JP2008266181A - 疎水性有機溶媒の回収方法およびポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents

疎水性有機溶媒の回収方法およびポリアリーレンスルフィドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】PASの製造において、重合溶媒の抽出回収物を分離精製するに当たり、p−ジクロロベンゼンの蒸留分離を効率化する。
【解決手段】水(A)と、水と共沸混合物を形成し比重が1.0未満の疎水性有機溶媒(B)と、水と共沸混合物を形成し比重が1.0以上の疎水性有機溶媒(C)と、前記(A)(B)(C)の何れとも溶解性を示してかつ、(B)、(C)何れよりも沸点が5℃以上高い極性溶媒(D)の混合液を分離精製するに当たり、2段以上の理論段数を有する蒸留塔を用いて蒸留し、(A)(B)(C)の混合物を留出させ、冷却凝縮により、水相(a)と比重が1.0未満の油相(b)に分離し、油相(b)を間欠的に蒸留塔塔頂部へ戻して留出液組成を変化させ、比重が1.0以上の油相(c)を生成させて、比重差により油相(c)を回収して、油相(c)から効率的に(C)を蒸留分離する。
【選択図】なし

Description

本発明は、水と、水と共沸混合物を形成し比重が1.0未満の疎水性有機溶媒(以下、「有機溶媒(B)」と略称する)と、水と共沸混合物を形成し比重が1.0以上の疎水性有機溶媒(以下、「有機溶媒(C)」と略称する)と、水、有機溶媒(B)、有機溶媒(C)のいずれとも溶解性を示してかつ有機溶媒(B)、有機溶媒(C)いずれよりも沸点が5℃以上高い極性溶媒(以下、「有機溶媒(D)」と略称する)の混合液から、有機溶媒(C)を分離回収する方法に関する。
有機化学反応後の溶媒精製等において、蒸留分離は一般的に利用される手法であるが、水−有機溶媒系は共沸混合物を形成する系が多く、蒸留分離した共沸混合物が水相と油相に分離することを利用して、効率的に分離精製する方法が数多く提案されてきた。
例えば、特許文献1〜3には、蒸留塔留出物の凝縮液を予め水が存在する分離槽に導入する、分離した油相を蒸留塔塔頂部に戻す等により、分離精製を効率化する方法が提案されている。
一方、特許文献4では、ポリアリーレンスルフィド(以下、PASと略記する)の製造において重合溶媒として使用されるN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記する)の回収方法として、n−ヘキサノールを使用して、NMPを抽出回収する方法が提案されている。
しかし、本方法では、抽出回収物として得られる、NMP、n−ヘキサノール、重合未反応原料として残存するp−ジクロロベンゼンおよび水の4成分混合液を分離精製する工程が必要となる。これらの4成分混合液から有用な成分を分離精製する方法としては、これまで次の方法が知られている。まず、4成分混合液を蒸留し、留出液として得られる共沸混合物を分離して、上層として水相n−ヘキサノールとp−ジクロロベンゼンの混合液である油相、下層としてn−ヘキサノールとp−ジクロロベンゼンの混合液である油相水相を得る。水相は排水処理し、油相はバッチ蒸留にてn−ヘキサノール等の低沸不純物を留出除去してp−ジクロロベンゼンを回収する。一方、4成分混合液の蒸留で得られる缶出液は更に蒸留し、留出液としてn−ヘキサノール、缶出液としてNMPを分離回収する。
しかし、本方法で得られる油相のp−ジクロロベンゼン濃度は、35重量%前後と低く、バッチ蒸留にてp−ジクロロベンゼンを50重量%以上回収するには、理論段数30段以上の蒸留塔を使用して、還流比を15以上とする必要があった。
このため、蒸留装置を建設するために設備コストがかかる上、蒸留塔を炊き上げるランニングコストも大となり、工業的に実施する場合、満足すべきものではなかった。
特開2002−265415号公報 特開平7−70079号公報 特開平7−70080号公報 特公平6−53728号公報
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
したがって、本発明の目的は、水、有機溶媒(B)、有機溶媒(C)、極性溶媒(D)の混合物から、有機溶媒(C)を分離回収することであり、PASの製造において、重合溶媒の抽出回収物を分離精製するに当たり、p−ジクロロベンゼンの蒸留分離を効率良く行うことがきる。また、本発明の方法を採用することで、蒸留装置の小型化とランニングコストの低減を可能化にすることができる。
上記目的を達成するために、本発明法は次の事項により特定されるものである。即ち、本発明は、
1.水(A)と、水と共沸混合物を形成し比重が1.0未満の疎水性有機溶媒(B)と、水と共沸混合物を形成し比重が1.0以上の疎水性有機溶媒(C)と、前記(A)(B)(C)のいずれとも溶解性を示してかつ(B)、(C)いずれよりも沸点が5℃以上高い極性溶媒(D)の混合液を分離精製するに当たり、2段以上の理論段数を有する蒸留塔を用いて蒸留し、(A)(B)(C)の混合物を留出させ、冷却凝縮により、(A)を主成分とする水相(a)と(B)(C)を主成分とする比重が1.0未満の油相(b)に分離し、油相(b)を間欠的に蒸留塔塔頂部へ戻して留出液組成を変化させ、高濃度の(C)を含んだ比重が1.0以上の油相(c)を生成させて、比重差により油相(c)を回収する方法。
2.生成した水相(a)、油相(b)、油相(c)の3相を分離するため、油相(b)を上層に、水相(a)、油相(c)の混合相を下層に分離するために1段目の分離槽を、更に水相(a)を上層に、油相(c)を下層に分離するために2段目の分離槽を使用することを特徴とする上記1に記載の方法。
3.油相(b)を間欠的に蒸留塔塔頂部へ戻す場合の蒸留塔塔頂部へ戻す油相(b)の量が、油相(b)を戻さない定常状態における留出量の80重量%以上であることを特徴とする上記1または2に記載の方法。
4.油相(b)に含まれる疎水性有機溶媒(C)の濃度が40重量%以下、油相(c)に含まれる疎水性有機溶媒(C)の濃度が5550重量%以上であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の方法。
5.疎水性有機溶媒(B)が、炭素数6以上の非ハロゲン系脂肪族有機化合物、疎水性有機溶媒(C)が、ポリハロゲン化芳香族化合物、極性溶媒(D)が、非プロトン性極性有機溶媒であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の方法。
6.上記1〜5のいずれかに記載の方法で回収した油相(c)から蒸留分離で疎水性有機溶媒(C)を回収する方法。
7.ポリアリーレンスルフィドの重合溶液からポリアリーレンスルフィドを回収した少なくとも水、p−ジクロロベンゼン、N−メチル−2−ピロリドン、NaClが含まれる回収溶媒を、n−ヘキサノールで抽出して、少なくとも水、n−ヘキサノール、p−ジクロロベンゼン、N−メチル−2−ピロリドンを含む混合液から上記6に記載の方法でp−ジクロロベンゼンを回収し、ポリアリーレンスルフィドの原料として使用するポリアリーレンスルフィドの製造方法。
本発明によれば、蒸留塔の留出液を凝縮分離して得られる油相を間欠的に蒸留塔塔頂部へ戻すという簡単な操作によって、有機溶媒(C)の濃度を高めた輸送油相を回収することが可能となり、後工程で油相から有機溶媒(C)を回収する際の蒸留分離が効率化され、より小さい理論段数の蒸留塔を用いて、より小さい還流比で運転することが可能となる。具体的には、p−ジクロロベンゼン濃度を高めた油相を回収することが可能となり、後工程で油相からp−ジクロロベンゼンを回収する際の蒸留分離が効率化され、理論段数30段以下の蒸留塔を用いて、還流比15以下で運転することが可能となる。この結果、蒸留装置の建設コスト、ランニングコストの低減が可能となる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明で用いられる有機溶媒(B)は、水と共沸混合物を形成し比重が1.0未満で疎水性の有機溶媒であり、炭素数6以上の非ハロゲン系脂肪族有機化合物であることが好ましく、例えば、n−ヘキサン、n−ヘキサノール、n−ヘキサナール、n−ヘキサノン、2−メチル−1−ペンタン、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタナール、2−メチル−1−ペンタノン、3−メチル−1−ヘキサン、3−メチル−1−ヘキサノール、3−メチル−1−ヘキサナール、3−メチル−1−ヘキサノン等が挙げられる。
本発明で用いられる有機溶媒(C)は、水と共沸混合物を形成し比重が1.0以上で疎水性の有機溶媒であり、ポリハロゲン化芳香族化合物であることが好ましく、例えば、p−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、トリクロルベンゼン、テトラクロルベンゼン、ジブロムベンゼン、ジヨードベンゼン、トリブロムベンゼン、トリヨードベンゼン、ジクロルナウタレン、ジブロムナフタレン、ジクロルジフェニルベンゼン、ジブロムジフェニルベンゼン、ジクロルベンゾフェノン、ジブロムベンゾフェノン、ジクロルジフェニルエーテル、ジブロムジフェニルエーテル、ジクロルジフェニルスルフィド、ジブロムジフェニルスルフィド、ジクロルビフェニル、ジブロムジフェニル等が挙げられる。
本発明で用いられる有機溶媒(D)は、有機溶媒(B)、有機溶媒(C)いずれよりも沸点が5℃以上高い極性溶媒であり、非プロトン性極性有機溶媒であることが好ましく、例えば、NMP、N−シクロヘキシルピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、ホルムアミド、2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等が挙げられる。
本発明に用いられる蒸留塔は、棚段塔、充填塔のいずれでもよく、理論段数として2段以上必要であるが、留出液への有機溶媒(D)の持ち込みを防止するために理論段数として10段以上であることが好ましい。また、蒸留は、常圧あるいは減圧のいずれの条件でも実施できる。
蒸留塔へ供給する(A)(B)(C)(D)の混合液は、どのような組成であっても構わないが、本発明の効果を充分に得るには、(C)の濃度が10重量%以下の混合液の場合に効果が顕著に現れる。また、蒸留塔への供給位置は問わないが、留出液への有機溶媒(D)の持ち込みを防止するために、濃縮部として理論段数を7段以上確保できる位置とすることが好ましい。
蒸留塔の運転条件としては、留出液への有機溶媒(D)の持ち込みを防止するために、水(A)を主成分とする水相(a)を還流することが好ましい。還流比は、塔頂温度が共沸混合物の沸点となるように設定することが好ましく、蒸留塔の理論段数にもよるが、還流比は0.1以上とすることが好ましい。
水(A)を主成分とする水相(a)、(B)、(C)を主成分とする比重が1.0未満の油相(b)、高濃度の(C)を含んだ比重が1.0以上の油相(c)の分離方法としては、比重差を利用した如何なる方法で実施してもよく、比重分離方法として塔型、槽型いずれの分離装置を利用することもできるが、工業上は安価なコストで建設できる分離槽を利用することが好ましい。本発明では、分離した上層を間欠供給とするためにある程度のバッファ容量が必要となるため、上層をオーバーフローさせてバッファさせるための堰を設けた分離槽を使用することが好ましい。水相(a)、油相(b)、油相(c)の3相の分離には、2基の分離槽を利用し、1段目の分離槽で上層に油相(b)を、下層に水相(a)と油相(c)の混合相を分離し、2段目の分離槽で上層に水相(a)を、下層に油相(c)を分離する。
水相(a)は、水(A)を主成分とし、水(A)が8095重量%以上含まれることが好ましい。有機溶媒(B)、有機溶媒(C)を主成分とし、比重1.0未満の油相(b)は、比重が1.0未満となる組成であればいずれでもよいが、有機溶媒(B)が20〜4040〜70重量%、有機溶媒(C)が20〜40重量であることが好ましい。油相(c)は比重1.0以上となる組成であれば、いずれでも良いが、有機溶媒(C)が50〜80重量%であることが好ましい。
本発明では、次の理由から油相(b)の有機溶媒(C)濃度が40重量%以下、油相(c)の有機溶媒(C)濃度が5550重量%以上であることが好ましい。
I)油相(b)の比重を水相(a)の比重よりも充分に小さくし、油相(c)の比重を水相(a)の比重よりも充分に大きくして、水相(a)、油相(b)、油相(c)の分離を効率化する。
II)後工程で、油相(c)から有機溶媒(C)を蒸留分離するに当たり、油相(c)の有機溶媒(C)濃度を高めて分離を効率化する。
油相(b)の有機溶媒(C)濃度は、有機溶媒(B)、有機溶媒(C)の組み合わせで決定されるが、油相(c)の有機溶媒(C)濃度は、油相(b)を蒸留塔塔頂部へ戻す条件でコントロールできる。つまり、蒸留塔塔頂部へ戻す油相(b)の供給量を増やすほど、油相(c)の有機溶媒(C)濃度を高めることができる。一般に、油相(c)の有機溶媒(C)濃度を前述の条件である55重量%以上に高めるには、油相(b)を戻さない定常状態における留出量の約80重量%以上の条件で戻すことが好ましく、本条件を満足するには、分離槽内に油相(b)を溜め込んで間欠的な供給とする必要が生じる。油相(cb)を連続的に戻した場合には、供給量が不足するため、油相(b)と油相(c)の中間に相当する比重1.0近辺の油相(d)が生成し、比重差を利用した水相(a)と油相(d)との分離が困難となり、むしろ逆効果となる。
回収した油相(c)から通常の蒸留で有機溶媒(C)を分離回収するが、蒸留塔は、棚段塔、充填塔のいずれでも良い。有機溶媒(B)、有機溶媒(C)の沸点が近い場合には、有機溶媒(C)を効率的に分離回収するために、蒸留塔の理論段数は15段以上であることが好ましく、還流比は7以上であることが好ましい。また、蒸留は、常圧あるいは減圧のいずれの条件でも実施できる。
回収した有機溶媒(C)は、様々な用途に利用できるが、PASの製造において、有機溶媒(C)がp−ジクロロベンゼンである場合には、PASの原料として再利用することが好ましい。
本発明の方法は、ポリアリーレンスルフィドの重合溶液からポリアリーレンスルフィドを回収した少なくとも水、p−ジクロロベンゼン、N−メチル−2−ピロリドン、NaClが含まれる回収溶媒を、n−ヘキサノールで抽出して、少なくとも水、n−ヘキサノール、p−ジクロロベンゼン、N−メチル−2−ピロリドンを含む混合液からp−ジクロロベンゼンを含む油相(c)を回収し、p−ジクロロベンゼンを分離回収し、ポリアリーレンスルフィドの原料として使用するポリアリーレンスルフィドの製造方法に有効に応用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
各有機溶媒の定量分析はガスクロマトグラフを使用し、以下の方法で測定した。
・ 試料約0.3gを5mlのサンプル瓶に秤量する。
・ 内部標準物質のジメチルアニリンを約20μl加え、秤量する。
・ アセトンを約4ml加え、調整試料を混合する。
・ マイクロシリンジにて調整試料1.0μlをガスクロマトグラフに注入し、下記条件にて測定、濃度既知のサンプル液にて予め作成した検量線から濃度を計算する。
使用カラム PEG6000 on shimaliteTPA
4φ*3φ*4m SUS
N2圧力 50kPa
H2圧力 50kPa
air圧力 50kPa
カラム温度 170℃(定温)
INJ温度 300℃
注入量 1.0μl
本発明を実施した実験装置の概略図を図1に示す。理論段数約10段の蒸留塔を使用し、PASの製造において重合溶媒の抽出回収物として得られるn−ヘキサノール66重量%、p−ジクロロベンゼン4重量%、NMP17重量%、水13重量%の混合液を使用して、蒸留塔下部から理論段数約3段の位置にフィードした。真空ポンプにて塔頂圧力が25kPaとなるように減圧し、適当な加熱源にて塔頂温度が約64℃となるように蒸留塔を炊き上げて、塔頂へ留出させた留出物を凝縮器で冷却し、凝縮液を分離槽Iに導入した。分離槽Iで分離した上層の油相(b)を系外に抜き出し、下層の水相(a)を還流比0.1となるように蒸留塔塔頂部へ戻して、残りは系外に抜き出した。本操作を連続で行い定常状態に安定化させた。
[実施例1
分離槽Iで分離した上層の油相(b)を分離槽内に溜め込んで、溜め込んだ油相(b)を上記定常状態における留出量の80重量%で蒸留塔塔頂部へ戻し、溜め込んだ油相(b)が減った時点で塔頂部への供給を停止し、再度溜め込んで蒸留塔塔頂部へ上記条件で戻すという間欠供給の操作を繰り返した。
その結果、間欠供給実施時にはp−ジクロロベンゼン濃度が高まった油相(c)が生成した。油相(c)は水相(a)よりも比重が大きくなるため、図2に示す分離槽IIを追加して、水相(a)と油相(c)を分離槽IIへ導入し、分離槽IIで水相(a)と油相(c)に分離することが可能であった。
分離槽IIで分離した上層の水相(a)を還流比0.1となるように蒸留塔塔頂部へ戻して、残りは系外に抜き出して、分離槽Iで分離した上層の油相(b)を蒸留塔塔頂部へ間欠供給する運転を継続した結果、分離槽IIの下層として油相(c)を連続的に回収することが可能であった。
分離槽IIで分離した上層の水相(a)に含有される有機溶媒は、n−ヘキサノール0.3重量%のみであり、工業化した場合に排水処理が可能な組成であった。
分離槽IIで分離した下層の油相(c)の組成は、n−ヘキサノール35重量%、p−ジクロロベンゼン59重量%、水6重量%であり、油相(c)から蒸留により、水、n−ヘキサノールの低沸物を留出させてp−ジクロロベンゼンを分離精製するため、理論段数約15段の蒸留塔にて、還流比7の条件でバッチ蒸留を実施した結果、約50重量%の回収率でp−ジクロロベンゼンを分離精製することが可能であった。
分離精製したp−ジクロロベンゼンの純度は99.6重量%であり、PASの製造において、原料として再利用することが可能な純度であった。
比較例1
分離槽Iで分離した上層の油相(b)の組成は、n−ヘキサノール60重量%、p−ジクロロベンゼン35重量%、水5重量%であり、実施例1と同条件にてバッチ蒸留を実施した結果、わずか約2重量%の回収率でしかp−ジクロロベンゼンを分離精製することができなかった。
比較例2
実施例1において、分離槽Iで分離した上層の油相(b)を連続で蒸留塔塔頂部へ戻し、定常状態に安定化させたところ、分離槽Iで生成する油相(b)の比重が1.0近辺となり、比重差を利用した油相(b)と水相(a)との分離効率を悪化させる結果となった。
分離槽IIで上層として排出される水相(a)に含有される有機溶媒が、n−ヘキサノール、p−ジクロロベンゼンともに約3重量%となり、工業化した場合には排水処理できないレベルに増加した。
本発明は、PASの製造における重合溶媒の抽出回収物の分離方法のみならず、有機化学反応後の溶媒精製等にも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。
比較例1実施例で使用した実験装置の概略図 実施例1実施例で使用した実験装置の概略図
符号の説明
1 蒸留塔
2 凝縮器
3 分離槽I
4 分離槽II

Claims (7)

  1. 水(A)と、水と共沸混合物を形成し比重が1.0未満の疎水性有機溶媒(B)と、水と共沸混合物を形成し比重が1.0以上の疎水性有機溶媒(C)と、前記(A)(B)(C)のいずれとも溶解性を示してかつ(B)、(C)いずれよりも沸点が5℃以上高い極性溶媒(D)の混合液を分離精製するに当たり、2段以上の理論段数を有する蒸留塔を用いて蒸留し、(A)(B)(C)の混合物を留出させ、冷却凝縮により、(A)を主成分とする水相(a)と(B)(C)を主成分とする比重が1.0未満の油相(b)に分離し、油相(b)を間欠的に蒸留塔塔頂部へ戻して留出液組成を変化させ、高濃度の(C)を含んだ比重が1.0以上の油相(c)を生成させて、比重差により油相(c)を回収する方法。
  2. 生成した水相(a)、油相(b)、油相(c)の3相を分離するため、油相(b)を上層に、水相(a)、油相(c)の混合相を下層に分離するために1段目の分離槽を、更に水相(a)を上層に、油相(c)を下層に分離するために2段目の分離槽を使用することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 油相(b)を間欠的に蒸留塔塔頂部へ戻す場合の蒸留塔塔頂部へ戻す油相(b)の量が、油相(b)を戻さない定常状態における留出量の80重量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 油相(b)に含まれる疎水性有機溶媒(C)の濃度が40重量%以下、油相(c)に含まれる疎水性有機溶媒(C)の濃度が5550重量%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 疎水性有機溶媒(B)が、炭素数6以上の非ハロゲン系脂肪族有機化合物、疎水性有機溶媒(C)が、ポリハロゲン化芳香族化合物、極性溶媒(D)が、非プロトン性極性有機溶媒であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法で回収した油相(c)から蒸留分離で疎水性有機溶媒(C)を回収する方法。
  7. ポリアリーレンスルフィドの重合溶液からポリアリーレンスルフィドを回収した少なくとも水、p−ジクロロベンゼン、N−メチル−2−ピロリドン、NaClが含まれる回収溶媒を、n−ヘキサノールで抽出して、少なくとも水、n−ヘキサノール、p−ジクロロベンゼン、N−メチル−2−ピロリドンを含む混合液から請求項6に記載の方法でp−ジクロロベンゼンを回収し、ポリアリーレンスルフィドの原料として使用するポリアリーレンスルフィドの製造方法。
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