JP2008261345A - ピストンのコーティング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐摩耗性に優れたコート層を圧縮機のピストンにコーティングする方法を提供する。
【解決手段】フッ素樹脂100重量部、及びバインダー50〜400重量部、及びモース硬度が2.0〜5.0の範囲で前記フッ素樹脂に対して0.05〜12体積%の耐摩耗性付与剤をそれぞれ有機溶剤に溶解してコーティング液を調製し、該コーティング液をピストン式圧縮機のピストン22の外周面に被覆した後、有機溶剤を除去してコート層35を形成する。
【選択図】図2
【解決手段】フッ素樹脂100重量部、及びバインダー50〜400重量部、及びモース硬度が2.0〜5.0の範囲で前記フッ素樹脂に対して0.05〜12体積%の耐摩耗性付与剤をそれぞれ有機溶剤に溶解してコーティング液を調製し、該コーティング液をピストン式圧縮機のピストン22の外周面に被覆した後、有機溶剤を除去してコート層35を形成する。
【選択図】図2
Description
本発明は、例えば、車両の空調システムに使用される圧縮機のピストンのコーティング方法に関するものである。
例えば、車両の空調システムに用いられる圧縮機として、ピストン式圧縮機がある。この圧縮機のピストンとして、ピストンリングを有することなく、ピストンの外周面を直接シリンダボアの内周面に接触させる構成のものが存在する。このような構成のピストンにおいては、ピストンリングを備えていなくても、ピストンの外周面とシリンダボアの内周面との間の摺動特性、シール性、耐摩耗性等を確保する必要がある。
そこで、従来からピストンの外周面にフッ素樹脂等を主成分とするコート層を形成し、前述した摺動特性、シール性、耐摩耗性等を確保することが実施されている。
そこで、従来からピストンの外周面にフッ素樹脂等を主成分とするコート層を形成し、前述した摺動特性、シール性、耐摩耗性等を確保することが実施されている。
しかし、上記従来のフッ素樹脂を主成分とするコーティング材料でコート層を形成したピストン式圧縮機のピストンにおいては、同コート層の耐摩耗性が必ずしも満足できるものではないといった問題がある。
本発明は、上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであって、その目的は、耐摩耗性に優れたコート層をピストン式圧縮機のピストンにコーティングする方法を提供することにある。
本発明のピストンのコーティング方法は、フッ素樹脂100重量部、及びバインダー50〜400重量部、及びモース硬度が2.0〜5.0の範囲で前記フッ素樹脂に対して0.05〜12体積%の耐摩耗性付与剤をそれぞれ有機溶剤に溶解してコーティング液を調製し、該コーティング液をピストン式圧縮機のピストンの外周面に被覆した後、有機溶剤を除去してコート層を形成する。
なお、前記コーティング液には、本発明の効果を阻害しない限り、所望により十数%程度まで、前記コーティング液に対して前記以外に所望の添加剤をさらに加えても構わない。この例としては、顔料、染料等が挙げられる。
本発明において、ピストン外周面に設けられるコート層の厚さは、該ピストンの使用条件や使用目的により、所望の厚さで設けられるが、通常は20〜60μmの厚さで設けられる。
本発明に使用される耐摩耗性付与剤とはモース硬度が2.0〜5.0の範囲にある鉱物、無機物または無機化合物であり、その性状はコート層中に均一に分散できるものが使用される。具体的には、粉体、微粒子または微粒子状の物質である。耐摩耗性付与剤のモース硬度が2を下回ると、耐摩耗性が十分発揮されず、モース硬度が5を上回ると、該コート層表面と接する摺動部表面を傷付ける傾向が生じてくる。
このコート層において、前記耐摩耗性付与剤は前記モース硬度範囲のものが前記フッ素樹脂の含有量に対して、0.05〜12体積%の範囲で使用される。この範囲を下回ると、耐摩耗性が十分発揮されず、またこの範囲を上回ると、該コート層表面と接する摺動部表面を傷付ける傾向が生じてくる。
なお、耐摩耗性の観点からは、前記耐摩耗性付与剤のモース硬度が2.5〜4.5の範囲のものがより望ましく、一層望ましくは3.0〜4.0のものが使用される。ここで、モース硬度は、各耐摩耗性付与剤固有の特性値である。本発明では、前記モース硬度範囲にある鉱物、無機物または無機化合物を、前記形態(粉体、微粒子等)となるように粉砕等の処理を行ったものを耐摩耗性付与剤として使用するものである。
前記耐摩耗性付与剤は、通常、平均粒径10μm以下のものが使用される。平均粒径が10μmを超えると、平滑な塗布表面が得られず、実用性が低下する。
この耐摩耗性付与剤として、具体的には、フッ化カルシウム、酸化亜鉛、マイカ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記耐摩耗性付与剤として好適には固体潤滑性を有するものが選択される。この例としてはフッ化カルシウム等が挙げられる。
この耐摩耗性付与剤として、具体的には、フッ化カルシウム、酸化亜鉛、マイカ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記耐摩耗性付与剤として好適には固体潤滑性を有するものが選択される。この例としてはフッ化カルシウム等が挙げられる。
前記フッ素樹脂としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)ETFE(エチレンテトラフルオロエチレン)FEP(テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロロレンコポリマー)等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。本発明で使用されるフッ素樹脂は、通常は粉体(パウダー)ないしは粉体状のものが使用される。このようなフッ素樹脂は広く市販されており、例えばポリテトラフルオロエチレンの場合、ホスタフロンTF(ヘキストインダストリー社)、セフラルループ(セントラル硝子株式会社)等の商品名で販売されている。
バインダーとしては耐熱性の高い熱硬化性樹脂が通常使用される。例えばポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
通常はこれらの樹脂が溶剤で希釈されたものが市販されており、本発明にもその様な市販品を適用することができる。この様な溶剤で希釈された製品を本発明に適用する場合は、その固形分(樹脂成分)が本発明におけるバインダーとなる。例えばポリアミドイミド樹脂の場合、HPCシリーズ(日立化成工業株式会社)の商品名で販売されている。
前記コーティング液において、溶剤の占める割合は、バインダー、フッ素樹脂および耐摩耗性付与剤等が溶剤に均一に分散ないしは溶解して、塗布等の作業に適した状態になる程度であれば、格別に限定されるものではない。通常は前記各成分の合計重量を100重量部とした場合、溶剤も100重量部程度使用されるが、溶剤使用量は所望により選ばれる。
請求項1の発明においては、耐摩耗性付与剤により耐摩耗性を向上させたコート層をコーティングすることができる。図4は、ピストンに対して耐摩耗性付与剤を含むコート層を設け、そのピストンを有するピストン式圧縮機を特定条件下で動作させた後に、コート層の摩耗量を測定した結果を示す。前述のような耐摩耗性付与剤を含有しないコート層と比較して、モース硬度が2.0〜5.0の耐摩耗性付与剤を含有するコート層は、摩耗量が少なく、耐摩耗性に優れている。これに対し、モース硬度の値が上記範囲より低い耐摩耗性付与剤を含有させた場合には、耐摩耗性が顕著に低下する。逆に、モース硬度の値が上記範囲を超えると、コート層と接触するシリンダボアの内周面の摩耗が促進される。
請求項2に記載の発明においては、耐摩耗性付与剤としてモース硬度2.5〜4.5のものを用いたことにより、耐摩耗性の向上が良好である。
請求項3に記載の発明においては、耐摩耗性付与剤としてモース硬度3.0〜4.0のものを用いたことにより、耐摩耗性の向上がさらに良好である。
請求項4に記載の発明においては、モース硬度4.0の耐摩耗性付与剤を用いたことにより、耐摩耗性が最も良好である。
請求項3に記載の発明においては、耐摩耗性付与剤としてモース硬度3.0〜4.0のものを用いたことにより、耐摩耗性の向上がさらに良好である。
請求項4に記載の発明においては、モース硬度4.0の耐摩耗性付与剤を用いたことにより、耐摩耗性が最も良好である。
請求項5に記載の発明においては、コーティング液に固体潤滑性を有する添加剤を添加したことにより、ピストンに作用する摺動抵抗が小さくなり、良好な摺動特性を得ることができる。
請求項6に記載の発明においては、モース硬度と固体潤滑性の双方を高いレベルで発現するフッ化カルシウムを用いたことにより、耐摩耗性及び摺動特性をきわめて適切に得ることができる。
請求項7に記載の発明では、フッ化カルシウムの平均粒径を10μm以下にしたことにより、請求項6の効果をさらに良好に維持できる。
請求項6に記載の発明においては、モース硬度と固体潤滑性の双方を高いレベルで発現するフッ化カルシウムを用いたことにより、耐摩耗性及び摺動特性をきわめて適切に得ることができる。
請求項7に記載の発明では、フッ化カルシウムの平均粒径を10μm以下にしたことにより、請求項6の効果をさらに良好に維持できる。
以下、本発明を具体化した一実施形態について説明する。
図1〜図3は、本発明を両頭ピストン式圧縮機の両頭ピストンにおいて具体化した実施形態を示す。
図1〜図3は、本発明を両頭ピストン式圧縮機の両頭ピストンにおいて具体化した実施形態を示す。
一対のセンタハウジング11,12は相互に固定され、それらの前後にはフロントハウジング13及びリヤハウジング14がそれぞれバルブプレート15,16介して固定されている。前記両センタハウジング11,12,フロントハウジング13及びリヤハウジング14はアルミニウム合金よりなる。前記両センタハウジング11,12間にはラジアルベアリング17を介して駆動シャフト18が回転可能に支持されている。駆動シャフト18の中間部には斜板19が固定されており、その斜板19はスラストベアリング20によりフロントハウジング13及びリヤハウジング14に支持されている。
フロントハウジング13及びリヤハウジング14にはそれぞれ駆動シャフト18の軸心を中心とした同一円上にて等間隔をおいてシリンダボア21が配列形成されている。前後に対向するシリンダボア21間にはピストン22が往復動可能に収容され、その中間腹部にはシュー23を介して前記斜板19の外周部が連結されている。前記ピストン22は、アルミニウム合金よりなる。
そして、駆動シャフト18が回転されると、斜板19が一体に揺動回転され、この揺動回転によりピストン22が往復動される。このため、外部冷媒回路(図示しない)に接続された吸入室24から吸入ポート25及び吸入弁26を介して冷媒ガスがシリンダボア21内に吸入される。そして、その冷媒ガスが圧縮されて吐出ポート27及び吐出弁28を介して吐出室29に吐出され、その吐出室29から前記外冷媒回路に送出される。
次に、前記ピストン22の構成について説明すると、図2に示すように、同ピストン22は全体として概略円柱状をなす鋳造品である。ピストン22は、一方の円柱頭部31がフロント側のシリンダボア21内に挿入配置されるとともに、他方の円柱頭部31がリヤ側のシリンダボア21内に挿入配置される。凹部32は、両頭部31間の中央部付近に肉盗みを施すことによって形成されている。
前記シュー23を受ける受け部としてのシュー座33は、同凹部32内に形成されている。このシュー座33に前記シュー23が受けられる。
前記シュー23を受ける受け部としてのシュー座33は、同凹部32内に形成されている。このシュー座33に前記シュー23が受けられる。
そして、フッ素樹脂及びバインダーを主成分するコート層35が、シリンダボア21との摺接部位としての前記両頭部31の外周面に、数十μmの厚みで皮膜形成されている。このため、ピストン22の外周面とシリンダボア21の内周面との間のシール性、低摩擦摺動性および耐摩耗性が確保されている。
前記コート層35におけるフッ素樹脂とバインダーとの重量比はフッ素樹脂100重量部に対して、バインダーが50〜400重量部である。そして、コート層35には耐摩耗性付与剤として平均粒径5μmのフッ化カルシウムが、フッ素樹脂に対して0.1体積%含有されている。このフッ化カルシウムは、モース硬度が4.0であり、固体潤滑性を有するものである。
ちなみに、コート層35は図3に示すロールコーティング装置51により形成される。このロールコーティング装置51は、コーティング材料Cが貯留された材料パン52と、同材料パン52のコーティング材料C中に外周部の一部が没入されたメタルロール53と、同メタルロール53に所定間隔をおいて配置されたコンマロール54と、前記メタルロール53に接触配置された合成ゴム製の転写ロール55と、ピストン22を回転可能に保持するワークホルダ56と、同ワークホルダ56及び前記各ロール53〜55をそれぞれ矢印方向に回転させるモータ等を備えた駆動機構(図示しない)を備えている。
駆動機構を起動して各ロール53〜55及びピストン22を回転させると、メタルロール53の外周面に対して材料パン52中のコーティング材料Cが、その周方向に順次付着される。同メタルロール53に付着されたコーティング材料Cは、コンマロール54により膜厚が調節された後、それに接触する転写ロール55に転写される。そして、同転写ロール55に接するピストン22の頭部31にはコーティング材料Cが転写塗布される。前記コーティング材料Cが塗布された後のピストン22に対して、乾燥硬化処理が施され、コート層35が形成される。
以上のように構成されたピストン22は、そのコート層35が前述したフッ化カルシウムを含んでいるため、以下のような効果を発揮する。
・ フッ化カルシウムが固体潤滑性を有するため、シリンダボア21の内周面とコート層35との摩擦抵抗が小さくなる。従って、ピストン22の摺動特性が向上し、圧縮機の稼働効率がアップする。フッ化カルシウムの粒径を平均10μm以下望ましくは1〜5μmとすると摺動特性が一層向上する。
・ フッ化カルシウムが固体潤滑性を有するため、シリンダボア21の内周面とコート層35との摩擦抵抗が小さくなる。従って、ピストン22の摺動特性が向上し、圧縮機の稼働効率がアップする。フッ化カルシウムの粒径を平均10μm以下望ましくは1〜5μmとすると摺動特性が一層向上する。
・ コート層35がシリンダボア21を形成したセンタハウジング11,12とほぼ等しい硬度のフッ化カルシウムを含有するため、図4に示すように、コート層35の耐摩耗性が飛躍的に向上する。従って、高いシール性を長期にわたって維持でき、圧縮機の稼働効率の維持に寄与できる。
・ 本発明においては、フッ化カルシウムの配合比が、フッ素樹脂に対して0.05体積%以上であれば、その特性を発揮できる。前記実施形態のコート層35においては、フッ素樹脂に対してフッ化カルシウムが0.1体積%であるため、フッ化カルシウムの特性を発揮して、前記の摺動特性や耐摩耗性を確保できる。
なお、フッ化カルシウムの配合比がフッ素樹脂に対して、12体積%を超えると、コート層中におけるフッ素樹脂とバインダーの割合が相対的に低下するので、摺動特性等の面で好ましくない。
なお、フッ化カルシウムの配合比がフッ素樹脂に対して、12体積%を超えると、コート層中におけるフッ素樹脂とバインダーの割合が相対的に低下するので、摺動特性等の面で好ましくない。
・ コート層35のフッ素樹脂とバインダーとの比率が、重量比で、フッ素樹脂100重量部に対してバインダーが50〜400重量部の範囲内であるため、コート層35の接着強度、耐摩耗性及び摺動性をバランス良く確保できる。これに対し、バインダーの比率が低くなると、ピストン22に対するコート層35の接着強度が低下する。また、バインダーの比率が高くなると、すなわちフッ素樹脂の比率が低くなると、耐摩耗性及び摺動特性が低下する。
この発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
・ 耐摩耗性付与剤としてフッ化カルシウム以外のもの、例えば、酸化亜鉛、マイカ、水酸化アルミニウム等を単独で、あるいはそれらを混合して、またはフッ化カルシウムと混合して使用すること。配合比率、粒径等は前記実施形態に従う。
・ 耐摩耗性付与剤としてフッ化カルシウム以外のもの、例えば、酸化亜鉛、マイカ、水酸化アルミニウム等を単独で、あるいはそれらを混合して、またはフッ化カルシウムと混合して使用すること。配合比率、粒径等は前記実施形態に従う。
・ 耐摩耗性付与剤としてモース硬度の異なるものを使用すること。例えば、モース硬度が2.5〜4.5の範囲内のもの、あるいはモース硬度が3.0〜4.0の範囲内のものを使用すること。このようにしても、前記実施形態に準じた効果を得ることができる。もちろん、これらモース硬度の異なるものを混合した場合も同様である。
[参考例1]
フッ素樹脂、バインダー、フッ化カルシウムからなるコーティング液を調製し、基材(後記の「ディスク」)に塗布し、180℃で90分間焼成させたものについて、後記の試験方法により耐摩耗性を測定した。
コーティング液組成
1.フッ素樹脂
ポリテトラフルオロエチレンパウダー
(平均粒径4μm、かさ密度280±80g/L、製法:乳化重合):
100重量部
2.バインダー
ポリアミドイミド(日立化成工業株式会社製 HPC−5000):
160重量部(但し、固形分換算量)
3.溶剤
N−メチルピロリドン: 340重量部
キシレン: 30重量部
4.フッ化カルシウム(平均粒径3μm、モース硬度4.0)
添加量(フッ素樹脂に対する体積%)と摩耗量との関係は以下の通りである。
フッ化カルシウム(体積%) 0 0.05 0.3 1.0 3.0 5.0 8.0 12.0 15.0
摩耗量(μm) 10 2.0 1.0 0.5 0 0.5 1.0 2.0 8.0
測定方法と条件:上記の摩耗量は、30μmの厚さのコート層を持つディスクに対して、リングを4kgで圧接し、無給油、500rpmで20時間回転させた後のコート層の摩耗深さを計測したものである。
フッ素樹脂、バインダー、フッ化カルシウムからなるコーティング液を調製し、基材(後記の「ディスク」)に塗布し、180℃で90分間焼成させたものについて、後記の試験方法により耐摩耗性を測定した。
コーティング液組成
1.フッ素樹脂
ポリテトラフルオロエチレンパウダー
(平均粒径4μm、かさ密度280±80g/L、製法:乳化重合):
100重量部
2.バインダー
ポリアミドイミド(日立化成工業株式会社製 HPC−5000):
160重量部(但し、固形分換算量)
3.溶剤
N−メチルピロリドン: 340重量部
キシレン: 30重量部
4.フッ化カルシウム(平均粒径3μm、モース硬度4.0)
添加量(フッ素樹脂に対する体積%)と摩耗量との関係は以下の通りである。
フッ化カルシウム(体積%) 0 0.05 0.3 1.0 3.0 5.0 8.0 12.0 15.0
摩耗量(μm) 10 2.0 1.0 0.5 0 0.5 1.0 2.0 8.0
測定方法と条件:上記の摩耗量は、30μmの厚さのコート層を持つディスクに対して、リングを4kgで圧接し、無給油、500rpmで20時間回転させた後のコート層の摩耗深さを計測したものである。
[参考例2]
参考例1において、フッ化カルシウム0.3体積%に代えて、下記の種類の耐摩耗性付与剤0.3体積%を使用した他は、参考例1と同様にして、コート層を形成させ、参考例1と同様にコート層の摩耗量を測定した。その結果をフッ化カルシウム0.3体積%の場合の結果を含めて以下に示す。
モース硬度 平均粒径(μm) 摩耗量(μm)
無添加 10
グラファイト(六方晶) 1.5 5.0 9
窒化ホウ素(六方晶) 2.0 1.5 5
マイカ(単斜晶) 2.5 3.0 3
水酸化アルミニウム(六方晶) 3.0 1.0 2
炭酸カルシウム 3.5 0.04 2
フッ化カルシウム(立方晶) 4.0 3.0 1
酸化亜鉛(六方晶) 4.5 0.6 2
第3リン酸カルシウム(無定型)5.0 2.0 4
参考例1において、フッ化カルシウム0.3体積%に代えて、下記の種類の耐摩耗性付与剤0.3体積%を使用した他は、参考例1と同様にして、コート層を形成させ、参考例1と同様にコート層の摩耗量を測定した。その結果をフッ化カルシウム0.3体積%の場合の結果を含めて以下に示す。
モース硬度 平均粒径(μm) 摩耗量(μm)
無添加 10
グラファイト(六方晶) 1.5 5.0 9
窒化ホウ素(六方晶) 2.0 1.5 5
マイカ(単斜晶) 2.5 3.0 3
水酸化アルミニウム(六方晶) 3.0 1.0 2
炭酸カルシウム 3.5 0.04 2
フッ化カルシウム(立方晶) 4.0 3.0 1
酸化亜鉛(六方晶) 4.5 0.6 2
第3リン酸カルシウム(無定型)5.0 2.0 4
[実施例]
参考例2に準じて、グラファイト、マイカ、フッ化カルシウムまたは第3リン酸カルシウムを含有したコート層(厚さ:約30μm)を両頭斜板ピストン式圧縮機のピストンの外周面に設け、次の条件のもとに、実機で試験した結果を以下に示す(図4)。
参考例2に準じて、グラファイト、マイカ、フッ化カルシウムまたは第3リン酸カルシウムを含有したコート層(厚さ:約30μm)を両頭斜板ピストン式圧縮機のピストンの外周面に設け、次の条件のもとに、実機で試験した結果を以下に示す(図4)。
圧縮機 :両頭斜板ピストン式圧縮機
冷媒/オイル:R134/PAG
回転数 :700rpm
運転時間 :100H
耐摩耗性付与剤(0.3体積%) モース硬度 局部摩耗量(μm)
・グラファイト(六方晶) 1.5 13
・マイカ(単斜晶) 2.5 7
・フッ化カルシウム(立方晶) 4.0 3
・第3リン酸カルシウム(無定型) 5.0 8
前記試験結果に比し、全体に摩耗量が大きいが、ピストンで一番摩耗のしやすい局部での測定値であっても、モース硬度1.5のものに比して、他のものの摩耗量は値が小さくなっており、耐摩耗性に優れている傾向に変りはない。
冷媒/オイル:R134/PAG
回転数 :700rpm
運転時間 :100H
耐摩耗性付与剤(0.3体積%) モース硬度 局部摩耗量(μm)
・グラファイト(六方晶) 1.5 13
・マイカ(単斜晶) 2.5 7
・フッ化カルシウム(立方晶) 4.0 3
・第3リン酸カルシウム(無定型) 5.0 8
前記試験結果に比し、全体に摩耗量が大きいが、ピストンで一番摩耗のしやすい局部での測定値であっても、モース硬度1.5のものに比して、他のものの摩耗量は値が小さくなっており、耐摩耗性に優れている傾向に変りはない。
11・・・ハウジングを構成するシリンダブロック、21・・・シリンダボア、22・・・ピストン、35・・・コート層、51・・・ロールコーティング装置、C・・・コーティング材料。
Claims (7)
- ピストン式圧縮機のピストンの外周面にコート層を設けるピストンのコーティング方法であって、
フッ素樹脂100重量部、及びバインダー50〜400重量部、及びモース硬度が2.0〜5.0の範囲で前記フッ素樹脂に対して0.05〜12体積%の耐摩耗性付与剤をそれぞれ有機溶剤に溶解してコーティング液を調製し、該コーティング液を前記ピストンの外周面に被覆した後、有機溶剤を除去してコート層を形成することを特徴とするピストンのコーティング方法。 - 前記耐摩耗性付与剤のモース硬度が2.5以上〜4.5以下の範囲のものである請求項1に記載のピストンのコーティング方法。
- 前記耐摩耗性付与剤のモース硬度が3.0以上〜4.0以下の範囲のものである請求項1に記載のピストンのコーティング方法。
- 前記耐摩耗性付与剤のモース硬度が4.0である請求項1に記載のピストンのコーティング方法。
- 前記耐摩耗性付与剤が固体潤滑性を有するものである請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のピストンのコーティング方法。
- 前記耐摩耗性付与剤がフッ化カルシウムである請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のピストンのコーティング方法。
- 前記耐摩耗性付与剤が平均粒径10μm以下のものである請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のピストンのコーティング方法。
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JP (1) | JP2008261345A (ja) |
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- 2008-06-25 JP JP2008165623A patent/JP2008261345A/ja active Pending
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