JP2008272122A - マイクロ波照射による滅菌方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 滅菌対象物の温度上昇を抑制しつつ、耐熱性の低い熱可塑性樹脂等高分子材料にも好適に使用でき、悪臭や汚水を発生させることがなく、滅菌処理時間が短く、低コストな滅菌方法を提供すること。
【解決手段】 滅菌対象物を乾燥させる第一の工程と、乾燥させた滅菌対象物にマイクロ波を照射して核酸分子の切断を生じさせる第二の工程とからなることを特徴とする滅菌方法とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、滅菌対象物の温度上昇を抑制しつつ、マイクロ波を照射して核酸分子の切断を生じさせることによる滅菌方法に関する。
医療や生物学実験の分野においては、医療器具や実験器具、培地等に対して雑菌等の微生物が混入し、院内感染やコンタミネーション等による実験の失敗などのさまざまな問題につながることがある。このため、これらの器具や医療用廃棄物、試薬類には必要に応じて適切な滅菌処理を行う必要がある。
滅菌にはいくつかの手法が存在するが、従来からの滅菌装置には、圧力容器内に滅菌対象物を入れ、高圧スチームにより滅菌するオートクレーブが用いられている。
オートクレーブ滅菌では通常、1.5気圧の飽和水蒸気によって温度を121℃に上昇させ、15〜20分間処理することで滅菌を行う。これにより、100℃の煮沸消毒では滅菌できない枯草菌等の芽胞を形成する耐熱性菌等を滅菌することができる。
しかしながら、オートクレーブ滅菌では高圧蒸気を使用するため滅菌対象物は金属、ガラス等に限られ、耐熱性の低い熱可塑性樹脂等高分子材料や紙などには使用できない。また、121℃に維持する時間は15〜20分であるが、121℃までに到達する時間、121℃から常温まで温度を低下させる時間を考慮すると、乾熱滅菌ほどではないが1時間半から2時間程度の時間を要する。オートクレーブ処理では、高圧蒸気を使用するため被滅菌物に接触した水が発生し、滅菌処理後に悪臭や汚水が発生するという問題も生じる。
そこで、係る問題を解決すべく、近年は、マイクロ波、γ線、電子線等電磁波や放射線を使用した滅菌装置について提案されている。
特許文献1には、電子線、γ線を複数回照射することによって食品包装材を滅菌する方法について記載されている。γ線、電子線の照射は、滅菌対象物の温度上昇が生じないため、耐熱性の低い熱可塑性樹脂等にも好適に使用することができる。
しかしながら、γ線は照射時間が長く、取り扱いに資格が必要であり誰でも使用可能ではなく、透過性が強く大掛かりな遮蔽設備も必要となり、定期的に補充するコバルト60の価格も高価であるため、設置コスト、ランニングコスト共に高くなるという問題がある。一方電子線は、数秒の照射で滅菌が可能であり、ランニングコストは比較的低廉であるが、電子線照射設備として電子加速器が必要となり、設置コストが高いという問題がある。
設置コスト、ランニングコスト共に低廉な方法として、マイクロ波を使用する滅菌方法が提案されている。
例えば、特許文献2には、滅菌対象物に界面活性剤と水を添加し、マイクロ波を照射することによって、界面活性剤が被加熱物に分散するため被加熱物である滅菌対象物が急速に加熱され、滅菌処理時間が短縮される滅菌方法について記載されている。
しかしながら、処理時間は短縮されているが、蒸気加熱によって滅菌を行うのはオートクレーブと同様であるため、滅菌対象物として耐熱性の低い熱可塑性樹脂等の高分子材料には使用できないという問題や、悪臭や汚水を発生させないという問題は解決されていない。
特開平7−315344号公報 特開2006−204374号公報
本発明の課題は、滅菌対象物の温度上昇を抑制しつつ、耐熱性の低い熱可塑性樹脂等高分子材料にも好適に使用でき、悪臭や汚水を発生させることがなく、滅菌処理時間が短く、低コストな滅菌方法を提供することである。
本発明者らは、乾燥条件下においてもウイルス粒子、細菌、菌類、胞子、種子等の生命体がマイクロ波の照射を受けることにより、そのゲノムDNAが塩基配列非特異的に切断される現象を見出し、本発明に至った。
請求項1に係る発明は、滅菌対象物を乾燥させる第一の工程と、乾燥させた滅菌対象物にマイクロ波を照射して核酸分子を切断する第二の工程とからなることを特徴とする滅菌方法に関する。
請求項2に係る発明は、前記第一の工程が、除湿空気乾燥、真空減圧乾燥、凍結乾燥のいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の滅菌方法に関する。
請求項3に係る発明は、前記第二の工程においてマイクロ波を15〜20分連続照射することを特徴とする請求項1または2いずれかに記載の滅菌方法に関する。
請求項4に係る発明は、前記第二の工程において、マイクロ波を前記連続照射後に、15〜30分休止して15〜20分連続照射することを1単位とする間欠操作を1回以上行うことを特徴とする請求項3に記載の滅菌方法に関する。
請求項5に係る発明は、前記滅菌対象物の温度が、前記第一の工程、および前記第二の工程を通して80℃以下であることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の滅菌方法に関する。
請求項1に係る発明によれば、第一の工程により滅菌対象物を乾燥させた後に、第二の工程でマイクロ波を照射し菌類等のDNA等核酸を切断することから、滅菌対象物の温度上昇を抑制しつつ滅菌を行うことができる。温度上昇を抑制することができるため、滅菌対象物として耐熱性の低い熱可塑性樹脂等高分子材料を選択することができる。滅菌対象物を乾燥させ水分を取り除いた後にマイクロ波照射による滅菌処理を行うことから、滅菌後の悪臭や汚水の発生を防止することができる。
請求項2に係る発明によれば、第一の工程において、除湿空気乾燥、真空減圧乾燥、凍結乾燥のいずれか1種又は2種以上の乾燥方法を使用することから、滅菌対象物の温度を上昇させることなく、より効率的に滅菌対象物を乾燥させることができる。
請求項3に係る発明によれば、第二の工程におけるマイクロ波照射の連続照射時間が15〜20分であることから、より短時間で滅菌処理を行うことができる。
請求項4に係る発明によれば、第二の工程において15〜30分休止する冷却時間を有する間欠操作を1回以上行うことから、滅菌対象物の温度上昇を抑制しつつマイクロ波照射時間を多くし、より確実に滅菌させることができる。
請求項5に係る発明によれば、第二の工程における滅菌対象物の温度が80℃以下であることから、滅菌対象物として耐熱性のより低い材料等にも好適に使用することができる。
以下、本発明に係る滅菌方法について説明する。本発明に係る滅菌方法は、滅菌対象物を乾燥させる第一の工程と、乾燥させた滅菌対象物にマイクロ波を照射させる第二の工程とからなる。
まず、本発明における第一の工程について説明する。
本発明における滅菌対象物は、マイクロ波照射対象物とマイクロ波照射対象試料が保持された容器、材料等の保持体とからなる。
マイクロ波照射対象物は、菌類、細菌類、ウイルス等核酸を有するものである。例えば、容器等保持体の滅菌を目的とする場合は、マイクロ波照射対象物は容器に付着した菌類、細菌類、ウイルス等である。容器等保持体以外の滅菌を目的とする場合、例えば乾燥食品、医療用廃棄物等の滅菌を目的とする場合は、マイクロ波照射対象試料は容器に保持された乾燥食品、医療用廃棄物等であって、菌類、細菌類、ウイルス等核酸を有するものが付着したものである。
保持体は、マイクロ波照射対象物を保持する容器、材料等である。
本発明に使用可能な保持体は、マイクロ波を使用できる物なら特に限定されず、例えば、高分子樹脂(ポリエチレン、PET、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリイミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタート等)、紙、布帛、耐熱性ガラス等を使用することができる。
本発明の特徴は滅菌対象物の温度上昇を抑制し、高圧蒸気を使用することがないことであるため、保持体としては耐熱性の低い熱可塑性樹脂(ポリエチレン、PET、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ABS樹脂,AS樹脂,アクリル樹脂等)を使用することが好ましい。
一方、マイクロ波を照射するとスパークが発生することから、金属類、金属類の装飾を施した陶器、漆器類については保持体として好適に使用することはできない。
本発明に係る第一の工程に使用する乾燥方法は、滅菌対象物の温度上昇を抑制する本発明の目的から、乾燥工程においても滅菌対象物の温度上昇を伴わない方法が好適に用いられる。例えば天日自然乾燥、送風乾燥、除湿空気乾燥、真空減圧乾燥、凍結乾燥、吸着乾燥等が挙げられる。特に、滅菌対象物の乾燥速度に優れるため、除湿空気乾燥、真空減圧乾燥、凍結乾燥を使用するのが望ましい。上記乾燥方法を使用しての滅菌対象物の乾燥は、夫々の乾燥方法を実現するために市販されている機械、装置等を使用することによって行うことができる。
一方、滅菌対象物の温度上昇を伴う乾燥方法、例えば、熱風乾燥、噴霧乾燥、間接加熱乾燥、遠赤外線加熱乾燥、マイクロ波加熱乾燥、太陽熱利用乾燥、フライ乾燥、過熱水蒸気乾燥等は、本発明に係る乾燥方法としては好適には使用することはできない。
本発明における乾燥させるとは、第一の工程後のマイクロ波照射対象物の水分が1wt%以下にすることであり、より好ましくは0.01wt%以下にすることである。第二の工程で滅菌対象物の温度上昇を抑制することができ、滅菌後の悪臭や汚水の発生を防止することができるからである。
次に、本発明に係る第二の工程について説明する。
第二の工程は、第一の工程により乾燥された滅菌対象物にマイクロ波を照射する工程である。滅菌対象物にマイクロ波を照射することにより核酸分子に直接配位している結合水が電磁波を吸収し活性化することにより核酸分子内のホスホジエルテル結合の切断が生じ、ゲノムDNAが切断されるため、水分子を取り除いたとしても滅菌対象物の滅菌が可能となる。
第二の工程で使用することのできるマイクロ波の周波数は、100MHz〜100GHzであり、より好適に使用できるのは100MHz〜10GHzである。より効率的に核酸分子に直接配位している結合水に電磁波を吸収させ活性化させることによって、核酸分子内のホスホジエルテル結合の切断を生じさせるためである。100MHz未満の場合、および100GHzを超える場合は、核酸分子に直接配位している結合水に電磁波を十分に吸収させることができないため何れの場合も好ましくない。
第二の工程において、マイクロ波を滅菌対象物に照射する時間は、15〜20分であることが好ましい。15分未満であると、核酸分子に直接配位している結合水に電磁波を十分に吸収させることができないことによって結合水が十分に活性化せず、核酸分子内のホスホジエルテル結合の未切断部分が存在し、滅菌対象物の滅菌処理が十分ではないため、また20分を超えると滅菌対象物の温度が上昇し、保持体が熱可塑性樹脂等の場合は熱変形する可能性があるため、好ましくないからである。
滅菌処理時間を20分を超えて行う場合は、第二の工程におけるマイクロ波の照射を、例えば15分〜20分照射後15〜30分休止し、さらに15〜20分照射する等、間欠操作を行う。間欠操作を行うことにより、滅菌対象物の温度上昇を抑制しつつ、滅菌処理時間を長くすることができ、より確実な滅菌処理を行うことができる。
間欠操作において、マイクロ波連続照射時間は15分以上であることが望ましい。15分未満であると核酸分子に直接配位している結合水が十分に活性化されず、かつマイクロ波照射効果は蓄積性ではないため、冷却期間を設けると間欠操作のサイクルを繰り返しても、核酸分子の切断が生じにくいからである。
容器等保持体を滅菌する場合は、表面に付着した菌類、ウイルス等を滅菌することができれば十分であることから、マイクロ波を15〜20分間の1回照射、または間欠操作を1回行うことが好ましい。滅菌処理時間、処理費用等が増加するため、間欠操作を2回以上行うのは好ましくない。
一方、医療用廃棄物等を滅菌する場合は、滅菌をより確実に行うため、複数回の間欠操作を行うのが好ましい。滅菌対象物によって、間欠操作回数は適宜選択されるが、多くとも3回以内とすることが好ましい。間欠操作回数を4回以上行うと、滅菌処理時間、処理費用等が増加し、温度が上昇し保持体が特に耐熱性の低い熱可塑性樹脂等の場合は、長時間の加熱のため熱変形する可能性があるため好ましくない。
マイクロ波を照射する装置は特に限定されず、市販されているマイクロ波を照射する家庭用、及び工業用の装置を使用することができ、滅菌対象物の種類、量によって適宜選択される。例えば、1度に処理する滅菌対象物の量が少量の場合は、出力が1000W、照射するマイクロ波の周波数が2.65GHzの家庭用電子レンジ等が例示される。
以下、実施例を示すことにより、本発明を明確に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されない。
(実施例1)
プラスチック製容器に入れたλ−DNA0.3μgを5区画準備し、真空凍結乾燥機(日立社製CE10)を用いて30分間凍結乾燥させ水を含む溶媒を取り除いた。その後、1000Wのマイクロ波発生装置(シャープ社製RE−SD50−S)を使用し、処理時間をそれぞれ、
(1)0分、(2)10分、(3)20分、(4)30分、(5)40分、
とし、2.45GHzのマイクロ波を照射した。マイクロ波照射後のλ−DNAを8μlの水と2μlの50%グリセリン溶媒に溶解させ、0.8%のアガロースゲルを使用し、50W、40分間電気泳動を行い、臭化ブロマイドに20分間浸漬することにより染色し、260nm紫外線をゲルの下面から照射して発色させ、DNAが切断されているかについてポラロイドフィルムを用いたカメラで撮影した。結果を図1の写真に示す。
図1の写真通り、マイクロ波を照射していない0分(1)と、マイクロ波10分照射(2)ではλ−ファージDNAのバンドが47,000塩基対(bp)の位置に明確に現れており、マイクロ波の照射時間が不足していることにより核酸分子に直接配位している結合水が十分に活性化されず、DNAが切断されていない旨を示している。
一方、マイクロ波照射20分(3)以降では完全長のλ−ファージのバンドは現れず、スメアな状態となっていることから、核酸DNAが切断され、滅菌が可能な旨を示している。このことは、乾燥DNAに20分(3)以降マイクロ波を照射すると、核酸分子に直接配位している結合水が十分に活性化することにより核酸のホスホジエステル結合が塩基配列非特異的に切断されるためと考えられる。
(実施例2)
プラスチック製容器に入れたλ−DNA0.3μgを6区画準備し、真空凍結乾燥機(日立社製CE10)を用いて30分間凍結乾燥させ水を含む溶媒を取り除いた。その後、1000Wのマイクロ波発生装置(シャープ社製RE−SD50−S)を使用し、処理時間をそれぞれ、
(1)0分、(2)2分、(3)5分、(4)10分、(5)15分、(6)20分、
とし、2.45GHzのマイクロ波を照射した。マイクロ波照射後、滅菌対象物の温度を測定した。温度測定結果を表1に示す。
Figure 2008272122
表1の通り、マイクロ波照射20分経過時(6)においても、滅菌対象物の温度が80℃以下であることを示しており、本発明に係る滅菌方法は、滅菌対象物の温度上昇を抑制することが可能な旨を示している。
(実施例3)
プラスチック製容器に入れたλ−DNA0.3μgを7区画準備し、真空凍結乾燥機(日立社製CE10)を用いて30分間凍結乾燥させ水を含む溶媒を取り除いた。その後、1000Wのマイクロ波発生装置(シャープ社製RE−SD50−S)を使用し、マイクロ波照射方法として、15分マイクロ波照射後、15分冷却した後15分マイクロ波を照射する間欠操作を行い、間欠操作の回数を、
(1)無照射、
(2)15分マイクロ波照射、
(3)15分マイクロ波照射後、間欠操作(15分冷却後15分マイクロ波照射)1回、
(4)15分マイクロ波照射後、間欠操作(15分冷却後15分マイクロ波照射)2回、
(5)15分マイクロ波照射後、間欠操作(15分冷却後15分マイクロ波照射)3回、
(6)15分マイクロ波照射後、間欠操作(15分冷却後15分マイクロ波照射)4回、
(7)15分マイクロ波照射後、間欠操作(15分冷却後15分マイクロ波照射)5回、
とし、2.45GHzのマイクロ波を照射した。マイクロ波照射後のλ−DNAを8μlの水と2μlの50%グリセリン溶媒に溶解させ、0.8%のアガロースゲルを使用し、50W、40分間電気泳動を行い、臭化ブロマイドに20分間浸漬することにより染色し、260nm紫外線をゲルの下面から照射して発色させ、DNAが切断されているかについてポラロイドフィルムを用いたカメラで撮影した。結果を図2の写真に示す。
図2の写真の通り、無照射(1)に比べ、連続した15分のマイクロ波の照射(2)〜(7)においては核酸分子に直接配位している結合水が十分に活性化されて、核酸分子の切断が生じていることを示している。更に(2)〜(7)のように間欠操作の回数を1回ずつ増加させる毎にゲル上のDNAバンドが薄くなっていることから、間欠操作の回数を増加させることによって、DNAが塩基配列非特異的に次々と切断され、未切断の核酸分子の比率が低下し、より滅菌効果が高い旨を示している。
(比較例1)
プラスチック製容器に入れたλ−DNA0.3μgを9区画準備し、真空凍結乾燥機(日立社製CE10)を用いて30分間凍結乾燥させ水を含む溶媒を取り除いた。その後、1000Wのマイクロ波発生装置(シャープ社製RE−SD50−S)を使用し、マイクロ波照射方法として、5分マイクロ波照射後、10分冷却した後に5分マイクロ波を照射する間欠操作を行い、間欠操作の回数を、
(1)無照射、
(2)5分マイクロ波照射、
(3)5分マイクロ波照射後、間欠操作(10分冷却後5分マイクロ波照射)1回、
(4)5分マイクロ波照射後、間欠操作(10分冷却後5分マイクロ波照射)2回、
(5)5分マイクロ波照射後、間欠操作(10分冷却後5分マイクロ波照射)3回、
(6)5分マイクロ波照射後、間欠操作(10分冷却後5分マイクロ波照射)4回、
(7)5分マイクロ波照射後、間欠操作(10分冷却後5分マイクロ波照射)5回、
(8)5分マイクロ波照射後、間欠操作(10分冷却後5分マイクロ波照射)6回、
(9)5分マイクロ波照射後、間欠操作(10分冷却後5分マイクロ波照射)7回、
とし、2.45GHzのマイクロ波を照射した。マイクロ波照射後のλ−DNAを8μlの水と2μlの50%グリセリン溶媒に溶解させ、0.8%のアガロースゲルを使用し、50W、40分間電気泳動を行い、臭化ブロマイドに20分間浸漬することにより染色し、260nm紫外線をゲルの下面から照射して発色させ、DNAが切断されているかについてポラロイドフィルムを用いたカメラで撮影した。結果を図3の写真に示す。
図3の写真の通り、マイクロ波照射5分(2)では核酸分子に直接配位している結合水が十分に活性化されず、核酸分子の切断が生じていない旨を示している。更に間欠操作の回数を(3)〜(9)のように増加させても無照射である(1)と同様DNAの切断は生じておらずλ−DNAのバンドが明確に現れていることが示されている。
このことにより、乾燥DNAのマイクロ波照射による核酸分子の切断は、マイクロ波の累積照射時間ではなく、マイクロ波の連続照射時間による旨が示されている。
(比較例2)
プラスチック製容器に入れたλ−DNA0.3μgを6区画準備し、真空凍結乾燥機(日立社製CE10)を用いて30分間凍結乾燥させ水を含む溶媒を取り除いた。その後、乾熱アルミブロックヒータを用いて、
(1)無処理、
(2)40℃10分加熱処理、
(3)60℃20分加熱処理、
(4)80℃30分加熱処理、
(5)100℃40分加熱処理、
(6)100℃50分加熱処理、
を行った。加熱処理後のλ−DNAを8μlの水と2μlの50%グリセリン溶媒に溶解させ、0.8%のアガロースゲルを使用し、50W、40分間電気泳動を行い、臭化ブロマイドに20分間浸漬することにより染色し、260nm紫外線をゲルの下面から照射して発色させ、DNAが切断されているかについてポラロイドフィルムを用いたカメラで撮影した。結果を図4の写真に示す。
図4の写真の通り、(2)〜(6)のように加熱時間、加熱温度を上昇させたとしても無処理区(1)と同様λ−DNAのバンドが明確に現れていることから、100℃までの加熱処理では乾燥DNAはほとんど切断されていないことを示している。従って、図1の写真における実施例1のDNAの切断は、温度によるものではなく、マイクロ波の照射によるものであることが示されている。
(実施例4)
QβRNAウイルスを混入したプラスチック製容器を4区画準備し、自然乾燥させ水分を取り除いた。その後、1000Wのマイクロ波発生装置(シャープ社製RE−SD50−S)を使用し、処理時間をそれぞれ、
(1)0分、(2)10分、(3)15分、(4)20分、
とし、2.45Hzのマイクロ波を照射後、プラークアッセイ法により生菌数を計測した。生菌数の測定結果を表2に示す。
Figure 2008272122
表3の通り、マイクロ波照射後(4)20分で、QβRNAウイルスの個体数は、0個/mlとなっていることから、本発明に係る滅菌方法によって、実際に滅菌を行うことができる旨を示している。
本発明の滅菌方法は、滅菌対象物を乾燥させてからマイクロ波を使用することから、滅菌対象物の温度上昇を抑制することが可能であるため、耐熱性の低い熱可塑性樹脂、紙、布帛、乾燥食品、医療用廃棄物等の滅菌に好適に使用することができる。
実施例1におけるマイクロ波照射後のλ―DNAの電気泳動の写真である。 実施例3におけるマイクロ波間欠照射後のλ−DNAの電気泳動の写真である。 比較例1におけるマイクロ波間欠照射後のλ−DNAの電気泳動の写真である。 比較例2における加熱処理後のλ−DNAの電気泳動の写真である。

Claims (5)

  1. 滅菌対象物を乾燥させる第一の工程と、乾燥させた滅菌対象物にマイクロ波を照射して核酸分子を切断する第二の工程とからなることを特徴とする滅菌方法。
  2. 前記第一の工程が、除湿空気乾燥、真空減圧乾燥、凍結乾燥のいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の滅菌方法。
  3. 前記第二の工程においてマイクロ波を15〜20分連続照射することを特徴とする請求項1または2いずれかに記載の滅菌方法。
  4. 前記第二の工程において、マイクロ波を前記連続照射後に、15〜30分休止して15〜20分連続照射することを1単位とする間欠操作を1回以上行うことを特徴とする請求項3に記載の滅菌方法。
  5. 前記滅菌対象物の温度が、前記第一の工程、および前記第二の工程を通して80℃以下であることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の滅菌方法。
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