JP2008271014A - 光バースト信号受信装置および方法 - Google Patents

光バースト信号受信装置および方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プリバイアス部の区間長や信号波形が変化しても、バースト信号のバーストセルに含まれるプリアンブル部の開始位置(バーストセルの開始位置)を正しく検出し、プリバイアス部の影響を有効に排除しながらバースト信号を正しく再生することが可能な光バースト信号受信装置および方法を提供すること。
【解決手段】PON通信システム用の光バースト信号受信装置において、受信された光バースト信号を光電変換して得られる電気信号のピークホールド値を表す信号の微分波形から、前記光バースト信号に含まれるプリアンブル部の位置を検出する検出手段を備えたことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、光ネットワークにおける局において加入者から送信された光バースト信号を受信するための光バースト信号受信装置及び方法に関し、更に詳しくは、複数の加入者からそれぞれ受信されたバースト信号の信号レベルを略一定に調整するための技術に関する。
従来、光通信ネットワークの一形態として、局側の通信装置と複数の加入者側の通信装置とをそれぞれ1本の光ファイバを介して接続する形態(Single star)が知られている。この形態のネットワーク構成によれば、加入者ごとに光ファイバの敷設を必要とする。これに対し、1本の基幹光ファイバを複数の加入者が共有する光通信ネットワークの形態としてPON(Passive Optical Network)が知られており、FTTH(Fiber To The Home)、FTTB/C(Fiber To The Building/Curb)、FTTCab(Fiber To The Cabinet)等に代表される光通信サービスで広く利用されている。
図9に、PON通信システムの概念図を示す。同図に示すように、局側の通信装置810と加入者U1,U2,…,Unとの間には、光通信路として、基幹光ファイバ820と、光スプリッタ(光カプラともいう)830により基幹光ファイバから分岐された支線光ファイバ840とが敷設され、一本の基幹光ファイバ820が複数の加入者で共有されている。
基幹光ファイバ820及び支線光ファイバ840からなる光通信路の終端装置として、局側の通信装置810にはOLT(Optical Line Terminal)813が備えられ、加入者側にはONU(Optical Network Unit)850が設置される。局側の通信装置810は、OLT 813のほかに、ルータ811およびスイッチ812を備え、OLT 813は、スイッチ812を介してルータ811に接続され、このルータ811はインターネット800に接続されている。これにより、各加入者U1,U2,…,Unは、基幹光ファイバ820を共有した光通信路を介して局側の通信装置810と接続され、この通信装置810を介してインターネット800にアクセスすることが可能となっている。
PON通信システムには、ATM(Asynchronous Transfer Mode)−PON方式、B(Broadband)−PON方式、E(Ethernet(登録商標))−PON方式などの種々の方式が存在するが、加入者側のONU 850から局側のOLT 813が受信する光信号は、多くの場合、光パルス列からなる光バースト信号であり、OLT 813は、この光バースト信号を受信して電気信号として出力する光バースト信号受信装置としての機能を備えている。以下では、OLTを光バースト信号受信装置として説明する。
一般に、各加入者宅に引き込まれる支線光ファイバ840を含む光通信路には個体差が存在するので、局側の光バースト信号受信装置(OLT)813が受信する光バースト信号の信号レベル(信号強度)は加入者ごとに異なり、幅広いダイナミックレンジがバースト信号再生機能に必要となる。このため、光バースト信号受信装置(OLT)813は、各加入者から受信した光バースト信号から得られる電気信号のバースト信号の信号レベルを略一定に調整するための機能を備えている。以下では、単に「バースト信号」と表現するときは、電気信号(電流信号または電圧信号)のバースト信号を意味するものとする。
従来、局側においてバースト信号の信号レベルを略一定に調整するための手法として、バーストbyバーストAGC(Auto Gain Control)法が用いられている。
図10を参照して、バーストbyバーストAGC法の概念を説明する。図10(a)は、一本の基幹光ファイバ820を介して各加入者U1,U2,…,Unから時間間隔をおいて順次的に受信する光バースト信号の信号レベルを模式的に表わしており、同図に示すように、各加入者から受信する信号レベルは異なっている。バーストbyバーストAGC法では、図10(b)に示すように、バースト信号をAGC回路920に入力して増幅すると共に、信号レベル検出回路910により各バースト信号に含まれるバーストセルの信号レベルを検出し、その検出結果に基づきAGC回路920のゲインを最適な値に制御し、これにより、各加入者からのバースト信号の信号レベルを略一定に調整している。
ところで、光通信システムの送信側において、光バースト信号を出力するための素子としてフォトダイオードが一般に用いられるが、フォトダイオードから出力される光バースト信号の波形歪みを防止するために、一般にはフォトダイオードに起動用のバイアス電流を印加している。このバイアス電流は、図11に示すように、伝送すべき情報を含むバーストセルを出力するタイミングから任意の時間だけ早いタイミングで印加される。このバイアス電流の印加時からバーストセルの先頭までの区間はプリバイアス部と呼ばれ、バーストセルは、プリアンブル部とスクランブルNRZ部を含んで構成される。
図12(a)〜(c)に、プリバイアス部の波形例を示す。図12(a)に示す例は、一定のバイアス電流を印加する場合の波形例である。図12(b)に示す例は、鋸歯状のバイアス電流を印加する場合の波形例である。図12(c)に示す例は、パルス状のバイアス電流を印加する場合の波形例である。
プリバイアス部は、フォトダイオードに上述の起動用のバイアス電流を供給するためのものであり、バーストセルのような伝送されるべき情報を含んでいないため、再生の必要がなく、プリバイアス部の波形(バイアス分)を除外してバースト信号を再生することが望ましい。
この点について、加入者ごとに局側と1本の光ファイバで接続する前述の形態(Single star)では、1本の光ファイバは1人の加入者によって占有されるので、この光バースト信号に含まれるプリバイアス部の波形は固定的である。従って、局側の光バースト信号受信装置では、予め各加入者のプリバイアス部の信号波形を把握しておけば、バースト信号に重畳されたバイアス電流に相当する信号レベルを除去することは容易であり、プリバイアス部とバーストセルを区別する必要がなかった。
しかし、プリバイアス部の信号波形については標準化されておらず、上述の例に示すように任意であり、その区間長も任意であるため、PON通信システムのように、1本の基幹光ファイバを介して複数の加入者から多様な光バースト信号を受信する場合、局側で加入者ごとに、バースト信号に含まれるプリバイアス部とバーストセルを区別することは容易ではない。
また、バーストbyバーストAGC法において、バースト信号を再生する際に、プリバイアス部をバーストセルの一部として取り扱うと、バーストセルの信号レベルを正しく検出することができなくなり、バースト信号の再生に支障をきたす場合がある。具体的には、図11に示すプリバイアス部をバーストセルの一部として取り扱うと、プリバイアス部の開始位置が実際のバーストセルの開始位置として誤認識され、プリバイアス部の信号レベルがバーストセルの信号レベルとして誤検出される。
この結果、バーストセルの信号レベルが実際の信号レベルよりも低く認識され、バーストセルの信号レベルの検出値に誤差が生じる。この誤差を含む低い信号レベルに対して図10(b)に示すAGC回路920のゲインが最適化されるため、プリバイアス部の後に続く高い信号レベルのバーストセルを正常に再生できなくなる。
従って、PON通信システムの場合、バーストセルの信号レベルを正しく検出することに対する要請があり、そのための手法として次のような手法が考えられる。
(第1の手法)
プリバイアス部の区間を予め予測しておき、バースト信号の先頭部(プリバイアス部の先頭部)から、上記予測したプリバイアス部の区間の後の信号レベルを検出することで、プリバイアス部を除いてバーストセルの信号レベルを検出する。
(第2の手法)
プリバイアス部の信号レベルを検出し、バースト信号からプリバイアス部の信号レベルを差し引くことで、プリバイアス部の信号レベルをキャンセルする。
特開2005−20417号公報 特開2005−197881号公報
しかしながら、上述の第1及び第2の手法には、次のような問題がある。
まず、第1の手法によれば、プリバイアス部の区間長が変化すると、バーストセルの信号レベルを正しく検出することができないという問題がある。
詳細に説明すると、ITU−Tなどの国際標準でプリバイアス部の最長区間が規定されてはいるが、この最長区間以下であれば、プリバイアス部の区間長を任意に設定することが許されている。従って、プリバイアス部の影響を確実に排除するためには、プリバイアス部の最長区間を考慮して予測区間を決定しなければならない。
即ち、仮に、図13(a)に示すように、プリバイアス部の予測区間を表す予測区間信号のパルス幅が実際のプリバイアス部の区間長よりも短ければ、予測区間の終了点がプリバイアス部の区間内に位置することになるため、プリバイアス部の信号レベルを誤って検出する結果となり、上述のように、バーストbyバーストAGC法におけるAGC回路の誤動作を招き、バーストセルを正常に再生できなくなる。従って、プリアンブル部(バーストセル)の信号レベルを正しく検出するためには、予測区間信号のパルス幅をプリバイアス部の最長区間以上に設定する必要がある。
一方、仮に、図13(b)に示すように、予測区間信号のパルス幅をプリバイアス部の最長区間以上に設定すると、同図最下段に示すように、予測区間信号のパルスはバーストセル内のプリアンブル部の信号区間の一部と重複することになる。このため、予測区間信号が立ち下がるまでのプリアンブル部の信号区間がプリバイアス部と見なされ、その信号区間のプリアンブル部が欠損する結果となる。この現象は、プリバイアス部の区間長が予測区間よりも短い場合、またはプリバイアス部の信号レベルが検出できない程度に低い場合に発生する。
このようなプリアンブル部の欠損は極力避けなければならない。その理由は、伝送効率の低下を防ぐためにバースト信号の再生過程において許容されるプリアンブル部の消失ビット数に制限が設けられており、その制限を越えてプリアンブル部のビット数が消失すると、バースト信号の受信しきい値検出及びビット同期を行う際に必要とされるプリアンブル信号パターンが得られなくなり、バースト信号を正常に再生できなくなるからである。
このように、第1の手法によれば、予測区間が実際のプリバイアス部の区間と異なると、バースト信号を正常に再生できなくなり、プリバイアス部の区間長の変化に柔軟に対応することができないという問題がある。
次に、第2の手法の問題を説明する。第2の手法によれば、プリバイアス部の信号波形によっては、その信号レベルをキャンセルすることができず、プリバイアス部の影響を排除することができないという問題がある。
具体的に説明すると、前述の図12(a)に示すようなプリバイアス部の信号波形に対してはプリバイアス部の信号レベルをキャンセルすることは可能であるが、図12(b),(c)に示すような信号波形に対してはプリバイアス部の信号レベルをキャンセルすることができない。
例えば、図12(c)に示す信号波形の場合、図14に示すように、プリバイアス部の信号レベルの検出値として得られた一定のバイアスレベル(図14の中段に示す波形)をバースト信号(図14の上段に示す波形)から差し引いたとしても、プリバイアス部の信号レベルは一様に低下するだけであるから、そのプリバイアス部の信号波形は依然として存在し(図14の最下段の波形参照)、キャンセルされない。従って、プリバイアス部の影響が残り、バーストセルの信号レベルを正しく検出することができない。図12(b)に示す波形例に適用した場合も同様である。
上述のように、従来の光バースト信号受信装置によれば、プリバイアス部の区間長や信号波形が変化すると、バースト信号に含まれるバーストセルの位置を正しく検出することが困難となり、従ってバースト信号を正しく再生することが困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、プリバイアス部の区間長や信号波形が変化しても、バースト信号のバーストセルに含まれるプリアンブル部の開始位置(バーストセルの開始位置)を正しく検出し、プリバイアス部の影響を有効に排除しながらバースト信号を正しく再生することが可能な光バースト信号受信装置および方法を提供することを目的とする。
本発明に係る光バースト信号受信装置は、PON通信システム用の光バースト信号受信装置において、入射された光バースト信号を光電変換して得られる電気信号のピークホールド値を表す信号の微分波形から、前記光バースト信号に含まれるプリアンブル部の位置を検出する検出手段を備えたことを特徴とする。
前記光バースト信号受信装置において、例えば、前記検出手段は、前記電気信号のピークレベルを検出して前記ピークホールド値を出力すると共に、所定のリセット信号に基づき前記ピークホールド値をリセットするように構成されたピークホールド回路と、前記ピークホールド回路の出力信号を微分する微分回路とを備えたことを特徴とする。
前記光バースト信号受信装置において、例えば、前記光バースト信号を光電変換して得られる電気信号の信号レベルを調整するための増幅手段を備え、前記増幅手段は、前記電気信号として前記光バースト信号を光電変換して得られる電流信号を、該電流信号とは逆相の電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプと、前記トランスインピーダンスアンプの出力信号と所定のリファレンス電圧との差分を増幅して、前記トランスインピーダンスアンプの出力信号とは逆相の電圧信号を出力する差動アンプと、から構成されたこ とを特徴とする。
本発明に係る光バースト信号受信方法は、PON通信システムにおける光バースト信号受信方法であって、光バースト信号を電流信号に光電変換し、前記電流信号を第1の電圧信号に電流/電圧変換し、前記第1の電圧信号を第2の電圧信号に増幅し、前記第2の電圧信号のピークレベルを検出して該第2の電圧信号のピークホールド値を表す波形信号を生成し、前記波形信号を微分し、前記波形信号の微分波形から前記プリアンブル部の開始位置を特定し、前記特定された前記プリアンブル部の開始位置に基づき前記プリアンブル部の信号レベルを検出し、前記検出された前記プリアンブル部の信号レベルに基づき、前記第2の電圧信号の信号レベルを略一定とするように前記増幅のゲインを制御することを特徴とする。
この構成によれば、検出手段がプリアンブル部の開始位置を検出し、この検出手段が検出したプリアンブル部の開始位置を起点とした所定のタイミングでの信号レベルに基づいて増幅器のゲインを制御するので、プリアンブル部の信号レベルに基づいて増幅器のゲインを正しく制御することが可能になる。従って、プリバイアス部の区間長や信号波形が変化しても、プリバイアス部の影響を有効に排除しながらバースト信号の信号レベルを調整することが可能になる。
本発明によれば、バースト信号のピークホールド値を表す信号を微分するようにしたので、プリバイアス部の区間長や信号波形が変化しても、バースト信号に含まれるプリアンブル部の開始位置(バーストセルの開始位置)を正しく検出することが可能になる。従って、プリアンブル部(バーストセル)の信号レベルを正しく把握することができ、プリバイアス部の影響を有効に排除しながらバースト信号を正しく再生することが可能になる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
本実施形態に係る光バースト信号受信装置は、PON通信システム用の光バースト信号受信装置であって、受信された光バースト信号を光電変換して得られる電気信号のピークホールド値を表す信号の微分波形から、光バースト信号に含まれるプリアンブル部の位置を検出する検出手段を備えたことを特徴としている。
図1に、本発明の実施形態による光バースト信号受信装置100の全体構成を示す。本光バースト信号受信装置100は、前述の図9に示すOLT 813に相当するものであって、光バースト信号Aを受信し、該光バースト信号を光電変換して得られる電気信号の信号レベルを調整して出力するように構成され、図1に示すように、受光素子101、トランスインピーダンスアンプ102、レベル検出部103、プリアンブル位置検出回路104、ゲイン制御部105、しきい値検出部106、増幅器107から構成される。
受光素子101は、アバランシェ・フォトダイオード(APD)から構成され、前述の図9に示す基幹光ファイバ820を介して加入者側のONU 850から伝送された光バースト信号Aを受光して光電変換するものである。ただし、この例に限定されることなく、受光素子101は光電変換機能を有する素子であればよく、例えばフォトダイオードであってもよい。トランスインピーダンスアンプ102は、受光素子101から出力される電流信号Bを電圧信号Cに変換するものである。このトランスインピーダンスアンプ102は、ゲインが可変となっており、レベル検出部103およびゲイン制御部105と共にAGC(Automatic Gain Control)回路を構成する。
レベル検出部103は、トランスインピーダンスアンプ102から出力される電圧信号Cの信号レベルを検出するものであり、その検出結果として電圧信号Fを出力する。
プリアンブル位置検出回路104は、本光バースト信号受信装置100の主要な特徴部であり、バースト信号(電圧信号C)に含まれるプリアンブル部の開始位置を検出するものであり、その検出結果として電圧信号Gを出力する。ゲイン制御部105は、レベル検出部103とプリアンブル位置検出回路104の各検出結果に基づいて、バースト信号(電圧信号C)の信号レベルを略一定とするようにトランスインピーダンスアンプ102のゲインを制御するものである。しきい値検出部106は、トランスインピーダンスアンプ102の出力信号(電圧信号C)から、後段の増幅器107でバースト信号を再生する際の基準となるしきい値を検出するものであり、その検出結果として電圧信号Dを出力する。増幅器107は、トランスインピーダンスアンプ102の出力信号(電圧信号C)と、しきい値検出部106で検出されたしきい値との差分を抽出(増幅)することにより、トランスインピーダンスアンプ102の出力信号(電圧信号C)からバースト信号(電圧信号E)を再生するものである。この増幅器107を使用することで、トランスインピーダンスアンプ102の出力信号(電圧信号C)を論理信号(2値信号)に論理変換すると共に、増幅器107の出力信号(電圧信号E)として得られるバースト信号に含まれるバイアスレベルを自由に変更することが可能となっている。
図2に、プリアンブル位置検出回路104の詳細な構成を示す。説明の便宜上、図2には、上述の図1に示す受光素子101とトランスインピーダンスアンプ102が併記されている。
同図に示すように、プリアンブル位置検出回路104は、差動アンプ104A、ピークホールド回路104B、微分回路104C、ゲインアンプ104D、リファレンス電圧発生回路104E及び104Fから構成される。
ここで、差動アンプ104Aの非反転入力端子(+)には、トランスインピーダンスアンプ102の出力が与えられ、その反転入力端子(−)には、リファレンス電圧発生回路104Eからリファレンス電圧Vt1が印加されている。リファレンス電圧Vt1は、光バースト信号Aがない時(無信号時)のトランスインピーダンスアンプ102の出力信号レベルと同じ値に設定され、これにより、トランスインピーダンスアンプ102の出力オフセット分を補償するようになっている。差動アンプ104Aの反転出力端子はピークホールド回路104Bの入力部に接続され、このピークホールド回路104Bは、そのピークホールド値がリセット信号RSTによりリセットされるように構成されている。ここで、「ピークホールド値」とは、ピークホールド回路104Bがリセットされてから現在までにおける差動アンプ104Aの出力信号(電圧信号H)のピーク値(最大値)を表す値である。このピークホールド値は、その値を上回る新たなピーク値が検出されるまで保持される。
ピークホールド回路104Bの出力部は、微分回路104Cの入力部に接続され、この微分回路104Cの出力部はゲインアンプ104Dの非反転入力端子(+)に接続されている。ゲインアンプ104Dの反転入力端子(−)には、リファレンス電圧発生回路104Fからしきい値電圧Vt2が印加されている。しきい値電圧Vt2は、電圧信号Cに含まれる微分波形からパルスを生成する際の比較の基準となる電圧である。
次に、図3に示す波形図を参照しながら、図1に示す全体構成の動作を説明する。
光バースト信号Aが受光素子101に入射されると、受光素子101は光バースト信号Aを電流信号Bに光電変換し、この電流信号Bをトランスインピーダンスアンプ102が電圧信号Cに変換する。このとき、トランスインピーダンスアンプ102の構成上、電圧信号Cの位相は、電流信号B(または光バースト信号A)の位相に対して逆相になる。
レベル検出部103は、トランスインピーダンスアンプ102の出力信号(電圧信号C)の信号レベルを検出し、プリアンブル位置検出回路104は、トランスインピーダンスアンプ102から電圧信号Cとして出力されるバースト信号に含まれるプリアンブル部の開始位置を検出する。これらの検出結果に基づき、ゲイン制御部105は、電圧信号Cに含まれるバーストセルの信号レベルが略一定になるように、トランスインピーダンスアンプ102のゲインを最適に制御する。プリアンブル位置検出回路104及びゲイン制御部105の各動作の詳細については、後述する。
しきい値検出部106は、後述するプリアンブル位置検出回路104の検出結果を表す電圧信号G(図4のプリバイアス部の開始位置を示すパルスP1)に基づき、電圧信号Cから、プリバイアス部のバイアスレベルに相当するしきい値を検出し、そのしきい値を表す電圧信号Dを増幅器107の非反転入力端子(+)に出力する。また、しきい値検出部106の出力信号レベル(電圧信号Dの信号レベル)は、光バースト信号Aがない時(無信号時)のトランスインピーダンスアンプ102の出力信号レベルに設定してもよい。この場合には、プリアンブル位置検出回路104の検出結果を用いることなく、しきい値検出部106の出力信号レベルが設定される。増幅器107は、反転入力端子(−)でトランスインピーダンスアンプ102から出力された電圧信号Cを入力し、電圧信号Cが電圧信号Dより小さい場合に電圧信号Eとしてハイレベルを出力し、逆に電圧信号Cが電圧信号Dよりも大きい場合に電圧信号Eとしてローレベルを出力する。
以上により、光バースト信号受信装置100は、光バースト信号Aを受信し、この光バースト信号に対応する電気信号のバースト信号として、信号レベルが略一定に調整された電圧信号Eを出力する。
次に、図2及び図4を参照して、プリアンブル位置検出回路104の動作の詳細を説明する。
光バースト信号Aのバーストセルの受信に先立って、本光バースト信号受信装置の全体を制御する図示しない制御ユニットは、リセット信号RSTによりピークホールド回路104Bをリセットし、そのピークホールド値を表す電圧信号Jを初期化する。このピークホールド回路104Bがリセットされた状態から、光バースト信号Aのバーストセルを受信すると、上述のように、受光素子101が光バースト信号Aを電流信号Bに光電変換し、トランスインピーダンスアンプ102が、電流信号Bとは逆相の電圧信号Cを出力する。
電圧信号Cを非反転入力端子(+)に入力する差動アンプ104Aは、その反転出力端子から、電圧信号Cとは逆相の電圧信号Hを出力する。即ち、差動アンプ104Aは、光バースト信号Aに対して同相の関係にある正相の電圧信号Hを出力する。
ピークホールド回路104Bは、電圧信号Hを入力し、そのピーク電圧を検出してピークホールド値として保持し、このピークホールド値を表す電圧信号Jを出力する。電圧信号Jの信号波形は、図4の上から3段目の波形として示すように、プリバイアス部の開始位置とプリアンブルの開始位置(プリバイアス部の終了位置)で階段状に変化する。ピークホールド回路104Bによる電圧信号Hのピーク値の検出は、バーストセルごとに行う必要があるので、上述のように、バーストセルごとにリセット信号RSTによりピークホールド回路104Bをリセットし、その検出値である電圧信号Jを初期化する。
微分回路104Cは、ピークホールド回路104Bから出力される電圧信号Jの波形を微分し、その微分結果である微分波形を含む電圧信号Kを出力する。図4の上から4段目の波形として示すように、電圧信号Kは、プリバイアス部の開始位置とプリアンブル部の開始位置(即ちプリバイアス部の終了位置)で急峻な立ち上がりを示した後になだらかに減衰するパルス状の微分波形を含んでいる。
上述の微分波形を含む電圧信号Kを非反転入力端子(+)に入力するゲインアンプ104Dは、電圧信号Kとしきい値電圧Vt2を比較し、電圧信号Hがしきい値電圧Vt2を上回った期間でハイレベルとなるパルスP1,P2を含む電圧信号Lを出力する。即ち、電圧信号Lは、プリバイアス部の開始位置で発生されるパルスP1と、プリアンブルの開始位置で発生されるパルスP2を含み、このようなパルスP1,P2により、プリバイアス部とプリアンブル部の各開始位置を検出し、これらを区別することができる。
次に、ゲイン制御部105の動作の詳細を説明する。
ゲイン制御部105は、以下に説明するように、レベル検出部103の検出結果である電圧信号Cの信号レベルと、プリアンブル位置検出回路104の検出結果であるプリアンブル部の開始位置を表す電圧信号Gとに基づき、電圧信号Cの信号レベルが略一定となるように、トランスインピーダンスアンプ102のゲインを制御する。
詳しくは、ゲイン制御部105は、プリアンブル位置検出回路104から出力される電圧信号Lに含まれるパルスP2のタイミングを基点として所定時間(例えば10nsec)をカウントし、このカウントが終了したタイミングで、レベル検出部103の出力信号Fを取り込む。このときの信号Fは、バースト信号に含まれるバーストセルのプリアンブル部の信号レベルを示す。
即ち、上述の「所定時間」は、レベル検出部103から出力される信号Fが、プリアンブル部に含まれるパルスのピーク値、即ち、プリアンブル部(バーストセル)の信号レベルを示すように適切に設定される。ただし、「所定時間」は、上述の例に限らず、信号Fが、プリアンブル部(バーストセル)の信号レベルを示す限度において、どのような値に設定してもよく、ゼロとしてもよい。ゼロに設定した場合には、プリアンブル部の開始位置での電圧信号Cの信号振幅がレベル検出部103によって検出されることになるが、この検出動作はプリアンブル部の開始位置が検出されたことを原因としているので、レベル検出部103の検出動作と、プリアンブル位置検出回路104の検出動作に大きな差がなければ、誤ってプリバイアス部の信号レベルが検出されることはない。
ゲイン制御部105は、上述のようにして得られたプリアンブル部の信号レベルに基づき、電圧信号Cに含まれるバーストセルの信号レベルを略一定とするように、トランスインピーダンスアンプ102のゲインを最適に制御する。
上述の例では、光バースト信号Aのプリバイアス部の波形として、一定のバイアス電流の波形を説明したが、この例に限らず、前述の図12(b)及び図12(c)に示すような信号波形のプリバイアス部を含むバースト信号に対しても本光バースト信号受信装置は有効に機能する。即ち、図12(b)に示すプリアンブル部を有する光バースト信号を本光バースト信号受信装置で受信した場合であっても、図5(a)に示すように、この場合の電圧信号Jも図4に示す波形と同様になる。また、図12(c)に示すプリアンブル部を有する光バースト信号を本光バースト信号受信装置で受信した場合にも、図5(b)に示すように、この場合の電圧信号Jも図4に示す波形と同様になる。従って、何れの場合にも、プリバイアス部とプリアンブル部の各開始位置を正しく把握してトランスインピーダンスアンプ102のゲインを適切に制御することが可能になる。
上述したように、本実施形態によれば、プリアンブル部の開始位置を正しく検出することが可能になり、プリバイアス部とプリアンブルを区別してトランスインピーダンスアンプ102のゲインを適切に制御することができる。従って、プリアンブル部の区間長や信号波形が変化しても、プリアンブル部の影響を有効に排除しながらバースト信号の信号レベルを調整することが可能になり、バースト信号を正常に再生することが可能になる。
(第1の変形例)
図6に第1の変形例を示す。前述の図1に示す構成では、トランスインピーダンスアンプ102として、入力電流信号に対して逆相の出力電圧信号を出力するものを採用したが、図6に示すように、入力電流信号に対して同相の出力電圧信号を出力するトランスインピーダンスアンプ102Aを採用してもよい。この場合、図2に示す差動アンプ104Aに相当する構成は不要となり、構成を簡略化することができる。
(第2の変形例)
図7に第2の変形例を示す。前述の図2に示す構成では、ゲインアンプ104Dを設けたが、図7に示すように、ゲインアンプ104Dを省略し、微分回路104Cの出力信号Kをゲイン制御部105に与えてもよい。この場合も、電圧信号Kに含まれる微分波形のパルス信号(上述のパルスP1,P2の元になる微分波形パルス)により、プリバイアス部及びプリアンブルの開始位置を正しく把握することができる。
(第3の変形例)
図8に第3の変形例を示す。図8に示すように、プリバイアス部をマスクするためのマスク回路として、前述の図1に示す構成において、プリアンブル位置検出回路104の後段にRSフリップフロップ回路142を設け、増幅器107の後段にAND回路144を設けても良い。ただし、図8では、図1に示すレベル検出部103、ゲイン制御部105、しきい値検出部106の表記が省略されている。
図8に示す構成によれば、プリアンブル位置検出回路104の後段に接続されたRSフリップフロップ回路142は、プリアンブル開始位置を検出した際に、プリアンブル位置検出回路104から出力される電圧信号G(パルスP2)をセット端子(S)に入力し、バースト信号入力前に外部から印加されるリセット信号RSTをリセット端子(R)に入力し、セット信号(S)が入力されてからリセット信号RST(R)が入力されるまでの間は、論理レベルとしてハイレベルを出力する。
これにより、RSフリップフロップ回路142の出力信号は、プリアンブル開始位置の検出点(パルスP2)から次のバースト信号リセット信号までの区間は、ハイレベルを保つ。このハイレベルの信号とトランスインピーダンスアンプ102からの電圧信号CをAND回路144に入力することで、電圧信号C(電圧信号E)は、プリアンブル開始位置から次のバーストリセット信号の入力までの区間しかAND回路144から出力されない。即ち、AND回路144から出力される電圧信号Emには、電圧信号C(電圧信号E)に含まれているプリバイアス部の信号部分は含まれない。従って、プリバイアス部は、再生されずに、プリアンブル部からの信号をAND回路144から出力することが可能になる。従って、プリバイアス部をマスクすることが可能になり、このプリバイアス部の影響を排除することが可能になる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変形が可能である。例えば、上述の実施形態では、差動アンプ104Aから出力される電圧信号Hのピーク値をピークホールド回路104Bで検出するものとしたが、電圧信号Hの位相によっては、ボトムホールド回路を採用し、ボトム値を検出してもよい。この場合、図4に示す電圧信号Jは、その信号レベルが階段状に低下する波形となるが、この波形を微分することにより、同様にプリバイアス部の開始位置とバーストセルの開始位置を検出することが可能である。
本発明の実施形態に係る光バースト信号受信装置の全体構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係るプリアンブル位置検出回路の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る光バースト信号受信装置の動作を説明するための波形図である。 本発明の実施形態に係るプリアンブル位置検出回路の動作を説明するための波形図である。 本発明の実施形態に係るプリアンブル位置検出回路が入力の対象とする他のバースト信号のプリアンブル部の波形を説明するための波形図である。 本発明の実施形態の第1の変形例を示すブロック図である。 本発明の実施形態の第2の変形例を示すブロック図である。 本発明の実施形態の第3の変形例を示すブロック図である。 PON通信システムの概念を説明するための図である。 PON通信システムにおけるバーストbyバーストAGC法を説明するための図である。 PON通信システムにおけるバースト信号を説明する波形図である。 バースト信号のプリアンブル部の波形例を説明するための波形図である。 従来技術の第1の手法による問題点を説明するための図である。 従来技術の第2の手法による問題点を説明するための図である。
符号の説明
101;受光素子
102;トランスインピーダンスアンプ
103;レベル検出部
104;プリアンブル位置検出回路
105;ゲイン制御部
106;しきい値検出部
107;増幅器
104A;差動アンプ
104B;ピークホールド回路
104C;微分回路
104D;ゲインアンプ

Claims (4)

  1. PON通信システム用の光バースト信号受信装置において、
    入射された光バースト信号を光電変換して得られる電気信号のピークホールド値を表す信号の微分波形から、前記光バースト信号に含まれるプリアンブル部の位置を検出する検出手段を備えたことを特徴とする光バースト信号受信装置。
  2. 前記検出手段は、
    前記電気信号のピークレベルを検出して前記ピークホールド値を出力すると共に、所定のリセット信号に基づき前記ピークホールド値をリセットするように構成されたピークホールド回路と、
    前記ピークホールド回路の出力信号を微分する微分回路と
    を備えたことを特徴とする請求項1記載の光バースト信号受信装置。
  3. 前記光バースト信号を光電変換して得られる電気信号の信号レベルを調整するための増幅手段を備え、
    前記増幅手段は、
    前記電気信号として前記光バースト信号を光電変換して得られる電流信号を、該電流信号とは逆相の電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプと、
    前記トランスインピーダンスアンプの出力信号と所定のリファレンス電圧との差分を増幅して、前記トランスインピーダンスアンプの出力信号とは逆相の電圧信号を出力する差動アンプと、
    から構成されたことを特徴とする請求項1または2の何れか1項記載の光バースト信号受信装置。
  4. PON通信システムにおける光バースト信号受信方法であって、
    光バースト信号を電流信号に光電変換し、
    前記電流信号を第1の電圧信号に電流/電圧変換し、
    前記第1の電圧信号を第2の電圧信号に増幅し、
    前記第2の電圧信号のピークレベルを検出して該第2の電圧信号のピークホールド値を表す波形信号を生成し、
    前記波形信号を微分し、
    前記波形信号の微分波形から前記プリアンブル部の開始位置を特定し、
    前記特定された前記プリアンブル部の開始位置に基づき前記プリアンブル部の信号レベルを検出し、
    前記検出された前記プリアンブル部の信号レベルに基づき、前記第2の電圧信号の信号レベルを略一定とするように前記増幅のゲインを制御することを特徴とする光バースト信号受信方法。
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