JP2008272714A - 気流式分級機 - Google Patents

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Abstract

【課題】分級室内に噴出される前の固気二相噴流において、粉体粒子の位置を粒子径に応じて制御することでより高精度な分級を可能とした、新規な構造の気流式分級機を提供すること。
【解決手段】分級弧状面46を有するコアンダブロック28によって壁部の一部が構成された分級室38を設けると共に、分級室38に開口して分級すべき粉体を気流によって分級室38内に供給する粉体供給路40を設けて、粉体供給路40からコアンダブロック28の表面に沿って分級室38内に噴出された気流をコアンダブロック28の分級弧状面46に沿って湾曲して流動せしめることにより、粉体を分級するようにした気流式分級機10において、粉体供給路40にコアンダブロック28の分級弧状面46の湾曲方向で湾曲して延びる分級弧状路42を設けて、分級弧状路42を通じて粉体を分級室38内に供給するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、粉体を粒径に応じて分級する分級機に係り、特に、粒子径に応じて粉体の粒子に作用する慣性力や遠心力,流体抗力等を利用して粉体を分級する気流式分級機に関するものである。
従来から、多数の微細な粒子からなる粉体を粒子径に応じて分別する分級機が知られており、分級機の一種である気流式分級機が、例えば、複写機や印刷機に用いられるトナーの分級等に採用されている。また、気流式分級機としては、例えば、特許文献1(特開2001−246327号公報)に示されているような慣性力を利用した分級機が提案されている。具体的には、例えば、外部から密閉された分級室が設けられると共に、空気等の気体からなる気流によって粉体を該分級室に供給する粉体供給路が形成されて、更に、凸形状に湾曲する分級弧状面を有するコアンダブロックが該分級室内に突出せしめられると共に、該分級弧状面で該分級室の壁面の一部が構成されており、該粉体供給路の開口から該分級室内に向かって該粉体を含んだ気流である固気二相噴流が該コアンダブロックの表面に沿って噴出されることにより、該気流がコアンダ効果によって該コアンダブロックの該分級弧状面に沿って湾曲して流動せしめられて、粉体の粒子に作用する慣性力や流体抗力等を利用して該粉体が粒径に応じて分級されるようになっている構造の気流式分級機が、慣性力を利用した気流式分級機として一般的に知られている。
かかる気流式分級機では、大径の粉体粒子が、慣性力等の作用によって空気等の流体の流れから離脱して外周側に射出されるようになっている一方、小径の粉体粒子が、気流から及ぼされる流体抗力等によって流体の流れに従って分級弧状面に沿って流動せしめられるようになっている。蓋し、同一密度の粉体において、大径の粒子は小径の粒子に比して質量が大きく、それに伴って作用する慣性力が大きいからである。これにより、粒子の飛行軌跡の違いに基づいて粗粉が分級弧状面上を流れる湾曲気流の外周側において収集されると共に、細粉が内周側において収集されて、粒子径に応じた粉体の分級が実現されるようになっている。
ところで、分級機においては、粉体を任意の粒子径で精度良く分級できることが望ましい。特に、最近では各分野においてより高精度な分級が要求されており、従来構造の気流式分級機では、求められる分級性能を充分に満たすことが出来ない場合もあった。
すなわち、分級室内に噴出せしめられる気流の流動方向を変化させて気流を曲げることにより、粒子径に応じて作用する慣性力や遠心力,流体抗力等を利用して粉体を分級する気流式分級機では、噴出される固気二相噴流中における粉体粒子の分布が分級精度に影響することとなる。しかし、従来構造の気流式分級機では、気流中に粉体の微細な粒子と粗大な粒子が分散した状態の固気二相噴流が分級室内に導入されるようになっていたことから、大径の粒子と小径の粒子は、気流中において必ずしも分級に最適の分布を為しておらず、分級精度の向上を妨げる一因となっていた。
蓋し、固気二相噴流が分級室に噴出される際に、大径の粉体粒子が湾曲する気流中における内周部分に位置せしめられていると、慣性力の作用によっても充分に外周側に射出されず、内周側に留まるおそれがある。一方、小径の粉体粒子が湾曲する気流中における外周部分に位置せしめられていると、小径の粒子に及ぼされる比較的に小さな慣性力でも気流を離脱して外周側に飛び出してしまうおそれがあるからである。
特開2001−246327号公報
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、分級室内に噴出される前の固気二相噴流において、粉体粒子の位置を粒子径に応じて制御することでより高精度な分級を可能とした、新規な構造の気流式分級機を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意な組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
すなわち、本発明は、凸面状の分級弧状面を有するコアンダブロックによって壁部の一部が構成された分級室が設けられていると共に、該分級室に開口して分級すべき粉体を気流によって該分級室内に供給する粉体供給路が設けられており、該粉体供給路から該コアンダブロックの表面に沿って該分級室内に噴出された該気流が該コアンダブロックの該分級弧状面に沿って湾曲して流動せしめられることにより該粉体が分級されるようになっている気流式分級機において、前記粉体供給路に前記コアンダブロックの前記分級弧状面の湾曲方向で湾曲して延びる分級弧状路が設けられており、該分級弧状路を通じて該粉体が該分級室内に供給されるようにしたことを特徴とする。
このような本発明に従う構造とされた気流式分級機においては、分級室への噴出前に固気二相噴流(空気流等の気流に対して分級すべき粉体を混在せしめた噴流)が湾曲して延びる分級弧状路内を流動せしめられることにより、予旋回せしめられるようになっている。これにより、予旋回中の固気二相噴流において、粉体の粒子には、それぞれ粒子径に応じた遠心力等が作用せしめられて、大径の粉体粒子(粗粉)が分級弧状路における外周側に移動して偏在せしめられると共に、小径の粉体粒子(微粉)が噴流の流動方向に流動せしめられて噴流中に散在した状態に維持される。このように、予旋回によって噴流中において予め粒子を分級することにより、分級室におけるコアンダ効果と粉体粒子に作用せしめられる慣性力や流体抗力等を利用した分級の精度を向上せしめることが出来る。なお、予旋回とは、固気二相噴流を湾曲して延びる分級弧状路内に通過せしめて、噴流中の粉体粒子に遠心力等を作用せしめることを言う。
また、本発明に係る気流式分級機においては、前記粉体供給路の前記分級弧状路が該粉体供給路における前記分級室側の端部に設けられている構造が好適に採用される。
このような本態様に従う構造を採用することにより、固気二相噴流は、分級弧状路において予旋回を施された後、直ちに分級室に噴出されて、慣性力等に基づいて分級される。それ故、固気二相噴流中における粒子の分布が予旋回によって適当に調整された状態で粉体の分級を行うことが出来て、分級精度の向上をより有利に図ることが出来る。
また、本発明に従う構造とされた気流式分級機においては、前記粉体供給路の前記分級室側の開口部が前記コアンダブロックの前記分級弧状面の湾曲方向一方の側の端部上に位置せしめられており、該粉体供給路から該分級室内に噴出される前記気流の噴出方向が、該粉体供給路の開口部との接続部における該分級弧状面の接線方向とされていることが望ましい。
このように粉体供給路の分級室側開口部を分級弧状面の端部上に位置せしめることにより、分級室に噴出された固気二相噴流が、コアンダ効果による流動方向の変化と、それに伴って粒子に作用する慣性力等を利用して速やかに分級される。それ故、固気二相噴流中における粒子分布が分級室内の気流などによって乱されるのを防いで、高精度な分級を実現することが出来る。
また、本発明に係る気流式分級機においては、前記コアンダブロックと所定距離を隔てて流路形成部材が配設されており、該コアンダブロックと該流路形成部材の部材間の領域を利用して前記粉体供給路が形成されていても良い。
このように粉体供給路をコアンダブロックを利用して形成することにより、噴体供給路を簡単な構造と少ない部品点数で構成することが出来る。特にコアンダブロックの形状に応じて粉体供給路が形成されることから、コアンダブロックの形状を適当に設定することによって、目的とする粉体供給路を容易に実現することが出来る。
また、本発明に係る気流式分級機においては、前記粉体供給路の前記分級室側の端部において前記コアンダブロックと反対側に位置するノズル壁部の外側面が該粉体供給路の該分級室への開口側に行くに従って次第に該粉体供給路の開口部に接近するように傾斜した傾斜面とされていることが望ましい。
これにより、粉体供給路から分級室への固気二相噴流の流入によって、分級室内の空気が流動せしめられる際に、コアンダブロックと反対側に位置する粉体供給路の壁部の外側面が傾斜面とされていることにより、分級室内の空気が該傾斜面に沿って粉体供給路の噴出口側に流動せしめられる。それ故、傾斜面で案内された空気が乱流や渦等を生じることなくスムーズに固気二相噴流に合流せしめられる。従って、分級室内における空気の流動によって、予旋回によって整理された噴流中において粉体粒子の分布が攪拌されたり、分級室内を移動する粉体粒子の移動経路が変化せしめられたりするのを防いで、分級精度の低下を有利に防ぐことが出来る。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1には、本発明の一実施形態としての気流式分級機10が示されている。気流式分級機10は、蓋プレート12と底面プレート14の対向面間に案内壁部16と分級壁部18と流路形成壁部20が配設された構造を有している。なお、以下の説明において、上下方向とは、原則として図1中の上下方向を言うものとする。
より詳細には、蓋プレート12と底面プレート14は、図2に概略的に示されているように、何れも平板形状を有しており、相互に平行を為して対向配置されている。なお、図2においては、気流式分級機10の要部が示されており、蓋プレート12及び底面プレート14等が部分的に示されている。また、本実施形態における気流式分級機10は、使用状態下において図1の紙面に対して直交する方向が鉛直方向となるように配設されるようになっており、蓋プレート12が底面プレート14よりも鉛直上方に位置するようになっている。
また、案内壁部16は、略ブロック形状を有しており、略一定の断面形状をもって蓋プレート12と底面プレート14の対向面間に跨って延びるように配設されている。更に、本実施形態では、案内壁部16において蓋プレート12及び底面プレート14の中央側(図1中、左)に位置する面が円弧状に湾曲する凹状面である案内面22とされており、案内壁部16の上下方向中央部分が両端部分に比して左右方向で狭幅となっている。なお、案内壁部16の材料は、特に限定されるものではないが、耐磨耗性に優れた材料が望ましく、例えば、ステンレス鋼の他、ニューセラミックスやファインセラミックス等のセラミックス材料等が好適に採用される。
また、分級壁部18は、上下方向で長手状とされたブロック形状を有しており、略一定の断面形状をもって一対のプレート12,14間に跨って延びるように配設されている。また、分級壁部18の略中央部分には、取出孔24が形成されている。取出孔24は、小径の円形孔であって、分級壁部18を蓋プレート12と底面プレート14の対向方向である厚さ方向で貫通するように形成されている。
また、取出孔24は、切込み状のインナ流路26を通じて分級壁部18の外周側に連通されている。本実施形態におけるインナ流路26は、分級壁部18の長手方向(上下方向)中間部分に形成されており、取出孔24から斜め上方に向かって延び出して、分級壁部18の外周面に開口せしめられている。また、本実施形態では、インナ流路26が分級壁部18の厚さ方向全長に亘って延びて分級壁部18の板厚方向両側に開口せしめられている。
また、分級壁部18は、インナ流路26を挟んだ両側にコアンダブロックとしてのコアンダ部28と分級エッジとしての分級スプリッタ30を備えている。なお、本実施形態においては、コアンダ部28と分級スプリッタ30が一体形成されることにより、分級壁部18が構成されている。
コアンダ部28は、分級壁部18の上端部分に設けられており、コアンダ部28の表面の一部によってインナ流路26の上側壁面が構成されている。また、コアンダ部28の上側面は、円弧状の湾曲凸状面32で構成されている。この湾曲凸状面32は、半周強の長さで形成されており、湾曲方向一方の端部が分級壁部18の外周面に対して滑らかに接続されていると共に、他方の端部がインナ流路26の上側壁面に対して滑らかに接続されている。なお、湾曲凸状面32が分級壁部18の外周面及びインナ流路26の上側壁面に対して滑らかに接続されるとは、湾曲凸状面32と分級壁部18の外周面及びインナ流路26の上側壁面が、接続部分において折れ点や折れ線を有することなく接続されていることを言うものであって、本実施形態では、該接続部分における湾曲凸状面32の接面が、分級壁部18の外周面及びインナ流路26の上側壁面と同一平面上に位置する状態を言う。
一方、分級スプリッタ30は、分級壁部18の下端部分において斜め上方に向かって突出するように設けられており、分級スプリッタ30の表面の一部によってインナ流路26の下側壁面が構成されている。更に、分級スプリッタ30は、インナ流路26の傾斜方向に沿うように斜め上方に向かって突出せしめられていると共に、突出先端側に向かって平面視で次第に狭幅となっており、本実施形態では、突出先端が平面視で尖鋭形状を呈している。
なお、以上の説明からも明らかなように、本実施形態においては、分級壁部18の長手方向中間部分において外周側に行くに従って次第に上方に傾斜して延びるインナ流路26が形成されることにより、分級壁部18においてインナ流路26を挟んだ上側部分にコアンダ部28が設けられていると共に、インナ流路26を挟んだ下側部分には斜め上方に向かって突出する先鋭形状の分級スプリッタ30が設けられている。なお、本実施形態においては、コアンダ部28と分級スプリッタ30が一体形成されている。
また、流路形成壁部20は、略一定の断面形状をもって蓋プレート12と底面プレート14の対向面間に跨って延びるブロック形状を有しており、上下方向が長手とされている。更に、流路形成壁部20の上端部分には、ノズル壁部34が一体形成されている。ノズル壁部34は、流路形成壁部20の上端部において、流路形成壁部20の長手方向に対して略直交する方向(図1中、右)に向かって突出するように形成されており、突出先端側に向かって平面視で次第に狭幅となる嘴状の断面形状を呈している。更に、本実施形態では、ノズル壁部34の上側端面が突出先端側に行くに従って次第に図1中の下方に傾斜する整流傾斜面36とされていると共に、ノズル壁部34の下端面がコアンダ部28における湾曲凸状面32に沿って湾曲する円弧状断面を有する凹状の湾曲面とされている。これにより、本実施形態におけるノズル壁部34は、後述する粉体供給路40の分級領域38側の開口部に向かって、次第に狭幅となっていると共に、開口側端縁部が尖鋭形状の断面を有している。
以上の如き構造とされた案内壁部16と分級壁部18と流路形成壁部20は、蓋プレート12と底面プレート14の対向面間において、所定の位置に配設されている。即ち、案内壁部16における案内面22に対して左右方向で所定距離を隔てた位置に分級壁部18が配設されていると共に、分級壁部18を挟んで案内壁部16と反対側には、分級壁部18に対して隙間を隔てて流路形成壁部20が配設されている。なお、分級壁部18と流路形成壁部20の離隔距離は、案内壁部16と分級壁部18の離隔距離に比して充分に小さくされており、流路形成壁部20の右側面及びノズル壁部34の下端面が分級壁部18の左側面及びコアンダ部28の湾曲凸状面32に沿って広がっている。また、かかる配設状態下において、流路形成壁部20におけるノズル壁部34の突出先端は、分級壁部18における湾曲凸状面32の上側頂点部上に離隔して位置せしめられている。
このように蓋プレート12と底面プレート14の対向面間に各壁部16,18,20がそれぞれ配設されることにより、案内壁部16と分級壁部18及び流路形成壁部20の間には、分級室としての分級領域38が形成されている。本実施形態における分級領域38は、図1に示されているように、分級壁部18及び流路形成壁部20の上方から分級壁部18の右方に至るように形成されており、全体として案内壁部16の案内面22に沿って湾曲するように延びている。
また、本実施形態においては、分級壁部18と流路形成壁部20の対向面間の隙間を利用して粉体供給路40が形成されている。粉体供給路40は、一方の端部が分級壁部18におけるコアンダ部28と流路形成壁部20におけるノズル壁部34の間に位置せしめられて分級領域38に連通せしめられていると共に、他方の端部が後述する管路52を通じて粉体供給装置50に接続されるようになっている。なお、本実施形態では、分級壁部18と流路形成壁部20が略一定の離隔距離をもって配置されており、粉体供給路40が略一定の断面積で延びている。
ここにおいて、本実施形態に従う構造とされた気流式分級機10では、粉体供給路40における分級領域38側の端部が、所定の長さに亘って湾曲して延びる分級弧状路としての旋回流路42とされている。旋回流路42は、その壁面が、コアンダ部28の上側面である湾曲凸状面32と、湾曲凸状面32に沿って湾曲するノズル壁部34の下端面を含んで構成されており、湾曲凸状面32の湾曲方向で円弧状に湾曲して延びている。なお、本実施形態では、旋回流路42の分級領域38側の端部における接線方向(図1中、左右)が、旋回流路42の粉体供給装置50側の端部における接線方向に対して直交する方向(図1中、上下)となっている。換言すれば、旋回流路42は、中心角が90°の円弧状とされている。また、粉体供給路40において、旋回流路42よりも粉体供給装置50側の部分が、直線的に延びる直線流路44とされており、図1中の上下方向に延びている。
また、分級壁部18の湾曲凸状面32において、旋回流路42を外れた部分は、分級弧状面としてのコアンダ湾曲面46とされている。コアンダ湾曲面46は、分級壁部18におけるコアンダ部28の右上側壁面を構成しており、半周弱の長さで延びている。特に本実施形態では、旋回流路42の分級領域38側の開口部が、コアンダ湾曲面46の一方の端部上に位置せしめられており、旋回流路42とコアンダ湾曲面46が湾曲凸状面32の頂点において接続されている。また、本実施形態においては、コアンダ湾曲面46が旋回流路42の下側壁面(湾曲凸状面32において旋回流路42の壁面を構成する部分)と同じ曲率半径で形成されており、コアンダ湾曲面46の一方の端部が旋回流路42の内周側の壁面に対して共通の接平面を有するように滑らかに接続されている。
このような本実施形態に係る気流式分級機10は、例えば、図3に示されているように、空気流を送出する送風機48と、送風機48によって形成された気流に分級すべき粉体を混合する粉体供給装置50が、管路52を通じて粉体供給路40の下側開口部に接続されて、分級すべき粉体を含んだ固気混合流が粉体供給路40を通じて分級領域38に供給されるようになっていると共に、分級領域38の上側開口部が図示しない防塵フィルタを介して大気に連通せしめられて、分級領域38に空気が供給されるようになっている。一方、例えば、取出孔24がインナ側集塵フィルタ54を介して吸引機56に接続されていると共に、分級領域38の下側開口部がアウタ側集塵フィルタ58を介して送風機48の吸気口に接続されており、分級領域38内の粉体混合空気が吸引機56及び送風機48によって吸引されることにより、分級領域38内において分級された粉体がインナ側集塵フィルタ54とアウタ側集塵フィルタ58で収集されるようになっている。
このような本実施形態に従う構造とされた気流式分級機10を用いて粉体を分級するに際しては、先ず、送風機48によって送出された気流に対して、粉体供給装置50によって供給される分級すべき粉体が混合されることにより固気二相噴流が形成されて、該固気二相噴流が気流式分級機10の粉体供給路40に供給される。
また、粉体供給路40における直線流路44側の開口部に供給された固気二相噴流は、直線流路44を通じて旋回流路42に至る。ここにおいて、固気二相噴流には、粉体供給路40の出口付近に設けられた旋回流路42内を流動することによって予旋回が施されるようになっている。即ち、予旋回とは、湾曲して延びる旋回流路42内を粉体が混合された空気流である固気二相噴流が通過することにより、固気二相噴流が旋回流路42の通路形状に応じた円弧状に湾曲して流動せしめられることである。
かかる予旋回により、固気二相噴流中に散在する粉体の粒子が空気の流れに沿って円運動せしめられて、旋回流路42内を流動中の粉体の各粒子には遠心力が作用せしめられる。ここにおいて、噴流中の各粉体粒子には、質量に応じて異なる遠心力が及ぼされることから、質量の異なる粒子は、旋回流路42内において、異なる移動経路で移動せしめられる。蓋し、質量が大きい粒子では、作用する遠心力が大きいことから、粒子の移動方向に対する遠心力の影響が大きく、粒子が旋回流路42内における外周側に移動せしめられる一方、質量が小さい粒子では、作用する遠心力が小さいことから、粒子の移動方向に対する遠心力の影響が小さく、空気の流れによって粒子に及ぼされる流体抗力等によって、粒子が気流の流動方向に沿って移動せしめられるからである。
また、同一材料で形成された粉体の各粒子の質量が粒子のサイズに略対応することから、各粉体粒子には、実質的に粒子径に応じた大きさの遠心力が作用せしめられる。即ち、粒子径が大きい粒子に比較的に大きな遠心力が作用せしめられると共に、粒子径が小さい粒子には比較的に小さな遠心力が作用せしめられる。従って、固気二相噴流中において、粉体の粒子が粒子径の違いに基づいて異なる経路をもって流動せしめられて、大径の粒子が気流中における外周側に偏在せしめられるものと考えられる。このように、旋回流路42を流動せしめて固気二相噴流に予旋回を施すことにより、粉体粒子に作用する遠心力等を利用して一次分級が実現されるようになっている。
なお、一次分級による大径粒子の外周側への移動においては、円弧状に湾曲して延びる旋回流路42の曲率等を適当に調節することにより、分級点(分級すべき粒子径)よりも大径の粒子が外周側に移動せしめられると共に、分級点よりも小径の粒子が気流の流動方向に沿って移動せしめられるように設定することが出来る。
さらに、旋回流路42を通過して予旋回が施されることにより一次分級された固気二相噴流は、分級領域38に向かって噴出される。そして、噴出された固気二相噴流は、図4にモデル的に示されているように、コアンダ効果に基づいて分級壁部18のコアンダ湾曲面46に沿って湾曲して流動せしめられる。このように円弧状に湾曲して流動する固気二相噴流において、粉体の粒子には粒子径(質量)に応じた慣性力等が作用するものと考えられる。これにより、比較的大きな慣性力が作用する大径の粒子は、図4に示されているように、粉体供給路40の分級領域38側出口における湾曲凸状面32の接線方向(図1中、左右方向)に射出されて、コアンダ湾曲面46に沿って流動する気流から離脱せしめられる一方、比較的小さな慣性力が作用する小径の粒子は、図4に示されているように、空気の流れによって及ぼされる流体抗力に基づいてコアンダ湾曲面46に沿って流動せしめられるものと推察される。従って、分級領域38内に噴出された粉体の粒子は、コアンダ効果による気流の流動方向の変化と、粒子に作用する慣性力等の外力の粒子径に応じた違い等に基づいて、二次分級されるようになっている。
そして、二次分級された粉体粒子は、分級壁部18の一部に設けられた分級スプリッタ30によって微粉と粗粉に分別されて回収されるようになっている。即ち、分級スプリッタ30が分級点(分級すべき粒子径)に応じて調節された位置に設けられていることにより、慣性力によって外周側に飛び出した大径の粉体粒子(粗粉)が、分級スプリッタ30を挟んだ右側(分級領域38側)を移動せしめられて、アウタ側集塵フィルタ58によって回収されるようになっている一方、コアンダ湾曲面46に沿って移動する小径の粉体粒子(微粉)は、分級スプリッタ30を挟んだ左側(インナ流路26側)に案内されて、インナ側集塵フィルタ54によって回収されるようになっている。特に本実施形態では、分級スプリッタ30が先鋭状の断面形状を有しており、エッジ状の突出先端によって粉体を目的とする分級点でよりシャープに分級することが出来るようになっている。
このように、本実施形態に係る気流式分級機10では、粉体と空気の混合気流を分級領域38に供給する粉体供給路40に、湾曲して延びる旋回流路42を設けることにより、従来の気流式分級機で行われるコアンダ効果を利用した分級の前に、粉体の粒子に作用する遠心力等を利用した一次分級を施して、分級領域38への噴出前における気流中での粉体の粒度分布を調節することが出来るようになっている。これにより、簡単な構造を採用しつつ、一度の分級作業で実質的に二段階の分級を行うことが出来て、より高精度な分級を実現することが出来る。
しかも、粉体供給路40の一部を湾曲して延びる旋回流路42として、予旋回による粉体の分級(一次分級)を可能としたことにより、分級領域38への気流の噴出後において、コアンダ効果を利用した分級(二次分級)が施される際に、大径の粒子が小径の粒子を巻き込んで外周側に移動することによる分級精度の低下を防ぐことが出来る。
また、本実施形態に従う構造とされた気流式分級機10においては、流路形成壁部20の上端部分に設けられたノズル壁部34の上端面が傾斜面(整流傾斜面36)とされており、粉体供給路40の分級領域38への開口側に行くに従って次第に下方に傾斜して、分級壁部18のコアンダ湾曲面46に接近せしめられるようになっている。これにより、分級領域38の上端部から流入する空気による気流が、整流傾斜面36に沿って流動せしめられて、粉体供給路40から分級領域38内に噴出される気流に対してスムーズに合流せしめられるようになっている。それ故、一次分級後の固気二相噴流が上方から導入される気流の合流によって攪拌されて、分級精度が低下するのを有利に防ぐことが出来る。
さらに、本実施形態に係る気流式分級機10においては、粉体供給路40の壁部が分級壁部18を利用して形成されている。それ故、粉体供給路40を少ない部品点数と簡単な構造で形成することが出来る。しかも、分級壁部18を利用することで、粉体供給路40を流動する気流を分級壁部18に沿った方向(コアンダ湾曲面46と旋回流路42の接続部分における接線方向)で分級領域38内に噴出せしめることが出来る。それ故、分級壁部18の表面形状に沿って気流が流動せしめられるコアンダ効果を有効に発揮せしめることが出来て、二次分級を有利に実現することが出来る。
また、本実施形態では、分級壁部18においてコアンダ部28と分級スプリッタ30が一体的に設けられている。これにより、少ない部品点数で二次分級を実現することが出来る。
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、前記実施形態では、旋回流路42が粉体供給路40の分級領域38側の端部に設けられており、旋回流路42とコアンダ湾曲面46が直接的に接続された構造となっている。しかしながら、旋回流路42は、必ずしも粉体供給路40の分級領域38側の端部に形成されていなくても良く、例えば、粉体供給路40の中間部分に形成されていても良い。更に、旋回流路42とコアンダ湾曲面46は、必ずしも直接的に接続されていなくても良く、例えば、直線的に延びる流路を介して間接的に接続されていても良い。
また、前記実施形態では、粉体が分級スプリッタ30を挟んだ両側で回収されることにより、粒径の異なる粗粉と細粉の二種類の粉体を得ることが出来るようになっている。しかし、例えば、二つ以上の分級スプリッタ30を適当な位置に設けて、それら分級スプリッタ30間の粉体も回収するようにすることにより、粒径の異なる三種以上の粉体を得ることも出来る。
また、前記実施形態において、湾曲凸状面32は、曲率が略一定とされた正円弧状の断面を有しているが、湾曲凸状面32は、必ずしも正円弧状の断面を有している必要はない。具体的には、例えば、湾曲凸状面は、曲率が周方向で変化する楕円弧状の断面を有しており、粉体供給路40とコアンダ湾曲面46の接続部において曲率が最も小さくなっていても良い。
また、前記実施形態において、分級領域38に噴出される固気二相噴流の流速や分級スプリッタ30の位置,コアンダ湾曲面46の曲率等を調節することにより、分級点(分級の境界となる粒子径)を適宜に設定することが出来る。
また、前記実施形態においては、コアンダ部28と分級スプリッタ30が一体形成されているが、コアンダ部28と分級スプリッタ30は別部材として形成されていても良い。
また、案内壁部16や分級壁部18,流路形成壁部20の具体的な形状は前記実施形態によって限定的に解釈されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない限りにおいて、適宜に設計を変更することが可能である。
また、前記実施形態では、固気二相噴流を形成する気流として空気流を採用しているが、例えば、気流式分級機10及びそれを用いた分級装置にアルゴン等の気体を封入して、該封入気体に粉体を混合することで固気二相噴流を形成しても良い。
また、前記実施形態に係る気流式分級機10は、例えば、印刷機や複写機のトナーの分級に好適に用いられる他、亜鉛によって皮膜加工された鉄粉の分級や薬剤の分級等、各種の用途に適用可能である。なお、気流式分級機10は、サブミクロン域(0.1μmオーダー)の粉体の分級にも適用可能であるが、好適には、数μm〜数十μmの粒子径を有する粉体の分級に使用される。
また、前記実施形態に係る気流式分級機10では、蓋プレート12と底面プレート14の対向方向が略鉛直上下方向となるように設置された態様が示されているが、気流式分級機10の設置方向は特に限定されるものではなく、例えば、図1中における上下方向が鉛直上下方向となるように設置されても良い。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
以下に本発明の効果を具体的に測定した実施例を示す。なお、以下の実施例で分級精度等を測定するために使用した分級装置60において、前記実施形態と実質的に同一の部材乃至は部位については、図中に同一の符号を付すことにより、詳細な説明を省略する。
本実施例においては、図1に示された分級装置60を使用した。分級装置60は、前記実施形態において示された構造の気流式分級機10を含んでいる。なお、本実施例において、気流式分級機10は、図5,6に示されているように、粉体供給路40の分級領域38側の端部における分級壁部18と流路形成壁部20の離隔距離(ノズル幅):bがb=2.0mm、蓋プレート12と底面プレート14の対向面間距離:HがH=20.0mm、湾曲凸状面32の断面における曲率半径:RがR=20.0mm、コアンダ部28と分級スプリッタ30の離隔距離(インナ流路26の幅寸法):Wi がWi =5.0mm、分級領域38の下端部における案内壁部16と分級壁部18の離隔距離(分級領域38の下端部における幅寸法):Wo がWo =70.0mm、にそれぞれ設定されている。また、図5にも示されているように、分級スプリッタ30の突出先端が、粉体供給路40の分級領域38側の出口に対して、湾曲凸状面32の断面における曲率中心で時計回りに為す角:θがθ=135°に設定されている。
また、本実施例に係る分級装置60は、図3に示されているように、気流式分級機10の分級領域38の下端が管路52aに接続されており、管路52aがアウタ側集塵フィルタ58に接続されている。また、アウタ側集塵フィルタ58が管路52bを通じてエアフィルタ62に接続されていると共に、エアフィルタ62が管路52cを通じて送風機48の吸気口側に接続されている。
さらに、送風機48の排気口側に接続された管路52dが三方弁64に接続されており、三方弁64によって分岐する一方の管路52eが第一の流量測定器66に接続されて大気に連通せしめられていると共に、他方の管路52fが第二の流量測定器68に接続されている。
更にまた、第二の流量測定器68に接続された管路52gが粉体供給装置50に接続されている。更に、粉体供給装置50に接続された管路52hが気流式分級機10の粉体供給路40に接続されており、粉体供給路40が分級領域38に連通せしめられている。
一方、分級壁部18に形成されたインナ流路26を通じて取出孔24が分級領域38に連通せしめられていると共に、取出孔24に接続された管路52iがインナ側集塵フィルタ54に接続されている。更に、インナ側集塵フィルタ54に接続された管路52jが第三の流量測定器70に接続されていると共に、第三の流量測定器70に接続された管路52k上にバルブ72が設けられて、管路52kがバルブ72によって遮断可能とされている。また、管路52kが吸引機56の吸気口側に接続されていると共に、吸引機56の排気口側が大気に連通せしめられている。
このような分級装置60を用いた粉体の分級に際しては、先ず、送風機48及び吸引機56に通電することにより、管路52を通じて流動するジェット噴流を形成した。そして、該ジェット噴流に対して粉体供給装置50から分級対象としての粉体を混合せしめて、固気二相噴流を形成した。この固気二相噴流を管路52を通じて気流式分級機10に送った。
なお、本実施例では、図5に示されているように、粉体供給路40から噴出される固気二相噴流の平均流速:u0 がu0 =40m/sに設定されていると共に、インナ流路26側に吸引される気流の平均流速:ui がui =20m/sに設定されている。更に、分級領域38の下側開口から吸引される流量:Qo が、粉体供給路40の出口から分級領域38への噴出流量:Qの五倍(Qo =5Q)となるように設定されている。また、粉体供給装置50によって供給される粉体としては、密度:ρp がρp =2620kg/m3 で、平均粒子径:dpmがdpm=7.00μmのガラスビーズが採用されており、該ガラスビーズの粒径分布が図7に示されている。
次に、気流式分級機10に供給された固気二相噴流を旋回流路42において予旋回せしめて一次分級を施した後、分級領域38に噴出せしめて、コアンダ効果等を利用した二次分級を施した。このようにして分級された粉体を、送風機48及び吸引機56によって分級スプリッタ30を挟んだ両側にそれぞれ搬送した。
そして、分級スプリッタ30を挟んで内周側に移動せしめられた粉体をインナ流路26を通じて取出孔24から取り出して、該粉体をインナ側集塵フィルタ54で回収した。一方、分級スプリッタ30を挟んで外周側に移動せしめられた粉体を分級領域38の下端開口から取り出して、アウタ側集塵フィルタ58で回収した。
なお、本実施例に対する比較例として、図8に示された従来構造の気流式分級機74を備えた分級装置を用意し、実施例と同様の測定を行った。比較例に係る気流式分級機74は、本実施例に係る気流式分級機10に比して旋回流路42が設けられておらず、粉体供給路76が直線的に延びている。また、本発明の有効性を確認するために、気流式分級機74以外の機材(送風機48等)は基本的に同一のものを使用した。更に、比較例におけるb,H,R,Wi ,Wo ,θと、uo ,ui ,Qo ,Qは、何れも実施例と同じに設定した。
このような本実施例と比較例に係る分級装置についてシミュレーションを行った結果と、実際に本実施例と比較例に係る分級装置を用いて粉体を分級し、測定した結果を、図9〜図18に示す。
先ず、図9には、本実施例に従う構造の気流式分級機10中における粒子の移動経路を粒子径別に色分けして示したシミュレーション結果が示されている。なお、図9においては、青色,緑色,黄色,赤色の線が、それぞれ1,5,10,20μmの粒子径を有する粒子の移動軌跡を示している。
これによれば、直線流路44を通過する固気二相噴流において分散している粒子が、旋回流路42を通過する固気二相噴流において一次分級されていることが確認できる。即ち、固気二相噴流が旋回流路42を通過することにより、図中において赤色,黄色,緑色で示されている比較的に大径の粒子が、旋回流路42の外周側の壁面付近に移動していることが明確に示されている。このような大径粒子の偏在は、比較例における粒子の飛行軌跡を示した図10においては認められず、旋回流路42を設けて予旋回を施したことによって奏された効果であると考えられる。一方、図中において青色で示されている分級点よりも小径の粒子は、固気二相噴流が旋回流路42を通過した後も分散して存在していることが示されている。これにより、全ての粉体粒子が外周側に運ばれるのではなく、大径の粒子が選択的に外周側に移動せしめられて、一次分級が有効に実現されているものと考えられる。
また、図9によれば、固気二相噴流の分級領域38への噴出後において、粉体が粒子径別に纏まった移動経路を辿って移動すると予測される。このことから、特定の分級点における分級を高精度に実現することが可能であると考えられる。なお、比較例においては、図10に示されているように、粒子が比較的にばらついた経路で移動せしめられており、特に、図10中においては、分級点付近の粒子径を有する粒子の移動経路を示す緑色の線においてばらつきが大きくなっている。このことから、本実施例に係る気流式分級機10を採用することにより、比較例に比して、より小さい分級点での高精度な分級が実現可能であると考えられる。
なお、本実施例における固気二相噴流の流動状態のシミュレーション結果である図11と、比較例における固気二相噴流の流動状態のシミュレーション結果である図12によれば、本実施例と比較例において、固気二相噴流の流動状態に大きな差異は認められない。従って、流路形状の違いによる固気二相噴流の流動方向や流速分布の差による影響は比較的に小さいものと考えられ、図9,10によって示された結果は、予旋回による一次分級が有効に作用したことに起因すると考えられる。
次に、表1には、本実施例において、インナ側集塵フィルタ54及びアウタ側集塵フィルタ58で回収した粉体を、粒子径別に分別し、粒子径毎に各フィルタ54,58で回収された粒子全体に対する割合:Nを百分率で示した結果が示されている。また、図13は、表1に示された測定結果をグラフ表示したものである。一方、表2には、比較例において、インナ側集塵フィルタ54及びアウタ側集塵フィルタ58で回収した粉体を、粒子径別に分別し、粒子径毎に各フィルタ54,58で回収された粒子全体に対する割合を示した結果が示されており、図14には、表2に示された測定結果をグラフ化した結果が示されている。
これらによれば、本実施例では、インナ側集塵フィルタ54で収集される大径の粒子と、アウタ側集塵フィルタ58で収集される小径の粒子が、比較例に比して何れも減少している。このことから、本発明に係る構造の気流式分級機10を用いた本実施例によれば、従来構造の気流式分級機74を用いた比較例に比して、より高精度な分級を実現出来ると考えられる。
さらに、図15は、図13に示された測定結果から部分分級効率:ηを算出し、粒子径:dp との相関を示した本実施例における部分分級効率曲線である。一方、図16には、比較例における部分分級効率曲線が示されている。なお、部分分級効率:ηとは、粉体供給装置50によって供給される粉体粒子の数:mに対するアウタ側集塵フィルタ58で回収された粉体粒子の数:nの割合を示すものであって、η=n/mである。
これら図15に示された本実施例に係る部分分級効率曲線と、図16に示された比較例に係る部分分級効率曲線を比較すると、本実施例においては、アウタ側集塵フィルタ58で大径の粒子を比較例に比してより多く回収することが出来ていると共に、小径の粒子の混入量が比較例に比して少なく抑えられていることが分かる。従って、本実施例では、比較例に比して、分級をより精度良く行うことが可能であると考えられる。
また、図17には、実施例と比較例における測定結果に基づいて、50%分離限界粒子径:D50と、分級の鋭さ:SIを算出した結果が示されている。また、図18には、実施例と比較例におけるD50とSIのシミュレーションにおける演算値が示されている。これらの結果によれば、本実施例におけるD50とSIの数値は、何れも比較例におけるD50とSIの数値よりも小さくなっており、より小さい分級点での高精度な分級が可能であることが、実測値と理論値の両方において示されている。なお、50%分離限界粒子径:D50とは、部分分級効率:ηがη=0.5となる粒子径を言う。また、分級の鋭さ:SIとは、η=0.75となる粒子径であるD75に対するη=0.25となる粒子径であるD25の比であって、SI=D75/D25で算出される。
最後に、表3には、粉体供給装置50から供給された粉体の粒子数に対するインナ側集塵フィルタ54で回収された粉体の粒子数の比が、予旋回を施さなかった場合と、予旋回を施した場合でそれぞれ示されている。
これによれば、予旋回を施した場合には、予旋回を施さなかった場合に比して、インナ側集塵フィルタ54で回収される粉体粒子の割合が小さくなることが示されている。このことから、予旋回を施した場合には、予旋回を施さなかった場合に比して、より高精度な分級が実現されて、分級点よりも大径の粉体粒子がインナ側集塵フィルタ54に混入するのが有利に防がれていると考えられる。
以上の如き実施例における実測とシミュレーションによって、本発明に従う構造の気流式分級機10を採用することにより、従来構造の気流式分級機74を採用する場合に比して、より高精度な分級を実現することが出来て、小径の分級点を設定可能であることが確認された。
本発明の一実施形態としての気流式分級機の要部を示す断面図。 図1に示された気流式分級機の要部を概略的に示す斜視説明図。 図1に示された気流式分級機を備えた分級装置を示す説明図。 コアンダ効果による固気二相噴流の流動方向の変化と、それに伴う粉体粒子の移動軌跡を説明する説明図。 本発明の実施例に採用された気流式分級機の要部を示す平面図。 図5に示された気流式分級機の側面図。 実施例及び比較例において採用した粉体の粒径分布を示すグラフ。 比較例に採用された気流式分級機の要部を示す断面図。 実施例における粉体粒子の移動軌跡のシミュレーション結果を示す説明図。 比較例における粉体粒子の移動軌跡のシミュレーション結果を示す説明図。 実施例における固気二相噴流の流動速度のシミュレーション結果示す説明図。 比較例における固気二相噴流の流動速度のシミュレーション結果を示す説明図。 実施例における分級後の粉体の粒度分布を示すグラフ。 比較例における分級後の粉体の粒度分布を示すグラフ。 実施例における部分分級効率曲線を示すグラフ。 比較例における部分分級効率曲線を示すグラフ。 実施例と比較例における50%分離限界粒子径と分級の鋭さの実測値に基づく算出結果を示すグラフ。 実施例と比較例における50%分離限界粒子径と分級の鋭さのシミュレーションに基づく算出結果を示すグラフ。
符号の説明
10:気流式分級機,12:蓋プレート,14:底面プレート,16:案内壁部,18:分級壁部,20:流路形成壁部,28:コアンダ部,30:分級スプリッタ,34:ノズル壁部,36:整流傾斜面,38:分級領域,40:粉体供給路,42:旋回流路,46:コアンダ湾曲面

Claims (5)

  1. 凸面状の分級弧状面を有するコアンダブロックによって壁部の一部が構成された分級室が設けられていると共に、該分級室に開口して分級すべき粉体を気流によって該分級室内に供給する粉体供給路が設けられており、該粉体供給路から該コアンダブロックの表面に沿って該分級室内に噴出された該気流が該コアンダブロックの該分級弧状面に沿って湾曲して流動せしめられることにより該粉体が分級されるようになっている気流式分級機において、
    前記粉体供給路に前記コアンダブロックの前記分級弧状面の湾曲方向で湾曲して延びる分級弧状路が設けられており、該分級弧状路を通じて該粉体が該分級室内に供給されるようにしたことを特徴とする気流式分級機。
  2. 前記粉体供給路の前記分級弧状路が該粉体供給路における前記分級室側の端部に設けられている請求項1に記載の気流式分級機。
  3. 前記粉体供給路の前記分級室側の開口部が前記コアンダブロックの前記分級弧状面の湾曲方向一方の側の端部上に位置せしめられており、該粉体供給路から該分級室内に噴出される前記気流の噴出方向が、該粉体供給路の開口部との接続部における該分級弧状面の接線方向とされている請求項1又は2に記載の気流式分級機。
  4. 前記コアンダブロックと所定距離を隔てて流路形成部材が配設されており、該コアンダブロックと該流路形成部材の部材間の領域を利用して前記粉体供給路が形成されている請求項1乃至3の何れか一項に記載の気流式分級機。
  5. 前記粉体供給路の前記分級室側の端部において前記コアンダブロックと反対側に位置するノズル壁部の外側面が該粉体供給路の該分級室への開口側に行くに従って次第に該粉体供給路の開口部に接近するように傾斜した傾斜面とされている請求項1乃至4の何れか一項に記載の気流式分級機。
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