JP2008273298A - 車両用ウォッシャ装置および液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ウォッシャノズルをエンジンフード下に設けたタイプのウォッシャシステムにおいても、その払拭性能を良好に維持する。
【解決手段】ウォッシャ装置は、ウォッシャノズル5の噴射口25に吐出口26,27を並設し、各吐出口から吐出される空気を噴射される洗浄液に干渉させてその軌跡を上方に変化させるようにした。その結果、ウォッシャノズル5がエンジンフードの下に設けられていても、洗浄液がワイパアームを迂回してウィンドガラスに着水することができる。その結果、ウォッシャシステムの払拭性能を良好に維持することができる。
【選択図】図5
【解決手段】ウォッシャ装置は、ウォッシャノズル5の噴射口25に吐出口26,27を並設し、各吐出口から吐出される空気を噴射される洗浄液に干渉させてその軌跡を上方に変化させるようにした。その結果、ウォッシャノズル5がエンジンフードの下に設けられていても、洗浄液がワイパアームを迂回してウィンドガラスに着水することができる。その結果、ウォッシャシステムの払拭性能を良好に維持することができる。
【選択図】図5
Description
本発明は、ウィンドガラスの洗浄のために洗浄液を噴射する車両用ウォッシャ装置、および目標着水点に向けて液体を噴射する液体噴射装置に関する。
ウィンドガラスの洗浄のために車両に搭載されるウォッシャシステムは、ウォッシャタンクから圧送された洗浄液をウォッシャノズルを介してウィンドガラスに噴射するウォッシャ装置と、ウィンドガラス上に着水した洗浄液を払拭するワイパ装置とにより構成される。従来、ウォッシャノズルは車両のエンジンフード上に突出するように設けられていたが、近年ではこれをエンジンフードの後部下面に設けたものも提案されている(たとえば特許文献1参照)。このような構成は、車両の見栄えを向上させる等の利点がある。
特開2000−344062号公報(図2等)
しかしながら、このようにウォッシャノズルの上方がエンジンフードで覆われると、洗浄液の噴射方向は著しく制限される。しかも、ウォッシャノズルの設置位置が相対的に低くなるため、ウォッシャノズルとウィンドガラスとの間にワイパ装置が介在してしまう場合がある。このような場合、特にワイパ装置の休止時にはワイパアームが車両幅方向を長手とするように配置されるため、その状態でウォッシャノズルから洗浄液が噴射されると、その噴射された洗浄液の軌跡上にワイパアームが位置して干渉する。その結果、ウィンドガラス上の払拭領域に達する洗浄液の液量が減少して払拭性能が低下するといった問題があった。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、ウォッシャノズルをエンジンフード下に設けたタイプのウォッシャシステムにおいても、その払拭性能を良好に維持することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用ウォッシャ装置は、洗浄液を貯留するタンクと、タンク内の洗浄液を圧送するポンプ装置と、圧送された洗浄液をウィンドガラスに噴射するウォッシャノズルと、ポンプ装置を駆動制御する第1の制御部と、気体を圧送する気体圧送装置と、ウォッシャノズルの噴射口に並設され、圧送された気体を吐出する吐出口と、気体圧送装置を駆動制御する第2の制御部と、を備える。第2の制御部は、気体圧送装置を駆動して吐出口から吐出される気体の吐出状態を制御することにより、噴射口から噴射される洗浄液の軌跡を変化させ、ウィンドガラスの所定位置に着水させる。
ここでいう「気体圧送装置」は、たとえば送風機であってもよいし、コンプレッサであってもよい。「気体」は、空気であってもよいし、その他の気体であってもよい。「第1の制御部」と「第2の制御部」は、一つの制御装置として構成されていてもよいし、別々の制御装置として構成されてもよい。「吐出口」は、一つ設けられていてもよいし、複数設けられてもよい。「気体の吐出状態」としての制御対象は、吐出口から吐出される気体の流速であってもよいし、吐出口から吐出される気体の吐出量であってもよい。この気体の吐出状態により、洗浄液に対する気体の干渉の程度が変わるため、洗浄液の軌跡を変化させることができる。
この態様によると、ウォッシャノズルの噴射口に吐出口を並設し、その吐出口から吐出される気体を噴射口から噴射される洗浄液に干渉させてその軌跡を変化させるようにしている。すなわち、ウォッシャノズルとウィンドガラスとの間にワイパ装置等の障害物があったとしても、噴射される洗浄液の軌跡を変化させることにより、これを迂回させてウィンドガラスの所定位置に効率よく着水させることができる。その結果、ウォッシャノズルをエンジンフード下に設けたタイプのウォッシャシステムにおいても、その払拭性能を良好に維持することができる。
具体的には、吐出口が噴射口と隣接配置され、第2の制御部が、吐出口から気体を吐出させてその気体を噴射口から噴射される洗浄液の側面に当てることにより、その軌跡を変化させてもよい。すなわち、気体を洗浄液に衝突させて洗浄液の粒子の運動方向を変化させ、それにより洗浄液全体の軌跡を変化させることができる。
吐出口は、噴射口が設けられたウォッシャノズルとは別の部材に設けられていてもよいし、噴射口に隣接するようにウォッシャノズルに一体に形成されていてもよい。後者の場合、ウォッシャ装置全体をコンパクトに構成することができる。
また、吐出口として、噴射口に隣接配置された第1の吐出口と、噴射口の第1の吐出口と反対側に隣接配置された第2の吐出口とを備えてもよい。そして、第1の吐出口から吐出される気体の流速と、第2の吐出口から吐出させる気体の流速とを異ならせることにより、噴射口から噴射される洗浄液に当てる気体の流速差によってその洗浄液の軌跡を変化させるように構成してもよい。
すなわち、噴射される洗浄液を流速の異なる気体を当てることにより生じる流体間の摩擦によって、洗浄液の進行方向を変化させることができる。このように、第1の吐出口および第2の吐出口から別々に気体を吐出させることにより、洗浄液の軌跡を所望の状態に調整することも可能になる。
この場合、たとえば第1の吐出口と第2の吐出口の大きさを異ならせることにより、気体の流速差を発生させるようにしてもよい。気体圧送装置から第1の吐出口と第2の吐出口へ供給する気体の流量が一定であれば、両吐出口の大きさの違いにより各吐出口から吐出される気体の流速も異ならせることができる。
第1の吐出口と第2の吐出口とを噴射口を挟んで上下に配置することにより、噴射口から噴射される洗浄液の軌跡を上向きに変化させるように構成してもよい。たとえば、ウォッシャノズルがエンジンフード下の低い位置に設けられてその対向部にワイパアーム等が配置されても、洗浄液の軌跡が上向きに変化されて放物線を描くようにしてこれを迂回し、ウィンドガラスの所定位置に着水させることができる。
さらに、気体圧送装置と吐出口とをつなぐ通路の開度を調整可能な調整弁を備えてもよい。そして、第2の制御部は、調整弁の開度を制御することにより、吐出口から吐出される気体の流量を変化させてその吐出状態を制御してもよい。
この態様によれば、調整弁の開度の制御により気体の吐出容量や流速を変化させることができ、車両の状況に応じて洗浄液の噴射の軌跡を変更することができる。このため、たとえばウォッシャノズル等の設置位置の選択の幅が広がる。
より具体的には、さらに車速を検出する車速検出部を設けるとともに、第1の吐出口および第2の吐出口と気体圧送装置とをつなぐ通路に、第1の吐出口へつながる通路部と第2の吐出口へつながる通路部の開度を互いに異ならせるように調整可能な調整弁を設けてもよい。そして、第2の制御部が、車速に基づいて調整弁の開度を制御することにより、車速に応じて噴射口から噴射される洗浄液の軌跡を変化させてもよい。
この態様によれば、調整弁の制御により第1の吐出口から吐出される気体と第2の吐出口から吐出される気体との流速差を調整でき、それにより洗浄液の軌跡を変化させることができる。たとえば、第1の吐出口と第2の吐出口をそれぞれ上下に配置した場合、車速が高速になるほど、対向してくる空気によって洗浄液が下向きに付勢される。このとき、各吐出口の開度を調整して第1の吐出口からの気体の流速を小さくする一方、第2の吐出口からの気体の流速を大きくして洗浄液をより上向きに導くようにすれば、その洗浄液の軌跡を車速に応じて良好に保持することが可能になる。
本発明の別の態様は、液体噴射装置である。この装置は、液体を圧送するポンプ装置と、圧送された液体を目標着水点に向けて噴射するノズルと、ポンプ装置を駆動制御する第1の制御部と、気体を圧送する気体圧送装置と、ノズルの噴射口に並設され、圧送された気体を吐出する吐出口と、気体圧送装置を駆動制御する第2の制御部と、を備える。第2の制御部は、気体圧送装置を駆動して吐出口から吐出される気体の吐出状態を制御することにより、噴射口から噴射される液体の軌跡を変化させる。なお、ここでいう各用語の意義は、「洗浄液」を「液体」と読み替えれば上記と同様である。
この態様によると、ノズルと目標着水点との間に障害物があったとしても、噴射される液体の軌跡を変化させることにより、これを迂回させてその目標着水点に効率よく着水させることができる。このような液体噴射装置をたとえばウォッシャ装置として構成すれば、ウォッシャノズルをエンジンフード下に設けたタイプのウォッシャシステムにおいても、その払拭性能を良好に維持することができる。
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るウォッシャ装置を含むウォッシャシステムを搭載した車両を表す概略図である。図2は、ウォッシャシステムの各装置の配置構成を表す側断面図である。
図1に示すように、車両1のウォッシャシステムは、ウィンドガラス2(ウィンドシールド)上に洗浄液を噴射するウォッシャ装置3と、洗浄液が付着したウィンドガラス2を払拭するワイパ装置6を含んで構成される。ウォッシャ装置3は、ウォッシャタンク4から圧送された洗浄液をウィンドガラス2に向けて噴射するウォッシャノズル5を含む。ワイパ装置6は、ウィンドガラス2とエンジンフード7との間に設けられており、ワイパアーム11とその先端側に取り付けられたワイパブレード12とを含んで構成される。ウォッシャノズル5およびワイパ装置6は、それぞれ運転席側と助手席側に対応して一対ずつ設けられている。
図2にも示すように、ウォッシャノズル5は、エンジンフード7の後端縁の裏面側、つまりエンジンフード7の下方に配置されて外部からは見えなくなっており、その配置構成が車両1の見栄え向上に寄与している。ウォッシャノズル5は、配管8を介してウォッシャタンク4に接続されている。
図3は、ウォッシャ装置全体の具体的構成を表す図である。
ウォッシャ装置3は、洗浄液を貯留するウォッシャタンク4、ウォッシャタンク4内の洗浄液を圧送するポンプ装置15、ポンプ装置15と各ウォッシャノズル5とをつなぐ配管8、ポンプ装置15から配管8を介して圧送された洗浄液をウィンドガラス2に噴射する一対のウォッシャノズル5、外気を取り入れて圧送する送風機16(「気体圧送装置」に該当する)、送風機16と各ウォッシャノズル5とをつなぐ配管17、配管17において各ウォッシャノズル5へ向かう通路の開度を調整する調整弁18、およびポンプ装置15,送風機16,調整弁18を駆動制御する制御部20等を備えている。
ウォッシャ装置3は、洗浄液を貯留するウォッシャタンク4、ウォッシャタンク4内の洗浄液を圧送するポンプ装置15、ポンプ装置15と各ウォッシャノズル5とをつなぐ配管8、ポンプ装置15から配管8を介して圧送された洗浄液をウィンドガラス2に噴射する一対のウォッシャノズル5、外気を取り入れて圧送する送風機16(「気体圧送装置」に該当する)、送風機16と各ウォッシャノズル5とをつなぐ配管17、配管17において各ウォッシャノズル5へ向かう通路の開度を調整する調整弁18、およびポンプ装置15,送風機16,調整弁18を駆動制御する制御部20等を備えている。
ポンプ装置15には、これを駆動するモータが組み込まれている。送風機16には、外気を圧送するファンとこれを駆動するモータが組み込まれている。なお、本実施の形態では気体圧送装置として送風機を採用しているが、コンプレッサ等を採用することも可能である。
ウォッシャノズル5は、洗浄液を噴射する噴射口25と、その噴射口25を上下に挟むように隣接配置されて空気を吐出する一対の吐出口26,27(それぞれ「第1の吐出口」、「第2の吐出口」に該当する)とを備えている。この噴射口25から洗浄液を噴射すると同時に吐出口26,27から空気を吐出することで洗浄液の軌跡を変化させることができるが、その詳細については後述する。
配管8は、その通路が途中で分岐しており、その分岐された各通路部が一対のウォッシャノズル5のそれぞれに接続されている。配管17も、その通路が第1通路部29と第2通路部30とに分岐しており、その分岐点に調整弁18が配設されている。第1通路部29は、その下流側でさらに分岐して各ウォッシャノズル5の上側の吐出口26にそれぞれ接続されている。第2通路部30も、その下流側でさらに分岐して各ウォッシャノズル5の下側の吐出口27にそれぞれ接続されている。
調整弁18は、配管17の上流側の分岐点に配設され、第1通路部29を開閉する弁体31と、その弁体31を駆動するモータ32とを含んで構成されている。モータ32は、たとえばステッピングモータ等からなる。モータ32の駆動によってたとえばラック・ピニオン機構等を介して弁体31を進退させることにより、第1通路部29の開度を調整することができる。なお、本実施の形態では、このように調整弁18をモータ駆動の開閉弁として構成したが、ソレノイド等により弁体の開度を調整する電磁弁として構成することもできる。調整弁18により第1通路部29の開度を調整することにより、第1通路部29と第2通路部30の開度を互いに異ならせることで、両通路部へ流す空気の流量を相対的に異ならせることができる。
制御部20は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、入出力インターフェース等を備える車載電子制御装置である。制御部20には、運転者がウォッシャシステムを駆動させるための操作入力を行うウォッシャスイッチ21、車速を検出する車速センサ22(「車速検出部」に該当する)を含む各種センサ・スイッチからの信号が入力される。制御部20は、これらの信号を受けて、ポンプ装置15,送風機16,調整弁18等の各アクチュエータの駆動制御を行う。
図4は、ウォッシャノズルおよびその近傍の構成を表す部分拡大図である。
ウォッシャノズル5は、樹脂からなる直方体形状のノズル本体33に、噴射ノズル35,第1吐出部36,第2吐出部37およびこれらにつながる配管の先端部を埋設して一体に構成されている。図示のように、ノズル本体33の中央には噴射ノズル35が配置されている。噴射ノズル35は、その先端に設けられた噴射口25がノズル本体33から露出し、その後端には配管8の先端が接続されている。噴射ノズル35の上方には第1吐出部36が隣接配置されている。第1吐出部36は、その先端に設けられた吐出口26が噴射口25に隣接するように露出し、その後端には第1通路部29の先端が接続されている。一方、噴射ノズル35の下方には第2吐出部37が隣接配置されている。第2吐出部37は、その先端に設けられた吐出口27が噴射口25に隣接するように露出し、その後端には第2通路部30の先端が接続されている。本実施の形態では、これら噴射口25,吐出口26,吐出口27のいずれも横長形状に構成されているが、その後方において各配管になめらかに接続されている。
ウォッシャノズル5は、樹脂からなる直方体形状のノズル本体33に、噴射ノズル35,第1吐出部36,第2吐出部37およびこれらにつながる配管の先端部を埋設して一体に構成されている。図示のように、ノズル本体33の中央には噴射ノズル35が配置されている。噴射ノズル35は、その先端に設けられた噴射口25がノズル本体33から露出し、その後端には配管8の先端が接続されている。噴射ノズル35の上方には第1吐出部36が隣接配置されている。第1吐出部36は、その先端に設けられた吐出口26が噴射口25に隣接するように露出し、その後端には第1通路部29の先端が接続されている。一方、噴射ノズル35の下方には第2吐出部37が隣接配置されている。第2吐出部37は、その先端に設けられた吐出口27が噴射口25に隣接するように露出し、その後端には第2通路部30の先端が接続されている。本実施の形態では、これら噴射口25,吐出口26,吐出口27のいずれも横長形状に構成されているが、その後方において各配管になめらかに接続されている。
噴射ノズル35は、いわゆる拡散式のウォッシャノズルとして構成されており、洗浄液が通過する際に水流によってこれを振動させ、噴射口25から洗浄液を扇状に噴出させる。これにより、ワイパ装置6の払拭範囲の広範囲にわたって洗浄液を噴射することができ、その払拭性能を高められるようになっている。なお、拡散式のウォッシャノズルの具体的構造としては、たとえば特開2005−59651号公報等に示されたような公知のものを採用することができる。ここでは、その詳細な説明を省略する。
本実施の形態では、この噴射ノズル35から洗浄液を噴射すると同時に吐出口26および吐出口27から空気を吐出させ、その空気を洗浄液の側面に当てることによって洗浄液の軌跡を変化させる。これにより、ワイパ装置6の休止状態においても洗浄液がウィンドガラス2に効率よく着水できるように制御する。この具体的制御の内容について以下に説明する。
図5は、ウォッシャ装置による洗浄液の噴射制御の原理を表す図である。なお、説明を分かりやすくするために同図は模式図となっており、噴射口25および吐出口26,27ともに円形と仮定している。また、洗浄液の液粒wを誇張して大きく示している。
ポンプ装置15から圧送された洗浄液は、図示のように配管8を通って噴射口25へと導かれ、無数の液粒wとなって前方に噴射される。一方、送風機16から圧送された空気は、図示のように配管17の下流側で第1通路部29と第2通路部30に分流され、それぞれ吐出口26、吐出口27へと導かれる。各吐出口から吐出された空気は、その上下において洗浄液に当たり、その軌跡を変化させる。
ここで、第1通路部29の管径(吐出口26の直径に等しい)d1を、第2通路部30の管径(吐出口27の直径に等しい)d2よりも小さくしている(d1<d2)。このため、送風機16により流量Qで送出された空気は、第1通路部29側にQ1、第2通路部30側にQ2(Q1<Q2)となって送出される。このとき、吐出口26から吐出される空気の流速V1よりも吐出口27から吐出される空気の流速V2のほうが大きくなる(V2>V1)。
すなわち、第1通路部29の長さをl1、第2通路部30の長さをl2とすると、管内における流体摩擦損失について下記式(1)が成立する。
このとき、連続の式として下記式(2)が成立する。
上記式(1)においてλ1=λ2、l1=l2とすると、下記式(3)が成立する。
すなわち、空気の流速は第1通路部29、第2通路部30の管径によって決まることになる。両通路部の管径の差を大きくすれば、吐出口26および吐出口27から吐出される空気の速度差(流速差)をつけることができる。つまり、このように吐出口26と吐出口27の大きさを異ならせることにより、吐出口26から吐出される空気の流速と、吐出口27から吐出させる空気の流速とを異ならせ、洗浄液の上下に当てる空気の流速差によってその洗浄液の軌跡を変化させることができる。
本実施の形態では、吐出口26につながる第1通路部29の管径を、吐出口27につながる第2通路部30の管径よりも大きくしたため、下方の吐出口27から吐出される空気の流速を相対的に大きくすることができる(V2>V1)。その結果、洗浄液の各液粒wに図示のような回転を与えることができ、洗浄液の軌跡を上方に向く放物状に変化させることができる。
図6は、ウォッシャ装置の使用状態の例を表す説明図である。
上述のように、噴射口25の上下に配置した吐出口26と吐出口27の大きさを異ならせて吐出される空気の速度差を設けたため、図示のように洗浄液の軌跡が上方に向く放物状に変化する。その結果、図中破線にて示されるように、ウォッシャノズル5から拡散噴射された洗浄液をワイパアーム11を迂回させて、ウィンドガラス2の払拭領域S1上の特定の着水領域S2に着水させることができる。払拭領域S1は、ワイパアーム11がその回動軸13を中心に回動したときにワイパブレード12が掃くウィンドガラス2上の領域である。着水領域S2については、制御部20が送風機16の圧送力や調整弁18の開度を調整することにより、適宜調整することが可能になる。
上述のように、噴射口25の上下に配置した吐出口26と吐出口27の大きさを異ならせて吐出される空気の速度差を設けたため、図示のように洗浄液の軌跡が上方に向く放物状に変化する。その結果、図中破線にて示されるように、ウォッシャノズル5から拡散噴射された洗浄液をワイパアーム11を迂回させて、ウィンドガラス2の払拭領域S1上の特定の着水領域S2に着水させることができる。払拭領域S1は、ワイパアーム11がその回動軸13を中心に回動したときにワイパブレード12が掃くウィンドガラス2上の領域である。着水領域S2については、制御部20が送風機16の圧送力や調整弁18の開度を調整することにより、適宜調整することが可能になる。
図7は、ウォッシャ装置による洗浄液の噴射制御の一例を表すフローチャートである。
本実施の形態では、車速に応じて調整弁18の開度を調整し、噴射口25から噴射される洗浄液の軌跡を調整する制御を行う。
すなわち、制御部20は、車速センサ22から現在の車速Vを取得する(S10)。このとき、その車速Vが予め設定した基準速度V0(たとえば80km/h)以上であれば(S12のY)、調整弁18を閉弁状態に制御する(S14)。つまり、吐出口26から吐出される空気量を実質的にゼロとし、吐出口27から吐出される空気を増加させる。すなわち、車速が高速になるほど、対向してくる空気によって洗浄液が下向きに付勢され、ワイパアーム11に干渉する可能性が高くなる。そこで、下方の吐出口27のみから空気を吐出させて洗浄液の軌跡をより上向きに変化させる。これにより、高速時においても洗浄液がワイパアーム11を迂回できるようになる。
一方、車速Vが基準速度V0よりも低ければ(S12のN)、調整弁18を開弁状態に制御する(S16)。すなわち、吐出口26からも空気を吐出させ、洗浄液の噴射角度を適度に調整する。
以上に説明したように、本実施の形態のウォッシャ装置3は、ウォッシャノズル5の噴射口25に吐出口26,27を並設し、各吐出口から吐出される空気を噴射される洗浄液に干渉させてその軌跡を上方に変化させるようにした。その結果、ウォッシャノズル5がエンジンフード7の下に設けられていても、洗浄液がワイパアーム11を迂回してウィンドガラス2に着水することができる。その結果、ウォッシャシステムの払拭性能を良好に維持することができる。
本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
図8は、変形例にかかるウォッシャ装置のウォッシャノズルの構成を表す図である。なお、同図において上記実施の形態と同様の構成部分については同様の符号を付している。 本変形例においても、配管17から第1通路部229および第2通路部230にほぼ同じ管径で分岐させているが、下側の第2通路部230についてはその先端側にテーパ状に小径化するノズル231を設けている。ノズル231の先端開口部である吐出口227の直径d22は、第1通路部229の吐出口226の直径d21よりも小さくなっている。このノズル231を設けたことにより、下側の吐出口227から吐出させる空気の流速を大きくしている。つまり、上下の吐出口226および吐出口227から吐出される空気の流速差を設けることにより、上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、上記実施の形態では、第1通路部29の内径と第2通路部30の内径とを異ならせることにより吐出口26、吐出口27から吐出される空気の流速を異ならせるようにした。変形例においては、各通路の大きさに関係なく、各吐出口から吐出される空気の流速が異なるように制御してもよい。上述の例でいえば、たとえば調整弁18の開度を調整することにより流速差を調整することができる。あるいは、第1通路部と第2通路部の空気の供給源を異ならせ、各通路の流速を個別に制御できるようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、調整弁18において、弁体31を全閉状態と全開状態で切り替える例を示したが、開弁状態の開度を自由に制御できるようにしてもよい。これにより、洗浄液のより緻密な噴射制御を実現することができる。また、上記実施の形態では、分岐した一方の第1通路部29のみの開度を制御する例を示したが、第2通路部30側の開度をも制御できるようにしてもよい。
さらに、上記実施の形態では、噴射口25の上下に2つの吐出口26、27を設けた例を示した。変形例においては、たとえば下側の吐出口27のみを設けるようにしてもよい。そのように構成しても、洗浄液の軌跡を上方に変化させることができる。
また、上記実施の形態においては、ウォッシャノズル5として拡散式のものを例に挙げたが、たとえば2方向噴射式など、特定の方向に噴射する指向性のあるウォッシャノズルを採用することもできる。その場合には、洗浄液の噴射方向に合わせて吐出口による空気の吐出方向も適切に設定する。
なお、上記実施の形態は、噴射口から噴射される液体の軌跡を、吐出口から吐出される気体を当てて変更させる技術思想をウォッシャ装置にて具体化した例を示したが、噴射口から噴射される液体を目標着水点に導く用途であれば、応用することが可能である。
1 車両、 2 ウィンドガラス、 3 ウォッシャ装置、 4 ウォッシャタンク、 5 ウォッシャノズル、 6 ワイパ装置、 7 エンジンフード、 8 配管、 11 ワイパアーム、 15 ポンプ装置、 16 送風機、 17 配管、 18 調整弁、 20 制御部、 25 噴射口、 26 吐出口、27 吐出口、 29 第1通路部、 30 第2通路部、 31 弁体、 32 モータ、 33 ノズル本体、 35 噴射ノズル、 36 第1吐出部、 37 第2吐出部、 226 吐出口、 227 吐出口、 229 第1通路部、 230 第2通路部、 231 ノズル、 S1 払拭領域、 S2 着水領域。
Claims (9)
- 洗浄液を貯留するタンクと、
前記タンク内の洗浄液を圧送するポンプ装置と、
前記圧送された洗浄液をウィンドガラスに噴射するウォッシャノズルと、
前記ポンプ装置を駆動制御する第1の制御部と、
気体を圧送する気体圧送装置と、
前記ウォッシャノズルの噴射口に並設され、前記圧送された気体を吐出する吐出口と、
前記気体圧送装置を駆動制御する第2の制御部と、
を備え、
前記第2の制御部は、前記気体圧送装置を駆動して前記吐出口から吐出される気体の吐出状態を制御することにより、前記噴射口から噴射される洗浄液の軌跡を変化させ、前記ウィンドガラスの所定位置に着水させることを特徴とする車両用ウォッシャ装置。 - 前記吐出口が前記噴射口と隣接配置されており、
第2の制御部は、前記吐出口から前記気体を吐出させて、その気体を前記噴射口から噴射される洗浄液の側面に当てることにより、その軌跡を変化させることを特徴とする請求項1に記載の車両用ウォッシャ装置。 - 前記吐出口が前記ウォッシャノズルに一体に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用ウォッシャ装置。
- 前記吐出口として、前記噴射口に隣接配置された第1の吐出口と、前記噴射口の前記第1の吐出口と反対側に隣接配置された第2の吐出口とを備え、
前記第1の吐出口から吐出される気体の流速と、前記第2の吐出口から吐出させる気体の流速とを異ならせることにより、前記噴射口から噴射される洗浄液に当てる気体の流速差によってその洗浄液の軌跡を変化させるように構成されたことを特徴とする請求項2または3に記載の車両用ウォッシャ装置。 - 前記第1の吐出口と前記第2の吐出口の大きさを異ならせることにより、前記気体の流速差を発生させるように構成されたことを特徴とする請求項4に記載の車両用ウォッシャ装置。
- 前記第1の吐出口と前記第2の吐出口とを前記噴射口を挟んで上下に配置することにより、前記噴射口から噴射される洗浄液の軌跡を上向きに変化させるように構成されたことを特徴とする請求項4または5に記載の車両用ウォッシャ装置。
- 前記気体圧送装置と前記吐出口とをつなぐ通路の開度を調整可能な調整弁を備え、
前記第2の制御部は、前記調整弁の開度を制御することにより、前記吐出口から吐出される気体の流量を変化させてその吐出状態を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用ウォッシャ装置。 - 車速を検出する車速検出部と、
前記第1の吐出口および前記第2の吐出口と前記気体圧送装置とをつなぐ通路に、前記第1の吐出口へつながる通路部と前記第2の吐出口へつながる通路部の開度を互いに異ならせるように調整可能な調整弁を備え、
前記第2の制御部は、前記車速に基づいて前記調整弁の開度を制御することにより、前記車速に応じて前記噴射口から噴射される洗浄液の軌跡を変化させることを特徴とする請求項6に記載の車両用ウォッシャ装置。 - 液体を圧送するポンプ装置と、
前記圧送された液体を目標着水点に向けて噴射するノズルと、
前記ポンプ装置を駆動制御する第1の制御部と、
気体を圧送する気体圧送装置と、
前記ノズルの噴射口に並設され、前記圧送された気体を吐出する吐出口と、
前記気体圧送装置を駆動制御する第2の制御部と、
を備え、
前記第2の制御部は、前記気体圧送装置を駆動して前記吐出口から吐出される気体の吐出状態を制御することにより、前記噴射口から噴射される液体の軌跡を変化させることを特徴とする液体噴射装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007116975A JP2008273298A (ja) | 2007-04-26 | 2007-04-26 | 車両用ウォッシャ装置および液体噴射装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2007116975A JP2008273298A (ja) | 2007-04-26 | 2007-04-26 | 車両用ウォッシャ装置および液体噴射装置 |
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JP2008273298A true JP2008273298A (ja) | 2008-11-13 |
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ID=40051849
Family Applications (1)
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JP2007116975A Pending JP2008273298A (ja) | 2007-04-26 | 2007-04-26 | 車両用ウォッシャ装置および液体噴射装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2008273298A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110167800A (zh) * | 2017-01-10 | 2019-08-23 | 株式会社电装 | 车载传感器清洗装置 |
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2007
- 2007-04-26 JP JP2007116975A patent/JP2008273298A/ja active Pending
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CN110167800A (zh) * | 2017-01-10 | 2019-08-23 | 株式会社电装 | 车载传感器清洗装置 |
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