JP2008261170A - 耐候性に優れた鋼製橋梁 - Google Patents
耐候性に優れた鋼製橋梁 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2008261170A JP2008261170A JP2007105506A JP2007105506A JP2008261170A JP 2008261170 A JP2008261170 A JP 2008261170A JP 2007105506 A JP2007105506 A JP 2007105506A JP 2007105506 A JP2007105506 A JP 2007105506A JP 2008261170 A JP2008261170 A JP 2008261170A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- space
- steel
- girder
- openings
- webs
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Bridges Or Land Bridges (AREA)
Abstract
【課題】桁間空間において鋼製主桁に生じる錆の形成及び腐食の促進を抑制することが可能な耐候性に優れた鋼製橋梁を提供する。
【解決手段】床版4の下方に配列される二本の主桁2a,2bから構成され、床版4を支持する鋼製橋梁1であって、主桁2a,2bを、それぞれ、上フランジ6a,6bと、ウェブ8a,8bと、下フランジ10a,10bから構成し、ウェブ8a,8bに、それぞれ、桁間空間12と、桁間空間12の外部とを連通する複数の開口部14a,14bを形成し、開口部14a,14bを、それぞれ、ウェブ8a,8bの上端から1/3以内の部分に配置する。
【選択図】図1
【解決手段】床版4の下方に配列される二本の主桁2a,2bから構成され、床版4を支持する鋼製橋梁1であって、主桁2a,2bを、それぞれ、上フランジ6a,6bと、ウェブ8a,8bと、下フランジ10a,10bから構成し、ウェブ8a,8bに、それぞれ、桁間空間12と、桁間空間12の外部とを連通する複数の開口部14a,14bを形成し、開口部14a,14bを、それぞれ、ウェブ8a,8bの上端から1/3以内の部分に配置する。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、海岸近傍等、腐食を促進させる原因となる飛来塩分の多い地域において、無塗装の耐候性鋼を用いて形成される鋼製主桁を複数備えた鋼製橋梁に関する。
従来から、海岸近傍等、錆の形成を促進する塩分の飛来が多い場所に架設された鋼製橋梁には、鋼製主桁の表面に、海風によって運ばれた飛来塩分、すなわち、海塩粒子が付着する。
鋼製主桁の表面のうち、降雨時に雨が当たる部分では、付着した塩分が流される。一方、鋼製橋梁が、複数の鋼製主桁を備えた構成である場合、鋼製主桁の表面のうち、隣り合う鋼製主桁間の部分には雨が当たることがないため、付着した塩分が残存する。また、隣り合う鋼製主桁間の部分には、特に無風時に、下方から上昇してくる湿潤空気が滞留するため、錆の形成が促進されやすくなる。なお、湿潤空気は、隣り合う鋼製主桁間の下方に存在する水分が蒸発して発生し、温度の上昇に伴って上方へ移動する。
鋼製主桁の表面のうち、降雨時に雨が当たる部分では、付着した塩分が流される。一方、鋼製橋梁が、複数の鋼製主桁を備えた構成である場合、鋼製主桁の表面のうち、隣り合う鋼製主桁間の部分には雨が当たることがないため、付着した塩分が残存する。また、隣り合う鋼製主桁間の部分には、特に無風時に、下方から上昇してくる湿潤空気が滞留するため、錆の形成が促進されやすくなる。なお、湿潤空気は、隣り合う鋼製主桁間の下方に存在する水分が蒸発して発生し、温度の上昇に伴って上方へ移動する。
また、鋼製橋梁が、複数の鋼製主桁を備えた構成である場合、特に有風時には、隣り合う鋼製主桁間に巻き込まれる風に、循環流が生じる場合が多いため、隣り合う鋼製主桁間の内側面において、風とともに運ばれてくる塩分が付着して、その表面に錆が形成されやすいという問題がある。
したがって、複数の鋼製主桁を備えた構成の鋼製橋梁では、隣り合う鋼製主桁間において、その表面に形成される錆は、他の部分に形成される錆と比較して、腐食が促進されやすくなっている場合が多い。
したがって、複数の鋼製主桁を備えた構成の鋼製橋梁では、隣り合う鋼製主桁間において、その表面に形成される錆は、他の部分に形成される錆と比較して、腐食が促進されやすくなっている場合が多い。
このような鋼製橋梁に対する防錆対策としては、一般的には、防食塗料等を塗装する方法や、耐候性鋼を用いて鋼製主桁を形成する方法がある。特に、耐候性鋼を用いて鋼製主桁を形成する方法では、耐候性鋼の表面に、その成分元素である銅、リン、クロム等が富化した保護性錆が形成されるため、無塗装で50〜100年の使用に耐えると考えられている。
しかしながら、防食塗料等を塗装する方法では、数10年毎に塗料の塗り替え作業を行う必要があり、そのための足場仮設などを含めて、多大なコストがかかるといった問題がある。また、耐候性鋼を用いて鋼製主桁を形成する方法では、飛来塩分量の多い海岸沿いに建設される鋼製橋梁や、道路凍結防止のために融雪塩の散布される鋼製橋梁に対しては、保護性錆が形成され難いため、十分な耐候性が得られないといった問題がある。
このような問題を解決するため、例えば、特許文献1に記載されている耐候性に優れた鋼製橋梁が用いられている。
このような問題を解決するため、例えば、特許文献1に記載されている耐候性に優れた鋼製橋梁が用いられている。
特許文献1に記載されている耐候性に優れた鋼製橋梁は、図7に示すように、複数の鋼製主桁2のうち、塩分の飛来を直接受ける位置の鋼製主桁2(図7中では、左側の鋼製主桁2a)のウェブ8aにおいて、ウェブ8aの下端から高さ1/3以内の部分に、図8(a),(b)に示すような、矩形状や円形状に形成された複数の開口部14aを設けている。なお、図7は、従来の鋼製橋梁の構成を示す図であり、図8は、ウェブ8に設けた開口部14の構成例を示す図である。
このような構成の鋼製橋梁1であれば、特に有風時には、鋼製主桁2の風上側の面(図7中では、鋼製主桁2aの左側の面)と風下側の面(図7中では、鋼製主桁2aの右側の面)との圧力差が緩和される。このため、隣り合う鋼製主桁2a,2b間には、循環流20が形成されるため、風の巻き込みが起こり難くなり、鋼製主桁2a,2b間への塩分の流入が抑制され、鋼製主桁2a,2bの表面に多量の塩分が付着することが抑制されて、腐食の進行が抑制されることとなる。
特開2000−240009号公報(図1)
しかしながら、特許文献1に記載した耐候性に優れた鋼製橋梁では、隣り合う鋼製主桁間に循環流が形成されるため、この循環流に塩分が含まれている場合は、鋼製主桁の循環流が当たる面に、塩分が付着するおそれがある。
また、特許文献1に記載した耐候性に優れた鋼製橋梁では、ウェブにおいて、ウェブの下端から高さ1/3以内の部分に、複数の開口部を設けているとともに、隣り合う鋼製主桁間の上方空間は、床版によって閉塞されている。このため、隣り合う鋼製主桁間において、開口部よりも上方の空間には、特に無風時に、下方から上昇してくる湿潤空気が滞留するおそれがある。
また、特許文献1に記載した耐候性に優れた鋼製橋梁では、ウェブにおいて、ウェブの下端から高さ1/3以内の部分に、複数の開口部を設けているとともに、隣り合う鋼製主桁間の上方空間は、床版によって閉塞されている。このため、隣り合う鋼製主桁間において、開口部よりも上方の空間には、特に無風時に、下方から上昇してくる湿潤空気が滞留するおそれがある。
したがって、隣り合う鋼製主桁間において、開口部よりも上方では、鋼製主桁の循環流が当たる面に錆が形成されやすくなるとともに、湿潤空気が加わり、腐食が促進されてしまうという問題が発生するおそれがある。
本発明は、上述したような問題点に着目してなされたもので、隣り合う鋼製主桁間において、鋼製主桁の表面への有風時の塩分の付着及び無風時の湿潤空気の滞留を抑制することが可能な、耐候性に優れた鋼製橋梁を提供することを課題とする。
本発明は、上述したような問題点に着目してなされたもので、隣り合う鋼製主桁間において、鋼製主桁の表面への有風時の塩分の付着及び無風時の湿潤空気の滞留を抑制することが可能な、耐候性に優れた鋼製橋梁を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明のうち、請求項1に記載した発明は、ウェブとフランジから構成され、且つ床版の下方に配列されて床版を支持する複数の鋼製主桁を備え、
前記複数の鋼製主桁のうち少なくとも配列方向の一端側の鋼製主桁は、前記ウェブに一または複数の開口部が形成されている耐候性に優れた鋼製橋梁であって、
前記開口部は、前記ウェブの上端から高さ1/3以内の部分に配置されていることを特徴とするものである。
前記複数の鋼製主桁のうち少なくとも配列方向の一端側の鋼製主桁は、前記ウェブに一または複数の開口部が形成されている耐候性に優れた鋼製橋梁であって、
前記開口部は、前記ウェブの上端から高さ1/3以内の部分に配置されていることを特徴とするものである。
本発明によると、複数の鋼製主桁のうち少なくとも配列方向の一端側の鋼製主桁は、ウェブに開口部が形成されており、この開口部は、ウェブの上端から高さ1/3以内の部分に配置されている。
このため、隣り合う鋼製主桁間に形成される桁間空間内に存在する、塩分を含んだ空気が、循環流を形成することなく開口部を通過して桁間空間の外部へと移動することとなり、桁間空間において発生する、鋼製主桁の表面への塩分の付着を抑制することが可能となる。
また、無風時に桁間空間の下方から上昇してくる湿潤空気が、桁間空間内を上昇する際に、開口部を通過して桁間空間の外部へと移動することとなり、桁間空間における湿潤空気の滞留を抑制することが可能となる。
このため、隣り合う鋼製主桁間に形成される桁間空間内に存在する、塩分を含んだ空気が、循環流を形成することなく開口部を通過して桁間空間の外部へと移動することとなり、桁間空間において発生する、鋼製主桁の表面への塩分の付着を抑制することが可能となる。
また、無風時に桁間空間の下方から上昇してくる湿潤空気が、桁間空間内を上昇する際に、開口部を通過して桁間空間の外部へと移動することとなり、桁間空間における湿潤空気の滞留を抑制することが可能となる。
本発明によれば、桁間空間において発生する、有風時の鋼製主桁の表面への塩分の付着や、無風時の桁間空間における湿潤空気の滞留を抑制することが可能となるため、桁間空間において鋼製主桁の表面に生じる錆の形成及び腐食の促進を抑制することが可能となる。
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
まず、図1から図4を参照して、本実施形態の耐候性に優れた鋼製橋梁(以下、「鋼製橋梁」と記載する)の構成を説明する。
図1は、本実施形態の鋼製橋梁1の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の鋼製橋梁1は、二本の主桁2a,2bから構成されており、これらの主桁2a,2bを床版4の下方に配列することによって、床版4を支持する2主桁橋を構成している。なお、本実施形態では、鋼製橋梁1を、二本の主桁2a,2bから構成された2主桁橋として説明するが、鋼製橋梁1の構成は、これに限定されるものではなく、三本以上の主桁から構成してもよい。また、本実施形態では、図1中において、二本の主桁2a,2bを、それぞれ、塩分を含んだ風(図1中では、「風」と示す)に対して、風上側に配置されている主桁を主桁2aと記載し、風下側に配置されている主桁を主桁2bと記載して説明する。
まず、図1から図4を参照して、本実施形態の耐候性に優れた鋼製橋梁(以下、「鋼製橋梁」と記載する)の構成を説明する。
図1は、本実施形態の鋼製橋梁1の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の鋼製橋梁1は、二本の主桁2a,2bから構成されており、これらの主桁2a,2bを床版4の下方に配列することによって、床版4を支持する2主桁橋を構成している。なお、本実施形態では、鋼製橋梁1を、二本の主桁2a,2bから構成された2主桁橋として説明するが、鋼製橋梁1の構成は、これに限定されるものではなく、三本以上の主桁から構成してもよい。また、本実施形態では、図1中において、二本の主桁2a,2bを、それぞれ、塩分を含んだ風(図1中では、「風」と示す)に対して、風上側に配置されている主桁を主桁2aと記載し、風下側に配置されている主桁を主桁2bと記載して説明する。
各主桁2a,2bは、共に、例えば、JIS耐候性鋼等の耐候性鋼を用いて形成されており、それぞれ、上フランジ6と、ウェブ8と、下フランジ10から構成されている。なお、以下の説明では、主桁2aを構成する上フランジ6を上フランジ6a、ウェブ8をウェブ8a、下フランジ10を下フランジ10aと記載する。同様に、主桁2bを構成する上フランジ6を上フランジ6b、ウェブ8をウェブ8b、下フランジ10を下フランジ10bと記載する。
上フランジ6a,6b及び下フランジ10a,10bは、軸を水平方向に向けて配置されており、ウェブ8a,8bは、軸を上下方向に向けて配置されている。すなわち、上フランジ6a,6b及び下フランジ10a,10bの軸は、共に、ウェブ8a,8bの軸に対して直角となっており、上フランジ6a,6b及び下フランジ10a,10bの断面方向は、ウェブ8a,8bの断面方向に対して直角となっている。
上フランジ6a,6bは、ウェブ8a,8bの上端面に結合されており、下フランジ10a,10bは、ウェブ8a,8bの下端面に結合されている。
床版4は、例えば、コンクリート等によって形成されており、軸を水平方向に向けた状態で、各主桁2a,2bによって下方から支持されている。具体的には、床版4の下面が、上フランジ6の上面に接触しており、主桁2a,2b間に形成される桁間空間12は、その上方が、床版4によって閉塞されている。
床版4は、例えば、コンクリート等によって形成されており、軸を水平方向に向けた状態で、各主桁2a,2bによって下方から支持されている。具体的には、床版4の下面が、上フランジ6の上面に接触しており、主桁2a,2b間に形成される桁間空間12は、その上方が、床版4によって閉塞されている。
また、ウェブ8a,8bには、共に、桁間空間12と、桁間空間12の外部とを連通する複数の開口部14が形成されている。なお、以下の説明では、ウェブ8aに形成されている開口部14を、開口部14aと記載し、ウェブ8bに形成されている開口部14を、開口部14bと記載する。
開口部14a,14bは、共に、ウェブ8a,8bの上端から1/3以内の部分に配置されており、例えば、開口部14a,14bが形成されていない状態のウェブ8a,8bに対し、工具等を用いて形成される。
開口部14a,14bは、共に、ウェブ8a,8bの上端から1/3以内の部分に配置されており、例えば、開口部14a,14bが形成されていない状態のウェブ8a,8bに対し、工具等を用いて形成される。
なお、ウェブ8a,8bに対して開口部14a,14bを形成した際に、ウェブ8a,8bに構成される切断面に対して、防食塗料等を塗装する等の方法により、防錆処理を行うことが好適である。
ここで、ウェブ8a,8bに開口部14a,14bを形成する際には、主桁2a,2bに期待される機能のうち、ウェブ8a,8bが担当すべき機能が損なわれない程度に、開口部14a,14bの数や形状を考慮することが好適である。この場合、例えば、数値計算による構造解析等を用い、開口部14a,14bを形成することによってウェブ8a,8bに発生する断面欠損(断面積や断面剛性の欠損)を確認する。なお、ウェブ8a,8bが担当すべき機能としては、上フランジ6a,6bと下フランジ10a,10bとの間において、せん断力を伝達する機能や、断面形状を保持する機能等がある。
ここで、ウェブ8a,8bに開口部14a,14bを形成する際には、主桁2a,2bに期待される機能のうち、ウェブ8a,8bが担当すべき機能が損なわれない程度に、開口部14a,14bの数や形状を考慮することが好適である。この場合、例えば、数値計算による構造解析等を用い、開口部14a,14bを形成することによってウェブ8a,8bに発生する断面欠損(断面積や断面剛性の欠損)を確認する。なお、ウェブ8a,8bが担当すべき機能としては、上フランジ6a,6bと下フランジ10a,10bとの間において、せん断力を伝達する機能や、断面形状を保持する機能等がある。
図2は、図1のII線矢視図であり、床版4及び主桁2bの一部を示す図である。
図2中に示すように、複数の開口部14bは、円形状に形成されており、それぞれ、ウェブ8の長さ方向に沿って、等間隔に配置されている。ここで、ウェブ8の長さ方向とは、例えば、図1においては、紙面に対して直交する方向である。なお、複数の開口部14bは、ランダムな間隔で配置してもよい。
図2中に示すように、複数の開口部14bは、円形状に形成されており、それぞれ、ウェブ8の長さ方向に沿って、等間隔に配置されている。ここで、ウェブ8の長さ方向とは、例えば、図1においては、紙面に対して直交する方向である。なお、複数の開口部14bは、ランダムな間隔で配置してもよい。
以下、図3及び図4を参照して、開口部14a,14bを、ウェブ8a,8bの上端から1/3以内の部分に配置した理由について説明する。
図3は、無風時において、桁間空間12の下方から上昇してくる湿潤空気16の移動状況を示す図である。なお、図3(a)は、ウェブ8a,8bに開口部が形成されていない場合、図3(b)は、ウェブ8a,8bの下端から1/2の部分を中心として、開口部14a,14bが形成されている場合、図3(c)は、ウェブ8a,8bの上端から1/3以内の部分に、開口部14a,14bが形成されている場合を示している。また、図3中では、桁間空間12の下方にある川面あるいは水面を、符号18を付して示している。
図3は、無風時において、桁間空間12の下方から上昇してくる湿潤空気16の移動状況を示す図である。なお、図3(a)は、ウェブ8a,8bに開口部が形成されていない場合、図3(b)は、ウェブ8a,8bの下端から1/2の部分を中心として、開口部14a,14bが形成されている場合、図3(c)は、ウェブ8a,8bの上端から1/3以内の部分に、開口部14a,14bが形成されている場合を示している。また、図3中では、桁間空間12の下方にある川面あるいは水面を、符号18を付して示している。
図3(a)に示すように、ウェブ8a,8bに開口部が形成されていない場合では、桁間空間12の上方が床版4によって閉塞されているため、桁間空間12の下方から上昇してくる湿潤空気16は、桁間空間12に滞留する。
このような場合、桁間空間12に滞留する湿潤空気16が増加すると、桁間空間12の温度にわずかな変化が生じた場合であっても、主桁2aの風下側の面や、主桁2bの風上側の面に、結露が生じやすくなる。また、桁間空間12に存在する塩分により、主桁2aの風下側の面や、主桁2bの風上側の面に、錆が形成されやすくなる。
このような場合、桁間空間12に滞留する湿潤空気16が増加すると、桁間空間12の温度にわずかな変化が生じた場合であっても、主桁2aの風下側の面や、主桁2bの風上側の面に、結露が生じやすくなる。また、桁間空間12に存在する塩分により、主桁2aの風下側の面や、主桁2bの風上側の面に、錆が形成されやすくなる。
さらに、桁間空間12の上方に集中して結露が生じる可能性があるため、特に、主桁2aの風下側の面や主桁2bの風上側の面の上方側において、腐食が促進されるおそれがある。また、ウェブ8aの風下側の面やウェブ8bの風上側の面の上方側から水滴が流れ落ち、この水滴が下フランジ10a,10bの上面に溜まることにより、下フランジ10a,10bの上面において、局所的な腐食が促進されるおそれがある。
また、図3(b)に示すように、ウェブ8a,8bの下端から1/2の部分を中心として開口部14a,14bが形成されている場合では、桁間空間12の下方から上昇してくる湿潤空気16は、一部は開口部14a,14bから桁間空間12の外部へ移動する。しかしながら、その大部分は、桁間空間12において、開口部14a,14bが形成されている部分より上方で滞留する。なお、図3(b)に示す開口部14a,14bは、その上端の位置が、ウェブ8a,8bの上端から2/3未満の位置となっている。
また、床版4は、直射日光により暖められている場合が多いため、桁間空間12において、開口部14a,14bが形成されている部分より上方で滞留している湿潤空気16は、床版4において加熱され、開口部14a,14bが形成されている部分より上方において上昇を続け、滞留し続けることとなる。
このような場合、ウェブ8a,8bに開口部が形成されていない場合と比較して、桁間空間12に滞留する湿潤空気16は減少するものの、特に、主桁2aの風下側の面や主桁2bの風上側の面の上方側において、腐食が促進されるおそれがある。
このような場合、ウェブ8a,8bに開口部が形成されていない場合と比較して、桁間空間12に滞留する湿潤空気16は減少するものの、特に、主桁2aの風下側の面や主桁2bの風上側の面の上方側において、腐食が促進されるおそれがある。
これらに対し、図3(c)に示すように、ウェブ8a,8bの上端から1/3以内の部分に開口部14a,14bが形成されている場合、すなわち、本実施形態の構成では、桁間空間12の下方から上昇してくる湿潤空気16は、その大部分が、開口部14a,14bから桁間空間12の外部へ移動する。なお、図3(c)中では、湿潤空気16の移動状況を矢印で示している。
また、開口部14a,14bから桁間空間12の外部へ移動せず、桁間空間12に存在する湿潤空気16は、床版4が直射日光によって暖められることにより温度が上昇するため、この温度が上昇した湿潤空気16は、桁間空間12内を上昇する際に、開口部14a,14bから桁間空間12の外部へ移動する。
このような場合、ウェブ8a,8bの下端から1/2の部分を中心として開口部14a,14bが形成されている場合と比較して、桁間空間12に滞留する湿潤空気16は大幅に減少し、主桁2aの風下側の面や主桁2bの風上側の面の上方側における腐食が、抑制されると考えられる。
このような場合、ウェブ8a,8bの下端から1/2の部分を中心として開口部14a,14bが形成されている場合と比較して、桁間空間12に滞留する湿潤空気16は大幅に減少し、主桁2aの風下側の面や主桁2bの風上側の面の上方側における腐食が、抑制されると考えられる。
図4は、有風時において、各主桁2a,2bの近傍における空気の流れを示す線(具体的には、流速ベクトルの接線)を示す図である。なお、図4(a)は、ウェブ8a,8bに開口部が形成されていない場合、図4(b)は、ウェブ8a,8bの下端から1/2の部分を中心として、開口部14a,14bが形成されている場合、図4(c)は、ウェブ8a,8bの上端から1/3以内の部分に、開口部14a,14bが形成されている場合を示している。また、図4中では、空気に含まれる塩分の粒子を、記号「●」によって示している。
図4(a)に示すように、ウェブ8a,8bに開口部が形成されていない場合では、下フランジ10aの下端部において、強い剥離渦が発生するため、桁間空間12内において、強い循環流20が形成される。
このような場合、風上から風に含まれて運ばれてきた塩分の粒子が、桁間空間12内の循環流20に巻き込まれて桁間空間12に滞留し、主桁2aの風下側の面や、主桁2bの風上側の面に付着して、主桁2aの風下側の面や、主桁2bの風上側の面に、錆が形成されやすくなると考えられる。
これは、空気に含まれる塩分の粒子は、軽く微細な粒子であるため、有風時には、風のベクトル、すなわち、流速ベクトルに沿って塩分の粒子が移動し、桁間空間12内の循環流20に巻き込まれて、桁間空間12に滞留すると考えられるためである。
このような場合、風上から風に含まれて運ばれてきた塩分の粒子が、桁間空間12内の循環流20に巻き込まれて桁間空間12に滞留し、主桁2aの風下側の面や、主桁2bの風上側の面に付着して、主桁2aの風下側の面や、主桁2bの風上側の面に、錆が形成されやすくなると考えられる。
これは、空気に含まれる塩分の粒子は、軽く微細な粒子であるため、有風時には、風のベクトル、すなわち、流速ベクトルに沿って塩分の粒子が移動し、桁間空間12内の循環流20に巻き込まれて、桁間空間12に滞留すると考えられるためである。
また、図4(b)に示すように、ウェブ8a,8bの下端から1/2の部分を中心として、開口部14a,14bが形成されている場合では、ウェブ8a,8bにおける、開口部14a,14bが形成されている部分よりも上側の部分によって、風の流れが遮られることとなる。なお、図4(b)に示す開口部14a,14bは、その上端の位置が、ウェブ8a,8bの上端から2/3未満の位置となっている。
このため、桁間空間12内において、開口部14aよりも上方及び下方に、それぞれ、循環流20が形成され、この循環流20に、風に含まれて運ばれてきた塩分の粒子が巻き込まれ、桁間空間12内に滞留し、主桁2aの風下側の面や、主桁2bの風上側の面に付着すると考えられる。
このため、桁間空間12内において、開口部14aよりも上方及び下方に、それぞれ、循環流20が形成され、この循環流20に、風に含まれて運ばれてきた塩分の粒子が巻き込まれ、桁間空間12内に滞留し、主桁2aの風下側の面や、主桁2bの風上側の面に付着すると考えられる。
これらに対し、図4(c)に示すように、ウェブ8a,8bの上端から1/3以内の部分に、開口部14a,14bが形成されている場合、すなわち、本実施形態の構成では、開口部14aを通過した空気の流れが、全体的に桁間空間12を通過して、下フランジ10a,10bの間に形成される空間から、桁間空間12の外部へ流れることとなる。
このため、桁間空間12内において、開口部14aよりも下方に、小さな循環流20が形成されるが、桁間空間12内の大部分では循環流20が形成されず、循環流20に塩分の粒子が巻き込まれることが抑制されると考えられる。
上述した理由により、桁間空間12内における湿潤空気16の滞留や、主桁2aの風下側の面や主桁2bの風上側の面への、塩分粒子の付着を抑制することが可能となるため、本実施形態では、開口部14a,14bを、ウェブ8a,8bの上端から1/3以内の部分に配置する。
このため、桁間空間12内において、開口部14aよりも下方に、小さな循環流20が形成されるが、桁間空間12内の大部分では循環流20が形成されず、循環流20に塩分の粒子が巻き込まれることが抑制されると考えられる。
上述した理由により、桁間空間12内における湿潤空気16の滞留や、主桁2aの風下側の面や主桁2bの風上側の面への、塩分粒子の付着を抑制することが可能となるため、本実施形態では、開口部14a,14bを、ウェブ8a,8bの上端から1/3以内の部分に配置する。
次に、図1から図4に基づき、本実施形態の鋼製橋梁1の作用・効果等を説明する。
鋼製橋梁1の建設作業において、床版4を下方から支持する二本の主桁2a,2bに対し、それぞれ、ウェブ8a,8bに、桁間空間12と、桁間空間12の外部とを連通する複数の開口部14a,14bを形成する(図1及び図2参照)。
また、この開口部14a,14bを、共に、ウェブ8a,8bの上端から1/3以内の部分に配置する(図1及び図2参照)。
鋼製橋梁1の建設作業において、床版4を下方から支持する二本の主桁2a,2bに対し、それぞれ、ウェブ8a,8bに、桁間空間12と、桁間空間12の外部とを連通する複数の開口部14a,14bを形成する(図1及び図2参照)。
また、この開口部14a,14bを、共に、ウェブ8a,8bの上端から1/3以内の部分に配置する(図1及び図2参照)。
この鋼製橋梁1では、無風時において、桁間空間12の下方から上昇してくる湿潤空気16の大部分が、開口部14a,14bから、桁間空間12の外部へ移動する(図3(c)参照)。また、開口部14a,14bから桁間空間12の外部へ移動せず、桁間空間12に存在する湿潤空気16が、温度が上昇して桁間空間12内を上昇する際に、開口部14a,14bから、桁間空間12の外部へ移動する(図3(c)参照)。
また、この鋼製橋梁1では、有風時において、風上から風に含まれて運ばれてきた塩分の粒子が、開口部14aを通過し、全体的に桁間空間12を通過して、下フランジ10a,10bの間に形成される空間から、桁間空間12の外部へ移動する(図4(c)参照)。
したがって、本実施形態の鋼製橋梁1であれば、ウェブ8a,8bに、桁間空間12と、この桁間空間12の外部とを連通する開口部14a,14bを形成し、この開口部14a,14bを、共に、ウェブ8a,8bの上端から1/3以内の部分に配置している。
したがって、本実施形態の鋼製橋梁1であれば、ウェブ8a,8bに、桁間空間12と、この桁間空間12の外部とを連通する開口部14a,14bを形成し、この開口部14a,14bを、共に、ウェブ8a,8bの上端から1/3以内の部分に配置している。
このため、桁間空間12内に存在する塩分を含んだ空気が、開口部14aを通過し、下フランジ10a,10bの間に形成される空間を通過して、桁間空間12の外部へと移動することとなる。
また、無風時に桁間空間12の下方から上昇してくる湿潤空気16が、桁間空間12内を上昇する際に、開口部14a及び開口部14bを通過して、桁間空間12の外部へと移動することとなる。
また、無風時に桁間空間12の下方から上昇してくる湿潤空気16が、桁間空間12内を上昇する際に、開口部14a及び開口部14bを通過して、桁間空間12の外部へと移動することとなる。
その結果、桁間空間12において、主桁2aの風下側の面や、主桁2bの風上側の面への、塩分の付着を抑制することが可能となるため、主桁2aの風下側の面や、主桁2bの風上側の面に生じる錆の形成を抑制することが可能となる。
また、桁間空間12における湿潤空気16の滞留を抑制することが可能となるため、主桁2aの風下側の面や、主桁2bの風上側の面に生じる腐食の促進を抑制することが可能となる。
また、桁間空間12における湿潤空気16の滞留を抑制することが可能となるため、主桁2aの風下側の面や、主桁2bの風上側の面に生じる腐食の促進を抑制することが可能となる。
なお、本実施形態の鋼製橋梁1では、ウェブ8a,8bの両方に、開口部14a,14bが形成されている構成としたが、これに限定されるものではなく、ウェブ8a,8bのうち一方に、開口部14が形成されている構成としてもよい。この場合、開口部14を形成するウェブ8は、風上側、すなわち、少なくとも塩分の飛来を直接受ける側に配置されている主桁2を構成する、ウェブ8とすることが好適である。もっとも、本実施形態の鋼製橋梁1のように、ウェブ8a,8bの両方に、開口部14a,14bが形成されている構成とすることが、桁間空間12内に存在する塩分を含んだ空気や、桁間空間12の下方から上昇してくる湿潤空気16を、効率良く桁間空間12の外部へと移動させることが可能となるため、好適である。
また、本実施形態の鋼製橋梁1では、開口部14を円形状に形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、図5に示すように、開口部14を矩形状に形成してもよく、また、図6に示すように、開口部14を三角形状に形成してもよい。また、特に図示しないが、開口部14をメッシュ状に形成してもよい。ここで、開口部14を三角形状に形成する場合は、例えば、図6に示すように、隣り合う開口部14の形状を上下逆方向とすることにより、隣り合う開口部14の頂点同士を離間させることが、ウェブ8の断面欠損の低下を抑制可能となるため、好適である。なお、図5及び図6は、本実施形態の鋼製橋梁1の変形例を示す図である。
さらに、本実施形態の鋼製橋梁1では、ウェブ8に、複数の開口部14が形成されている構成としたが、これに限定されるものではなく、ウェブ8に、一つの開口部14のみが形成されている構成としてもよい。
さらに、本実施形態の鋼製橋梁1では、ウェブ8に、複数の開口部14が形成されている構成としたが、これに限定されるものではなく、ウェブ8に、一つの開口部14のみが形成されている構成としてもよい。
1 鋼製橋梁
2 主桁
4 床版
6 上フランジ
8 ウェブ
10 下フランジ
12 桁間空間
14 開口部
16 湿潤空気
18 川面あるいは水面
20 循環流
2 主桁
4 床版
6 上フランジ
8 ウェブ
10 下フランジ
12 桁間空間
14 開口部
16 湿潤空気
18 川面あるいは水面
20 循環流
Claims (1)
- ウェブとフランジから構成され、且つ床版の下方に配列されて床版を支持する複数の鋼製主桁を備え、
前記複数の鋼製主桁のうち少なくとも配列方向の一端側の鋼製主桁は、前記ウェブに一または複数の開口部が形成されている耐候性に優れた鋼製橋梁であって、
前記開口部は、前記ウェブの上端から高さ1/3以内の部分に配置されていることを特徴とする耐候性に優れた鋼製橋梁。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007105506A JP2008261170A (ja) | 2007-04-13 | 2007-04-13 | 耐候性に優れた鋼製橋梁 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007105506A JP2008261170A (ja) | 2007-04-13 | 2007-04-13 | 耐候性に優れた鋼製橋梁 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008261170A true JP2008261170A (ja) | 2008-10-30 |
Family
ID=39983848
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007105506A Pending JP2008261170A (ja) | 2007-04-13 | 2007-04-13 | 耐候性に優れた鋼製橋梁 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008261170A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011196052A (ja) * | 2010-03-18 | 2011-10-06 | Jfe Steel Corp | 鈑桁橋および箱桁橋ならびに桁橋の桁への飛来塩分の付着を防止する方法 |
JP2014234642A (ja) * | 2013-06-03 | 2014-12-15 | Jfeスチール株式会社 | 鋼製橋梁 |
JP2015042836A (ja) * | 2013-07-25 | 2015-03-05 | 株式会社Ihi | 橋梁 |
-
2007
- 2007-04-13 JP JP2007105506A patent/JP2008261170A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011196052A (ja) * | 2010-03-18 | 2011-10-06 | Jfe Steel Corp | 鈑桁橋および箱桁橋ならびに桁橋の桁への飛来塩分の付着を防止する方法 |
JP2014234642A (ja) * | 2013-06-03 | 2014-12-15 | Jfeスチール株式会社 | 鋼製橋梁 |
JP2015042836A (ja) * | 2013-07-25 | 2015-03-05 | 株式会社Ihi | 橋梁 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN204352660U (zh) | 一种高效氨法脱硫专用除雾器 | |
JP2008261170A (ja) | 耐候性に優れた鋼製橋梁 | |
CN105999862A (zh) | 一种除雾器用除雾器叶片和高效除雾器及应用 | |
JP4959433B2 (ja) | 鋼製橋梁の部分防食方法及び鋼製橋梁 | |
CN103894031A (zh) | 文丘里式除雾器 | |
JP2005264716A (ja) | 飛来塩分量評価方法及び鋼構造物 | |
RU157872U1 (ru) | Стойка опоры линии электропередачи | |
JP2001089880A (ja) | 鋼構造物の防食構造および防食方法 | |
JP2000240009A (ja) | 耐候性に優れた鈑桁橋 | |
JP2001271311A (ja) | 耐候性に優れた鈑桁橋 | |
JP2000129626A (ja) | 耐候性に優れた鈑桁橋 | |
JP5550955B2 (ja) | 鈑桁橋および箱桁橋ならびに桁橋の桁への飛来塩分の付着を防止する方法 | |
Bei et al. | Causes and mechanisms of corrosion for supporting structures of rooftop photovoltaic systems. | |
JP2013117136A (ja) | 鋼材及び鋼構造物 | |
Hill | Gas turbine intake systems in unusual environments | |
JP2012062652A (ja) | 構造部材の防汚構造 | |
Christodoulou et al. | Humber Bridge: suppressing main cable corrosion by means of dehumidification | |
JP6951038B2 (ja) | 鋼構造物および鋼構造物の建造方法 | |
JPH11100812A (ja) | 耐候性に優れた箱桁橋梁 | |
Kozy et al. | Weathering Steel for Bridges | |
RU206887U1 (ru) | Металлическое коробчатое пролетное строение моста | |
JP3091183U (ja) | 水平屋根構造 | |
JP2000199205A (ja) | 耐候性、景観性に優れた橋梁 | |
Dolling et al. | Weathering steel bridges | |
JP2001087855A (ja) | 鋼構造物の防食構造および防食方法 |