JP2008275517A - 多回転絶対角検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】360度以上の角度範囲内の絶対角度を高精度に検出可能な多回転絶対角検出装置を提供する。
【解決手段】機構部に、回転体1と、回転体1に従動する従動回転部材2と、従動回転部材2に従動して間欠的に回転する間欠回転部材3と、従動回転部材2に取り付けられた磁石4と、磁石4と対向に配置され、従動回転部材2の1回転を1周期とする正弦信号及び余弦信号を出力する磁気センサ5と、間欠回転部材3に形成された第1及び第2のコードパターン6,7と、これらの各コードパターン6,7に対向して配置された第1乃至第7の検出素子8〜14とを含む。検出素子8〜14の出力信号に基づいて回転体1の1回転を等分するセクタを識別し、正弦信号及び余弦信号から算出される逆正接値に基づいてセクタ内の絶対角を検出する。回転体1と従動回転部材2との間に、中間回転部材23を配置することもできる。
【選択図】図1

Description

本発明は、360度以上の角度範囲内の絶対角度を検出する多回転絶対角検出装置に関する。
従来より、この種の多回転絶対角検出装置としては、同形状の多数の角度マーク又は歯を備えステアリングシャフトと一体となって回転するメインギアと、同形状の別の数の歯を備えた2つの検出用ギアとを共動させ、これらの検出用ギアに対応付けられた2つの磁気センサからそれぞれの検出用ギアの角度位置に相応する信号を評価回路に供給して回転体の角度を測定するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この特許文献1には、前記信号の供給手段として、2つの検出用ギアにマグネットを取り付け、マグネットの回転に伴う磁場の変化を2つの磁気センサを用いて検出する技術が開示されており、この技術によれば、回転体の回転角度を非接触で検出することができ、4回転を超えるハンドル回転又は操舵軸回転を検出できる。
特許第3792718号公報
しかしながら、2つの磁気センサの出力信号には、各センサ間の磁気特性のバラツキ、各センサに供給される印加電圧の変動及び機構部のガタなどに起因する誤差が含まれるため、特許文献1に開示の技術のように、評価装置において2つの検出用ギアの歯数や磁気センサから出力される2つのアナログ信号のデータなどに基づいて、角度検出のために複雑な計算処理を行わなければならないという問題がある。
本発明は、かかる従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、360度以上の角度範囲内の絶対角度を簡単な信号処理によって検出可能な多回転絶対角検出装置を提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するため、外周部に第1歯車を備え360度を超える有限の角度範囲内で回転する回転体と、該回転体と連動して該回転体に対して増速回転される従動回転部材と、該従動回転部材に突設される駆動ピンと、該駆動ピンに駆動されて前記回転体に対し減速回転するように間欠回転する間欠回転部材と、前記従動回転部材の回転角度に応じたアナログ信号を出力する第1検出手段と、前記間欠回転部材の回転角度に応じたデジタル信号を出力する第2検出手段と、前記デジタル信号に基づいて前記回転体の可動範囲を複数のセクタに分割すると共に、それらの各セクタのそれぞれと前記アナログ信号とを対応させて前記回転体の絶対角度を検出する信号処理部とを備えるという構成にした。
かかる構成によると、デジタル信号とアナログ信号とを組み合わせて絶対角度を検出するので、信号処理部における角度検出を複雑化することなく、簡単な信号処理によって360度以上の角度範囲内で回転する回転体の絶対角度を検出することができる。
また本発明は、前記従動回転部材が外周部に前記第1歯車の歯数よりも少ない歯数をもつ第2歯車を備え、該第2歯車が前記回転体の第1歯車と噛合するという構成にした。
かかる構成によれば、簡単な減速機構によって360度以上の角度範囲内の絶対角度を高精度に検出できる。
さらに本発明は、前記従動回転部材が外周部に前記第1歯車の歯数よりも少ない歯数をもつ第2歯車を備え、前記回転体及び前記従動回転部材が中間回転部材を介して連動されるように構成し、該中間回転部材は、前記回転体の第1歯車の歯数よりも少ない歯数をもつ第3歯車を外周部に備えるとともに、該第3歯車と同心でかつ第3歯車の歯数よりも少ない歯数をもつ第4歯車を備え、該第4歯車が前記従動回転部材の第2歯車と噛合し、前記第3歯車が前記回転体の第1歯車と噛合する構成とすることが好ましい。
かかる構成によれば、大きな減速比をもつ多回転絶対角検出装置を小型化することができる。すなわち上記構成によれば、回転体に対する間欠回転部材の減速比が、回転体に対する従動歯車の増速比と、中間回転部材に対する従動回転部材の減速比と、従動回転部材に対する間欠回転部材の減速比との積算値となり、従動回転部材を介装しない上記構成の減速比よりも大きく設定できるため、ゼネバ歯車のように減速比を大きくすると極端に大型化する間欠回転部材を大きくすることなく全体の減速比を大きく設定できるので、多回転絶対角検出装置の小型化を図ることができる。
また本発明は、前記第1検出手段が、前記従動回転部材に取り付けられた磁石と、該磁石と対向する磁気センサとからなるという構成にした。
かかる構成によれば、簡単な構成でアナログ信号を容易に生成することができる。
さらに本発明は、前記第2検出手段が、前記間欠回転部材の回転軸と同心に設けられた光学式又は磁気式のコードパターンと、該コードパターンに対向配置した発光部と受光部を備えた光学素子又は磁気センサを有するコード検出素子とからなるという構成とすることが好ましい。
かかる構成によれば、信頼性の高いデジタル信号を生成することができる。
また本発明は、前記磁気センサが、前記磁石の回転角度θに応じた磁界の方向変化によって正弦波及び余弦波による信号を出力し、前記信号処理部が、前記磁気センサの各出力信号に基づきtan−1θの信号を生成すると共に、これらのtan−1θの信号に基づいて前記回転体の回転角度を検出するという構成にした。
かかる構成により、各セクタ内の角度を単調増加又は減少するデータに基づいて求めることができるので、回転体の絶対角度を容易に検出することができる。
さらにまた本発明は、前記デジタル信号が、複数ビットからなる循環型のデジタルコードからなるという構成にした。
かかる構成により、循環型デジタルコードのうち任意のひとつを選択して回転中立位置に対応させることによって多回転絶対角検出装置の回転中心位置を設定できるので、多回転絶対角検出装置の回転中立位置を極めて容易に設定できる。
本発明の多回転絶対角検出装置は、外周部に第1歯車を備え360度を超える有限の角度範囲内で回転する回転体と、該回転体と連動して該回転体に対して増速回転される従動回転部材と、該従動回転部材に突設される駆動ピンと、該駆動ピンに駆動されて前記回転体に対し減速回転するように間欠回転する間欠回転部材と、前記従動回転部材の回転角度に応じたアナログ信号を出力する第1検出手段と、前記間欠回転部材の回転角度に応じたデジタル信号を出力する第2検出手段と、前記デジタル信号に基づいて前記回転体の可動範囲を複数のセクタに分割すると共に、それらの各セクタのそれぞれと前記アナログ信号とを対応させて前記回転体の絶対角度を検出する信号処理部とを備えるので、デジタル信号とアナログ信号とを組み合わせて絶対角度を検出でき、信号処理部における角度検出を複雑化することなく、簡単な信号処理によって360度以上の角度範囲内で回転する回転体の絶対角度を検出することができる。
〈第1実施形態〉
以下、本発明に係る多回転絶対角検出装置の第1実施形態を、図1乃至図6にしたがって説明する。図1は第1実施形態に係る多回転絶対角検出装置の機構部の平面図、図2は図1のII−II線に沿う断面図、図3は第1実施形態に係る磁気センサの構成図、図4は第1実施形態に係る間欠回転部材の一部拡大図、図5は第1実施形態に係る多回転絶対角検出装置の信号処理部の構成図、図6は第1実施形態に係る多回転絶対角検出装置の動作説明図である。
図1及び図2に示すように、本例の多回転絶対角検出装置の機構部は、回転体1と、回転体1の回転に連動し回転体1に対して増速回転する従動回転部材2と、従動回転部材2に突設される駆動ピン2aと係合して回転体1に対し減速回転する、ゼネバ歯車からなる間欠回転部材3と、従動回転部材2の回転中心に取り付けられた磁石4と、磁石4と対向に配置され、従動回転部材2の1回転を1周期とするsinθ、cosθ、−sinθ、−cosθの各信号を出力する磁気センサ5と、間欠回転部材3の回転軸を中心とする円周上に形成された第1及び第2のコードパターン6,7と、第1コードパターン6に対向して配置された第1乃至第6の検出素子8〜13と、第2コードパターン7に対向して配置された第7検出素子14と、磁気センサ5及び第1乃至第7の検出素子8〜14を実装する回路基板15とから主に構成されている。なお、本例の多回転絶対角検出装置では、第1検出手段が磁石4及び磁気センサ5から構成され、第2検出手段が第1,第2のコードパターン6,7と第1乃至第7の検出素子8〜14とから構成される。
回転体1は、例えば自動車のステアリングシャフトなどに連結され、1回転以上の有限の角度範囲内で回転する。本例においては、中立位置(0度の位置)を中心として±2.5回転の角度範囲(±900°)で回転するものとする。
回転体1と従動回転部材2とは、回転体1の外周部に形成された第1歯車21と従動回転部材2の外周部に形成された第2歯車22を噛み合わせている。本例においては、第1歯車21の歯数が第2歯車22の歯数よりも多く設定されており、回転体1に対して従動回転部材2が増速回転するようになっている。回転体1に対する従動回転部材2の増速比は、後述する1セクタに割り振る角度の大きさによって決定されるが、本例においては、第1歯車の歯数を72、第2歯車の歯数を60として増速比が6/5に設定されており、回転体1が±2.5回転する間に従動回転部材2は±3回転する。従動回転部材2の下面には、図2に示すように、間欠回転部材3を間欠回転させるための駆動ピン2aが突設されている。
磁気センサ5は、図2に示すように、回路基板15に実装され、所要のクリアランスを介して磁石4と対向に配置される。この磁気センサ5は、図3に示すように、4個の磁気検出素子5a〜5dからなり、各磁気検出素子5a〜5dは、短辺方向に磁化された2つの長方形の磁気抵抗素子5A,5Aの組みから構成されている。各磁気検出素子5a〜5dは、磁化方向が互いに直交するように組み合わされて、計8つの磁気抵抗素子5Aを抵抗素子とするブリッジ回路(図示略)が構成され、図示しない固定部材に固定された基板上に設けられる。それらの磁気抵抗素子5Aは、異方性磁気抵抗効果をもつ強磁性体膜からなり、その抵抗値が磁気センサに作用する磁束の向き(磁界の方向変化)に応じて変化することを利用して従動回転部材2の回転角を検出する。なお、磁気検出素子としては、磁気抵抗素子のほかにホール素子、磁気誘導素子などを用いることもできるが、直流駆動することができ、温度変化による出力変動が小さいことから磁気抵抗素子が特に適する。
各磁気検出素子5a〜5dは、磁石4の回転中心Xと同心の円周上に等分に配置される。したがって、磁石4の回転に伴い、磁気検出素子5a〜5dからは、図6(C)に示すように、位相が磁石4の回転周期の1/4(90°)ずつずれたsinθ、cosθ、−sinθ、−cosθの各信号が出力される。なお、本例の多回転角検出装置は、回転体1が1回転する間に磁石4が1.2回転するように歯車21,22の歯数が設定されているので、回転体1が1回転する間に磁気検出素子5a〜5dからは、sinθ、cosθ、−sinθ、−cosθの各信号が1.2周期分出力される。このように第1検出手段を構成すると、簡単な構成でアナログ信号を容易に生成することができる。
間欠回転部材3は、駆動ピン2aを挿入可能な6つの溝3aが間欠回転部材3の回転軸を中心に放射状に形成されており、従動回転部材2が1回転(360°回転)する毎に溝3aの1ピッチ分、即ち、60度ずつ間欠的に回転し、その回転の前後では停止する。
第1及び第2のコードパターン6,7は、遮光板をもって構成されており、駆動ピン2aとの干渉を防止するため、図4に示すように、間欠回転部材3の裏面との間に若干の段差3bを有するように全周にわたって形成した連結部3bから図中下方に突設される。連結部3bは、合成樹脂からなるゼネバ歯車の溝3aの数が多くなるときに生じやすくなる変形、すなわち溝3aが外方へ向けて拡開するような変形を抑えることができるので、絶対角度を精度よく検出することができる。
第1乃至第7の検出素子8〜14としては、発光素子と受光素子とが一体に形成されたフォトインタラプタが用いられる。これら第1乃至第7の検出素子8〜14は、第1又は第2のコードパターン6,7を介してその両側に発光素子と受光素子とが配置されるようにして回路基板15に実装される。本例において、図1に示す第1,第2のコードパターン6,7、及び第1乃至第7の検出素子8〜14の配列は、図6(E)に示すタイミングでD1〜D7のデジタル信号が出力される。
次に、本例に係る多回転絶対角検出装置の信号処理部50について説明する。図5に示すように、本例の信号処理部50は、磁気センサ5から出力されるsinθ、cosθ、−sinθ、−cosθの各信号を増幅する第1乃至第4の増幅器31〜34と、増幅されたsinθ、cosθ、−sinθ、−cosθの各信号をA/D変換する第1乃至第4のA/D変換器35〜38と、A/D変換されたsinθ、cosθ、−sinθ又は−cosθからtan−1θの信号、すなわちsinθ/cosθ、−sinθ/−cosθ、cosθ/−sinθ又は−cosθ/sinθをそれぞれ算出すると共に、算出されたtan−1θの信号の1周期(180°)を1セクタ(300度)にするための演算を行う演算部39と、演算部39から出力される信号(アナログ信号)、及び第1乃至第7の検出素子8〜14から入力される信号(デジタル信号)に基づいて回転体1の回転角度を検出する角度検出部41とから主に構成されている。なお、角度検出部41は、予め記憶しているセクタと6ビットコード列及び7ビットコード列との対応関係に基づいて、第1乃至第7の検出素子8〜14から入力される信号からセクタを識別し、識別したセクタと演算部39から出力される信号とによって回転体1の回転角度を決定する。また、演算部39で複数に分割されるセクタ数は、回転体1に対する間欠回転部材3の減速比、具体的には回転体1の第1歯車21の歯数、従動回転部材2の第2歯車22の歯数、及び従動回転部材2の駆動ピン2aと係合する間欠回転部材3の溝3aの数に基づいて適宜設定される。
次に、図6に基づいて多回転絶対角検出装置の動作を説明する。図6において、(A)は、回転体1及び従動回転部材2の回転角の関係、(B)は、回転体1の回転軸と間欠回転部材3の回転角との関係、(C)は、回転体1の回転角に応じた磁気センサ5の出力信号、(D)は、回転体1の回転角に応じた演算部39からの出力信号、(E)は、回転体1の回転角に応じた第1乃至第7検出素子8〜14からの出力信号の説明図であり、(F)は、回転体1の回転角に応じたグレイコード1,2及び1ビットコードを示す説明図である。
図6に示すように、回転体1が±900°回転(±2.5回転)すると、従動回転部材2が±1080°回転(±3回転)し、回転体1が300°回転する毎に間欠回転部材3が60°ずつ間欠的に回転する。また、従動回転部材2が回転体1と連動し回転すると、磁気センサ5から、sinθ、cosθ、−sinθ、−cosθの各信号が出力され、演算部39から、回転体1の全可動範囲が6セクタをなすように、それらの各信号に基づいて演算された1周期300°の逆正接信号が出力される。角度検出部40は、演算部39から出力される逆正接信号であるアナログ信号と、第1乃至第7検出素子8〜14からの出力信号に基づいて組合わせたデジタルコード、すなわち後述するグレイコード1,2及び1ビットコードとを対応させて回転体1の絶対角度を検出する。以下、回転体1及び従動回転部材2の角度0°を0セクタに対応させて、グレイコード1,2とセクタとの関係を説明する。
グレイコード1は、第1、第3及び第5の検出素子8,10,12の出力信号D1,D3,D5の組合せから作成される3ビットのグレイコードであり、回転体1が300度回転する毎に1ビットずつ変化し、かつ回転体1の360度を超える有限の角度範囲の両端のグレイコードが同一になるように構成されている。グレイコード2は、第2、第4及び第6の検出素子9,11,13の出力信号D2,D4,D6から作成される3ビットのグレイコードであり、グレイコード1と同様に、300°回転する毎に1ビットずつ変化し、かつ両端のグレイコードが同一になるように構成されている。
グレイコード1のコード切換部とグレイコード2のコード切換部は、相互にずれるように設定される。グレイコード1とグレイコード2のコード切換部は、図6(D)に示す逆正接信号が直線上に立ち上がる部分から急激に立ち下がる部分への切り換わり量が各検出素子8〜13の取付誤差などに起因してずれる領域と重複しないように設定される。
このようにすると、グレイコード1とグレイコード2とを組合わせた6ビットコードは、回転体1の回転にしたがって、例えば図6(F)に示すように、0セクタからプラス方向に「101101」、「001101」、「001001」へと1ビットずつ変化すると共に、マイナス方向へも同様に変化する循環型グレイコード列をなす。なお、それらの6ビットコードのうち、互いに異なるコードのグレイコード1,2を組合わせた6ビットコードは、セクタの切り換わる領域(セクタ切換領域)に対応し、一方、同一コードのグレイコード1,2を組合わせた6ビットコードは、セクタ切換領域を除いた領域に対応する。
したがって、角度検出部40では、6ビットコードに基づいてセクタを識別できる。例えば、6ビットコード「101101」はそのコードの並びから0セクタに対応し、6ビットコード「001001」は+1セクタに対応することが判る。また、6ビットコード「001101」は0セクタと+1セクタ間に介在するセクタ切換領域に対応することが判るので、演算部39から出力されるtan−1θの信号の値を参照することによってどちらのセクタに対応するのかを正しく識別できる。例えば、「001101」に対応する演算部39からの出力値がAであるとき、出力値Aが所定値(例えば演算部39からの出力信号の最大値と最小値の平均値)よりも小さいことから+1セクタに対応することが判り、その結果+1セクタであることを正しく識別できる。
ところで、第1乃至第6検出素子8〜13のうちのひとつが故障すると、6ビットコード列に基づきその故障を直ちに判別できる場合と、その故障を判別できずに誤ったセクタを識別してしまう場合とが生じる。例えば、0セクタに対応する6ビットコードが「101101」であるところ、第2検出素子9が故障して「1」だけを出力して「111101」となる場合、本例による循環型グレイコードにはこのようなコードが存在しないので、第1乃至第6検出素子8〜13のうちのひとつが故障していることを直ちに判別できる。一方、−1セクタと0セクタ間のセクタ切換領域にある本来0セクタ(6ビットコードが「101100」)が、もし第1検出素子8が故障して「0」を出力すると共に、間欠回転部材3などの寸法誤差や取付誤差の影響でコード切換部に位相ずれが生じて「001101」となる場合、演算部39からの出力値Aを参照して0セクタと+1セクタ間のセクタ切換領域「001101」であると判断してしまい、セクタ1と誤って判別することになる。
そこで、6ビットコードに第7検出素子14の出力信号D7による1ビットコードを組合わせた7ビットコードに基づいてセクタを検出すれば、もし検出素子に故障が生じた場合、その故障の存在を判別することができ、セクタを誤って識別して角度検出するという問題を回避することができる。たとえば上述のように、−1セクタと0セクタ間のセクタ切換領域内の6ビットコード「101100」について、第1検出素子8が故障して「0」を出力し、かつ間欠回転部材3の寸法誤差や取付誤差の影響でコード切換部に位相ずれが生じて「001101」となる場合、6ビットコード「001101」に1ビットコード「1」を組合わせた7ビットコード「0011011」に基づきセクタを検出すれば、本例による7ビットコードにはこのようなコードが存在しないので、第1乃至第6検出素子8〜13のうちのひとつが故障していることを判別できる。この1ビットコードは、セクタ切換領域と重複しないように、セクタ切換領域の直前で立上りかつ直後で立ち下がるデジタル信号にすると共に、ひとつおきのセクタ切換領域の一方を「1」、他方を「0」に設定することによって構成される。なお、1ビットコードの立上り位置及び立下り位置とセクタ切換領域との間に設定する位相差の大きさを、間欠回転部材3の寸法誤差や取付誤差の影響などで生じるコード切換部の位相ずれの大きさよりも小さく設定すると、7ビットコードでセクタを検出しても第1乃至第6の検出素子8〜13のうちのひとつが故障したことを判別できないことがある。
このように、本例の多回転絶対角検出装置は、信号処理部においてデジタル信号に基づいて回転体1の全可動範囲±2.5回転(±900度)を複数のセクタに分割し、各セクタ内の回転角度を磁気センサ5から出力される信号から演算により求められるアナログ信号、すなわちtan−1θに対応させて回転体1の絶対角度を検出するので、信号処理部における角度検出を複雑化することなく、簡単な信号処理によって360度以上の角度範囲内の絶対角度を高精度に検出することができる。また、各セクタ内の角度を単調増加又は単調減少するデータに基づいて求めることができ、回転体の絶対角度を容易に検出することができる。さらに本例は、デジタル信号である6ビットコードが循環型グレイコードであるため、どの6ビットコードを回転中立位置に設定しても、回転体1の360度を超える有限の角度範囲内で回転体1が300度回転する毎に1ビットずつ変化し、かつ両端の6ビットコードが同一となるので、それら6ビットコードのうち任意のひとつを選択して回転中立位置に対応させるだけで多回転絶対角検出装置の回転中立位置を設定でき、多回転絶対角検出装置の回転中立位置を極めて容易に設定できる。また、本例の多回転絶対角検出装置は、間欠回転部材3としてゼネバ歯車を用いたので、信頼性及び静粛性に優れる。
〈第2実施形態〉
以下、本発明に係る多回転絶対角検出装置の第2実施形態を、図8に基づいて説明する。第2実施形態に係る多回転絶対角検出装置は、図8に示すように、回転体1と従動回転部材2との間に、回転体1の回転を従動回転部材2に伝達する中間回転部材23を配置したことを特徴とする。
中間回転部材23は、歯数が異なる第3歯車24(歯数50)と第4歯車25(歯数30)を同心に形成したものであって、第3歯車24は回転体1に形成された第1歯車21と噛み合わされ、第4歯車25は従動回転部材2に形成された第2歯車22と噛み合わされる。その他の構成については、第1実施形態に係る多回転絶対角検出装置と同じであるので、説明を省略する。
図8の構成によれば、回転体1に対する間欠回転部材3の減速比が、回転体1に対する従動回転部材2の増速比と、中間回転部材23に対する従動回転部材2の減速比と、従動回転部材2に対する間欠回転部材3の減速比との積算値となり、従動回転部材2を介装しない第1実施形態の構成の減速比よりも大きく設定できるため、ゼネバ歯車のように減速比を大きくすると極端に大型化する間欠回転部材3を大きくすることなく全体の減速比を大きく設定できるので、多回転絶対角検出装置の小型化を図ることができる。
なお、前記実施形態においては、デジタルコード検出手段を遮光板とフォトインタラプタの組合せをもって形成したが、本発明の要旨はこれに限定されるものではなく、透孔や切り欠きなどの光学パターンとフォトインタラプタとの組合せ、磁気パターンと磁気検出素子との組合せ、又は抵抗体パターンと集電ブラシとの組合せなどをもって構成することもできる。
また、前記実施形態においては、合計7個の検出素子を用いて「グレイコード1」、「グレイコード2」及び「1ビットのコード」を生成したが、各検出素子の取付誤差等が問題にならない場合には、合計3個の検出素子を用いて3ビットのセクタ識別用グレイコードを1つだけ生成すれば足りる。
第1実施形態に係る多回転絶対角検出装置の機構部の平面図である。 図1のII−II線に沿う断面図である。 第1実施形態に係る磁気センサの構成図である。 第1実施形態に係る間欠回転部材の一部拡大図である。 第1実施形態に係る多回転絶対角検出装置の信号処理部の構成図である。 第1実施形態に係る多回転絶対角検出装置の動作説明図である。 第2実施形態に係る多回転絶対角検出装置の機構部の平面図である。
符号の説明
1 回転体
2 従動回転部材
3 間欠回転部材
4 磁石
5 磁気センサ
6 第1コードパターン
7 第2コードパターン
8〜14 検出素子
15 回路基板
23 中間回転部材
31〜34 増幅器
35〜38 A/D変換器
39 演算部
40 セクタ識別部
41 角度検出部
50 信号切換部

Claims (7)

  1. 外周部に第1歯車を備え360度を超える有限の角度範囲内で回転する回転体と、該回転体と連動して該回転体に対して増速回転される従動回転部材と、該従動回転部材に突設される駆動ピンと、該駆動ピンに駆動されて前記回転体に対し減速回転するように間欠回転する間欠回転部材と、前記従動回転部材の回転角度に応じたアナログ信号を出力する第1検出手段と、前記間欠回転部材の回転角度に応じたデジタル信号を出力する第2検出手段と、前記デジタル信号に基づいて前記回転体の可動範囲を複数のセクタに分割すると共に、それらの各セクタのそれぞれと前記アナログ信号とを対応させて前記回転体の絶対角度を検出する信号処理部とを備えることを特徴とする多回転絶対角検出装置。
  2. 前記従動回転部材が外周部に前記第1歯車の歯数よりも少ない歯数をもつ第2歯車を備え、該第2歯車が前記回転体の第1歯車と噛合することを特徴とする請求項1に記載の多回転絶対角検出装置。
  3. 前記従動回転部材が外周部に前記第1歯車の歯数よりも少ない歯数をもつ第2歯車を備え、前記回転体及び前記従動回転部材が中間回転部材を介して連動されるように構成し、該中間回転部材は、前記回転体の第1歯車の歯数よりも少ない歯数をもつ第3歯車を外周部に備えるとともに、該第3歯車と同心でかつ第3歯車の歯数よりも少ない歯数をもつ第4歯車を備え、該第4歯車が前記従動回転部材の第2歯車と噛合し、前記第3歯車が前記回転体の第1歯車と噛合することを特徴とする請求項1に記載の多回転絶対角検出装置。
  4. 前記第1検出手段は、前記従動回転部材に取り付けられた磁石と、該磁石と対向する磁気センサとからなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の多回転絶対角検出装置。
  5. 前記第2検出手段は、前記間欠回転部材の回転軸と同心に設けられた光学式又は磁気式のコードパターンと、該コードパターンに対向配置した発光部と受光部を備えた光学素子又は磁気センサを有するコード検出素子とからなることを特徴とする請求項4に記載の多回転絶対角検出装置。
  6. 前記磁気センサは、前記磁石の回転角度θに応じた磁界の方向変化によって正弦波及び余弦波による信号を出力し、前記信号処理部は、前記磁気センサの各出力信号に基づきtan−1θの信号を生成すると共に、これらのtan−1θの信号に基づいて前記回転体の回転角度を検出することを特徴とする請求項4に記載の多回転絶対角検出装置。
  7. 前記デジタル信号が、複数ビットからなる循環型のデジタルコードからなることを特徴とする請求項1に記載の多回転絶対角検出装置。
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