JP2008272644A - 有機塩素化物分解用鉄粉及びそれを用いた無害化処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】有機塩素化合物の分解用鉄粉において、Ni含有量が少なく有機塩素化物を短時間で処理できる分解用鉄粉が求められていた。
【解決手段】トリクロルエチレンを10ppm、水分20重量%以上の土壌中に、室温、水分を含む当該土壌99重量部に対し、1重量部添加混合した場合における環境基準(0.03ppm)までのトリクロルエチレンの分解速度定数が0.7/日以上、Ni含有量が0.1重量%未満の有機塩素化物分解用鉄粉を提供する。
【選択図】 なし
【解決手段】トリクロルエチレンを10ppm、水分20重量%以上の土壌中に、室温、水分を含む当該土壌99重量部に対し、1重量部添加混合した場合における環境基準(0.03ppm)までのトリクロルエチレンの分解速度定数が0.7/日以上、Ni含有量が0.1重量%未満の有機塩素化物分解用鉄粉を提供する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、有機塩素化物で汚染された土壌、産業廃棄物、汚泥、スラッジ、排水、地下水等の被処理物に対する無害化処理剤及びそれを用いた無害化処理方法に関するものである。
近年、TCE(トリクロロエチレン)、PCE(テトラクロロエチレン)、ジクロロメタン、PCB(ポリ塩化ビフェニル)及びダイオキシン類等の有機ハロゲン化合物による環境汚染問題が大きな問題となっており、これら有機ハロゲン化合物により汚染された土壌、排水、地下水等に対する無害化用処理剤およびその処理方法が検討されている。
例えば、汚染された排水、用水をFe粉末や、NiまたはCu化学メッキFe粉末により還元脱塩素処理する技術が報告(例えば、非特許文献1)されている。しかし、これら処理剤自体の経時的性能劣化を抑制するためには汚染排水、用水中の溶存酸素を除去することが必要であり、さらに活性を示すニッケルメッキ量の範囲が多くなければ効果が得られなかった。
汚染土壌、スラッジ、汚泥等の処理法の場合、特に化学的処理として、限定範囲の汚染土壌に炭素を含有する鉄系処理剤を添加、処理する方法(例えば、特許文献1)、またはFeとNi、Cu、炭素を組み合わせた金属系処理剤を使用する処理法(例えば、特許文献2、3)が報告されている。しかし、分解能はまだ十分とは言えなかった。
他にもFeと異種元素を組み合わせた金属系処理剤の有機塩素化合物の分解が報告されている(例えば、特許文献4、5)。しかし強粉砕の手法により50μm以下の微粒子の比率が多い高活性な鉄粉では、着火性等の安全性に問題があった。さらに微細で高活性な鉄粉では、水溶液では性能が高いが、土壌等の固体物と均一に混合することが難しく、剤本来の特性が発揮されなかった。
これまで、Ni又は炭素を含有した有機塩素化合物分解鉄粉は知られていたが、土壌中の様な固液混合系では分解速度が遅いものであった。またそれらの性能を十分に発揮させるためには、Niの含有量を多くすることが必要であった。(特許文献6〜12)
さらにNiを含有しない助剤(鋳鉄、酸化鉄等)と混合して用いた場合においても総Ni含有量が0.1重量%未満の条件では十分な分解性能が得られなかった。
先崎ら、工業用水、VOL391,(1991),29. 特開平11−235577号
特開2000−5740
特開2002−20806
特開2003−80220
特開2003−136051
特開2003−105313
特開2004−57881
特開2004−305235
特開2004−305792
特開2005−95750
特開2005−34696
特開2005−118755
先崎ら、工業用水、VOL391,(1991),29.
従来の有機ハロゲン化合物で汚染された土壌、産業廃棄物、汚泥、スラッジ、排水、地下水等を無害化処理する剤としては、Niや炭素等の異種元素を含有する鉄系分解剤が知られている。しかし、従来の有機塩素化合物分解用鉄粉では、分解能を高めるにはNiの含有量を増大することが必要であったため、土壌浄化の性能が高く、なおかつNiの含有量が少ない有機塩素化合物分解用鉄粉が求められていた。
本発明者等は、鉄粉を用いた土壌中の有機塩素化合物の分解浄化について鋭意検討を重ねた結果、Ni含有量が0.1重量%未満において特に土壌等の固形物の処理において有機塩素化合物の分解が速く、従来よりも高い分解特性を発揮するものを見出した。以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の有機塩素化合物分解用鉄粉(以下「分解用鉄粉」という)は、トリクロルエチレンを10ppm、水分20重量%の土壌中に、室温、水分を含む当該土壌99重量部に対して、1重量部添加混合した際における環境基準(0.03ppm)までのトリクロルエチレンの分解速度定数が0.7/日以上であり、なおかつNi含有量が0.1重量%未満のものである。尚、分解速度定数は、土壌中の水分が15〜35重量%の範囲ではほぼ一定である。また、ここでの「1重量部」とは、後述のように有機塩素化合物分解用鉄粉に添加剤を添加した場合においては、当該添加剤を除いた当該有機塩素化合物分解用鉄粉の重量部を指すものとする。ここで、室温とは、概ね25±10℃の範囲をいう。
本発明に係る有機塩素化合物分解用鉄粉で処理できる土壌は、水分を含有するものであれば特に限定されるものではなく、結合水だけでなく移動可能な自由水(飽和水帯の地下水を含む。但し、それに限定されない。)を含むものが好ましく、礫、砂、シルト、粘土、その他無機質、有機質成分を含むもののいずれも適用可能である。土壌の質によって分解速度が影響を受ける場合があるが、本発明の分解用鉄粉の分解速度定数は、シルト質を用いた評価ではばらつきがないため特に好ましい。
本発明の分解用鉄粉は、特に土壌中の様な固体(固液混合相)における有機塩素化物の分解能が高く、上記の分解速度定数が0.7/日以上、特に0.8/日であることが好ましい。
土壌中で、土壌中の水分が高い方が有機塩素化物を分解し易いことはよく知られている。土壌中の水分としては、10重量%以上、特に15重量%以上あれば分解用鉄粉等の持つ分解性能は十分に発揮される(分解速度が飽和する)。本発明の分解用鉄粉は、その分解速度定数が、分解性能が十分に発揮される水分20重量%の土壌において、室温、水分を含む当該土壌99重量部に対して、分解用鉄粉を1重量部添加した場合のものである。分解速度の関係は一般に下記の速度式で表される。
ln(C1/C0)=−k・t
C1:トリクロルエチレンの到達濃度(ppm)
C0:トリクロルエチレンの初期濃度(ppm)
k:分解速度定数(/日)
t:時間(日)
ln(C1/C0)=−k・t
C1:トリクロルエチレンの到達濃度(ppm)
C0:トリクロルエチレンの初期濃度(ppm)
k:分解速度定数(/日)
t:時間(日)
本発明の分解用鉄粉は、特に土壌中での有機塩素化物の分解速度が速く、上記の条件の土壌中において、加熱や助剤の付与をすることなく反応速度定数が0.7/日以上のものである。これは環境基準のクリアに要する日数として約8日に相当する。
本発明の分解用鉄粉の分解速度定数は大きい方が好ましいが、活性が高過ぎて短時間に分解ガスが発生すると危険であるため、分解速度定数は2以下が好ましい。分解速度定数が2は環境基準までの分解に要する日数として約3日に相当する。
土壌に添加する分解用鉄粉の量を増やせば分解は速くなることはよく知られている。土壌中への分解用鉄粉の添加量が著しく少ない場合、又は多すぎる場合を除き、通常用いられる0.5〜3重量%の添加量の範囲では、添加量と分解速度定数の間には概ね以下の経験式に従った相関性が得られる。そのため、異なる添加量の試験結果から得られる分解速度定数から、分解用鉄粉の性能を相互比較することも可能である。
ka=kb(a/b)1/2
ka:汚染物中に分解剤をa重量%添加した場合の速度定数
kb:汚染物中に分解剤をb重量%添加した場合の速度定数
ka=kb(a/b)1/2
ka:汚染物中に分解剤をa重量%添加した場合の速度定数
kb:汚染物中に分解剤をb重量%添加した場合の速度定数
本発明の分解用鉄粉は、Ni含有量が0.1重量%未満であり、特に0.03〜0.09重量%の範囲が好ましい。有機塩素化合物の分解用鉄粉は、鉄と鉄の表面に存在する異種金属類が形成する局部電池が分解性能に寄与すると考えられているが、本発明者の鉄粉の粒径範囲における鉄粉の有効表面積においては、この様な特定の組成範囲で性能が優れ、特に優れた局部電池のマクロ構造を形成できる。本発明の分解用鉄粉はNi量が0.1重量%未満でありながら従来よりさらに高い有機塩素化物の分解性能を有する。
ここで、「Ni含有量」とは、分解用鉄粉に含まれる鉄成分とNi成分、存在する場合には炭素成分の重量の合計に対するNiの重量%である。尚、分解用鉄粉に添加剤が添加されている場合には、当該添加剤は除外して当該含有量を計算するものとする。
次に本発明の分解用鉄粉は、Niと鉄が部分合金化していることが好ましい。Niが鉄粉上に単に点在した状態(非合金化)では局部電池作用が弱くなる。部分合金化することにより局部電池作用効果は増大し、かつ安定性が高い。一方、完全合金化した場合、有効な局部電池が形成されず、本発明の効果は得られ難い。また鉄とNiが分離して還元作用低下を抑制する観点からも部分合金化は効果がある。
FeとNiの部分合金の存在部位としては、合金部分が鉄粒子の表面全体を占めるものでなく、鉄粉表面においてNi部位および合金化部位が夫々存在することが好ましい。鉄粉表面全体を合金が覆っていると、局部電池作用が起こり難く、有機塩素化物の分解が起こり難い。部分合金化はEPMA(電子線マイクロアナライザ−)やTEM(透過型電子顕微鏡)を用いて、合金層(Niの拡散層)を確認することができる。
炭素についてもNiと同様に、炭素単独部位と鉄と炭素の合金部が存在してもよい。一般に鉄粉としては純鉄、鋼、鋳鉄、または銑鉄等を用いることができるが、これら鉄粉内に存在する鉄部分およびセメンタイト等の鉄炭素合金部分も活性点として作用し得る。
本発明の分解用鉄粉は少量のNiで高度に活性化されているため、炭素の含有量が0.1重量%未満でも高い性能が発揮される。尚、炭素を加える場合の下限は、特に限定されないが、例えば、0.005重量%以上である。
ここで、「炭素含有量」とは、分解用鉄粉に含まれる鉄成分とNi成分と炭素成分の重量の合計に対する炭素の重量%である。尚、分解用鉄粉に添加剤が添加されている場合には、当該添加剤は除外して当該含有量を計算するものとする。
分解用鉄粉の粉末形状は特に限定するものではなく、球形状、樹枝状、片状、針状、角状、積層状、ロッド状、板状、海綿状等が含まれる。また分解用鉄粉の比表面積は0.05m2/g以上、好ましくは0.2〜10m2/gでは、分解反応速度や接触確率を向上させることができ、粗粒を用いるハンディを克服する上で有効であり、難分解性のCis−DCE、MC、PCEをも分解することができる。尚、比表面積は、BET法を用いて測定した値である。
本発明では、その効果を損なわない程度に他の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては特に限定するものではなく、例えば、酸化防止剤、反応促進剤、分散剤、pH調整剤、脱酸素処理剤等があげられる。酸化防止剤としては亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄、硫化鉄、アスコルビン酸等、反応促進剤としては塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等、分散剤としては、活性炭素、アルミナ、ゼオライト、シリカゲル、シリカ−アルミナ、鉄粉等があげられる。
本発明の分解用鉄粉は、粒度53μm未満が40重量%未満であることが好ましい。ここで、当該粒度分布は、篩(270メッシュ)で篩い分けて重量を測定することにより評価できる。
従来の分解用鉄粉は活性な微粒子が多いものであり、粗粒が多い場合でも53μm未満が50重量%程度のものであった。その様な鉄粉では、排水等の溶液では高い性能が発揮されるが、土壌等の固形分に用いた場合、均一な混合が難しい。本発明の分解用鉄粉は、上記の粒度分布とすることにより、対土壌の混合性向上により、極めて低いNi含有量で土壌中の有機塩素化物を高速で分解処理することができる。
また従来の分解用鉄粉の粒度が危険物第2類に該当する粒度53μm未満が50重量%以上では着火性等の危険性があり、本発明の分解用鉄粉は、粒度53μm以上が40重量%未満の危険物第2類に該当せず、取扱いが容易な粒度において高性能を発揮する。
次に分解用鉄粉の製造方法について説明する。本発明では前記の鉄、Ni及び炭素を本発明の範囲に調整し、これら原料についてNiを主に粒子表面で鉄と部分合金化させるために機械的に粉砕処理する。
粉砕の方法としては、一般的なボ−ルミルの中で特に、振動ミルのバッチ式または連続式粉砕機を使用することができるが、特に原料が合金化する程度の機械的強度の高いものが好ましい。
一方、粉砕は得られる分解用鉄粉が本発明の粒度を満足する範囲で部分合金化が進む条件で行うことが必要である。例えば、鉄粉とNi粉、炭素粉の混合物1重量部に対して、鋼球等の粉砕メディアを2〜10倍の仕込み割合、振動数600〜2000vpmすることが例示できる。特に、本発明のNi及び炭素含有量のいずれも、或いはいずれかが0.1重量%、特に0.05重量%より小さい場合に高性能な分解用鉄粉とするためには、加工時間を5〜10時間とすることが好ましい。
ここで、製造原料として用いる鉄は、特に限定されるものではなく、工業的に入手可能な還元鉄、純鉄、鋳鉄等、快削鋼粉、磁性鉄粉等を用いることができ、製造原料として用いるNiは、特に限定されるものではなく、例えば、高純度Ni粉、ニッケル化合物(例えばカルボニルニッケル等)が使用できる。
従来、Niの部分合金化については加工時間が長いと、合金化が進みすぎ、分解性能が低下することが知られていた。本発明では、Ni量と炭素量によって高性能となる前記加工条件が大きく異なることを見出し、従来にない高い有機塩素化物の分解性能を有する分解用鉄粉を完成した。
本発明では、上述の方法で得られた分解用鉄粉とNiを含有しない鉄粉と均一に混合して用いてもよい。混合方法は特に限定されないが、V型ミキサー、スクリュー式ミキサー、ボールミル、振動ミル等を用いることができる。混合が不均一であると、混合鉄粉の性能が十分発揮されないため、分解用鉄粉とNiを含有しない鉄粉を均一に混合することが好ましい。
次に、本発明の分解用鉄粉を用いた有機ハロゲン化物の無害化処理方法を説明する。本発明の無害化処理方法としては、1)掘削した土壌に本発明の分解用鉄粉を添加し、ドラム型スクラバ−、改質ミキサ−、振動型ミキサー、ニ−ダ−等による連続均一混合処理する方法や振動型ミキサー、バックホウ等による回分混合処理後埋め戻す方法、2)汚染土壌中に縦または横井戸を堀り、分解用鉄粉を高圧空気または高圧水で注入する原位置処理法、3)分解用鉄粉および必要に応じ分散剤、反応促進剤、pH調整剤等と共にスラリ−状にして土壌に注入する原位置型処理方法、4)汚染地下水の周辺の分解用鉄粉を含む浄化壁を形成し浄化する方法、5)汚染地下水位置より低い部分に分解用鉄粉の層を設けた浄化ピット法等がある。
分解用鉄粉の添加量は、浄化対象である被処理物の汚染濃度等により変動するが、本発明の分解用鉄粉では非常に高活性であることから、従来剤に比較し、少ない添加量で各有機塩素化物に対応する環境基準値以下へ浄化することができる。本発明の分解用鉄粉を用いる場合に、その分解活性及び経済性を考慮すると、粉末状では湿体土壌や地下水等の被処理物に対して0.1〜10重量%、特に均質混合性を考慮すると1〜3重量%であることが好ましい。尚、ここでの「重量%」とは、前述のように有機塩素化合物分解用鉄粉に添加剤を添加した場合においては、当該添加剤を除いた当該有機塩素化合物分解用鉄粉の重量%を指すものとする。
本発明の分解用鉄粉は、土壌等の固形分だけでなく、有機塩素化合物を含む地下水、排水に対しても同様に高い分解性能(分解速度)を発揮するものである。
本発明の分解用鉄粉は、Ni含有量が著しく少ないにもかかわらず、特に土壌中の有機塩素化物を高速に分解除去することができるものである。
次に、本発明を実施例にさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例1〜2
有機塩素化合物を含有する汚染土壌における無害化処理剤の評価試験を行った。
分解用鉄粉の原料鉄粉として、還元鉄粉(炭素量0.006%)、Ni粉として、カルボニルニッケル(純度99%、粒径4〜7μm)を用いた。
還元鉄粉とカルボニルニッケルを所定量混合し、振動ミル(中央化工機(株)製、商品名V−MILL,BM−3、1200vpm,6.6Lポット)を用いて、該混合物1重量部に対して粉砕メディアを6倍の仕込み割合、振動数600vpmの条件下で処理した。加工中の窒素ガス流量は40ml/分とした。加工時間は全て6時間とした。EPMAによりNiと鉄の部分合金化に起因する波長を確認し、加工時間が長いことに伴い相対的に結晶性の低下が観測された。
10ppmのTCE汚染土壌1kg(含水率20重量%)、メタノ−ルに溶解した内標ベンゼン、そして処理剤を10g(対土壌1重量%)を入れて、振動型混合機で1分間、均質混合処理した。反応条件として、処理土壌約30gを125mlバイアル瓶に密封し、20℃、静置状態で反応させ、定期的に気層部分をガスクロで分析し、TCE濃度が環境基準を満たす時間を測定した。なお、土壌中の含水調整に用いた水は脱溶存酸素処理、pH調整は行わなかった。
実施例において、TCE汚染土壌中に分解用鉄粉1重量%添加、混合処理することにより7〜8日でTCE濃度が環境基準0.03ppm未満となった。また、分解生成物はエチレンが主成分であり、環境基準項目の有機塩素系化合物は生成していなかった。
比較例1
Niを含有していない分解用鉄粉では、4ケ月経ても環境基準以下にはならなかった。
尚、Niを含有しないため、EPMAにおけるNiと鉄の部分合金化に起因する波長は見られなかった。
比較例2
Niを0.1重量%含有する鉄粉において、加工時間を2時間として同様に分解性を評価した。
Ni非含有品に比べるとTCEの分解性能は高かったが、実施例に比べて分解能が低かった。
実施例のものと比較して、EPMAにより、Niと鉄の部分合金化の程度が小さく、相対的に結晶性が高いことを確認した。
実施例1〜2
有機塩素化合物を含有する汚染土壌における無害化処理剤の評価試験を行った。
分解用鉄粉の原料鉄粉として、還元鉄粉(炭素量0.006%)、Ni粉として、カルボニルニッケル(純度99%、粒径4〜7μm)を用いた。
還元鉄粉とカルボニルニッケルを所定量混合し、振動ミル(中央化工機(株)製、商品名V−MILL,BM−3、1200vpm,6.6Lポット)を用いて、該混合物1重量部に対して粉砕メディアを6倍の仕込み割合、振動数600vpmの条件下で処理した。加工中の窒素ガス流量は40ml/分とした。加工時間は全て6時間とした。EPMAによりNiと鉄の部分合金化に起因する波長を確認し、加工時間が長いことに伴い相対的に結晶性の低下が観測された。
10ppmのTCE汚染土壌1kg(含水率20重量%)、メタノ−ルに溶解した内標ベンゼン、そして処理剤を10g(対土壌1重量%)を入れて、振動型混合機で1分間、均質混合処理した。反応条件として、処理土壌約30gを125mlバイアル瓶に密封し、20℃、静置状態で反応させ、定期的に気層部分をガスクロで分析し、TCE濃度が環境基準を満たす時間を測定した。なお、土壌中の含水調整に用いた水は脱溶存酸素処理、pH調整は行わなかった。
比較例1
Niを含有していない分解用鉄粉では、4ケ月経ても環境基準以下にはならなかった。
尚、Niを含有しないため、EPMAにおけるNiと鉄の部分合金化に起因する波長は見られなかった。
比較例2
Niを0.1重量%含有する鉄粉において、加工時間を2時間として同様に分解性を評価した。
Ni非含有品に比べるとTCEの分解性能は高かったが、実施例に比べて分解能が低かった。
実施例のものと比較して、EPMAにより、Niと鉄の部分合金化の程度が小さく、相対的に結晶性が高いことを確認した。
Claims (5)
- トリクロルエチレンを10ppm、水分20重量%を含有する土壌中に、室温、水分を含む当該土壌99重量部に対し、1重量部添加混合した際に、トリクロルエチレンの環境基準(0.03ppm)到達までの分解速度定数が0.7/日以上、なおかつNi含有量が0.1重量%未満の有機塩素化物分解用鉄粉。
- 粒度53μm未満が40重量%未満である請求項1に記載の有機塩素化物分解用鉄粉。
- Niが鉄と部分合金化している請求項1〜2に記載の有機塩素化物分解用鉄粉。
- 炭素含有量が0.1重量%未満である請求項1〜3に記載の有機塩素化物分解用鉄粉。
- 請求項1〜4に記載の分解用鉄粉を被処理物に対し0.1〜10重量%添加する有機塩素化物の分解処理方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007117934A JP2008272644A (ja) | 2007-04-27 | 2007-04-27 | 有機塩素化物分解用鉄粉及びそれを用いた無害化処理方法 |
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
JP2010125400A (ja) * | 2008-11-28 | 2010-06-10 | Jfe Mineral Co Ltd | 有機ハロゲン化合物に汚染された土壌・地下水の浄化剤及びその製造方法 |
JP2015098010A (ja) * | 2013-11-20 | 2015-05-28 | Jfeスチール株式会社 | 地下水浄化用鉄粉およびその製造方法 |
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2007
- 2007-04-27 JP JP2007117934A patent/JP2008272644A/ja active Pending
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