JP2008272938A - 積層繊維ボードの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】天然繊維とバインダー樹脂とからなる繊維ボードを製造するにあたって、繊維ボードの一定の機械的強度を確保しながら予備成形体を低重量かつ低体積とすることで輸送効率を向上すると共に、成形時の透けや切れなどを防止する。
【解決手段】天然繊維からなる繊維マット10間に、該繊維マット10の繊維よりも細径の繊維からなる不織布20を挟んでニードルパンチした積層シート30を成形する予備製造工程と、予備製造工程において得られた積層シート30を、これにバインダー樹脂を付与したうえで加熱プレスする成形工程とを有する。
【選択図】図2
【解決手段】天然繊維からなる繊維マット10間に、該繊維マット10の繊維よりも細径の繊維からなる不織布20を挟んでニードルパンチした積層シート30を成形する予備製造工程と、予備製造工程において得られた積層シート30を、これにバインダー樹脂を付与したうえで加熱プレスする成形工程とを有する。
【選択図】図2
Description
本発明は、天然繊維とバインダー樹脂とからなる繊維ボードの製造方法に関し、詳しくは、予め所定の処理を施した予備成形体を得ておき、その後当該予備成形体を加熱プレスして所定形状に本成形する繊維ボードの製造方法に関する。
この種の繊維ボードは、加熱プレスすることで天然繊維をバインダー樹脂で接着して所定形状に成形される。天然繊維は天然植物から得られるが、原料植物そのままの状態若しくは繊維の状態で成形場所(生産工場)へ輸送したのでは、生産工場で原料を処理する必要が有り煩雑である、施設が大規模となる、生産コストが嵩むなどの問題がある。そのため、予め繊維マット状ないしはプレボード状の予備成形体を製造してから生産工場へ輸送し、当該生産工場にて所定形状に本成形することが多い。とくに、海外から原料を輸入する場合などは、この利点が大きい。
このとき、予備成形体の体積が大きいと輸送効率が悪い。そこで、予備成形体の嵩(厚み)を小さくして輸送効率を向上させた技術として、本出願人が提案した特許文献1がある。特許文献1では、天然繊維に熱可塑性樹脂を混入させた繊維マットを、熱可塑性樹脂の軟化温度以上で加熱プレスして予備成形体としてのプレボードを成形する予備成形工程と、このプレボードの内部もしくは表面に熱硬化性樹脂を付与したうえで、熱硬化性樹脂の硬化温度以上かつ熱可塑性樹脂の軟化温度以上で再び加熱プレスする本成形工程とによって繊維ボードを製造している。これによれば、繊維マットを熱可塑性樹脂で接着することで嵩の小さい予備成形体とできるので、一度に輸送できる量が多くなり輸送効率がアップする。
しかし、特許文献1では繊維マットに熱可塑性樹脂を付与しているので重量が増加してしまい、その分輸送効率の大幅な向上にまでは至っていなかった。これを解決する手段として、例えば予備成形体に合成樹脂を付与することなく、かつ低目付けの繊維マットとして輸送するこが考えられる。低目付けの繊維マットであれば、ニードルパンチなどによる繊維同士の交絡が容易であることから、嵩の小さな繊維マットとすることができる。しかし、低目付けであると、出来上がった繊維ボードの機械的強度が低くなってしまう。
最終製品である繊維ボードに十分な機械的強度を確保するには、高目付けの繊維マットを使用することが好ましい。しかし、高目付けであればニードルパンチなどによる繊維同士の交絡が難しく、これにより引っ張り強度などが低下して本成形時に「透け」や「切れ」が生じる可能性が高くなる。しかも、靭皮植物などから得られた天然繊維の多くは、直線状かつ繊維束が比較的太いため、繊維ボードの機械的強度を確保するために高目付けとすると、繊維マットをニードルパンチしても天然繊維自体の反発力(復元力)によってその嵩が元の状態に戻り易いという問題がある。
ここで、本成形時の「透け」や「切れ」の防止を目的とした発明として、特許文献2がある。特許文献2では、天然繊維と生分解性樹脂とを混合してニードルパンチした繊維マットの間に、網目状シートを挟んだ予備成形体を製造し、これの片面に表皮材としての不織布を積層して加熱プレスして積層繊維ボードを得ている。しかし、特許文献2に記載の発明は、天然繊維に生分解性樹脂を混合している点で予備成形体の重量が大きい。また、網目状シートは単に繊維マット間に埋設(挟み込む)させているだけであって、繊維マットの繊維と網目状シートとを交絡させている訳ではないので、「透け」防止の確実性に欠ける。そもそも、繊維マット間に挟むシートを網目状にしている点で、繊維マットの繊維と網目状シートとを交絡することは予定していない。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、天然繊維とバインダー樹脂とからなる繊維ボードを製造するにあたって、繊維ボードの一定の機械的強度を確保しながら予備成形体を低重量かつ低体積とすることで輸送効率を向上すると共に、成形時の透けや切れなどを防止することにある。
上記課題を解決するための手段として、本発明の積層繊維ボードの製造方法は、天然繊維からなる繊維マット間に、該繊維マットの繊維よりも細径の繊維からなる不織布を挟んでニードルパンチした積層シートを製造する予備製造工程と、前記予備製造工程において得られた積層シートを、これにバインダー樹脂を付与したうえで加熱プレスする成形工程とを有する。予備成形体としての積層シートは、各繊維マット間に不織布を挟んだ構成となっていればその積層枚数はとくに限定されることはなく、例えば2枚の繊維マットの間に1枚の不織布を挟んだ3層構造のみならず、3枚以上の各繊維マットの間にそれぞれ不織布が挟まれた多層構造であってもよい。また、各繊維マットの天然繊維は、同種のものを使用してもよく、異種のものを併用してもよい。
このとき、繊維マットは250〜1000g/m2と比較的低目付けとし、不織布の目付けは、繊維マットの目付けよりも小さくすることが好ましい。
本発明の積層繊維ボードの製造方法では、バインダー樹脂を含有していない積層シートを予備成形体として製造したうえで、これにバインダー樹脂を付与して本成形している。したがって、予備成形体を輸送する場合にその重量が軽くなり、輸送効率が向上する。また、最終的に求められる予備成形体の高目付けを、複数枚の繊維マットを積層することで達成している。つまり、予備成形体を構成する繊維マットが複数枚に分割されているので、各繊維マット自体の目付けは小さくなる。したがって、各繊維マット中の繊維をニードルパンチによって確実に交絡させることができ、これに伴い各繊維マットの嵩は小さくなる。このように嵩の小さい各繊維マットを積層すれば、高目付けの単層繊維マットとするよりも大幅に嵩が小さくなるので、この点においても輸送効率を向上させることができる。
また、繊維マット間に介在させるものを不織布としていること、及び不織布の繊維を繊維マットの繊維よりも細径にしていることから、繊維マットに直線状で太い天然繊維を使用してもこれに不織布の繊維が複雑に絡みつくので、予備成形体を加熱プレスして成形する際に透けや切れが生じるのを有効に防止できる。
このとき、繊維マットを250〜1000g/m2の比較的低目付けの範囲で設定しておけば、繊維同士の良好な交絡状態を確保しながら、繊維ボードの機械的強度を確保できる。
不織布は、繊維マットと不織布の繊維同士を交絡させて、積層シート全体として良好な繊維の交絡状態を確保するために介在させている。したがって、不織布の目付けを繊維マットの目付けよりも小さくしておけば、積層シート全体として良好な繊維の交絡状態を確保しながらも、積層シートの厚みが無駄に大きくなることを回避することができる。
以下に、本発明に係る積層繊維ボードの製造方法の実施の形態を説明するが、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。本実施形態の繊維ボードは、基本的には天然繊維にバインダー樹脂を付与したものを加熱プレスすることで、天然繊維をバインダー樹脂で接着して所定形状に成形される。しかし、単に天然繊維にバインダー樹脂を付与してそのまま加熱プレスするのではなく、所定形状に成形するに先立って予備成形体を製造することで、生産工場での生産性を高めると共に、原料を生産工場へ輸送し易くしている。具体的には、図1に示すごとく繊維マット10・10間に不織布20を挟んでニードルパンチし、図2に示すような積層シート30を予備成形体として製造する予備製造工程と、予備製造工程において得られた積層シート30を、これにバインダー樹脂を付与したうえで加熱プレスする成形工程とを経て製造される。
[予備製造工程]
<繊維マットの製造>
各繊維マット10は天然繊維からなる。天然繊維は、木本類や草本類の天然植物から得られる。具体的には、木本類としてスギやヒノキなどの針葉樹、シイ、柿、サクラなどの広葉樹、及び熱帯樹から得ることができる。草本類としては、良質の繊維が得られやすい靭皮植物が好ましく、例えばケナフ、ラミー(苧麻)、リネン(亜麻)、アバカ(マニラ麻)、ヘネケン(サイザル麻)、ジュート(黄麻)、ヘンプ(大麻)、ヤシ、パーム、コウゾ、ワラ、バガスなどがある。また、機械パルプ、化学パルプ、セミケミカルパルプ、これらのパルプを原料として合成される人工の各種セルロース系繊維を使用してもよい。
<繊維マットの製造>
各繊維マット10は天然繊維からなる。天然繊維は、木本類や草本類の天然植物から得られる。具体的には、木本類としてスギやヒノキなどの針葉樹、シイ、柿、サクラなどの広葉樹、及び熱帯樹から得ることができる。草本類としては、良質の繊維が得られやすい靭皮植物が好ましく、例えばケナフ、ラミー(苧麻)、リネン(亜麻)、アバカ(マニラ麻)、ヘネケン(サイザル麻)、ジュート(黄麻)、ヘンプ(大麻)、ヤシ、パーム、コウゾ、ワラ、バガスなどがある。また、機械パルプ、化学パルプ、セミケミカルパルプ、これらのパルプを原料として合成される人工の各種セルロース系繊維を使用してもよい。
天然植物から天然繊維を得る方法は特に限定されることはなく、種々の公知の方法を用いればよい。例えば天然植物を水中に放置し、微生物によって接着成分であるリグニンやヘミセルロースなどを分解する生分解(レッティング)、高温の水蒸気に曝露して接着成分を分解する蒸煮、高気圧条件で蒸煮し、一気に大気圧まで気圧開放することで原料に浸透した水分を一気に膨張させて原料を細分化する爆砕法、水酸化ナトリウムや生石灰などのアルカリ性水溶液を用いて靭皮を熟成又は膨潤させる化学パルプ法などを使用できる。これらにより得られた天然繊維を、繊維束の状態、または必要に応じてカード機やエアレイ機などで解繊し、所定目付けのウェブとしたうえで、これをローラー圧縮して繊維マットを製造することができる。繊維束とは、天然植物において繊維同士を接着しているリグニンやヘミセルロースを分解除去して得られる単位繊維である。また、ローラー圧縮に代えて、繊維ウェブをニードルパンチして繊維マットとしておいてもよい。とくに、天然繊維を繊維束の状態で使用する場合は、その繊維径が大きいことから高い反発力を有するので、この時点でも繊維同士を交絡させることが出来る点で、ニードルパンチが有効である。
この繊維マット10は、後述のように複数枚を積層して1枚の積層シート30とするので、繊維マット10の目付けは比較的低目付けとしておく。各繊維マット10を低目付けとしていれば、繊維同士を容易に交絡させることができるので、繊維マット10の嵩(厚み)を小さくできる。その下限値は250g/m2以上、好ましくは300g/m2以上、より好ましくは400g/m2以上である。繊維マット10の目付けがこの下限値より低いと、結果として積層シート30延いては積層繊維ボードの目付けが低くなって機械的強度が低下したり、積層シート30を高目付けとするために多数枚を積層する必要があるので、生産性が低下する。一方、繊維マット10の目付けの上限値は、1000g/m2以下、好ましくは800g/m2以下、より好ましくは600g/m2以下である。繊維マット10の目付けがこの上限値より高いと良好に繊維同士を交絡させることができず、かつニードルパンチしても繊維マット10の嵩が元に戻って大きくなってしまう。また、成形時に透けなどが発生し易くなる。このような目付けの範囲内において、積層繊維ボードの使用目的に応じて最終的に求められる積層シート30の目付け、間に介在させる不織布の目付け、及び積層枚数等に応じて適宜設定すればよい。
<不織布の製造>
不織布20の主目的は、繊維マット10と不織布20の繊維同士を交絡させることで各繊維マット10同士を繋ぐことにある。したがって、不織布20を構成する繊維の繊維径は、繊維マット10を構成する繊維の繊維径よりも細くすることが好ましい。すなわち、上述のように繊維マット10を構成する天然繊維は、繊維径が比較的太く、かつ直線状を呈するものが多いことから交絡性が劣るので、これをサポートするためには、交絡性の良い繊維を使用することが求められる。不織布20に使用する繊維は、繊維マット10の繊維よりも細径で交絡性が良ければ、具体的な繊維径の上限は特に限定されることはないが、下限は少なくとも2μm以上とすることが好ましく、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上である。不織布20に使用する繊維の繊維径がこれよりも小さいと、繊維自体の機械的強度が低下して、良好な交絡状態を維持できなかったり、成形時の透けや切れを有効に防止することができなくなる。
不織布20の主目的は、繊維マット10と不織布20の繊維同士を交絡させることで各繊維マット10同士を繋ぐことにある。したがって、不織布20を構成する繊維の繊維径は、繊維マット10を構成する繊維の繊維径よりも細くすることが好ましい。すなわち、上述のように繊維マット10を構成する天然繊維は、繊維径が比較的太く、かつ直線状を呈するものが多いことから交絡性が劣るので、これをサポートするためには、交絡性の良い繊維を使用することが求められる。不織布20に使用する繊維は、繊維マット10の繊維よりも細径で交絡性が良ければ、具体的な繊維径の上限は特に限定されることはないが、下限は少なくとも2μm以上とすることが好ましく、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上である。不織布20に使用する繊維の繊維径がこれよりも小さいと、繊維自体の機械的強度が低下して、良好な交絡状態を維持できなかったり、成形時の透けや切れを有効に防止することができなくなる。
不織布20の素材は、天然繊維、熱可塑性樹脂繊維、熱硬化性樹脂繊維、無機繊維など種々のものを使用することができる。天然繊維としては、先の繊維マット10で挙げたものと同様の天然植物繊維でよい。熱可塑性樹脂としては、代表的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、塩化ビニルなど周知の合成樹脂をあげることができる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などを挙げることができる。無機繊維としては、金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維などがある。これらの繊維は公知の方法により採取若しくは製造すればよい。天然繊維を使用する場合は、繊維マット10に使用している繊維束よりも細径の繊維束を有する植物を使用したり、繊維マット10で使用している繊維束を解繊して更に細径としてもよい。合成樹脂繊維を使用する場合は、例えば押し出し法、遠心法、メルトブロー法などがある。天然繊維を使用すれば、繊維ボードを廃棄したとき生分解により消滅するので、環境に優しい。熱可塑性樹脂繊維を使用して成形時に溶融させれば、バインダーとして使用することもできる。無機繊維であれば、繊維ボードの補強材としても機能する。
不織布20の存在によって積層シート30が全体的に良好な交絡性が確保されていれば、予備成形体としての積層シート30を所定形状に成形する際に、特に角部に発生し易い引張り応力による繊維の局所的なズレによって発生する透けや切れを防止する役割も果たす。これは、成形時に不織布20によって積層シート30中の繊維が全体的に良好に交絡されていれば十分に達成できるが、より確実に透け等を防止する観点からは、不織布20が成形時の加熱温度によって溶融しないことが好ましい。この意味においては、不織布20として熱可塑性樹脂繊維を使用する場合は、成形時の加熱温度よりも融点、好ましくは軟化点が高い熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。換言すれば、成形時の加熱温度はバインダー樹脂の溶融または硬化温度により決定されるので、バインダー樹脂の溶融または硬化温度よりも高い融点(好ましくは軟化点)の熱可塑性樹脂繊維とすることが好ましい。例えば、バインダー樹脂として融点約120℃のポリエチレンを使用し、不織布20として融点160℃のポリプロピレンを使用し、130℃程度で加熱プレスする場合などを挙げることができる。不織布20が天然繊維や熱硬化性樹脂繊維、無機繊維であれば特に制限はない。
不織布20は、先の繊維マット10と同様の製造方法によって製造すればよい。但し、不織布20の目付けは、繊維マット10の目付けよりも小さくしておくことが好ましい。不織布20によって各繊維マット10を繋ぎ、繊維が全体的に良好に交絡された1枚の積層シート30の形態を保持できれば十分であり、高目付けであると、積層シート30の嵩及び重量が無駄に増加するからである。具体的には、不織布20の目付けを250g/m2以下、好ましくは200g/m2以下、より好ましくは150g/m2以下とする。また、不織布20の目付けの下限は、50g/m2以上、好ましくは75g/m2以上、より好ましくは100g/m2以上とする。これよりも低いと、繊維マット10の繊維と不織布20との良好な交絡状態を保持できなくなるからである。
<積層シートの製造>
上記のようにして繊維マット10と不織布20を製造できたら、必要枚数の繊維マット10と不織布20とを交互に積層することで、図2に示すような各繊維マット10間に不織布20が挟まれた状態とし、これをニードルパンチしてそれぞれの繊維を交絡させることで、積層シート30を得ることができる。繊維マット10と不織布20との積層方法は特に限定されず、例えば同寸法に裁断した繊維マット10と不織布20とを積層してからニードルパンチしてもよく、ロール巻きされた繊維マット10と不織布20とを交互に積層する状態で引き出してニードルパンチしてから所定寸法に裁断してもよい。また、1枚の繊維マット10にクロスレイなどによって1枚の不織布20を積層して1対の予備積層シートを得ておき、複数枚の予備積層シートを積層してニードルパンチし、積層シート30としてもよい。
上記のようにして繊維マット10と不織布20を製造できたら、必要枚数の繊維マット10と不織布20とを交互に積層することで、図2に示すような各繊維マット10間に不織布20が挟まれた状態とし、これをニードルパンチしてそれぞれの繊維を交絡させることで、積層シート30を得ることができる。繊維マット10と不織布20との積層方法は特に限定されず、例えば同寸法に裁断した繊維マット10と不織布20とを積層してからニードルパンチしてもよく、ロール巻きされた繊維マット10と不織布20とを交互に積層する状態で引き出してニードルパンチしてから所定寸法に裁断してもよい。また、1枚の繊維マット10にクロスレイなどによって1枚の不織布20を積層して1対の予備積層シートを得ておき、複数枚の予備積層シートを積層してニードルパンチし、積層シート30としてもよい。
繊維マット10と不織布20の積層枚数は、少なくとも2枚の繊維マット10・10間に1枚の不織布20を挟んだ3層構造以上であれば特に限定されず、繊維ボードの使用目的に応じて最終的に求められる積層シート30の目付けや、繊維マット10及び不織布20の目付け等に応じて適宜設定すればよい。
このようにして得られた予備成形体としての積層シート30は、未だバインダー樹脂が付与されていないことから重量が軽く、かつ繊維が良好に交絡されていることから厚みも小さい。したがって、生産工場へ長距離輸送する場合などにおいて、その輸送効率を高めて輸送コストの削減を図ることができる。
[成形工程]
<バインダー樹脂の付与>
生産工場に輸送されてきた積層シート30は、加熱プレスされて所定形状に成形されることになるが、この成形工程に先立ってバインダー樹脂が付与される。バインダー樹脂としては、天然繊維の接着剤として機能するものであれば特に限定されることはなく、各種の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を使用することができる。熱可塑性樹脂としては、代表的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、塩化ビニルなどを挙げることができる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などを挙げることができる。また、ポリ乳酸樹脂や高等植物等から得られるリグニンなどの生分解性樹脂を使用することもできる。生分解性樹脂をバインダーとして使用すれば、繊維ボードを廃棄した際に経時的に生分解されるので、環境に優しい。これらのバインダー樹脂は、粉末状や溶媒溶液などの形態で付与することができる。
<バインダー樹脂の付与>
生産工場に輸送されてきた積層シート30は、加熱プレスされて所定形状に成形されることになるが、この成形工程に先立ってバインダー樹脂が付与される。バインダー樹脂としては、天然繊維の接着剤として機能するものであれば特に限定されることはなく、各種の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を使用することができる。熱可塑性樹脂としては、代表的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、塩化ビニルなどを挙げることができる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などを挙げることができる。また、ポリ乳酸樹脂や高等植物等から得られるリグニンなどの生分解性樹脂を使用することもできる。生分解性樹脂をバインダーとして使用すれば、繊維ボードを廃棄した際に経時的に生分解されるので、環境に優しい。これらのバインダー樹脂は、粉末状や溶媒溶液などの形態で付与することができる。
粉末状のバインダー樹脂を使用する場合は、積層シート30に散布若しくはエアー吹付けしたり、ローラーに付着させたバインダー樹脂粉末を電気的に印加する方法などがある。溶媒溶液として付与する場合は、積層シート30に溶媒溶液を噴霧したり、積層シート30を溶媒溶液中に浸漬する方法などがある。
<加熱プレス>
積層シート30にバインダー樹脂を付与できたら、所定形状の金型で加熱プレスすることで所定形状に成形された積層繊維ボードを得ることができる。この成形工程では、バインダー樹脂で各繊維を接着するので、当該成形工程での加熱温度は、バインダー樹脂が熱可塑性樹脂であればその融点以上、バインダー樹脂が熱硬化性樹脂であればその硬化温度以上とする。このとき、積層繊維ボードの角部には高い引張り応力が働くことになるが、不織布20によって各繊維同士が良好に交絡されているので、繊維が偏在して積層繊維ボードに「透け」や「切れ」が発生することが有効に防止されることになる。より確実に透け等を防止するには、不織布20として熱可塑性樹脂繊維を使用する場合は、これの融点がバインダー樹脂の融点若しくは硬化温度よりも高いものを選択し、成形工程での加熱温度は不織布20の融点よりも低い温度とすることもできる。積層繊維ボードの形状が比較的平らで透け等が生じるおそれが少ない場合は、不織布20を溶融させてこれをバインダーとして使用しても構わない。
積層シート30にバインダー樹脂を付与できたら、所定形状の金型で加熱プレスすることで所定形状に成形された積層繊維ボードを得ることができる。この成形工程では、バインダー樹脂で各繊維を接着するので、当該成形工程での加熱温度は、バインダー樹脂が熱可塑性樹脂であればその融点以上、バインダー樹脂が熱硬化性樹脂であればその硬化温度以上とする。このとき、積層繊維ボードの角部には高い引張り応力が働くことになるが、不織布20によって各繊維同士が良好に交絡されているので、繊維が偏在して積層繊維ボードに「透け」や「切れ」が発生することが有効に防止されることになる。より確実に透け等を防止するには、不織布20として熱可塑性樹脂繊維を使用する場合は、これの融点がバインダー樹脂の融点若しくは硬化温度よりも高いものを選択し、成形工程での加熱温度は不織布20の融点よりも低い温度とすることもできる。積層繊維ボードの形状が比較的平らで透け等が生じるおそれが少ない場合は、不織布20を溶融させてこれをバインダーとして使用しても構わない。
本発明で得られる積層繊維ボードは、例えば自動車のドアトリム基材、インナーパネル、ピラーガーニッシュ、リヤパッケージ、天井基材、衝撃吸収材、吸音材などの内装材や外板基材などの外装材として、壁材、床材、床下衝撃吸収材、断熱材などの建材として、及びスピーカーボックス、吸音材などの機器材料として広く適用できる。
(実施例)
平均繊維径17μmのケナフ繊維からなる目付け500g/m2の繊維マット間に、平均繊維径8μmのポリエチレン繊維からなる目付け120g/m2の不織布を挟んでニードルパンチし、目付け1120g/m2の3層積層シートを得た。この積層シートの厚みは10mmであった。これをリグニン分散液中に浸漬してバインダー樹脂を含浸させ脱水したうえで、リグニンの硬化温度以上の180℃で加熱プレスした。得られた積層繊維ボードは、矩形の底壁と、該底壁の外周縁から上方に折り曲げ立設する周壁と、該周壁の上端から外方に折り曲げ延出するフランジ部とからなる、矩形ハット型容器とした。
平均繊維径17μmのケナフ繊維からなる目付け500g/m2の繊維マット間に、平均繊維径8μmのポリエチレン繊維からなる目付け120g/m2の不織布を挟んでニードルパンチし、目付け1120g/m2の3層積層シートを得た。この積層シートの厚みは10mmであった。これをリグニン分散液中に浸漬してバインダー樹脂を含浸させ脱水したうえで、リグニンの硬化温度以上の180℃で加熱プレスした。得られた積層繊維ボードは、矩形の底壁と、該底壁の外周縁から上方に折り曲げ立設する周壁と、該周壁の上端から外方に折り曲げ延出するフランジ部とからなる、矩形ハット型容器とした。
(比較例1)
実施例と同じケナフ繊維からなる目付け1200g/m2の繊維マットをニードルパンチし、単層繊維マットを得た。この単層繊維マットの厚みは20mmであった。その後は実施例と同様にして矩形ハット型容器を得た。
実施例と同じケナフ繊維からなる目付け1200g/m2の繊維マットをニードルパンチし、単層繊維マットを得た。この単層繊維マットの厚みは20mmであった。その後は実施例と同様にして矩形ハット型容器を得た。
(比較例2)
実施例と同じケナフ繊維からなる目付け280g/m2の繊維マットをニードルパンチし、これを4枚積層して目付け1120g/m2の4層積層シートを得た。この積層シートの厚みは15mmであった。その後は実施例と同様にして矩形ハット型容器を得た。
実施例と同じケナフ繊維からなる目付け280g/m2の繊維マットをニードルパンチし、これを4枚積層して目付け1120g/m2の4層積層シートを得た。この積層シートの厚みは15mmであった。その後は実施例と同様にして矩形ハット型容器を得た。
実施例では、2枚の繊維マットを不織布を介して積層したうえでニードルパンチしていることで、目付け1120g/m2でも積層シートの厚みは10mmと小さい。これに対し、比較例1の単層繊維マットは実施例の積層シートと同等の目付けであるにもかかわらず、その厚みは20mmであり実施例1の倍となっていた。したがって、各繊維マットの目付けが高すぎると、ニードルパンチしても嵩が元に戻りやすいことがわかる。また、比較例2では低目付けの繊維マットを使用していることで各繊維マット自体の厚みは薄いが、これらを不織布を介してニードルパンチしていないことで、結果として同等の目付けでも積層シートの厚みは実施例より大きくなっていた。
<成形性評価試験>
次に、上記実施例及び両比較例の成形性(成形時における金型形状への追従性)について対比した。その結果を図3に示す。なお、図3は、比較例2の結果を100としたときの、実施例及び比較例1の成形性の良し悪しを棒グラフの高さで相対的に表したものである。具体的には、実施例及び比較例で成形した各矩形ハット型容器の下方から光を当てたときの光の透過量をデジタル解析し、その結果を比較例2を基準として相対評価したものである。棒グラフが高いほど、透け(光の透過量)が少なく成形性が良いことを意味する。
次に、上記実施例及び両比較例の成形性(成形時における金型形状への追従性)について対比した。その結果を図3に示す。なお、図3は、比較例2の結果を100としたときの、実施例及び比較例1の成形性の良し悪しを棒グラフの高さで相対的に表したものである。具体的には、実施例及び比較例で成形した各矩形ハット型容器の下方から光を当てたときの光の透過量をデジタル解析し、その結果を比較例2を基準として相対評価したものである。棒グラフが高いほど、透け(光の透過量)が少なく成形性が良いことを意味する。
比較例2は各繊維マットが低目付けなので各繊維マットにおける繊維同士の交絡はできているが、不織布を介してニードルパンチしていないので、層界面における良好な交絡までは達成できておらず、若干の透けが確認できた。これに対し、高目付け単層構造の比較例1は、繊維の交絡が良好でなかったことから透けの面積が大きく、図3の結果のごとく比較例2に比べて成形性が半減しており、とても製品として使用できるものではなかった。これに対し、実施例は透けが殆ど発生しておらず、図3の結果のように比較例2と比べて有意に成形性がよく、精度よい成形品が得られることがわかる。また、このときの実施例では、成形時の加熱によって不織布が溶融しているが、成形時の加熱によって不織布が溶融しても積層シートの交絡性が良ければ有意に透けの発生が防止できることがわかった。
10 繊維マット
20 不織布
30 積層シート
20 不織布
30 積層シート
Claims (3)
- 天然繊維からなる繊維マット間に、該繊維マットの繊維よりも細径の繊維からなる不織布を挟んでニードルパンチした積層シートを製造する予備製造工程と、
前記予備製造工程において得られた積層シートを、これにバインダー樹脂を付与したうえで加熱プレスする成形工程とを有する積層繊維ボードの製造方法。 - 前記繊維マットの目付けが250〜1000g/m2である請求項1に記載の積層繊維ボードの製造方法。
- 前記不織布の目付けは、前記繊維マットの目付けよりも小さい請求項1または請求項2に記載の積層繊維ボードの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007115405A JP2008272938A (ja) | 2007-04-25 | 2007-04-25 | 積層繊維ボードの製造方法 |
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JP2007115405A JP2008272938A (ja) | 2007-04-25 | 2007-04-25 | 積層繊維ボードの製造方法 |
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Family
ID=40051551
Family Applications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP2008272938A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011057151A (ja) * | 2009-09-11 | 2011-03-24 | Japan Vilene Co Ltd | 自動車外装材用基材及び自動車外装材 |
JP2011094311A (ja) * | 2009-10-27 | 2011-05-12 | Panasonic Electric Works Co Ltd | 調湿ボードの製造方法および調湿ボード |
-
2007
- 2007-04-25 JP JP2007115405A patent/JP2008272938A/ja active Pending
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