JP2008280380A - ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】ゴム組成物の耐摩耗性を改良する。
【解決手段】ジエン系ゴム100重量部に対し、少なくとも2つのポリブタジエン系ポリマー部分を主鎖中に有し、かつ該ポリブタジエン系ポリマー部分がウレタン結合を介して結合されたウレタンジエンポリマーを、1〜20重量部含有するゴム組成物、特にタイヤトレッド用に好適なゴム組成物である。該ジエン系ゴムとしてはブタジエンゴムを含むものであることが好ましい。上記ウレタンジエンポリマーは、ウレタン結合部位が分子間水素結合することにより、外部より入力されるエネルギーに対し、可逆的に切断・結合を起こすことでエネルギーを緩和させ、耐摩耗性を改良することができる。
【選択図】なし
【解決手段】ジエン系ゴム100重量部に対し、少なくとも2つのポリブタジエン系ポリマー部分を主鎖中に有し、かつ該ポリブタジエン系ポリマー部分がウレタン結合を介して結合されたウレタンジエンポリマーを、1〜20重量部含有するゴム組成物、特にタイヤトレッド用に好適なゴム組成物である。該ジエン系ゴムとしてはブタジエンゴムを含むものであることが好ましい。上記ウレタンジエンポリマーは、ウレタン結合部位が分子間水素結合することにより、外部より入力されるエネルギーに対し、可逆的に切断・結合を起こすことでエネルギーを緩和させ、耐摩耗性を改良することができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリブタジエン系ポリマー部分とウレタン結合とを有するウレタンジエンポリマーを配合したゴム組成物、及び、該ゴム組成物を用いた空気入りタイヤに関する。
従来、ゴム組成物の特性を改良するため、ベースとなるジエン系ゴムに対して、種々の変性ポリマーを添加することが提案されている。
例えば、下記特許文献1には、氷上路面との親和性を向上するために末端に水酸基を有する液状ポリブタジエンを配合するとともに、該液状ポリブタジエンの配合による物性低下を補うためにシランカップリング剤を配合したゴム組成物が開示されている。この文献では、低分子量のポリブタジエンを配合することは開示されているものの、該ポリマー中にウレタン結合を導入することは何ら開示されていない。
また、下記特許文献2には、ポリイソプレン系ゴムとポリブタジエン系ゴムの合計量100重量部に対して、1,4−シス結合含量が40重量%以上のポリブタジエン系ブロックとポリイソプレン系ブロックとからなるブロック共重合体を0.5〜25重量部配合することが提案されている。この文献では、上記ブロック共重合体が相溶化剤として作用することは開示されているが、ポリブタジエン系ブロック中の1,4−シス結合含量のみに注目したものであり、該ブロック共重合体中にウレタン結合を導入することについては沈黙している。
また、下記特許文献3には、ゴム組成物に配合する変性ポリマーとして、ポリブタジエンの末端に、ウレタン結合を介してアルコキシシリル基などの有機ケイ素官能基を導入したものが開示されている。この文献では、ポリブタジエンにウレタン結合を導入することは開示されているが、ポリマーの末端にウレタン結合を介した有機ケイ素官能基を導入することにより、シリカの分散性を向上することを意図したものであり、ポリマーの内部にウレタン結合を導入することは開示されていない。すなわち、特許文献3では、その段落0014に記載されているように、末端に水酸基を持つポリブタジエンに、イソシアネート基及びアルコキシ基を有するシラン化合物を反応させることで、末端にウレタン結合を介してアルコキシシリル基を導入している。あるいはまた、末端に水酸基を有するポリブタジエンに、2つ以上イソシアネート基を有する化合物を反応させて末端にウレタン結合を有するウレタンプレポリマーを得て、これに一級もしくは二級アミン又は水酸基を有するアルコキシシリル基を持つシラン化合物を反応させることにより、末端にウレタン結合を介してアルコキシシリル基を導入している。このように、特許文献3は、あくまでポリマーの末端にウレタン結合を導入するものであり、後述する本発明の特徴を何ら開示するものではない。
なお、下記特許文献4には、ウレタン結合を有する化合物からなるゴム改質剤が開示されている。このゴム改質剤は、末端にカーボンブラックと反応する官能基を有するとともに、内部にゴムとの反応を狙ったモノ又はポリスルフィド部分を有するものであり、内部にジエン系ポリマー部分を持つものではない。そのため、本発明の特徴を何ら開示するものではない。
特開平7−118453号公報
特開2002−012702号公報
特開2005−350603号公報
特開2002−294000号公報
本発明者は、主鎖中にポリブタジエン系ポリマー部分とウレタン結合を有するウレタンジエンポリマーをジエン系ゴムに添加することにより、耐摩耗性が改良されることを見い出し、本発明を完成にするに至った。すなわち、本発明は、耐摩耗性を改良することができるゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明に係るゴム組成物は、ジエン系ゴム100重量部に対し、少なくとも2つのポリブタジエン系ポリマー部分を主鎖中に有し、かつ該ポリブタジエン系ポリマー部分がウレタン結合を介して結合されたウレタンジエンポリマーを、1〜20重量部含有するものである。
前記ウレタンジエンポリマーは数平均分子量が2000〜10000であることが好ましい。また、前記ジエン系ゴムはブタジエンゴムを含むものであることが好ましい。
該ゴム組成物は、タイヤトレッド用ゴム組成物として用いられることが好ましく、従って、本発明はまた、該ゴム組成物からなるトレッドを備える空気入りタイヤを提供するものである。
本発明によれば、上記ウレタンジエンポリマーを配合することにより、ゴム組成物の耐摩耗性を向上することができる。これは、該ウレタンジエンポリマーがポリブタジエン系ポリマー部分同士の結合部位にウレタン結合を有し、このポリマー内部に導入されたウレタン結合部位が分子間水素結合することによるものと考えられる。すなわち、該分子間水素結合は、可逆的な物理結合であるため、外部より入力されるエネルギーに対し、可逆的に切断・結合を起こすことができ、エネルギーを緩和させるものと考えられる。
また、該ウレタンジエンポリマーはポリブタジエン系ポリマー部分を持ち、この部分がゴム組成物中のジエン系ゴムとともに共加硫可能であるため、機械的強度を維持やすい。
また、ゴム組成物のジエン系ゴムとしてブタジエンゴムを含む場合、前記ウレタンジエンポリマーのポリブタジエン系ポリマー部分が相溶化剤的に作用し、マトリクスゴム中での分散不良等の問題を抑制して、機械的強度を一層維持しやすい。
また、前記ウレタンジエンポリマーの数平均分子量が2000〜10000のように低分子量である場合、ゴム組成物のムーニー粘度が低下し、加工性を改良することができる。しかも、この場合、上記ウレタン結合部位の水素結合による補強効果により、一般に低分子量ポリマーを配合した場合に見られる機械強度や硬度の低下を抑えることができる。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本発明に係るゴム組成物に配合するウレタンジエンポリマーは、少なくとも2つのポリブタジエン系ポリマー部分を主鎖中に有し、かつ該ポリブタジエン系ポリマー部分がウレタン結合を介して結合されたポリマーである。該ウレタン結合は、2つのポリブタジエン系ポリマー部分の間に少なくとも1つ介在していればよい。また、2つのポリブタジエン系ポリマー部分の間には、ウレタン結合とともに、他のポリマー部分が介在しても構わない。
上記ポリブタジエン系ポリマー部分は、1,3−ブタジエン単位を主たる構成単位とするポリマー部分である。該ポリマー部分中の1,3−ブタジエン単位含量は70重量%以上であることが好ましく、より好ましくは90重量%以上であり、100重量%が特に好ましい。
ポリブタジエン系ポリマー部分を構成し得る他の単量体単位としては、特に限定されないが、例えば、イソプレン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエンなどの1,3−ブタジエン以外の共役ジエン、スチレンなどの芳香族ビニル;エチレン、プロピレン、イソブテンなどのオレフイン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。これらの単量体単位は、ポリブタジエン系ポリマー部分中でランダムに結合されていることが好ましい。
ポリブタジエン系ポリマー部分のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される数平均分子量は1000〜5000であることが好ましい。より好ましくは、該数平均分子量は1500〜3500である。該数平均分子量が小さすぎると、ゴム組成物中に配合するジエン系ゴムとの親和性が損なわれる。逆に大きすぎると、ウレタンジエンポリマー全体の分子量が大きくなって、加工性の改良効果が得られにくくなる。
該ウレタンジエンポリマーは、ポリブタジエン系ポリマー部分を主鎖中に少なくとも2つ有するが、好ましくは少なくとも3つ有することである。ポリブタジエン系ポリマー部分の連結個数が3つ以上であることにより、ウレタンジエンポリマー中におけるウレタン結合の数が増え、上記の分子間水素結合によるエネルギー緩和効果を大きくすることができる。なお、主鎖中に含まれる複数のポリブタジエン系ポリマー部分は互いに同じ分子量を有するものであってもよく、異なる分子量を有するものであってもよい。
該ウレタンジエンポリマーにおいて、隣接する2つのポリブタジエン系ポリマー部分は、下記一般式(1)で表される結合基を介して結合されることが好ましい。
−O−CO−NH−R−NH−CO−O− …(1)
式(1)中、Rは2価有機基であり、例えば、ジイソシアネート化合物の脱イソシアネート残基が挙げられる。
式(1)中、Rは2価有機基であり、例えば、ジイソシアネート化合物の脱イソシアネート残基が挙げられる。
該ウレタンジエンポリマーは、両末端に水酸基を持つポリブタジエン系ポリマーとジイソシアネート化合物を反応させて合成することが好適である。ジイソシアネート化合物を用いることにより、ポリブタジエン系ポリマー部分同士の結合部位にウレタン結合を容易に導入することができる。また、この場合、得られたウレタンジエンポリマーの末端に水酸基を持たせることができるので、表面に極性基を持つ充填剤との親和性を向上することができる。
より好ましくは、数平均分子量が1000〜5000である水酸基末端液状ポリブタジエン系ポリマーと、ジイソシアネート化合物とから上記ウレタンジエンポリマーを合成することである。具体的な合成方法としては、水酸基末端ポリブタジエン系ポリマーに対し、その末端の水酸基にジイソシアネート化合物を反応させてウレタン結合を形成することで、ジイソシアネート化合物を導入する。次いで、この末端にジイソシアネート化合物を導入した上記ポリマーに対して、水酸基末端ポリブタジエン系ポリマーを加えて、その末端の水酸基と上記ジイソシアネート化合物の未反応のイソシアネート基を反応させる。これにより、内部にウレタン結合を有するポリブタジエン系ポリマーを得ることができる。
ジイソシアネート化合物の具体例としては、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などが挙げられる。
該ウレタンジエンポリマーのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される数平均分子量は2000〜500000であることが好ましい。より好ましい下限は3000であり、更に好ましい下限は4000であり、特に好ましい下限は5000である。また、より好ましい上限は100000であり、更に好ましい上限は20000であり、特に好ましい上限は10000である。該数平均分子量が小さすぎると、機械的強度を確保することが難しくなる。逆に大きすぎると、加工性が損なわれる。特に、該ウレタンジエンポリマーの数平均分子量が10000以下であると、ゴム組成物に配合した場合に、ムーニー粘度の低下が見られ、加工性が改良される。
該ウレタンジエンポリマーにおいては、ポリブタジエン系ポリマー部分同士の結合部位に、シリカなどの充填剤と親和性のあるポリマー成分を介在させることもできる。例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、ポリエチレングリコール(PEG)などのポリエーテルポリオールを介してポリブタジエン系ポリマー部分同士を結合すると、該ポリエーテル部分がシリカと親和性を発揮するため、シリカの分散性を向上することができる。この場合、より具体的には、分子量200〜600程度のポリエーテルポリオールの両末端にジイソシアネート化合物を反応させて両末端にイソシアネート基を持つポリエーテルを得て、これと水酸基末端ポリブタジエン系ポリマーを反応させればよい。
該ウレタンジエンポリマーは、ジエン系ゴム100重量部に対し、1〜20重量部配合され、より好ましくは2〜10重量部配合されることである。ウレタンジエンポリマーの配合量が1重量部よりも少ないと、耐摩耗性の改良効果が不十分となる。逆にウレタンジエンポリマーの配合量が多すぎると、機械的強度や耐摩耗性が悪化する傾向となる。
本発明に係るゴム組成物において、ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、合成イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられ、これらはいずれか単独で用いても2種以上併用してもよい。
ジエン系ゴムとして、好ましくは、ブタジエンゴム、又は、単量体単位として1,3−ブタジエン単位と他の単量体単位を共重合してなるブタジエン系共重合体ゴム(SBR,NBRなど)を用いることである。これらのブタジエン系ゴムを用いることにより、ポリブタジエン系ポリマー部分を有する上記ウレタンジエンポリマーが相溶化剤として作用するので、該ウレタンジエンポリマーのマトリクスゴム中への分散を良好にして、機械的強度を効果的に維持することができる。より好ましくは、少なくともブタジエンゴムを用いることであり、更に好ましくはジエン系ゴムとしてブタジエンゴムを50重量%以上用いることである。また、タイヤトレッド用ゴム組成物として用いる場合、ブタジエンゴムと天然ゴム又は合成イソプレンゴムとのブレンドであることが好ましい。
本発明に係るゴム組成物には、通常、充填剤を配合する。充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、クレー、ゼオライトなどの各種無機充填剤を用いることができ、これらはいずれか単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。好ましくは、カーボンブラック、シリカ、又は、カーボンブラックとシリカの併用である。なお、シリカとしては、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカなどが挙げられる。該充填剤は、ジエン系ゴム100重量部に対し、20〜150重量部配合されることが好ましく、より好ましくは20〜100重量部配合されることである。
本発明に係るゴム組成物には、上記した成分の他に、軟化剤、シランカップリング剤、ステアリン酸、可塑剤、亜鉛華、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤など、ゴム用の各種添加剤を配合することができる。
本発明に係るゴム組成物は、タイヤを始めとして、コンベアベルト、防振ゴムなどの各種ゴムに用いることができる。特には、該ゴム組成物は、耐摩耗性に優れることから、タイヤ用トレッドゴム、更にはトラックやバスなどの重荷重用タイヤのトレッドゴム用として好適に用いることができ、常法に従い加硫成形することにより、耐摩耗性に優れたトレッドを有する空気入りタイヤを製造することができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[合成例1(ウレタンジエンポリマー1の合成)]
両末端に水酸基を持つ水酸基末端液状ポリブタジエン(出光興産製「R−45HT」、数平均分子量=2800)100gと、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI、住化バイエルウレタン製「スミジュール44S」)41.5gを容器に入れ、窒素雰囲気下で撹拌しながら、70℃で2時間反応させた。これにより、液状ポリブタジエンの両末端の水酸基とMDIのイソシアネート基を反応させて、液状ポリブタジエンの両末端にウレタン結合を介してMDIを導入した。
両末端に水酸基を持つ水酸基末端液状ポリブタジエン(出光興産製「R−45HT」、数平均分子量=2800)100gと、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI、住化バイエルウレタン製「スミジュール44S」)41.5gを容器に入れ、窒素雰囲気下で撹拌しながら、70℃で2時間反応させた。これにより、液状ポリブタジエンの両末端の水酸基とMDIのイソシアネート基を反応させて、液状ポリブタジエンの両末端にウレタン結合を介してMDIを導入した。
次いで、上記で得た末端にMDIを導入した液状ポリブタジエン100gと、両末端に水酸基を持つ水酸基末端液状ポリブタジエン(出光興産製「R−45HT」、数平均分子量=2800)140gを容器に入れ、撹拌混合した後、70℃で2時間反応させた。これにより、前者の液状ポリブタジエンの両末端のMDIが持つ未反応のイソシアネート基と、後者の液状ポリブタジエンの末端の水酸基を反応させて、ポリブタジエン系ポリマー部分の両末端にMDIを介してポリブタジエン系ポリマー部分を導入した液状のウレタンジエンポリマー1を合成した。
得られたウレタンジエンポリマー1について、GPC分析を行って、数平均分子量を測定するとともに、13C−NMR分析を行って、ウレタン結合の存在を確認した。
GPC分析は、溶離液としてTHFを、カラムとしてPolymer Laboratories社製「PLgel−MIXED−E」を、検出器として示差屈折率検出器(RI)を用いて行った。その結果、得られたウレタンジエンポリマー1の数平均分子量は8500であった。
13C−NMR分析にはBRUKER社製「DPX400」を用い、試料の重クロロホルム溶液について室温にて測定した。その結果、カルボニル炭素シグナル(153.5ppm)により、ブロック結合部位におけるウレタン結合の存在が確認された。
以上より、ウレタンジエンポリマー1は、3つのポリブタジエン系ポリマー部分を有し、それらが上記式(1)により示されるウレタン結合を含む結合基により結合された、末端が水酸基のウレタン結合含有ポリマーであることが確認された。
[合成例2(ウレタンジエンポリマー2の合成)]
両末端に水酸基を持つ水酸基末端液状ポリブタジエン(出光興産製「R−45HT」、数平均分子量=2800)100gと、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI、住化バイエルウレタン製「スミジュール44S」)41.5gを容器に入れ、窒素雰囲気下で撹拌しながら、70℃で2時間反応させた。これにより、液状ポリブタジエンの両末端の水酸基とMDIのイソシアネート基を反応させて、液状ポリブタジエンの両末端にウレタン結合を介してMDIを導入した。
両末端に水酸基を持つ水酸基末端液状ポリブタジエン(出光興産製「R−45HT」、数平均分子量=2800)100gと、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI、住化バイエルウレタン製「スミジュール44S」)41.5gを容器に入れ、窒素雰囲気下で撹拌しながら、70℃で2時間反応させた。これにより、液状ポリブタジエンの両末端の水酸基とMDIのイソシアネート基を反応させて、液状ポリブタジエンの両末端にウレタン結合を介してMDIを導入した。
次いで、上記で得た末端にMDIを導入した液状ポリブタジエン100gと、両末端に水酸基を持つ水酸基末端液状ポリブタジエン(出光興産製「R−15HT」、数平均分子量=1200)64gを容器に入れ、撹拌混合した後、70℃で2時間反応させた。これにより、前者の液状ポリブタジエンの両末端のMDIが持つ未反応のイソシアネート基と、後者の液状ポリブタジエンの末端の水酸基を反応させて、ポリブタジエン系ポリマー部分の両末端にMDIを介してポリブタジエン系ポリマー部分を導入した液状のウレタンジエンポリマー2を合成した。
得られたウレタンジエンポリマー2について、合成例1と同様に、GPC分析を行ったところ、数平均分子量は5200であった。また、13C−NMR分析において、カルボニル炭素シグナル(153.5ppm)により、ブロック結合部位におけるウレタン結合の存在が確認された。よって、ウレタンジエンポリマー2は、3つのポリブタジエン系ポリマー部分を有し、それらが上記式(1)により示されるウレタン結合を含む結合基により結合された、末端が水酸基のウレタン結合含有ポリマーであることが確認された。
[第1実施例]
バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合に従い、実施例1〜6及び比較例1〜4の各タイヤトレッド用ゴム組成物を調製した。表1中の各成分は以下の通りである。
バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合に従い、実施例1〜6及び比較例1〜4の各タイヤトレッド用ゴム組成物を調製した。表1中の各成分は以下の通りである。
・イソプレンゴム:JSR製「IR2200」、
・ブタジエンゴム:JSR製「BR01」、
・カーボンブラック:ISAF級、東海カーボン製「シースト6」、
・液状ポリブタジエン:出光興産製「R−45HT」(数平均分子量=2800)。
・ブタジエンゴム:JSR製「BR01」、
・カーボンブラック:ISAF級、東海カーボン製「シースト6」、
・液状ポリブタジエン:出光興産製「R−45HT」(数平均分子量=2800)。
各ゴム組成物には、共通配合として、ジエン系ゴム100重量部に対し、亜鉛華(三井金属鉱業株式会社製「亜鉛華1号」)3重量部、ステアリン酸(花王株式会社製「ルナックS−20」)2重量部、老化防止剤6C(大内新興化学工業株式会社製「ノクラック6C」)2重量部、ワックス(大内新興化学工業株式会社製「サンノック」)2重量部、硫黄(細井化学工業株式会社製「ゴム用粉末硫黄150メッシュ」)2重量部、加硫促進剤CZ(大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーCZ」)1重量部、及び、加硫促進剤D(大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーD」)1重量部を配合した。
各ゴム組成物について、ムーニー粘度、硬さ、引張強さ、破断伸び、及び、耐摩耗性を測定・評価した。各測定・評価方法は以下の通りである。
・ムーニー粘度:JIS K6300に準拠して(L形ロータ)、予熱1分、測定4分、温度100℃にて測定。
・硬さ:150℃×30分で加硫した試験片(長さ×幅×厚み=45mm×45mm×12mm)について、JIS K−6253に準拠して、タイプAデュロメータ(A型)を用いて、23℃で硬度を測定。
・引張強さ、破断伸び:JIS K−6251に準拠し、150℃×30分で加硫した試験片(ダンベル3号形)につき、島津製作所製「オートグラフSES1000」を用いて、測定を行った。
・耐摩耗性:150℃×30分で加硫した試験片について、JIS K−6264に準拠したランボーン摩耗試験機を用いて測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
表1に示すように、ポリマー内部にウレタン結合を含有するポリブタジエンからなるウレタンジエンポリマーを、ブタジエンゴムを含むジエン系ゴムに配合した実施例1〜5では、硬さを維持しつつ、また引張特性も実質的に損なわずに、耐摩耗性が大幅に改良されていた。また、該ウレタンジエンポリマーを配合することで、ムーニー粘度の低下がみられ、加工性が改良されることが分かった。このようにムーニー粘度が下がるにもかかわらず、硬さは実質的に維持されていた。
これに対し、上記ウレタンジエンポリマーの配合量が多すぎる比較例2では、硬さを維持できず、引張特性も悪化し、また耐摩耗性の改良効果も損なわれた。また、上記ウレタンジエンポリマーの代わりに、液状ポリブタジエンを、ウレタンジエンポリマーと同等の組成で単に混合して添加した比較例3では、ムーニー粘度は下がるものの、硬さも低下し、また、耐摩耗性の改良効果も得られなかった。
一方、比較例4では、ブタジエンゴムの配合量を多くすることにより耐摩耗性は良好傾向であったが、引張特性が悪化した。これに対し、実施例6では、ブタジエンゴムの配合量を増加したにもかかわらず、ウレタンジエンポリマーを配合したことにより、引張特性の大幅な悪化は見られず、優れた耐摩耗性の向上効果が得られた。また、コントロールである比較例4に対してムーニー粘度が低く、加工性が改良されていた。
[第2実施例]
バンバリーミキサーを使用し、下記表2に示す配合に従い、実施例7及び比較例5,6の各タイヤトレッド用ゴム組成物を調製した。表2中のSBRはJSR製「SBR1502」であり、その他の成分、及び、共通配合については、第1実施例と同じである。
バンバリーミキサーを使用し、下記表2に示す配合に従い、実施例7及び比較例5,6の各タイヤトレッド用ゴム組成物を調製した。表2中のSBRはJSR製「SBR1502」であり、その他の成分、及び、共通配合については、第1実施例と同じである。
本発明に係るゴム組成物は、タイヤを始めとして、コンベアベルト、防振ゴムなどの各種の用途に用いることができる。特に、上記ウレタンジエンポリマーを配合することでゴム組成物の耐摩耗性を改良することができるので、耐摩耗性が要求されるタイヤ用トレッドゴム、特にはトラックやバスなどの重荷重用空気入りタイヤのトレッドゴム用として好適に用いることができる。
Claims (5)
- ジエン系ゴム100重量部に対し、
少なくとも2つのポリブタジエン系ポリマー部分を主鎖中に有し、かつ該ポリブタジエン系ポリマー部分がウレタン結合を介して結合されたウレタンジエンポリマーを、1〜20重量部含有する、
ゴム組成物 - 前記ウレタンジエンポリマーは、前記ポリブタジエン系ポリマー部分の数平均分子量が1000〜5000であり、前記ポリブタジエン系ポリマー部分が下記一般式(1)で表される結合基を介して結合されたものである、請求項1記載のゴム組成物。
−O−CO−NH−R−NH−CO−O− …(1)
(式中、Rは2価有機基である。) - 前記ウレタンジエンポリマーの数平均分子量が2000〜10000である、請求項1又は2記載のゴム組成物。
- 前記ジエン系ゴムがブタジエンゴムを含む、請求項1記載のゴム組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物からなるトレッドを備える空気入りタイヤ。
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JP (1) | JP2008280380A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113195243A (zh) * | 2018-12-13 | 2021-07-30 | 株式会社普利司通 | 橡胶组合物及使用其的轮胎 |
US11712926B2 (en) | 2017-12-15 | 2023-08-01 | Bridgestone Corporation | Polyurethane-containing tread rubber compositions and related methods |
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2007
- 2007-05-08 JP JP2007123650A patent/JP2008280380A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11712926B2 (en) | 2017-12-15 | 2023-08-01 | Bridgestone Corporation | Polyurethane-containing tread rubber compositions and related methods |
CN113195243A (zh) * | 2018-12-13 | 2021-07-30 | 株式会社普利司通 | 橡胶组合物及使用其的轮胎 |
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