JP2008274094A - 防汚塗料添加助剤とそれを含有する船底塗料 - Google Patents

防汚塗料添加助剤とそれを含有する船底塗料 Download PDF

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Abstract

【課題】自己更新型船底塗料に添加して、船底塗料の本来の防汚力に、新たに別種の防汚力を追加する防汚添加助剤を提供する。
【解決手段】防汚塗料用添加助剤は、60重量%以上のトルマリン鉱石粉、20重量%以上のモナザイト鉱石粉並びに15重量%以上の結合水を持つ粘土鉱物粉及び電気伝導性材料粉からなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、船底塗料に混和して、塗料の防汚力を引き上げ、かつ、塗料の寿命を引き伸ばすことが可能な添加助剤と、それを含む船底塗料に関する。
船の底に海藻、貝類が付着すると、船の重量が増加し、水流抵抗が増加するので、海藻、貝類の付着を防止しなければならない。また、船底での錆の発生も防止しなければならない。そこで、船底には、防貝・防藻塗料、防錆塗料などの船底塗料が塗られる。船底塗料には、スズポリマー型加水分解型塗料が長期にわたり使用されてきたが、平成4年以降、安全性の見地からその使用が制約された。このため、その後、これに代わって、安全性が比較的高いとされる亜酸化銅(Cu2O)を含む塗料などが使用されている。
現在使用されているスズフリー船底塗料は、大別して以下の3種がある。
(イ)不溶解性マトリックス型塗料。塩化ゴム、塩化ビニル、アクリル樹脂などの疎水性樹脂に40%以上のCu2Oとロジンを含めて防汚塗料としたもの。
(ロ)水和分解型(水和溶解型、水和崩壊型ともいう)塗料。親水性のビヒクル(親水性ポリマー、ロジン、重合油脂)に防汚剤としてのCu2O20%(体積)を防汚成分として含めたもの。
(ハ)自己研磨型(加水分解型、自己溶解型、塗膜更新型ともいう)塗料。塗料に含まれる樹脂の表面が海水により加水分解され、これにともなって塗料に含まれる防汚剤が一定の速度で溶解し、塗膜表面が更新されて防汚を行うもの。
このうち、(イ)と(ロ)の2種の船底塗料に関しては、特開2000−198965号公報、特開2002−80315号公報および特開2004−238454号公報に添加剤が記載されている。ここで、添加剤は、薬品や金属を使用することなく、天然の希土類鉱物(モナザイト、バネストサイトおよびそれらの混合物である中国複雑鉱)のいずれかとトルマリン鉱を組み合わせ、これにジルコン鉱その他を混合して調整する。この添加剤を(イ)または(ロ)の船底塗料に添加し、塗布し、その防汚効果を示している。たとえば、(a)特開2000−198965号公報では、アクリルロジン、ロジン、エチレン酢酸・ビニル共重合体を主成分とする塗料に、マイナスイオンを発生するモナズ石40〜60%およびトルマリン60〜40%からなる混合物を添加している。モナズ石とトルマリンは同一比率であることが望ましいと記載されている。また、(b)特開2002−80315号公報では、エポキシ系防錆塗料に、マイナスイオンを発生するバネストネス石、モナズ石及び中国複雑鉱から選択される少なくとも1種70〜94%、トルマリン3%以上、および、防錆効果のためのジルコン石3%以上からなる添加物を混合している。また、(c)特開2004−238454号公報では、塩化ゴム塗料に、マイナスイオンを発生する希土類鉱石、バストネス石、モナズ石から選択される少なくとも1種20〜50%、トルマリン5〜20%、および、防錆効果のためのジルコン石と遮熱断熱保温機能のためのシラスパルーンの二種混合物30〜60%からなる添加物を混合している。なお、これらの3つの文献は、添加助剤における希土類鉱石:トルマリンの比が(a)40〜60:60〜40、(b)70〜94:3以上,(c)20〜50:5〜20と互いに大きく異なるのにもかかわらず、いずれもマイナスイオン効果による防汚力の向上とするだけで、それらの反応機作を明らかにしていない。
上述の添加剤の塗料への添加以外に、導電性塗料を塗布し、微弱電流を流し、表面で海水を電気分解し、発生する次亜塩素酸イオン(ClO)で生物の付着を防止する方法が実用されている。この導電性膜の利用による防汚効果については、技術的・経済的に解決すべき問題が残っているが、効果は認められている(宇佐美正博ほか、塗装と塗料192巻(1992))。
特開2000−198965号公報 特開2002−80315号公報 特開2004−238454号公報 宇佐美正博ほか、塗装と塗料192巻(1992)
現在、自己研磨型の船底塗料が、ドック期間の長い場合や過酷な環境に曝される場合の外航船に世界的に使用されている。この自己研磨型船底塗料を用いると、樹脂を含む塗膜の表面で樹脂が海水中で加水分解される。このため塗膜表層だけが海水中に溶解され、防汚剤が一定速度で溶出し、表面更新性が達成される。
加水分解される樹脂としては、側鎖が加水分解される樹脂が多く使用される。側鎖には主として銅(Cu)、ケイ素(Si)の有機金属基が使用されており、この中でもCuの有機金属基が主流を占めている。Cuアクリル樹脂は、側鎖にCuを持っている。この樹脂分解物のCu(OH)はきわめて安全性は高いが、その数量が少ないために防汚力が小さいのが普通である。この場合、樹脂の親水性を高めて塗膜の更新性を促進すれば、防汚力は補うことはできるが、塗膜の寿命が短くなるという問題が浮上する。この対策として、塗膜の厚さの調整や、最小限のCuO防汚剤の使用によって、環境対応や2年以上のドック入り期間を達成するようにしている。
自己研磨型塗料のシェアは、他の種類の塗料と比べて、現在、(ハ)自己研磨型:(ロ)水和分解型:(イ)不溶解性マトリックス型=75:20:5と増加してきており、将来は自己研磨型船底塗料の使用はさらに増加の傾向にある。このため、CuO防汚剤の助けに頼らないで防汚力を補充しかつ塗料の寿命をできるだけ伸ばせる自己研磨型の船底塗料の防汚添加助剤の開発が望まれている。
本発明の目的は、自己研磨型の船底塗料に添加して、船底塗料の本来の防汚力に、新たに別種の防汚力を追加する防汚添加助剤を提供することである。
本発明に係る防汚塗料用添加助剤は、60重量%以上のトルマリン鉱石粉、20重量%以上のモナザイト鉱石粉並びに15重量%以上の結合水を持つ粘土鉱物(たとえばロウ石)粉及び電気伝導性材料(たとえば黒鉛)粉からなる。好ましくは、前記トルマリン鉱石粉、モナザイト鉱石粉、粘土鉱物粉及び電気伝導性材料粉の混合物は乾燥体からなる。乾燥体は、上述の各種材料の粉と水とを混合した後に乾燥させたものであり、トルマリン鉱石、粘土鉱物などの中の結晶水が水で補換されている。
また、本発明に係る自己研磨型船底塗料は上述の防汚塗料用添加助剤を含有する。好ましくは、防汚塗料用添加助剤の添加量は添加前の重量に対して10〜20重量%の範囲内である。
本発明の防汚添加助剤は、自己研磨型船底塗料に添加することにより、船底塗料の防汚力を増す。
以下、発明の実施の形態を説明する。
本発明の実施形態の防汚添加助剤は、自己研磨型の船底塗料に添加して、船底塗料の本来の防汚力に、新たに別種の防汚力を加えるため、トルマリンを多量に使用し、その起電力や電流を利用しようとするものである。具体的には、防汚添加助剤は、主材料としての、トルマリン鉱粉末60重量%以上と、副材料としての、モナザイト鉱石粉20重量%以上および電気伝導性材料(黒鉛など)を含むロウ石粘土粉末15重量%以上とを調整し、両者を均一に混合したものである。この防汚添加助剤において、トルマリンは、その自発電位と微弱電流により、接触する海水を電気分解して次亜塩素酸イオン(ClO)を生成する作用をする。ロウ石は、樹脂内部に、結晶水の水分を与え、また、黒鉛とともに、樹脂の電気抵抗を引き下げ、適当な導電性を与える作用をする。モナザイトは、放射性希土類鉱石の1例であり、それから放射される放射線で、樹脂内部の水をイオン化し、生成する電子(e)はトルマリンによる電流強化作用に加わり、同時に生成するラジカル(・OH)が樹脂内部のC−C、C−Hの切断を調節する作用をする。これらの諸作用は総合的に働く。
この防汚添加助剤は、防汚塗料である自己研磨型船底塗料に添加できる。ただし、この防汚添加助剤は、海水すなわち食塩水の電気分解で生ずる次亜塩素酸イオンによる塗料表面への生物の忌避、沈着防止を主な作用としているため、適用対象は、内外の海洋を航行する船舶に限られる。
この防汚添加助剤について以下にさらに詳しく説明する。防汚添加助剤の主成分はトルマリン鉱粉末である。船体を導電性被膜で被覆し、この塗膜を(+)極として微弱電流を流す方法は、電流による海水の電気分解による次亜塩素酸イオンの生成により生物付着を防止する点で効果があるが、現在は、経済性の上から一般化されていない。トルマリンは、その自発電位と微弱電流により、接触する海水を電気分解して次亜塩素酸イオン(ClO)を生成し、また、2HO→H+2OHの反応により弱アルカリ性の洗浄剤として作用する。そこで、トルマリンの自発電位と微弱電流で上述の通電に代替して、その防汚力を船底塗料の本来の防汚力の強化につながるようにするのがこの防汚添加助剤の最も有効な適用先である。したがって、防汚添加助剤を添加した船底塗料は、防汚に有用である。
船底塗料が接する船体が鉄、アルミニウムなどの金属である場合、その電気伝導度が10〜10S・cm−1と、トルマリンに比べて非常に大きい。トルマリンは、塗膜の中で塗料樹脂中の電気伝導度を10−5〜10−6S・cm−1に調節し、塗膜が海水に接する面で、微弱電流による電気分解を生ぜしめようとするが、船体の金属はこのトルマリンの作用を妨害してしまう。そこで、船体が金属である場合、添加助剤を含む自己研磨型塗料は、防錆塗料もしくは絶縁塗料(たとえばピュアエポキシ塗料)を船体に塗布した上に塗布する必要がある。
防汚添加助剤の粒子の大きさについて説明すると、自己更新型塗料では、樹脂量が多く、塗膜は固くなる傾向にある。そこで、塗膜を多孔質化して軟らかにするために、添加助剤の粒子は、少し粗めの粒子、すなわち、2〜5μmの平均粒子径を持つ粉末とすることが物性面からもが望ましい。トルマリンの結晶粒子の電気抵抗値は、粒子結晶の長手方向の長径(長手方向の粒径)によって変わる。たとえばトルマリンの比抵抗を5×1010Ω・cmとすると、電気抵抗値は、(5×1010)×(粒径(μm)×10−4)の計算式により、粒子の長径が2μmの場合に1.0×10Ω・cm、10μmの場合に5.0×10Ω・cmのように変わる。したがって、添加助剤の4つの材料のなかで、トルマリンが硬度(モース硬度7.5)が最も大きく、他はその2/3程度であるから、トルマリンの粒径を5μm以下にすれば、添加助剤の粒子は、平均中位径は2〜5μm内に収まり、電気抵抗値も10Ω・cmを確保できる。塗膜内では、添加助剤粒子の添加により空隙ができて、塗膜が多孔質化する。
ここで、防汚添加助剤を自己研磨型船底塗料に添加したときに、塗料の防汚力を増し、更新性を調節する機作を考える。
添加助剤の主成分のトルマリンは、NaFeAl(BO)(Si18)(OH)の化学式を持つ異極像系のイオン結晶体である。生成するときの地熱や圧力による結晶歪みに起因する永久電極を持ち、微粉の電位は5〜10eV程度であり、0.06mA程度の電流を流す。圧電性、焦電性により電位を高めることができる。比重は3.1程度で、モース硬度は7〜8である。このトルマリンにより生じる電流を用いて、船底塗料の表面に接触する海水(NaCl溶存)を電気分解するとき、海水は、次のように反応する。
陽極反応: Cl+2OH → ClO+HO+2e
陰極反応: 2HO+2e → H+2OH
全体の反応: Cl+HO → H+ClO
このように、トルマリンは、次亜塩素酸イオン(ClO)と水素(H)を塗料表面に作り出し、これが海洋生物(貝、藻など)の忌避や死滅を導き、防汚力を発生する。これにより、塗料本来の防汚力と合わせて防汚力の引き上げを図る。添加助剤におけるトルマリン鉱粉末の量は、60重量%以上(60〜65重量%)が好ましい。
電気抵抗(比抵抗)は、トルマリンでは1010〜1011Ω・cmであるのに対して、樹脂では1012〜1020Ω・cmであり、自己研磨型塗料に多く使用されるアクリル樹脂では1016Ω・cmである。したがって、トルマリン粉末が樹脂に包まれてしまえば、塗膜内ではトルマリンによる電流は流れず、上述の次亜塩素酸イオン(ClO)の生成はまったく起こらないことになる。しかし、船底塗料の自己研磨型・加水分解型樹脂塗料では、たとえば、側鎖にCuをもつアクリル樹脂が使用されており、それが電気伝導性に寄与しており、その電気抵抗値は10から10Ω・cmの化学反応に適する値になっている。これに、トルマリン、粘土、モナザイトからなる添加助剤が加わると電気抵抗値は引き上げられることになる。この対策として、上述の添加物質の粒径の調節に加えて、副材料の黒鉛を含むロウ石の配合剤を用いる。ロウ石は粘土鉱物の一種であり、Al・2SiO・2HOの組成式を持ち、比重は1.5程度である。ロウ石は、OHを強く吸着し、OHが吸着した層が水膜として樹脂の内部に水分を与える役目をする。トルマリンの結晶水からの水分もこれに加わる。樹脂内に分布された水分は、それ自体、電気抵抗を下げる作用をする。この水分は、あとの段落で述べるもう1つの副材料のモナザイトの放射線によりイオン化されてイオンとなり、電気抵抗値を下げる。黒鉛は使用量が少ないため、あらかじめロウ石中に混合するが、その混合割合は、ロウ石:黒鉛=3:1を標準とする。黒鉛の成分は炭素(C)であり、比重は1.5g/cmであり、電気抵抗は10−2Ω・cm程度である。このロウ石と黒鉛を添加助剤中に15〜20重量%加えて電気抵抗値を10〜10Ω・cmとする。この助剤が船底塗料中に15%程度加わると、添加前の塗料の電気抵抗値近くに戻り、トルマリンの電流による電気分解が容易に進行するようになる。なお、ロウ石は、樹脂に添加したときに水分を保持する役目をする粘土鉱物の1つであり、結合水を含む他の粘土鉱物を用いてもよい。また、黒鉛は電気伝導性材料の1例であり、黒鉛の代わりにカーボン(C)などの電気伝導性を高くする材料を用いてもよい。電気伝導性材料(黒鉛など)を含む粘土鉱物の量は好ましくは15重量%以上(15〜20重量%)である。このように、粘土鉱物と電気伝導性材料は、ともに、樹脂の電気抵抗を引き下げる作用をするが、その混合割合は、塗料に合わせて決めればよい。
添加助剤のもう1つの副材料はモナザイトである。モナザイトは、天然放射性元素のトリウム(Th)およびウラン(U)を含むレア・アース(RE)鉱石であり、最も入手しやすく、60年の使用実績がある。モナザイトの化学式は、(Th,RE)POであり、通常ThO6%,U0.3%,(RE)60%,P30%の組成比からなる。原子力法でいう核原料物質であり、トリウム鉱石に分類され、使用に際して法規制がある。ThおよびU原子は、アルファ線、ベータ線、ガンマ線を放射して自然改変している。モナザイトの比重は5.0程度であり、添加助剤の副材料として加えられているモナザイトの20%程度の量は、助剤全体として法規制の範囲内にあり、それが塗料中に加えられていても、それからの放射線による被曝量は問題になる量ではない。モナザイト鉱石粉の量は、好ましくは20重量%以上(20〜25重量%)である。
塗料樹脂中のモナザイトは、樹脂中に混和されているロウ石がもたらした水分および塗料表面に触れる海水をイオン化して次のような生成物(H,OH,e(水和)などのイオン、・OH、・Hなどのラジカル、H、Hなどの分子化合物)を作り、電気抵抗を下げる。特に、電子(e)は、トルマリンの電流に加わって電気量を増やし、・OHラジカルはそのエネルギーが120Kcalであることから、C−C(83Kcal)、C−H(99Kcal)、C−O(84Kcal)、O−H(110Kcal)を直接に切断する働きをすることができる。
以上に説明したように、添加助剤は、トルマリン鉱石粉、モナザイト鉱石粉、および、結合水を持つ粘土鉱物(たとえばロウ石)粉と電気伝導性材料(たとえば黒鉛)粉の均一な混合物からなる。これらの3つの構成成分は、それぞれの作用が、船底塗料の中でトルマリンの微細電流に起因する電気分解がスムーズに進行するように助けあい、次亜塩素酸イオン(ClO)の生成による防汚力の補給が円滑に達成できるように最良の条件を提供する。
添加助剤の構成配分の根拠について、表1を参照してさらに説明する。表1は、塗膜中へのモナザイトの添加量(20%)の場合の添加助剤の組成の1例を示す。添加助剤の構成配分は、表1に示されたような各材料の機能と必要成分量とに基づくものである。
Figure 2008274094
(1)トルマリンの電気的利用効果が確認できる下限量が10%程度であることは、トルマリンの利用開拓当時の文献(例:特開平10−268282号公報)によって知ることができる。上述の例では、トルマリンは塗膜中に12%存在する。
(2)トルマリンとロウ石の結晶水により塗膜中に合わせて1%程度の水分が保持される。結晶水により繊維、塗料の通電に好ましい電気抵抗値を与えることは公知であり、これによって、ロウ石の保水材としての量が決定される。
(3)塗膜内部での放射線源であるモナザイトのThOは上述の塗膜中の1%程度の水分をイオン化するが、その効果が確認できる下限量は0.3%程度である。これをモナザイトに換算すれば4%になる。
(4)自己研磨型船底塗料の1例では、側鎖に(Cu)を持つアクリル樹脂が使用されていて、金属(Cu)によってその電気抵抗もあるレベルまで引き下げられていた。そのような船底塗料に添加助剤を添加してトルマリン、粘土、モナザイトを加えると、電気抵抗値は上昇する。これを元のレベルまで引き下げる電気伝導性物質として黒鉛を選び、塗膜の1%程度をこれに当てることによって、電気抵抗を元のレベルにまで引き下げる。
また、一般に、防汚船底塗料は、塗膜形成要素と防汚剤のほかに25〜30%の溶剤が加えられて塗料化されたものである。添加助剤の塗膜への添加量は、溶剤を含めた現物の塗料では10〜15重量%、溶剤を除いた残部(塗膜)に対して14〜20重量%を限度とすることが望ましい。
添加助剤が混合される(Cu)アクリル側鎖を持つ自己研磨型船底塗料の防汚機作は次のとおりである。海水との接触前後において塗料表面では、疎水性のCuアクリルポリマーが加水分解をうけて、水酸化第1銅と親水性アクリル酸となって溶解し、これが防汚剤として働き、同時に新しい塗膜面が現れる。
Figure 2008274094
添加助剤が塗料中に添加・混合されていると、海水と塗膜面との接触面積はその分だけ少なくなり、溶解量は少なくなり、結果として防汚性塗膜の更新性を低下させる。これを防ぐため、添加助剤中のモナザイトが樹脂中の水分および界面に接する海水を、上に説明したようにイオン化してH(H(HO))とOHを生成し、塗料の中から表面に向かって塗料表面に図1のbに示したイオンの働きで塗膜の溶解を補う。添加助剤が船底塗料に混合されるとき、固体物質なるがゆえの自己研磨型塗料の防汚性と塗膜更新性の低下に対する防止の対策は上述のごとく施してあるが、添加助剤の量は、この作用効果が及ぶ範囲内で過不足のないように決定すればよい。
添加助剤を含む自己研磨型(Cu)アクリル樹脂モノマータイプの船底塗料は、FRP船のごとく船体が絶縁体である場合には直接塗布できるが、鉄鋼船では、防錆塗料や絶縁塗料(例えばピュアエポキシ樹脂)の上に塗布される。アルミニウム船では、Cuとの反応性をきらうため(Cu)型ポリアクリルタイプの塗料は用いることができず、有機ケイ素ポリマータイプのものが用いられる。この塗料は次に示すように加水分解される
Figure 2008274094
自己研磨型(Si)タイプの船底塗料に対しても、添加助剤を(Cu)アルカリ樹脂タイプの船底塗料と同様に添加できる。ただし、船体本体が金属である場合は導電性が高すぎるので、ピュアエポキシなどの絶縁塗料を塗布した上で塗布する必要がある。
次に、添加助剤の製造例を説明する。トルマリン砂鉱62kgとモナザイト砂鉱21kgを径15m/mのアルミナボール100kgとともに、100kg磁器張りトロンミルに入れ、さらに水40リットル、界面活性剤0.2kgを加えて、回転数50回/分で24時間運転の条件で粉砕した。次に、別の50kgトロンミル中に径15m/mのアルミナボール50kg、ロウ石15kg、黒鉛粉5kgを入れ、水20リットルを加えて50回/分の回転数で6時間運転した後、pHを弱酸性にして静置した。
トルマリン及びモナザイトの24時間粉砕が終わるとトロンミルの回転を止め、これにロウ石及び黒鉛の沈降体の上水を除いた液底体を加える。次に、ふたたび100kgトロンミルの運転を再開し3時間続け、十分に混合を行う。次に、ふるいを通して、200リットル槽に混合泥しょう体を洗い出し、塩析剤を加えて静置し、沈降させた。
傾斜洗浄を3回繰り返した後、濾過し、電気炉で400℃で2時間、強乾燥した後、解砕機で粉砕し、添加助剤粉末95kgを得た。粒度は、硬度に応じてロウ石、黒鉛は1.5μmの粒径、モナザイトは2.5μmの粒径、トルマリンは4μmの粒径をめざして、上記のような粉砕法を採用した。得られた灰色粉末体の平均粒径は3.5μmで、比重は3.0である。
以下に具体例を説明する。
予備試験として、横浜港の屋形船の兄弟船について、2001年7月に、一方の船に市販の(Cu)アクリル系自己研磨型塗料を塗布し、他方の船に、同じ市販塗料85部に添加助剤(トルマリン60%、モナザイト20%、黒鉛添加ロウ石20%の組成からなる平均粒径3.0μmの微粉砕粉)15部を添加し攪拌した加工塗料を塗布した。塗布は同時に行い、12ヶ月使用で100μmの厚さに刷毛塗りの1回塗りで塗工した。12ヶ月上架後に塗膜の状態を観察した。添加助剤を含まない市販塗料のみの場合、塗膜は溶けて無くなっていて、貝や藻が多く付着していた。他方、添加助剤を含む塗料の場合、塗膜は残っていて、高圧洗浄で付着物は容易にとれた。この結果によれば、防汚力の補強が、生物の付着、残量の多寡、付着強度により判断でき、また、塗膜の更新性や寿命が塗膜の残存量で目視により判断できることがわかった。
第1例では、塗装対象は、広島県岩国港のFRP船(内海を航行する36フィートのプレーシャボート)である。表2に、基本塗料と加工塗料を示す。加工塗料は、基本塗料85部に添加助剤15部を添加したものである。
Figure 2008274094

この加工塗料6kgを100μm厚に2002年8月に塗布し、2003年10月に上架した。船底の塗料を観察すると、洗浄前は、喫水線部分を厚く塗ればもっと延長が可能であり、この程度の付着では走ることに影響はない、と観察された。高圧洗浄だけで、付着物は簡単にとれた。
第2例では、塗装対象は、山口県角島のFRP船(外洋を航行する漁船)である。塗装に用いた加工塗料は表2に示したものと同じである。加工塗料を100μm厚に2003年5月に塗布し、2004年4月に上架した。船底の塗料を観察すると、上架、洗浄後に、藻類が少量付いていた。貝類は付着していなかった。
第3例では、塗装対象は、海洋を航行する鉄鋼船である。塗装に用いた加工塗料は表2に示したものと同じである。基本塗料の常法の塗布(100μm厚)の際に、船底の一部に比較試験用として加工塗料を同一条件で2004年4月に塗布し、2005年3月に上架した。船底の塗料を観察すると、市販加水分解型船底塗料のみの場合(大部分)は塗膜が薄くなり、汚損が始まっていた。これに対し、加工塗料の試験塗り部分は、塗膜がしっかり残っていた。
海洋生物は複雑で実用試験を経なければ本当の価値は判断できないが、いままでの実用試験結果では、市販自己研磨型船底塗料との比較で、防汚力並びに塗膜残存量で優っているとの報告がされている。

Claims (6)

  1. 60重量%以上のトルマリン鉱石粉、20重量%以上のモナザイト鉱石粉並びに15重量%以上の結合水を持つ粘土鉱物粉及び電気伝導性材料粉からなる防汚塗料用添加助剤。
  2. 前記トルマリン鉱石粉、モナザイト鉱石粉、粘土鉱物粉及び電気伝導性材料粉の混合物の乾燥体からなることを特徴とする請求項1記載の防汚塗料用添加助剤。
  3. 前記防汚塗料用添加助剤の平均粒子径は2〜5μmの範囲内であることを特徴とする請求項1または2記載の防汚塗料用添加助剤。
  4. 前記粘土鉱物がロウ石であり、前記電気伝導性材料が黒鉛であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防汚塗料用添加助剤。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載された防汚塗料用添加助剤を含有する自己研磨型船底塗料。
  6. 前記防汚塗料用添加助剤の添加量は添加前の重量に対して10〜20重量%の範囲内であることを特徴とする請求項5記載の自己研磨型船底塗料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012251075A (ja) * 2011-06-03 2012-12-20 Minoru Toyoshima 海洋生物付着防止用塗料
JP2014079151A (ja) * 2012-09-24 2014-05-01 Junshaku Nakagawa 動力源としてモーターを使用する電気機器におけるエネルギー損失の減少および省電力を可能とするモーターケース外側面塗布材およびその製造方法
WO2014083624A1 (ja) * 2012-11-28 2014-06-05 旭化成イーマテリアルズ株式会社 海洋生物付着防止用塗料及びその添加剤
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JP2015108055A (ja) * 2013-12-04 2015-06-11 淑 百瀬 高分子材の防汚性付与方法

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