JP2008266962A - 除雪シート - Google Patents

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康一 小田
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広志 有賀
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Abstract

【課題】屋根材への負担が少なく、少ない消費電力で効率よく除雪でき、耐久性にも優れた除雪シートの提供。
【解決手段】屋根上に設置される除雪シートであって、面状発熱体(10)と、該面状発熱体(10)の積雪側の表面を被覆する被覆層(20)とを備え、該被覆層(20)の最も積雪側の表面がフッ素樹脂フィルムからなることを特徴とする除雪シート。該除雪シートは、さらに、前記面状発熱体(10)の屋根側に、断熱層(30)を備えることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、屋根上に除雪のために設置される除雪シートに関する。
寒冷地や積雪地においては、屋根に積もった雪を取り除くために、熱により雪を溶かす融雪装置が使用される場合がある。
従来の融雪装置としては、たとえば、屋根材の下に温水管を配管し、ボイラー等で加温した温水を供給、循環又は散水させるもの、屋根材の下に通電により発熱する発熱体を設置するもの等の、屋根材の下に設置するタイプのものがある。
また、最近では屋根材の上に通電により発熱する発熱体を設置するタイプのものも提案されている。たとえば特許文献1には屋根用の融雪パネルが提案されており、特許文献2には電熱線をネット状にしたネット状発熱体が提案されている。
一方、建築物等への雪氷の付着を防止するために、離型用被覆剤を塗布し、表面の滑り性を上げる方法も提案されている。たとえば特許文献3には、特定のフッ素樹脂を含む雪氷付着防止塗料が提案されている。
実用新案登録第3085228号公報 特開2004−31107号公報 特開2003−27004号公報
しかし、従来の融雪装置は、次のような問題があった。まず、屋根材の下に設置するタイプのものは、設置に要する工事費が高く、また、設置の際に屋根材に損傷を与える可能性が高い。
また、屋根上に設ける融雪パネルやネット状発熱体は、雪を完全に溶かすために多くの電力を消費してしまう。
一方、離型用被覆剤を用いる方法は、除雪効果が低く、たとえば氷点下以下で一旦雪が氷着してしまうと、これを除去することは難しい。また、離型用被覆剤は、長期の耐候性などの耐久性が低く、短期間で材料が劣化したり効果が失われてしまう。さらに、適用できる対象も限定されている。
そこで、本発明は、屋根材への負担が少なく、少ない消費電力で効率よく除雪でき、耐久性にも優れた除雪シートを提供する。
前記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]屋根上に設置される除雪シートであって、
面状発熱体と、該面状発熱体の積雪側の表面を被覆する被覆層とを備え、該被覆層の最も積雪側の表面がフッ素樹脂フィルムからなることを特徴とする除雪シート。
[2]前記フッ素樹脂フィルムが、エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロピレン−フッ化ビニリデン系共重合体、フッ化ビニル系重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン系重合体およびテトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン系共重合体からなる群から選択される少なくとも1種のフッ素樹脂から構成される[1]に記載の除雪シート。
[3]さらに、前記面状発熱体の屋根側に、断熱層を備える[1]または[2]に記載の除雪シート。
[4]前記フッ素樹脂フィルムの、波長200〜360nmの紫外線遮蔽率が99%以上である[1]〜[3]のいずれか一項に記載の除雪シート。
[5]保持部材に保持されている[1]〜[4]のいずれか一項に記載の除雪シート。
本発明によれば、屋根材への負担が少なく、少ない消費電力で効率よく除雪でき、耐久性にも優れた除雪シートを提供できる。
<除雪シート>
図1に、本発明の第1実施形態の除雪シートの概略断面図を示す。
本実施形態の除雪シートは、面状発熱体10と、該面状発熱体10の一方の表面(屋根側表面)上に積層された断熱層30と、面状発熱体10の他方の表面(積雪側の表面)および側面ならびに断熱層30の側面を被覆する被覆層20とから構成される。
[面状発熱体10]
面状発熱体10は、図2に示すように、シート状の発熱素子11と、該発熱素子11の両縁の表面上に設置された電極13と、発熱素子11および電極13を被覆する絶縁層12とから構成される。
面状発熱体10において、発熱素子11は、たとえば、カーボンブラックとビニル系モノマーとをグラフト重合させて得られるカーボンブラック・グラフトポリマー(グラフトカーボン)を含む塗液(グラフトカーボン塗液)を、基材に塗布または含浸し、熱処理(たとえば100〜500℃)することにより形成できる。
グラフトカーボン塗液としては、たとえば特開2006−019209号公報に記載のグラフトカーボン塗液が挙げられる。
基材としては、ガラスクロス、ポリイミド織布、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、マイカ等のシート状基材が用いられる。
面状発熱体10は、発熱素子11に電極13を取り付け、これを電気絶縁材で被覆して絶縁層12を形成することにより得られる。
電気絶縁材としては、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、マイカ、ゴムシート、エポキシ樹脂含浸ガラスクロス等が挙げられる。
面状発熱体10は、通常、前記発熱素子11の両面に電気絶縁材を重ね、その状態でシート状に加熱成形することによって製造される。
なお、本発明において用いられる面状発熱体は、面状発熱体10に限定されるものではなく、市販の面状発熱体など、従来公知の任意の面状発熱体を利用できる。
[被覆層20]
被覆層20は、図3に示すような、フッ素樹脂フィルム21と、該フッ素樹脂フィルム21の片面に設けられた粘着剤層22との積層フィルムから構成されている。該積層フィルムは、粘着剤層22が面状発熱体10および断熱層30側と接するように、つまりフッ素樹脂フィルム21が積雪側(面状発熱体10とは反対側)の最表面となるように配置される。
(フッ素樹脂フィルム21)
フッ素樹脂フィルム21を構成するフッ素樹脂としては、特に限定するものではないが、たとえばフッ化ビニル系重合体、フッ化ビニリデン系重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン系重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロピレン−フッ化ビニリデン系共重合体、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン系共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体(以下、ETFEという。)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体(以下、FEPという。)、テトラフルオロエチレン−パープルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体(以下、PFAという。)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン系共重合体等が挙げられる。これらのフッ素樹脂はいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上をブレンドして用いてもよい。
本発明においては、耐候性、強度等に優れることから、前記フッ素樹脂フィルムが、ETFE、FEP、PFA、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロピレン−フッ化ビニリデン系共重合体、フッ化ビニル系重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン系重合体およびテトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン系共重合体からなる群から選択される少なくとも1種のフッ素樹脂から構成されることが好ましい。
これらの中でも、ETFE、FEP、PFA、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロピレン−フッ化ビニリデン系共重合体およびフッ化ビニル系重合体からなる群から選択される少なくとも1種のフッ素樹脂から構成されることが好ましい。
フッ素樹脂フィルム21を構成するフッ素樹脂は、カルボキシ基、酸無水物基、水酸基、エステル基、アミノ基等の官能基を有していてもよい。官能基を有することにより、フッ素樹脂フィルム21と粘着剤層22との接着性が向上する。該官能基としては、特に、上記効果に優れることから、カルボキシ基および/または酸無水物基が好ましい。
上記のような官能基の導入方法としては、当該フッ素樹脂の単量体の一部として、当該官能基を有する単量体(例えば後述する重合単位(D))を選択して共重合させる方法;当該官能基を有さないフッ素樹脂を変性させる方法等が挙げられる。
フッ素樹脂の単量体の一部として、当該官能基を有する単量体を選択して共重合させる場合、該単量体の割合は、モル比で、当該フッ素樹脂の全単量体の合計に対して、1/1000〜3/20の範囲内であることが好ましい。
フッ素樹脂フィルム21を構成するフッ素樹脂としては、長期の屋外使用での耐紫外線耐久性に優れる点、溶融成形でのフィルム加工が容易な点、粘着剤に対する濡れを改良するためのコロナ放電表面処理などが容易な点、資材の汎用性等を考慮すると、ETFEが特に好ましい。
ETFEとしては、特に、下記重合単位(A)〜(C)を含有する共重合体(以下、共重合体(I)という。)が好ましい。
重合単位(A):テトラフルオロエチレン。
重合単位(B):エチレン。
重合単位(C):一般式CH=CX(CFY (式中、X、Yはそれぞれ水素原子又はフッ素原子であり、nは2〜10の整数である。)で表される化合物。
共重合体(I)中、各重合単位の割合は、モル比で、(A)/(B)=1/4〜4/1、(C)/{(A)+(B)}=1/1000〜3/20となる割合であることが好ましい。各重合単位の割合が上記範囲内であると、耐候性や長期使用時の脆化劣化耐性が向上する。
共重合体(I)は、さらに、上記重合単位(A)〜(C)以外に、粘着剤層22との接着性を改善する目的で、イタコン酸、無水イタコン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、シトラコン酸及び無水シトラコン酸からなる群から選ばれる1種以上に基づく重合単位(D)を含有してもよい。
共重合体(I)中、重合単位(D)の割合は、モル比で、(D)/{(A)+(B)}=1/1000〜3/20の範囲内となる割合であることが好ましい。(A)と(B)との合計に対する(D)の割合が上記範囲の下限値以上であると、他材料との接着性が充分に向上し、上限値以下であると、フッ素樹脂フィルムの強度、耐候性、耐水性等の本来の特性が低下しない。
フッ素樹脂フィルム21は、波長200〜360nmの紫外線遮蔽率が99%以上であることが好ましい。これにより、面状発熱体10や粘着剤層22を紫外線から保護し、それらの劣化を防止できる。そのため、除雪性能や、フッ素樹脂フィルム21と面状発熱体10との間の密着性が長時間維持されるなど、除雪シートの耐久性がさらに向上する。面状発熱体10や粘着剤層22として紫外線に弱い安価なものを用いることも可能であり、耐久性を損なうことなくコストを低減できる。
前記紫外線遮蔽率は、JIS R 3106「板ガラス類透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法」(1998年)に準拠して測定した波長200〜360nmにおける透過率(%)の平均値を、100(%)から減じた値である。
前記紫外線遮蔽率が99%以上のフッ素樹脂フィルムとしては、市販のフッ素樹脂フィルムのなかから、所望の紫外線遮蔽率を有するものを適宜選択して用いればよい。該市販のフッ素樹脂フィルムとしては、旭硝子社製のアフレックスGB、GS等の、紫外線遮蔽剤としての顔料を含む着色フィルムや紫外線吸収剤を添加したフィルム等が挙げられる。
また、前記フッ素樹脂を用いて公知の成形法により製造してもよい。この場合、フッ素樹脂フィルムの紫外線遮蔽率は、フッ素フィルムに紫外線遮蔽剤および/または紫外線吸収剤を配合することにより調節でき、その配合量が多いほど紫外線遮蔽率が向上する。また、該フッ素樹脂フィルムの厚さが厚いほど、紫外線遮蔽率が向上する。
また、紫外線吸収剤および/または紫外線遮蔽剤を含む塗料をフッ素樹脂フィルムの表面に塗工してコート層を設けることによっても紫外線遮蔽率が向上する。この場合、コート層は、滑雪性のためには、当該フッ素樹脂フィルムの積雪側ではなく、屋根側の表面上に設けることが好ましい。
紫外線吸収剤としては、酸化セリウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機系の紫外線吸収剤が挙げられる。
紫外線遮蔽剤としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄、アルミコバルト酸化物等の、紫外線遮断能を有する顔料が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤および紫外線遮蔽剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フッ素樹脂フィルム21は、本発明の効果を損なわない範囲で、タルク、マイカ、シリカ、クレー、酸化銅、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム等の添加剤を含有してもよい。
フッ素樹脂フィルム21には表面処理が施されていてもよい。たとえば粘着剤層22側の表面にコロナ放電やプラズマ放電による表面処理が施されていると、当該フッ素樹脂フィルム21と粘着剤層22との密着性、ひいては面状発熱体10との密着性が向上し、面状発熱体10からの熱の伝熱性が向上するため好ましい。
本発明においては、特に、フッ素樹脂フィルム21の、粘着剤層22側の表面が、JIS K 6768に準拠して測定される濡れ指数が32ダイン以上である濡れ性を有することが好ましい。これにより、フッ素樹脂フィルム21と粘着剤層22との密着性が優れたものとなる。該濡れ指数は、34ダイン以上がより好ましく、36ダイン以上がさらに好ましい。
フッ素樹脂フィルム21表面の濡れ性は、フッ素樹脂の種類、表面処理の有無やその処理条件等によって調節できる。前記共重合体(I)で構成されるフィルムの場合、前記重合単位(D)の割合が高いほど、当該フィルムの濡れ性が高まる。
フッ素樹脂フィルム21の厚さは、特に限定されないが、25〜400μmの範囲内が好ましく、50〜200μmの範囲内がより好ましい。50μm以上であると長期使用での強度が充分なものとなり、200μm以下であると、面状発熱体10からの伝熱性が良好で、除雪効果が高い。また、コストも低減できる。
(粘着剤層22)
粘着剤層22における粘着剤としては、特に限定されず、たとえばアクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、フッ素樹脂フィルム21への接着強度に優れ、且つ低コストであることから、アクリル系粘着剤が好ましい。
粘着剤層22は、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、顔料、可塑化剤等の添加剤を含有してもよい。
粘着剤層22は、たとえば、市販の粘着剤を、公知の方法によりフッ素樹脂フィルム21上に塗工することにより形成できる。
粘着剤層22の厚さは、特に限定されないが、フッ素樹脂フィルム21と面状発熱体10との間の密着性、作業性等を考慮すると、5〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。
[断熱層30]
断熱層30は、面状発熱体10で発生した熱が屋根側に放熱されるのを防止するものである。本発明において、断熱層30は必須ではないが、該断熱層30を設けることにより、屋根側への伝熱損失を低減でき、より効率よく熱がフッ素樹脂フィルム21側(積雪側)に伝わって、除雪効果が向上する。
断熱層30を構成する断熱材としては、公知のものが利用でき、たとえば発泡スチロール、発泡ウレタンなどのプラスチックの発泡体、ガラスウール、合板、発泡コンクリートなどが挙げられる。
断熱層30の厚さは、特に制限はないが、使用する断熱材によっても異なるが、1〜50mmの範囲内が好ましく、3〜30mmの範囲内がより好ましい。
このような構成の除雪シートは、既存の屋根の上に簡単に設置できる。それに加え、軽量であるため、設置の際、および設置後においても、屋根材への負担が少ない。
また、該除雪シートを屋根上に設置することにより、面状発熱体10の熱を、屋根材を介さず、被覆層20のみを介して積もった雪に伝えることができるため、熱効率が向上する。
また、除雪シート最表面のフッ素樹脂フィルム21は、表面の平滑性および疎水性が高く、優れた滑雪性を有する。そのため、降雪初期に面状発熱体を加熱しない段階でも他の材料に比べて雪落ち性が優れている。また、面状発熱体を加熱すると、除雪シートからの熱により、除雪シートと積雪と接触部分で雪が一部溶解して水の層ができ、該水の層の上側の積雪が、その自重により容易に滑り落ち、除雪シート上から除去される。このように、熱効率がよく、また、積雪の全部を溶かす必要がないため、本発明の除雪シートによれば、少ない消費電力で効率よく除雪できる。
また、フッ素樹脂フィルム21は、表面の疎水性が高いことに加え、それ自体が長期の屋外暴露による紫外線などの劣化に対する耐性(耐候性)に優れる。表面が親水性のフィルムや、紫外線等により劣化したフィルムを用いると、フィルム表面に汚れが定着して落ちにくい。汚れ等によりフィルム表面が荒れると、その荒れが滑雪時の抵抗となって、滑雪しにくくなり、除雪に要する時間が長くなる。一方、フッ素樹脂フィルムを被覆層表面に用いることにより、汚れがフィルム表面に付着しにくく、また、付着したとしても落ちやすく、そのため汚れが定着し難い。たとえば冬季以外で汚れがフィルム表面に付着していても、冬季において、一度雪が自重で落ちる際に一緒に汚れも落ち、その後の冬季間フィルム表面が綺麗に保たれる。
さらに、かかるフッ素樹脂フィルム21が除雪シートの積雪側の最表面に配置されることにより、該フッ素樹脂フィルム21の内側に存在する粘着剤層22、面状発熱体10(特に絶縁層12)および断熱層30の劣化が抑制される。そのため、当該除雪シート全体としての耐久性が向上し、長期にわたって除雪性能が維持される。
前記第1の実施形態において、被覆層20は、面状発熱体10の積雪側表面と、面状発熱体10および断熱層30の側面とを覆うように設置されているが、本発明はこれに限定されない。たとえば被覆層20が、面状発熱体10の積雪側表面のみを被覆し、面状発熱体10および断熱層30の側面を覆っていなくてもよい。また、面状発熱体10の積雪側表面および側面を被覆し、断熱層30の側面の一部または全部を覆っていなくてもよい。
また、被覆層20は、フッ素樹脂フィルム21と粘着剤層22とから構成されるが、本発明はこれに限定されない。たとえば被覆層20が、粘着剤層22を有さず、フッ素樹脂フィルム21のみから構成されてもよい。また、被覆層20は、さらに、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、変性ポリオレフィンフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、エチレン−酢酸ビニルフィルム等の他の層を有していてもよい。ただし、他の層を有する場合においても、被覆層の最も積雪側にフッ素樹脂フィルムが配置される。
また、前記第1の実施形態において、断熱層30と面状発熱体10とは直接接しているが、本発明はこれに限定されず、断熱層30と面状発熱体10との間に隙間があってもよい。また、断熱層30と面状発熱体10との間に、前記粘着剤層22のような粘着剤層が介在してもよい。
本発明の除雪シートは、建造物の屋根上に設置される。本発明の除雪シートが設置される屋根は、傾斜したものであってもよく、水平なものであってもよいが、本発明の効果に優れることから、本発明の除雪シートは、傾斜した屋根上に設置されることが好ましい。
本発明の除雪シートを屋根上に設置する方法としては、たとえば、従来、太陽電池を屋根上に設置する際に用いられている方法が利用できる。かかる方法の具体例としては、たとえば、除雪シート用ラックを屋根に取り付け、該ラックに除雪シートを設置する方法や、除雪シートを保持部材に保持させてパネル状とし、これを屋根上に設置する方法等が挙げられる。
本発明においては、強度、屋根上への設置のしやすさ等を考慮すると、除雪シートが、保持部材に保持されていることが好ましい。
保持部材の形状は、除雪シートの積雪側表面を平坦な状態で保持できるものであればよく、たとえば板状、フレーム状等が挙げられる。
保持部材は、通常、当該除雪シートの最も屋根側に配置される。
以下、本発明を具体的に実施例に基づき説明するが、本発明は実施例に制約されるものではない。
[実施例1、比較例1〜5]
面状発熱体として、グラフトカーボン面状発熱体(日本パイオニクス社製の221F01番、厚さ0.8mm、100V、28W)を使用した。この面状発熱体の一方の表面(積雪側の表面)に、アクリル系粘着剤(リンテック社製のノンキヤリアSY)を積層して厚さ25μmの粘着剤層を形成した。該粘着剤層上に、表1に示す被覆材料を積層し、該面状発熱体の他方の表面(屋根側の表面)上に、断熱材として、厚さ20mm発泡スチロールを貼り付けて除雪シートを作製した。
表1中、「ETFEフィルム」は、旭硝子社製のアフレック100GS(厚さ100μm;紫外線遮蔽率99%)を示す。
「スレート瓦」はクボタ松下電工外装社製のコロニアル5mmを示す。
「PETフィルム」は、東洋紡績社製の東洋紡エステルA4300(厚さ150μm;紫外線遮蔽率91%)を示す。
「PEフィルム」は、瀧川化学工業社製のLL−DC(厚さ100μm;紫外線遮蔽率52%)を示す。
「PVCフィルム」は、高藤化成社製のタフニールブライト(厚さ150μm;紫外線遮蔽率83%)を示す。
「フッ素塗料」は、旭硝子社製のルミフロンLF−200を示す。フッ素塗料については、面状発熱体に直接塗工して使用できないため、当該塗料を、アセトン脱脂した厚さ0.8mmのアルミ板に、アプリケーターを用いて、乾燥後塗膜厚さが70μmとなるように塗工し下記の手順で塗工したものを使用した。
作製した除雪シートを用いて以下の評価を行った。その結果を表1に示す。
[氷着除去性]
タバイ社製恒温槽にて、設定温度−10℃の環境下で、作製した除雪シートの被覆材料側の表面に、質量100g、直径φ100mmの円板状の氷を貼り付けて試験体とした。
各試験体を、水平面から20°傾けた状態とし、面状発熱体への通電(出力100V)を開始し、通電を開始してから氷が落下するまでの時間を測定した。このとき同時に、除雪シートの被覆材料側の表面(氷との界面部分)の温度を測定した。温度計は、ティアンドディ社製のTR−52を使用した。
その結果、表1に示すように、フィルムを用いた実施例1および比較例2〜4では、10分前後で接触面が融氷して氷が自重で落下した。
一方、面状発熱体の上にスレート瓦を設置した比較例1の場合、通電を開始してから2時間後においても、氷とスレート瓦の接触面の温度が0℃以下であり、氷も融氷せず、落下しなかった。また、それ以降、出力を120Vに上げて通電を行ったところ、出力を上げてから2時間後(最初の通電開始から4時間後)に、ようやく完全に融氷した。
また、フッ素塗料を用いた比較例5では、アルミ板が暖まるまでに時間がかかり、15分後に氷が落下した。
[耐候性(屋外暴露3年後の表面光沢保持率)]
屋外暴露は、45°傾斜の暴露台に、実施例1および比較例2〜5の除雪シートを、被覆材料側を上にして、暴露面を南に向けて設置し、24時間そのままの状態で3年間放置することにより行った。
屋外暴露前後の各除雪シートから被覆材料(フッ素塗料の場合はアルミ板を含む)を取り外し、流水とガーゼを使用して汚れを落とし、その表面の60°光沢値を、日本電色工業社製のPG−1Mを用いて測定した。
測定結果から、式:(屋外暴露後の60°光沢値)/(屋外暴露前の60°光沢値)×100により、屋外暴露3年後の表面光沢保持率(%)を求めた。
その結果、表1に示すように、実施例1は、表面光沢保持率が94.5%であり、60°光沢値の劣化がほとんどなかった。
一方、PETフィルム、PEフィルムまたはPVCフィルムを用いた比較例2〜4は、表面光沢保持率が65%以下であった。また、フッ素塗料を用いた比較例5は、表面光沢保持率は82.0%であり、比較例2〜4よりは良好であったものの、塗膜にピンホールが生じていた。該ピンホールは、その下の基材(アルミ板等)の劣化の原因となる。
[耐候性(屋外暴露3年後の破断強度保持率)]
実施例1および比較例2〜4の除雪シートについて、前記表面光沢保持率と同様の屋外暴露を行った。
屋外暴露前後の各除雪シートから被覆材料(フィルム)を取り外し、各フィルムの引張り強度を、オリエンテック社製テンシロン万能試験機RTC−1310Aを使用し、STM−D−638 タイプV(標点間距離7.62mm)を用いてロードセル50Nクロスヘッドスピード50mm/分で測定した。
測定結果から、式:(屋外暴露後の引張り強度)/(屋外暴露前の引張り強度)×100により、屋外暴露3年後の破断強度保持率(%)を求めた。
その結果、表1に示すように、実施例1は、破断強度保持率が99.0%であり、ほとんど劣化しなかった。
一方、比較例2〜4はいずれも66.5%以下であり、特にPVCフィルムを用いた比較例4はわずか10.2%であった。
Figure 2008266962
[試験例1]
フッ素樹脂フィルムの紫外線遮蔽性が粘着剤層に与える影響を調べるために、以下の評価を行った。
フッ素樹脂フィルムとしては、厚さ100μm、波長200〜360nmの紫外線遮蔽率がそれぞれ10%、90%、99%の3種類のETFEフィルム(旭硝子社製のアフレックス100S、100GRU、100GSを使用した。各ETFEフィルムの紫外線遮蔽率は、島津製作所社製UV−3100PCを用いて、JIS R 3106(1998年)「板ガラス類透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法」に従って測定した波長200〜360nmにおける透過率(%)からその平均値を算出し、式:100−該平均値により求めた。
まず、各ETFEフィルムの片面をコロナ放電処理した。コロナ放電処理した表面について、JIS K 6768に準拠して、和光純薬社製の濡れ指数試薬を用いて濡れ指数を測定したところ、各ETFEフィルムの、コロナ放電処理した表面の濡れ性は40ダインであった。
前記コロナ放電処理した表面に、アクリル系接着剤(リンテック社製のノンキヤリアSY)を積層して厚さ25μmの粘着剤層を形成した。該粘着剤層上に、厚さ150μmの軟質塩化ビニル樹脂フィルムを、ロールを使用してラミネートして評価サンプルを得た。
各評価サンプルを1cm×10cmの大きさに裁断し、オリエンテック社製テンシロン万能試験機RTC−1310Aを使用して、JIS K 6854−2に準拠して引張り速度50mm/分で、180°ピーリング試験による密着強度を測定した。
その結果、各評価サンプルの密着強度はいずれも9N/cmであった。
次に、各評価サンプルについて、実施例1と同様の屋外暴露を行い、前記と同様にして密着強度を測定した。
測定結果から、式:(屋外暴露後の密着強度)/(屋外暴露前の密着強度)×100により、屋外暴露3年後の密着強度の保持率(%)を求めた。その結果を表2に示す。
表2に示すように、密着強度の保持率は、紫外線遮蔽0%のETFEフィルムを用いた評価サンプルでは14%を示し、紫外線遮蔽90%のETFEフィルムを用いた評価サンプルでは35%を示し、紫外線遮蔽99%のETFEフィルムを用いた評価サンプルでは90%以上を示した。
この結果から、紫外線遮蔽99%のETFEフィルムを用いた評価サンプルでは、粘着剤の劣化がほとんどなかったことが確認できた。
Figure 2008266962
本発明の除雪シートの一例を示す概略断面図。 面状発熱体の一例を示す概略断面図。 被覆層を構成する積層フィルムを示す概略断面図。
符号の説明
10…面状発熱体、11…発熱素子、12…絶縁体、13…電極、20…被覆層、21…フッ素樹脂フィルム、22…粘着剤層、30…断熱層

Claims (5)

  1. 屋根上に設置される除雪シートであって、
    面状発熱体と、該面状発熱体の積雪側の表面を被覆する被覆層とを備え、該被覆層の最も積雪側の表面がフッ素樹脂フィルムからなることを特徴とする除雪シート。
  2. 前記フッ素樹脂フィルムが、エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロピレン−フッ化ビニリデン系共重合体、フッ化ビニル系重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン系重合体およびテトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン系共重合体からなる群から選択される少なくとも1種のフッ素樹脂から構成される請求項1に記載の除雪シート。
  3. さらに、前記面状発熱体の屋根側に、断熱層を備える請求項1または2に記載の除雪シート。
  4. 前記フッ素樹脂フィルムの、波長200〜360nmの紫外線遮蔽率が99%以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載の除雪シート。
  5. 保持部材に保持されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の除雪シート。
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