JP2008264853A - ダイクエンチ方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱により素材に発生する反り等の変形を抑制することができ、後工程において問題の発生を抑えることができるダイクエンチ方法を提供する。
【解決手段】ダイクエンチ方法は、焼き入れ可能な組成をもつ金属で形成され且つ断面二次モーメントを高めるための予備的断面構造5を有する素材1を準備する工程と、素材1を焼き入れ可能温度以上の高温領域に加熱手段により加熱する工程と、素材1を冷却および成形可能な成形型で高温領域の前記素材1をプレス成形しつつ冷却することにより焼き入れ処理して強化プレス成形品3を形成するダイクエンチ工程とを順に実施する。
【選択図】図1

Description

本発明は高温領域の素材をプレス成形しつつ急速に冷却することにより焼き入れ処理して強化プレス成形品を形成するダイクエンチ方法に関する。
特許文献1は、ロール材から金属板を打ち抜き、金属板を高温領域(850℃以上で且つ融点未満)に加熱し、加熱した金属板をプレス成形しつつ急速に冷却することにより強化プレス成形品を形成する方法を開示している。
特許文献2は、基本シートと補強シートを半田付けして積層体を形成し、積層体を高温に加熱し、その状態で、金型からなる成形ツールにより積層体をプレス成形しつつ冷却してメタル成形品を形成する方法を開示している。
特許文献3は、部品素材を形成する工程と、製造される部品にほぼ対応する余白輪郭を部品素材に形成する工程と、縁取りされた部品素材を加熱し、熱間成形工具によりプレス焼き入れする工程とを実施する方法を開示している。
特許文献4は、ブランク材に予め部分的に焼き入れを施して部分的焼き入れ部を形成し、部分的焼き入れ部でブランク材を折り曲げるように車両用骨格部材をプレス成形する方法を開示している。このものによれば、加熱したブランク材をプレス成形しつつ急速に冷却させるダイクエンチ方法に関するものではなく、プレス成形はブランク材が常温状態のとき行われる。
特許文献5は、帯板状の被加工材の両側または片側に立ち曲げ部を形成することにより、被加工材の断面二次モーメントを大きくして曲げ剛性を高めるプレス成形方法を開示している。このものによれば、ダイクエンチ方法に関するものではなく、プレス成形は被加工材が常温状態のとき行われる。
特開2002ー102980号公報 特許第3553536号公報 特表2005−539145号公報 特開2002−68012号公報 特開平9−94619号公報
上記した特許文献1〜3に係る技術は、金属で形成された素材を焼き入れ温度以上の高温に加熱し、その状態で素材をプレス成形しつつ急速に冷却させるダイクエンチ方法に関する技術である。
ダイクエンチ方法においては、プレス成形の前に高温に加熱された素材は、強度が常温の場合よりも低下しているため、反り等の変形が素材にかなり発生するおそれがある。変形の要因としては、重力、加熱ムラ、残留応力等によるものと推察される。殊に、素材の長さが幅に比較して長いときには、反り等の変形量が大きくなり易い。このように素材に変形が発生していると、後工程において問題を発生させるおそれがある。
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、加熱された素材に発生する反り等の変形を抑制することができ、後工程において素材の変形に起因する問題の発生を抑えることができるダイクエンチ方法を提供することを課題とする。
(1)様相1に係るダイクエンチ方法は、断面二次モーメントを高める予備的断面構造を有すると共に焼き入れ可能な組成をもつ金属で形成された素材を準備する準備工程と、前記素材を焼き入れ可能温度以上の高温領域に加熱手段により加熱する加熱工程と、前記素材を冷却および成形可能な成形型で高温領域の前記素材をプレス成形しつつ冷却することにより焼き入れ処理して強化プレス成形品を形成するダイクエンチ工程とを順に実施することを特徴とする。
準備工程では、断面二次モーメントを高める予備的断面構造を形成した素材を準備する。予備的断面構造は、強化プレス成形品の最終形状における最終断面構造に比較して、かなり成形度が低い断面構造を意味する。すなわち、予備的断面構造は、予備的断面構造を形成する前の素材に対して、強化プレス成形品の最終形状(最終断面構造)から懸け離れた形状(構造)を付与したものである。その後、素材に対して加熱工程が行われ、焼き入れ可能温度以上の高温領域に素材が加熱される。このように素材が高温領域に加熱されたとしても、予備的断面構造により素材の断面二次モーメントは高められている。このため、プレス成形の前の素材に発生する反り等の変形を抑制することができる。反り等の変形が素材に発生するとしても、できるだけ小さくすることができる。故に、後工程において、変形に起因する問題の発生を抑えることができる。なお強化プレス成形品は、断面で、成形溝をもつチャンネル部を含む形状を備えていることができる。
(2)様相2に係るダイクエンチ方法によれば、上記した様相において、成形型は、型締め可能な固定型および可動型を備えており、ダイクエンチ工程は、素材を固定型にセットした状態で固定型および可動型を型締めすることにより行われ、素材を固定型にセットした状態では、予備的断面構造のうちの少なくとも一部と固定型の型面との間に断熱空間が形成されているとともに、予備的断面構造が形成されていない場合に比較して、素材と固定型の型面との間の接触面積が減少していることを特徴とする。本様相によれば、素材を固定型にセットした状態では、予備的断面構造のうちの少なくとも一部と固定型の型面との間に断熱空間が形成されているとともに、予備的断面構造が形成されていない場合に比較して、素材と固定型の型面との間の接触面積が減少している。このため高温領域の素材の熱が固定型側に逃げることが抑制されている。従って、固定型および可動型が型締めされる前において、素材の温度をできるだけ高温に維持できる。よって素材に対する焼き入れ効果を高めることができる。
(3)様相3に係るダイクエンチ方法によれば、上記した様相において、素材を固定型にセットした状態では、予備的断面構造は、断面で、固定型から離間する方向に曲成された延設部を備えていることを特徴とする。本様相によれば、固定型および可動型が型締めされるとき、素材の延設部が固定型に過剰に擦れることが抑制され、素材や固定型にかかる応力負荷を抑えることができる。
(4)様相4に係るダイクエンチ方法によれば、上記した様相において、予備的断面構造は、断面で、溝を形成する溝形成形状、V字形状、への字形状のうちのいずれかであることを特徴とする。本様相によれば、素材を固定型にセットした状態では、予備的断面構造のうちの少なくとも一部と固定型の型面との間に断熱空間が形成され易い。このため高温領域の素材の熱が固定型側に逃げることが抑制されている。従って、固定型および可動型が型締めされる前において、素材の温度をできるだけ高温に維持できる。よって素材に対する焼き入れ効果を高めることができる。
本発明に係るダイクエンチ方法によれば、加熱工程の後で且つプレス成形の前に素材に発生する反り等の変形を抑制することができる。従って、後工程において、素材の変形に起因する問題の発生を抑えることができる。
以下、本発明の本実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係るダイクエンチ方法は、図1に示すように、焼き入れ可能な組成をもつ金属(一般的には炭素鋼または合金鋼)で形成された且つ断面二次モーメントを高めるための予備的断面構造5を有する素材1を準備する準備工程Aと、予備的断面構造5を有する素材1を焼き入れ可能温度以上(AC3変態点以上)の高温領域に加熱手段としての加熱炉21により加熱する加熱工程Bと、素材1を冷却および成形可能な成形型7で高温領域の素材1をプレス成形しつつ冷却することにより焼き入れ処理して強化プレス成形品3を形成するダイクエンチ工程Cとを順に実施する。
準備工程Aでは、ロール材4を巻き戻した材料40を打ち抜きプレス装置42により打ち抜きプレスすることにより素材1を形成する。予備的断面構造5を形成する前の素材1は、板状をなす金属板材であり、長手方向に延びている。素材1を形成する炭素鋼としては、焼き入れし易いように炭素量が高く設定されている(例えば質量比で0.2%以上)。
図2(A)は、ダイクエンチ工程Cを実施した強化プレス成形品3の代表例を表す斜視図を示す。図2(B)は強化プレス成形品3の横断方向に沿った断面図を示す。図2(B)に示すように、強化プレス成形品3は、断面で、成形溝30をもつチャンネル部32を含む形状を備えており、更にチャンネル部32の端から外方に拡開するようにフランジ状の拡開部34が形成されている。拡開部34は互いに離間する方向に延設されている。強化プレス成形品3は、車両の車体を補強する補強部材として機能できる。図2(B)に示すように、強化プレス成形品3の成形溝30の深さはhXとされ、強化プレス成形品3の高さはMXとされている。
上記したように準備工程Aにおいては、焼き入れ可能な組成をもつ金属を巻回したロール材4を巻き戻した部分40に打ち抜きプレスを実施し、素材1を形成する。その後、断面二次モーメントを高める予備的断面構造5を素材1に形成する予備成形工程Aaが実施される。上記した予備成形工程Aaでは、素材1の断面二次モーメントを高める予備的断面構造5を加工手段48により素材1に形成する。予備成形工程Aaの後で加熱工程Bが行われ、予備的断面構造5の形成された素材1が焼き入れ可能温度以上(AC3変態点以上)の高温領域に加熱される。加熱により素材1の全部または大部分は、オーステナイト領域となる。
加熱工程Bは、加熱室20をもつ加熱炉21内に素材1を挿入することにより行われる。加熱炉21の加熱室20の雰囲気としては、大気でも良いし、窒素などの不活性ガスでも良いし、真空でも良い。このように素材1が高温領域に加熱されたとしても、素材1の断面二次モーメントは予備的断面構造5によって高められているため、プレス成形の前に素材1に発生する反り等の変形を抑制することができる。反り等の変形が素材1に発生するとしても、できるだけ小さくすることができる。故に、後工程において、変形に起因する問題の発生を抑えることができる。なお加熱工程Bは誘導加熱で行っても良い。
本実施形態によれば、上記したように準備工程Aと加熱工程Bとの間に予備成形工程Aaが実施される。予備成形工程Aaでは、素材1の断面二次モーメントを高める予備的断面構造5を素材1に形成する。
図3(A)は第1予備的断面構造5Fをもつ素材1を示す。第1予備的断面構造5Fは、素材1の長さ方向において真っ直ぐに延びるように全長に渡って形成されている。図3(B)は第1予備的断面構造5Fの断面を示す。第1予備的断面構造5Fは、断面で、溝形成形状を備えており、深さh1の浅い第1溝51Fを形成する第1膨出部50Fと、第1膨出部50Fから第1折り目部53Fを介して外方に延設された第1延設部52Fとをもつ。第1延設部52Fは、素材1の幅方向(矢印D方向)の端域に形成されている。第1膨出部50Fは、素材1の幅方向(矢印D方向)の中央域に形成されている。ここで、図4(B)に示すように、第1予備的断面構造5Fにおける第1溝51Fの深さをh1とし、素材1の厚みをt1とし、第1予備的断面構造5Fの高さをM1とすると、例えば、h1=(0.3〜1.5)×t1、または、h1=(0.8〜1.2)×t1にできる。例えば、M1=(1.5〜3.5)×t1、または、M1=(1.7〜2.5)×t1にできる。
ここで、図4(A)に示すように、第1予備的断面構造5Fが形成されていない比較例である平板状の素材1Xについて、その幅をAとし、厚みをt1とし、断面二次モーメントをSI(1)とする。これに対して第1予備的断面構造5Fが形成されている素材1の断面二次モーメントをSI(2)とする。このとき、h1=t1、M1=2×t1とし、更に第1予備的断面構造5Fの幅をA/3とするとき、断面二次モーメントの比率としては、SI(2)/SI(1)≒1.5となる。このように第1予備的断面構造5Fをもつ素材1の断面二次モーメントは、第1予備的断面構造5Fをもたない平板状の素材1Xの断面二次モーメントに比較してほぼ1.5倍となり、素材1の曲げ剛性がかなり高められている。SI(2)/SI(1)としては例えば1.3〜5.0にできる。
なお素材1の厚みt1としては0.5〜4ミリメートルにできる。
上記したように本実施形態によれば、第1予備的断面構造5Fにより素材1の曲げ剛性がかなり高められているため、素材1が高温領域(AC3変態点以上)に加熱されたとしても、素材1の断面二次モーメントは高められている。このため、加熱工程Bの後でプレス成形の前において、素材1に発生する反り等の変形を抑制することができる。仮に、反り等の変形が素材1に発生するとしても、できるだけ小さくすることができる。故に、後工程において、反り等の変形に起因する問題の発生を抑えることができる。
図5(A)は第2予備的断面構造5Sをもつ素材1を示す。第2予備的断面構造5Sは、素材1の長さ方向(矢印L方向)において真っ直ぐに延びるように中央域に形成されている。図5(B)は第2予備的断面構造5Sの断面を示す。第2予備的断面構造5Sは、断面で、溝形成形状を備えており、深さh2の浅い第2溝51Sを形成する第2膨出部50Sと、第2膨出部50Sから第2折り目部53Sを介して延設された第2延設部52Sとをもつ。第2延設部52Sは、素材1の幅方向(矢印D方向)の端域に形成されている。ここで、第2溝51Sの深さをh2とし、素材1の厚みをt2とし、第2予備的断面構造5Sの高さをM2とすると、例えば、h2=(0.3〜1.5)×t2、または、h2=(0.8〜1.2)×t2にできる。例えば、M2=(1.5〜3.5)×t2、または、M2=(1.7〜2.5)×t2にできる。
図6(A)は第3予備的断面構造5Tをもつ素材1を示す。図6(B)は第3予備的断面構造5Tの断面を示す。第3予備的断面構造5Tは、素材1の長さ方向において真っ直ぐに延びるように全長に渡って形成されている。第3予備的断面構造5Tは、断面で、溝形成形状を備えており、深さh3の極く浅い第3溝51Tを形成する第3折り目部53Tと、第3折り目部53Tから外方に延設された第3延設部52Tとを備える。従って、第3予備的断面構造5Tは、断面で、背が低いVの字形状をなしている。第3折り目部53Tは、素材1の幅方向(矢印D方向)の中央域に形成されている。ここで、第3溝51Tの深さをh3とし、素材1の厚みをt3とし、第3予備的断面構造5Tの高さをM3とすると、例えば、h3=(0.3〜1.5)×t3、または、h3=(0.7〜1.2)×t3にできる。例えば、M3=(1.2〜3.5)×t3、または、M3=(1.5〜2.5)×t3にできる。
図7(A)は第4予備的断面構造5Rをもつ素材1を示す。図7(B)は第4予備的断面構造5Rの断面を示す。第4予備的断面構造5Rは、素材1の長さ方向において真っ直ぐに延びるように形成されている。第4予備的断面構造5Rは、断面で、溝形成形状を備えており、深さh4の浅い第4溝51Rを形成するように第4折り目部53Rを介して曲成された第4延設部52Rをもつ。第4延設部52Rは素材1の幅方向(矢印D方向)の端域に形成されている。ここで、第4溝51Rの深さをh4とし、素材1の厚みをt4とし、第4予備的断面構造5Rの高さをM4とすると、例えば、h4=(0.3〜1.5)×t4、または、h4=(0.8〜1.2)×t4にできる。例えば、M4=(1.5〜3.5)×t4、または、M4=(1.7〜2.5)×t4にできる。
図8〜図10はダイクエンチ工程Cの代表的な例を示す。図8はダイクエンチ工程Cで用いられる成形型7を示す。成形型7は、型締め可能な熱伝導性が良好な金属製の固定型71(下型、金型)および金属製の可動型75(上型、金型)を備えている。固定型71および可動型75は、冷却水、冷却ミスト等の冷却媒体が通過する冷却通路78をもつ。
図8(A)(B)は、第1予備的断面構造5Fをもつ素材1、第2予備的断面構造5Sをもつ素材1をダイクエンチする工程を示す。かかる工程では、第1膨出部50F又は第2膨出部50Sを上向きに且つ第1溝51F又は第2溝51Sを下向きに配置しつつ、素材1を固定型71の固定型面72にセットする。このようにセットした状態で、可動型75を固定型71に向けて矢印Y1方向に移動(下降)させて、固定型71の固定型面72および可動型75の可動型面76を型締めすることにより行われる。この場合、高温状態の素材1は、固定型71の固定型面72および可動型75の可動型面76により急速に冷却され、焼き入れ処理される。
ここで、第1予備的断面構造5Fの第1溝51Fの深さh1(図4(B)参照)と、強化プレス成形品3の成形溝51の深さhX(図2(B)参照)とを比較すると、例えば、h1=(0.02〜0.4)×hX、または、h1=(0.1〜0.3)×hXとされている。このように第1予備的断面構造5Fの第1溝51Fの深さh1は、強化プレス成形品3の成形溝51の深さhXに比較してかなり小さく設定されている。換言すると、第1予備的断面構造5Fは、強化プレス成形品3の最終形状における最終断面構造に比較して、かなり成形度が低い断面構造を意味する。このためダイクエンチでプレス成形する際、予備的断面構造5Fが強化プレス成形品3の最終形状に影響を与えることが抑制されている。前記したh2、h3、h4とhXとの関係についても同様とされている。
更に本実施形態によれば、ダイクエンチ工程Cの前に実施される加熱工程Bにおいて素材1は、焼き入れ温度以上の高温状態(AC3変態点以上)に加熱されてオーステナイト状態(赤熱状態)とされており、塑性変形性に富む。このためダイクエンチ工程Cで用いられる成形型7で素材1をプレス成形するにあたり、第1予備的断面構造5Fの形状は、ダイクエンチ工程Cにおけるプレス成形に影響を与えない。同様に、高温に加熱された第2予備的断面構造5S、第3予備的断面構造5T、第3予備的断面構造5Tの形状も、ダイクエンチ工程Cにおけるプレス成形に影響を与えない。
ここで、図8(A)に示すように、第1予備的断面構造5Fをもつ素材1を固定型71にセットした状態では、第1予備的断面構造5Fのうちの下面と固定型71の固定型面72との間に断熱空間8が形成されている。断熱空間8は第1溝51Fに基づいて形成される。断熱空間8は素材1の長さ方向の全長に渡って延設されている。更に、素材1を固定型71にセットした状態では、第1予備的断面構造5Fが形成されていない場合に比較して、素材1の下面と固定型71の固定型面72との間の接触面積がかなり減少している。このため第1予備的断面構造5Fをもつ高温領域の素材1の熱が固定型71側に逃げることが極力抑制されている。従って、固定型71および可動型75が型締めされる前において、第1予備的断面構造5Fをもつ素材1の温度をできるだけ高温(焼き入れ可能温度以上)に維持することできる。殊に、固定型71との非接触性が高まる第1予備的断面構造5Fの温度を、できるだけ高温(焼き入れ可能温度以上)に維持することできる。よって、第1予備的断面構造5Fをもつ素材1に対する焼き入れ効果を高めることができ、焼き入れ組織を素材1に良好に形成できる。
このように予備的断面構造5Fは、素材1を固定型71にセットした状態において、素材1と固定型71の固定型面72との間に断熱空間8を形成する機能と、素材1の曲げ剛性を高めて素材1の反り等の変形を抑制する機能とを併有する。
ここで、図8(A)(素材1の横断方向に沿った断面)に示すように、第1予備的断面構造5Fをもつ素材1は、固定型71の固定型面72に複数の接触箇所Wで支持されているため、素材1の姿勢の安定化が図られ、プレス成形が良好に実施される。第2予備的断面構造5Sについても、同様であり、第2予備的断面構造5Sのうちの下面と固定型71の固定型面72との間に断熱空間8が形成されており、従って、第2予備的断面構造5Sをもつ高温領域の素材1の熱が固定型71側に逃げることが極力抑制されている。
図9(A)(B)は、第3予備的断面構造5Tをもつ素材1をダイクエンチする工程を示す。図9(A)に示すように、第3予備的断面構造5Tをもつ素材1を固定型71にセットした状態では、素材1は、上下逆のV字形状をなしている。第3予備的断面構造5Tのうちの下面と固定型71の固定型面72との間に、断熱空間8が形成されている。断熱空間8は第3溝51Tに基づいて形成される。更に、第3予備的断面構造5Tが形成されていない場合に比較して、素材1と固定型71の固定型面72との間の接触面積が減少している。即ち第3予備的断面構造5Tのうちの下面と固定型71の固定型面72とは、断面で、複数の接触箇所W(二カ所)で支持されている。このため高温領域の素材1の熱が固定型71側に逃げることが抑制されている。従って、固定型71および可動型75が型締めされる前において、素材1の温度をできるだけ高温(焼き入れ可能温度以上)に維持することできる。よって素材1に対する焼き入れ効果を高めることができ、焼き入れ組織を素材1に良好に形成できる。ここで、図9(A)(素材1の横断方向に沿った断面)に示すように、第1予備的断面構造5Fをもつ素材1は、固定型71の固定型面72に複数の接触箇所Wで支持されているため、素材1の姿勢の安定化が図られる。
図10(A)(B)(C)は、第4予備的断面構造5Rをもつ素材1をダイクエンチする工程を示す。図10(A)に示すように、第4予備的断面構造5Rをもつ素材1を固定型71にセットした状態では、第4予備的断面構造5Rの下面と固定型71の固定型面72とは接触している。更に、図10(A)(素材1の横断方向に沿った断面)に示すように、第4延設部52Rは、固定型71の固定型面72から離間するように、上方(矢印U方向)に向けて持ち上げられている。このため固定型71の固定型面72および可動型75の可動型面76とが型締めされる途中においても、第4延設部52Rは、固定型71の固定型面72から離間する。この結果、図10(B)に示すように、第4延設部52が固定型71の固定型面72に接触することが回避されたり、接触するタイミングが遅延したりする。よって第4延設部52Rが固定型71の固定型面72の型面部分72cに擦れる度合が抑制される。よって素材1に過剰な負荷変形を与えたり、固定型71の固定型面72の型面部分72cを損傷させたりすることが抑制される。
上記した実施形態では、焼き入れ可能な組成をもつ金属で形成されたロール材4を巻き戻した部分40に打ち抜きプレス処理により素材1を形成し、断面二次モーメントを高める予備的断面構造5をその素材1に形成することにしているが、これに限らず、ロール材4を巻き戻した部分40に打ち抜きプレス処理して素材1を形成すると同時に予備的断面構造5を形成することにしても良い。
その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
本発明は車両、産業機器等に使用される部材を焼き入れ処理するダイクエンチ方法に利用できる。
工程を示す概念図である。 (A)は強化プレス成形品の斜視図であり、(B)は強化プレス成形品の断面図である。 (A)は予備的断面構造をもつ素材の斜視図であり、(B)は予備的断面構造の断面図である。 (A)は予備的断面構造をもたない素材の断面図であり、(B)は予備的断面構造をもつ素材の断面図である。 (A)は予備的断面構造をもつ素材の斜視図であり、(B)は予備的断面構造の断面図である。 (A)は予備的断面構造をもつ素材の斜視図であり、(B)は予備的断面構造の断面図である。 (A)は予備的断面構造をもつ素材の斜視図であり、(B)は予備的断面構造の断面図である。 (A)は予備的断面構造をもつ素材を固定型にセットした状態の断面図であり、(B)は予備的断面構造をもつ素材を固定型と可動型とでプレス成形している状態の断面図である。 (A)は予備的断面構造をもつ素材を固定型にセットした状態の断面図であり、(B)は予備的断面構造をもつ素材を固定型と可動型とでプレス成形している状態の断面図である。 (A)は予備的断面構造をもつ素材を固定型にセットした状態の断面図であり、(B)は予備的断面構造をもつ素材を固定型と可動型とでプレス成形している途中状態の断面図であり、(C)は予備的断面構造をもつ素材を固定型と可動型とでプレス成形している状態の断面図である。
符号の説明
1は素材、2は加熱手段、3はプレス成形品、5は予備的断面構造、7は成形型、71は固定型、72は可動型を示す。

Claims (5)

  1. 断面二次モーメントを高める予備的断面構造を有すると共に焼き入れ可能な組成をもつ金属で形成された素材を準備する準備工程と、
    前記素材を焼き入れ可能温度以上の高温領域に加熱手段により加熱する加熱工程と、
    前記素材を冷却および成形可能な成形型で高温領域の前記素材をプレス成形しつつ冷却することにより焼き入れ処理して強化プレス成形品を形成するダイクエンチ工程とを順に実施することを特徴とするダイクエンチ方法。
  2. 請求項1において、前記成形型は、型締め可能な固定型および可動型を備えており、前記ダイクエンチ工程は、前記素材を前記固定型にセットした状態で前記固定型および前記可動型を型締めすることにより行われ、
    前記素材を前記固定型にセットした状態では、前記予備的断面構造のうちの少なくとも一部と前記固定型の型面との間に断熱空間が形成されているとともに、前記予備的断面構造が形成されていない場合に比較して、前記素材と前記固定型の前記型面との間の接触面積が減少していることを特徴とするダイクエンチ方法。
  3. 請求項1または2において、前記素材を前記固定型にセットした状態では、前記予備的断面構造は、断面で、前記固定型から離間する方向に曲成された延設部を備えていることを特徴とするダイクエンチ方法。
  4. 請求項1〜3のうちの一項において、前記予備的断面構造は、断面で、溝を形成する溝形成形状、V字形状、への字形状のうちのいずれかであることを特徴とするダイクエンチ方法。
  5. 請求項1〜4のうちの一項において、前記強化プレス成形品は、断面で、成形溝をもつチャンネル部を含む形状を備えていることを特徴とするダイクエンチ方法。
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