JP2008260714A - 光学活性ハロアルコール類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は光学活性なフタル酸ハーフエステル類又はその塩から光学活性ハロアルコール類を製造する方法に関する。
本発明の製造方法によって得られる光学活性ハロアルコール類は抗真菌剤として有用な光学活性ケテンジチオアセタール誘導体の中間体であり、その製造方法として、光学活性なフタル酸ハーフエステル類を加水分解又はアルコリシスする方法が知られている(例えば、特許文献1又は2参照。)。
特開平9−100279号公報
特開平9−124527号公報
しかしながら、上記従来文献記載の方法である加水分解又はアルコリシスでは反応時間が長い、反応条件によっては光学純度が低下する危険性がある、大量のアルコールの使用とその除去を必要とする、煩雑な抽出操作を必要とする等の課題があった。そこで、上記課題を解決し、工業的に効率良く光学活性ハロアルコール類を製造する方法が求められていた。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、光学活性なフタル酸ハーフエステル類又はその塩を、アミン類を用いてアミノリシスすることにより、短時間且つ簡便な後処理操作だけで、目的とする光学活性ハロアルコール類が効率的且つ光学純度を低下させることなく製造できることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は
[1] 一般式(II)
(式中、*は不斉炭素原子を示し、Rは水素原子又はハロゲン原子を示し、Xはハロゲン原子を示す。)で表される光学活性なフタル酸ハーフエステル類又はその塩を、アミン類を用いてアミノリシスすることを特徴とする一般式(I)
(式中、*、R及びXは前記に同じ。)で表される光学活性ハロアルコール類の製造方法、
[1] 一般式(II)
(式中、*は不斉炭素原子を示し、Rは水素原子又はハロゲン原子を示し、Xはハロゲン原子を示す。)で表される光学活性なフタル酸ハーフエステル類又はその塩を、アミン類を用いてアミノリシスすることを特徴とする一般式(I)
(式中、*、R及びXは前記に同じ。)で表される光学活性ハロアルコール類の製造方法、
[2] Rが2,4−ジクロルであり、Xが塩素原子である[1]に記載の光学活性ハロアルコール類の製造方法、
[3] アミン類がジメチルアミン又はN−メチルアニリンである[1]又は[2]に記載の光学活性ハロアルコール類の製造方法、
[4] 光学活性なフタル酸ハーフエステル類の塩が光学活性アミンとのアンモニウム塩である[1]乃至[3]いずれか1つに記載の光学活性ハロアルコール類の製造方法、及び
[3] アミン類がジメチルアミン又はN−メチルアニリンである[1]又は[2]に記載の光学活性ハロアルコール類の製造方法、
[4] 光学活性なフタル酸ハーフエステル類の塩が光学活性アミンとのアンモニウム塩である[1]乃至[3]いずれか1つに記載の光学活性ハロアルコール類の製造方法、及び
[5] 光学活性アミンがα−メチルベンジルアミン、2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、1−フェニル−2−(4−トリル)エチルアミン又は1−ナフチルエチルアミンである[4]に記載の光学活性ハロアルコール類の製造方法に関する。
本発明によるアミノリシス反応は極めて容易に、高選択的に進行する。その結果、大幅な反応時間の短縮及び収率の向上が可能となった。更に、簡便な後処理操作だけで、光学純度を低下させることなく目的とする光学活性ハロアルコール類を単離することができ、従来技術の製法と比較して、より有利な工業的製法を提供するものである。
本発明の一般式(I)及び(II)で表される、光学活性ハロアルコール類及び光学活性なフタル酸ハーフエステル類又はその塩において、Rとして好ましくは塩素原子であり、特に好ましくは、ベンゼン環上の2,4−位に塩素原子が置換した2,4−ジクロルである。Xとして好ましくは塩素原子である。
一般式(II)で表される光学活性なフタル酸ハーフエステル類の塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、α−メチルベンジルアミン、2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、1−フェニル−2−(4−トリル)エチルアミン又は1−ナフチルエチルアミン等のアミン類とのアンモニウム塩等を挙げることができる。前工程である光学分割に使用したアミン類とのアンモニウム塩をそのまま使うことができる点から、光学活性アミン類とのアンモニウム塩が好ましく、α−メチルベンジルアミン、2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、1−フェニル−2−(4−トリル)エチルアミン又は1−ナフチルエチルアミンとのアンモニウム塩が特に好ましい。
本発明のアミノリシスで使用できるアミン類としては、アニリン、N−メチルアニリン等の芳香族アミン類、メチルアミン、エチルアミン等の一級アミン類、ジメチルアミン、ジエチルアミン等の二級アミン類およびアンモニア等を例示することができる。これらの使用量は一般式(I)で表される光学活性なフタル酸ハーフエステルに対して1倍モル〜3倍モルの範囲で使用すれば良く、好ましくは1倍モル〜2倍モルの範囲である。
本発明の反応で使用できる溶媒としては、反応の進行を阻害しないものであれば良く、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどのエステル系溶媒、水等を用いることができる。これら溶媒は、単独または二種類以上の混合溶媒として使用することもできる。
反応温度は室温〜溶媒沸点の範囲で選択すれば良い。反応時間は反応規模、反応温度により一定しないが、0.5〜24時間の範囲から選択できる。反応終了後、水に難溶の溶媒を使用した場合は、水、アリカリ水溶液、飽和食塩水等で洗浄した後、溶媒を留去することにより目的の光学活性ハロアルコール類を単離することができる。水に易溶の溶媒を使用した場合は、水を加えてトルエン、酢酸エチル、エーテル等の水に難溶の溶媒で抽出した後、水に難溶の溶媒を使用した場合と同様にして目的の光学活性ハロアルコール類を単離することができる。
次に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、以下の実施例に示す光学純度は光学活性カラム(キラルセルOJ;ダイセル化学工業株式会社製)を使用したHPLC(溶媒:n−ヘキサン/イソプロピルアルコール=80/1
UV=210)の面積百分率から算出した。
実施例1. (S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−クロロエタノールの製造
10.0g(26.8ミリモル,光学純度92.4%e.e.)の(S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−クロロエチル=水素=フタラートと1.5g(33.3ミリモル)のジメチルアミンを15mlのトルエンに加え、還流温度で1時間撹拌した。室温まで冷却後、20%炭酸ナトリウム水溶液、水で順次洗浄した後、減圧下に溶媒を留去し、5.85gの(S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−クロロエタノールを得た。
収率:97%
光学純度:92.1%e.e.
物性:融点 57〜62℃
尚、以下の実施例に示す光学純度は光学活性カラム(キラルセルOJ;ダイセル化学工業株式会社製)を使用したHPLC(溶媒:n−ヘキサン/イソプロピルアルコール=80/1
UV=210)の面積百分率から算出した。
実施例1. (S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−クロロエタノールの製造
10.0g(26.8ミリモル,光学純度92.4%e.e.)の(S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−クロロエチル=水素=フタラートと1.5g(33.3ミリモル)のジメチルアミンを15mlのトルエンに加え、還流温度で1時間撹拌した。室温まで冷却後、20%炭酸ナトリウム水溶液、水で順次洗浄した後、減圧下に溶媒を留去し、5.85gの(S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−クロロエタノールを得た。
収率:97%
光学純度:92.1%e.e.
物性:融点 57〜62℃
実施例2. (S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−クロロエタノールの製造
3.44g(32.16ミリモル)のN−メチルアニリンを用いて、実施例1と同じ条件でアミノリシスを行い、4.10gの(S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−クロロエタノールを得た。
収率:68%
光学純度:92.0%e.e.
3.44g(32.16ミリモル)のN−メチルアニリンを用いて、実施例1と同じ条件でアミノリシスを行い、4.10gの(S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−クロロエタノールを得た。
収率:68%
光学純度:92.0%e.e.
実施例3. (S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−クロロエタノールの製造
4.0g(10.7ミリモル,光学純度92.4%e.e.)の(S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−クロロエチル=水素=フタラート・(S)−1−フェニルメチルアミン塩と1.16g(12.9ミリモル)のジメチルアミンの50%水溶液を4mlのトルエンに加え、還流温度で1時間撹拌した。室温まで冷却後20mlのトルエンを加え、20%炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。減圧下に溶媒を留去し、2.44gの(S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−クロロエタノールを得た。
収率:96%
光学純度:96.9%e.e.
4.0g(10.7ミリモル,光学純度92.4%e.e.)の(S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−クロロエチル=水素=フタラート・(S)−1−フェニルメチルアミン塩と1.16g(12.9ミリモル)のジメチルアミンの50%水溶液を4mlのトルエンに加え、還流温度で1時間撹拌した。室温まで冷却後20mlのトルエンを加え、20%炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。減圧下に溶媒を留去し、2.44gの(S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−クロロエタノールを得た。
収率:96%
光学純度:96.9%e.e.
比較例1. (S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−クロロエタノールの合成(特開平9−124527号公報記載の方法)
(S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−クロロエチル=水素=フタラート0.28g(光学純度94%e.e.)をジオキサン20mlに溶解し、該溶液に濃塩酸10mlを加えて還流温度で9時間撹拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却した。減圧下に溶媒を留去し、得られた残渣にジエチルエーテル50mlを加え、重曹水、水で順次洗浄洗して、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下に留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製することにより目的物0.15gを得た。
収率:88%
光学純度:92%e.e.
(S)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−クロロエチル=水素=フタラート0.28g(光学純度94%e.e.)をジオキサン20mlに溶解し、該溶液に濃塩酸10mlを加えて還流温度で9時間撹拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却した。減圧下に溶媒を留去し、得られた残渣にジエチルエーテル50mlを加え、重曹水、水で順次洗浄洗して、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下に留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製することにより目的物0.15gを得た。
収率:88%
光学純度:92%e.e.
本発明の製造方法によれば、抗真菌剤として有用な光学活性ケテンジチオアセタール誘導体の中間体である光学活性ハロアルコール類を、より工業的に効率良く提供できる。
Claims (5)
- Rが2,4−ジクロルであり、Xが塩素原子である請求項1に記載の光学活性ハロアルコール類の製造方法。
- アミン類がジメチルアミン又はN−メチルアニリンである請求項1又は2に記載の光学活性ハロアルコール類の製造方法。
- 光学活性なフタル酸ハーフエステル類の塩が光学活性アミンとのアンモニウム塩である請求項1乃至3いずれか1項に記載の光学活性ハロアルコール類の製造方法。
- 光学活性アミンがα−メチルベンジルアミン、2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、1−フェニル−2−(4−トリル)エチルアミン又は1−ナフチルエチルアミンである請求項4に記載の光学活性ハロアルコール類の製造方法。
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JP2007104579A JP2008260714A (ja) | 2007-04-12 | 2007-04-12 | 光学活性ハロアルコール類の製造方法 |
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