JP2008275386A - 光波距離計 - Google Patents

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Abstract

【課題】近距離から遠距離に亘って広い測定レンジを有しながら、低コストであって小型化が可能な光波距離計を提供する。
【解決手段】測定光30を出射する発光素子11と、測定光30を平行光にする投光光学素子15と、入射光を反射光と透過光に分離する光分離面181と、光分離面181を透過した測定光30を、測定対象物21へ到達するように反射させる光反射面182と、帰還光32が光分離面181で反射した第一帰還光321と、帰還光32が光反射面182で反射した第二帰還光322を受光し、集光して出射する受光光学素子16と、受光光学素子16によって集光された光を電気信号に変換する受光素子12とを備え、光分離面181に光を入射させた場合、光分離面181で反射される光の強度は、光分離面181を透過した後に光反射面182で反射される光の強度よりも低いことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、光波距離計に関する。
光波距離計は、発光素子から測定対象物に向かって測定光を照射してから、照射した測定光が測定対象物に反射されて帰還光として光波距離計内の受光素子に戻ってくるまでの時間を計測することにより、光波距離計から測定対象物までの距離を測定する装置である。このような装置による距離の測定においては、照射した測定光が測定対象物の表面で拡散反射してしまうと、光波距離計に戻ってくる帰還光の強度が低下してしまい、長距離にある測定対象物までの距離の測定が困難になってしまう。
そこで、長距離にある測定対象物に対しても距離の測定を可能とするため、測定対象物に再帰性反射部を設け、これに平行光を照射する方法がある。この再帰性反射部は、照射された光を、略その光が入射してきた方向に反射させる機能を有している。そのため、長距離にある測定対象物に平行光を照射しても、十分な強度の平行光が帰還光として光波距離計に戻ってくることになり、そのような長距離にある測定対象物までの距離の測定が可能となる。
しかし、このように再帰性反射部が設けられた測定対象物の測定においては、測定対象物からの帰還光を光波距離計内の受光素子に導くのが困難になる場合がある。即ち、再帰性反射部に平行光を入射させると、その帰還光は略平行光ではあるが僅かに拡がりながら、入射光が通過した光路を逆に進むことになる。そのため、測定対象物までの距離が十分に長い場合であれば、帰還光は光波距離計に到達する際には入射光よりも十分に拡がった光となるため、帰還光の拡がり部分を受光素子に導くことができる。それに対して、測定対象物までの距離が短い場合には、帰還光は光波距離計に到達する際には入射光と比較してほとんど拡がっていないため、帰還光の略全てが再び発光素子に戻ることとなり、帰還光を受光素子に導くことが困難となる。そのため、近距離から遠距離に亘って広い測定レンジを有する光波距離計を実現するためには、特別な工夫が必要となる。
そのような光波距離計を実現するため、下記特許文献1に記載の光波距離計においては、測定対象物から受光素子までの経路上に近接する位置に、帰還光の一部の光路を変化させるための拡散素材等を設けている。具体的には、下記特許文献1に記載の光波距離計は、遠距離の測定対象物を測定した際に、帰還光が受光素子に導かれるような光学系を有している。しかし、この光学系を用いて短距離の測定対象物の測定を行うと、その測定対象物からの帰還光の光路が長距離の測定対象物の測定を行った場合の光路からずれてしまい、帰還光を受光素子に導くことができなくなってしまう。このような問題点を解決するために、上述のような拡散素材等を設けている。これにより、帰還光は拡散素材等で拡散され、拡散された帰還光の一部は受光素子に入射することになる。このようにして、近距離から遠距離に亘って広い測定レンジを有する光波距離計を実現している。
特開平9−105625
しかしながら、上記特許文献1に記載の光波距離計においては、発光素子、受光素子、及び発光素子からの出射光を測定対象物に導き、帰還光を受光素子に導くための光学系に加えて、帰還光を拡散させるための拡散素材等の部品が必要となり、光波距離計のコストアップに繋がってしまうという問題がある。また、そのような部品を配置するための空間、及び、拡散させた帰還光を受光素子に導くための空間を確保する必要があるため、光波距離計の装置外形が大きくなってしまうという問題がある。
従って、本発明は、近距離から遠距離に亘って広い測定レンジを有しながら、低コストであって小型化が可能な光波距離計を提供することを目的とする。
本発明に係る光波距離計は、測定対象物が有する再帰性反射部に到達するように測定光を出射し、測定光が再帰性反射部で反射した光である帰還光を受光し、測定光の出射から帰還光の受光までの時間を計測することによって測定対象物までの距離を算出する光波距離計であって、測定光を出射する発光素子と、測定光が入射する位置に設けられ、測定光を平行光にして出射する投光光学素子と、投光光学素子から出射される測定光が入射し、かつ、投光光学素子の光軸と鋭角又は鈍角で交わり、入射した光を反射光と透過光に分離する光分離面と、光分離面と平行に光分離面よりも投光光学素子側とは反対側に位置し、光分離面を透過した測定光を、光分離面を透過した測定光が光分離面をさらに透過して測定対象物の再帰性反射部へ到達するように反射させる光反射面と、光軸が光分離面と鋭角又は鈍角で交わり、再帰性反射部へ到達した測定光の反射光である帰還光が光分離面で反射した第一帰還光のうち少なくとも一部と、帰還光が光分離面を透過した後に光反射面で反射した第二帰還光のうち少なくとも一部とを受光し、受光した第一帰還光及び第二帰還光を集光して出射する受光光学素子と、受光光学素子によって集光された光を電気信号に変換する受光素子とを備え、光分離面に対して、光分離面から光反射面に向かうように光を入射させた場合、光分離面で反射される光の強度は、光分離面を透過した後に光反射面で反射される光の強度よりも低いことを特徴とする。
本発明によれば、発光素子から出射した測定光は、投光光学素子により平行光にされた後に測定対象物が有する再帰性反射部に照射される。そのため、測定光が再帰性反射部で反射された光である帰還光は、略平行光であるが、僅かに拡がりながら測定光の通過した光路を逆方向に進むこととなる。そして、帰還光は、光分離面で反射する第一帰還光と、光分離面を透過した後に光反射面で反射する第二帰還光とに分離される。この際、光分離面と光反射面は平行であるため、第一帰還光と第二帰還光は、投光光学素子の光軸と略平行に進むこととなる。
第一帰還光は、第二帰還光よりも強度が低いが、測定対象物までの距離が短い場合には、光分離面に到達した際の帰還光の強度が高いため、第一帰還光の強度も十分高くなる。さらに、第一帰還光のうち少なくとも一部は、測定光とは異なる光路を投光光学素子の光軸と略平行に進むこととなるため、第一帰還光のうち少なくとも一部を受光光学素子に入射させて集光し、受光素子に入射させることが可能となる。
また、測定対象物までの距離が長い場合には、光反射面に到達した帰還光は測定光よりも十分に拡がっているため、第二帰還光は、測定光よりも十分に拡がることとなる。そのため、第二帰還光のうち少なくとも一部は測定光と異なる光路を投光光学素子の光軸と略平行に進むこととなるため、第二帰還光のうち少なくとも一部を受光光学素子に入射させて集光し、受光素子に入射させることが可能となる。
そのため、測定対象物までの距離が短くても長くても、十分な強度の帰還光を受光素子に入射させることが可能である。
また、本発明によれば、発光素子、受光素子、及び発光素子からの出射光を測定対象物に導き、帰還光を受光素子に導くための光学系のみで光波距離計を構成することができる。
従って、近距離から遠距離に亘って広い測定レンジを有しながら、低コストであって小型化が可能な光波距離計を得ることができる。
さらに、光分離面と光反射面は、一つの光学素子のそれぞれ対向する一対の面であることが好ましい。これにより、光分離面と光反射面を一つの部品で構成することが可能となるため、さらに、低コストであって小型化が可能な光波距離計を得ることができる。
さらに、投光光学素子と受光光学素子は、別個の素子であり、互いに投光光学素子の光軸方向に離間していることが好ましい。これにより、光波距離計の製造の際、投光光学素子と受光光学素子の焦点位置を、それぞれ独立に調整することが可能であるため、より精密に距離の測定が可能な光波距離計を得ることができる。
さらに、受光光学素子は、投光光学素子から出射される測定光を屈折させることなく透過又は通過させる非屈折部を有し、投光光学素子から出射される測定光の少なくとも一部は非屈折部を透過又は通過することが好ましい。これにより、受光光学素子を投光光学素子よりも光分離面側に配置することによって、光波距離計の外形において受光光学素子の光軸に沿った方向の長さの短縮化を図った構成においても、投光光学素子から出射された測定光を受光光学素子によって屈折させずに、測定対象物に到達させることができる。これにより、測定精度を保ちながら、より小型化が測られた光波距離計を得ることができる。
さらに、受光光学素子の光軸は、投光光学素子から出射される測定光の光束の側面に接して伸びていることが好ましい。これにより、第二帰還光のうち、測定光の通過した光路から少しでも離れた場所を進む部分を受光光学素子で受光することが可能となるため、より精密に距離の測定が可能な光波距離計を得ることができる。
また、投光光学素子と受光光学素子は、一体に形成された一つの光学素子であることが好ましい。これにより、必要な部品数が減少するため、より低コストであって小型化が可能な光波距離計を得ることができる。
本発明によれば、近距離から遠距離に亘って広い測定レンジを有しながら、低コストであって小型化が可能な光波距離計が提供される。
以下に、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、同一の要素は、同一の参照番号を用いて示されている。また、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見易さのため、それぞれ任意となっている。
[第一実施形態]
本発明に係る光波距離計の第一実施形態について、図1〜図4を用いて説明する。
図1は、測定対象物までの距離を測定している本実施形態に係る光波距離計の斜視図である。本実施形態に係る光波距離計10は、発光素子としてのレーザダイオード11、投光光学素子としてのコリメートレンズ15、裏面鏡18、受光光学素子としてのフレネルレンズ16、及び受光素子としてのフォトダイオード12を備えている。この光波距離計10による距離の測定においては、レーザダイオード11から測定光30をパルス波として出射し、それを測定対象物21が有する再帰性反射部22まで導く。そして、測定光30が再帰性反射部22で反射された光である帰還光32をフォトダイオード12まで導いて電気信号に変換する。そして、レーザダイオード11が測定光30を出射してから、フォトダイオード12が帰還光32を受光するまでの時間を測定することにより、光波距離計10から測定対象物21までの距離を算出する。
光波距離計10の構成及び光波距離計10による距離の測定方法の詳細について、図2〜4を用いて説明する。図2及び図3は、光波距離計10の構成及び光波距離計10による測定原理を示す模式図である。
まず、図2を用いて、光波距離計10の構成、及び測定対象物21までの距離が短い場合の測定原理について説明する。
図2の(a)は、レーザダイオード11から出射した測定光30が測定対象物21の再帰性反射部22に到達するまでの光路を示す模式図である。図2の(a)に示すように、まずレーザダイオード11からパルス状の測定光30を出射し、コリメートレンズ15に入射させる。レーザダイオード11は、コリメートレンズ15の焦点15fに配置されており、レーザダイオード11から出射した測定光30は、コリメートレンズ15によって平行光にされて出射される。平行光となった測定光30は、互いに平行であって、コリメートレンズ15の光軸15x方向に離間する光分離面181と光反射面182とを有する裏面鏡18に、光分離面181側から入射する。
裏面鏡18が有する光分離面181は、入射した光を反射光と透過光に分離する機能を有しており、その反射率は低く(例えば、1〜10%)、入射した光の大部分は透過することとなる。また、裏面鏡18が有する光反射面182は、入射した光の大部分を反射する機能を有するものである。そのため、光分離面181に対して、光分離面181から光反射面182に向かうように光を入射させた場合、光分離面181で反射される光の強度は、光分離面181を透過した後に光反射面182で反射される光の強度よりも低くなる。このような裏面鏡18としては、例えば板状ガラスの一面に対して、銀、アルミニウム等の金属薄膜を成膜したものや、これらの金属からなる板状部材を貼り合わせたものを挙げることができる。この場合、金属薄膜を成膜した面、又は金属からなる板状部材の板状ガラスと貼り合わせた面が光反射面182となり、それと対向する板状ガラスの面が光分離面181となる。
この裏面鏡18は、光分離面181及び光反射面182が、コリメートレンズ15の光軸15xと、鋭角(又は鈍角)で交差するように配置されている。そして、裏面鏡18に入射した測定光30の大部分は光分離面181を透過し、その後光反射面182で反射される。そして、この光反射面182で反射された測定光30は、測定対象物21が有する再帰性反射部22に入射し、再帰性反射部22で反射される。なお、裏面鏡18に入射した測定光30のうちの一部は、光分離面181で反射されるが、その強度は、光分離面181を透過した測定光30の強度よりも低く、また、測定に必要のない光となるため、その図示は省略する。
次に、測定光30が再帰性反射部22で反射された光である帰還光32の光路について、図2の(b)及び(c)を用いて説明する。これらの図は、測定対象物21までの距離が近い場合の帰還光32の光路を示すものである。また、図2の(a)における測定光30の光路を、30iとして破線で示す。
図2の(b)に示すように、再帰性反射部22に入射した平行光である測定光30(図2の(a)参照)は、再帰性反射部22で反射し、帰還光32となる。この再帰性反射部22は、入射した光を、それと略平行に反射する機能を有する。そのため、帰還光32は略平行光となり、測定光30が通過した光路30iを逆向きに光分離面181まで進むが、帰還光32は完全な平行光ではなく、僅かな拡がり角αを有しているため、僅かに拡がりながら光分離面181に入射する。
続いて、光分離面181に入射した帰還光32の一部は光分離面181で反射して第一帰還光321となる。この際、光分離面181は光反射面182と平行であるため、第一帰還光321は、コリメートレンズ15の光軸15xと略平行に略平行光として進む。また、光分離面181は光反射面182とコリメートレンズ15の光軸15xと垂直な方向に離間しているため、第一帰還光321の一部321aは、測定光30の光路30iとは異なる光路を進むこととなる。そして、第一帰還光321の一部321aは、コリメートレンズ15の光軸15xと同軸上の光軸16xを有し、レーザダイオード11よりもコリメートレンズ15側とは反対側に配置されたフレネルレンズ16に入射して集光され、フレネルレンズ16の焦点16fに配置されたフォトダイオード12に入射する。
ここで、光分離面181の反射率は低いため、帰還光32のうち、光分離面181で反射して第一帰還光321となる割合は低くなる。しかし、測定対象物21までの距離が短い場合、光分離面181に到達する際の帰還光32の強度は高いため、第一帰還光321の一部321aの強度も十分に高くなる。
また、図2の(c)に示すように、帰還光32のうちの一部は、光分離面181を透過した後に、光反射面182に到達する。この際、帰還光32は再帰性反射部22から光反射面182まで拡がりながら進むため、帰還光32の光反射面182に到達した時点での幅w32は、測定光30(図2の(a)参照)が光反射面182で反射した時点での幅w30よりも大きくなっているが、測定対象物21までの距離が短いため、幅w32と幅w30の差はごく僅かとなる。
そして、光反射面182に到達した帰還光32は、光反射面182で反射して第二帰還光322となり、コリメートレンズ15の光軸15xと略平行に略平行光として進む。この際、第二帰還光322のうち、測定光30の光路30iよりも拡がった部分322aは、測定光30の光路30iとは異なる光路を進むこととなる。そして、第二帰還光322の一部322aは、光軸16xが光分離面181と鋭角(又は鈍角)で交わるフレネルレンズ16に入射して集光され、フレネルレンズ16の焦点16fに配置されたフォトダイオード12に入射する。
ここで、光反射面182の反射率は高いため、光反射面182に到達した帰還光32の大部分は反射されて第二帰還光322となる。しかし、帰還光32の光反射面182に到達した時点での幅w32は、測定光30が光反射面182で反射した時点での幅w30と略同じ大きさのため、第二帰還光322の一部322aの強度は低くなる。そのため、測定対象物21までの距離が短い場合、第二帰還光322の大部分は、フォトダイオード12に入射しないこととなる。
従って、測定対象物までの距離が短い場合、レーザダイオード11から測定光30を出射してから、図2の(b)に示すように第一帰還光321の一部321aがフォトダイオード12に入射するまでの時間を測定することにより、光波距離計10から測定対象物21までの距離を算出することが可能となる。
次に、図3を用いて、測定対象物21までの距離が長い場合の測定原理について説明する。
図3の(a)及び(b)は、帰還光32の光路を示すものである。図3の(a)に示すように、測定対象物21までの距離が短い場合と同様に、帰還光32のうちの一部は光分離面181で反射して第一帰還光321となり、第一帰還光321の一部321aは、測定光30の光路30iとは異なる光路を進むこととなる。しかし、測定対象物21までの距離が長い場合には、光分離面181に到達した際の帰還光32の強度は低くなっており、さらに光分離面181の光反射率は低いため、第一帰還光321の一部321aの強度は非常に低くなってしまう。
また、図3の(b)に示すように、帰還光32のうちの一部は光分離面181を透過した後、光反射面182で反射され、第二帰還光322となる。この際、測定対象物21までの距離が長いため、測定対象物21までの距離が短い場合と比較して、光反射面182に到達した際の帰還光32の強度は低くなる。しかし、光反射面182の光反射率は高く、また、測定対象物21までの距離が長いため帰還光32の光反射面182に到達した時点での幅w32は、測定光30が光反射面182で反射した時点での幅w30よりも十分に大きくなる。そのため、第二帰還光322のうち、測定光30の光路30iよりも拡がった部分322aは十分な強度となり、フレネルレンズ16で集光され、フォトダイオード12に入射する。
従って、測定対象物までの距離が長い場合、レーザダイオード11から測定光30を出射してから、図3の(b)に示すように第二帰還光322の一部322aがフォトダイオード12に入射するまでの時間を測定することにより、光波距離計10から測定対象物21までの距離を算出することが可能となる。
図4に、第一帰還光321の一部321aと第二帰還光322の一部322aの光強度、及び、これらを足し合わせた光強度の、測定対象物21までの距離依存性を模式的に示す。
図4に示すように、上述の原理に基づき、第一帰還光321の一部321aは、測定対象物21までの距離が短いときは強度が高く、測定対象物21までの距離が長くなると強度が低くなる。一方、第二帰還光322の一部322aは、測定対象物21までの距離が短いときは強度が低く、測定対象物21までの距離が長くなると強度が高くなる。実際の測定において、フォトダイオード12には第一帰還光321の一部321aと第二帰還光322の一部322aが同時に入射することとなる(図2の(b)(c)及び図3の(a)(b)参照)。そのため、第一帰還光321の一部321aと第二帰還光322の一部322aを足し合わせた強度が問題となるが、その強度は図4に示すように測定対象物21までの距離が短い場合から長い場合に亘って、広い範囲で十分な大きさの光強度となる。即ち、測定対象物21までの距離が短くても長くても、本実施形態に係る光波距離計10によれば、十分な強度の第一帰還光321又は第二帰還光322をフォトダイオード12に入射させることが可能である。
また、本実施形態に係る光波距離計10によれば、レーザダイオード11、フォトダイオード12、及びレーザダイオード11からの測定光30を測定対象物21に導き、帰還光32をフォトダイオード12に導くための光学系のみで光波距離計10を構成することができる。
従って、近距離から遠距離に亘って広い測定レンジを有しながら、低コストであって小型化が可能な光波距離計を得ることができる。
さらに、本実施形態に係る光波距離計10においては、光分離面181と光反射面182は、一つの光学素子である裏面鏡18のそれぞれ対向する一対の面となっている(図1〜3参照)。そのため、光分離面181と光反射面182を一つの部品で構成することが可能となるため、さらに、低コストであって小型化が可能な光波距離計を得ることができる。
さらに、本実施形態に係る光波距離計10は、コリメートレンズ15とフレネルレンズ16は、別個の素子であり、互いにコリメートレンズ15の光軸15x方向に離間している(図1〜3参照)。そのため、光波距離計10の製造の際、コリメートレンズ15とフレネルレンズ16の焦点15f、16fを、それぞれ独立に調整することが可能であるため、より精密に距離の測定が可能な光波距離計を得ることができる。
なお、本実施形態においては、コリメートレンズ15の光軸15xとフレネルレンズ16の光軸16xは同軸上にあるが(図2及び図3参照)、これらは同軸上になくてもよい。例えば、図2において、フレネルレンズ16の光軸16xがコリメートレンズ15の光軸15xよりも、図中の上方又は下方にあってもよい。
なお、上述のように、フォトダイオード12には、第一帰還光321の一部321aと第二帰還光322の一部322aの両方が入射することとなる(図2及び図3参照)。そして、これらの強度の割合は、光波距離計10から測定対象物21までの距離で変わる。また、帰還光32の進む距離は、帰還光32が光分離面181で反射されるか、光反射面182で反射されるかによって、裏面鏡18の厚さ程度異なることとなる。そのため、フォトダイオード12に入射する第一帰還光321と第二帰還光322の割合に応じて、測定対象物21までの距離の算出において算出距離の補正が必要となる。この第一帰還光321と第二帰還光322の割合は、測定対象物までの距離と一対一に対応すると考えられるため、予め既知の距離にある測定対象物を複数測定し、それぞれの場合の距離の誤差を計測し、未知の距離にある測定対象物の測定時にその誤差を加味して距離を算出することにより、算出距離の補正を行うことができる。
[第二実施形態]
次に、本発明に係る光波距離計の第二実施形態について、図5〜図7を用いて説明する。
図5は、測定対象物までの距離を測定している本実施形態に係る光波距離計の斜視図である。また、図6は、本実施形態に係る光波距離計の構成及びこの光波距離計による測定原理を示す模式図である。
図5及び図6に示すように、本実施形態に係る光波距離計110は、第一実施形態と異なり、フレネルレンズ16´は、コリメートレンズ15と裏面鏡18との間に配置されている。また、フレネルレンズ16´は図7の(a)に示すように、半円状の切欠き部(非屈折部)16a´を有している。さらに、図6の(a)に示すように、第一実施形態と異なり、フレネルレンズ16の光軸16x´は、コリメートレンズ15の光軸15xと一致しておらず、コリメートレンズ15から出射される測定光30の光束の側面30sに接して伸びている。また、フレネルレンズ16´とコリメートレンズ15は、コリメートレンズ15の光軸15xに沿った方向から見て、半円状の切欠き部16a´の少なくとも一部と、コリメートレンズ15の少なくとも一部が重複するように、それぞれ配置されている。
そして、コリメートレンズ15から出射した測定光30の一部は、フレネルレンズ16´が有する半円状の切欠き部16a´を通過して、光分離面181に入射する。従って、測定光30がフレネルレンズ16´によって屈折や反射されることはない。
本実施形態に係る光波距離計110においても、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。即ち、図6の(b)に示すように、測定対象物21までの距離が短い場合、帰還光32が光分離面181で反射した第一帰還光321のうちの一部321aを利用して、測定対象物21までの距離を測定することができる。また、図6の(c)に示すように、測定対象物21までの距離が長い場合、帰還光32が光反射面182で反射した第二帰還光322のうちの一部322aを利用して、測定対象物21までの距離を測定することができる。また、本実施形態に係る光波距離計110によれば、レーザダイオード11、フォトダイオード12及び光学系のみで光波距離計110を構成することができる。従って、本実施形態においても、近距離から遠距離に亘って広い測定レンジを有しながら、低コストであって小型化が可能な光波距離計を得ることができる。
さらに、本実施形態においては、フレネルレンズ16´が半円状の切欠き部16a´を有しているため、フレネルレンズ16´をコリメートレンズ15と裏面鏡18との間に配置しても、十分な強度の測定光30を測定対象物21に入射させることが可能となっている。そのため、測定精度を保ちながら、光波距離計110の外形について、コリメートレンズ15の光軸15xに沿った方向の長さの短縮化を図ることができる。
さらに、本実施形態においては、図6の(a)に示すように、フレネルレンズ16´の光軸16x´は、コリメートレンズ15から出射される測定光30の光束の側面30sに接して伸びている。そのため、図6の(c)に示すように、第二帰還光322のうち、測定光30の光路30iから少しでも離れた場所を進む部分をフレネルレンズ16´で受光することが可能となるため、より精密に距離の測定が可能な光波距離計を得ることができる。
なお、本実施形態におけるフレネルレンズ16´は、図7の(a)に示す半円状の切欠き部16a´の代わりに、図7の(b)に示すような半円状の透過部(非屈折部)16a´を有していてもよい。この半円状の透過部16a´にはフレネルレンズが形成されておらず、例えば単なる透明板部となっており、コリメートレンズ15から出射した測定光30を屈折させることなく、透過させることができる。また、フレネルレンズ16´は、図7の(c)に示すような矩形状の切欠き部(非屈折部)16a´を有していてもよく、また、図7の(d)に示すような矩形状の透過部(非屈折部)16a´を有していてもよい。
また、コリメートレンズ15から出射した測定光30のすべてが、フレネルレンズに形成された非屈折部16a´を通過又は透過する構成も可能である。
[第三実施形態]
次に、本発明に係る光波距離計の第三実施形態について、図8及び図9を用いて説明する。
図8は、測定対象物までの距離を測定している本実施形態に係る光波距離計の斜視図である。また、図8は、本実施形態に係る光波距離計の構成及びこの光波距離計による測定原理を示す模式図である。
図8及び図9に示すように、本実施形態に係る光波距離計120は、第一及び第二実施形態と異なり、投光受光光学素子17を備えている。この投光受光光学素子17は、中央部のコリメートレンズ部115及びその周囲のフレネルレンズ部116からなっており、第一及び第二実施形態におけるコリメートレンズ15及びフレネルレンズ16、16´(図1及び図5参照)を、それぞれの光軸15x、16x、16x´が一致するように一体化したものに相当する。即ち、レーザダイオード11から出射した測定光30(図8及び図9においては図示せず)は、投光受光光学素子17のコリメートレンズ部115に入射して平行光にされて出射する。そして、第一帰還光321のうち、光路30iと異なった光路を進む部分321a及び第二帰還光322のうち、測定光30の光路30iよりも拡がった部分322aは、投光受光光学素子17のフレネルレンズ部116に入射して集光され、フォトダイオード12に入射する。
本実施形態に係る光波距離計120においても、第一実施形態及び第二実施形態と同様の効果を得ることができる。即ち、図9の(a)に示すように、測定対象物21までの距離が短い場合、帰還光32が光分離面181で反射した第一帰還光321のうちの一部321aを利用して、測定対象物21までの距離を測定することができる。また、図9の(b)に示すように、測定対象物21までの距離が長い場合、帰還光32が光反射面182で反射した第二帰還光322のうちの一部322aを利用して、測定対象物21までの距離を測定することができる。また、本実施形態に係る光波距離計120によれば、レーザダイオード11、フォトダイオード12及び光学系のみで光波距離計120を構成することができる。従って、本実施形態においても、近距離から遠距離に亘って広い測定レンジを有しながら、低コストであって小型化が可能な光波距離計を得ることができる。
さらに、本実施形態においては、コリメートレンズ及びフレネルレンズを一体化した投光受光光学素子17を使用しているため、必要な部品数が減少し、さらに低コスト化、及び小型化が図られた光波距離計を得ることができる。
なお、本実施形態において、投光受光光学素子17のコリメートレンズ部115及びフレネルレンズ部116は、それぞれの光軸115x、116xが一致していなくてもよい。例えば、図9において、光軸116xは光軸115xよりも図中の上方又は下方にあってもよい。
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、光分離面181及び光反射面182(図2等参照)は、それぞれ別の光学素子で構成してもよい。例えば、ガラス板と金属板を平行に設け、ガラス板の金属板とは反対側の面を光分離面181とし、金属板のガラス板と対向する面を光反射面182としてもよい。
また、フレネルレンズ16の代わりに、ガラスレンズやプラスチックレンズ等を用いてもよい。
また、上述の各実施形態においては、測定光30を測定対象物21が有する再帰性反射部22に垂直に入射させているが、再帰性反射部22に鋭角(又は鈍角)に入射させてもよい(図2、図3、図6及び図9参照)。この場合であっても、帰還光32は、測定光30が入射してきた方向に進むため、本発明の効果を得ることができる。
測定対象物までの距離を測定している第一実施形態に係る光波距離計の斜視図である。 光波距離計の構成及び光波距離計による測定原理を示す模式図である。 光波距離計の構成及び光波距離計による測定原理を示す模式図である。 第一帰還光の一部と第二帰還光の一部の光強度、及び、これらを足し合わせた光強度の、測定対象物までの距離依存性の模式図である。 測定対象物までの距離を測定している第二実施形態に係る光波距離計の斜視図である。 光波距離計による測定原理を示す模式図である。 第二実施形態におけるフレネルレンズを示す平面図である。 測定対象物までの距離を測定している第三実施形態に係る光波距離計の斜視図である。 光波距離計による測定原理を示す模式図である。
符号の説明
11…レーザダイオード、12…フォトダイオード、15…コリメートレンズ、15f…コリメートレンズの焦点、15x…コリメートレンズの光軸、16…フレネルレンズ、16f…フレネルレンズの焦点、16x…フレネルレンズの光軸、18…裏面鏡、21…測定対象物、22…再帰性反射部、30…測定光、32…帰還光、181…光分離面、182…光反射面、321…第一帰還光、322…第二帰還光。

Claims (6)

  1. 測定対象物が有する再帰性反射部に到達するように測定光を出射し、前記測定光が前記再帰性反射部で反射した光である帰還光を受光し、前記測定光の出射から前記帰還光の受光までの時間を計測することによって前記測定対象物までの距離を算出する光波距離計であって、
    前記測定光を出射する発光素子と、
    前記測定光が入射する位置に設けられ、前記測定光を平行光にして出射する投光光学素子と、
    前記投光光学素子から出射される前記測定光が入射し、かつ、前記投光光学素子の光軸と鋭角又は鈍角で交わり、入射した光を反射光と透過光に分離する光分離面と、
    前記光分離面と平行に前記光分離面よりも前記投光光学素子側とは反対側に位置し、前記光分離面を透過した前記測定光を、前記光分離面を透過した前記測定光が前記光分離面をさらに透過して前記測定対象物の前記再帰性反射部へ到達するように反射させる光反射面と、
    光軸が前記光分離面と鋭角又は鈍角で交わり、前記再帰性反射部へ到達した前記測定光の反射光である前記帰還光が前記光分離面で反射した第一帰還光のうち少なくとも一部と、前記帰還光が前記光分離面を透過した後に前記光反射面で反射した第二帰還光のうち少なくとも一部とを受光し、受光した前記第一帰還光及び前記第二帰還光を集光して出射する受光光学素子と、
    前記受光光学素子によって集光された光を電気信号に変換する受光素子と、
    を備え、
    前記光分離面に対して、前記光分離面から前記光反射面に向かうように光を入射させた場合、前記光分離面で反射される光の強度は、前記光分離面を透過した後に前記光反射面で反射される光の強度よりも低いことを特徴とする光波距離計。
  2. 前記光分離面と前記光反射面は、一つの光学素子のそれぞれ対向する一対の面であることを特徴とする請求項1に記載の光波距離計。
  3. 前記投光光学素子と前記受光光学素子は、別個の素子であり、互いに前記投光光学素子の光軸方向に離間していることを特徴とする請求項1又は2に記載の光波距離計。
  4. 前記受光光学素子は、前記投光光学素子から出射される前記測定光を屈折させることなく透過又は通過させる非屈折部を有し、前記投光光学素子から出射される前記測定光の少なくとも一部は前記非屈折部を透過又は通過することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光波距離計。
  5. 前記受光光学素子の光軸は、前記投光光学素子から出射される前記測定光の光束の側面に接して伸びていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光波距離計。
  6. 前記投光光学素子と前記受光光学素子は、一体に形成された一つの光学素子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光波距離計。



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