JP2008261673A - 原子炉用制御棒 - Google Patents

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光晴 中村
Kiyoshi Ueda
精 植田
Kosaku Tsumita
耕作 積田
Kenichi Yoshioka
研一 吉岡
Yoshiji Kano
喜二 狩野
Tomoko Tajima
智子 田嶋
Katsunori Shiihara
克典 椎原
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Abstract

【課題】大量の中性子照射を受ける場合でもスエリングを起さない中性子吸収材として適切に使用することができ、巨大地震の場合でも健全性を損ないにくく、同一構造の制御棒用制御棒または停止用制御棒として汎用性を高めることができるようにする。
【解決手段】中性子吸収材を充填した棒状体を平行に並べて板状の翼とし、4枚の翼を横断面十字形の先端構造材と末端構造材とにより固着するとともに、各翼の一側面の軸方向に離間させて短尺の十字型結合部材を固着し、各翼における十字形の中心軸側の端部および中央部分に中性子吸収材を充填した角棒を配置し、各翼における十字形の外側端には中性子吸収材を充填した少なくとも翼中央側が平面状である角棒を配置し、これらを結合部材により結合し、各翼における十字形の中央側および両端部分に配置される部分をそれらの間の部分に比して肉厚が大きい厚肉部とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、沸騰水型原子炉を安全に停止する目的で使用される停止用制御棒に係り、特に水中において異種金属が隣接したりクレビス腐食の可能性を極力排除することができる原子炉用制御棒に関する。
沸騰水型原子炉の原子炉用制御棒は原子炉を安全に停止する目的で使用される「停止用制御棒」と運転中の出力分布や原子炉の反応度を制御し、かつ原子炉停止に際しては停止に有効な反応度価値を有する多機能の「制御用制御棒」とに分類することができる。「停止用制御棒」に用いられている中性子吸収材は通常ボロンカーバイド(B4C)であり、通常は運転開始とともに炉心から引き抜かれ、運転終了時には炉心に挿入される。
一方、「制御用制御棒」に用いられる中性子吸収材は非常に大量の中性子照射を受けるため、中性子照射に伴う中性子吸収能力の減少割合が小さい長寿命型の中性子吸収材(核的に長寿命型の中性子吸収材)が用いられる。代表的な物質はハフニウム(Hf)金属である。制御用制御棒は運転中にも原子炉の中に挿入されている場合が多いため、前述のように非常に大量の中性子照射を受ける。このような条件下では中性子等の照射条件下で電気・水化学的にも非常に厳しい環境に晒される。ハフニウム自体、ステンレス鋼自体、ハフニウムとステンレス鋼との水化学的あるいは電気化学的な共存性、及び機械的な強度、地震時の健全性等多くの面で難問が待ち構えている。
沸騰水型原子炉の制御棒は断面が十字形をなしており、その中央に中央構造材(タイロッド)を有する構成のものと、制御棒挿抜方向(軸方向)に断片的にしか結合部材がない「タイロッドなし」の構成のものとがある。前者は深いU字状のシースがタイロッドに溶接され、内部に中性子吸収要素が収納される構造となっており、後者は中性子吸収材を収納するシースがない構造となっている。
図27および図28は従来の代表的な停止用制御棒の構成を示している。これらの図に示すように、制御棒1は、ハンドル3を含む十字型の先端構造材4と、4枚の翼(ウイング)2と、末端構造材5とを有している。下部構造材5には、速度制限部材(スピードリミッタ)6が設けられている。
そして、従来の制御棒1では、各ウイング2の先端構造材4にガイドローラ7が設けられ、燃料チャンネル10の中性子照射伸び等に対して制御棒1と燃料チャンネル10との接触防止が図られている。
ところで従来では、停止用制御棒と制御用制御棒とを兼用できる構成の制御棒が提案されている。このような構成の制御棒には2種類のものが知られている。一つは、ヨーロッパで開発され、実用化されている。それを、さらに長寿命かつ大反応度価値を有するように本願の発明者らによって改良されたものが、例えば特許文献1および非特許文献1に開示されている。また、吸収材充填空間が円形で外側が周方向に90°ごとに角状の特記を有する、通常“square tube”と呼ばれている吸収棒を平板状に並べて固着したものが、特許文献2に開示され、実用化されている。
特開平01−202691号公報 特開平01−254895号公報 日本原子力学会 1996春の年会」 F19(P.291)"BWR用高反応度価値・長寿命制御棒の開発"
上述した特許文献1および非特許文献の構成を説明すると、制御棒が4枚の翼(ウイング)が挿抜方向(軸方向)に断続的に配置された横断面十字形をした短尺の結合部材(以下、「タイクロス」とも称する。)により十字形に結合されて構成されている。挿入先端部にはガイドローラ付きハンドルと一体化された先端構造材が固着され、挿入末端部にはスピードリミッタと一体に結合された末端構造材が固着されている。この制御棒のうち、先端構造材と末端構造材とはステンレス鋼製であり、中性子吸収材を充填した翼部は中性子吸収材の一構成部材であるハフニウムをジルコニウムに希釈した合金(ハフニウム合金)板に孔を開けて他の中性子吸収材であるボロンカーバイドを充填したものであるため、両構造材とはピン結合されており、異種金属の機械的な結合となっている。この構成は、水中において電気・化学的に活性であり、腐食に対する課題を抱えている。
また、特許文献2に記載された従来技術においては、各中性子吸収棒の外形が概ね正方形、内側は円形となっており、上述の“square tube”と呼ばれている被覆管の中に中性子吸収材が充填されて構成されている。被覆管の外側には周方向90°ごとに突起が形成されており、隣接する中性子吸収棒との間で互いに突起が当接し合い、溶接で平板状一体化され、全体として平板状に構成されている。先端構造材、末端構造材および横断面十字形の短尺結合部材(タイクロス)は特許文献1のものと似通った構成である。この構成の制御棒は“square tube”という独特の長尺管を使用し、かつ隣接するチューブには水が浸入しないように水密溶接が要求されるという点から、製造コストが高くなる原因となっている。一方、水密性が損なわれた場合にはクレビス腐食の課題が発生する。
前記2種の構成を有する制御棒にはシースが無く、そのため中性子吸収材を充填する液被覆管の内径(または孔)は拡大されており、シースがある構成の制御棒比べて約2倍の中性子吸収材を充填することができる構成となっている。中性子吸収材として通常用いられているボロンカーバイドを適用すると、大量の中性子照射を受けた場合、中性子吸収材はスエリングを起こし、被覆管(または孔)に内側から大きな応力が発生する課題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、前記2種の従来型制御棒の有する問題点を排除して、異種の金属が水中において近接せず、電気・水化学的に安定で、かつクレビス対策が施され、さらに大量の中性子照射を受ける場合でもスエリングを起さない中性子吸収材として適切に使用することができ、巨大地震の場合でも健全性を損ないにくく、同一構造の制御棒用制御棒または停止用制御棒として汎用性を高めることができる原子炉用制御棒を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明では、中性子吸収材を充填した棒状体を平行に並べて板状の翼とし、4枚の翼を横断面十字形の先端構造材と末端構造材とにより固着するとともに、前記各翼の一側面の軸方向に離間させて短尺の十字型結合部材を固着し、前記各翼における十字形の中心軸側の端部および中央部分に中性子吸収材を充填した角棒を配置し、前記各翼における十字形の外側端には中性子吸収材を充填した少なくとも翼中央側が平面状である角棒を配置し、前記中心軸側に配置された角棒と中央部分に配置された角棒との間、および前記中央部分に配置された角棒と前記外側端に配置された角棒との間に中性子吸収材を充填した物質を配置して、これらを結合部材により結合し、前記各翼における十字形の中央側および両端部分に配置される部分をそれらの間の部分に比して肉厚が大きい厚肉部としたことを特徴とする原子炉用制御棒を提供する。
また、本発明では、前記厚肉部を中実構造物とし、この厚肉部には軸方向に沿う孔を形成するとともに、この孔に中性子吸収材を充填した原子炉用制御棒を提供する。
また、本発明では、前記厚肉部は断面が角型をなす方形管とし、この方形管内に前記方形管よりも小径な断面円形の円形管を少なくとも1本配置し、この円形管内に中性子吸収材を充填した請求項1記載の原子炉用制御棒を提供する。
また、本発明では、前記厚肉部として、中実構造物と方形管とを混合配置した原子炉用制御棒を提供する。
また、本発明では、前記各翼部の中央に配置される厚肉部は、軸方向ほぼ全体に亘って設けられている原子炉用制御棒を提供する。
また、本発明では、前記中心軸側に配置された角棒と中央部分に配置された角棒との間、および前記中央部分に配置された角棒と前記外側端に配置された角棒との間に中性子吸収材を充填した物質を配置した部位を前記厚肉部よりも肉厚が小さい薄肉部とし、この薄肉部は、厚さ方向にて対向する2枚の結合部材により前記厚肉部に連結し、前記結合板の間に少なくとも1本の前記円形管を配置し、この円形管に中性子吸収材を充填した請求項3記載の原子炉用制御棒を提供する。
また、本発明では、前記結合部材は横断面U字形とし、この結合部材により前記薄肉部を包み込むとともに、この薄肉部へ前記結合部材の端部を固着した原子炉用制御棒を提供する。
また、本発明では、前記結合部材を短尺な方形管とした原子炉用制御棒を提供する。
本発明によれば、異種の金属が水中において近接しないため、電気・水化学的な安定性を増大させることができるとともに、クレビス対策を強化することができ、かつ大量の中性子照射を受ける場合にはスエリングを起さない中性子吸収材を適切に使用することができ、しかも巨大地震の場合でも健全性を損ないにくく、さらに制御棒用制御棒と停止用制御棒とを同一構造として汎用性を高めることができる。
以下、本発明に係る原子炉用制御棒の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1実施形態(図1−図6)]
図1は本発明の第1実施形態による原子炉用制御棒の全体構成を概略的に示す説明図である。図2は上下端構造材および4枚の翼を十字形に結合する翼結合材(以下、「タイクロス」ともいう。)を除く制御棒における一翼の主要部構成を示している。図3(a)は図2のA−A線断面図であり、図3(b)は図2のB−B線断面図である。図4は全体の縦断面図である。
これらの図に示すように、本実施形態の原子炉用制御棒11は縦長棒状で全体が横断面十文字形をなし、各翼12はセンタポスト13に連結されている。この十文字形の制御棒11の各翼12は燃料チャンネル(燃料の図示を省略している。)のチャンネルボックス10内に挿入配置されており、各翼12は周辺側の端部から中心側に向って厚肉部14と薄肉部15とが形成されている。
図2には制御棒11の一の翼12の構成を拡大して示している。この図2に示すように、中性子吸収材(図示省略)を充填した複数の棒状体、すなわち角棒14(14a,14b,14c)が平行に並べて板状の翼として構成してある。なお、各翼は、図示省略の横断面十字形をなす先端構造材と末端構造材とにより固着してある。各翼の一側面には、軸方向に離間させて短尺の十字型結合部材を固着してある。
各翼における十字形の中心軸側の端部および中央部分には、中性子吸収材を充填した角棒14(14a)を配置してある。また、各翼における十字形の外側端には中性子吸収材を充填した少なくとも翼中央側が平面状である角棒14(14c)を配置してある。中心軸側に配置された角棒14aと中央部分に配置された角棒14(14b)との間、および中央部分に配置された角棒14bと外側端に配置された角棒14cとの間には、中性子吸収材を充填した物質を配置してある。
これら中心軸側に配置された角棒14aと、中央部分に配置された角棒14bと、外側端に配置された角棒14cとを結合部材14a,17b,17c,17dにより結合してある。すなわち、各翼における十字形の中央側および両端部分に配置される部分は、それらの間の部分に比して肉厚が大きい厚肉部(角棒14a,14b,14c)とされている。なお、制御棒の中心軸から1〜2cm程度の間は水ギャップとなっている。
本実施形態では、中心軸側から2本の縦孔20を有する角棒14aで構成された厚肉部(以下、「厚幅部」ともいう。)、4本の円形管16が直線状に配置された薄肉部(以下、「薄幅部」ともいう。)15、翼幅方向中心の2本の縦孔20を有する角棒14bで形成された厚幅部、4本の円形管16が直線状に配置された薄肉部15、および2本の縦孔20を有する角棒14cで形成された厚幅部が平面状に配列されて十字型制御棒の一翼が形成されている。
角棒14a,14b,14cの縦孔20および円形管16には中性子吸収材が適切に充填されている。薄肉部15の4本の円形管16は、横断面が深いU字形を有し縦方向に短尺(例えば3cm程度の長さ)の結合部材17a,17b,17c、17dで直線状に束ねられており、U字形の端部一部分を削り込んだ一方向の角管14aのみに溶接ぶ19により固着されている。
同様の結合部材17a,17b,17c、17dが制御棒の軸方向に隣接又は若干の間隙(例えば5cm以内)をあけて、円形管16を直線状に束ねているが、U字の端部は一部分を削り込んだ他方向の角管のみに溶接されている。
U字の底に位置する円形管16と結合部材17内面との通水性を確保するため、U字部には円形管16の側に突出するように、ディンプリングが設けられている。
薄幅部15は結合部材17a,17b,17c、17dの外面間まで含めて厚幅部より例えば。5〜1mm程度薄くされる。薄幅部15の円形管16には通常なるべく多くの中性子吸収材を充填することが望ましいため、円形管16の直径は大きい方が望ましい。したがって、結合部材17の肉厚はできるだけ薄い方が望ましい。
このような要請に基づいて実施を行うと、溶接部19は地震などによる引張りの力が作用した場合、溶接部19で破損する虞れがある。破損が起こると、制御棒挿抜の際に重大な支障を生じることになる。
本実施形態のように、対をなす2個の結合部材17a,17b,17c、17dは互いに反対側の角棒14a,14b,14cに溶接される。このため、円形管16相互の微小な間隙および円形管16の微小な撓みにより、溶接部19への引張りの力は殆ど作用しなくなり、結合部材17の機械的な健全性が確保される。
翼端の角棒14cの翼外側は横断面が略円形に構成されており、従来の制御棒と同様に制御棒挿抜の滑らかさを確保できるようにしている。
なお、本実施形態では、薄幅部15の円形管16の本数は中央の厚幅部角棒14bの両側で同数の5本、翼外側で3本など非対称としてもよい。
次に作用を説明する。図1に仮想線にて示すように、燃料集合体のチャンネルボックス10に膨らみが生じた場合、チャンネルボックス10は原子炉に長期間装荷されると、特に燃料集合体の下部においてチャンネルボックス10内の圧力が外圧(水ギャップ部の圧力)より高いため、面の中央部で外側へ膨らむことが知られている。従来の制御棒では先端構造材にガイドローラ(図28の符号「7」参照)を設けて、この膨らみに対処してきたが、この部分は微妙な構造であり、水の流れが悪くなるなどして、破損の可能性が残っていた。
これに対し、本発明では、厚幅部14a,14b,14cが制御棒の全長に亘って設けられているため、単純で軸方向に一様な圧幅部がガイドローラの機能を果すため、ガイドローラは不要とすることができる。
また、薄幅部15は結合部材17の円形管16からの突出はあっても、その突出は圧幅部14a,14b,14cより薄く、したがって、チャンネルボックス10などとの機械的な干渉は生ぜず、制御棒挿抜の支障にはならない。なお、燃料集合体と制御棒先端との位置関係については、制御棒を全引抜きした状態でも制御棒先端部は機械的な干渉の虞れのある下部タイプレート上端部とチャンネルボックス10の下端部近傍より十分上方に位置する構成とすることにより、制御棒引抜きの支障となることはない。
図4に示すように、制御棒11の上端部側にはハフニウム制御棒21が設けられている。また、円形管にはボロンカーバイド(B4c)22が充填され、プレナムには金属ウール22a含まれている。軸方向においては、角棒連結用の連結部23が設けられている。
図5、図6は、本発明で中性子吸収材を好適に配置する背景を核的な側面あるいは発生ガスの面から説明することを主目的として行った臨界実験の結果を示したものである。図5は実験炉心の横断面における測定位置を説明した図であり、図6は得られた結果を示す特性図である。
実験においては、図5に示すように、臨界実験装置(NCA)の炉心タンク中で、中央に実機と横断面を等しくした十字型制御棒を配置し、それをとり囲むように4体の燃料集合体(チャンネルボックスは無い)を配置し、さらに炉心が臨界になるまで、外周に対称かつ炉心横断面が正方形になるように燃料棒を装荷した。使用した燃料は全て濃縮度2%のものである。
制御棒の中性子吸収材にはボロンカーバイド(B4C)を充填した中性子吸収棒(直径約5mm)を用いた。吸収棒の外側は深いU字状の横断面を有する厚さ1.4mmのステンレス鋼のシースとした。制御棒の中心軸付近には通常、中央構造材(タイロッド)が存在するが、この実験ではタイロッドを取外し、水が占めるようにして、本発明の制御棒構成(中央構造材が無い制御棒)を模擬した。そして、シースの表面に密着するように、銅箔をストリップ状に配置して炉心タンクに給水して炉心を臨界にし、中性子照射を行った後、炉心から取出して切断し、個々の誘導放射能のβ線を計測した。
図6はその放射能強度分布を示しており、これは低エネルギ、おおよそ熱エネルギを持った「熱中性子束」の分布とみなすことができる。翼の外側端部15mm程度および中心軸側10mm程度の範囲で急激に中性子束分布が高くなり、その他の翼内部では比較的平坦となっている。この現象は、実機制御棒では翼のうち配列された吸収材の両端部で中性子照射量が高くなるため、長寿命型の制御棒を設計する場合には長寿命型の中性子吸収材を配置すべきこと、反応度の高い制御棒を設計する場合には中性子吸収効果の高い吸収材を配置すべきことを示している。逆に、翼の中央部分では局所的であれば吸収材の選択条件は比較的緩いことを示している。
[第2実施形態(図7)]
図7は本発明の第2実施形態を示す側面図である。
本実施形態では、制御棒挿入先端側で中性子束が特に高いという事実を背景に、中性子吸収材を好適に配置した構成例について説明する。第1実施形態では、制御棒挿入先端側での薄幅部にガスを発生しないハフニウム(または希土類酸化物)が配置されているが、本実施形態ではステンレス鋼により構成された平管の中にハフニウム板が密封されている。この構成では先端のハフニウム部とそれに続く挿入末端側とで反応度価値を同程度にすることが可能であり、重量およびコスト等の許容範囲内において必要に応じ、ガスが発生しない領域を大幅に(例えば制御棒有効部全長の半分程度まで)拡大することができる。
[第3実施形態(図8)]
図8(a),(b)は本発明の3実施形態による制御棒の構成を側面視により示す説明図であり、図2のA−A線断面およびB−B線断面に相当する縦断面図である。
これらの図に示すように、本実施形態の制御棒においてもU字形の底を有している。このU字形の底に位置する円形管と結合部材の内面との間に通水性を確保するため、U字部には円形管の側に突出するようにディンプリングが設けられている。ただし、U字部の曲率を小さくすることによって目的とする機能を達成している。
[第4実施形態(図9)]
図9(a),(b)は本発明の4実施形態による制御棒の構成を側面視により示す説明図であり、図2のA−A線断面およびB−B線断面に相当する縦断面図である。
これらの図に示すように、本実施形態の制御棒はU字形の底に代えて、略方形とする構成となっている。この構成によって通水性を確保する機能を得るようにしている。
[第5実施形態(図10、図11)]
図10は本発明の5実施形態による制御棒の構成を側面視により示す説明図であり、図11は図10のC−C線断面図である。
これらの図に示すように、本実施形態の制御棒は図9に示したものと類似しているが、薄幅部には短尺方形管が適用されており、厚幅部が一部削られて結合部材の肉厚による翼幅の過剰の拡がりを抑制する構成となっている。この構成は、厚幅部にはガス圧が高くならない吸収材を充填する場合、またはガス圧が高くならない制御棒設計の場合に適用することができる。なお、結合材が一方向の角棒のみに溶接固着されている点は前記実施形態と同様である。
[第6実施形態(図12)]
図12は本発明の6実施形態による制御棒の構成を側面視により示す説明図であり、図2のA−A線断面およびB−B線断面に相当する縦断面図である。
本実施形態では、圧肉部が方形管の中に円形管を少なくとも1本以上配置し、この円形管に中性子吸収材を充填した構成となっている。他の構成部分は前記実施形態と同様である。角棒に縦孔を開ける場合に比べて、方形管は引抜き法などによって製造することができる材料からなり、制御棒棒製造コストの低減が図れるものである。翼外側端が方形となるので、翼幅を若干狭くする必要があるが、必要不可欠の場合には翼外側端に丸みをつけた方形管を適用することにより解消することができる。
[第7実施形態(図13)]
図13(a),(b)は本発明の7実施形態による制御棒の構成を側面視により示す説明図であり、図2のA−A線断面およびB−B線断面に相当する縦断面図である。
この図に示すように、本実施形態の制御棒では、横断面U字状の結合部材17aは3本の円形管16を包んだ構成となっている。U字形部分の外側に若干の間隙が発生するが、前記実施形態とほぼ同様の機能を得ることができる。
[第8実施形態(図14−図16)]
図14は本発明に係る制御棒の第8実施形態を示す側面図であり、制御棒挿入先端部近傍を示している。図15は図14の構成を詳しく示すため横方向寸法を2倍に拡大した説明図である。図16(a),(b)はそれぞれ図15のD−D線およびE−E線断面図である。
本実施形態において、翼両端の厚幅部を構成する角棒部14は前記実施形態と同様である。薄幅部は挿入先端側が細径でハフニウム棒16が密封されており、太径部とはプラグ45によって相互に隔離された状態で結合され、水密とされている。
プラグ45の軸方向位置は隣接円形管44で異なる配置(段差状に配置)されており、吸収材が欠乏した部位の隣接を防止している。隣接しない部位の長さは熱中性子の移動距離が小さくなるように、例えば10mm以上に設定されている。
翼中央の厚幅部14は前記実施形態と異なり、2本に分割されており、挿入先端部と図示しない末端部では固着されているが、途中部位は分離されている。巨大地震の際に翼の幅(スパン)方向に力が掛かった場合、この構成で生じる例えば1mm程度の隙間によって撓みが半減される。薄幅部の円形管列の外側には長尺の結合部材が太線で示すように、固着されている。
結合部材17の板は薄く、例えば0.5〜1mm程度であり、溶接などによって固着された部に横向き(横幅方向)の力が異常に加わると固着部で破損する可能性がある。本実施形態では、異常な引張りの力が掛かった場合、固着部分を保護するように応力解放部が適宜設けられている。すなわち、翼中央の厚幅部が2分割されており、これにより薄幅部における歪は半減し、長尺結合部材に掛かる応力も半減し、結合部材の健全性が大幅に向上する。さらに、結合部材に応力解放部を設けたことにより、溶接固着部の破損可能性を著しく低下させることができる。また、挿入先端部は細径としてあり、その分だけ結合部材の板厚が厚くなっており、万一の場合でも薄幅部の円形管の離脱の可能性が抑制される。
なお、図15には、4枚の翼を十文字型に結合する一部の翼結合部材(タイクロス)45も図示されている。このタイクロスの軸方向取付け位置は挿入先端と末端付近とを除き、タイバー13が厚肉部に溶接されている部分の中間で溶接されていない部分の中央部とされている。この部分は地震時に、他の翼からの歪を薄幅部に伝え難くするため、結合部材への応力伝播が抑制される。タイクロス45を通して反対側から応力を受けた場合には、制御棒軸心側の角棒に力が加わるため若干しなるが、その近傍には結合部材の溶接部が近接していないため、結合材溶接部へ伝わる力は、円形管16のしなりや、隣接円形管相互間の微小な隙間の存在により薄められる。51は局所スペーサである。
[第9実施形態(図17)]
本実施形態では、結合板(タイバー)の各種構成例について説明する。
図17(a)には、図15に示した構成から若干の変更を施した構成例を示している。すなわち、結合部材17が軸方向に沿って溶接部と連結部とを一体化した構成となっている。そして、両側が厚幅部に溶接されている溶接部中央には2個の円形孔62が穿設されており、これらの円形孔62の間には縦長な1個の楕円形の長孔61が穿設されている。この構成によれば、巨大地震等により溶接部に異常に強い引張り力が加わった場合、楕円形の長孔61と円形孔62との間にき裂が生じて応力を解放することが可能であり、溶接部の破損を免れさせる機能が得られる。連結部は溶接部に比べてかなり長く設定されるので、応力の被害は発生しない。
図17(b)には、上述の楕円孔に代えて円形孔62を形成した構成を示している。この構成においては、図17(a)に示した構成とほぼ同様の機能が得られる。
図17(c)には、応力解放のために1個の楕円孔61のみを形成した構成を示している。また、図17(d)には、応力解放のために2個の円形孔を隣接して形成し、両円形孔の間にき裂を生じさせて溶接部の健全性を確保する構成を示している。これらの構成では破損が生じた場合でも、破片が発生してルースパーツとなる虞れがない。なお、図17(d)の構成では、結合部材が軸方向に短尺とされている。
[第10実施形態(図18、図19)]
図18は本発明の10実施形態による制御棒の構成を側面視により示す説明図であり、図2のA−A線断面に相当する縦断面図である。
この図に示すように、本実施形態の制御棒は翼中央の厚幅部が分割されていない点で第9実施形態と異なっている。これにより、想定される巨大な地震発生時においても、引張り応力が許容できる範囲の場合には中央の厚幅部を分割する必要がない構成となっている。結合部材には例えば図17に示した構成のものが適用される。
図19は本実施形態の変形例を示すよる制御棒を示す説明図である。この変形例による制御棒が図18のものと異なる点は、翼側端部の厚幅部が翼幅方向(スパン方向)に短尺化され、代って円形管が適用されている構成にある。この構成によれば、しなやかさを向上することができる。なお、図19の例では薄幅部を制御棒中心側に4本、外側に5本配した構成を示したが、逆に薄幅部を制御棒中心側に5本、外側に4本配した構成としてもよい。
[第11実施形態(図20、図21)]
図20は本発明の11実施形態による制御棒の構成を側面視により示す説明図であり、図21は図20のF−F線断面図である。
本実施形態では、厚幅部が方形管70,72,73,74,75,76に円形管を挿入した構成となっている。薄幅部の短尺な板状結合部材は細い短尺の円形管を収納した細い角管の側面に固着されている。そして、必要に応じて角管には通水性を向上させるため、内側に向ってディンプリング18が設けられている。
[第12実施形態(図22)]
図22は本発明の12実施形態による制御棒の横断面構成を示す説明図である。この実施形態では、厚幅部70a,73a,76aが制御棒中心軸側、翼中央部、翼端部はいずれも長尺方形角管の中に長尺の吸収材が充填された2本の円形管16が収納されている。そして、制御棒中心側長尺角管70aと翼中央部の長尺角管73aとの間、および翼中央部の長尺角管73aと翼端部長尺角管16aとの間にはそれぞれ短尺結合板17が固定されて薄幅部が構成され、その中にそれぞれ長尺の吸収材充填された4本の円形管が直線状に並んだ配置で翼が形成されている。長尺方形角管70a,73a,76aは円形管とほぼ同様に引抜法によって製造されている。これにより、製造コストの低減が図られる。
[第13実施形態(図23)]
図23は本発明の13実施形態による制御棒の横断面構成を示す説明図である。この実施形態では、円形管16を収納した方形管80,82,84,86が4本適用され、それらの間が短尺結合板81,83,85により直線状に連結されている。
[第14実施形態(図24)]
図24は本発明の14実施形態による制御棒の横断面構成を示す説明図である。この実施形態では、円形管16を収納した方形管80a,83a,86aが3本適用され、それらの間が短尺結合板82a,84aにより直線状に連結されている。
[第15実施形態(図25)]
図25は本発明の15実施形態による制御棒の横断面構成を示す説明図である。この実施形態では、円形管16を収納した方形管80b,83b,86bが3本適用され、それらの間が短尺結合板82b,84bにより直線状に連結されている。本実施形態では同一形状の長尺方形管を用いて厚幅部が構成され、それらの間が短尺結合板により直線状に連結されている。
[第16実施形態(図26)]
図26は本発明の16実施形態による制御棒の横断面構成を示す説明図である。この実施形態では、制御棒軸心側と外側の厚幅部とに角棒14が適用され、翼中央部には2本の角管14が図15に示したものと同様に、間隙をあけて配置されている。角管14には内側に向ってディンプリングが設けられ、内部に収納された円形管16との間の通水性向上が図られている。
本発明の第1実施形態を示す全体平面図。 本発明の第1実施形態による要部構成を示す拡大図。 (a)は図2のA−A線拡大図、(b)は図2のB−B線断面図。 図2に対応する縦断面構成を示す説明図。 本発明の第1実施形態による実験炉心の測定位置を示す説明図。 図5に示した実験炉心の測定結果を示すグラフ。 本発明の第2実施形態による要部構成を示す縦断面図。 (a),(b)は本発明の第3実施形態を示す説明図。 (a),(b)は本発明の第4実施形態を示す説明図。 本発明の第5実施形態を示す説明図。 図10のC−C線断面図。 (a),(b)は本発明の第6実施形態を示す説明図。 (a),(b)は本発明の第7実施形態を示す説明図。 本発明の第8実施形態を示す説明図。 図15の横方向拡大図。 (a)は図15のD−D線断面図、(b)は図15のE−E線断面図。 (a),(b),(c),(d)は本発明の第9実施形態を示す説明図。 本発明の第10実施形態を示す説明図。 本発明の第10実施形態の変形例を示す説明図。 本発明の第11実施形態を示す説明図。 図20のF−F線断面図。 本発明の第12実施形態を示す説明図。 本発明の第13実施形態を示す説明図。 本発明の第14実施形態を示す説明図。 本発明の第15実施形態を示す説明図。 本発明の第16実施形態を示す説明図。 従来の制御棒構成を示す全体斜視図。 従来の制御棒構成を示す概略平面図。
符号の説明
11 原子炉用制御棒
12 翼
13 センタポスト
14(14a,14b,14c) 角棒
14a,17b,17c,17d 結合部材
15 薄肉部
19 溶接部
16 円形管
20 縦孔
22 ボロンカーバイド(B4c)

Claims (8)

  1. 中性子吸収材を充填した棒状体を平行に並べて板状の翼とし、4枚の翼を横断面十字形の先端構造材と末端構造材とにより固着するとともに、前記各翼の一側面の軸方向に離間させて短尺の十字型結合部材を固着し、
    前記各翼における十字形の中心軸側の端部および中央部分に中性子吸収材を充填した角棒を配置し、前記各翼における十字形の外側端には中性子吸収材を充填した少なくとも翼中央側が平面状である角棒を配置し、
    前記中心軸側に配置された角棒と中央部分に配置された角棒との間、および前記中央部分に配置された角棒と前記外側端に配置された角棒との間に中性子吸収材を充填した物質を配置して、これらを結合部材により結合し、
    前記各翼における十字形の中央側および両端部分に配置される部分をそれらの間の部分に比して肉厚が大きい厚肉部としたことを特徴とする原子炉用制御棒。
  2. 前記厚肉部を中実構造物とし、この厚肉部には軸方向に沿う孔を形成するとともに、この孔に中性子吸収材を充填した請求項1記載の原子炉用制御棒。
  3. 前記厚肉部は断面が角型をなす方形管とし、この方形管内に前記方形管よりも小径な断面円形の円形管を少なくとも1本配置し、この円形管内に中性子吸収材を充填した請求項1記載の原子炉用制御棒。
  4. 前記厚肉部として、請求項2記載の中実構造物と請求項3記載の方形管とを混合配置した請求項1記載の原子炉用制御棒。
  5. 前記各翼部の中央に配置される厚肉部は、軸方向ほぼ全体に亘って設けられている請求項1記載の原子炉用制御棒。
  6. 前記中心軸側に配置された角棒と中央部分に配置された角棒との間、および前記中央部分に配置された角棒と前記外側端に配置された角棒との間に中性子吸収材を充填した物質を配置した部位を前記厚肉部よりも肉厚が小さい薄肉部とし、この薄肉部は、厚さ方向にて対向する2枚の結合部材により前記厚肉部に連結し、前記結合板の間に少なくとも1本の前記円形管を配置し、この円形管に中性子吸収材を充填した請求項3記載の原子炉用制御棒。
  7. 前記結合部材は横断面U字形とし、この結合部材により前記薄肉部を包み込むとともに、この薄肉部へ前記結合部材の端部を固着した請求項6記載の原子炉用制御棒。
  8. 前記結合部材を短尺な方形管とした請求項6記載の原子炉用制御棒。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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