JP2008265326A - 感熱転写受像シートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体上に少なくとも断熱層、受容層を有する感熱転写受像シートであって、該受容層は少なくとも1種類のポリマーラテックスを含み、該断熱層は少なくとも1種類の中空ポリマーを含み、少なくとも2層が同時重層塗布により形成される感熱転写受像シートの製造方法であるところの、該製造方法が塗布工程と乾燥工程を含み、該乾燥工程中少なくとも全水分量の60%が乾燥するまでの間、膜面温度を5℃以上20℃以下に保つ感熱転写受像シートの製造方法。
【選択図】なし
Description
そこで、断熱性及びクッション性を持たせるために、感熱転写受像シートの基材として、ミクロボイドを含有する二軸延伸ポリオレフィンフィルムを用いた複合支持体を用いることがある。しかし、この方法では、延伸時の残留応力がプリント時の熱や、受容層塗工時の熱で緩和して収縮し、感熱転写受像シートにシワやカールが発生する。
(1)支持体上に少なくとも断熱層、受容層を有する感熱転写受像シートであって、該受容層は少なくとも1種類のポリマーラテックスを含み、該断熱層は少なくとも1種類の中空ポリマーを含み、少なくとも2層が同時重層塗布により形成される感熱転写受像シートの製造方法であるところの、該製造方法が塗布工程と乾燥工程を含み、該乾燥工程中少なくとも全水分量の60%が乾燥するまでの間、膜面温度を5℃以上20℃以下に保つことを特徴とする感熱転写受像シートの製造方法。
(2)該乾燥工程中、全水分量の60%が乾燥するまでの時間が1分以内であることを特徴とする(1)に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
(3)該受容層及び/又は該断熱層に、水溶性ポリマーを含有することを特徴とする(1)又は(2)に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
(4)該水溶性ポリマーがポリビニルアルコールまたはゼラチンであることを特徴とする(3)に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
本発明の感熱転写受像シートは、支持体上に中空ポリマーを少なくとも1種含む断熱層を少なくとも1層有し、ポリマーラテックスを少なくとも1種含む受容層を少なくとも1層有し、少なくとも隣接する断熱層と受容層側の層が同時重層塗布により形成される。断熱層と隣接する受容層側の層は、受容層であっても他の機能を有する中間層であっても良い。また、断熱層および受容層は、各々複数の層で形成されていても良い。支持体と断熱層との間に、例えば白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層、下塗層などの中間層が形成されていてもよい。中間層を含む場合は、受容層、断熱層および中間層を同時重層塗布により形成することができる。また、転写材と重ね合わせられる面の最外層には、離型層が形成されてもよい。
さらに、支持体の裏面側にはカール調整層、筆記層、帯電調整層が形成されていることが好ましい。
以下、該工程について詳しく説明する。
塗布方式としては、多くの方式が知られている。ディップ塗布、エアナイフ塗布、ブレード塗布、順転ロール塗布、逆転ロール塗布、グラビア塗布、ロッド塗布、スピン塗布、スロット塗布、カーテン塗布、スライド塗布等である。これらの中で、カーテン塗布、スライド塗布は、ポンプなどによる送液流量で塗布膜厚が決まる方式であり、同時重層塗布が可能である。
感熱転写受像シートの製造においては、上記の方式の中から適宜選択して用いることができるが、均一な塗布膜厚が得られることと、同時重層塗布が可能であることから、カーテン塗布およびスライド塗布が本発明で好ましく用いられる。
スライド塗布方式のための装置としては、Russell等により米国特許第2,761,791号に提案された多層スライドビード装置がある。この装置は、スライド面を流下する複数の塗布液が、スライド面先端において連続走行されている支持体と出会う間隙部にビードを形成するようにし、このビードを介して塗布液を支持体面に塗布するものである。従って、この種の装置は、ビードを安定に形成できることが重要である。スライドコーターの形状の例は、Stephen F. Kistler、PetertM. Schweizer著“LIQUID FILM COATING”(CHAPMAN & HALL社刊、1997年)にも記載されている。
カーテン塗布は、自由落下する液膜の下を一定の速度で連続走行している支持体に塗布する方法である。エクストルージョン型、スライド型等、いくつかの方式がある。スライド型コーターでは、スライド面上に作成された多層液膜がスライド端より自由落下する。そのため、スライド面終端には、落下液膜がスムーズに形成されるよう形状の工夫がなされる。
一定流量で塗布液を連続的に供給するには、各種の方法が考えられるが、精度・信頼性の点から定量ポンプを用いるのが好ましい。例として、プランジャーポンプ,ダイヤフラム型ポンプを挙げることができる。ダイヤフラム型では、プランジャーと送液される液体が2枚のダイヤフラムで隔離されており、駆動オイルおよび2枚のダイヤフラム間の純水を経由してプランジャーの動作が送液される液体に伝えられる。送液ポンプの流量変動は塗布膜厚の変動に結びつくものであり、十分な精度が必要とされる。
異物の除去のため、塗布液の濾過を行うのが好ましい。濾材としては各種のものを用いることができるが、例としてカートリッジ濾材を挙げることができる。使用にあたっては、濾材の空孔中に保持されている空気が気泡の形で塗布液に混入するのを防ぐために、前もって処理しておくことが好ましい。いくつかの方法が公知であるが、一例として、界面活性剤を含む液体等で処理しておくこと(米国特許第5,096,602号明細書)を挙げることができる。
それぞれの液溜りに供給された塗布液は、各スリットからスライド面に押し出され、スライド面を流下しながら順次重畳して複層塗布膜を形成し、互いに混ざり合うことなくスライド面下端の先端部に達する。先端部に達した塗布液は、先端部と、バックアップローラに巻き掛けられて走行する支持体面との隙間に塗布液ビードを形成し、この塗布液ビードを介して支持体面に塗布される。ビードを安定化させるために下部を減圧される。そのため、バックアップローラの下方に減圧室が形成される。この減圧室は、ビードの下側を負圧にしてビードを安定化させると共に、ウエブに塗布されなかった余剰の塗布液を減圧室に流れ落ち易くする働きがある。
スライド型では、スライドビード塗布の場合と似た塗布ヘッドが用いられ、コータの液溜りにポンプによって送られた塗布液が狭いスリットから吐出され、スライド面を落下し、下端部の両端に設けられたエッジガイドの間にカーテン状の液膜を形成する。同時重層塗布の場合には、スライド面を流下する間に各塗布液は混ざることなく積層されて液膜を形成する。スライド面は傾斜しており、重力によって塗布液はスライド面上を流下する。
塗布の開始・停止の方法はいくつかあるが、例えば形成されたカーテン膜と支持体の間に遮蔽物を置く方法が知られている。遮蔽物を除去することによって塗布を開始し、元の位置に戻すことで塗布を停止する。
塗布された後、セットゾーン(冷却固化する場合のみ)、乾燥ゾーン、調湿ゾーン、巻取りを経て、塗布済み品はいったん貯蔵される。
ゼラチン、ペクチン、寒天、カラギーナン、ジェランガム等の各種公知のゲル化剤を添加された塗布液は、セットゾーンにおいて冷却によりゲル化・固化される。この段階で水分蒸発も起こる。
セットゾーンおよび乾燥ゾーンにおいては、各塗布膜の間および支持体と塗布膜の間で水分移動が起こり、また塗布膜の冷却と水分蒸発による固化が起こる。このため、製品の品質・性能には乾燥途中での膜面温度・乾燥時間等の履歴が大きく影響するため条件の設定が必要とされる。
本発明において、全水分量の60%が乾燥するまでの地点を規定するために、まず水分量について説明する。
乾燥ゾーン中の各地点から切り抜いた感熱転写受像シートから、1cm×1cmの正方形を縦横5箇所ずつ均等に打ち抜き、絶乾法にて含有水分量(揮発分率)を測定した平均値を乾燥ゾーンの各地点における水分量とする。ここで全水分量とは、塗布後、かつ乾燥前の水分量であり、具体的には乾燥ゾーンの入り口(セットゾーンが存在する場合にはセットゾーンの出口にも相当)での水分量である。全水分量に対して乾燥ゾーンの各地点における水分量の差分を求め、この値を全水分量で除した値を百分率表記することにより、乾燥ゾーンの各地点において全水分量の何%が乾燥しているかを表すこととする。次に乾燥ゾーンの入り口から全水分量の60%が乾燥した乾燥ゾーンの地点までの感熱転写受像シートの移動時間を求め、この時間を全水分量の60%が乾燥するまでの時間とする。
また、乾燥ゾーンの各地点における膜面温度の測定は、熱電対を用いて、接触法で測定しても良いし、非接触の表面温度計で、測定しても構わない。
膜面温度は、全水分量の60%が乾燥するまでは、5〜20℃であることが必要で、10〜20℃がより好ましい。全水分量の60%以上が乾燥する地点においては、5〜50℃が好ましく、5〜40℃がより好ましく、10〜35℃がさらに好ましい。全水分量の60%が乾燥するまでの間において膜面温度が20℃より高い場合、粘度が低い状態にあり、同時重層塗布を行う隣接した2層の塗布液の混合や水の移動があり、局所的な粘度変化などの発生が予想され、結果として凹凸が発生してしまい、その結果プリント時の濃度ムラにつながったり、膜面から急激に水分が蒸発するため、同時重層塗布を行った場合に層間の収縮率の違いから、塗布面のひび割れにつながる恐れがある。塗布面がひび割れると、プリント時の白抜けや保護層転写不良などが起こってしまう場合があるため、塗布面のひび割れを低減することが必要である。
乾燥時間は、全水分量の60%が乾燥するまでの間が、1分以下(好ましくは10秒以上1分以下)であることが好ましい。本発明での乾燥時間は、乾燥ゾーンにおける乾燥時間であり、厳密にはセットゾーンでも僅かに乾燥されるがこの時間を含まない。
一般に、硬膜反応は高温・多湿条件ほど進行しやすい。しかし、含水率が高すぎると、塗布品同士が接着したり、性能上の問題が生じる場合がある。この為、巻取りの含水率(調湿条件)と貯蔵条件を適宜設定することが必要とされる。
(受容層)
受容層は、感熱転写シートから移行してくる染料を受容し、形成された画像を維持する役割を果たす。本発明の感熱転写受像シートにおいて、受容層はポリマーラテックスを含有する。
また受容層には、紫外線吸収剤、離型剤、滑剤、酸化防止剤、防腐剤、界面活性剤、有機溶媒、その他の添加物を含有させることができる。
本発明に用いられるポリマーラテックスについて説明する。本発明の感熱転写受像シートにおいて、受容層に用いるポリマーラテックスは水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよい。
本発明において、受容層に用いるポリマーラテックスは感熱転写シートから移行してくる染料を受容する作用を有することが必要であり、この作用により受容層に染料を受容せしめる効果を有するものである。また、受容層の層構造を保持するためのバインダーとしての機能を併せ持つことも出来る。受容層に用いるポリマーラテックスが染料を受容する作用を有する点で、後述する滑剤、酸化防止剤などの疎水性添加剤を含む乳化物やマット剤微粒子分散物とは明らかに異なる。
なおポリマーラテックスについては、奥田平,稲垣寛編集,「合成樹脂エマルジョン」,高分子刊行会発行(1978年)、杉村孝明,片岡靖男,鈴木聡一,笠原啓司編集,「合成ラテックスの応用」,高分子刊行会発行(1993年)、室井宗一著,「合成ラテックスの化学」,高分子刊行会発行(1970年)、三代澤良明監修,「水性コーティング材料の開発と応用」,シーエムシー出版(2004年)および特開昭64−538号公報などに記載されている。分散粒子の平均粒径は1〜50000nmであることが好ましく、より好ましくは5〜1000nmの範囲である。
分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
(a) 共役ジエン類:1,3−ペンタジエン、イソプレン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン等。
(b) オレフィン類:エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、6−ヒドロキシ−1−ヘキセン、4−ペンテン酸、8−ノネン酸メチル、ビニルスルホン酸、トリメチルビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、1,4−ジビニルシクロヘキサン、1,2,5−トリビニルシクロヘキサン等。
(e) 不飽和ニトリル類:アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(f) スチレン及びその誘導体:スチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−スチレンスルホン酸ナトリウム塩、p−スチレンスルフィン酸カリウム塩、p−アミノメチルスチレン、1,4−ジビニルベンゼン等。
(g) ビニルエーテル類:メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル等。
(h) ビニルエステル類:酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニルクロロ酢酸ビニル等。
(i) α,β−不飽和カルボン酸及びその塩類:アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、イタコン酸カリウム等。
(j) その他の重合性単量体:N−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリン、ジビニルスルホン等。
このようなポリ塩化ビニル類としては、前述のものが挙げられるが、なかでもビニブラン240、ビニブラン270、ビニブラン276、ビニブラン277、ビニブラン375、ビニブラン380、ビニブラン386、ビニブラン410、ビニブラン430、ビニブラン432、ビニブラン550、ビニブラン601、ビニブラン602、ビニブラン609、ビニブラン619、ビニブラン680、ビニブラン680S、ビニブラン681N、ビニブラン683、ビニブラン685R、ビニブラン690、ビニブラン860、ビニブラン863、ビニブラン685、ビニブラン867、ビニブラン900、ビニブラン938、ビニブラン950(以上いずれも日信化学工業(株)、SE1320、S−830(以上いずれも住友ケムテック(株))が好ましい。
併用することのできるポリマーとしては、染料を受容するために使用されてもよいが、上記ポリマーラテックスを保持するためのバインダーとして使用することもできる。
このようなポリマーとしては透明又は半透明で、無色であることが好ましく、天然樹脂やポリマー及びコポリマー、合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン類、ポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリビニルピロリドン類、カゼイン、デンプン、ポリアクリル酸類、ポリメチルメタクリル酸類、ポリ塩化ビニル類、ポリメタクリル酸類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリビニルアセタール類(例えば、ポリビニルホルマール及びポリビニルブチラール)、ポリエステル類、ポリウレタン類、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニリデン類、ポリエポキシド類、ポリカーボネート類、ポリ酢酸ビニル類、ポリオレフィン類、ポリアミド類がある。バインダーは水又は有機溶媒またはエマルションから被覆形成してもよい。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は「Polymer Handbook(3rd Edition)」(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用できる。
なお、本発明における染料を受容するための前記ポリマーラテックスや後述の中空ポリマーのガラス転移温度は、実測値で規定するものであるが、上記の計算方法で推定することも可能である。
本発明においては、受容層は水溶性ポリマーを含有することも好ましい態様の一つである。
ここで、水溶性ポリマーとは、20℃における水100gに対し0.05g以上溶解するポリマーのことであり、好ましくは0.1g以上、さらに好ましくは0.5g以上、特に好ましくは1g以上溶解するものである。また、前述のポリマーラテックスは、ポリマー微粒子が分散媒体で分散されたものであり、本発明の水溶性ポリマーとは異なる。
本発明に用いることのできる水溶性ポリマーは、天然高分子(多糖類系、微生物系、動物系)、半合成高分子(セルロース系、デンプン系、アルギン酸系)および合成高分子系(ビニル系、その他)である。
本発明において、水溶性ポリマーを前記ポリマーラテックスと区別するために水溶性バインダーと標記することもある。
本発明においてはゼラチンが好ましい態様の一つである。本発明に用いるゼラチンは分子量10,000から1,000,000までのものを用いることができる。本発明に用いられるゼラチンはCl−、SO4 2−等の陰イオンを含んでいてもよいし、Fe2+、Ca2+、Mg2+、Sn2+、Zn2+などの陽イオンを含んでいても良い。ゼラチンは水に溶かして添加することが好ましい。
ルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー同士もしくは他のビニルモノマーの共重合体(例えばメタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、住友化学(株)製のスミカゲルL−5H(商品名))も使用することができる。
以下に、ポリビニルアルコールについてさらに詳しく説明する。
完全けん化物としては、PVA−105[ポリビニルアルコール(PVA)含有率94.0質量%以上、鹸化度98.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.5質量%以下、揮発分5.0質量%以下、粘度(4質量%、20℃)5.6±0.4CPS]、PVA−110[PVA含有率94.0質量%、鹸化度98.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.5質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)11.0±0.8CPS]、PVA−117[PVA含有率94.0質量%、鹸化度98.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)28.0±3.0CPS]、
ポリマーラテックスの合成方法としては、ラテックスとして得られる乳化重合法が最も好ましい。また、ポリマーを溶液中で調製し、中和するか乳化剤を添加後に水を加え、強制的に撹拌により水分散体を調製する方法も好ましい。
ポリマーラテックスの添加量は、ポリマーラテックスの固形分が受容層中の全ポリマーの50〜95質量%であることが好ましく、70〜90質量%であることがより好ましい。
なお、本発明の受像シートにおけるポリマーラテックスは、塗布後に溶媒の一部を乾燥させることにより形成されるゲルまたは乾燥皮膜の状態を含む。
本発明には、支持体上の受容層側に塗設される構成層の塗布液に沸点が140〜220℃の有機溶媒を使用してもよい。好ましくは、ポリマーラテックスを造膜する作用を持たせることが好ましい作用である。なお、該有機溶媒は、支持体上の受容層側に塗設される構成層の塗布液のいずれの層の塗布液に添加されていてもよいが、好ましくは少なくとも受容層に存在させることであり、この受容層を塗設するための塗布液に含まれることが最も好ましい。
感熱転写受像シート製造のための塗布液に添加できる有機溶媒としては、例えばアセト酢酸エチル、テトラメチルスルホン、γ−ブチルラクトン、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジアセトンアルコール、ジグライム、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコール−n−ブチルアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、乳酸エチル、乳酸メチル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル、2−ヘプタノン、ピルビン酸エチル、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、ブチルラクテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエチルアセテート、1−メトキシプロピルアセテート、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフリルアルコール、エトキシプロピルプロピオネートなどが挙げられる。
本発明の有機溶媒は、沸点が140〜220℃であり、沸点が140℃以下の有機溶媒を用いると、受容層の強度を均一化することができず、出力画像内に引っ掻き状の故障が発生するのを防止する効果が小さい。沸点が140℃以上の有機溶媒では、前記の故障防止効果がさらに大きくなる。沸点が220℃の有機溶媒を用いると、受容層の強度を均一化して故障を防ぐことはできるものの、印画画像の滲みが発生し、画質が低下する。
有機溶媒の沸点は、好ましくは150℃〜220℃、より好ましくは170〜220℃、さらに好ましくは180〜220℃である。特に、本発明においては、単に造膜助剤とし使用される有機溶媒と比較した場合、多くのこれらの有機溶媒が、造膜作用が不十分であるかもしくは感熱転写受像シートを製造後の膜中に残存することによる弊害(色にじみの悪化等)を起こすような欠点が解消されると同時に、本発明の効果に効果的に作用する。
有機溶媒は、水溶性有機溶媒が好ましく、100mlの水に50g以上溶解する、すなわち層分離することなく混和する、ものが好ましく、100mlの水に100g以上溶解するものが更に好ましい。一方、有機溶剤の組成としては、炭素原子数が4以上(好ましくは12以下)が好ましく、5以上(好ましくは10以下)がさらに好ましい。さらに、有機溶媒の構成原子が、炭素原子、水素原子からなりかつ酸素原子もしくは/および硫黄原子から構成されるものが好ましく、さらに好ましくは、炭素原子、水素原子および酸素原子から構成されるものである。また、有機溶媒は、酸性やアルカリ性を示すものでなく中性のものが好ましい。有機溶媒を構成する官能基で見た場合、少なくとも水酸基または/およびアルキレンオキシ基(好ましくは−CH2O−、−CH2CH2O−)を有するものである。
また、塗布液中でのポリマーラテックスの分散安定性の向上させるため、塗布送液途中で塗布直前に塗布液に有機溶媒を混合させる方法も好適に使用できる。
有機溶媒の添加量は、受容層のラテックスポリマーの固形分に対して質量比で1%以上100%以下で使用するのが好ましく、より好ましくは3%以上80%以下、更に好ましくは10%以上60%以下である。なお、他の層に添加する場合も、受容層中の上記ポリマーラテックスの固形分との質量比で添加するのが好ましい。
上記有機溶媒は、塗布、乾燥工程さらには保存時に揮散するものが好ましく、感熱転写受像シート製造直後、もしくは製造後から画像形成するまでのいずれかの間に、感熱転写受像シートの支持体上の受容層側の全構成層中の全塗布固形分(質量)に対して、3%以下(好ましくは1%以下)である。3%以上残留すると印画画像の滲みが発生し、画質が低下し問題となる。なお、このような残存量にするには、乾燥工程での条件や、通常に行われる乾燥工程に加えて、この目的のための加熱処理を行ってもよいが、通常に実施される乾燥工程で達成することが好ましい。
また、上記の有機溶媒の含有量、残留量は、0.001%〜3%である態様と0〜0.001%未満(実質的に含有しない態様)である態様が好ましい。
また、本発明では耐光性を向上するために受容層に紫外線吸収剤を添加してもよい。このとき、紫外線吸収剤を高分子量化することで受容層に固定でき、インクシートへの拡散や加熱による昇華・蒸散などを防ぐことができる。
紫外線吸収剤としては、情報記録分野において広く知られている各種紫外線吸収剤骨格を有する化合物を使用することができる。具体的には、2−ヒドロキシベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤、2−ヒドロキシベンゾトリアジン型紫外線吸収剤、2−ヒドロキシベンゾフェノン型紫外線吸収剤骨格を有する化合物を挙げることができる。紫外線吸収能(吸光係数)・安定性の観点では、ベンゾトリアゾール型、トリアジン骨格を有する化合物が好ましく、高分子量化・ラテックス化の観点ではベンゾトリアゾール型、ベンゾフェノン型の骨格を有する化合物が好ましい。具体的には、特開2004−361936号公報などに記載された紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤をグラフトしたポリマーをラテックス化する場合、前記の染着性受容ポリマーのラテックスと混合してから塗布することで紫外線吸収剤が均一に分散した受容層を形成することができる。
また、受容層には、画像形成時に感熱転写シートとの熱融着を防ぐために、離型剤を配合することもできる。離型剤は、シリコーンオイル、リン酸エステル系可塑剤フッ素系化合物を用いることができるが、特にシリコーンオイルが好ましく用いられる。シリコーンオイルとしては、エポキシ変性、アルキル変性、アミノ変性、カルボキシル変性、アルコール変性、フッ素変性、アルキルアラルキルポリエーテル変性、エポキシ・ポリエーテル変性、ポリエーテル変性等の変性シリコーンオイルが好ましく用いられるが、中でもビニル変成シリコーンオイルとハイドロジェン変成シリコーンオイルとの反応物が良い。離型剤の添加量は、受容ポリマーに対して0.2〜30質量部が好ましい。
下記の乳化物の項で説明する滑剤は、ここで説明する離型剤とほぼ同等の効果が認められ、ほぼ同義である。本発明では、便宜上分散物として用いられるものは、滑剤乳化物として、それ以外のものをここで説明する離型剤とした。
滑剤、酸化防止剤などの疎水性添加剤は米国特許第2,322,027号明細書に記載の方法などの公知の方法により受像シートの層(例えば、受容層、断熱層、中間層、下塗層など)中に導入することができる。この場合には、米国特許第4,555,470号、同第4,536,466号、同第4,536,467号、同第4,587,206号、同第4,555,476号、同第4,599,296号、特公平3−62256号の公報または明細書などに記載のような高沸点有機溶媒を、必要に応じて沸点50℃〜160℃の低沸点有機溶媒と併用して用いることができる。またこれら滑剤や酸化防止剤、高沸点有機溶媒などは2種以上併用することができる。
滑剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス類;シリコーンオイル、リン酸エステル系化合物、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤およびその他当該技術分野で公知の離型剤を使用することができる。各種ワックス類、フッ素系界面活性剤等に代表されるフッ素系化合物、シリコーン系界面活性剤、シリコーンオイル及び/又はその硬化物等のシリコーン系化合物が好ましく用いられる。
また、本発明の感熱転写受像シートは、前記の任意の層に界面活性剤を含有させることが出来る。その中でも、受容層及び中間層中に含有させることが好ましい。
界面活性剤の添加量は、全固形分量に対して0.01〜5質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましく、0.02〜0.2質量%であることが特に好ましい。界面活性剤としては、アニオン系、ノニオン系、カチオン系など種々の界面活性剤が知られている。本発明で用いることのできる界面活性剤としては、公知のものが使用でき、例えば、「機能性界面活性剤監修/角田光雄、発行/2000年8月、第6章」で紹介されているもの等を用いることができるが、その中でもアニオン系のフッ素含有界面活性剤が好ましい。界面活性剤を含有しない場合でも塗布は可能であるが、塗布液の表面張力が高いために塗布面状が不均一となり、ムラとなる場合がある。界面活性剤を塗布液に含有させることで表面張力を下げ、塗布時のムラを無くし、塗布面状を均一とし、安定的に塗布することができる。
本発明において、離型性付与のためにマット剤を添加するのが好ましい。マット剤は感熱転写受像シートの最外表面層若しくは最外表面層として機能する層、または外表面に近い層に含有されるのが好ましい。最外表面層は必要に応じて2層にすることもできる。最も好ましいのは、最外層である受容層に添加する場合である。マット剤は、画像形成層面の最外層及びバック面の最外層いずれにも添加することが可能であり、両層に添加することもできる。特に、支持体に対し、すべり剤を含有する面側にマット剤を含有させることが好ましい。
塗布液、感熱転写受像シートおよび印画画像等を保存しておくと、保存中にこれらの材料に微生物(特に細菌、カビ、酵母等)が付着し、それらの性能を低下させることが多い。これを防止する為に、その他の性能に影響を与えない範囲で防腐剤を含有させることができる。
本発明でいう防腐剤とは感熱転写受像シートに用いられる化合物が該微生物の生育により分解反応を受けることを抑制する為に用いられる化合物であって、一般式による定義と具体的化合物は、防腐防黴ハンドブック、技報堂出版(1986)、堀口博著、防菌防黴の化学、三共出版(1986)、防菌防黴剤事典、日本防菌防黴学会発行(1986)等に記載されている。
本発明の感熱転写受像シートに含有される防腐剤としては、特に限定されないが、フェノール又はその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンゾトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピロジン,キノリン,グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、2−メルカプトピリジン−N−オキサイドまたはその塩、ホルムアルデヒドドナー系抗菌剤等が挙げられる。これらの中でも、フェノール又はその誘導体、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン等が好ましい。
R5、R6は同じでも異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、−COR9、又は−SO2R10を表わす。R9、R10は低級アルキル基、又は−N(R11)R12を表し、R7、R8、R11、R12は同じであっても異なっていてもよく水素原子又は低級アルキル基を表す。
Mは、水素原子、アルカリ金属原子又は1価のカチオンを形成するに必要な原子群を表わし、lは2〜6の整数を表し、mは1〜4までの整数を表し、nは6−mの整数を表す。ただし、R1、R2、Xが複数存在する時はそれぞれが互いに異なっていてもよい。
R16、R17は各々水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基を表す。これらの中でも、R14、R15が水素原子であり、R13がメチル基であるもの(以下、化合物II−aと称する)が好ましい。また、R14とR15が互いに結合して芳香環を形成しR13が水素原子であるものと化合物II−aとの組み合わせ、および、R14が塩素原子、R15が水素原子、R13がメチル基であるものと化合物II−aとの組み合わせはさらに好ましい。
R22、R23は各々水素原子、低級アルキル基、アリール基、アラルキル基、−COR26、−SO2R26を表し、互に同じであっても異なっていてもよく、R24、R25は各々水素原子、低級アルキル基、アリール基、アラルキル基を表わし、互に同じであっても異なっていてもよく、R26は低級アルキル基、アリール基、アラルキル基を表わし、Mは水素原子、アルカリ金属原子及び1価のカチオンを形成するに必要な原子群を表し、pは0または1を表わし、qは0または1から5までの整数を表わす。
架橋剤として本発明に用いられる硬膜剤は、感熱転写受像シートの塗設層(例えば、受容層、断熱層、下塗層など)中に添加することができる。
本発明で用いることができる硬膜剤としては、特開平1−214845号公報17頁のH−1,4,6,8,14,米国特許第4,618,573号明細書のカラム13〜23の式(VII)〜(XII)で表わされる化合物(H−1〜54)、特開平2−214852号公報8頁右下の式(6)で表わされる化合物(H−1〜76),特にH−14、米国特許第3,325,287号明細書のクレーム1に記載の化合物などが好ましく用いられる。硬膜剤の例としては米国特許第4,678,739号明細書の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、特開平4−218044号の公報または明細書等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒドなど)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N’−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタンなど)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素など)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号公報などに記載の化合物)が挙げられる。好ましくはビニルスルホン系硬膜剤やクロロトリアジン類が挙げられる。
本発明においてさらに好ましい硬膜剤は下記一般式(A)または(B)で表される化合物である。
一般式(A)
(CH2=CH−SO2)n−L
一般式(B)
(X−CH2−CH2−SO2)n−L
一般式(A)、(B)中、Xはハロゲン原子を表し、Lはn価の有機連結基を表す。一般式(A)または(B)で表される化合物が低分子化合物である場合nは1ないし4の整数を表す。高分子化合物である場合Lはポリマー鎖を含む有機連結基であり、このときnは10〜1000の範囲である。
塩素原子は、2位、4位または6位に、2個または3個置換したものもがより好ましい。2位、4位または6位に、少なくとも1個の塩素原子が置換して、残りの位置に、塩素原子以外の基が置換してもよく、これらの基としては、水素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシルアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルケノキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルキルもしくはアリールスルホニルオキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルオキシもしくはアリールオキシカルボニル基などが挙げられる。
クロロトリアジン系硬膜剤の具体的な例は、4,6−ジクロロ−2−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンもしくはこのNa塩、2−クロロ−4,6−ジフェノキシトリアジン、2−クロロ−4,6−ビス〔2,4,6−トリメチルフェノキシ〕トリアジン、2−クロロ−4,6−ジグリシドキシ−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(n−ブトキシ)−6−グリシドキシ−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)−6−グリシドキシ−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2−クロロエトキシ)−6−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2−ブロモエトキシ)−6−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2−ジ−n−ブチルホスファトエトキシ)−6−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2−ジ−n−ブチルホスファトエトキシ)−6−(2,6−キシレノキシ)−1,3,5−トリアジン等であるが、本発明においてこれらに限定されない。
このような化合物は、塩化シアヌル(すなわち2,4,6−トリクロロトリアジン)を、複素環上の置換基に対応するヒドロキシ化合物、チオ化合物またはアミノ化合物等と反応させることによって容易に製造できる。
本発明で用いる消泡剤とは、起泡の原因物質に代わって、それ自体が液体表面に存在し、それ自体には泡膜の薄化に抵抗する反発力を付与する作用を有していない化合物を意味する。具体的には、例えば、アルコール類、エーテル類、ポリオール類、脂肪酸エステル類、金属石鹸類、燐酸エステル類、シリコーン類、及びノニオン性界面活性剤類等を挙げることができる。これらの構造を有する市販の消泡剤及び化合物等の内、消泡効果を有するものであれば単独又は併用して、あるいは混合物として使用することができる。
炭素原子数1〜10の脂肪酸アルコール、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、オクチノール、又は2−エチルヘキサノール等を挙げることができる。
しかし炭素数1〜3の脂肪酸アルコールは明確に効果を発現させるには1%以上添加することが必要でありラテックス又は中空ポリマー等を膨潤させ凝集を促進する場合あがあるため、炭素数4以上の脂肪酸アルコールが好ましい。
(B)脂肪酸エステル類
ステアリン酸イソアミル、コハク酸ジエステル、ソルビタンラウリン酸モノエステル、ソルビタンオレイン酸モノエステル、ソルビタンオレイン酸トリエステル、オキシエチレンソルビタンラウリル酸モノエステル、ジエチレングリコールジステアレート、又は低分子量ポリエチレングリコールオレイン酸エステル等を挙げることができる。
(C)エーテル類
エチレングリコールのモノフェニルエーテル(例えば、ジ−t−ジアミノフェノキシエタノール)、エチレングリコールのジアルキルエーテル(例えば、3−ヘプチルセロソルブ、又はノニルセロソルブ)、ジエチレングリコールのジアルキルエーテル(例えば、3−ヘプチルカルビトール)等を挙げることができ、市販品としては、例えばバイオニンK−17(竹本油脂株式会社製)、又はノプコDF122−NS(サンノプコ株式会社製)を用いることができる。
(D)ポリオール類
その構造中にアルキレンオキサイド基(特に、エチレンオキサイド基)を多く有する化合物(例えば、ポリエーテル類)を挙げることができ、これらの化合物は水への分散安定性に優れているので、液中の抑泡効果に優れている。ポリエーテル系の消泡剤の市販品としては、例えば、アデカプルロニックシリーズやアデカノールシリーズLG−109、LG−121、LG−294、LG−297など〔旭電化工業(株)〕、又はSNデフォーマー157、247、375、470〔サンノプコ(株)〕を用いることができる。
(E)金属石鹸類
種々の有機酸金属塩を用いることができ、例えば、ナフテン酸系金属石鹸、合成酸系金属石鹸、又はステアリン酸系金属石鹸等を挙げることができる。具体的には、ステアリン酸アルミニウム等を挙げることができ、ナフテネート、ディックネート、又はステアレート(いずれも大日本インキ化学工業株式会社製)等を挙げることができる。
オイル型、コンパウンド型、自己乳化型、又はエマルジョン型シリコーン消泡剤等を挙げることができ、特にオイル型としては、一般的なジメチルポリシロキサン構造のシリコーンオイルの他にメチル基の一部を変性させた変性シリコーンオイルを挙げることができ、例えば、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、異種官能基変性、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、親水性特殊変性、高級アルコキシ変性、高級脂肪酸含有、又はフッ素変性等の変性シリコーンオイルを挙げることができる。市販品としては、オイル型としてSH200(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、KF96、KS604、KI−6702(信越シリコーン株式会社製)、コンパウンド型としてSNデフォーマー5016(サンノプコ株式会社製)、SH5500,SC5540(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、自己乳化型としてBY28−503(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、KS508、KS530、KS−538(信越シリコーン株式会社製)、エマルジョン型としてSM5511、SM5512、SM5515(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、KM72、KM73、KM98(信越シリコーン株式会社製)等を挙げることができ、また変性シリコーンオイル型としては、アミノ変性としてSF5417、エポキシ変性としてSF8411、SF8413、カルボキシル変性としてBY16−880、フッ素変性としてFS1265(いずれも東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、ポリエーテル変性としてKF−6017(信越シリコーン株式会社製)、アルキル変性シリコーンとポリエーテル変性を含有したFORM BAN MS−575(Ultra Additives Inc.製)、カルビノール変性としてKF−6001、KF−6003(信越シリコーン株式会社製)等を挙げることができる。
(G)ノニオン性界面活性剤類
以下の例を挙げることができる。
(1)アルキルアリールエーテルエチレンオキシド付加体、
(2)式:HO−(C2H4O)n−(C3H6O)m−(C2H4O)n−OH
で表され、分子量が500〜10000で、C2H4O含有量が0〜55%の化合物、
(3)式:R1(R2)CHCOO(C2H4O)n
(式中、R1及びR2は、炭素原子数1〜15のアルキル基であり、nは1〜8である)で表されるアルキルエステル型化合物。R1及びR2はそれぞれ炭素原子数5以上が好ましく、10以上がさらに好ましい。
(4)アセチレンジオール類及びそのエチレンオキシド0〜8モル付加体。
特に断りのない限り、固形分換算の数値である。)が好ましい。受容層の膜厚は1〜20μmであることが好ましい。
断熱層(多孔質層)は、サーマルヘッドを用いた加熱転写時における熱から支持体を保護する役割を果たす。また、高いクッション性を有するので、支持体として紙を用いた場合であっても、印字感度の高い感熱転写受像シートを得ることができる。
本発明における中空ポリマーとは粒子内部に独立した気孔を有するポリマー粒子であり、好ましくはポリマーラテックスであり、例えば、1)ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等により形成された隔壁内部に水が入っており、塗布乾燥後、粒子内の水が粒子外に蒸発して粒子内部が中空となる非発泡型の中空ポリマー粒子、2)ブタン、ペンタンなどの低沸点液体を、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステルのいずれか又はそれらの混合物もしくは重合物よりなる樹脂で覆っており、塗工後、加熱により粒子内部の低沸点液体が膨張することにより内部が中空となる発泡型マイクロバルーン、3)上記の2)をあらかじめ加熱発泡させて中空ポリマーとしたマイクロバルーンなどが挙げられる。
また、中空ポリマーは、中空率が20〜70%程度のものが好ましく、20〜50%のものが特に好ましい。中空率が小さすぎると望まれる断熱性が得られなくなり、大きすぎると割れやすい中空ポリマー粒子および不完全な中空粒子の比率が増えて、印画欠陥が生じ、また、十分な膜強度が得られない。
中空ポリマーは必要に応じて2種以上混合して使用することができる。前記1)の具体例としてはローアンドハース社製ローペイク1055、大日本インキ社製ボンコートPP−1000、JSR社製SX866(B)、日本ゼオン社製ニッポールMH5055(いずれも商品名)などが挙げられる。前記2)の具体例としては松本油脂製薬社製のF−30、F−50(いずれも商品名)などが挙げられる。前記3)の具体例としては松本油脂製薬社製のF−30E、日本フェライト社製エクスパンセル461DE、551DE、551DE20(いずれも商品名)が挙げられる。断熱層に用いられる中空ポリマーはラテックス化されていてもよい。
中空ポリマー粒子の粒子サイズは0.1〜20μmが好ましく、0.1〜2μmがより好ましく、0.1〜1μmが特に好ましい。また、中空ポリマーは中空ポリマーラテックスである場合が特に好ましい。
中空ポリマーを含む断熱層の厚みは5〜50μmであることが好ましく、5〜40μmであることがより好ましい。
本発明においては、水溶性ポリマーを断熱層に含有することも好ましい態様の一つである。水溶性ポリマーとしては前述の説明のものを使用することができる。
受容層と支持体との間には中間層が形成されていてもよく、例えば白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層、下塗層が形成される。これらの層については、例えば特許第3585599号公報、特許第2925244号公報などに記載されたものと同様の構成とすることができる。
本発明では、支持体として耐水性支持体を用いることが好ましい。耐水性支持体を用いることで支持体中に水分が吸収されるのを防止して、受容層の経時による性能変化を防止することができる。耐水性支持体としては例えばコート紙やラミネート紙を用いることができる。なかでもラミネート紙が表面平滑性の点で好ましい。銀塩写真分野で印画紙に用いられているポリエチレンラミネート紙(WP紙と略称されることがある)類似のもの、すなわち、セルロースを主成分とする支持体であって、少なくとも受容層が塗布される面がポリオレフィン樹脂で被覆された支持体を好適に用いることができる。
前記コート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴムラテックス又は高分子材料を片面又は両面に塗工した紙であり、用途に応じて、塗工量が異なる。このようなコート紙としては、例えば、アート紙、キャストコート紙、ヤンキー紙等が挙げられる。
(ロ)エステル結合を有する熱可塑性樹脂である。例えば、ジカルボン酸成分(これらのジカルボン酸成分にはスルホン酸基、カルボキシル基等が置換していてもよい)と、アルコール成分(これらのアルコール成分には水酸基などが置換されていてもよい)との縮合により得られるポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート等のポリアクリル酸エステル樹脂又はポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレンアクリレート樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂等が挙げられる。
具体的には、特開昭59−101395号公報、同63−7971号公報、同63−7972号公報、同63−7973号公報、同60−294862号公報などに記載のものを挙げることができる。
また、市販品としては、東洋紡(株)製のバイロン290、バイロン200、バイロン280、バイロン300、バイロン103、バイロンGK−140、バイロンGK−130;花王(株)製のタフトンNE−382、タフトンU−5、ATR−2009、ATR−2010;ユニチカ(株)製のエリーテルUE3500、UE3210、XA−8153、KZA−7049、KZA−1449;日本合成化学(株)製のポリエスターTP−220、R−188;星光化学工業(株)製のハイロスシリーズの各種熱可塑性樹脂(いずれも商品名)等が挙げられる。
(ニ)ポリアミド樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
(ホ)ポリスルホン樹脂等が挙げられる。
(ヘ)ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。
(ト)ポリビニルブチラール等の、ポリオール樹脂、エチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース樹脂等が挙げられる。
(チ)ポリカプロラクトン樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
なお、前記熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ラミネート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴム又は高分子シート又はフィルム等をラミネートした紙である。前記ラミネート材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
尚、これらのシート又はフィルムには、白色反射性を与える処理を行ってもよい。このような処理方法としては、例えば、これらのシート又はフィルム中に酸化チタンなどの顔料を配合する方法が挙げられる。これは銀塩写真分野において、印画紙用の支持体として一般的に用いられている(WP紙と略称されることがある)。
支持体がそのまま露出していると環境中の湿度・温度により感熱転写受像シートがカールしてしまうことがあるため、支持体の裏面側にカール調整層を形成することが好ましい。カール調整層は、受像シートのカールを防止するだけでなく防水の役割も果たす。カール調整層には、ポリエチレンラミネートやポリプロピレンラミネート等が用いられる。具体的には、例えば特開昭61−110135号公報、特開平6−202295号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
筆記層・帯電調整層には、無機酸化物コロイドやイオン性ポリマー等を用いることができる。帯電防止剤として、例えば第四級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル等のノニオン系帯電防止剤など任意のものを用いることができる。具体的には、例えば特許第3585585号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
また、本発明の感熱転写受像シートは、支持体を適宜選択することにより、熱転写記録可能な枚葉またはロール状の感熱転写受像シート、カード類、透過型原稿作成用シート等の各種用途に適用することもできる。
(インクシートの作製)
厚さ6.0μmのポリエステルフィルム(ルミラー、商品名、(株)東レ製)を基材フィルムとして用いた。そのフィルム背面側に耐熱スリップ層(厚み1μm)を形成し、かつ表面側に下記組成のイエロー、マゼンタ、シアン組成物、保護層組成物を、それぞれ単色に塗布(乾膜時の塗布量1g/m2)した。
イエロー組成物
染料(マクロレックスイエロー6G、商品名、バイエル社製) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
マゼンタ組成物
マゼンタ染料(ディスパーズレッド60) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
シアン組成物
シアン染料(ソルベントブルー63) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
保護層組成物
ポリビニルアセタール樹脂 5.5質量部
(KS−10、商品名、積水化学工業(株)製)
コロイダルシリカ(IPA‐ST、商品名、日産化学(株)製) 4質量部
ジエチルケトン/イソプロピルアルコール(質量比8/2) 90質量部
(感熱転写受像シート用支持体の作製)
アカシアからなるLBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)50質量部及びアスペンからなるLBKP 50質量部をそれぞれディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlに叩解しパルプスラリーを調製した。
次いで、上記で得られたパルプスラリーに、対パルプ当り、カチオン変性でんぷん(日本NSC(株)製、商品名、CAT0304L)1.3%、アニオン性ポリアクリルアミド(星光PMC(株)製、商品名、DA4104)0.15%、アルキルケテンダイマー(荒川化学(株)製、商品名、サイズパインK)0.29%、エポキシ化ベヘン酸アミド0.29%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(荒川化学(株)製、商品名、アラフィックス100)0.32%を加えた後、消泡剤0.12%を加えた。
業(株)製)250ppmと、二次酸化防止剤(トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、商品名:イルガフォス168、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、200ppmを含有)と、MFR 4.0g/10分、密度0.93g/cm3の低密度ポリエチレンと、を75/25(質量比)の割合で配合した樹脂組成物を、厚さ21g/m2となるようにコーティングし、マット面からなる熱可塑性樹脂層を形成した(以下、この熱可塑性樹脂層面を「裏面」と称する。)。この裏面側の熱可塑性樹脂層に更にコロナ放電処理を施し、その後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製、商品名、アルミナゾル100)と二酸化ケイ素(日産化学工業(株)製、商品名、スノーテックスO)とを1:2の質量比で水に分散した分散液を、乾燥質量が0.2g/m2となるように塗布した。続いて表面にコロナ処理し10質量%の酸化チタンを有するMFR 4.0g/10分、密度0.93g/m2の低密度ポリエチレンを27g/m2になるように溶融押出機を用いてコーティングし、鏡面からなる熱可塑性樹脂層を形成した。
乳化物Aを以下の手順で調製した。化合物EB−9を高沸点溶媒(Solv−5)高沸42g及び酢酸エチル20mlに溶解し、この液を1gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む20質量%ゼラチン水溶液250g中に高速攪拌乳化機 (ディゾルバー) で乳化分散し、水を加えて380gの乳化物Aの調製を行った。
ここで、化合物EB−9の添加量は乳化物A中に30mmolとなるよう調整した。ただし、実際の実験においては、必要量に応じて作製スケールを変更した。この際、各添加物および各溶媒の比率は上記と同じになるようにした。
(参考までに構造式を以下に示す)
乳化物Bを以下の手順で調製した。高沸点溶媒(Solv−5)11.0g、KF−96(信越化学(株)製 ジメチルシリコーン)9g、(EB−9)15.5g、(KAYARAD DPCA−30(日本化薬(株)製))7.5g、及び酢酸エチル20mlに溶解し、この液を1gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む20質量%ゼラチン水溶液250g中に高速攪拌乳化機(ディゾルバー)で乳化分散し、水を加えて380gの乳化物Bの調整を行った。ただし、実際の実験においては、必要量に応じて作製スケールを変更した。この際、各添加物および各溶媒の比率は上記と同じになるようにした。
上記のように作成した支持体上に下層から順に下塗層1、下塗層2、断熱層、受容層の構成の感熱転写受像シート101〜107を作製した。塗工液の組成と塗布量を以下に示す。
塗布は、前述したスライドコーティングで行い、下塗層1を塗布、乾燥した後に下塗層2、断熱層、受容層を同時重層塗布にて作製した。塗布後6℃のセットゾーンを30秒通過させて液の流動性をなくした後、下記の表1のように乾燥ゾーンをA〜Cに分け、各乾燥ゾーンで表1に示した乾球温度(D.B.)および相対湿度(RH)に設定した乾燥風を塗布面に吹き付け、乾燥ゾーンAでは全水分量の0〜30%を乾燥し、乾燥ゾーンBでは全水分量の30〜60%を乾燥し、乾燥ゾーンCでは、理論上全水分量の60〜100%を乾燥させる条件で行った(実際は乾燥後も感熱転写受像シート中に水分が数%残留するため、100%の乾燥はあり得ない)。下記表1におけるkd値は、実際に1分あたりに蒸発する水分量(g/m2)/[乾球温度(D.B.)−湿球温度(W.B.)]であり、この値が大きいほど早く乾燥することを意味する。
(組成)
ゼラチン3%水溶液にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1%加えた水溶液。
NaOHでpHを8に調節
(塗布量) 11ml/m2
(組成)
スチレンブタジエンラテックス 60質量部
(SR103、商品名、日本エイアンドエル(株)社製)
ポリビニルアルコール(PVA) 6%水溶液 40質量部
界面活性剤1%水溶液(BFS−1) 2質量部
NaOHでpHを8に調節
(塗布量) 11ml/m2
(組成)
先に調整した乳化物A 21質量部
中空ポリマー 48質量部
(MH5055、商品名、日本ゼオン(株)製)
10%ゼラチン水溶液 28質量部
水 3質量部
防腐剤(式PR−1で示す化合物) 0.2質量部
NaOHでpHを8に調節
(塗布量) 50ml/m2
(組成)
先に調整した乳化物B 4質量部
塩化ビニル系ポリマーラテックス 53質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学(株)社製)
塩化ビニル系ポリマーラテックス 10質量部
(ビニブラン276、商品名、日信化学(株)社製)
マイクロクリスタリンワックス 6質量部
(EMUSTAR−42X、商品名、日本製蝋(株)製)
水 22質量部
界面活性剤1%水溶液(BFS−1) 4質量部
マット剤 1質量部
(メラミン−シリカ樹脂 比重1.65(オプトビーズ3500M、商品名、 日産化学工業(株)製))
防腐剤(式PR−1で示す化合物) 0.1質量部
NaOHでpHを8に調節
(塗布量) 18ml/m2
前記受容層塗工液、断熱層塗工液を支持体上に断熱層、受容層の順で逐次塗布した。逐次塗布については、まず初めに支持体上に断熱層塗工液を塗布し、塗布後6℃のセットゾーンを30秒通過させて液の流動性をなくした後、各乾燥ゾーンA〜Cを25℃50%(D.B.25.1℃、W.B.18.1℃)の環境に保ち、送風機を止めて乾燥させた。膜面温度、及び全水分量の60%が乾燥するまでの時間は表1に示すようになった。
また、膜面温度の測定は、堀場製作所製放射温度計「IT−340」を用いた。
前記受容層塗工液、断熱層塗工液を支持体上に断熱層、受容層の順で逐次塗布した。逐次塗布については、まず初めに支持体上に断熱層塗工液を塗布し、塗布後6℃のセットゾーンを30秒通過させて液の流動性をなくした後、自然乾燥させた。続いて受容層塗工液を前記断熱層上に塗布し、塗布後6℃のセットゾーンを30秒通過させて液の流動性をなくした後、下記の表1の感熱転写受像シート101の乾燥条件と同条件で乾燥を行った。
インクシートと、感熱転写受像シート101〜109を装填可能なように加工し、昇華型熱転写プリンターASK−2000(富士フイルム(株)社製)を用いて、高速プリントモードで出力した。このとき、1枚目が排出されてから、2枚目が排出されるまでの時間は8秒間であった。出力画像は、白からマックスグレー(黒ベタ)に変化する階調画像、又は白からマックスマゼンタ(マゼンタベタ)に変化する階調画像とした。
得られた感熱転写受像シート101〜109について、下記判断を基準に性能評価試験を行った。そのときの結果を表2に示す。
4:マゼンタベタ部分は全く白抜けが認められず、低濃度部分はわずかに白抜けが認められるが、実用上問題ない。
3:マゼンタベタ部分はほとんど白抜けが認められないが、低濃度部分に若干の白抜けが認められ、実用上問題である。
2:マゼンタベタ部分にわずかの白抜け、低濃度部分に多数の白抜けが認められ、実用上問題である。
1:低濃度部分、マゼンタベタともに白抜けが多数認められ、実用上問題である。
4:黒ベタ部分は全く濃度ムラが認められず、低濃度部分はわずかに濃度ムラが認められるが、実用上問題ない。
3:黒ベタ部分はほとんど濃度ムラが認められないが、低濃度部分に若干の濃度ムラが認められ、実用上問題である。
2:黒ベタ部分にわずかの濃度ムラ、低濃度部分に多数の濃度ムラが認められ、実用上問題である。
1:低濃度部分、黒ベタともに濃度ムラが多数認められ、実用上問題である。
5:画像中、保護層転写不良が全く認められず、実用上問題ない。
4:画像中、一部に軽微な保護層転写不良があるが、実用上問題ない。
3:画像中、全面に軽微な保護層転写不良があり、実用上問題である。
2:画像中、全面に軽微な保護層転写不良があり、かつ一部に明らかな保護層転写不良があり、実用上問題である。
1:画像中、全面に明らかな保護層転写不良があり、実用上問題である
5:116%より大きい
4:108%より大きく〜116%以下
3:100%より大きく〜108%以下
2:92%より大きく〜100%以下
1:86%より大きく〜92%以下
(感熱転写受像シート201〜207の作製)
感熱転写受像シート101の作製に用いたものと同じ支持体上に、下記に示す断熱層、受容層下層、受容層上層塗工液を調整した。下塗層1および下塗層2は感熱転写受像シート101のものと同じものを用いた。これらの塗布液を、支持体に近い方から下塗層2、断熱層、受容層下層、受容層上層の順になるようにスライドコーターを用いて同時重層塗布を行った。下塗層1および下塗層2の塗布量は、感熱転写受像シート101と同様とした。
(組成)
中空ポリマー粒子ラテックス 58.0質量部
(MH5055、商品名、日本ゼオン(株)製)
ゼラチン(10%水溶液) 30.0質量部
(塗布量) 50ml/m2
受容層下層塗工液
(組成)
塩化ビニル系ラテックス 12.0質量部
(ビニブラン690、商品名、日信化学工業(株)製)
塩化ビニル系ラテックス 12.0質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製)
ゼラチン(10%水溶液) 10.0質量部
下記界面活性剤F−1 0.1質量部
(塗布量) 9ml/m2
(組成)
塩化ビニル系ラテックス 22.0質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製)
塩化ビニル系ラテックス 2.4質量部
(ビニブラン276、商品名、日信化学工業(株)製)
ゼラチン(10%水溶液) 2.0質量部
下記エステル系ワックスEW−1 2.0質量部
下記界面活性剤F−1 0.1質量部
下記界面活性剤F−2 0.4質量部
(塗布量) 9ml/m2
感熱転写受像シート101〜109の画像形成と同様に、インクシートと、感熱転写受像シート201〜207を装填可能なように加工し、昇華型熱転写プリンターASK−2000(富士フイルム(株)社製)を用いて、高速プリントモードで出力した。このとき、1枚目が排出されてから、2枚目が排出されるまでの時間は8秒間であった。出力画像は、白からマックスグレー(黒ベタ)に変化する階調画像、又は白からマックスマゼンタ(マゼンタベタ)に変化する階調画像とし、上記表2の結果を得たのと同様の評価を行った。結果を下記表4に示す。
Claims (4)
- 支持体上に少なくとも断熱層、受容層を有する感熱転写受像シートであって、該受容層は少なくとも1種類のポリマーラテックスを含み、該断熱層は少なくとも1種類の中空ポリマーを含み、少なくとも2層が同時重層塗布により形成される感熱転写受像シートの製造方法であるところの、該製造方法が塗布工程と乾燥工程を含み、該乾燥工程中少なくとも全水分量の60%が乾燥するまでの間、膜面温度を5℃以上20℃以下に保つことを特徴とする感熱転写受像シートの製造方法。
- 該乾燥工程中、全水分量の60%が乾燥するまでの時間が1分以内であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
- 該受容層及び/又は該断熱層に、水溶性ポリマーを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
- 該水溶性ポリマーがポリビニルアルコールまたはゼラチンであることを特徴とする請求項3に記載の感熱転写受像シートの製造方法。
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