである。排ガス浄化触媒61で浄化された後の排ガスは、消音装置を通って大気中に排気される。
排ガス通路62には、A/Fセンサ63と、O2センサ64とが設けられている。空燃比検出手段であるA/Fセンサ63は、排ガスExの空燃比にほぼ比例する出力特性を有するセンサである。A/Fセンサ63は、排ガス通路62のうち排ガス浄化触媒61の上流側、すなわち、内燃機関1の排気ポート38と排ガス浄化触媒61との間に配置される。A/Fセンサ63は、気筒内燃焼部Bから排ガス経路6に排気された排ガスExのうち、排ガス浄化触媒61に吸入される前における排ガスExの排ガス空燃比を検出し、機関ECU7に出力する。なお、A/Fセンサ63は、O2センサで構成してもよい。
また、機関ECU7は、このA/Fセンサ63により検出された排ガス空燃比に基づいて、吸入された空気Aと燃料Fとからなる混合気の空燃比、すなわち内燃機関1の空燃比を算出する。排ガス経路6に設けられるO2センサ64は、排ガスEx中の酸素濃度を検出するセンサであり、酸素濃度検出手段として機能する。O2センサ64は、排ガス通路62のうち排ガス浄化触媒61の下流側、すなわち、排ガス浄化触媒61の出口側に配置される。このO2センサ64は、気筒内燃焼部Bから排ガス経路6に排気された排ガスExのうち、排ガス浄化触媒61を通過した後における排ガスExの酸素濃度を検出し、機関ECU7に出力する。
上述したように、機関ECU7には、内燃機関1を制御して運転するために車両の各所に取り付けられたセンサから、各種入力信号が入力される。機関ECU7に入力される入力信号には、例えば、クランク軸35に取り付けられたクランク角度センサ39によって検出されたクランク角度、エアフローメーター52により検出された吸入空気量、アクセル開度センサ8により検出されるアクセル8Pの開度(アクセル開度)、A/Fセンサ63により検出された排ガス空燃比、O2センサ64により検出された酸素濃度、ノッキング(ノック振動)を検知するノックセンサ65から出力された信号などがある。
機関ECU7は、内燃機関1の運転制御のため、上述した入力信号及び記憶部73に格納されている燃料噴射量が記述されたマップや点火時期が記述されたマップ等の各種マップに基づいて、制御対象である燃料噴射弁21やダイレクトイグニッション36DI等に対して、制御信号を出力する。機関ECU7が内燃機関1の運転制御を実行するために出力する制御信号には、例えば、燃料噴射弁21の燃料噴射を制御する燃料噴射信号、点火プラグ36の点火を制御する点火信号、スロットル弁53の弁開度を制御する弁開度信号等がある。
機関ECU7は、上述した入力信号や出力信号の入出力を行う入出力部(I/O)71と、処理部72と、燃料噴射量マップなどの各種マップなどを格納する記憶部73とを有する。処理部72は、例えば、メモリ及びCPU(Central Processing Unit:中央演算装置)により構成されている。処理部72は、制御条件判定手段である制御条件判定部74と、粘度推定手段である粘度推定部75と、始動時制御変更部である始動時制御変更部76とを含んでおり、これらが本実施形態に係る内燃機関の始動制御を実行する。
このように、機関ECU7は、本実施形態に係る内燃機関の始動制御を実行する手段を含んで構成されているので、機関ECU7は、本実施形態に係る内燃機関の始動制御装置として機能する。また、記憶部73は、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ、ROM(Read Only Memory)のような読み出しのみが可能なメモリ、あるいはRAM(Random Access Memory)のような読み書きが可能なメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。次に、吸気側ラッシュアジャスタ12及び排気側ラッシュアジャスタ14の構成を説明する。
図2は、本実施形態に係る内燃機関が備える排気側ラッシュアジャスタの取り付け部を示す装置構成図である。図3は、本実施形態に係る排気側ラッシュアジャスタの構成を示す断面図である。図4−1〜図4−3は、排気側ラッシュアジャスタの動作を示す説明図である。なお、吸気側ラッシュアジャスタ12及び排気側ラッシュアジャスタ14の構成は同一であるので、次においては、排気側ラッシュアジャスタ14について説明する。
上述したように、排気側ラッシュアジャスタ14は、排気カム44Cと排気側ロッカーアーム13との間の隙間Cを常に0にするものである。図2に示すように、排気側ラッシュアジャスタ14は、排気側ロッカーアーム13の排気弁42とは反対側の支点に配置されるとともに、シリンダヘッド32に取り付けられる。排気側ラッシュアジャスタ14は、内燃機関1の摺動部を潤滑する潤滑油によって作動する。すなわち、潤滑油が排気側ラッシュアジャスタ14の作動油となる。シリンダヘッド32には、排気側ラッシュアジャスタ14へ潤滑油を供給する油路15が形成されており、図1に示す内燃機関1が備える潤滑油ポンプ90から吐出される潤滑油が、油路15を介して排気側ラッシュアジャスタ14へ供給される。
図3に示すように、排気側ラッシュアジャスタ14は、本体81と、プランジャ82と、チェックボール83と、チェックボールスプリング84と、ボールリテーナ87と、プランジャスプリング85とを備えて構成される。本体81は、コップ状の有底容器であり、本体81の内側にプランジャ82が嵌め込まれている。本体81とプランジャ82との間には、プランジャスプリング85が配置されており、プランジャスプリング85がプランジャ82を押圧する。すなわち、プランジャスプリング85は、プランジャ82が本体81から突出する方向に力を与える。
プランジャ82は、コップ状の有底容器であり、プランジャ82の底部には、潤滑油吐出孔82Hが設けられている。プランジャ82の底部と側周部とで囲まれる空間は、低圧室88となる。また、ここで、本体81とプランジャ82との間に形成される空間は、高圧室89となる。
プランジャ82の底部外側、すなわち、プランジャ82の底部であって本体81の底部と対向する方には、ボールリテーナ87が取り付けられる。ボールリテーナ87とプランジャ82との間には、チェックボール83とチェックボールスプリング84とが配置されている。チェックボール83は、潤滑油吐出孔82Hをプランジャ82の底部外側から塞ぐように配置される。また、チェックボールスプリング84は、チェックボール83とボールリテーナ87との間に配置されて、チェックボール83が潤滑油吐出孔82Hへ向かう方向の力をチェックボール83へ付与する。
本体81の側部には、本体側潤滑油供給孔86Aが形成されており、プランジャ82の側部には、プランジャ側潤滑油供給孔86Bが形成されている。本体側潤滑油供給孔86Aは、図2に示すシリンダヘッド32に形成された油路15に開口している。また、本体側潤滑油供給孔86Aとプランジャ側潤滑油供給孔86Bとは連通している。このような構成により、本体側潤滑油供給孔86Aとプランジャ側潤滑油供給孔86Bとを介して、油路15から低圧室88へ潤滑油が供給される。このような構成により、排気側ラッシュアジャスタ14は、本体81内のプランジャ82が、プランジャスプリング85の反発力や潤滑油の圧力で、プランジャ82が本体81から突出する方向と平行な方向にスライドすることにより、排気カム44Cと排気側ロッカーアーム13との間の隙間Cが0になるように調整する。次に、図4−1〜図4−3を用いて、ランジャ82の動作を説明する。
図4−1〜図4−3において、排気カム44Cは、矢印Rc方向、すなわち時計回りに回転するものとする。図1に示す内燃機関1の運転中において、排気側ラッシュアジャスタ14の低圧室88及び高圧室89には、潤滑油が満たされている。排気カム44Cが矢印Rc方向に回転して排気側ロッカーアーム13を押すと、排気弁42及びプランジャ82に荷重が作用する。このとき、プランジャ82は、本体81へ押し込まれようとするが(図4−1における矢印Laの方向)、チェックボール83が潤滑油吐出孔82Hを閉じるため、プランジャ82は停止する。これによって、プランジャ82が排気側ロッカーアーム13を支持する支持部を中心として、排気側ロッカーアーム13がバルブスプリング42Sを縮める方向に向かって傾斜するので、排気弁42が押し下げられて開弁する。
図4−1に示す状態から排気カム44Cがさらに回転して、排気カム44Cの頂点が排気側ラッシュアジャスタ14を過ぎると、排気側ロッカーアーム13は、バルブスプリング42Sの力によって閉弁し始める。このとき、バルブスプリング42Sの反発力は排気側ラッシュアジャスタ14にも作用しているため、高圧室89の油圧が低圧室88の油圧よりも高くなる。これによって、チェックボール83によって潤滑油吐出孔82Hが閉じられるので、高圧室89の油圧は保持される。
図4−2は、排気弁42が閉じた状態を示している。排気弁42が閉じると、高圧室80の潤滑油は加圧状態から開放される。このとき、排気カム44Cと排気側ロッカーアーム13との間に隙間が発生しようとするが、プランジャスプリング85の反発力によって、プランジャ82が排気側ロッカーアーム13を排気カム44Cへ押し付けて、前記隙間が発生しないようにする。
同時に、高圧室89の容積は大きくなるので、低圧室88と高圧室89との間で潤滑油の圧力差が発生し、この圧力差に起因して、チェックボール83には、潤滑油吐出孔82Hから離れる方向の力が作用する。低圧室88と高圧室89との間における潤滑油の圧力差に起因してチェックボール83へ作用する力が、チェックボールスプリング84の反発力よりも大きくなると、チェックボール83が潤滑油吐出孔82Hから離れる。これによって、図4−3に示すように、潤滑油吐出孔82Hが開いて低圧室88と高圧室89との間に潤滑油が通過する通路が確保されるので、潤滑油が低圧室88から高圧室89へ流入して、排気側ラッシュアジャスタ14は、次の動作に備える。次に、図1に示す吸気弁タイミング変更機構45及び排気弁タイミング変更機構47の構成を説明する。
図5は、吸気弁タイミング変更機構及び排気弁タイミング変更機構の構成を示す斜視図である。吸気弁タイミング変更機構45及び排気弁タイミング変更機構47は、吸気側ラッシュアジャスタ12及び排気側ラッシュアジャスタ14と同様に、図1に示す内燃機関1の摺動部を潤滑する潤滑油によって動作する。排気弁タイミング変更機構47は、排気側ハウジング47Hと、排気側ベーン47Vとを含んで構成される。
排気側ハウジング47Hには、排気側ベーン47Vのそれぞれの羽根に対応する複数の油室47Lが形成されており、それぞれの油室47Lに排気側ベーン47Vのそれぞれの羽根が配置される。排気側ハウジング47Hに形成される油室47Lは、排気側ベーン47Vの羽根により、進角室47Lfと遅角室47Llとに仕切られる。また、排気側ハウジング47Hは、排気側ドリブンスプロケット44Sに固定されており、また、排気側ベーン47Vは、排気カムシャフト44と連結されている。
進角室47Lf及び遅角室47Llには潤滑油が供給されている。そして、排気側ベーン47Vは、進角室47Lf及び遅角室47Llに供給された潤滑油を介して、排気側ハウジング47Hとともに回転する。また、進角室47Lf及び遅角室47Llに供給される潤滑油の量を変化させることにより、進角室47Lf及び遅角室47Llの容積が変化するので、排気側ハウジング47Hに対する排気側ベーン47Vの位置を変更することができる。
排気側ドリブンスプロケット44Sには、例えば、無端のチェーンを介してクランク軸35から駆動力が与えられる。これによって、排気側ハウジング47Hが回転すると、進角室47Lf及び遅角室47Llに供給された潤滑油を介して排気側ベーン47Vが回転して、排気側ベーン47Vに連結された排気カムシャフト44が回転する。
図1に示す内燃機関1の運転中に、進角室47Lf及び遅角室47Llに供給される潤滑油の量を変化させると、排気側ハウジング47Hに対する排気側ベーン47Vの位置が変更される。これによって、排気側ハウジング47Hに取り付けられる排気側ドリブンスプロケット44Sの位相と、排気側ベーン47Vに連結される排気カムシャフト44に形成される排気カム44Cの位相とを変化させることができる。
例えば、進角室47Lfに供給される潤滑油の量を増加させ、遅角室47Llに供給される潤滑油の量を減少させると、進角室47Lfの容積はそれまでよりも大きくなり、遅角室47Llの容積はそれまでよりも小さくなる。すると、排気カム44Cは進角側に移動して、それまでよりも早いタイミングで排気弁42を開閉する。また、進角室47Lfに供給される潤滑油の量を減少させ、遅角室47Llに供給される潤滑油の量を増加させると、進角室47Lfの容積はそれまでよりも小さくなり、遅角室47Llの容積はそれまでよりも大きくなる。すると、排気カム44Cは遅角側に移動して、それまでよりも遅いタイミングで排気弁42を開閉する。
このように、排気弁タイミング変更機構47は、図1に示す内燃機関1の運転中に、排気弁42が開閉されるタイミングを連続的に変更することができる。なお、吸気弁タイミング変更機構45は、吸気側ハウジング45Hと、吸気側ベーン45Vとを含んでおり、排気弁タイミング変更機構47と同様に構成される。したがって、吸気弁タイミング変更機構45も、図1に示す内燃機関1の運転中に油室45L、すなわち進角室45Lf及び遅角室45Llへ供給される潤滑油の量を変化させることにより、吸気弁41が開閉されるタイミングを連続的に変更することができる。
近年においては、大気中に放出される排ガスに含まれるHCやNOx等を抑制するため、図1に示す内燃機関を冷間始動した後の所定期間においては、点火時期の遅角及び吸入空気量の増加が実行される。これによって、排気弁42が急速に暖められて排気弁42へ伸びが発生し、排気弁42が閉じ切らない現象が発生する。これによって、燃焼の悪化が発生して大気中に放出される排ガスに含まれるHCやNOx等が増加したり、ドライバビリティが低下したりする。
本実施形態に係る内燃機関1のように、排気カム44Cと排気弁42との間に潤滑油を用いる油圧式のラッシュアジャスタ(排気側ラッシュアジャスタ14)を備える場合、上述した排気弁42が閉じ切らない現象は、潤滑油の粘度と相関が高い。例えば、潤滑油の粘度が高いほど、排気側ラッシュアジャスタ14から漏れ出す潤滑油の量は少なくなり、排気弁42が閉じ切らない現象も顕著に発生する。そこで、本実施形態に係る内燃機関の始動制御では、潤滑油の粘度を検出し、図1に示す内燃機関1の冷間始動時における点火時期の遅角量及び吸入空気量を制御する。次に、本実施形態に係る内燃機関の始動制御の手順を説明する。
図6は、本実施形態に係る内燃機関の始動制御の手順を示すフローチャートである。本実施形態に係る内燃機関の始動制御を実行するにあたり、ステップS101において、図1に示す始動制御装置、すなわち機関ECU7が備える制御条件判定部74は、図1に示す内燃機関1が冷間始動時であるか否かを判定する。
ステップS101でNoと判定された場合、すなわち、制御条件判定部74が、図1に示す内燃機関1は冷間始動時ではないと判定した場合、STARTに戻り、内燃機関1の運転状態の監視を継続する。図1に示す内燃機関1が冷間始動時であるか否かは、例えば、内燃機関1のイグニッションスイッチの情報や冷却水温度に基づいて判定する。例えば、図1に示す内燃機関1のイグニッションスイッチがON、かつ冷却水温度が所定温度よりも高い場合、内燃機関1は冷間始動時ではない判定する。
ステップS101でYesと判定された場合、すなわち、制御条件判定部74が、図1に示す内燃機関1は冷間始動時であると判定した場合、ステップS102へ進む。例えば、図1に示す内燃機関1のイグニッションスイッチがON、かつ冷却水温度が所定温度以下である場合、内燃機関1は冷間始動時であると判定する。ステップS102において、機関ECU7の粘度推定部75は、図1に示す内燃機関1の摺動部を潤滑する潤滑油の粘度ηを推定する。次に、潤滑油の粘度ηを推定する手法を説明する。
(潤滑油の粘度を推定する手法)
図7は、内燃機関の始動時における機関回転数の最大値と潤滑油の粘度との関係を示す説明図である。図8は、内燃機関の始動後における機関回転数の変化を示す模式図である。この潤滑油の粘度を推定する手法(潤滑油粘度測定手法という)は、図1に示す内燃機関1の始動時における機関回転数の最大値(図8に示すNEspであり、吹け上がりピーク回転数という)に基づいて、潤滑油の粘度ηを推定する。図7に示すように、吹け上がりピーク回転数NEspは、潤滑油の粘度ηが高くなるほど小さくなる。したがって、図1に示す内燃機関1の始動時における吹け上がりピーク回転数NEspから潤滑油の粘度ηを推定することができる。なお、内燃機関1の始動時における吹け上がりピーク回転数NEspは、機関回転数NEの今回値NEnから前回値NEn−1を減じた値(NEn−NEn−1)が負になったときにおける前回値NEn−1で求めることができる。ここで、nは自然数である。このように、吹け上がりピーク回転数NEspは簡易に求めることができるので、本手法によれば、簡易に潤滑油の粘度ηを推定することができる。
図9は、内燃機関の始動時における機関回転数の上昇速度に基づいて潤滑油の粘度を推定する手法を示す概念図である。この潤滑油粘度測定手法は、図1に示す内燃機関1の始動時における機関回転数NEの上昇速度に基づいて、潤滑油の粘度ηを推定する。図9に示す例では、機関回転数NEの上昇速度を、内燃機関1が始動を開始してから所定の機関回転数に到達するまでの時間(以下始動所要時間という)trで表す。この他にも、機関回転数NEの上昇速度を、内燃機関1が爆発を開始してからの所定の時間内における機関回転数NEの上昇で表してもよい。
図9に示すように、図1に示す内燃機関1の始動所要時間trは、潤滑油の粘度ηが高くなるほど大きくなる。したがって、図1に示す内燃機関1の始動所要時間trから潤滑油の粘度ηを推定することができる。ここで、例えば、図1に示す内燃機関1の始動所要時間trは、例えば、内燃機関1が初爆を開始してから所定の機関回転数に到達するまでの時間とすることができる。また、始動所要時間trは、内燃機関1を始動させるための動力を内燃機関1に与える内燃機関始動手段であるスタータモータによるクランキングが開始されてから、所定の機関回転数に到達するまでの時間とすることもできる。始動所要時間trは簡易に求めることができるので、本手法によれば、簡易に潤滑油の粘度ηを推定することができる。
図10は、内燃機関の始動時における点火時期の補正量に基づいて潤滑油の粘度を推定する手法を示す概念図である。図11は、内燃機関の始動時における点火時期の補正量の説明図である。この潤滑油粘度測定手法は、図1に示す内燃機関1の始動時における点火時期の補正量(本実施形態では遅角量)に基づいて、潤滑油の粘度ηを推定する。
図11のNE2に示すように、図1に示す内燃機関1の始動時において、機関回転数の上昇速度が大きい場合は、図10のθh2に示すように、現時点よりも点火時期を遅角させて、機関回転数の急激な上昇を抑制する。一方、図1に示す内燃機関1の始動時において、図11のNE1に示すように、機関回転数の上昇速度が小さい場合は、図10のθh1に示すように、現時点よりも点火時期を進角させて、機関回転数の低下を抑制しすることにより、内燃機関1を確実に始動する。このように、図1に示す内燃機関1の始動時においては、内燃機関1の機関回転数NEの上昇速度に対応した点火時期の補正(本実施形態では遅角)が実行される。
機関回転数の上昇速度が大きい場合は潤滑油の粘度ηが低く、機関回転数の上昇速度が小さい場合は潤滑油の粘度ηが高い。このため、図9に示すように、図1に示す内燃機関1の始動時における点火時期補正量(遅角量)θhは、潤滑油の粘度ηが小さくなるほど大きくなる。したがって、図1に示す内燃機関1の始動時における点火時期補正量(遅角量)θhから潤滑油の粘度ηを推定することができる。点火時期補正量(遅角量)θhは、機関ECU7の点火制御情報から容易に取得することができるので、本手法によれば、簡易に潤滑油の粘度ηを推定することができる。
図12は、内燃機関の始動時におけるクランキング回転数の大きさに基づいて潤滑油の粘度を推定する手法を示す概念図である。この潤滑油粘度測定手法は、図1に示す内燃機関1の始動時におけるクランク軸35の回転数(クランキング回転数)Ncrに基づいて、潤滑油の粘度ηを推定する。ここで、クランキング回転数Ncrは、スタータモータによって駆動されているときにおけるクランク軸35の回転数であり、図1に示す内燃機関1の爆発が開始するまでの回転数である。なお、クランキング回転数Ncrは、単位時間あたりの回転数である。
図12に示すように、図1に示す内燃機関1のクランキング回転数Ncrは、潤滑油の粘度ηが高くなるほど大きくなる。したがって、図1に示す内燃機関1のクランキング回転数Ncrから潤滑油の粘度ηを推定することができる。この手法は、図1に示す内燃機関1の爆発が開始するまでのクランキング回転数Ncrを用いるので、内燃機関1に供給される燃料の性状や燃焼の影響を排除して、潤滑油の粘度ηを推定することができる。これによって、潤滑油の粘度ηの推定精度が向上する。
図13は、吸気弁タイミング変更機構又は排気弁タイミング変更機構の作動角度指令値に対する実際の作動角度の遅れを示す説明図である。図14は、吸気弁タイミング変更機構又は排気弁タイミング変更機構の作動角度指令値に対する実際の作動角度の遅れに基づいて潤滑油の粘度を推定する手法を示す概念図である。この潤滑油粘度測定手法は、図13に示す内燃機関1の始動時に、吸気弁タイミング変更機構45又は排気弁タイミング変更機構47を作動させる。そして、吸気弁タイミング変更機構45又は排気弁タイミング変更機構47の実際の作動角度α_rが作動角度指令値α_dになるまでの応答時間dtに基づいて、潤滑油の粘度ηを推定する。
潤滑油の粘度ηを推定する場合、図13のt=t1において、図1に示す内燃機関1が始動した後に、機関ECU7は所定の作動角度指令値α_dを発信して、吸気弁タイミング変更機構45又は排気弁タイミング変更機構47を作動させる。そして、機関ECU7は、吸気カムポジションセンサ46又は排気カムポジションセンサ49から、吸気カムシャフト43又は排気カムシャフト44の位置を検出する。これが、吸気弁タイミング変更機構45又は排気弁タイミング変更機構47の実際の作動角度α_rを表す。
図13に示すように、t=t1において機関ECU7が所定の作動角度指令値α_dを発信した場合に、吸気弁タイミング変更機構45又は排気弁タイミング変更機構47の実際の作動角度α_rが作動角度指令値α_dになる時間、すなわち応答時間dtはt=t2−t1である。このように、吸気弁タイミング変更機構45又は排気弁タイミング変更機構47の作動角度指令値α_dと実際の作動角度α_rとの間には、応答時間dtが発生する。そして、図14に示すように、応答時間dtが大きくなるにしたがって潤滑油の粘度ηは大きくなる。したがって、図1に示す内燃機関1が備える吸気弁タイミング変更機構45又は排気弁タイミング変更機構47の応答時間dtから潤滑油の粘度ηを推定することができる。この手法では、スタータモータのばらつきの影響、内燃機関1の摺動部品公差やならしの影響あるいは車載電源の電圧の影響を排除して、潤滑油の粘度ηを推定することができる。これによって、潤滑油の粘度ηの推定精度が向上する。
図15は、内燃機関の始動後における潤滑油の圧力の変化を示す模式図である。図16は、潤滑油の圧力を検出する手段の出力と潤滑油の粘度との関係を示す説明図である。次に説明する潤滑油の粘度ηを推定する手法は、図1に示す内燃機関1の始動後における潤滑油の圧力(油圧)に基づいて、潤滑油の粘度ηを推定する。図15に示すように、図1に示す内燃機関が始動すると(t=ts)、機関回転数NEが上昇してから一定の回転数になる。図1に示す潤滑油ポンプ90は、内燃機関1によって駆動されるので、図15に示す実油圧Pの変化のように、機関回転数NEの上昇とともに、潤滑油ポンプ90から吐出される油圧は大きくなる。
図1に示す油圧スイッチ92は、例えば、内燃機関1の始動後に、実油圧が規定の値P0に達するとONになるように設定されている。なお、内燃機関1の始動後に、実油圧が規定の値P0に達するとOFFになるように、図1に示す油圧スイッチ92を設定してもよい。実油圧が規定の値まで達した時間をt=tonとすると、内燃機関1が始動してから実油圧が規定の値P0まで達するまでの時間は、ton−ts=dt_onで求めることができる。内燃機関1が始動してから実油圧が規定の値P0まで達するまでの時間dt_onを、ON時間という。図15の実線に示すように、ON時間dt_onは、潤滑油の粘度ηが大きくなるにしたがって大きくなる。したがって、図1に示す内燃機関1が備える油圧スイッチ92のON時間dt_onから潤滑油の粘度ηを推定することができる。
また、図1に示す内燃機関1が備える油圧センサ93により内燃機関1の油圧を検出し、油圧センサ93で検出した油圧検出値Psから求めた油圧の変化率(油圧変化率)ΔPs/Δtに基づいて潤滑油の粘度ηを推定してもよい。すなわち、図15の点線に示すように、油圧変化率ΔPs/Δtが大きいほど潤滑油の粘度ηは小さくなる。したがって、図1に示す内燃機関1が備える油圧センサ93で検出した油圧検出値Psから求めた油圧変化率ΔPs/Δtから潤滑油の粘度ηを推定することができる。
この手法によれば、吸気弁タイミング変更機構45又は排気弁タイミング変更機構47の油路の公差や応答特性等による影響を排除して、潤滑油の粘度ηを推定することができる。これによって、潤滑油の粘度ηの推定精度が向上する。また、油圧センサ93で検出した油圧検出値Psから求めた油圧変化率ΔPs/Δtを用いれば、さらに高い精度で潤滑油の粘度ηを推定することができる。
ステップS102において、機関ECU7の粘度推定部75が、上記いずれかの手法によって潤滑油の粘度ηを推定したら、ステップS103へ進む。ステップS103において、機関ECU7の制御条件判定部74は、ステップS102で推定した潤滑油の粘度ηを、予め定めた潤滑油粘度閾値ηcと比較する。潤滑油粘度閾値ηcは、潤滑油の粘度ηが高いために排気側ラッシュアジャスタ14の作動が遅れて排気弁42の伸びの吸収が不十分となる結果、排気弁42が閉じ切らない状態が発生するか否かを判定するためのものである。例えば、潤滑油粘度閾値ηcは、排気弁42が閉じ切らない状態が発生する潤滑油の粘度ηに設定する。そして、潤滑油粘度閾値ηcは、実験や解析により求めておき、図1に示す機関ECU7の記憶部73へ格納しておく。ステップS103でNoと判定された場合、すなわち、制御条件判定部74が、η≦ηcであると判定した場合、STARTに戻り、内燃機関1の運転状態の監視を継続する。
ステップS103でYesと判定された場合、すなわち、制御条件判定部74がη>ηcであると判定した場合、ステップS104へ進む。上述したように、大気中に放出される排ガスに含まれるHCやNOx等を抑制する観点から点火時期を遅角するとともに、空燃比と燃料噴射量とから定まる値よりも吸入空気量を増量する。しかし、点火時期を遅角し、吸入空気量を増加することにより、排気弁42が急速に暖機される結果、排気弁42の伸びによって排気弁42が閉じ切らない現象が発生する。
特に、η>ηcである場合、排気側ラッシュアジャスタ14の作動が遅れることにより、排気弁42の伸びの吸収が不十分となる結果、排気弁42が閉じ切らない現象が顕著になる。この場合、ステップS104において、機関ECU7の始動時制御変更部76は、点火時期の遅角及び吸入空気量の増量を禁止する。あるいは、始動時制御変更部76は、点火時期の遅角量及び吸入空気量の増量を、それまでより緩和する。すなわち、始動時制御変更部76は、基準の点火時期から点火時期を遅角させる点火時期の遅角量を小さくするとともに、基準の吸入空気量から増加させる吸入空気量増量分を小さくする。点火時期の遅角量を小さくすることには、点火時期の遅角量を0にすることも含み、この場合は、点火時期の遅角を禁止することになる。また、吸入空気量増量分を小さくすることには、吸入空気量の増量分を0にすることも含み、この場合には、吸入空気量の増量を禁止することになる。
図17は、点火時期を説明するための模式図である。図1に示す内燃機関1の点火時期は、例えば、内燃機関1の機関回転数、吸入空気量等に基づいて決定される。図17に示すように、通常(暖機終了後)の点火時期は、TDC(Top Dead Center:上死点、図17では圧縮上死点)よりも進角側、すなわち圧縮行程の途中かつ圧縮上死点に至るまでの間である。図17に示す例では、TDC前のθfで点火する。
一方、図1に示す内燃機関1の冷間始動時、すなわち内燃機関1を始動してから内燃機関1の暖機が終了する前においては、点火時期を遅角して、大気中に放出される排ガスに含まれるHCやNOx等の増加を抑制する。例えば、図1に示す内燃機関1の冷間始動時においては、点火時期をTDCよりも遅角側、すなわち、膨張行程の途中とする。図17に示す例ではTDC後のθdで点火する。点火時期の遅角量θdは、例えば、大気中に放出される排ガスに含まれるHCやNOx等の増加を抑制しつつドライバビリティを維持できる範囲で、実験や解析等により予め決定される。
ステップS104において、点火時期の遅角及び吸入空気量の増量を禁止する場合、内燃機関1の点火時期を、例えば通常の点火時期、すなわちTDC前のθfとする。また、吸入空気量の増量を禁止する。この場合、例えば、内燃機関1の吸入空気量を、空燃比と燃料噴射量とから定まる値とする。これによって、排気弁42の急速な暖機を抑制することにより排気弁42の急激な伸びを抑制して、排気弁42が閉じ切らない現象を抑制する。また、点火時期の遅角を禁止することにより、点火時期は進角側に移行するので、燃焼悪化も抑制することができる。
図18は、点火時期遅角の戻し量と潤滑油の粘度との関係を示す説明図である。図19は、点火時期遅角量と潤滑油の粘度との関係を示す説明図である。図20は、吸入空気量と潤滑油の粘度との関係を示す説明図である。本実施形態に係る内燃機関の始動制御においては、η>ηcである場合、点火時期の遅角量及び吸入空気量の増量を、それまでより緩和してもよい。この場合、機関ECU7の始動時制御変更部76は、内燃機関1の点火時期を、予め定めた基本の点火時期の遅角量θdから、点火時期遅角の戻し量θdrを減算することにより求めた修正点火時期遅角量θdcとする(図19参照)。
図18に示すように、点火時期遅角の戻し量θdrは、潤滑油の粘度ηの増加にしたがって大きくなるように設定する。これによって、潤滑油の粘度ηが大きくなって、排気弁42が閉じ切らない現象がより顕著に発生する場合には、内燃機関1の点火時期遅角量をより小さくすることができるので、排気弁42が閉じ切らない現象をより効果的に抑制できる。なお、点火時期遅角の戻し量θdrは、ステップS102で推定した潤滑油の粘度ηから求める。
点火時期遅角の戻し量θdrを、潤滑油の粘度ηの増加にしたがって大きくなるように設定することにより、修正点火時期遅角量θdcは、図19に示すようになる。すなわち、修正点火時期遅角量θdcは、潤滑油の粘度ηの増加にしたがって小さくなる。すなわち、内燃機関1の点火時期は、潤滑油の粘度ηが増加するにしたがって、予め定めた基本の点火時期の遅角量θdよりも進角側へ移行する。これによって、排気弁42が閉じ切らない現象を抑制することができる。
点火時期の遅角量及び吸入空気量の増量をそれまでより緩和する場合、機関ECU7の始動時制御変更部76は、図20に示すように、内燃機関1の吸入空気量を、予め定めた基本の吸入空気量Qdから、吸入空気量の戻し量Qrを減算することにより求めた修正吸入空気量Qcとする。本実施形態において、吸入空気量の戻し量Qrは、潤滑油の粘度ηの増加にしたがって大きく設定するので、修正吸入空気量Qcは、潤滑油の粘度ηの増加にしたがって小さくなる。これによって、潤滑油粘度が大きくなって、排気弁42が閉じ切らない現象がより顕著に発生する場合には、内燃機関1の吸入空気量をより小さくすることができるので、排気弁42が閉じ切らない現象を、より効果的に抑制することができる。ここで、吸入空気量の戻し量Qrは、ステップS102で推定した潤滑油の粘度ηから求める。
なお、上記例では、点火時期の遅角量及び吸入空気量の増量をそれまでより緩和にあたって、点火時期遅角の戻し量θdrや吸入空気量の戻し量Qrを潤滑油の粘度ηに応じて変化させたが、点火時期遅角の戻し量θdrや吸入空気量の戻し量Qrを一定として基本の点火時期の遅角量θdや基本の吸入空気量Qdから減算してもよい。このようにすれば、演算が簡易になるので、機関ECU7が備える、CPUで構成される処理部72の演算負荷が軽減される。次に、本実施形態の変形例に係る内燃機関の始動制御を説明する。
図21は、本実施形態の変形例に係る内燃機関の始動制御の手順を示すフローチャートである。本変形例に係る内燃機関の冷却制御は、上記内燃機関の始動制御とほぼ同様であるが、潤滑油の粘度ηに応じて、点火時期の遅角量及び吸入空気量の増量を緩和する点が異なる。他の構成は、上述した内燃機関の始動制御と同様である。
本変形例に係る内燃機関の始動制御におけるステップS201、ステップS202は、上述した内燃機関の始動制御におけるステップS101、ステップS102と同様なので、説明を省略する。ステップS203において、始動時制御変更部76は、粘度推定部75が推定した現時点における潤滑油の粘度ηに応じて、点火時期遅角量及び吸入空気量増量を緩和する。
点火時期遅角量を緩和するにあたって、始動時制御変更部76は、粘度推定部75が推定した潤滑油の粘度ηを図19に示すマップに与え、対応する修正点火時期遅角量θdcを取得し、この修正点火時期遅角量θdcを内燃機関1の点火時期とする。また、吸入空気量増量を緩和するにあたって、始動時制御変更部76は、粘度推定部75が推定した潤滑油の粘度ηを図20に示すマップに与え、対応する修正吸入空気量Qcを取得し、この修正吸入空気量Qcを内燃機関1の吸入空気量とする。
これによって、潤滑油の粘度ηに応じて、点火時期遅角量及び吸入空気量増量が緩和される。このように、潤滑油の粘度ηに応じて、点火時期遅角量及び吸入空気量増量を緩和することにより、より制御の精度を向上させることができる。これによって、排気弁42が閉じ切らない現象を閉じ切らない現象をより確実に抑制して、大気中に放出される排ガスに含まれるHCやNOx等の増加及びドライバビリティの悪化をより効果的に抑制することができる。
以上、本実施形態及びその変形例では、油圧式のラッシュアジャスタを備える内燃機関において、潤滑油の粘度を推定するとともに、推定した潤滑油の粘度に基づいて、内燃機関の点火時期及び吸入空気量を制御する。油圧式のラッシュアジャスタは、作動油である潤滑油がラッシュアジャスタのプランジャ内から流出することにより、排気弁の伸びを吸収する。作動油である潤滑油の粘度が高いほど、潤滑油はプランジャ内から流出しにくくなるので、ラッシュアジャスタは排気弁の伸びを吸収しにくくなる。このように、油圧式のラッシュアジャスタを備える内燃機関においては、ラッシュアジャスタの作動油である内燃機関の潤滑油の粘度と、排気弁の伸びに起因する排気弁が閉じ切らない現象との相関が高い。
本実施形態及びその変形例では、この性質を利用して、例えば、排気弁に対して設けられるラッシュアジャスタの作動油である潤滑油の粘度が所定の値よりも大きい場合には、内燃機関の点火時期の遅角及び吸入空気量の増量を禁止する。これによって、排気弁の伸びを抑制できるので、ラッシュアジャスタが排気弁の伸びを吸収しにくい状態であっても、排気弁の伸び自体が抑制されるため、排気弁が閉じ切らないことに起因する燃焼悪化を抑制することができる。このように、本実施形態及びその変形例では、推定した潤滑油の粘度に基づいて、内燃機関の点火時期及び吸入空気量を制御することにより、ラッシュアジャスタが排気弁の伸びを吸収しにくい状態においては、排気弁の伸び自体が抑制されるので、排気弁が閉じ切らないことに起因する燃焼悪化を抑制することができる。
以上のように、本発明に係る内燃機関及び内燃機関の始動制御装置は、少なくとも排気弁側に油圧式のラッシュアジャスタを備える内燃機関に有用であり、特に、前記内燃機関を冷間始動する際に適している。
本実施形態に係る内燃機関の概略構成図である。 本実施形態に係る内燃機関が備える排気側ラッシュアジャスタの取り付け部を示す装置構成図である。 本実施形態に係る排気側ラッシュアジャスタの構成を示す断面図である。 排気側ラッシュアジャスタの動作を示す説明図である。 排気側ラッシュアジャスタの動作を示す説明図である。 排気側ラッシュアジャスタの動作を示す説明図である。 吸気弁タイミング変更機構及び排気弁タイミング変更機構の構成を示す斜視図である。 本実施形態に係る内燃機関の始動制御の手順を示すフローチャートである。 内燃機関の始動時における機関回転数の最大値と潤滑油の粘度との関係を示す説明図である。 内燃機関の始動後における機関回転数の変化を示す模式図である。 内燃機関の始動時における機関回転数の上昇速度に基づいて潤滑油の粘度を推定する手法を示す概念図である。 内燃機関の始動時における点火時期の補正量に基づいて潤滑油の粘度を推定する手法を示す概念図である。 内燃機関の始動時における点火時期の補正量の説明図である。 内燃機関の始動時におけるクランキング回転数の大きさに基づいて潤滑油の粘度を推定する手法を示す概念図である。 吸気弁タイミング変更機構又は排気弁タイミング変更機構の作動角度指令値に対する実際の作動角度の遅れを示す説明図である。 吸気弁タイミング変更機構又は排気弁タイミング変更機構の作動角度指令値に対する実際の作動角度の遅れに基づいて潤滑油の粘度を推定する手法を示す概念図である。 内燃機関の始動後における潤滑油の圧力の変化を示す模式図である。 潤滑油の圧力を検出する手段の出力と潤滑油の粘度との関係を示す説明図である。 点火時期を説明するための模式図である。 点火時期遅角の戻し量と潤滑油の粘度との関係を示す説明図である。 点火時期遅角量と潤滑油の粘度との関係を示す説明図である。 吸入空気量と潤滑油の粘度との関係を示す説明図である。 本実施形態の変形例に係る内燃機関の始動制御の手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1 内燃機関
2 燃料供給装置
3 内燃機関本体
4 弁装置
5 吸気経路
6 排ガス経路
7 機関ECU
8 アクセル開度センサ
11 吸気側ロッカーアーム
12 吸気側ラッシュアジャスタ
13 排気側ロッカーアーム
14 排気側ラッシュアジャスタ
15 油路
21 燃料噴射弁
22 燃料タンク
30 気筒
31 シリンダブロック
32 シリンダヘッド
33 ピストン
34 コネクティングロッド
35 クランク軸
36 点火プラグ
37 吸気ポート
38 排気ポート
39 クランク角度センサ
41 吸気弁
42 排気弁
43 吸気カムシャフト
43C 吸気カム
44 排気カムシャフト
44C 排気カム
45 吸気弁タイミング変更機構
45H 吸気側ハウジング
45L 油室
45Lf 進角室
45Ll 遅角室
45V 吸気側ベーン
46 吸気カムポジションセンサ
47 排気弁タイミング変更機構
47H 排気側ハウジング
47L 油室
47Lf 進角室
47Ll 遅角室
47V 排気側ベーン
49 排気カムポジションセンサ
52 エアフローメーター
53 スロットル弁
54 吸気通路
61 排ガス浄化触媒
62 排ガス通路
72 処理部
73 記憶部
74 制御条件判定部
75 粘度推定部
76 始動時制御変更部
90 潤滑油ポンプ
91 潤滑油吐出口
92 油圧スイッチ
93 油圧センサ

Claims (18)

  1. 少なくとも排気弁に対する油圧式のラッシュアジャスタと、
    摺動部を潤滑するための潤滑油の粘度を推定する粘度推定手段と、
    前記粘度推定部によって推定された前記潤滑油の粘度に基づいて、始動時における点火時期及び吸入空気量を制御する始動時制御変更手段と、
    を含むことを特徴とする内燃機関。
  2. 前記始動時制御変更手段は、
    前記潤滑油の粘度が高くなるにしたがって、基準の点火時期から点火時期を遅角させる点火時期の遅角量を小さくするとともに、基準の吸入空気量から増加させる吸入空気量増量分を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関。
  3. 前記粘度推定手段は、
    前記内燃機関の始動時における前記内燃機関の機関回転数の最大値に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関。
  4. 前記粘度推定手段は、
    前記内燃機関の始動時における前記内燃機関の機関回転数の上昇速度に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関。
  5. 前記粘度推定手段は、
    前記内燃機関の始動時において前記内燃機関の機関回転数が所定の値に到達するまでの時間に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関。
  6. 前記粘度推定手段は、
    前記内燃機関の始動時において実行される、前記内燃機関の機関回転数の上昇速度に対応した点火時期の補正量に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関。
  7. 前記粘度推定手段は、
    前記内燃機関を始動させるための動力を前記内燃機関に与える内燃機関始動手段の回数数に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関。
  8. 前記粘度推定手段は、
    前記内燃機関の吸気弁の開閉時期を変更する開閉時期変更手段、又は排気弁の開閉時期を変更する開閉時期変更手段の少なくとも一方の動作指令に対する応答時間に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関。
  9. 前記粘度推定手段は、
    前記潤滑油の圧力の上昇に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関。
  10. 少なくとも排気弁に対する油圧式のラッシュアジャスタを備える内燃機関において、
    前記内燃機関の摺動部を潤滑するための潤滑油の粘度を推定する粘度推定部と、
    前記粘度推定部によって推定された前記潤滑油の粘度に基づいて、前記内燃機関の始動時における前記内燃機関の点火時期及び吸入空気量を制御する始動時制御変更部と、
    を含むことを特徴とする内燃機関の始動制御装置。
  11. 前記始動時制御変更部は、
    前記潤滑油の粘度が高くなるにしたがって、基準の点火時期から点火時期を遅角させる点火時期の遅角量を小さくするとともに、基準の吸入空気量から増加させる吸入空気量増量分を小さくすることを特徴とする請求項10に記載の内燃機関の始動制御装置。
  12. 前記粘度推定部は、
    前記内燃機関の始動時における前記内燃機関の機関回転数の最大値に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することを特徴とする請求項10又は11に記載の内燃機関の始動制御装置。
  13. 前記粘度推定部は、
    前記内燃機関の始動時における前記内燃機関の機関回転数の上昇速度に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することを特徴とする請求項10又は11に記載の内燃機関の始動制御装置。
  14. 前記粘度推定部は、
    前記内燃機関の始動時において前記内燃機関の機関回転数が所定の値に到達するまでの時間に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することを特徴とする請求項10又は11に記載の内燃機関の始動制御装置。
  15. 前記粘度推定部は、
    前記内燃機関の始動時において実行される、前記内燃機関の機関回転数の上昇速度に対応した点火時期の補正量に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することを特徴とする請求項10又は11に記載の内燃機関の始動制御装置。
  16. 前記粘度推定部は、
    前記内燃機関を始動させるための動力を前記内燃機関に与える内燃機関始動手段の回数数に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することを特徴とする請求項10又は11に記載の内燃機関の始動制御装置。
  17. 前記粘度推定部は、
    前記内燃機関の吸気弁の開閉時期を変更する開閉時期変更手段、又は排気弁の開閉時期を変更する開閉時期変更手段の少なくとも一方の動作指令に対する応答時間に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することを特徴とする請求項10又は11に記載の内燃機関の始動制御装置。
  18. 前記粘度推定部は、
    前記潤滑油の圧力の上昇に基づいて、前記潤滑油の粘度を推定することを特徴とする請求項10又は11に記載の内燃機関の始動制御装置。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015175277A (ja) * 2014-03-14 2015-10-05 株式会社デンソー エンジンロストルク学習装置

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