JP2008264851A - ガス吹き込み用プラグ - Google Patents
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Abstract
【課題】ガス吹き込み用プラグにおいて、ガス流通体に生じる浸潤層部分を簡単な構造で的確に除去できるようにすること。
【解決手段】溶融金属容器に設置して溶融金属中にガスを吹き込むためのガス吹き込み用プラグにおいて、吹き込むガスを通過させるガス流通体1の外周面に、周方向に長さを有する溝1aを形成する。この溝1aはガス吹き込み用プラグの軸方向に直角な方向の断面においてガス流通体1の直径の1%以上の深さとなるように形成する。
【選択図】図1
【解決手段】溶融金属容器に設置して溶融金属中にガスを吹き込むためのガス吹き込み用プラグにおいて、吹き込むガスを通過させるガス流通体1の外周面に、周方向に長さを有する溝1aを形成する。この溝1aはガス吹き込み用プラグの軸方向に直角な方向の断面においてガス流通体1の直径の1%以上の深さとなるように形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、取鍋等の溶融金属容器に設置して溶融金属中にガスを吹き込むためのガス吹き込み用プラグに関する。
鉄鋼分野において、取鍋等の溶融金属容器内の溶銑や溶鋼に、その底部からアルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガス等を吹き込んで溶銑や溶鋼のガス攪拌を行い、精錬反応の促進、脱ガス、温度調節、非金属介在物の浮上除去等を行うと共に、化学冶金反応を促進するという操業が広く行われている。このような溶融金属容器内の溶融金属へのガスの吹き込みは、一般的に溶融金属容器の底部又はその近傍に設置したガス吹き込み用プラグを介して行われている。
ガス吹き込み用プラグは、一般的にガスを通過させるガス流通体を中心にし、その周囲を通気性が殆どない緻密質耐火物で囲み、さらにその周囲をメタルケース等で覆った構造を有しており、供給されたガスがガス流通体中を通過して溶融金属内に吹き込まれる。
ガス吹き込み用プラグのガス流通体としては、一般的に通気性耐火物が使用される。この通気性耐火物は、通気性を確保するために通常の溶鋼金属容器の構造体用の耐火物より高い気孔率あるいは大きい径の気孔を有する。そのため、ガスの供給を停止している間や溶融金属排出後等には通気性耐火物の気孔内に溶融金属やスラグ等が深く浸透し、いわゆる目詰まりを生じる。(以下、この目詰まりした部分を「浸潤層」という。)
ガス吹き込み用プラグは繰り返し使用するため、1チャージ(溶融金属の1回の処理)毎に目詰まりを解消する必要があり、溶融金属排出後の目詰まりに対しては、次回の溶融金属の受け入れ前に酸素ランスでガス吹き込み用プラグ表面を洗浄して浸潤層を除去する。また、溶融金属の受け入れから通気開始までの間に溶融金属が浸潤して目詰まりを生じることもあり、この場合には、ガスの圧力を高めてその浸潤した溶融金属若しくは浸潤層の耐火物部分を吹き飛ばすなどの対応が採られる。
しかし、このような浸潤層の除去がスムーズに行えない場合、除去時間が次の工程に影響を及ぼすだけでなく、ガス流量不足のため精錬できず、鋳造を中断するなど操業に多大な影響を及ぼし、結果として目的とする品質を備えた製品を得ることが不可能となる。
この浸潤層の除去を容易にするため、例えば特許文献1には、通気性耐火物の内部中央部に、通気性耐火物の使用面(ガス吹き込み側(溶融金属接触側)の表面)から一定の間隔毎に漸次その平面積を小さくした、使用面に平行な薄層状の空隙部を設け、その空隙部から使用面側の浸潤層をガスの圧力で吹き飛ばして除去することが開示されている。
しかしながら、特許文献1のガス吹き込み用プラグにおいて、使用面に最も近い空隙部の位置、及びこの空隙部より非使用面側に設けられている空隙部どうしの間隔は、各チャージの浸潤層の深さと必ずしも一致するものではなく、浸潤層を的確に除去することができない。例えば、浸潤層が使用面から最も近い空隙部を超えている場合、その空隙部から除去されても、浸潤層が残された状態となる。また、ガス吹き込み用プラグの通気性耐火物が空隙部によって大きく分断されているため、必ずしも浸潤層に最も近い空隙部から破断するとは限らず、別の空隙部から破断して通気性耐火物が大きく損なわれることがある。さらに、空隙部に浸潤した溶融金属やスラグ等が拡がって膜を形成し、次に使用面となる通気性耐火物の表面を塞ぐことも懸念される。
一方、特許文献2には、通気性耐火物の外周面に凸部を成して当接するように包囲体を配置し、その周囲を緻密質耐火物(キャスタブル)で包囲することにより、包囲体の凸部部分よりも使用面側の通気性耐火物及びキャスタブルのみを除去しやすくすることが開示されている。
しかしながら、通気性耐火物の周囲に包囲体を配置するのみでは、通気性耐火物及びキャスタブルを安定的に除去することは困難であり、また、浸潤層部分のみを除去することも困難で、通気性耐火物の浸潤層以外をも除去してしまうおそれがある。さらに、通気性耐火物の周囲に包囲体を配置するため、構造が複雑となり、製造工程も複雑となる。
実開昭62−70158号公報
実開平5−56944号公報
本発明の課題は、ガス吹き込み用プラグにおいて、ガス流通体に生じる浸潤層部分を簡単な構造で的確に除去できるようにすることにある。
本発明は、溶融金属容器に設置して溶融金属中にガスを吹き込むためのガス吹き込み用プラグにおいて、吹き込むガスを通過させるガス流通体の外周面に、周方向に長さを有する溝を形成しており、その溝はガス吹き込み用プラグの軸方向に直角な方向の断面においてガス流通体の直径の1%以上の深さを有することを特徴とするものである。
浸潤層は非浸潤層と弾性率、強度等の物性が異なるので、浸潤層に応力が加わると非浸潤層との境界部付近では応力が集中しやすい。その上、ガス流通体の外周面に溝が存在すると、前記境界部付近の応力がその溝の位置に、より一層集中しやすくなり、その溝部と浸潤層境界付近とを連結するように亀裂が発生する。これにより、ガス流通体は浸潤層先端に近い溝部と浸潤層境界付近とを連結する亀裂から容易に破壊する。
すなわち、ガス流通体の外周面に、周方向に長さを有する溝を形成することで、ガス流通体に生じる浸潤層部分を容易かつ的確に除去できる。しかも、このような溝はガス流通体の外周面に切削加工を施す等の簡単な工程により形成できるので、製造工程が複雑になることはなく、構造も簡単である。また、溝をガス流通体の外周面に形成することで、ガス吹き込み用プラグ外からの外力によって浸潤層部分を容易に除去できる。
なお、浸潤層に加わる応力には、大別して機械的応力と熱的応力とがある。前者の機械的応力は、溶融金属排出完了ないしスラグ排出後のガス吹き込み用プラグ表面の残留金属やスラグ等の洗浄作業における除去用装置や酸素ランス等での表面破壊等による機械的衝撃に起因するものが主である。後者の熱的応力は浸潤層と非浸潤層間の熱膨張特性の違いに起因するものであるが、その原因としては、前記酸素洗浄処理によるガス吹き込み用プラグ表面の急激な高温加熱、又は次の溶融金属を受けたとき等のガス吹き込み用プラグ表面の急激な温度上昇等がある。
本発明においてガス流通体の外周面に形成する溝は、ガス吹き込み用プラグの軸方向に直角な方向の断面においてガス流通体の直径の1%以上の深さを有するように形成する。この溝の深さが、その位置におけるガス流通体の直径の1%未満では応力集中効果が乏しく、溝以外の位置から破壊する可能性が高くなり、浸潤層部分を的確に除去できなくなる。また、溝の深さは、ガス流通体の直径の1%以上8%以下とすることが好ましく、1%以上5%以下とすることがさらに好ましく、3%以上5%以下とすることが最も好ましい。溝の深さがガス流通体の直径の8%を超えると、浸潤層の先端近傍以外での溝から破壊する可能性が高まり、またガス流通体の通気方向の断面積を縮小することから通気量の不足をきたす場合がある。ただし、この溝の深さの上限における通気量は、ガス流通体全体の直径の拡大やガス流通体自体の通気特性を変化させることで回避することが可能なので、通気量の不足の観点から制限する理由は乏しく、浸潤層から遠い部分からの破壊の可能性を回避する観点から個別の条件等に応じて設定すればよい。
本発明では、上述のような機能を有する溝を、ガス流通体の使用面から一定の間隔毎に、前記使用面に平行に複数段形成することが好ましい。このように溝を複数段形成することで、浸潤層の厚みの変動にかかわらず、浸潤層と、その先端位置に最も近いいずれかの溝とを連結する面から、すなわちガス流通体の使用面から一定の間隔を1単位とするいずれかの単位の位置の溝から除去することができる。
ガス流通体の使用面付近に生じる浸潤層の厚み(深さ)は、ガス停止状態での溶融金属保持時間、溶融金属温度、溶融金属粘性、溶融金属ヘッド、溶融金属及びスラグの成分等の個別の操業上の条件の変動に伴い変動する。したがって、ガス流通体の外周面の溝を、個別の操業上の条件及びその変動を考慮して、ガス流通体の使用面からの間隔を最適な単位で複数段設置することで、不必要に非浸潤層を含む位置からガス流通体が破壊することを抑制することができ、チャージ毎のガス流通体の損傷速度を適切に(小さく)することができる。
また、各段の溝は、ガス流通体の全周に亘って連続していることが最も好ましいが、断続的に形成されていてもよい。ただし、溝を断続的に形成する場合は、ガス吹き込み用プラグの軸方向に直角な方向の断面において、溝部分の長さの合計がガス流通体の外周面全周の3分の1以上になるように、かつ全周の中で均等に分散して形成することが好ましい。溝部分の長さの合計がその全周の3分の1未満の場合、溝部分以外からも破断する可能性がある。より好ましくは、溝部分の長さの合計がガス流通体の外周面全周の2分の1以上になるように形成する。
溝の段数は、1チャージ毎の浸潤層の深さとガス流通体の軸方向の全長との関係で決定すればよい。すなわち、ガス流通体の軸方向の全長から、安全の観点から残す寸法を差し引いた実際に使用可能な長さを1チャージ毎の浸潤層の平均的な深さで除して得た値(以下「平均深さ」という。)を一つの基準とすればよい。このような溝と他の溝の間隔は、より無駄の少ない最小除去寸法にするためには、前記の平均深さの長さを最大として、それよりも小さい間隔(例えば平均深さの1/2等)になるようにすることが好ましい。
また、本発明では、上述の機能を有する溝を、ガス流通体の外周面に、螺旋状に連続的又は断続的に形成することもできる。
このように、ガス流通体の外周面に螺旋状の溝を形成することで、浸潤層の先端位置の変動に応じて、その最も近い部分からガス流通体を破壊することができる。上述のように一定の間隔を開けて複数段の溝を形成した場合、破壊して除去されるガス流通体の単位が溝と溝の間の間隔になるのに対し、溝を螺旋状に形成すると、破壊して除去される単位が不定となって、浸潤層の先端位置により近い位置の溝から除去されることになり、浸潤層の先端位置の変動に対してより一層柔軟に対応して無駄な除去部分を小さくすることができる。
この螺旋状の溝の形成条件は、浸潤層の深さが個別の操業上の条件によって変動するので、基本的にその条件に応じて決定するが、より無駄の少ない最小除去寸法にするためには、一般的には隣接する溝どうしの平均的な間隔が1チャージ毎の浸潤層の深さとほぼ一致する長さを最大として、それよりも小さい間隔になるようにすることが好ましい。
また、この螺旋状の溝は、ガス流通体の外周面に連続的に形成することが最も好ましいが、その螺旋経路に沿って断続的に形成してもよい。だたし、この場合、螺旋状の溝に沿ってガス流通体の外周面を1周する1周線において、溝部分の長さの合計が1周線の全長の3分の1以上になるように、かつ1周線の全長の中で均等に分散させて形成することが好ましい。その理由は上述と同様である。より好ましくは、溝部分の長さの合計が1周線の全長の2分の1以上になるように形成する。
ここで、本発明においてガス流通体の外周面に形成する溝の幅については、浸潤層の深さが個別の操業上の条件によって変動するので、基本的にその条件に応じて決定する。一般的には1チャージ毎に浸潤層の先端になると予想される位置に、溝の幅の中心付近が位置するようにする。溝部分でその上下の組織が分断されていて、溝の中心付近に応力が集中しやすい形状になっていさえすれば、溝の幅の下限値に制限はなく小さくてよい。しかし、その上限値は1チャージ毎の浸潤層深さの15%以内程度が好ましく、10%以内程度のできるだけ小さい方が応力が集中しやすいので、より好ましい。浸潤層深さの15%を超えると、応力が溝の中心付近に集中し難くなって破壊の起点が溝の中心付近以外の部分に分散する可能性が高まる。
また、溝の断面形状は、溝の中心付近に応力を集中しやすくするため、溝の中心付近がガス吹き込み用プラグの中心方向に向かって凹状になるような屈曲部またはRを有することが好ましい。鋭角(90°以下)のエッジである屈曲部がさらに好ましい。
なお、ガス流通体部分の耐火物全体が高通気性でその耐火物の組織内をガスが通過する、いわゆるポーラス耐火物の場合にはその耐火物組織内にスラグ等の浸潤も生じやすく、浸潤層が形成しやすいので本発明の効果が顕著である。ガス流通体部分がそのようなポーラス質耐火物以外の、例えば耐火物の組織をガスが通過しない又はし難い緻密質耐火物であって、その耐火物内にスリット状や円筒状のガス流通用の貫通した空隙を備えた、いわゆる貫通孔タイプの場合等には、貫通孔への浸潤が認められ、かつ浸潤部下端位置付近でガス流通体の耐火物の物性が大きく変わるような条件では、本発明の溝の効果が得られる。しかし、そのような物性の変化の小さい条件では、本発明の溝の効果は小さい。
本発明によれば、ガス吹き込み用プラグのガス流通体に生じる浸潤層の先端近傍からほぼ浸潤層部分のみを簡単な構造で的確に除去することができる。ひいては、溶融金属の1チャージ毎の、ガス吹き込み用プラグの通気性回復のための整備作業時間を短縮することができ、また通気開始時の通気不良トラブルの発生を抑制することもできる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明のガス吹き込み用プラグの一例を示す断面図である。この例では、ガス流通体として円錐状の通気性耐火物1を使用している。通気性耐火物1の側面は緻密質耐火物2で囲まれており、通気性耐火物1の下面にはガス供給配管3が接続されている。ガス供給配管3から不活性ガスが供給され、その不活性ガスが通気性耐火物1を通過し、通気性耐火物1の上面(溶鋼に接する使用面)から溶鋼中に吹き込まれる。なお、通気性耐火物1の使用面を除く部分は、メタルケース4で覆われている。
通気性耐火物1の外周面には、通気性耐火物1の使用面と平行に3段の溝1aを、それぞれ外周面の全周に亘って連続的に形成している。通気性耐火物1の使用面から最上段の溝1aまでの間隔L、及びその下段の溝1aどうしの間隔Lは、各チャージの平均的な浸潤層の深さに対応する長さとしている。
溝の深さdは各断面における通気性耐火物1の外径の5%、幅wは平均的な浸潤層の深さの5%、断面形状は溝1aの中心付近に鋭角の点を有する三角形としている。
図2は、通気性耐火物に形成する溝の他の例を示す正面図である。この例では、通気性耐火物1の外周面に溝1aを螺旋状に連続的に形成している。通気性耐火物1の使用面から最上段の溝1aまでの平均間隔(通気性耐火物1の使用面から最上段の溝1a中心付近までの間隔)L及び隣接する溝1aどうしの間隔Lは、各チャージの平均的な浸潤層の深さに対応する長さとしている。
なお、この溝1aは断続的に形成することもできるが、この場合、螺旋状の溝1aに沿ってガス流通体の外周面を1周する1周線(図3参照)において、溝1a部分の長さの合計が1周線の全長に3分の1以上になるように、かつ1周線の全長の中で均等に分散させて形成することが好ましい。
次に、本発明のガス吹き込み用プラグの製造方法を説明する。
基本的には一般的なガス吹き込み用プラグの製造方法と同じであり、まず通気性耐火物をオイルプレス等により成形し、乾燥、焼成を行う。この通気性耐火物の成形、乾燥、焼成後の加工工程のいずれかにおいて、外周を旋盤等で削ることで溝を形成する。その後、最外周のメタルケース内に前記通気性耐火物を配置しておき、その周囲(メタルケースとの間)にキャスタブル耐火物等の緻密質耐火物を設置する。周囲の緻密質耐火物が硬化した後、乾燥等を行う。
なお、以上の例では、ガス吹き込み用プラグのガス流通体として通気性耐火物を使用したが、緻密質耐火物の中に設けた孔やスリットをガスの流通経路とする、いわゆる貫通孔タイプのガス流通体を使用することができる。
[第1実施例]
ガス流通体として通気性耐火物を使用し、その外周面に溝を形成した本発明の実施例と、本発明の範囲外の比較例を、実際の溶鋼容器で使用した。
ガス流通体として通気性耐火物を使用し、その外周面に溝を形成した本発明の実施例と、本発明の範囲外の比較例を、実際の溶鋼容器で使用した。
通気性耐火物は、その上面(使用面)の外径が100mm、下面(非使用面)の外径が150mm、軸方向長さが300mmであり、実施例では、その外周面に、使用面から60mmの間隔毎に3段溝を形成した。各段の溝は、通気性耐火物の外周面の円周方向の全周に亘って連続的に形成した。
溝の断面形状は三角形とし、その三角形の頂点が溝の中心付近になるようにした。
なお、使用した通気性耐火物は、通気率がJIS−R2115に準拠した測定方法で1.0C.G.S以上、見掛け気孔率が20%〜30%程度のAl2O3を80質量%以上含むアルミナ−シリカ質である。また、この通気性耐火物を溶鋼容器に供すると、通常、1チャージ当たり約40mm〜80mm程度のメタル浸潤がある。
以上の通気性耐火物を使用したガス吹き込み用プラグを実際の溶鋼容器で使用し、使用後のガス吹き込み用プラグを整備場に移動して通気性耐火物の使用面に主として酸素ランスから酸素を吹き付けて、表面の付着物と浸潤部を洗浄処理し、浸潤層を除去した。なお、この洗浄処理においては、表面の浸潤層の熱膨張による熱的応力と、表面のランス等による突き等の機械的応力が伴う。
実施例及び比較例において上述の方法による浸潤層の除去性及び通気特性を評価し、これらに基づいて性能を総合評価した。
ここで、「浸潤層の除去性」は、浸潤層の除去に要した時間、作業性、難易度などから評価した結果であり、○は30秒以内で除去が容易であったこと、△は30秒〜1分以内で除去できたこと、×は除去処理に1分以上要し除去が困難であったことを示す。
「通気特性」は、浸潤層を除去後 必要通気量(例:400Nl/min以上)が得られた時の背圧によって評価した。○は5kg/cm2未満であったこと、△は5kg/cm2以上6kg/cm2未満であったこと、×は6kg/cm2以上であったことを示す。
「総合評価」は 浸潤層の除去性と通気量確保の、難易度と安定性等を総合的に判断した定性的な評価である。○は改善効果が十分であったこと、△は改善の必要性が残ったこと、×は従来品(比較例1)と同等で改善を要するか、又は通気量不足その他の問題を生じたことを示す。
比較例1は通気性耐火物に外周面に溝を形成していない従来品である。この比較例1では、浸潤層の除去性に難があり、さらに浸潤層除去後の通気時の背圧も高めであり改善が必要であった。
比較例2と3は通気性耐火物に外周面に溝を形成しているが、その溝の深さがガス流通体の直径の1%以上という本発明の条件を満たさないものである。改善傾向にはあるものの溝の先端への応力集中効果に乏しく、溝以外の位置から剥離する場合もあり、浸潤層の剥離〜除去にはまだ改善が必要であった。
実施例1〜10は、溝の深さがガス流通体の直径の1%以上という本発明の条件を満たすものである。比較例1〜3に比べ、浸潤層の除去性、通気特性ともに改善され、概ね良好であった。
とくに、溝の深さがガス流通体の直径の1%以上5%以下、溝の幅が平均的な浸潤層の厚みの10%以下である実施例1〜4は、浸潤層の除去性、通気特性共に高い改善効果が得られた。
これに対して、溝の幅が平均的な浸潤層の厚みの10%を超える実施例5〜7では、亀裂が溝の中心付近以外の部分にも観察され、また通気量についても変動が大きくなり、浸潤層の除去性、通気特性が共に実施例1〜4に比べ劣化した。
また、溝の深さがガス流通体の直径の5%を超える実施例8〜10においても、浸潤層の除去性、通気特性が共に実施例1〜4に比べ劣化した。これは溝が深くなりすぎると、浸潤層の先端近傍以外の溝からの剥離が生じやすくなり、また、通気性耐火物の軸に直角の方向の断面積が縮小することから通気時の背圧上昇が認められたためである。
以上のことから、溝の深さについてはガス流通体の直径の1%以上5%以下、溝の幅については平均的な浸潤層の厚みの10%以下であることが好ましいといえる。
[第2実施例]
この実施例は、浸潤層の除去のために酸素洗浄を実施せず、そのまま次の受鋼後、高い背圧で浸潤層を吹き飛ばして除去するようにしたものである。すなわち、この実施例では、溶鋼受鋼時の熱膨脹差等に伴う熱的応力を主に利用して、浸潤層付近に亀裂を生じさせて、浸潤層部分を除去するようにした。
この実施例は、浸潤層の除去のために酸素洗浄を実施せず、そのまま次の受鋼後、高い背圧で浸潤層を吹き飛ばして除去するようにしたものである。すなわち、この実施例では、溶鋼受鋼時の熱膨脹差等に伴う熱的応力を主に利用して、浸潤層付近に亀裂を生じさせて、浸潤層部分を除去するようにした。
供試料としては、[第1実施例]で使用した実施例1〜10と同じ試料を使用した。評価方法及び基準も、[第1実施例]と同じとした。
結果は、いずれも[第1実施例]とほぼ同じであった。
[第3実施例]
この実施例は、通気性耐火物の外周面に溝を螺旋状に形成した試料を使用したものである。浸潤層の除去は、[第1実施例]と同様に酸素洗浄によって行った。
この実施例は、通気性耐火物の外周面に溝を螺旋状に形成した試料を使用したものである。浸潤層の除去は、[第1実施例]と同様に酸素洗浄によって行った。
供試料の通気性耐火物の全体形状は[第1実施例]と同じとし、本実施例ではその外周面に、通気性耐火物の軸方向外周の傾斜に対応して、その直径に対する割合が軸方向の各位置で同じ割合になるような深さの螺旋状の溝を、隣接する溝どうしの間隔を30mmとして、通気性耐火物の外周面の円周方向の全周に亘って連続的に形成した。溝の断面形状は三角形とし、その三角形の頂点が溝の中心付近になるようにした。
また、供試料の通気性耐火物の材質、及び通気率、見掛け気孔率の特性も[第1実施例]と同じとした。すなわち、この通気性耐火物を溶鋼容器に供すると、通常、1チャージ当たり約40mm〜80mm程度のメタル浸潤がある。
以上の供試料を[第1実施例]と同じ評価方法及び基準により評価した。
結果は、いずれも[第1実施例]とほぼ同じであったが、[第1実施例]と比較して、溝の深さ割合が1%、6%、8%の場合にも、また溝の幅の割合が15%の場合にもさらに良好で安定した結果となった。これは、溝を螺旋状にしたこと及び溝の間隔を短くしたことで、通気性耐火物内での浸潤層境界部の軸方向位置と、溝の軸方向位置との距離が短くなったことによるものと考えられる。
1 通気性耐火物
1a 溝
2 緻密質耐火物
3 ガス供給配管
4 メタルケース
1a 溝
2 緻密質耐火物
3 ガス供給配管
4 メタルケース
Claims (5)
- 溶融金属容器に設置して溶融金属中にガスを吹き込むためのガス吹き込み用プラグにおいて、
吹き込むガスを通過させるガス流通体の外周面に、周方向に長さを有する溝を形成しており、その溝はガス吹き込み用プラグの軸方向に直角な方向の断面においてガス流通体の直径の1%以上の深さを有することを特徴とするガス吹き込み用プラグ。 - 前記溝が、ガス吹き込み用プラグの軸方向に直角な方向の断面において、ガス流通体の外周面全周の3分の1以上に形成されている請求項1に記載のガス吹き込み用プラグ。
- 前記溝が、ガス吹き込み用プラグの軸方向に直角な方向の複数の断面において形成されている請求項1又は請求項2に記載のガス吹き込み用プラグ。
- 前記溝が、螺旋状に連続的又は断続的に形成されている請求項1に記載のガス吹き込み用プラグ。
- 前記螺旋状の溝が、この螺旋状の溝に沿ってガス流通体の外周面を1周する1周線の3分の1以上に形成されている請求項4に記載のガス吹き込み用プラグ。
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Cited By (1)
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---|---|---|---|---|
CN105789494A (zh) * | 2015-01-08 | 2016-07-20 | 韩国科学技术研究院 | 极度可变形结构及由其制成的锂二次电池 |
-
2007
- 2007-04-24 JP JP2007113819A patent/JP2008264851A/ja active Pending
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CN105789494A (zh) * | 2015-01-08 | 2016-07-20 | 韩国科学技术研究院 | 极度可变形结构及由其制成的锂二次电池 |
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