JP2008262218A - 光部品とその製法及び光部品加工用具とその製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光結合効率が高い光モジュールを低コストで実現可能な光部品とその製法及び光部品加工用具とその製法を提供する。
【解決手段】ミラーユニット10は、開口部12A及び位置決め孔12a,12bを有する平坦部12と、開口部14A及び位置決め孔14a,14bを有し、平坦部12からほぼ直角に折り曲げられた支持部14と、ミラーM1〜M8の光反射面がいずれも内側を向くようにして支持部14から折り曲げられたミラー部16とを備えている。M1等の各ミラーは、開口部12A側に配置された光素子と開口部14A側に配置された光ファイバとを光結合するのに用いられる。ミラーユニット10を製作する際には、平坦部12、支持部14及びミラー部16を有する金属板をメッキ処理等の薄膜プロセスにより形成した後、金属板を図示のように折り曲げる。M1等の各ミラーの光反射面は、楕円面状凹曲面にするとよい。
【選択図】図1
【解決手段】ミラーユニット10は、開口部12A及び位置決め孔12a,12bを有する平坦部12と、開口部14A及び位置決め孔14a,14bを有し、平坦部12からほぼ直角に折り曲げられた支持部14と、ミラーM1〜M8の光反射面がいずれも内側を向くようにして支持部14から折り曲げられたミラー部16とを備えている。M1等の各ミラーは、開口部12A側に配置された光素子と開口部14A側に配置された光ファイバとを光結合するのに用いられる。ミラーユニット10を製作する際には、平坦部12、支持部14及びミラー部16を有する金属板をメッキ処理等の薄膜プロセスにより形成した後、金属板を図示のように折り曲げる。M1等の各ミラーの光反射面は、楕円面状凹曲面にするとよい。
【選択図】図1
Description
この発明は、光素子と光ファイバ又は光ファイバ同士を光結合する際に用いられる光部品とその製法及び光部品加工用具とその製法に関するものである。
従来、光素子と光ファイバを光結合する光モジュールとしては、図59に示すものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
図59に示す光モジュールにおいて、光モジュール基板1の一方の主面にはセラミック製の光回路基板2が設けられると共に、基板2の上面には電子回路3及び光素子4が設けられている。基板2において光素子4の下方に位置する端部には、研削研磨加工により傾斜角が45°の光反射面2Aが形成されている。
基板1の一方の主面には、光ケーブル6を保持する光コネクタ5が設けられている。光ケーブル6は、光ファイバ6Aを有する。光コネクタ5は、光ファイバ6Aの先端が基板2の光反射面2Aと光結合可能なように配置されている。
光素子4が発光素子である場合、光素子4から射出された光は、光反射面2Aで反射されて光ファイバ6Aに入射する。光素子4が受光素子である場合、光ファイバ6Aから射出された光は、光反射面2Aで反射されて光素子4に入射する。光反射面2Aには、反射機能を高めるため鏡面加工を施したり、Ni,Au等の反射性金属膜をメッキ、蒸着又は貼付等の方法で被着したりしてもよく、あるいは集光機能を持たせるため凹面加工を施してもよい。
上記した従来技術によると、次の(イ)〜(ハ)のような問題点がある。
(イ)光反射面に凹面加工を施して集光機能を持たせることで光結合効率を改善可能である。しかし、直径10μm程度の光源と直径10μm程度の受光素子とを凹面状の光反射面を介して光結合する場合には、凹面状の光反射面で生ずる非点収差を無視できない。上記した従来技術では、このような非点収差を補正する手段がなく、高い光結合効率を得るのが困難である。
(ロ)傾斜角45°の光反射面2Aは、セラミック材に研削研磨加工を施して形成される。研削研磨加工では、加工精度が±0.5度程度と低いため、光反射面2Aの角度等のばらつきが大きい。また、鏡面加工を行なうには、45°の斜面に沿う研削方向(砥石の回転方向)に直交する方向に研磨して研削による凹凸傷を小さくしていく必要があるが、光反射面2Aが存在する凹部内でこのような研磨作業を行なうのは困難である。その上、光反射部2Aが存在する凹部内にメッキ、蒸着又は貼付等の方法で光反射性の金属膜を被着したり、凹面加工を施したりするのも困難である。従って、光結合効率が高い光モジュールを実現するのは容易でない。
(ハ)光モジュールを組立てる際には、光素子4と光ファイバ6Aとが光反射面2Aを介して光軸を合わせるように光素子4と基板2と光コネクタ5とで位置関係を調整する必要がある。このような光軸合せ作業においては、位置合せ精度として±1μmより小さい精度が要求されるので、高精度且つ高価な調芯装置を用いて光軸合せを行なうことになり、コスト増大を招く。また、基板2及び光コネクタ5は、基板1の上面に接着剤を用いて接着・固定することになり、単なる接着では信頼性が低い。
この発明の目的は、高い光結合効率を得ることができる新規な光部品とその製法を提供することにある。
この発明の他の目的は、光結合効率が高い光モジュールを低コストで実現することができる立体的な光部品とその製法及び立体的な光部品加工用具とその製法を提供することにある。
この発明に係る第1の光部品は、光反射面を有する光部品であって、
光の入射・反射方向に沿う長軸方向の曲率半径より該長軸方向に直交する短軸方向の曲率半径が小さい楕円面状凹曲面により前記光反射面を構成したことを特徴とするものである。
光の入射・反射方向に沿う長軸方向の曲率半径より該長軸方向に直交する短軸方向の曲率半径が小さい楕円面状凹曲面により前記光反射面を構成したことを特徴とするものである。
第1の光部品によれば、光の入射・反射方向に沿う長軸方向の曲率半径より短軸方向の曲率半径が小さい楕円面状凹曲面により光反射面を構成したので、光反射面で生ずる非点収差を補正することができ、高い光結合効率が得られる。
この発明に係る光部品の第1の製法は、
基板の一方の主面に楕円状の平面形状を有するレジスト層を形成する工程と、前記レジスト層に加熱リフロー処理を施して前記レジスト層に楕円面状凸曲面を付与する工程と、
前記加熱リフロー処理の後、前記レジスト層を覆って前記基板の一方の主面にメッキ下地層を形成する工程と、
前記レジスト層に重なるように前記メッキ下地層の上に光反射性の金属をメッキして該金属からなる金属板を形成する工程であって、前記金属板としては、前記レジスト層の楕円面状凸曲面に対応する楕円面状凹曲面を光反射面として有する金属板を形成する工程と、
前記メッキ下地層を除去して前記金属板を前記基板から分離する工程と
を含むものである。
基板の一方の主面に楕円状の平面形状を有するレジスト層を形成する工程と、前記レジスト層に加熱リフロー処理を施して前記レジスト層に楕円面状凸曲面を付与する工程と、
前記加熱リフロー処理の後、前記レジスト層を覆って前記基板の一方の主面にメッキ下地層を形成する工程と、
前記レジスト層に重なるように前記メッキ下地層の上に光反射性の金属をメッキして該金属からなる金属板を形成する工程であって、前記金属板としては、前記レジスト層の楕円面状凸曲面に対応する楕円面状凹曲面を光反射面として有する金属板を形成する工程と、
前記メッキ下地層を除去して前記金属板を前記基板から分離する工程と
を含むものである。
光部品の第1の製法によれば、楕円状の平面形状を有するレジスト層に加熱リフロー処理を施してレジスト層に楕円面状凸曲面を付与した後、レジスト層を覆ってメッキ下地層を形成する。そして、メッキ下地層の上に光反射性の金属をメッキして該金属からなる金属板を形成する。この場合、金属板は、レジスト層の楕円面状凸曲面に対応する楕円面状凹曲面を光反射面として有するように形成し、この後、メッキ下地層を除去して金属板を基板から分離する。分離された金属板は、前述した第1の光部品として使用可能なものである。従って、第1の光部品を薄膜プロセスにより簡単に且つ精度良く製作可能である。
この発明に係る光る部品の第2の製法は、
基板の一方の主面に楕円状の平面形状を有するレジスト層を形成する工程と、
前記レジスト層に加熱リフロー処理を施して前記レジスト層に楕円面状凸曲面を付与する工程と、
前記加熱リフロー処理の後、前記レジスト層をマスクとするドライエッチング処理を前記基板の一方の主面に施して前記基板の一方の主面に前記レジスト層の楕円面状凸曲面と同様の楕円面状凸曲面を有する凸部を形成する工程と、
前記凸部を覆って前記基板の一方の主面にメッキ下地層を形成する工程と、
前記凸部に重なるように前記メッキ下地層の上に光反射性の金属をメッキして該金属からなる金属板を形成する工程であって、前記金属板としては、前記凸部の楕円面状凸曲面に対応する楕円面状凹曲面を光反射面として有する金属板を形成する工程と、
前記メッキ下地層を除去して前記金属板を前記基板から分離する工程と
を含むものである。
基板の一方の主面に楕円状の平面形状を有するレジスト層を形成する工程と、
前記レジスト層に加熱リフロー処理を施して前記レジスト層に楕円面状凸曲面を付与する工程と、
前記加熱リフロー処理の後、前記レジスト層をマスクとするドライエッチング処理を前記基板の一方の主面に施して前記基板の一方の主面に前記レジスト層の楕円面状凸曲面と同様の楕円面状凸曲面を有する凸部を形成する工程と、
前記凸部を覆って前記基板の一方の主面にメッキ下地層を形成する工程と、
前記凸部に重なるように前記メッキ下地層の上に光反射性の金属をメッキして該金属からなる金属板を形成する工程であって、前記金属板としては、前記凸部の楕円面状凸曲面に対応する楕円面状凹曲面を光反射面として有する金属板を形成する工程と、
前記メッキ下地層を除去して前記金属板を前記基板から分離する工程と
を含むものである。
光部品の第2の製法によれば、楕円状の平面形状を有するレジスト層に加熱リフロー処理を施してレジスト層に楕円面状凸曲面を付与した後、レジスト層をマスクとするドライエッチング処理により基板の一方の主面にレジスト層の楕円面状凸曲面と同様の楕円面状凸曲面を有する凸部を形成する。そして、凸部を覆ってメッキ下地層を形成した後、メッキ下地層の上に光反射性の金属をメッキして該金属からなる金属板を形成する。この場合、金属板は、凸部の楕円面状凸曲面に対応する楕円面状凹曲面を光反射面として有するように形成し、この後、メッキ下地層を除去して金属板を基板から分離する。分離された金属板は、前述した第1の光部品として使用可能なものである。従って、第1の光部品を薄膜プロセスにより簡単に且つ精度良く製作可能である。
この発明に係る第2の光部品は、金属からなる光部品であって、
互いに対向する2つの主面を有し、一方の主面にて平面上に配置されるべき平坦部と、
互いに対向する2つの主面を有し、前記平坦部と一体をなす支持部であって前記平坦部の他方の主面に近づくように折り曲げられたものと、
互いに対向する2つの主面を有すると共に少なくとも一方の主面に光反射面を有し、前記支持部と一体をなすミラー部であって前記支持部のいずれか一方の主面に近づくように折り曲げられたものと
を備えたものである。
互いに対向する2つの主面を有し、一方の主面にて平面上に配置されるべき平坦部と、
互いに対向する2つの主面を有し、前記平坦部と一体をなす支持部であって前記平坦部の他方の主面に近づくように折り曲げられたものと、
互いに対向する2つの主面を有すると共に少なくとも一方の主面に光反射面を有し、前記支持部と一体をなすミラー部であって前記支持部のいずれか一方の主面に近づくように折り曲げられたものと
を備えたものである。
第2の光部品によれば、ミラー部を支持部の2つの主面のうちいずれか一方の主面に近づくように折り曲げると共に、光反射面をミラー部の2つの主面のうち少なくとも一方の主面に設ける構成にしたので、反射態様としては、支持部の一方の主面側においてミラー部の少なくとも一方の主面の光反射面により反射する態様を利用してもよく、あるいは支持部の他方の主面側においてミラー部の少なくとも一方の主面の光反射面により反射する態様を利用してもよい。また、平坦部、支持部及びミラー部をいずれも金属製で板状にすると共に、互いに一体をなす構成にしたので、このような金属板は、メッキ処理等を含む薄膜プロセスにより寸法精度良く(サブミクロンの精度で)作成可能であり、作成した金属板を2個所で折り曲げるだけで簡単に第2の光部品を作成することができる。
第2の光部品においては、平坦部に複数の位置決め孔を設けてもよい。各位置決め孔は、薄膜プロセスにより位置精度良く(サブミクロン精度で)形成可能である。従って、高価な調芯装置を用いなくても、各位置決め孔にピンを嵌合させるだけで簡単に且つ高精度で他の光部品と位置合せを行なうことができ、各位置決め孔にピンを嵌合させた状態で接着・固定を行なうことで信頼性も向上する。平坦部には、各位置決め孔の代りに位置決め突起を設け、他の光部品の嵌合孔に嵌合させるようにしてもよく、位置決め孔の場合と同様の作用効果が得られる。
第2の光部品において、前記平坦部の他方の主面に対して前記支持部がほぼ直角をなすように前記支持部を折り曲げ、前記ミラー部において前記平坦部の他方の主面側の主面に前記光反射面を設け、前記ミラー部が前記平坦部及び前記支持部と共に三角柱状の空間を形成するように前記ミラー部を折り曲げ、前記平坦部及び前記支持部のいずれにおいても前記光反射面に対応する部分に光結合用の開口部を設けてもよい。このようにすると、三角柱状の空間を光伝送空間とするコンパクトな光部品を実現することができる。すなわち、この光部品では、平坦部の開口部に配置した一方の光部品と支持部の開口部に配置した他方の光部品とを三角柱状の空間内に存在する光反射面を介して高い光結合効率で光結合することができる。この場合、平坦部及び支持部のいずれにも複数の位置決め孔又は位置決め突起を設けるか又は平坦部及び支持部のうち一方に複数の位置決め孔を且つ他方に複数の位置決め突起をそれぞれ設けるようにしてもよい。このようにすると、一方及び他方の光部品との位置合せを簡単に且つ高精度で行なうことができ、信頼性の向上も可能になる。
この発明に係る第3の光部品は、金属からなる光部品であって、
互いに対向する2つの主面を有し、一方の主面にて平面上に配置されるべき平坦部と、
互いに対向する2つの主面を有すると共に少なくとも一方の主面に光反射面を有し、前記平坦部と一体をなすミラー部であって前記平坦部の他方の主面に近づくように折り曲げられたものと
を備えたものである。
互いに対向する2つの主面を有し、一方の主面にて平面上に配置されるべき平坦部と、
互いに対向する2つの主面を有すると共に少なくとも一方の主面に光反射面を有し、前記平坦部と一体をなすミラー部であって前記平坦部の他方の主面に近づくように折り曲げられたものと
を備えたものである。
第3の光部品によれば、ミラー部を平坦部の他方の主面に近づくように折り曲げると共に、光反射面をミラー部の2つの主面のうち少なくとも一方の主面に設ける構成にしたので、反射態様としては、平坦部の他方の主面側においてミラー部の少なくとも一方の主面の光反射面により反射する態様を利用することができる。また、平坦部及びミラー部はいずれも金属製で板状にすると共に、互いに一体をなす構成にしたので、このような金属板は、メッキ処理等を含む薄膜プロセスにより寸法精度良く(サブミクロンの精度で)作成可能であり、作成した金属板を1個所で折り曲げるだけで簡単に第3の光部品を作成することができる。
第3の光部品において、前記ミラー部が前記平坦部の他方の主面に対してほぼ直角をなすように前記ミラー部を折り曲げ、前記平坦部には前記光反射面を介して光結合されるべき複数の光ファイバをそれぞれ保持するための複数の保持部を設けてもよい。このようにすると、複数の光ファイバをそれぞれ保持する複数の保持部を薄膜プロセスにより位置精度良く(サブミクロンの精度で)形成できるので、ミラー部に対して複数の光ファイバを簡単に且つ高精度で位置合せすることができ、高い光結合効率が得られる。第3の光部品において、平坦部に複数の位置決め孔又は位置決め突起を設けると、他の光部品との位置合せを簡単に且つ高精度で行なうことができ、信頼性の向上も可能になる。
第2又は第3の光部品において、光の入射・反射方向に沿う長軸方向の曲率半径より該長軸方向に直交する短軸方向の曲率半径が小さい楕円面状凹曲面により光反射面を構成してもよい。このようにすると、高い光結合効率が得られる。
この発明に係る第4の光部品は、金属からなる光部品であって、
互いに対向する2つの主面を有し、一方の主面にて平面上に配置されるべき第1の平坦部と、
互いに対向する2つの主面を有し、一方の主面にて平面上に配置されるべき第2の平坦部と、
互いに対向する2つの主面を有し、前記第1の平坦部と一体をなす第1のミラー部であって前記第1の平坦部の他方の主面側の主面に第1の光反射面を有し、前記第1の平坦部の他方の主面に近づくように折り曲げられたものと、
互いに対向する2つの主面を有し、前記第2の平坦部と一体をなす第2のミラー部であって前記第2の平坦部の他方の主面側の主面に第2の光反射面を有し、前記第2の平坦部の他方の主面に近づくように折り曲げられ、前記第1のミラー部と直接又は連結部を介して一体をなすものと
を備えたものである。
互いに対向する2つの主面を有し、一方の主面にて平面上に配置されるべき第1の平坦部と、
互いに対向する2つの主面を有し、一方の主面にて平面上に配置されるべき第2の平坦部と、
互いに対向する2つの主面を有し、前記第1の平坦部と一体をなす第1のミラー部であって前記第1の平坦部の他方の主面側の主面に第1の光反射面を有し、前記第1の平坦部の他方の主面に近づくように折り曲げられたものと、
互いに対向する2つの主面を有し、前記第2の平坦部と一体をなす第2のミラー部であって前記第2の平坦部の他方の主面側の主面に第2の光反射面を有し、前記第2の平坦部の他方の主面に近づくように折り曲げられ、前記第1のミラー部と直接又は連結部を介して一体をなすものと
を備えたものである。
第4の光部品によれば、第1のミラー部を第1の平坦部の他方の主面に近づくように折り曲げると共に、第1の光反射面を第1のミラー部において第1の平坦部の他方の主面側の主面に設け、しかも第2のミラー部を第2の平坦部の他方の主面に近づくように折り曲げると共に、第2の光反射面を第2のミラー部において第2の平坦部の他方の主面側の主面に設ける構成にしたので、反射態様としては、第1の平坦部の他方の主面側において第1のミラー部の第1の光反射面により反射する態様を利用してもよく、あるいは第2の平坦部の他方の主面側において第2のミラー部の第2の光反射面により反射する態様を利用してもよい。また、第1の平坦部、第1のミラー部、第2のミラー部及び第2の平坦部をいずれも金属製で板状にすると共に、互いに一体をなす構成にしたので、このような金属板は、メッキ処理等を含む薄膜プロセスにより寸法精度良く(サブミクロンの精度で)作成可能であり、作成した金属板を3又は4個所で折り曲げるだけで簡単に第4の光部品を製作することができる。
第4の光部品においては、第1又は第2の平坦部のいずれかに複数の位置決め孔又は位置決め突起を設けるかあるいは第1及び第2の平坦部にそれぞれ1以上の位置決め孔又は位置決め突起を設けてもよい。このようにすると、他の光部品との位置合せを簡単に且つ高精度で行なうことができ、信頼性の向上も可能となる。また、光の入射・反射方向に沿う長軸方向の曲率半径より該長軸方向に直交する短軸方向の曲率半径が小さい楕円面状凹曲面により第1及び第2の光反射面のうち少なくとも一方を構成してもよい。このようにすると、高い光結合効率が得られる。
この発明に係る光部品の第3の製法は、
ミラー部を有する金属板を薄膜プロセスにより作成する工程と、
前記金属板を1又は複数個所で折り曲げることにより前記ミラー部を有する立体的な光部品を作成する工程と
を含むものである。
ミラー部を有する金属板を薄膜プロセスにより作成する工程と、
前記金属板を1又は複数個所で折り曲げることにより前記ミラー部を有する立体的な光部品を作成する工程と
を含むものである。
光部品の第3の製法によれば、光反射性が良好なミラー部を有する立体的な光部品を高精度且つ低コストで製作することができる。また、金属板を作成する工程では、金属板において折り曲げの際に角が生ずべき部分に凹状溝を形成するのが望ましい。このようにすると、凹状溝の位置で簡単に且つ正確に折り曲げを行なえる。さらに、金属板を作成する工程では、前述した光部品の第1又は第2の製法を採用することにより光反射面として楕円面状凹曲面を形成してもよい。このようにすると、光結合効率が高い立体的な光部品を簡単に且つ精度良く製作可能である。
この発明に係る光部品加工用具は、金属からなる光部品加工用具であって、
互いに対向する2つの主面を有し、一方の主面にて平面上に配置されるべき平坦部と、
前記平坦部と一体をなす端面当接部であって前記平坦部の一方の主面側に折り曲げられて前記平坦部と共に角部を形成するものと
を備え、前記平坦部と前記端面当接部とにまたがるように前記角部に加工用の貫通孔を設けたものである。
互いに対向する2つの主面を有し、一方の主面にて平面上に配置されるべき平坦部と、
前記平坦部と一体をなす端面当接部であって前記平坦部の一方の主面側に折り曲げられて前記平坦部と共に角部を形成するものと
を備え、前記平坦部と前記端面当接部とにまたがるように前記角部に加工用の貫通孔を設けたものである。
この発明の光部品加工用具によれば、端面当接部を平坦部の一方の主面側に折り曲げて角部を形成すると共に、平坦部と端面当接部とにまたがるように角部に加工用の貫通孔を設けたので、この光部品加工用具を光部品の角部にかぶせた状態で貫通孔を介して部品の角部に例えばスパッタ法による金属被着等の加工を施すことができる。また、平坦部及び端面当接部をいずれも金属製で板状にすると共に、互いに一体をなす構成にしたので、このような金属板は、メッキ処理等を含む薄膜プロセスにより寸法精度良く(サブミクロンの精度で)作成可能であり、作成した金属板を1個所で折り曲げるだけで簡単に光部品加工用具を製作することができる。
この発明の光部品加工用具において、端面当接部には複数の位置決め孔を設けてもよい。このようにすると、光部品との位置合せを簡単に且つ高精度で行なうことができる。
この発明に係る光部品加工用具の製法は、
一方の主面から他方の主面に貫通する加工用の貫通孔を有する金属板を薄膜プロセスにより作成する工程と、
前記貫通孔を横切るように前記金属板を折り曲げて立体的な光部品加工用具を作成する工程と
を含むものである。
一方の主面から他方の主面に貫通する加工用の貫通孔を有する金属板を薄膜プロセスにより作成する工程と、
前記貫通孔を横切るように前記金属板を折り曲げて立体的な光部品加工用具を作成する工程と
を含むものである。
この発明の光部品加工用具の製法によれば、加工用の貫通孔を有する立体的な光部品加工用具を高精度且つ低コストで製作することができる。また、金属板を作成する工程では、金属板において折り曲げの際に角が生ずるべき部分に凹状溝を形成するとよい。このようにすると、凹状溝の位置で簡単に且つ正確に折り曲げを行なえる。
図1は、この発明の第1の実施形態に係るミラーユニットを示すもので、このミラーユニットの使用状態におけるA−A'線断面及びB−B'線断面は、それぞれ図2及び図3に示されている。
ミラーユニット10は、Ni−Fe合金等の光反射性の金属からなるもので、平坦部12と、支持部14と、ミラー部16とを備えている。平坦部12は、互いに対向する2つの主面を有する長方形状且つ板状のもので、一端及び他端の近傍には位置決め孔12a,12bがそれぞれ設けられると共に、孔12a,12Bの間には細長い光結合用の開口部12Aが設けられている。孔12a,12b及び開口部12Aは、いずれも平坦部12の一方の主面から他方の主面に貫通するように形成されている。平坦部12は、一方の主面(図1では下面)にて平面上に配置されるべきもので、平坦部12の開口部12Aには、図2に例示するように光部品が配置される。
支持部14は、互いに対向する2つの主面を有する長方形状且つ板状のもので、一端及び他端の近傍には位置決め孔14a,14bがそれぞれ設けられると共に、孔14a,14bの間には細長い光結合用の開口部14Aが設けられている。孔14a,14b及び開口部14Aは、いずれも支持部14の一方の主面から他方の主面に貫通するように形成されている。支持部14は、平坦部12と一体をなすもので、平坦部12の他方の主面に近づくようにほぼ直角(90°)に折り曲げられている。支持部14の一方の主面(図1では右側の面)には、図2,3に例示するように光部品が配置され、開口部14Aを介して光が伝送される。
ミラー部16は、互いに対向する2つの主面を有する長方形状且つ板状のもので、長さ方向に沿って一列状に配置された8個のミラーM1〜M8を有する。M1等の各ミラーは、図2でミラーM5について代表的に示すようにミラー部16の一方の主面(図2では外面)にて球面状凸曲面をなすと共にミラー部16の他方の主面(図2では内面)にて球面状凹曲面をなすように形成されており、球面状凹曲面が光反射面M50を構成している。ミラー部16は、支持部14と一体をなす(支持部14に支持された)もので、支持部14の他方の主面に近づくように約45°の角度で折り曲げられている。すなわち、ミラー部16は、平坦部12及び支持部14と共に光伝送空間としての三角柱状の空間を形成するように折り曲げられており、三角柱状の空間では、開口部12Aに配置した一方の光部品と、開口部14Aに配置した他方の光部品とをミラーM1〜M8を介して光結合可能である。
上記したミラーユニット10について寸法例を示すと、次の通りである。平坦部12の幅aは2mm、支持部14の高さbは2mm、支持部14の長さcは6.5mm、位置決め孔14a,14bの中心間の距離dは4.6mm、ミラー部16の長さeは2.5mm、位置決め孔12a,12b,14a,14bの直径はいずれも0.7mmとすることができる。平坦部12の長さは、支持部14の長さcと等しくし、位置決め孔12a,12bの中心間の距離は、位置決め孔14a,14bの中心間の距離dと等しくすることができる。
図1に関して上記したミラーユニット10は、図4〜7に関して後述するようにメッキ処理等を含む薄膜プロセスにより簡単に且つ高精度で作成可能であり、M1等のミラーとしても、光反射性が良好なものが得られる。
図2,3は、上記したミラーユニット10を用いた光モジュールの一例を示すものである。金属又はセラミック等からなる実装基板20の一方の主面において平坦部12の開口部12Aに対応する領域には、図2に示すように光素子26が配置されている。光素子26としては、面発光レーザーダイオード等の発光素子又はホトダイオード等の受光素子を用いることができる。
基板20の一方の主面において光素子26を配置した領域の一方側には、平坦部12の位置決め孔12aに対応する位置決めピン28aが設けられており、光素子26を配置した領域の他方側にも同様にして平坦部12の位置決め孔12bに対応する位置決めピン(図示せず)が設けられている。これらの位置決めピンに平坦部12の位置決め12a,12bをそれぞれ嵌合させることにより基板20上で光素子26に対してミラーユニット10を高精度で位置合せし、このような位置合せ状態において接着等によりミラーユニット10を基板20に固定する。基板20を金属で構成した場合には、半田付け、レーザー溶接等の信頼性の高い固定手段を用いることができる。また、光素子26と光ファイバ端面との間の空間は、通常、空気で満たされるが、該空間に光に対する透明体(エポキシ樹脂等)を充填してもよい。
基板20の一方の主面において支持部14の開口部14A側には、多芯光ファイバ24を保持する光コネクタ22が配置される。光コネクタ22は、各々セラミック等からなる上方の押え板22A及び下方の保持板22Bを備えたもので、多芯光ファイバ24の被覆部EVから突出した8本の光ファイバと被覆部EVの端部とを押さえ板22A及び保持板22Bの間に挟んで接着・固定する構成になっている。図2には、8本の光ファイバのうちミラーM5に対応する光ファイバF5が押え板22A及び保持板22Bの間に挟まれて固定された状態が示されている。
光コネクタ22には、図3に示すように支持部14の位置決め孔14aに対応する位置決めピン22aがスライド自在に設けられており、同様にして支持部14の位置決め孔14bに対応する位置決めピン(図示せず)も設けられている。これらの位置決めピンを支持部14の位置決め孔14a,14bにそれぞれ嵌合させることによりミラーユニット10に対して光コネクタ22を高精度で位置合せし、このような位置合せ状態において光コネクタ22をミラーユニット10及び基板20に接着等により固定する。なお、光コネクタ22にミラーユニット10を固定した後、ミラーユニット10及び光コネクタ22を基板20に固定してもよい。
12a等の各位置決め孔の位置精度は、±0.2μm以下であり、22a又は28a等の各位置決めピンと貫通孔との間のクリアランスは、±0.3μm程度である。このため、ミラーユニット10と光コネクタ22、光素子26等の光部品とを高価な調芯装置を用いることなく簡単に且つ±1μm以下の精度で位置合せし、光結合することができる。
光素子26が発光素子からなっている場合、図2に示すように光素子26の発光部26aから射出された光は、ミラーM5で集光・反射されて光ファイバF5の一端に入射する。光素子26が受光素子からなっている場合、図2に示すように光ファイバF5の一端から射出された光は、ミラーM5で集光・反射されて光素子26の受光部26aに入射する。このような光結合動作は、M5以外の他のミラー及びF5以外の他の光ファイバについても同様である。
上記した実施形態において、M1等の各ミラーは、凹面ミラーとしたが、これに限らず、平面ミラーとしてもよい。また、ミラー部16の折り曲げ角度は、45°に限らず、所望の光路に応じて適宜設定することができる。さらに、ミラー部16の一方の主面(図1では外面)に平面ミラーを設け、図29に関して後述するミラーユニットと同様に使用してもよい。
次に、図4〜7を参照してミラーユニット10の製法の一例を説明する。図4〜7では、図1においてB−B'線断面とA−A'線断面(開口部12A,14Aは除く)とを接続した状態に相当する断面を示す。
図4(A)の工程では、石英基板30の一方の主面(基板30の上面)に位置合せマーク形成パターン32aを有するレジスト層32をホトリソグラフィ処理により形成する。そして、基板30の上面には、レジスト層32を覆ってCr層34をスパッタ法により形成することによりCrからなる位置合せマーク34aを形成する。このときのCr層34の厚さは、300nmとすることができる。
図4(B)の工程では、薬液処理等によりレジスト層32をその上のCr層34と共に除去し、位置合せマーク34aを残存させる。そして、基板30の一方の主面には、凹曲面ミラー形成用のレジスト層36をホトリソグラフィ処理により形成する。このときのホトリソグラフィ処理では、位置合せマーク34aを基準として処理を行なう。
図4(C)の工程では、レジスト層36に加熱リフロー処理を施すことによりレジスト層36の表面が球面状凸曲面をなすようにする。
図5(D)の工程では、基板30の上面に位置合せマーク34a及びレジスト層36を覆ってCr層及びCu層を順次にスパッタ法で堆積することによりCu/Cr積層(Cr層にCu層を重ねた積層)38を形成する。このとき、Cr層及びCu層の厚さは、それぞれ30nm及び300nmとすることができる。Cr層は、Cu層の密着性を向上させるためのものであり、Cu層は、メッキ下地層として利用されるものである。
図5(E)の工程では、Cu/Cr積層38の上にレジスト層40a,41aをホトリソグラフィ処理により形成する。このときのホトリソグラフィ処理では、位置合せマーク34aを基準として処理を行なう。レジスト層40a,41aは、図6(I)に示す位置決め孔12a,14aにそれぞれ対応して設けられるもので、対応する孔12a,14aにおいて開口端に進むにつれてサイズが増大するのを可能にするため、対応する孔12a,14aより若干大きなサイズをそれぞれ有するように形成する。
次に、Cu/Cr積層38の上にレジスト層42をホトリソグラフィ処理により形成すると共に、このときのホトリソグラフィ処理を流用してレジスト層40a,41aの上にレジスト層42a,43aをそれぞれ形成する。このときのホトリソグラフィ処理では、位置合せマーク34aを基準として処理を行なう。レジスト層42は、図1のミラーユニット10の折り曲げ前の状態に相当する金属板の外形に対応する孔42Aを有するように形成する。レジスト層42a,43aは、図6(I)に示す位置決め孔12a,14aをそれぞれ形成するために設けられるもので、対応する孔12a,14aに相当するサイズをそれぞれ有するように形成する。
図5(F)の工程では、レジスト層40a,41a,42,42a,43aをマスクとするNi−Fe合金の選択メッキ処理によりNi−Fe合金からなる金属層44をCu/Cr積層38の上に形成する。このとき、金属層44の厚さは、50μm程度とすることができる。レジスト層42aの周囲ではレジスト層40aの存在によりメッキ成長が遅れるため、位置決め孔12aは開口端に進むにつれてサイズが増大するように形成され、同様にして位置決め孔14aも開口端に進むにつれてサイズが増大するように形成される。金属層44は、レジスト層36に対応する個所にミラーM5を有するように形成される。ミラーM5の光反射面M50としては、レジスト層36の球面状凸曲面に対応して球面状凹曲面からなるものが得られる。
図6(G)の工程では、金属層44の上面にレジスト層46a,46bをホトリソグラフィ処理により形成する。このときのホトリソグラフィ処理では、位置合せマーク34aを基準として処理を行なう。レジスト層46a,46bは、図7(J),(K)に示す折り曲げ用の凹状溝48a,48bをそれぞれ形成するために設けられるものである。
図6(H)の工程では、レジスト層42,42a,43a,46a,46bをマスクとするNi−Fe合金の選択メッキ処理によりNi−Fe合金からなる金属層48を形成する。このとき、金属層48の厚さは、30μm程度とすることができる。金属層48は、レジスト層46a,46bにそれぞれ対応して凹状溝48a,48bを有するように形成される。位置決め孔12a,14aは、いずれも金属層44に関して前述したと同様にして金属層48のメッキ成長に伴って開口端に進むにつれてサイズが増大するように形成される。金属層44,48の積層は、図1のミラーユニット10の折り曲げ前の状態に相当する金属板10Aを構成する。
図6(I)の工程では、薬液処理等によりレジスト層46a,46b,42,42a,43a,40a,41aを除去し、金属板10Aを残存させる。金属板10Aは、位置決め孔12a,14a、凹状溝48a,48b、ミラーM5を有し、この他にも図1に示したように位置決め孔12b,14b、開口部12A,14A,ミラーM1〜M4,M6〜M8を有する。位置決め孔12b,14bは、位置決め孔12a,14aと同様にして形成され、ミラーM1〜M4,M6〜M8は、ミラーM5と同様にして形成される。開口部12A,14Aは、図5(E)の工程でレジスト層42の孔42A内に開口部12A,14Aにそれぞれ対応するレジスト層を形成した後、図5(F)〜図6(I)の工程を上記のように実行することにより形成される。
図7(J)の工程では、Cu/Cr積層38のうちCu層をエッチング処理により除去することにより基板30から金属板10Aを分離する。位置合せマーク34a、レジスト層36及びCr層38aを有する基板30は、図5(D)の工程に戻ってCu層をスパッタ法で形成することにより再使用することができる。
図7(K)の工程では、図7(J)の工程で得られた金属板10Aを凹状溝48aの位置で溝48aとは反対側に角度α=90°折り曲げると共に、凹状溝48bの位置で溝48b側とは反対側に角度β=45°折り曲げる。図7(K)は、このように金属板10Aを折り曲げて構成したミラーユニット10をミラー部16が左上に位置する状態で示したものである。ミラーユニット10は、位置決めピン28aに嵌合されるべき位置決め孔12aを有する平坦部12と、位置決めピン22aが嵌合されるべき位置決め孔14aを有する支持部14と、ミラーM5(光反射面M50)を有するミラー部16とを備えている。なお、金属板10Aを折り曲げる前にミラーM5の光反射面M50にAu,Pt,SiO2,Al2O3等の高反射率膜をスパッタ法等により被着すると、光反射面M50の光反射性が一層向上する。
図4〜7に関して上記した製法によれば、ミラーユニット10を簡単に且つサブミクロンの精度で製作することができる。また、48a等の凹状溝の位置で折り曲げるようにしたので、折り曲げを簡単に且つ正確に行なえる。さらに、12a等の位置決め孔を開口端に進むにつれてサイズが増大するように形成したので、28a等の位置決めピンとの嵌合が容易になると共に精密な嵌合が可能になる。なお、28a等の位置決めピンの先端部を図7(K)に示すように面取りしておくと、12a等の位置決め孔への挿入が一層容易となる。
図8は、光反射面を用いた光結合系の一例を示すものである。Maは、上記した光反射面M50のように球面状凹曲面からなる光反射面、LSは、開口数NA=0.144,波長=1550nmのガウシアン光源(シングルモード光ファイバ等に相当)、ISは、結像面である。光源LSから射出された光は、光反射面Maに入射角45°で水平方向から入射し、光反射面Maにて反射角45°で垂直方向に反射されて結像面ISに入射する。
光反射面Maにおいては、光の入射・反射方向に沿う曲率半径と、光の入射・反射方向に直交する方向の曲率半径とが互いに等しく、0.7008mmである。また、光源LSから光反射面Maの中心までの距離L1と、光反射面Maの中心から結像面ISまでの距離L2とが互いに等しく、0.5mmである。結像面ISにおいて、結像位置には、モード半径5.2μmのシングルモード光ファイバが入射光を受取るように配置されている。
このような条件下において光源LSから光反射面Maを介して結像面ISに至る光結合系の光結合効率を計算したところ、光結合効率=0.16348(16.3%)が得られた。また、結像面ISにおける光ビームLBのプロファイルは、光反射面Maで発生した非点収差により図9に示すように楕円形状となった。図9では、光の強度を概略的に強、中、弱の3段階に分けて示し、B11が強領域、B12が中領域、B13が弱領域である。
図10,11は、光反射面を用いた光結合系の他の例を示すものである。この光結合系は、図8に関して前述した光結合系において、光反射面Maの代りに楕円面状凹曲面からなる光反射面Mbを用いたものに相当し、他の構成は、図8に関して前述したと同様であり、同様の部分には同様の符号を付してある。
光反射面Mbは、ラグビーボール状のトロイダル面となっており、mxは、短軸方向(X方向)に沿って中心点CPを通る内周線を示し、myは、短軸方向に直交する長軸方向(Y方向)に沿って中心点CPを通る内周線を示す。X方向の曲率半径は、0.3528mm、Y方向の曲率半径は、0.7008mmとした。光源LSから射出された光は、光反射面Mbに入射角45°で水平方向から入射し、光反射面Mbにて反射角45°で垂直方向に反射されて結像面ISに入射する。
図10,11に示す光結合系について図8に関して前述したと同様の条件で光結合効率を計算したところ、光結合効率=0.98527(98.5%)が得られた。また、結像面ISにおける光ビームLBのプロファイルは、図12に示すように円形状となった。これは、光反射面Mbにおいて、非点収差が補正されるように長軸方向の曲率半径と短軸方向の曲率半径とを最適化して(異ならせて)設定したことによるものである。図12では、光の強度を概略的に強、中、弱の3段階に分けて示し、B21が強領域、B22が中領域、B23が弱領域である。図13には、図11の結像面ISにおいて、Y方向に沿う光強度分布を示す。図13によれば、中心に近づくほど光強度が強くなるのがわかる。
図10,11に関して上記した光結合系によれば、光の入射・反射方向に沿うY方向の曲率半径よりX方向の曲率半径を小さくして非点収差を補正するようにしたので、光結合効率を顕著に改善することができる。例えば、直径10μm程度の光源と直径10μm程度の受光素子(光ファイバ等)とを光反射面にて入射角=反射角=45°で光結合する場合、図8に示したような光結合系では20%以下の低い光結合効率しか得られないが、図10,11に示したような光結合系では90%以上の高い光結合効率が得られる。
図14は、この発明の第2の実施形態に係るミラーユニットの使用状態を示すもので、図1,2と同様の部分には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。図15には、図14のミラーユニットにおいて矢印Ar方向から見た光反射面配置を示す。
図14,15に示すミラーユニット10の特徴は、第1にミラー部16において複数のミラーM11,M12…、M21,M22…、M31,M32…、M41…を行列(マトリクス)状に配置したことであり、第2にM11等の各ミラーの光反射面を楕円面状凹曲面により構成したことである。楕円面状凹曲面は、図10,11に関して前述したように光の入射・反射方向に沿う長軸方向の曲率半径より該長軸方向に直交する短軸方向の曲率半径が小さいものである。図14,15に示すように、ミラーM11,M21,M31の光反射面には、平坦部12の開口部12Aを介して光源LS1,LS2,LS3から光がそれぞれ入射角45°で入射し、同様にして他のミラーの光反射面にも光がそれぞれ入射する。ミラーM11,M21,M31の光反射面では、光がそれぞれ反射角45°で反射され、支持部14の開口部14Aを介して結像面IS1,IS2,IS3に入射する。同様にして他のミラーの光反射面でも光がそれぞれ反射され、支持部14の開口部14Aを介してそれぞれの結像面に入射する。
支持部14の開口部14A側には、多芯光ファイバ24を保持する光コネクタ22が配置される。光コネクタ22は、セラミック等からなる光ファイバホルダ22Hを備えたもので、ホルダ22Hに設けた保持孔H11,H21,H31,H41等により多芯光ファイバ24の被覆部EVから突出した光ファイバF11,F21,F31,F41等をそれぞれ保持する。ミラーユニット10は、図3に関して前述したと同様にして基板(図1の基板20に対応)及び光コネクタ22に固定される。ミラーM11,M21,M31,M41で反射された光は、支持部14の開口部14A側で光コネクタ22に保持された光ファイバF11,F21,F31,F41にそれぞれ入射する。同様にして他のミラーからの反射光も他の光ファイバにそれぞれ入射する。なお、他の使用例としては、各ミラー毎に開口部14A側から光を入射し、反射光を開口部12A側に射出するようにしてもよい。
M11等の各ミラーにおいて、光反射面のX方向(内周線mxに沿う方向)及びY方向(内周線myに沿う方向)の曲率半径や光反射面の開口径は、光源位置及び結像位置に合せて所望の高い光結合効率が得られるように決定することができる。
図16は、この発明の第3の実施形態に係るミラーユニットを示すもので、図1及び図14,15と同様の部分には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
図16に示すミラーユニット10の特徴は、第1にミラー部16において複数のミラーM11〜M18,M21〜M28を行列状に配置したことであり、第2にM11等の各ミラーの光反射面をミラーM28について代表的に示すように楕円面状凹曲面により構成したことである。楕円面状凹曲面は、図10,11に関して前述したように光の入射・反射方向に沿う長軸方向の曲率半径より該長軸方向に直交する短軸方向の曲率半径が小さいものである。ミラーM11〜M18,M21〜M28には、図14,15に関して前述したと同様に平坦部12の開口部12A側から光を入射し、各ミラー毎に反射光を支持部14の開口部14A側に射出することができる。他の使用例としては、各ミラー毎に開口部14A側から光を入射し、反射光を開口部12A側に射出するようにしてもよい。
図16に示すミラーユニット10に関して寸法例を示すと、次の通りである。平坦部12の幅aは1.2mm、支持部14の高さbは1.2mm、位置決め孔14a,14bの中心間の距離dは4.6mm、位置決め孔12a,12b,14a,14の直径はいずれも0.7mmとすることができる。ミラー部16において、M21〜M28の各ミラーの光反射面のX方向(内周線mxに沿う方向)及びY方向(内周線myに沿う方向)の曲率半径はそれぞれ0.41mm及び0.82mm、M11〜M18の各ミラーの光反射面のX方向及びY方向の曲率半径はそれぞれ0.33mm及び0.66mm、M21,M22等の隣り合うミラーのピッチ(中心間の距離)K0は0.25mmとすることができる。
図14,15又は図16に示したミラーユニット10によれば、M11等の各ミラーの光反射面を長軸方向の曲率半径より短軸方向の曲率半径が小さい楕円面状凹曲面により構成すると共に凹曲面の長軸方向に沿って光を入射し、反射させるようにしたので、非点収差が補正されて高い光結合効率が得られる。
なお、図1に示したミラーユニット10において、M1等の各ミラーの光反射面をM11等の各ミラーの光反射面と同様に楕円面状凹曲面により構成してもよい。また、図14,15又は図16に示したミラーユニット10において、ミラー配置は、行列状配置に限らず、ハニカム状配置や不規則配置等を採用してもよく、光源配置と光ファイバ端面配置とに合わせて任意の配置にすることができる。
図17は、図16のミラーユニットの変形例を示すもので、図16と同様の部分には同様の符号を付してある。図17のミラーユニット10が図16のものと異なる点は、支持部14において位置決め孔14a,14bの代りに位置決め突起15a,15bを設けたことである。図3に示した光コネクタ22において、22a等の2本の位置決めピンを抜いて出来た2つの位置決め孔に支持部14の位置決め突起15a,15bをそれぞれ嵌合させることで、ミラーユニット10を光コネクタ22に装着することができ、必要に応じて接着剤により嵌合部を固定することができる。
図17に示す平坦部12においては、位置決め孔12a,12bの代りに、位置決め突起15a,15bと同様の2つの位置決め突起を設けてもよい。このようにすると、位置決め突起15a,15bに関して前述したと同様に嵌合を利用して基板(図1の基板20に対応)にミラーユニットを装着又は固定することができる。この場合、支持部14では、位置決め突起15a,15bを設けたままでもよいし、あるいは位置決め突起15a,15bの代りに位置決め孔14a,14bを設けてもよい。
次に、図18〜21を参照して図16のミラーユニットの製法の一例を説明する。図18〜21では、図16においてB−B'線断面とA−A'線断面(開口部12A,14A及びミラーM25は除く)とを接続した状態に相当する断面を示し、図4〜7と同様の部分には同様の符号を付してある。
図18(A)の工程では、図4(A),(B)に関して前述したと同様にして石英基板30の一方の主面(基板30の上面)にCrからなる位置合せマーク34a形成する。そして、基板30の一方の主面には、凹曲面ミラー形成用のレジスト層35をホトリソグラフィ処理により形成する。レジスト層35は、図22に示すように楕円状の平面形状を有するように形成する。このときのホトリソグラフィ処理では、位置合せマーク34aを基準として処理を行なう。
図18(B)の工程では、レジスト層35に加熱リフロー処理を施すことによりレジスト層35の表面が楕円面状凸曲面をなすようにする。図23,24は、加熱リフロー処理後のレジスト層35の異なる断面を示すもので、図23は図22のx−x'線断面(短軸方向の断面)を、図24は、図22のy−y'線断面(長軸方向の断面)をそれぞれ示す。図23,24によれば、基板30側から見たレジスト層35の表面(凹曲面)では、長軸方向の曲率半径より短軸方向の曲率半径が小さいことがわかる。
図18(B)の工程では、基板30の上面にホトリソグラフィ処理によりレジスト層37a,38aを形成する。このときのホトリソグラフィ処理では、位置合せマーク34aを基準として処理を行なう。レジスト層37a,38aは、図19(D)のリフトオフ処理によりCu/Cr積層39にレジスト配置用の孔40b,41bをそれぞれ形成するために設けられるもので、図20(I)に示す位置決め孔12a,14aより若干大きなサイズ(直径)をそれぞれ有するように形成する。
図18(C)の工程では、基板30の上面に位置合せマーク34a、レジスト層35及びレジスト層37a,38aを覆ってCr層及びCu層を順次にスパッタ法で堆積することによりCu/Cr積層(Cr層にCu層を重ねた積層)39,39a,39bを形成する。Cu/Cr積層39a,39bは、それぞれレジスト層37a,38aの上に形成されたものである。このとき、Cr層及びCu層の厚さは、それぞれ30nm及び300nmとすることができる。Cr層は、Cu層の密着性を向上させるためのものであり、Cu層は、メッキ下地層として利用されるものである。
図19(D)の工程では、リフトオフ処理によりレジスト層37a,38aをCu/Cr積層39a,39bと共に除去してCu/Cr積層39にレジスト層37a,38aにそれぞれ対応した孔40b,41bを形成する。
図19(E)の工程では、Cu/Cr積層39の上にレジスト層42をホトリソグラフィ処理により形成すると共に、このときのホトリソグラフィ処理を流用して孔40b,41b内の基板表面の上にレジスト層42b,43bをそれぞれ形成する。このときのホトリソグラフィ処理では、位置合せマーク34aを基準として処理を行なう。レジスト層42は、図16のミラーユニット10の折り曲げ前の状態に相当する金属板の外形に対応する孔42Aを有するように形成する。レジスト層42b,43bは、図20(I)に示す位置決め孔12a,14aをそれぞれ形成するために設けられるもので、対応する孔12a,14aに相当するサイズをそれぞれ有するように形成する。孔40b,41bをそれぞれ孔12a,14bより若干大きなサイズを有するように形成したので、レジスト層42b,43bの周囲では、それぞれ孔40b,41bにより基板表面が環状に露呈される。
図19(F)の工程では、レジスト層42,42b,43bをマスクとするNi−Fe合金の選択メッキ処理によりNi−Fe合金からなる金属層44をCu/Cr積層39の上に形成する。このとき、金属層44の厚さは、50μm程度とすることができる。レジスト層42bの周囲ではメッキ下地の不存在によりメッキ成長が遅れるため、位置決め孔12aは開口端に進むにつれてサイズが増大するように形成され、同様にして位置決め孔14aも開口端に進むにつれてサイズが増大するように形成される。金属層44は、レジスト層35に対応する個所にミラーM15を有するように形成される。ミラーM15の光反射面MSとしては、レジスト層35の楕円面状凸曲面に対応して楕円面状凹曲面からなるものが得られる。
図20(G)の工程では、金属層44の上面にレジスト層46a,46bをホトリソグラフィ処理により形成する。このときのホトリソグラフィ処理では、位置合せマーク34aを基準として処理を行なう。レジスト層46a,46bは、図21(J),(K)に示す折り曲げ用の凹状溝48a,48bをそれぞれ形成するために設けられるものである。
図20(H)の工程では、レジスト層42,42b,43b,46a,46bをマスクとするNi−Fe合金の選択メッキ処理によりNi−Fe合金からなる金属層48を形成する。このとき、金属層48の厚さは、30μm程度とすることができる。金属層48は、レジスト層46a,46bにそれぞれ対応して凹状溝48a,48bを有するように形成される。位置決め孔12a,14aは、いずれも金属層44に関して前述したと同様にして金属層48のメッキ成長に伴って開口端に進むにつれてサイズが増大するように形成される。金属層44,48の積層は、図16のミラーユニット10の折り曲げ前の状態に相当する金属板10Aを構成する。
図20(I)の工程では、薬液処理等によりレジスト層46a,46b,42,42b,43bを除去し、金属板10Aを残存させる。金属板10Aは、位置決め孔12a,14a、凹状溝48a,48b、ミラーM15を有し、この他にも図16に示したように位置決め孔12b,14b、開口部12A,14A,ミラーM11〜M14,M16〜M18,M21〜M28を有する。位置決め孔12b,14bは、位置決め孔12a,14aと同様にして形成され、ミラーM11〜M14,M16〜M18,M21〜M28は、ミラーM15と同様にして形成される。開口部12A,14Aは、図19(E)の工程でレジスト層42の孔42A内に開口部12A,14Aにそれぞれ対応するレジスト層を形成した後、図19(F)〜図20(I)の工程を上記のように実行することにより形成される。
図21(J)の工程では、Cu/Cr積層39のうちCu層をエッチング処理により除去することにより基板30から金属板10Aを分離する。基板30上には、位置合せマーク34a、レジスト層35及びCr層39aが残存する。
図21(K)の工程では、図21(J)の工程で得られた金属板10Aを凹状溝48aの位置で溝48aとは反対側に角度α=90°折り曲げると共に、凹状溝48bの位置で溝48b側とは反対側に角度β=45°折り曲げる。図21(K)は、このように金属板10Aを折り曲げて構成したミラーユニット10をミラー部16が左上に位置する状態で示したものである。ミラーユニット10は、位置決めピン28aに嵌合されるべき位置決め孔12aを有する平坦部12と、位置決めピン22aが嵌合されるべき位置決め孔14aを有する支持部14と、ミラーM15(光反射面MS)を有するミラー部16とを備えている。なお、金属板10Aを折り曲げる前にミラーM15の光反射面MSにAu,Pt,SiO2,Al2O3等の高反射率膜をスパッタ法等により被着すると、光反射面MSの光反射性が一層向上する。
図18〜21に関して上記した製法では、レジスト層35の楕円面状凸曲面を楕円面状凹曲面として金属板10Aに転写するようにしたが、レジスト層35の楕円面状凸曲面を基板30の一方の主面に転写した後、この転写に係る楕円面状凸曲面を楕円面状凹曲面として金属板10Aに転写するようにしてもよい。
すなわち、図18(B)の加熱リフロー工程の後、レジスト層35をマスクとするドライエッチング処理を基板30の一方の主面に施してレジスト層35の楕円面状凸曲面と同様の楕円面状凸曲面を有する凸部35Aを基板30の上面30Aに形成する。このとき、位置合せマーク34aは、エッチングされないように保護層で覆っておき、ドライエッチング処理の終了後に保護層を除去する。そして、図18(B)に関して前述したように基板30の上面30Aにレジスト層37a,38aを形成する。この後は、図18(C)〜図21(K)に関して前述したと同様の処理を行なう。
図18〜21に関して上記した製法によれば、光反射面として楕円面状凹曲面を有する光結合効率が高いミラーユニット10を簡単に且つサブミクロンの精度で製作することができる。なお、位置決め孔14aの代りに図17に示した位置決め突起15aを形成するときは、図20(I)のレジスト除去工程の後、レジスト層をマスクとするNi−Fe合金の選択メッキ処理により金属層48の上に位置決め突起15aを形成する。この後、マスク用レジスト層を除去する。
図25は、この発明の第4の実施形態に係るミラーユニットを示すもので、図25のC−C'線断面及びD−D'線断面は、それぞれ図26及び図27に示されている。図28には、図25のミラーユニット50を構成するための金属板50Aの平面構造が示されている。
ミラーユニット50は、Ni−Fe合金等の光反射性の金属からなるもので、平坦部52と、保持部54A,54Bと、ミラー部62とを備えている。平坦部52は、互いに対向する2つの主面を有する板状のもので、一方の主面(図25では下面)にて平面上に配置されるべきものである。
平坦部52の他方の主面には、各々の一端がミラー部62の近傍に位置するように且つ互いに直角をなす方向に延長するように光ファイバ保持用の保持部54A,54Bが設けられている。保持部54Aは、図25〜28に示すように平坦部52の他方の主面に形成された下敷層54と、この下敷層54の上に光ファイバの直径に相当する所定の間隔を隔てて並設された溝形成層56,58とにより構成される光ファイバ保持溝を備えている。保持部54Bも、保持部54Aと同様に下敷層54及び溝形成層56,60により構成される光ファイバ保持溝を備えている。下敷層54及び溝形成層56は、いずれも保持部54A,54Bに共通に形成したが、保持部54A,54Bで別々に形成してもよい。また、下敷層54は、光ファイバとミラー部62のミラー62Aとで光軸を合わせるために設けたもので、場合によっては省略してもよい。
平坦部52において保持部54a,54bの間の直角三角形領域には、直角三角形の斜辺に沿って位置決め孔52a,52bが並設されている。位置決め孔52a,52bは、いずれも平坦部52の一方の主面から他方の主面に貫通するように形成されている。
ミラー部62は、互いに対向する2つの主面を有する方形状且つ板状のもので、平坦部52と一体をなしている。ミラー部62において平坦部52の保持部54A,54B側の主面には図25,27,28に示すように円形状且つ球面凹状の光反射面62aを有するミラー62Aが設けられている。図28に示す金属板50Aにおいて平坦部52とミラー部62との境界位置は折り曲げ位置64aとなっており、その裏側には図27に示すように折り曲げ用の凹状溝64が形成されている。金属板50Aにおいてミラー部62を図25,27,28に示すように凹状溝64の位置で平坦部52の他方の主面側にほぼ直角に折り曲げることによりミラーユニット50が構成される。
ミラーユニット50について図25〜28を参照しながら寸法例を示すと、次の通りである。平坦部52の縦方向の長さJ及び横方向の長さKはいずれも4mm、平坦部52の厚さTは0.05mm、ミラー部62の水平方向の長さP及び垂直方向の長さQはそれぞれ0.3mm及び0.27mm、ミラー62Aの光反射面62aの直径は0.15mm、52a等の位置決め孔の直径は0.7mmとすることができる。また、54A等の保持部で保持される光ファイバの直径をDとしたとき、56,58等の溝形成層間の間隔D0は直径Dにほぼ等しくし(例えばD=125μmであればD0=125.3μmとする)、56等の溝形成層の厚さ(光ファイバ保持溝の深さ)HはD/2≦H≦Dとする(例えばD=125μmであればH=0.07mmとする)ことができる。
ミラーユニット50を構成するための図28の金属板50Aは、図29〜36に関して後述するようにメッキ処理等を含む薄膜プロセスにより簡単に且つ高精度で作成可能であり、ミラー62Aとしても、光反射性が良好なものが得られる。
図25に示すミラーユニット50を使用する際には、図2、3に関して前述したと同様に実装基板上の所定の位置にミラーユニット50を位置決めし、固定する。このとき、位置決め孔52a,52bを実装基板側の位置決めピンに嵌合させることにより高精度の位置決めを行なうことができる。
次に、保持部54A,54Bに光ファイバF11,F12をそれぞれ保持させる。すなわち、保持部54A,54Bの光ファイバ保持溝にそれぞれ光ファイバF11,F12を挿入し、光ファイバF11,F12の先端位置を溝形成層58,60のミラー部62側の先端位置にそれぞれ揃える。
このような状態において、図25に示すように光ファイバF11(又はF12)に光を通すと、光ファイバF11(又はF12)の一端から射出された光は、ミラー62Aの光反射面62aで集光・反射されて光ファイバF12(又はF11)の一端に入射する。ミラーユニット50は、平坦部52、保持部54A,54B及びミラー部62を一体化して高精度で作成された光部品であるため、光ファイバF11,F12を高い光結合効率で光結合することができる。
図25〜28に関して上記した実施形態において、ミラー62Aは、球面状凹曲面ミラーとしたが、これに限らず、平面ミラーとしてもよく、あるいは図10,11に関して前述したように楕円面状凹曲面を光反射面とするミラーとしてもよい。また、ミラー部62において光反射面62aとは反対側の面に光反射面を設け、この光反射面を用いて光反射面62aとは反対側で光ファイバF11,F12と同様に光ファイバ同士を光結合するようにしてもよい。さらに、位置決め孔52a,52bの代りに複数の位置決め突起を設けてもよい。
次に、図29〜36を参照して金属板50Aの製法の一例を説明する。図29〜36では、図28においてE−E'線断面とF−F'線断面とを接続した状態に相当する断面を示す。
図29の工程では、石英基板70の一方の主面(基板70の上面)に図4(A),(B)に関して前述したと同様にしてCr等からなる位置合せマーク72を形成する。そして、基板70の上面には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂又はレジスト等からなるレプリカ材層74を形成し、レプリカ材層72には、ミラー62Aの球面凹状の光反射面62aに対応する球面状凹部74Aを形成する。球面状凹部74Aを形成するためには、図4(B),(C)に関して前述したと同様にして形成した球面状凸部をレプリカ材層74に押し当てて転写する転写処理を用いるこができる。このような転写処理では、位置合せマーク72を基準として処理を行なう。
図30の工程では、球面状凹部74Aを有するレプリカ材層74をマスクとするドライエッチング処理により基板70の上面に球面状凹部74Aを転写して球面状凹部70Aを形成する。このとき、レプリカ材層74は除去されるが、位置合せマーク72は残される。
図31の工程では、図5(D)に関して前述したと同様にして基板70の上面に位置合せマーク72及び球面状凹部70Aを覆ってCu/Cr積層76を形成する。そして、Cu/Cr積層76の上にレジスト層78をホトリソグラフィ処理により形成する。このときのホトリソグラフィ処理では、位置合せマーク72を基準として処理を行なう。レジスト層78は、図36の凹状溝64を形成するために設けられるものである。
次に、Cu/Cr積層76の上にレジスト層80,80aをホトリソグラフィ処理により形成する。このときのホトリソグラフィ処理では、位置合せマーク72を基準として処理を行なう。レジスト層80は、図28に示す金属板50Aの外形に対応した形状の孔80Aを有するように形成する。レジスト層80aは、図35,36に示す位置決め孔52aを形成するために孔80A内に設けられるもので、上部から下端に進むにつれてサイズ(直径)が増大するように形成する。ここで、レジスト層80aのような順テーパー状のレジスト形状を得るためにはステッパ(縮小投影露光装置)を用いた場合、
(1)フォーカス位置をレジスト内に設定する方法、
(2)レジスト下部にて露光量を小さく設定する方法(ポジレジスト用の方法)、
(3)露光マスクにおいて、マスク部の透過率を徐々に変化させる(レジストの裾にいくに従って透過率を高くする)方法
のうちいずれかの方法を用いることができる。
(1)フォーカス位置をレジスト内に設定する方法、
(2)レジスト下部にて露光量を小さく設定する方法(ポジレジスト用の方法)、
(3)露光マスクにおいて、マスク部の透過率を徐々に変化させる(レジストの裾にいくに従って透過率を高くする)方法
のうちいずれかの方法を用いることができる。
図32の工程では、レジスト層78,80,80aをマスクとするNi−Fe合金の選択メッキ処理によりNi−Fe合金からなる金属層82を形成する。金属層82は、平坦部52と、ミラー部62とを有する。平坦部52には、レジスト層80aに対応して上部から下部に進むにつれて開口サイズが増大するように位置決め孔52aが形成される。ミラー部62には、基板70の球面状凹部70Aに対応して球面凹状の光反射面62aを有するミラー62Aが形成される。金属層82の裏面には、レジスト層78に対応して平坦部52とミラー部62の境界位置(図28の折り曲げ位置64aに対応)に折り曲げ用の凹状溝64が形成される。
図33の工程では、レジスト層80,80a及び金属層82を覆ってレジスト層84をホトリソグラフィ処理により形成する。このとき、ホトリソグラフィ処理では、位置合せマーク72を基準として処理を行なう。レジスト層84は、光ファイバ保持用の保持部54Aに対応する孔84Aを有するように形成する。そして、レジスト層84をマスクとするNi−Fe合金の選択メッキ処理によりNi−Fe合金からなる下敷層54を形成する。
図34の工程では、レジスト層84の孔84A内において、下敷層54の上に光ファイバ保持溝に対応するレジスト層86をホトリソグラフィ処理により形成する。このとき、ホトリソグラフィ処理では、位置合せマーク72を基準として処理を行なう。そして、レジスト層84,86をマスクとするNi−Fe合金の選択メッキ処理によりNi−Fe合金からなる溝形成層56,58を下敷層54の上に形成する。
図35の工程では、薬液処理等によりレジスト層86,84,80,80aを除去し、金属層82及び保持部54Aを有する金属板50Aを残存させる。金属板50Aは、位置決め孔52aを有する平坦部52と、ミラー62Aを有するミラー部62と、下敷層54及び溝形成層56,58を有する保持部54Aとを備えており、この他にも図28に示したように位置決め孔52b及び保持部54Bを備えている。位置決め孔52bは、位置決め孔52aと同様にして形成され、保持部54Bは、保持部54Aと同様にして形成される。
図36の工程では、Cu/Cr積層76のうちCu層をエッチング処理により除去することにより基板70から金属板50Aを分離する。また、薬液処理等によりレジスト層78を除去し、金属層82の裏面に凹状溝64を付与する。位置合せマーク72、球面状凹部70A及びCr層76aを有する基板70は、図31の工程に戻ってCu層をスパッタ法で形成することにより再使用することができる。なお、金属板50Aを折り曲げる前にミラー62Aの光反射面62aに前述したような高反射率膜を被着してもよい。
図29〜36に関して上記した製法によれば、金属板50Aをサブミクロンの精度で製作することができ、金属板50Aを折り曲げるだけで簡単にミラーユニット50を構成することができる。また、凹状溝64の位置で金属板50Aを折り曲げるようにしたので、折り曲げを簡単に且つ正確に行なえる。さらに、52a等の位置決め孔を下方の開口端に進むにつれてサイズが増大するように形成したので、位置決めピンとの嵌合が容易になると共に精密な嵌合が可能になる。
図37は、この発明の第5の実施形態に係るミラーユニットを示すもので、図38には、図37の右下側から見た斜視図が示されている。図39には、図37のミラーユニット90を構成するための金属板90Aの平面構造が示されている。
ミラーユニット90は、Ni−Fe合金等の光反射性の金属からなるもので、平坦部92と、ミラー部94と、保持部96,98,100,102とを備えている。平坦部92は、互いに対向する2つの主面を有する方形状且つ板状のもので、一方の主面(図37では下面)にて平面上に配置されるべきものである。
ミラー部94は、互いに対向する2つの主面を有する長方形状且つ板状のもので、平坦部92と一体をなしている。図39に示す金属板90Aにおいて、ミラー部94は、折り曲げ孔94A内に収容された状態で平坦部92と共通の平面をなしている。金属板90Aにおいてミラー部94には、平坦部92の一方の主面側に光反射面を有するミラー94Mが設けられており、金属板90Aにおいてミラー部94を平坦部92の他方の主面(図39では上面)側にほぼ直角に折り曲げると、ミラー部94は、図37,38に示すように直立状態となる。このとき、ミラー部94Mの円形状且つ球面凹状の光反射面94mは、平坦部92の他方の主面に平行な方向を向く。
平坦部92の上面において、直立状態のミラー部94の前方には、保持部96,98が直立状態で並置されている。金属板90Aにおいて、長方形状の保持部96,98,100,102は、それぞれ長方形状の折り曲げ孔96A,98A,100A,102A内に収容された状態で平坦部92と共通の平面をなしている。
保持部96,98,100,102には、光ファイバ保持用の円形状の保持孔96a,98a,100a,102aがそれぞれ設けられている。96a等の各保持孔は、図37に示すように左側の開口端に進むにつれてサイズ(直径)が大きくなるように形成されているため、光ファイバの挿入が容易である。
金属板90Aにおいて、保持部96,98,100,102をいずれも平坦部92の上面側にほぼ直角に折り曲げると、図37,38に示すように保持部96,98,100,102がいずれも直立状態となり、保持孔96a,98aがミラー部94の光反射面96mに向かって並ぶと共に、保持孔100a,102aがミラー部94の光反射面96mに向かって並ぶ。
ミラーユニット90に関して図37,38を参照しながら寸法例を示すと、次の通りである。平坦部92の一辺の長さR及び厚さhはそれぞれ5mm及び0.08mm、ミラー部94の長さf及び幅gはそれぞれ1mm及び0.8mm、ミラー94Mの光反射面94mの直径は0.7mm、96等の各保持部の長さiは0.5mmとすることができる。また、保持すべき光ファイバの直径を125μmとした場合、96a等の各保持孔の直径は、126μmとすることができる。
ミラーユニット90は、図40〜45に関して後述するようにメッキ処理等を含む薄膜プロセスにより簡単に且つ高精度で製作可能であり、ミラー94Mとしても、光反射性が良好なものが得られる。
ミラーユニット90を使用する際には、図37に示すように保持部96,98の保持孔96a,98aにサイズが大きい方の開口端側から光ファイバF21を挿通すると共に、保持部100,102の保持孔100a,102aにも同様にして光ファイバF22を挿通する。光ファイバF21,F22については、それぞれ保持部98,102からの突出長を予め定めておき、所定の突出長に達した位置で接着剤等により保持部98,102(又は96,100)に固定する。
このような状態において、図37に示すように光ファイバF21(又はF22)の一端から射出された光は、ミラー94Mの光反射面94mで集光・反射されて光ファイバF22(又はF21)の一端に入射する。ミラーユニット90は、平坦部92、ミラー部94及び保持部96,98,100,102を一体化して高精度で作成された光部品であるため、光ファイバF21,F22を高い光結合効率で光結合することができる。
図37〜39に関して上記した実施形態において、ミラー94Mは、球面状凹曲面ミラーとしたが、これに限らず、平面ミラーとしてもよく、あるいは図10,11に関して前述したように楕円面状凹曲面を光反射面とするミラーとしてもよい。また、ミラー部94において光反射面94mとは反対側の面に光反射面を設け、この光反射面を用いて光反射面94mとは反対側で光ファイバF21,F22と同様に光ファイバ同士を光結合するようにしてもよい。なお、平坦部92には、図39に示すように適宜の位置に図35,36の位置決め孔52aと同様の位置決め孔90a,90bを設けてもよく、あるいは位置決め孔90a,90bの代りに複数の位置決め突起を設けてもよい。
次に、図40〜45を参照してミラーユニット90の製法の一例を説明する。図40〜45では、図39においてG−G'線断面とH−H'線断面とを接続した状態に相当する断面を示す。
図40の工程では、石英基板110の一方の主面(基板110の上面)に図4(A),(B)に関して前述したと同様にしてCr等からなる位置合せマーク112を形成する。そして、図4(B),(C)に関して前述したと同様にして基板110の上面に球面状凸部をなすレジスト層114を形成する。レジスト層114は、図42に示すようにミラー94Mの球面凹状の光反射面94mを形成するためのものである。この後、基板110の上面には、図5(D)に関して前述したと同様にして位置合せマーク112及びレジスト層114を覆ってCu/Cr積層116を形成する。
図41の工程では、Cu/Cr積層116の上にレジスト層118,120をホトリソグラフィ処理により形成する。このときのホトリソグラフィ処理では、位置合せマーク112を基準として処理を行なう。レジスト層118,120は、図44,45に示す折り曲げ用の凹状溝94S,96Sをそれぞれ形成するために設けられるものである。
次に、Cu/Cr積層116の上にレジスト層122,124,R1,R2をホトリソグラフィ処理により形成する。このときのホトリソグラフィ処理では、位置合せマーク112を基準として処理を行なう。レジスト層122は、図39の金属板90Aの外形に相当する形状の孔122Aを有するように形成する。レジスト層122の孔122A内には、図39に示す孔94A,96Aにそれぞれ対応する平面パターンでレジスト層R1,R2を形成すると共に、図39に示す円形状の保持孔96aに対応する平面パターンでレジスト層124を形成する。レジスト層124は、図42〜44に示す保持孔96aを形成するために上部から下端に進むにつれてサイズ(直径)が増大するように形成する。このためには、レジスト層122,124,R1,R2を形成するためのホトリソグラフィ処理を、図31の工程でレジスト層80,80aを形成するために行なったホトリソグラフィ処理と同様にして行なえばよい。
図42の工程では、レジスト層118,120,122,124,R1,R2をマスクとするNi−Fe合金の選択メッキ処理によりNi−Fe合金からなる金属層126をCu/Cr積層116の上に形成する。金属層126の厚さは、80μmとすることができる。
金属層126は、平坦部92と、ミラー部94と、保持部96とを有する。平坦部92には、レジスト層R1に対応してミラー部94の三辺に沿うように孔94Aが形成されると共に、レジスト層R2に対応して保持部96の三辺に沿うように孔96Aが形成される。ミラー部94は、レジスト層114に対応する個所にミラー94Mを有するように形成され、ミラー94Mは、レジスト層114からなる球面状凸部に対応して球面凹状の光反射面94mを有する。保持部96には、レジスト層124に対応して下方の開口端に進むにつれて直径が増大するように保持孔96aが形成される。
図43の工程では、薬液処理等によりレジスト層122,124,R1,R2を除去し、金属層126からなる金属板90Aを残存させる。金属板90Aは、平坦部92、ミラー部94及び保持部96の他にも、図39に示したように保持部98,100,102を有する。保持部98,100,102は、保持部96と同様にして形成される。
図44の工程では、Cu/Cr積層116のうちCu層をエッチング処理により除去することにより基板110から金属板90Aを分離する。また、薬液処理等によりレジスト層118,120を除去し、金属板90Aの裏面に折り曲げ用の凹状溝94S,96Sを付与する。位置合せマーク112、レジスト層114及びCr層116aを有する基板110は、図40の工程に戻ってCu層をスパッタ法で形成することにより再使用することができる。
図45の工程では、図44の工程で得られた金属板90Aにおいてミラー部94及び保持部96をそれぞれ凹状溝94S,96Sの位置で平坦部92の上面側にほぼ直角に折り曲げ、同様にして図39に示す保持部98,100,102も折り曲げる。この結果、図39,44に示す孔94A,96A,98A,100A,102Aは、いずれも図39に示すように長方形の三辺に沿う形状から図37,45に示すように拡大されて長方形状となり、図37,38,45に示すようなミラーユニット90が得られる。なお、金属板90Aを折り曲げる前にミラー94Mの光反射面94mに前述したような高反射率膜を被着してもよい。
図40〜45に関して上記した製法によれば、金属板90Aをサブミクロンの精度で製作することができ、金属板90Aにおいてミラー部や保持部を折り曲げるだけで簡単にミラーユニット90を構成することができる。また、94S等の凹状溝の位置でミラー部等を折り曲げるようにしたので、折り曲げを簡単に且つ正確に行なえる。さらに、96a等の保持孔を図45に示すように光ファイバ挿入側の開口端に進むにつれてサイズが増大するように形成したので、F21等の光ファイバの挿入が容易となる。
図46は、この発明の第6の実施形態に係るミラーユニットを示すもので、図47には、図46のミラーユニット130を構成するための金属板130Aの平面構造が示されている。
ミラーユニット130は、Ni−Fe合金等の光反射性の金属からなるもので、平坦部132a,132bと、ミラー部134a,134bと、連結部136とを備えている。平坦部132a,132bは、いずれも互いに対向する2つの主面を有する長方形状且つ板状のもので、一方の主面(図46では下面)にて平面上に配置されるべきものである。平坦部132aには、位置決め孔A1〜A3が一列状に並設されており、A1等の各位置決め孔は、平坦部の一方の主面から他方の主面に貫通するように形成されている。平坦部132bにも、A1等の位置決め孔と同様にして位置決め孔B1〜B3が設けられている。位置決め孔は、平坦部132a,132bのいずれかに複数設けるか又は平坦部132a及び132bにそれぞれ1以上設ければよい。なお、A1,B1等の位置決め孔の代りに位置決め突起を設けてもよい。
ミラー部134aは、互いに対向する2つの主面を有する長方形状且つ板状のもので、平坦部132aと一体をなしている。ミラー部134aにおいて平坦部132aの他方の主面側の主面は、光反射面Laを構成している。図47に示す金属板130Aにおいて平坦部132aとミラー部134aとの境界位置は、折り曲げ位置K1となっており、金属板130Aの裏面には、折り曲げ位置K1に沿って折り曲げ用の凹状溝C1が図46に示すように形成されている。
ミラー部134bは、互いに対向する2つの主面を有する長方形状且つ板状のもので、平坦部132bと一体をなしている。ミラー部134bにおいて平坦部132bの他方の主面側の主面は、光反射面Lbを構成している。図47に示す金属板130Aにおいて平坦部132bとミラー部134bとの境界位置は、折り曲げ位置K2となっており、金属板130Aの裏面には、折り曲げ位置K2に沿って折り曲げ用の凹状溝C2が図46に示すように形成されている。
連結部136は、互いに対向する2つの主面を有する長方形状且つ板状のもので、一方側及び他方側でミラー部134a、134bとそれぞれ一体をなしている。図47に示す金属板130Aにおいて、ミラー部134aと連結部136との境界位置には、折り曲げ用の凹状溝D1が形成されると共に、ミラー部134bと連結部136との境界位置には、折り曲げ用の凹状溝D2が形成されている。
図46に示すミラーユニット130は、図47に示す金属板130Aを折り曲げることにより構成される。一例として、ミラー部134aは、凹状溝C1の位置(折り曲げ位置K1)で溝C1とは反対側に平坦部132aとほぼθ=45°の角度をなすように折り曲げる。連結部136は、凹状溝D1の位置で溝D1とは反対側にミラー部134aとほぼ135°の角度をなすように折り曲げる。ミラー部134bは、凹状溝D2の位置で溝D2とは反対側に連結部136とほぼ135°の角度をなすように折り曲げると共に、凹状溝C2の位置(折り曲げ位置K2の位置)で溝C2とは反対側に平坦部132bとほぼ45°の角度をなすように折り曲げる。
ミラーユニット130に関して寸法例を示すと、次の通りである。平坦部132aの外方端縁と平坦部132bの外方端縁との間の距離jは5mm、平坦部132a(又は132b)の長さk、幅m及び厚さpはそれぞれ4mm、1mm 及び0.08mm、A1(又はB1)等の各位置決め孔の直径は0.5mmとすることができる。θ=45°としたとき、溝C1(又はC2)の中心と溝D1(又はD2)の中心から平坦部132aを支える平面に下した垂線との間の距離nは0.7mmとすることができる。
ミラーユニット130を構成するための図47の金属板130Aは、図48〜53に関して後述するようにメッキ処理等と含む薄膜プロセスにより簡単に且つ高精度で作成可能であり、光反射面La,Lbとしても、光反射性が良好なものが得られる。
図46に示すミラーユニット130を使用する際には、図2,3に関して前述したと同様に実装基板上の所定の位置にミラーユニット130を位置決めし、接着等により固定する。このとき、位置決め孔A1〜A3,B1〜B3を実装基板側の位置決めピンに嵌合させることにより高精度の位置決めを行なうことができる。ミラーユニット130は、ミラー部134a,134bをそれぞれ平坦部132a,132bで位置決めするようにしたので、ミラー部毎に高精度の位置決めが可能である。
ミラーユニット130を所定の位置に固定した状態において、ミラー部134aでは、左側から水平方向に入射する光を光反射面Laにより上方にほぼ90°折り曲げることができる。同様にして、ミラー部134bでは、右側から水平方向に入射する光を光反射面Lbにより上方にほぼ90°折り曲げることができる。左右の折り曲げ位置は、連結部136の幅Sを変更することで、高さを一定としたまま変更することができる。
図46,47に関して上記した実施形態において、連結部136を省略し、ミラー部134a,134bを直接一体化してもよい。この場合、凹状溝D1,D2はいずれか一方を省略することができる。また、光反射面La,Lbの少なくとも一方を図8に関して前述したような球面状凹曲面で構成してもよく、あるいは図10,11に関して前述したような楕円面状凹曲面で構成してもよい。
次に、図48〜53を参照して金属板130Aの製法の一例を説明する。図48〜53では、図47のI−I'線断面に相当する断面を示す。
図48の工程では、石英基板140の一方の主面(基板140の上面)に図4(A),(B)に関して前述したと同様にしてCr等からなる位置合せマーク142を形成する。そして、基板140の上面には、図5(D)に関して前述したと同様にして位置合せマーク142を覆ってCu/Cr積層144を形成する。
図49の工程では、Cu/Cr積層144の上にレジスト層R11,R12をホトリソグラフィ処理により形成する。このときのホトリソグラフィ処理では、位置合せマーク142を基準として処理を行なう。レジスト層R11,R12は、図36に示す折り曲げ用の凹状溝C1,C2をそれぞれ形成するためのものである。
次に、Cu/Cr積層144の上にレジスト層146,R21,R22をホトリソグラフィ処理により形成する。このときのホトリソグラフィ処理では、位置合せマーク142を基準として処理を行なう。レジスト層146は、図47の金属板130Aの外形に相当する形状の孔146Aを有するように形成する。レジスト層146の孔146A内には、図47に示す円形状の位置決め孔A1,B1にそれぞれ対応する平面パターンでレジスト層R21,R22を形成する。レジスト層R21,R22は、図52,53に示す位置決め孔A1,B1をそれぞれ形成するために上部から下端に進むにつれてサイズ(直径)が増大するように形成する。このためには、レジスト層146,R21,R22を形成するためのホトリソグラフィ処理を、図31の工程でレジスト層80,80aを形成するために行なったホトリソグラフィ処理と同様にして行なえばよい。
図50の工程では、レジスト層R11,R12,146,R21,R22をマスクとするNi−Fe合金の選択メッキ処理によりNi−Fe合金からなる金属層150をCu/Cr積層144の上に形成する。金属層150の厚さは50μm程度とすることができる。
図51の工程では、金属層150の上にレジスト層R31,R32をホトリソグラフィ処理により形成する。このときのホトリソグラフィ処理では、位置合せマーク142を基準として処理を行なう。レジスト層R31,R32は、図52に示す折り曲げ用の凹状溝D1,D2をそれぞれ形成するためのものである。
次に、レジスト層146,R21,R22,R31,R32をマスクとするNi−Fe合金の選択メッキ処理によりNi−Fe合金からなる金属層152を形成する。金属層152の厚さは、30μm程度とすることができる。図51のメッキ処理の結果、金属層150,152の積層からなる金属板130Aが得られる。
図52の工程では、薬液処理等によりレジスト層R31,R32,146,R21,R22を除去し、金属板130Aを残存させる。金属板130Aは、平坦部132a,132bと、ミラー部134a,134bと、連結部136とを有する。平坦部132a,132bには、レジスト層R21,R22にそれぞれ対応して位置決め孔A1,B1が付与される。位置決め孔A1,B1は、いずれも下方の開口端に進むにつれてサイズ(直径)が増大するように形成される。金属板130Aには、レジスト層R31,R32にそれぞれ対応して連結部136の両側に折り曲げ用の凹状溝D1,D2が付与される。なお、金属板130Aは、図47に示したような位置決め孔A2,A3,B2,B3を有するが、これらの位置決め孔も位置決め孔A1,B1と同様にして形成される。
図53の工程では、Cu/Cr積層144のうちCu層をエッチング処理により除去することにより基板140から金属板130Aを分離する。また、薬液処理等によりレジスト層R11,R12を除去し、金属板130Aの裏面に折り曲げ用の凹状溝C1,C2を付与する。位置合せマーク142及びCr層144aを有する基板140は、図48の工程に戻ってCu層をスパッタ法で形成することにより再使用することができる。
図48〜53に関して上記した製法によれば、金属板130Aをサブミクロンの精度で製作することができ、金属板130Aを4個所で折り曲げるだけで簡単にミラーユニット130を構成することができる。また、C1,D1等の凹状溝の位置で金属板130Aを折り曲げるようにしたので、折り曲げを簡単に且つ正確に行なえる。なお、金属板130を折り曲げる前に光反射面La,Lbのうち少なくとも一方の主面に前述したような高反射率膜を被着してもよい。
図54は、この発明の第7の実施形態に係るミラーユニットを示すもので、図55には、図54のJ−J'線断面及びK−K'線断面を接続した状態に相当する断面が示されている。
ミラーユニット160は、Ni−Fe合金等の光反射性の金属からなるもので、平坦部162と、支持部S1〜S4と、ミラー部N1〜N4とを備えている。平坦部162は、互いに対向する2つの主面を有する長方形状且つ板状のもので、一方の主面(図54では下面)にて平面上に配置されるべきものである。平坦部162において、一端近傍には位置決め孔Q1,Q2が設けられると共に、他端近傍には位置決め孔Q3,Q4が設けられている。Q1等の各位置決め孔は、図55に示すように下方の開口端に進むにつれてサイズ(直径)が増大するように形成されている。なお、Q1,Q3等の位置決め孔の代りに位置決め突起を設けてもよい。
支持部S1〜S4は、いずれも互いに対向する2つの主面を有する方形状且つ板状のもので、平坦部162と一体化をなしている。S1等の各支持部は、図55に示すように折り曲げ用の凹状溝Saの位置で平坦部162の他方の主面(溝Saの反対側)に一例としてほぼ直角に折り曲げられている。
ミラー部N1〜N4は、いずれも互いに対向する2つの主面を有する方形状且つ板状のもので、支持部S1〜S4とそれぞれ一体をなして(支持部S1〜S4によりそれぞれ支持されて)いる。N1等の各ミラー部は、図55に示すように折り曲げ用の凹状溝Sbの位置で溝Sbとは反対側にほぼ45°の角度で折り曲げられている。N1等の各ミラー部の外面は、光反射面N11を構成している。
ミラーユニット160は、支持部S1〜S4及びミラー部N1〜N4を平坦部162と共通の平面をなすように平面状にした金属板を図54に示すように折り曲げることにより構成される。折り曲げは、凹状溝Sa,Sbを設けたので、簡単に且つ正確に行なえる。このような金属板は、図48〜53に関して前述した製法においてメッキパターンを変更するだけで簡単に且つサブミクロンの精度で製作することができる。すなわち、図49の工程において、レジスト層146は、ミラーユニット160構成用の金属板の外形に対応した孔146Aを有するように形成する。Q1等の位置決め孔は、A1等の位置決め孔と同様に形成することができ、Sa,Sb等の凹状溝は、C1,D1等の凹状溝と同様に形成することができる。別の方法としては、図4〜7に関して前述した方法を用いてもよい。この場合、ミラーM5を平面ミラーとしてN1等のミラー部を構成すると共に、凹状溝48bの代りの凹状溝を金属層44に設けて凹状溝Sbを構成する。図7(K)の工程では、ミラー部16を支持部14の左側ではなく、右側に折り曲げればよい。なお、ミラーユニット160構成用の金属板を折り曲げる前に、光反射面N11に前述したような高反射率膜を被着してもよい。
ミラーユニット160に関して図54、55を参照して寸法例を示すと、次の通りである。平坦部162の厚さtは30μm、平坦部162の孔Q1,Q3側の端縁から直立状態の支持部S1までの距離rは600μm、Q1等の各位置決め孔の直径は125.3μmとすることができる。
ミラーユニット160は、一例として、光導波路W1〜W4を並設した基板面164上に配置して使用することができる。W1等の各光導波路は、フッ化ポリイミドからなるもので、長さ方向に直交する断面のサイズを150μm角とすることができる。基板面164上には、ミラーユニット160の位置決め孔Q1〜Q4にそれぞれ対応する位置決めピンP1〜P4が設けられている。P1等の各位置決めピンは、W1等の光導波路と同じ材料(フッ化ポリイミド)で且つ同じプロセスで形成されるもので、サイズ(直径)を125μmとすることができる。
ミラーユニット160の位置決め孔Q1〜Q4を基板面164上の位置決めピンP1〜P4にそれぞれ嵌合させることによりミラーユニット160を基板面164上で光導波路W1〜W4の端面前方に位置決めし、接着等により固定する。P1等の位置決めピンとQ1等の位置決め孔との嵌合により簡単に且つ高精度の位置決めが可能であり、信頼性の向上も可能になる。また、Q1等の各位置決め孔は、下方の開口端に近づくにつれてサイズが増大するように形成したので、位置決めピンの挿入が容易であると共に精密な嵌合が可能である。
図54,55に示すように光導波路W1〜W4の一端側にミラー部N1〜N4をそれぞれ配置した状態では、N1等のミラー部毎に光反射面N11で上方からの入射光を反射してW1等の光導波路の一端に入射させたり、W1等の光導波路の一端からの射出光を光反射面N11で上方に折り曲げて送出したりすることができる。
図56は、図55に示したミラー部の変形例を示すもので、図55と同様の部分には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
図56のミラー部N1の特徴は、光導波路W1の一端側の外面に球面凹状の光反射面N12を設け、この光反射面N12で上方からの入射光又は光導波路W1からの射出光を集光・反射する構成にしたことである。このようなミラー部N1は、図6(I)のミラーM5又は図32のミラー部62と同様にして作成することができる。光反射面N12において、曲率半径は0.7μmとし、焦点距離uは500μmとすることができる。また、ミラー部N1を折り曲げる前に光反射面N12に前述したような高反射率膜を被着してもよい。
図54〜56に関して上記した実施形態において、S1等の支持部には、図1の開口部14Aのような光結合用の開口部を設け、N1等のミラー部において、光反射面N11側とは反対側の面(内面)を光反射面として用いるようにしてもよい。この場合、図56に関して前述したようにN1等のミラー部の内面側に球面凹状の光反射面N12を設けてもよい。このためには、図48〜53に関して前述した製法によりミラーユニット160構成用の金属板を作成する際に図42のミラー部94と同様にしてN1等のミラー部を形成すればよい。なお、光反射面N12は、図10,11に関して前述したような楕円面状凹曲面で構成してもよい。
図57は、この発明の第8の実施形態に係るスパッタマスク(光部品加工用具)を示すもので、図58には、図57のスパッタマスク170を構成するための金属板170Aの平面構造が示されている。
スパッタマスク170は、Ni−Fe合金等の金属からなるもので、平坦部172と、端面当接部174とを備えている。平坦部172は、互いに対向する2つの主面を有する長方形状且つ板状のもので、一方の主面(図57では下面)にて光部品の一主面に配置されるべきものである。
端面当接部174は、互いに対向する2つの主面を有する長方形状且つ板状のもので、平坦部172と一体をなしている。端面当接部174の一端近傍及び他端近傍には、それぞれ位置決め孔U1,U2が設けられている。端面当接部174は、光部品の一主面とほぼ直角をなす光部品の端面に当接可能なように平坦部172と共にほぼ直角の角部ANを形成している。
角部ANには、平坦部172と端面当接部174との間にまたがるように貫通孔V1〜V8が設けられている。貫通孔V1〜V8は、いずれも金属板170Aにおいて長方形状の孔として形成されている。角部ANに沿うように折り曲げ用の凹状溝D11,D12,D01〜D07が形成されており、凹状溝D01,D02…D07は、それぞれ隣り合う貫通孔V1,V2間、V2,V3間…V7,V8間に形成されている。
金属板170Aは、図4〜7に関して前述した製法においてメッキパターンを変更するだけで簡単に且つ高精度で製作することができる。この場合、ミラー部16、開口部12A,14A及び位置決め孔14a,14bは形成せず、平坦部12及び支持部14をそれぞれ端面当接部174及び平坦部172とすることができる。図5(E)の工程では、金属板170Aの外形に対応した孔42Aを有するようにレジスト層42を形成すると共に、孔42A内に貫通孔V1〜V8にそれぞれ対応した長方形状の8つのレジスト層を形成する。位置決め孔U1,U2は、位置決め孔12a,12bと同様にして形成することができ、凹状溝D11,D12,D01〜D07は、凹状溝48aと同様にして形成することができる。
金属板170Aを作成した後、金属板170Aを凹状溝D11,D12,D01〜D07の位置でこれらの溝とは反対側にほぼ直角に折り曲げることにより図57のスパッタマスク170が得られる。折り曲げは、凹状溝D11,D12,D01〜D07を設けてあるため、簡単に且つ正確に行なえる。
スパッタマスク170について寸法例を示すと、次の通りである。平坦部172において、V1等の貫通孔のwは0.2mm、V1,V2等の隣り合う貫通孔のピッチvは0.25mm、V1等の貫通孔の一端からD11等の凹状溝の中心までの距離xは0.2mmとすることができる。また、端面当接部174において、V1等の貫通孔の他端からD11等の凹状溝の中心までの距離yは0.2mm、位置決め孔U1,U2の中心間の距離Lは4.6mmとすることができる。
スパッタマスク170は、一例として、図57に示すように多芯光ファイバ182の光ファイバFiを保持する多芯フェルール180の端部に電極を形成するために使用可能である。多芯フェルール180の端面には、スパッタマスク170の位置決め孔U1,U2にそれぞれ対応する位置決め孔X1,X2が設けられており、これらの孔X1,X2には、それぞれ位置決めピンY1,Y2が挿入可能である。スパッタマスク170の平坦部172を多芯フェルール180の上面に載置すると共にスパッタマスク170の端面当接部174を多芯フェルールの端面に当接し、この状態で位置決め孔U1,X1には位置決めピンY1を、位置決め孔U2,X2には位置決めピンY2をそれぞれ挿入して位置決めすると共に、このような位置決め状態において多芯フェルール180の端部にスパッタマスク170を装着する。位置決め孔U1,U2は、いずれも図7(J)、(K)の位置決め孔12aと同様に位置決めピン挿入側の開口端に進むにつれてサイズ(直径)が増大するように形成してあるので、位置決め孔U1,U2には、それぞれ位置決めピンY1,Y2をスムーズに挿入することができる。
多芯フェルール180の端部に上記のようにスパッタマスクを装着した状態で、スパッタ処理を行なうと、図57に示すように多芯フェルール180の端部には、スパッタマスク170のV1等の貫通孔毎に光ファイバFiに対応するスパッタ電極Eが形成される。スパッタマスク170を薄膜プロセスによりサブミクロンの精度で形成したので、スパッタ電極Eも寸法及び位置の精度良く形成することができる。スパッタ処理の後、スパッタマスク170は、位置決めピンY1,Y2を抜去することで多芯フェルール180から取外し、再使用することができる。
スパッタ電極Eとしては、一例として、Ti膜にAu膜を重ねたAu/Ti積層を形成する。Ti膜及びAu膜の厚さはそれぞれ30nm及び300nm程度とすることができる。各スパッタ電極Eには、面発光レーザーダイオード又はホトダイオード等の光素子を半田付けにより固定し、各スパッタ電極毎に光素子を対応する光ファイバFiと光結合すると、高い光結合効率が得られる。
〔発明の効果〕
以上のように、この発明によれば、光反射面を有する光部品において、光の入射・反射方向に沿う長軸方向の曲率半径より短軸方向の曲率半径が小さい楕円面状凹曲面により光反射面を構成して非点収差を補正するようにしたので、光結合効率が大幅に向上する効果が得られる。
以上のように、この発明によれば、光反射面を有する光部品において、光の入射・反射方向に沿う長軸方向の曲率半径より短軸方向の曲率半径が小さい楕円面状凹曲面により光反射面を構成して非点収差を補正するようにしたので、光結合効率が大幅に向上する効果が得られる。
また、ミラー部を有する金属板を1又は複数個所で折り曲げて立体的な光部品を構成するようにしたので、金属板を薄膜プロセスを作成することで光反射性が良好なミラー部を有する光部品を簡単に且つ高精度で製作することができ、光結合効率が高い光モジュールを低コストで実現できる効果が得られる。
その上、加工用の貫通孔を有する金属板を折り曲げて立体的な光部品加工用具を構成するようにしたので、金属板を薄膜プロセスで作成することで光部品の角部の加工に適した光部品加工用具を簡単に且つ高精度で製作できる効果も得られる。
10,50,90,130,160:ミラーユニット、10A,50A,90A,130A,170A:金属板、12,52,92,132a,132b,162,172:平坦部、14,S1〜S4:支持部、16,62,94,134a,134b,N1〜N4:ミラー部、20:実装基板、22:光コネクタ、22a,28a,P1〜P4,Y1,Y2:位置決めピン、24,182:多芯光ファイバ、26:光素子、30,70,110,140:石英基板、32,35,36,37a,38a,40a,41a,42,42a,42b,43a,43b,46a,46b、78,80,80a,84,86,114,118〜124,146,R1,R2,R11,R12,R21,R22,R31,R32:レジスト層、34,38a,76a,116a,144a:Cr層、34a,72,112,142:位置合せマーク、38,39,76,116,144:Cu/Cr積層、44,48,82,126,150,152:金属層、56〜60:溝形成層、54:下敷層、54A,54B,96,98,100,102:保持部、74:レプリカ材層、136:連結部、164:基板面、170:スパッタマスク、174:端面当接部、180:多芯フェルール、F5,F11,F12,F21,F22,Fi:光ファイバ、W1〜W4:光導波路、E:スパッタ電極。
Claims (18)
- 光反射面を有する光部品であって、
光の入射・反射方向に沿う長軸方向の曲率半径より該長軸方向に直交する短軸方向の曲率半径が小さい楕円面状凹曲面により前記光反射面を構成している主面を有する板状のミラーユニットを備え、
前記ミラーユニットは、前記光反射面を構成しているミラー部と支持部と平坦部とを備え、前記ミラー部と前記支持部との境界と前記ミラー部と前記平坦部との境界とで折り曲げられている、
ことを特徴とする光部品。 - 金属からなる光部品であって、
互いに対向する2つの主面を有し、一方の主面にて平面上に配置されるべき平坦部と、
互いに対向する2つの主面を有し、前記平坦部と一体をなす支持部であって前記平坦部の他方の主面に近づくように折り曲げられたものと、
互いに対向する2つの主面を有すると共に少なくとも一方の主面に光反射面を有し、前記支持部と一体をなすミラー部であって前記支持部のいずれか一方の主面に近づくように折り曲げられたものと
を備えた光部品。 - 前記平坦部の他方の主面に対して前記支持部がほぼ直角をなすように前記支持部を折り曲げ、前記ミラー部において前記平坦部の他方の主面側の主面に前記光反射面を設け、前記ミラー部が前記平坦部及び前記支持部と共に三角柱状の空間を形成するように前記ミラー部を折り曲げ、前記平坦部及び前記支持部のいずれにおいても前記光反射面に対応する部分に光結合用の開口部を設けた請求項1又は2記載の光部品。
- 前記平坦部及び前記支持部のいずれにも複数の位置決め孔又は位置決め突起を設けるか又は前記平坦部及び前記支持部のうち一方に複数の位置決め孔を且つ他方に複数の位置決め突起をそれぞれ設けた請求項3記載の光部品。
- 金属からなる光部品であって、
互いに対向する2つの主面を有し、一方の主面にて平面上に配置されるべき平坦部と、
互いに対向する2つの主面を有すると共に少なくとも一方の主面に光反射面を有し、前記平坦部と一体をなすミラー部であって前記平坦部の他方の主面に近づくように折り曲げられたものと
を備えた光部品。 - 前記ミラー部が前記平坦部の他方の主面に対してほぼ直角をなすように前記ミラー部を折り曲げ、前記平坦部には前記光反射面を介して光結合されるべき複数の光ファイバをそれぞれ保持するための複数の保持部を設けた請求項1又は5記載の光部品。
- 前記平坦部には複数の位置決め孔又は位置決め突起を設けた請求項1,2,5又は6のいずれかに記載の光部品。
- 金属からなる光部品であって、
互いに対向する2つの主面を有し、一方の主面にて平面上に配置されるべき第1の平坦部と、
互いに対向する2つの主面を有し、一方の主面にて平面上に配置されるべき第2の平坦部と、
互いに対向する2つの主面を有し、前記第1の平坦部と一体をなす第1のミラー部であって前記第1の平坦部の他方の主面側の主面に第1の光反射面を有し、前記第1の平坦部の他方の主面に近づくように折り曲げられたものと、
互いに対向する2つの主面を有し、前記第2の平坦部と一体をなす第2のミラー部であって前記第2の平坦部の他方の主面側の主面に第2の光反射面を有し、前記第2の平坦部の他方の主面に近づくように折り曲げられ、前記第1のミラー部と直接又は連結部を介して一体をなすものと
を備えた光部品。 - 前記第1又は第2の平坦部のいずれかに複数の位置決め孔又は位置決め突起を設けるかあるいは前記第1及び第2の平坦部にそれぞれ1以上の位置決め孔又は位置決め突起を設けた請求項8記載の光部品。
- 光の入射・反射方向に沿う長軸方向の曲率半径より該長軸方向に直交する短軸方向の曲率半径が小さい楕円面状凹曲面により前記第1及び第2の光反射面のうち少なくとも一方を構成した請求項8又は9記載の光部品。
- ミラー部を有する金属板を薄膜プロセスにより作成する工程と、
前記金属板を1又は複数個所で折り曲げることにより前記ミラー部を有する立体的な光部品を作成する工程と
を含む光部品の製法。 - 前記金属板を作成する工程では、前記金属板において折り曲げの際に角が生ずべき部分に凹状溝を形成する請求項11記載の光部品の製法。
- 前記金属板を作成する工程は、
基板の一方の主面に楕円状の平面形状を有するレジスト層を形成する工程と、
前記レジスト層に加熱リフロー処理を施して前記レジスト層に楕円面状凸曲面を付与する工程と、
前記加熱リフロー処理の後、前記レジスト層を覆って前記基板の一方の主面にメッキ下地層を形成する工程と、
前記レジスト層に重なるように前記メッキ下地層の上に光反射性の金属をメッキして該金属からなる金属層を形成する工程であって、前記金属層としては、前記レジスト層の楕円面状凸曲面に対応する楕円面状凹曲面を光反射面として有する金属層を形成する工程と、
前記メッキ下地層を除去して前記金属層を前記基板から分離する工程と
を含み、分離された金属層を前記金属板として用いると共に前記金属層の光反射面を前記ミラー部の光反射面として用いる請求項11記載の光部品の製法。 - 前記金属板を作成する工程は、
基板の一方の主面に楕円状の平面形状を有するレジスト層を形成する工程と、
前記レジスト層に加熱リフロー処理を施して前記レジスト層に楕円面状凸曲面を付与する工程と、
前記加熱リフロー処理の後、前記レジスト層をマスクとするドライエッチング処理を前記基板の一方の主面に施して前記基板の一方の主面に前記レジスト層の楕円面状凸曲面と同様の楕円面状凸曲面を有する凸部を形成する工程と、
前記凸部を覆って前記基板の一方の主面にメッキ下地層を形成する工程と、
前記凸部に重なるように前記メッキ下地層の上に光反射性の金属をメッキして該金属からなる金属層を形成する工程であって、前記金属層としては、前記凸部の楕円面状凸曲面に対応する楕円面状凹曲面を光反射面として有する金属層を形成する工程と、
前記メッキ下地層を除去して前記金属層を前記基板から分離する工程と
を含み、分離された金属層を前記金属板として用いると共に前記金属層の光反射面を前記ミラー部の光反射面として用いる請求項11記載の光部品の製法。 - 金属からなる光部品加工用具であって、
互いに対向する2つの主面を有し、一方の主面にて平面上に配置されるべき平坦部と、
前記平坦部と一体をなす端面当接部であって前記平坦部の一方の主面側に折り曲げられて前記平坦部と共に角部を形成するものと
を備え、前記平坦部と前記端面当接部とにまたがるように前記角部に加工用の貫通孔を設けた光部品加工用具。 - 前記端面当接部には複数の位置決め孔を設けた請求項15記載の光部品加工用具。
- 一方の主面から他方の主面に貫通する加工用の貫通孔を有する金属板を薄膜プロセスにより作成する工程と、
前記貫通孔を横切るように前記金属板を折り曲げて立体的な光部品加工用具を作成する工程と
を含む光部品加工用具の製法。 - 前記金属板を作成する工程では、前記金属板において折り曲げの際に角が生ずべき部分に凹状溝を形成する請求項17記載の光部品加工用具の製法。
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US9362484B2 (en) | 2010-07-26 | 2016-06-07 | Fujifilm Corporation | Forming a device having a curved piezoelectric membrane |
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