JP2008260332A - 車両無線通信システム及び車両無線通信方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両空間内の無線通信環境の変化に影響されることなく、車両に搭載された車載ユニット間の無線通信を確実に実行する。
【解決手段】車両5に搭載された車載ユニット30間の無線通信を中継する複数のリピータ40と、無線通信を行う車載ユニット30間の無線通信環境を把握する無線通信環境把握部22と、把握された無線通信環境に基づき求められる複数の通信ルートの候補から、所定の選定基準に応じた通信ルートを選定する通信ルート選定部27とを備えることで実現する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数のモジュールによって構成される車両に関し、詳しくは、モジュールに含まれる各機能部を無線通信により制御する車両無線通信システム及び車両無線通信方法に関する。
車両を構成する部品をモジュール化して、車両を組み立てる生産方式が考案、実施されている。このような生産方式により、車両生産者は、開発工数の削減、難作業の削減、部品点数削減による部品費、組立費及び管理費の低減などといった大きなメリットを得ることができるため、車両を構成する様々な部品に対するモジュール化を促進させている。
車両は、電気的に制御される複数の機能部を備えており、モジュール化された車両では、各モジュールに含まれる機能部をワイヤーハーネスによるモジュール間通信により制御している。このワイヤーハーネスは、非常に多くの数の電線を束ねたものであるため、高性能化により様々な機能が付加された現行の車両においては、ワイヤーハーネスの設置スペースの確保、重量増加が問題となっている。
そこで、車両を構成する車両構造体をモジュール化した車両構造体モジュール間で無線通信をすることで、その作動を制御する手法が考案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2001−298879号公報
特許文献1で開示されている手法では、車両構造体をモジュール化した車両構造体モジュール間で無線通信をすることで、その作動を制御している。しかしながら、特許文献1で開示された手法では、運転者やその他の搭乗者、荷物の搭載といった極めて一般的な車両の利用にともない変化する車両空間内からの影響について全く考慮されていない。
したがって、運転者やその他の搭乗者、搭載した荷物などが、無線通信される制御信号の障害物となることで、無線信号の到達を妨げたり、通信干渉による通信速度の低下、通信の切断などといった問題を招来してしまう。
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、車両空間内の無線通信環境の変化に影響されることなく、車両に搭載された各機能部である車載ユニット間の無線通信を確実に実行することができる車両無線通信システム及び車両無線通信方法を提供することを目的とする。
本発明の車両無線通信システムは、車両に搭載された車載ユニット間の無線通信により、制御信号を制御対象である車載ユニットに対して送信することで前記車載ユニットを制御する車両無線通信システムであって、前記車載ユニット間の無線通信を中継する複数のリピータと、無線通信を行う前記車載ユニット間の無線通信環境を把握する無線通信環境把握手段と、前記無線通信環境把握手段によって把握された無線通信環境に基づき求められる複数の通信ルートの候補から、所定の選定基準に応じた通信ルートを選定する通信ルート選定手段とを備えることにより、上述の課題を解決する。
本発明の車両無線通信方法は、車両に搭載された車載ユニット間の無線通信を中継する複数のリピータを備え、前記車載ユニット間の無線通信により、制御信号を制御対象である車載ユニットに対して送信することで前記車載ユニットを制御する車両無線通信システムの車両無線通信方法であって、無線通信を行う前記車載ユニット間の無線通信環境を把握する無線通信環境把握工程と、前記無線通信環境把握工程によって把握された無線通信環境に基づき求められる複数の通信ルートの候補から、所定の選定基準に応じた通信ルートを選定する通信ルート選定工程とを備えることにより、上述の課題を解決する。
本発明によれば、車両空間内の変化に影響されることなく、車両に搭載された車載ユニット間の無線通信を確実に実行することを可能とする。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を用いて、本発明の第1の実施の形態として示す車両無線通信システム1について説明をする。図1に示すように車両無線通信システム1は、車両5を構成する複数の車両モジュール10(nは、自然数)と、複数のリピータ40(mは、自然数)とを備え、車両5内において、制御信号を無線通信により送受信することで車両5に搭載された各種機能を制御する。
車両モジュール10は、例えば、車両5に搭載されるドアを含むドア周りの1つの構成単位であるドアモジュール、車両5に搭載されるエンジンを含むエンジンに関連した1つの構成単位であるエンジンモジュール、車両5に搭載される計器類などを含むフロントウィンドウ下に配置される制御パネルに関連した1つの構成単位であるインストルメントパネルモジュール、車両5に搭載されるシート周りの1つの構成単位であるシートモジュール、車両5に搭載されるライトを含むライトに関連した1つの構成単位であるライトモジュールなどである。
各車両モジュール10は、車両5の設計コンセプトに基づき、組み立て容易性、部品点数の削減、開発工数の削減などを達成すべく、その構成単位が決定される。したがって、各車両モジュール10の構成は、一意に決定されるものではなく、車両5を構成する部品を上述した目的において集約することで、その構成単位が決定されることになる。
車両モジュール10は、ゲートウェイ20と、複数の車載ユニット30とを備えている。
ゲートウェイ20は、当該車両モジュール10の車載ユニット30、他の車両モジュール10の車載ユニット30間の無線通信を取り纏めるよう仲介し、車両モジュール10間の通信を実現させる。
図1に示すように、ゲートウェイ20は、無線通信部21と、無線通信環境把握部22と、通信ルート選定部27とを備えている。無線通信部21は、当該ゲートウェイ20の構成される車両モジュール10の車載ユニット30との無線通信、他の車両モジュール10のゲートウェイ20との無線通信を行う。他の車両モジュール10のゲートウェイ20との無線通信は、リピータ40を介する場合もある。
無線通信環境把握部22は、当該ゲートウェイ20により仲介してなされる車載ユニット30間の無線通信環境を把握する。無線通信環境把握部22による無線通信環境の把握手法については、後で詳細に説明をする。
通信ルート選定部27は、異なる車両モジュール10に構成される車載ユニット30間の最適な通信ルートを、無線通信環境把握部22によって把握された無線通信環境に基づき求められる複数の通信ルートの候補から、所定の選定基準に応じて選定する。例えば、通信ルート選定部27は、運転席側のドアモジュールに設けられた車載ユニット30のうちの一つであるドアミラースイッチユニットから、助手席側のドアモジュールに設けられた車載ユニット30のうちの一つであるドアミラーモータユニットに対して制御信号を無線通信により送信しようとする場合に、車両5内に設置されているどのリピータ40を経由する通信ルートが最適かを選定する。通信ルート選定部27による通信ルートの選定手法については後で詳細に説明をする。
車載ユニット30は、車両無線通信システム1における制御信号を無線通信により送受信するための主体であり、制御信号を送信する制御指示側と、制御信号を受信する制御対象側とに大別される。具体的には、車載ユニット30は、パワーウインドウを操作するパワーウインドウスイッチユニットと、パワーウインドウを実際に駆動させるパワーウインドウモータユニットというように制御指示側と制御対象側とが対になっており、それぞれ異なる車両モジュール10、または同一の車両モジュール10に設けられている。
他には、例えば、ドアミラーを操作するドアミラースイッチユニットと、ドアミラーを実際に駆動させるドアミラーモータユニットといった対などもある。車載ユニット30は、これだけに限定されるものではなく、車両5に搭載された各種機能において、なんらかの制御信号に応じて動作させることができるものであればどのようなものであってもよい。このように、車載ユニット30は、車両5に搭載される様々な機能の最小実行単位となっている。
図1に示すように、車載ユニット30は、無線通信部31と、障害物検知部32とを備えている。無線通信部31は、ゲートウェイ20を介して、他の車両モジュール10の車載ユニット30との無線通信を行う。障害物検知部32は、車両5内に存在する人や荷物などといった無線通信を妨害する可能性のある障害物を検知する検知センサである。障害物検知部32として使用される検知センサは、種別を問わず、車両内の障害物を検知することができればどのようなものあってもよい。
後述するように、障害物検知部32による障害物の検知結果は、同一車両モジュール10に構成されるゲートウェイ20に通知され、無線通信環境把握部22による無線通信環境の把握に利用される。
リピータ40は、無線通信部41を備え、この無線通信部41により各車両モジュール10のゲートウェイ20によって取り纏められ仲介される、異なる車両モジュール10の車載ユニット30間の無線通信を中継する。
このような構成の車両無線通信システム1では、図2に示すような位置にリピータ40を設置することで、ゲートウェイ20の通信ルート選定部27で選定される通信ルートによる無線通信を電波妨害などのない確実なものとしている。
図2に示すように、車両5には、図示しない車両モジュールの各ゲートウェイ20〜20が設置されている。まず、リピータ40は、このように点在するゲートウェイ20〜20の通信範囲内に、ゲートウェイ20〜20との通信が確実になされるように設置される。このとき、リピータ40は、車両5の車体のルーフ部6を支持するピラー部7A(フロントピラー;Aピラー)、7B(センターピラー;Bピラー)、7C(リヤピラー;Cピラー)、8A(フロントピラー;Aピラー)、8B(センターピラー;Bピラー)、8C(リヤピラー;Cピラー)内を電波が伝搬するような位置に設置される。なお、説明のため、以下において、ピラー部7A、7B、7C、ピラー部8A、8B、8Cを総称する場合には、それぞれピラー部7、ピラー部8と呼ぶものとする。
例えば、図2に示すように、リピータ40Lは、車両5の左ドア側にあるゲートウェイ20に対して、このゲートウェイ20の通信範囲であり、ピラー部7A内を電波が伝搬するような位置に設置されている。また、リピータ40Lは、ゲートウェイ20の通信範囲、リピータ40Lは、ゲートウェイ20、20の通信範囲、リピータ40Rは、ゲートウェイ20の通信範囲であり、それぞれピラー部7B、ピラー部7C、ピラー部8C内を電波が伝搬するような位置に設置されている。図2に示すリピータ40L〜40L、リピータ40R〜40Rは、全く同様の理由で設置されている。
一般にピラーは、車両のルーフ部を支持するとともに車体強度を確保するために筒状の形状をしている。したがって、金属製のピラー部7、8内のピラー閉空間内に電波を伝搬させた場合、外部からの電波干渉を受けにくいため確実に目的の位置まで電波を伝搬させることができる。
これに対し、車両5の車幅方向の反対側にある車載ユニット30間の無線通信を障害物による影響を回避しながら確実に実現するために、車両5のルーフ部6に形成した電波遮蔽されたルーフ閉空間内にもリピータ40を設置する。図2に示すリピータ40C〜40Cは、このルーフ閉空間内に設置させたリピータ40である。
図3は、リピータ40Cを設置させたルーフ閉空間の様子を示した図である。図3に示すように、車両5のルーフ部6の外壁である金属で形成されたルーフ6Aと、ルーフ部6の内装であるルーフライニング部6Cとの間に電波遮蔽効果のある素材(例えば、アルミなど)によって形成された電波遮蔽層6Bが設けられている。ルーフ閉空間は、この電波遮蔽層6Bとルーフ6Aとの間に形成される閉空間である。このルーフ閉空間内に電波を伝搬させた場合、外部からの電波干渉を受けにくいため確実に電波を伝搬させることができる。このルーフ閉空間は、上述したピラー部7、8内のピラー閉空間と電波を伝搬させる空間として接続されているため、電波の伝搬による減衰を無視すれば、ピラー閉空間内、ルーフ閉空間内において相互に途切れることなく電波を伝搬させることができる。
ルーフ閉空間内に設置させるリピータ40は、ピラー閉空間内を伝搬してきた電波を確実に受信し、別のピラー閉空間内へと確実に中継することができるように、ルーフ部6と、ピラー部7、8との接合部近傍位置に設置する。これに基づき、図2に示すリピータ40C、40C、40C、40C、40C、40Cは、それぞれルーフ部6とピラー部7A〜7C、ピラー部8A〜8Cとの接合部近傍位置に設置されている。
また、リピータ40は、ルーフ部6の閉空間内を確実に中継することができるように、車両5の車幅方向に対向するルーフ部6とピラー部7A〜7Cとの接合部近傍位置と、ルーフ部6とピラー部8A〜8Cとの接合部近傍位置との中間位置に設置する。これに基づき、図2に示すリピータ40C、40C、40Cは、それぞれリピータ40Cと40C、リピータ40Cと40C、リピータ40Cと40Cの車幅方向の中間位置に設置されている。図4(a)、(b)、(c)は、一例として、リピータ40C、40C、40Cをルーフ閉空間内に設置した様子を示した図である。
このようにルーフ閉空間は、電波遮蔽されているため外部からの電波妨害に非常に強く、電波伝搬性の高い空間となっている。したがって、ルーフ閉空間に設置させるリピータ40は、ルーフ部6と、ピラー部7、8との接合部近傍位置に設置、車両5の車幅方向に対向するルーフ部6とピラー部7、8との接合部近傍位置の中間位置のいずれか1箇所以上に設置すればよい。
これにより、車両5全体に渡って、制御信号を確実に無線通信により送信することのできる無線通信環境を形成することができる。また、制御信号は、電波妨害に非常に強い電波遮蔽された閉空間内を伝搬することになるため、設置するリピータ40の数を最小限にすることができ、コストの削減、重量増加の抑制を図ることができる。
続いて、図5に示すフローチャートを用いて、車両無線通信システム1による無線通信処理の概要について説明をする。なお、説明のため、制御信号を送信する制御指示側の車載ユニット30を含む車両モジュール10を車両モジュール10とし、制御信号を送信する対象である制御対象側の車載ユニット30を含む車両モジュール10を車両モジュール10とする。
まず、ステップS1において、車両モジュール10の車載ユニット30より制御信号の送信を実行した旨が入力されると、当該車両モジュール10のゲートウェイ20は、無線通信環境把握部22により、あらかじめ車両無線通信システム1に設定されたデフォルトの通信ルートを用いて、車両5の全ての車両モジュール10に対して指示を出し、車両5全体の無線通信環境を把握する。車両モジュール10のゲートウェイ20は、デフォルトの通信ルートを用いて把握した車両5全体の無線通信環境を集計し所定のメモリに記憶する。
ステップS2において、車両モジュール10のゲートウェイ20は、通信ルート選定部27により、ステップS1で把握された車両5全体の無線通信環境に基づき、車両モジュール10のゲートウェイ20までの通信ルートを選定する。
ステップS3において、車両モジュール10のゲートウェイ20は、通信ルート選定部27によって選定された通信ルートを介して車載ユニット30からの制御信号を無線通信により送信する。
ステップS4において、通信ルート選定部27によって選定された通信ルートに含まれるリピータ40は、送信された制御信号を無線通信により、車両モジュール10のゲートウェイ20に中継する。
ステップS5において、車両モジュール10のゲートウェイ20によって、無線信号として送信された制御信号が受信され、制御対象である車載ユニット30に対し所定の制御処理が実行される。
また、図1に示した車両無線通信システム1において、車両モジュール10の車載ユニット30を、図6に示すように、ゲートウェイ20の機能を設けるように構成することもできる。図6に示すように、車載ユニット30は、ゲートウェイ20の機能部である無線通信環境把握部22、通信ルート選定部27を備えている。
これは、車両5に搭載された車載ユニット30の数が少なく送受信される無線信号が少ない場合や、車載ユニット30が集中することなく分散して設置されており送受信される無線信号を取り纏める必要のない場合などに有効となる構成である。このように、ゲートウェイ20を設ける必要のない場合には、部品点数を削減できるとともに、車載ユニット30とリピータ40とが直接、無線通信することになるためより効率的な無線通信を実現することができる。
逆に、車両5に多くの車載ユニット30が搭載されている場合や、車載ユニット30が分散することなく集中して設置されている場合には、ゲートウェイ20を設けることで、車載ユニット30の無線通信を取り纏め、車載ユニット30間の無線通信を車両モジュール10間の無線通信とすることができるため、確実な無線通信を実現することができる。
なお、以下においては、図1に示したように、車両モジュール10が、車載ユニット30と、ゲートウェイ20とを備える構成として説明をするが、図6に示すように、車載ユニット30に、ゲートウェイ20の機能を設けた場合でも全く同じ制御処理、効果となるため説明を省略する。
このような車両無線通信システム1は、車両5内において電波妨害されにくい環境に設置された複数のリピータ40によって構成される無線通信の通信ルートを、無線通信環境把握部22によって把握された無線通信環境に基づき求められる複数の通信ルートの候補から、所定の選定基準に応じて通信ルート選定部27により選定することで、車両空間内の無線通信環境の変化に影響されることなく、車両5に搭載された車載ユニット30間の無線通信を確実に実行することができる。
〔無線通信環境を把握する処理、最適な通信ルートを選定する処理〕
続いて、車両無線通信システム1のゲートウェイ20が備える無線通信環境把握部22による無線通信環境を把握する処理、通信ルート選定部27による最適な通信ルートを選定する処理の詳細について説明をする。
図7に、図1に示した車両無線通信システム1の詳細な構成について示す。図7に示すように各ゲートウェイ20の無線通信環境把握部22は、イベント受付部23と、通信可能リンク検出部24と、通信可能リンク推定部25とを備えている。
無線通信環境把握部22は、車両モジュール10の車載ユニット30のイベント検出部33によって所定のイベントが検出された旨を無線通信によりイベント受付部23で受け付けたことに応じて、通信可能リンク検出部24、または通信可能リンク推定部25により無線通信環境の把握処理を実行する。
車載ユニット30のイベント検出部33は、車両5内の無線通信環境に変化が起こるであろうと推定される車両5内で発生する所定のイベントを検出する。車両5内の無線通信環境は、車両5内に人が存在するかどうか、車両5内に何らかの物が載置されているかどうかなどに影響されやすい。
車両5内に存在する人や車両5内に載置された物などは、電波の障害物となる可能性が非常に高いため、その有無により無線通信環境が大きく変化することになる。そこで、イベント検出部33は、人の出入りが発生する可能性のあるイベント、物の搬入出が発生する可能性のあるイベントとして、例えば、エンジン始動動作、ドアの開閉動作、ウインドの開閉動作などといったイベントを検出する。
このように、イベント検出部33で検出される所定のイベントは、無線通信環境の変化を間接的に示す。したがって、イベント検出部33による所定のイベントの検出に応じた無線通信環境把握部22による無線通信環境の把握処理は、無線通信環境の変化を的確に捉えた適切なタイミングで実行されることになる。これにより、無線通信環境を把握するために不必要に無線通信を実行する必要もなくなるため無線通信の効率を向上させることができる。
イベント検出部33で所定のイベントを検出した場合、車載ユニット30は、所定のイベントを検出した旨を示すイベント検出情報を、当該車載ユニット30が構成されている車両モジュール10のゲートウェイ20に無線通信により送信する。
イベント受付部23は、同じ車両モジュール10に構成される車載ユニット30から無線通信により送信されるイベント検出情報、他の車両モジュール10のゲートウェイ20から無線通信により送信されるイベント検出情報を受け付ける。無線通信環境把握部22は、イベント受付部23によってイベント検出情報を受け付けたことに応じて、通信可能リンク検出部24、または通信可能リンク推定部25による無線通信環境の把握処理を実行する。
通信可能リンク検出部24は、車両5内に設置された各ゲートウェイ20に対して、それぞれ通信可能なリピータ40を検出させることで、車両5内における通信可能なリンクを全て検出し無線通信環境を把握する。
具体的には、通信可能リンク検出部24は、車両5内に設置された全てのリピータ40に対して利用可能リピータ応答リクエストを送信し、その応答信号から通信ルートに利用可能なリンクであるかどうかを判断することで無線通信環境を把握する。
この通信可能リンク検出部24により送信される利用可能リピータ応答リクエストへの応答は、リピータ40のリピータ利用可能応答部42によってなされる。
通信可能リンク推定部25は、車載ユニット30の障害物検知部32の検知結果を用いて、障害物とこの障害物の存在により切断されてしまうリンクとの関係を示したテーブルを参照することで、通信可能なリンクを推定し無線通信環境を把握する。
上述した通信可能リンク検出部24では、全てのリピータ40に対して利用可能リピータ応答リクエストを送信し、その応答信号により通信可能なリピータ40、つまり通信可能なリンクを検出していた。これに対し、通信可能リンク推定部25では、あらかじめ取得されているテーブルを用いたシミュレーションにより通信可能なリンクを推定するため、非常に短時間で、通信負荷を大幅に抑制しながら、容易に通信可能なリンクを求めることができる。
各ゲートウェイ20の通信ルート選定部27は、最適ルート判断部28を備えている。この最適ルート判断部28は、最も短い通信ルートである最短距離通信ルートを算出する最短距離ルート算出部28aと、最も信頼性の高い最信頼通信ルートを算出する最信頼ルート算出部28bと、デフォルトの通信ルート(デフォルト通信ルート)を記憶しているデフォルトルート記憶部28cとを備えている。
通信ルート選定部27は、車両無線通信システム1において、その時点において最も最適であるとされる通信ルートを選定する。
具体的には、通信ルート選定部27の最適ルート判断部28が、その時点における各種条件に基づき、最短距離ルート算出部28aで算出される最短距離通信ルート、最信頼ルート算出部28bで算出される最信頼通信ルート、デフォルトルート記憶部28cに記憶されているデフォルト通信ルートのいずれかを最適な通信ルートと判断して、最適な通信ルートを選定する。
なお、デフォルト通信ルートは、最終的な通信ルートを選定するまでの間に行われる無線通信環境の把握処理などの無線通信に使用される通信ルートである。したがって、最適ルート判断部28は、最終的な通信ルートが選定されるまでの間には、無条件にデフォルトルート記憶部28cに記憶されているデフォルト通信ルートを最適な通信ルートと判断することになる。
最適ルート判断部28は、制御対象である車載ユニット30おいて要求されている制御信号の要求スペック、例えば、動作レスポンスや通信信頼性などを判断基準(選定基準)として、最短距離ルート算出部28a、最信頼ルート算出部28bのいずれを使用して通信ルートを算出させるかを判断し、上述した無線通信環境把握部22よって把握された無線通信環境に基づき最適な通信ルートを算出させる。
ここで、デフォルトルート記憶部28cに記憶されるデフォルト通信ルートについて説明をする。デフォルト通信ルートは、上述したように、最終的な通信ルートを選定するまでの間に行われる無線通信環境の把握処理などの無線通信に使用される通信ルートである。したがって、デフォルト通信ルートには、確実な無線通信が要求されることになるため、最も信頼性の高い通信ルートをデフォルト通信ルートとして設定する必要がある。
例えば、図8に示すような、助手席側のドアモジュールにあるパワーウインドウモータユニットPM1を制御対象とし、運転席側のドアモジュールにあるパワーウインドウスイッチユニットPS1から無線通信により制御信号を送信する場合において、考えられる複数の通信ルートの中から最も信頼性の高い通信ルートを考える。
図8に示すように、最も信頼性の高い通信ルートは、運転席側のドアモジュールのゲートウェイ20との通信範囲内にあるピラー部8A内に設置されたリピータ40R、ピラー部8Aとルーフ部6との接合部近傍位置に設置されたリピータ40C、ルーフ部6のルーフ閉空間内の前部中央位置に設置されたリピータ40C、ピラー部7Aとルーフ部6との接合部近傍位置に設置されたリピータ40C、助手席側のドアモジュールのゲートウェイ20との通信範囲内にあるピラー部7A内に設置されたリピータ40Lを経由し、助手席側のドアモジュールのゲートウェイ20へと至る通信ルートである。これらのリピータ40間の無線通信は、図2、3、4を用いて説明したように、確実な無線通信が保証されているため、このリピータ40を経由する通信ルートは、最も信頼性の高い通信ルートであるといえる。
デフォルトルート記憶部28cには、このように最も信頼性の高い通信ルートが、デフォルト通信ルートとして複数記憶されている。デフォルトルート記憶部28cに記憶されているデフォルト通信ルートは、制御信号の送信元の車載ユニット30と制御信号を送信する制御対象の車載ユニット30と関係付けられたテーブルとして記憶されている。デフォルト通信ルートは、例えば、デフォルト通信ルートにおいて経由されるリピータ40を一意に特定する識別情報であるID情報のリストとして定義される。
デフォルトルート記憶部28cに記憶されるデフォルト通信ルートは、常に固定ではなく、後述する最信頼ルート算出部28bによって最も信頼性の高い通信ルートが算出されるたびに更新され学習されていく。
また、無線通信環境把握部22による無線通信環境を把握する処理、通信ルート選定部27による最適な通信ルートを選定する処理を実行するにあたり、リピータ40は、図7に示すように、リピータ利用可能応答部42と、リンク制御部44とを備えている。
リピータ利用可能応答部42は、無線通信環境把握部22の通信可能リンク検出部24により無線通信環境を把握するために送信される利用可能リピータ応答リクエストを受信した場合、ゲートウェイ20に対して応答パケットを送信する。具体的には、リピータ利用可能応答部42は、ID付与部43を備え、ゲートウェイ20の無線通信環境把握部22からなされる利用可能リピータ応答リクエストを受信したことに応じて、ID付与部43により、当該リピータ40を一意に特定する識別情報であるID情報を応答パケットに付与し無線通信部41を介してゲートウェイ20に送信することで、自身が通信ルートの一部として利用可能なリンクとなり得ることを通信可能リンク検出部24に知らせる。
リンク制御部44は、通信ルート選定部27の最適ルート判断部28によって判断された最適な通信ルートに当該リピータ40が含まれない場合、無線通信を中継する中継機能を停止させる。具体的には、リンク制御部44は、最適ルート判断部28によって最適であると判断された通信ルートを用いて、車載ユニット30間の無線通信がなされる際に、ゲートウェイ20または他のリピータ40から送信され受信した制御信号のパケットに含まれる通信ルートを定義したリピータ40のID情報を参照し、自身のID情報が含まれてるい場合のみ制御信号を中継し、自身のID情報が含まれていない場合には制御信号の中継を停止する。
これにより、制御信号を無駄に無線通信により中継することを低減させることができるため、無線通信の通信効率(中継効率)を向上させることができる。
〔通信可能リンク検出部24による無線通信環境の把握処理動作〕
次に、図9に示すフローチャートを用いて、上述した通信可能リンク検出部24による無線通信環境の把握処理動作について説明をする。なお、ここでは、説明のため、所定のイベントを検出した車載ユニット30を含む車両モジュール10を車両モジュール10とし、それ以外の車両モジュール10を車両モジュール10oteherとする。
まず、ステップS11において、車両モジュール10の車載ユニット30は、イベント検出部33によって、無線通信環境に変化を与えるような所定のイベントが検出されたかどうかを判断する。車載ユニット30は、イベント検出部33によって所定のイベントが検出された場合には、ステップS12へと処理を進める一方、所定のイベントが検出されない場合には、ステップS11を継続しイベントの発生を待機する。
ステップS12において、車載ユニット30は、イベント検出部33で所定のイベントが検出されたことに応じて、イベントが検出されたことを示すイベント検出情報を無線通信により車両モジュール10内に送信する。これに応じて、車両モジュール10のゲートウェイ20は、イベント検出情報を受信する。
ステップS13において、車両モジュール10のゲートウェイ20のイベント受付部23は、受信されたイベント検出情報を受け付け、通信ルート選定部27のデフォルトルート記憶部28cにあらかじめ設定されているデフォルト通信ルートを利用して、他の全ての車両モジュール10oteherのゲートウェイ20に送信するよう制御する。
ステップS14において、車両5の全てのゲートウェイ20の各通信可能リンク検出部24は、通信可能なリンクの検出処理を実行する。具体的には、ステップS14a〜ステップS14cにより、通信可能リンク検出部24による通信可能なリンクの検出処理が実行される。
まず、ステップS14aにおいて、車両モジュール10oteherのゲートウェイ20の各通信可能リンク検出部24は、当該ゲートウェイ20と通信可能なリピータ40を検出するために、利用可能リピータ応答リクエストを送信するよう制御する。
ステップS14bにおいて、利用可能リピータ応答リクエストを受信したリピータ40のリピータ利用可能応答部42は、ID付与部43にて自身を一意に特定するID情報を付与した応答信号を送信するよう制御する。
図10に、ステップS14a、ステップS14bの処理を、車両5において実際に実行した様子を示す。各ゲートウェイ20は、利用可能リピータ応答リクエストを通信可能な範囲に送信する。これを受信したリピータ40によって送信される応答信号を受信したゲートウェイ20は、通信可能なリンクを把握することができる。
ステップS14cにおいて、応答信号を受信した車両モジュール10oteherのゲートウェイ20の各通信可能リンク検出部24は、受信した応答信号に付与されているID情報を取り出してリスト化したID情報リストを生成する。このID情報からなるID情報リストは、車両モジュール10oteherの各ゲートウェイ20と通信可能なリピータ40を示した情報である。
車両モジュール10oteherのゲートウェイ20の各通信可能リンク検出部24は、ID情報リストを、上述したデフォルト通信ルートを利用して、車両モジュール10のゲートウェイ20に送信するよう制御する。
ステップS15において、車両モジュール10のゲートウェイ20の通信可能リンク検出部24は、車両モジュール10oteherの各ゲートウェイ20から送信された各ID情報リストを集計し、ID情報全体リストを生成する。さらに、車両モジュール10のゲートウェイ20の通信可能リンク検出部24は、生成したID情報全体リストを、図示しない所定のメモリに記憶させるとともに、デフォルト通信ルートを利用して、車両モジュール10oteherのゲートウェイ20に送信するよう制御する。
ステップS16において、車両モジュール10oteherのゲートウェイ20は、受信したID情報全体リストを図示しない所定のメモリに記憶させる。これにより、車両5の各ゲートウェイ20は、車両5の全てのゲートウェイ20がそれぞれ通信可能なリピータ40との関係、つまり車両5における通信可能な全てのリンクを把握することになる。
次に、この図9のフローチャートを用いて説明した処理動作を、一例として示す車両5の始動時の処理動作に対応させて具体的に説明をする。
まず、ドライバが車両5のイグニッションキーを操作してエンジンを始動させると、車両モジュール10であるインストルメントパネルモジュールの車載ユニット30であるイグニッションスイッチユニットがイベント検出情報であるスイッチオンイベント情報を検出し(ステップS11)、インストルメントパネルモジュール内に無線通信により送信する(ステップS12)。
インストルメントパネルモジュールのゲートウェイ20は、受信したスイッチオンイベント情報をデフォルト通信ルートを利用して、他の車両モジュール10oteherであるドアモジュール、ライトモジュールなどのゲートウェイ20に送信する(ステップS13)。
スイッチオンイベント情報を送信したインストルメントパネルモジュールのゲートウェイ20と、スイッチオンイベント情報を受信したドアモジュール、ライトモジュールなどのゲートウェイ20は、それぞれ通信可能なリピータ40を検出して、通信可能なリンクを検出する。そして、スイッチオンイベント情報を受信したドアモジュール、ライトモジュールなどのゲートウェイ20は、検出した通信可能なリンクのリストを、デフォルト通信ルートを利用して、スイッチオンイベント情報を送信したインストルメントパネルモジュールのゲートウェイ20に送信する(ステップS14)。
インストルメントパネルモジュールのゲートウェイ20は、自身の通信可能なリンクのリストと、ドアモジュール、ライトモジュールなどのゲートウェイ20から送信された通信可能なリンクのリストとを集計して、車両5において通信可能な全てのリンクのリストを生成する。
インストルメントパネルモジュールのゲートウェイ20は、生成した車両5において通信可能な全てのリンクのリストを、所定のメモリに記憶させるとともに、ドアモジュール、ライトモジュールなどのゲートウェイ20に送信する(ステップS15)。
ドアモジュール、ライトモジュールなどのゲートウェイ20は、受信した車両5において通信可能な全てのリンクのリストを所定のメモリに記憶させる。
このように、無線通信環境把握部22の通信可能リンク検出部24は、車載ユニット30によって所定のイベントが検出されたことに応じて、利用可能リピータ応答リクエストをリピータ40に送信し、このリクエストに対する応答信号を受信したことに応じてリピータ40が通信可能かどうかを判断し通信可能なリンクを検出する。
これにより、通信可能リンク検出部24は、全てのリピータ40に対して通信が可能かどうかを検証することで通信可能なリンクを検出するため、車両5において通信可能な全てのリンクを確実に把握することができる。また、通信可能なリピータ40をリピータ40を一意に特定するID情報で把握するため、容易に管理することができる。
〔通信可能リンク推定部25による無線通信環境の把握処理動作)
次に、図11に示すフローチャートを用いて、上述した通信可能リンク推定部25による無線通信環境の把握処理動作について説明をする。なお、ここでは、説明のため、所定のイベントを検出した車載ユニット30を含む車両モジュール10を車両モジュール10とし、それ以外の車両モジュール10を車両モジュール10oteherとする。
まず、ステップS21〜ステップS23において、車両モジュール10の車載ユニット30のイベント検出部33で所定のイベントが検出されたことに応じて、イベント検出情報をデフォルト通信ルートを利用して、他の全ての車両モジュール10oteherのゲートウェイ20に送信する。このステップS21〜ステップS23の処理ステップは、上述した図9のフローチャートのステップS11〜ステップS13の処理ステップと全く同じであるため詳細な説明を省略する。
ステップS24において、イベント検出情報を送信した車両モジュール10のゲートウェイ20の通信可能リンク推定部25は、当該車両モジュール10の車載ユニット30から送信される車両5内の障害物の検知結果と、イベント検出情報を受信した車両モジュール10oteherのゲートウェイ20から送信される車両5内の障害物の検知結果に基づき通信可能なリンクを推定する。具体的には、ステップS24a〜ステップS24cにより、通信可能リンク推定部25による通信可能なリンクの推定処理が実行される。
まず、ステップS24aにおいて、車両5の各車両モジュール10の車載ユニット30は、イベント検出情報を送信、またはイベント検出情報を受信したゲートウェイ20の通信可能リンク推定部25の要求に応じて、障害物検知部32によって検知された障害物の検知結果をゲートウェイ20に送信する。
ステップS24bにおいて、イベント検出情報を受信した車両モジュール10oteherのゲートウェイ20の各通信可能リンク推定部25は、送信された障害物の検知結果をリスト化した障害物検知リストを生成する。
車両モジュール10oteherのゲートウェイ20の各通信可能リンク推定部25は、障害物検知リストを、上述したデフォルト通信ルートを利用して、車両モジュール10のゲートウェイ20に送信するよう制御する。
ステップS24cにおいて、車両モジュール10のゲートウェイ20の通信可能リンク推定部25は、受信した障害物検知リストを集計し、障害物検知全体リストを生成する。さらに、車両モジュール10のゲートウェイ20の通信可能リンク推定部25は、生成した障害物検知全体リストを用いて、図示しないメモリにあらかじめ記憶されている、車両5内において存在が想定される障害物と、この障害物が存在することにより切断される可能性の高いリンクとの関係を対応付けて記載したテーブルを参照することで、通信可能なリンクを推定し、通信可能なリンクを示したリンク推定リストを生成する。
ステップS25において、車両モジュール10のゲートウェイ20の通信可能リンク推定部25は、生成したリンク推定リストを図示しない所定のメモリに記憶させるとともに、デフォルト通信ルートを利用して、車両モジュール10oteherのゲートウェイ20に送信するよう制御する。
ステップS26において、車両モジュール10oteherのゲートウェイ20は、受信したリンク推定リストを図示しない所定のメモリに記憶させる。これにより、車両5の各ゲートウェイ20は、車両5の全てのゲートウェイ20において推定されるそれぞれ通信可能なリピータ40との関係、つまり車両5における推定される通信可能な全てのリンクを把握することになる。
次に、この図11のフローチャートを用いて説明した処理動作を、一例として示す車両5の始動時の処理動作に対応させて具体的に説明をする。
まず、ドライバが車両5のイグニッションキーを操作してエンジンを始動させると、車両モジュール10であるインストルメントパネルモジュールの車載ユニット30であるイグニッションスイッチユニットがこのイベントを検出し(ステップS21)、イベント検出情報としてスイッチオンイベント情報をインストルメントパネルモジュール内に無線通信により送信する(ステップS22)。
インストルメントパネルモジュールのゲートウェイ20は、受信したスイッチオンイベント情報をデフォルト通信ルートを利用して、他の車両モジュール10oteherである運転席のシートモジュール、後席シートモジュールなどのゲートウェイ20に送信する(ステップS23)。
インストルメントパネルモジュールのゲートウェイ20は、スイッチオンイベント情報を送信することで、スイッチオンイベント情報を受信した運転席シートモジュール、後席シートモジュールなどのゲートウェイ20に対し通信可能リンク推定処理を実行するように指示する。
スイッチオンイベント情報を送信したインストルメントパネルモジュールのゲートウェイ20と、スイッチオンイベント情報を受信した運転席シートモジュール、後席シートモジュールなどのゲートウェイ20の各通信可能リンク推定部25は、それぞれ車載ユニット30に対して障害物検知部32によって検知された障害物の検知結果を送信するよう要求する。
これに応じて、例えば、運転席シートモジュールのゲートウェイ20は、シートベルトユニットのシートベルトに設置されたセンサによって障害物として運転者の存在が検知され、後席シートモジュールのゲートウェイ20は、着座センサーユニットのシートに設置された赤外センサ、または質量センサによって障害物として車両5に乗車した人の存在が検知されたことに応じて、それぞれ障害物の検知結果として運転者存在情報を含む障害物検知リスト、後席乗車員存在情報を含む障害物検知リストをデフォルトの通信ルートを利用してインストルメントパネルモジュールのゲートウェイ20に送信する。
インストルメントパネルモジュールのゲートウェイ20は、送信された障害物検知リストを集計し、障害物検知全体リストを生成する。さらに、インストルメントパネルモジュールのゲートウェイ20は、生成した障害物検知全体リストを用いて、図示しないメモリに記憶されているテーブルを参照することで、通信可能なリンクを推定し、通信可能なリンクを示したリンク推定リストを生成する(ステップS24)。
このテーブルには、例えば、運転席に運転者が存在する場合、運転席ドアモジュールのゲートウェイ20と助手席ドアモジュールのゲートウェイ20間のリンクが切断されることや、後席に乗車している場合、左右の後席ドアモジュールのゲートウェイ20間のリンクが切断されることなど、障害物とこの障害物が存在することにより切断される可能性の高いリンクとの関係が対応付けて記載されている。
インストルメントパネルモジュールのゲートウェイ20は、生成した車両5において通信可能だと推定される全てのリンクのリストであるリンク推定リストを、所定のメモリに記憶させるとともに、運転席シートモジュール、後席シートモジュールなどのゲートウェイ20に送信する(ステップS25)。
運転席シートモジュール、後席ドアモジュールなどのゲートウェイ20は、受信した車両5において通信可能だと推定される全てのリンクのリストであるリンク推定リストを所定のメモリに記憶させる(ステップS26)。
このように、無線通信環境把握部22の通信可能リンク推定部25は、車載ユニット30によって所定のイベントが検出されたことに応じて、障害物の検知結果をリスト化した障害物検知リストを生成し、さらに他の通信可能リンク推定部25から送信される障害物検知リストを集計した障害物検知全体リストを生成する。そして、障害物検知全体リストを用いて、あらかじめメモリに記憶されている車両5内において存在が想定される障害物と、この障害物が存在することにより切断される可能性の高いリンクとの関係を対応付けたテーブルを参照することで通信可能なリンクを推定する。
これにより、通信可能リンク推定部25は、上述した通信可能リンク検出部24のように全てのリピータ40に問い合わせることで通信可能なリンクを検出するのではなく、障害物の存在から通信可能なリンクを推定しているため、通信負荷を低減することができるとともに、極めて短時間で通信可能なリンクを把握することができる。また、障害物の検知は、制御信号の送受信を行う車載ユニット30にて行っているため、制御信号の送受信に影響を及ぼす障害物の存在を確実に検知することができる。
〔最適な通信ルートを選定する処理動作〕
続いて、上述した通信ルート選定部27による通信ルートの選定処理動作について説明をする。通信ルート選定部27による通信ルートの選定処理は、上述した無線通信環境把握部22による無線通信環境把握処理と独立して、車載ユニット30から制御信号が無線通信により送信される度に実行されるリアルタイムな選定処理と、無線通信環境把握処理が実行された後に、想定される通信ルートをあらかじめ取得してメモリ内に記憶しておき、車載ユニット30から制御信号が無線通信により送信されたことに応じて該当する通信ルートを読み出すことで実行される非リアルタイムな選定処理とがある。
(リアルタイムな選定処理)
まず、図12に示すフローチャートを用いて、上述した通信ルート選定部27によるリアルタイムな通信ルートの選定処理動作について説明をする。なお、説明のため、制御信号を送信する制御指示側の車載ユニット30を含む車両モジュール10を車両モジュール10とし、制御信号を送信する対象である制御対象側の車載ユニット30を含む車両モジュール10を車両モジュール10とする。
ステップS31において、ユーザの操作などに応じて車両モジュール10の車載ユニット30が、制御信号を無線通信にて車両モジュール10内のゲートウェイ20に送信する。
ステップS32において、車両モジュール10のゲートウェイ20は、車載ユニット30から無線通信により送信される制御信号を受信したことに応じて、全ての車両モジュール10のゲートウェイ20に指示を出し、通信可能リンク検出部24によって生成されたID情報全体リスト、または通信可能リンク推定部25によって生成されたリンク推定リストを取得することで無線通信環境を把握する。
さらに、車両モジュール10のゲートウェイ20は、最適ルート判断部28を制御して、把握した無線通信環境に基づき、最短距離ルート算出部28a、または最信頼ルート算出部28bにより算出される通信ルートの候補から、制御対象である車載ユニット30の要求を満足する通信ルートを判断させる。
制御対象である車載ユニット30の要求が動作レスポンスであった場合、最適ルート判断部28は、最短距離ルート算出部28aで算出される最短距離通信ルートを最適な通信ルートであると判断する。
例えば、図13に示すような、助手席側のドアモジュールにあるパワーウインドモータユニットPM1を制御対象とし、運転席側のドアモジュールにあるパワーウインドスイッチユニットPS1から無線通信により制御信号を送信する場合において、考えられる複数の通信ルートの中から最も距離の短い通信ルートを考える。
図13に示すように、最も距離の短い通信ルートは、運転席側のドアモジュールのゲートウェイ20との確実な無線通信を保証されていないが通信範囲内であるインストルメントルメントパネルの中心に設置されたリピータ40Mのみを経由し、助手席側のドアモジュールのゲートウェイ20へと至る通信ルートである。
また、制御対象である車載ユニット30の要求が通信の信頼性であった場合、最適ルート判断部28は、最信頼ルート算出部28bで算出される最信頼通信ルートを最適な通信ルートであると判断する。
図13と同様に、助手席側のドアモジュールにあるパワーウインドモータユニットPM1を制御対象とし、運転席側のドアモジュールにあるパワーウインドスイッチユニットPS1から無線通信により制御信号を送信する場合において、考えられる複数の通信ルートの中から最も信頼性の高い通信ルートを選定すると、例えば、図8を用いて説明したデフォルト通信ルートのようになる。最信頼ルート算出部28b算出される最信頼通信ルートは、過去において最も信頼性の高い通信ルートであるデフォルト通信ルートと一致する場合もあるし、例えば、複数の制御信号が頻繁に行き交うなど無線通信の通信状況の変化が激しい場合などは、デフォルト通信ルートと異なる通信ルートとなる場合もある。
ステップS33において、車両モジュール10のゲートウェイ20は、最適ルート判断部28で判断された最適な通信ルートの情報、具体的には、最適な通信ルートを経由するリピータ40のID情報や、制御対象である車載ユニット30を備える車両モジュール10のゲートウェイ20を特定する識別情報を含む制御信号を無線通信により送信する。
ステップS34において、車両モジュール10のゲートウェイ20の通信範囲にある各リピータ40、他の車両モジュール10のゲートウェイ20は、車両モジュール10のゲートウェイ20から送信された制御信号を受信する。
ステップS35において、制御信号を受信したリピータ40のリンク制御部44、または他の車両モジュール10のゲートウェイ20は、制御信号に含まれるリピータ40を一意に特定するID情報、通信先のゲートウェイ20を一意に特定する識別情報を用いて、自身が最適な通信ルートに含まれているかどうかを判断する。リピータ40のリンク制御部44、または他の車両モジュール10のゲートウェイ20は、自身が最適な通信ルートに含まれている場合には、ステップS36へと処理を進め、自身が最適な通信ルートに含まれていない場合には、受信した制御信号を中継することなく処理を終了し、次回の制御信号の受信待機状態となる。
ステップS36において、リピータ40、または他の車両モジュール10のゲートウェイ20は、通信先である制御対象の車載ユニット30を備える車両モジュール10のゲートウェイ20であるかどうかを判断する。車両モジュール10のゲートウェイ20である場合には、ステップS39へと処理を進め、車両モジュール10のゲートウェイ20でない場合には、リピータ40であるためステップS37へと処理を進める。
ステップS37において、最適な通信ルートに含まれるリピータ40は、受信した制御信号を中継する。
ステップS38において、最適な通信ルートに含まれるリピータ40の通信範囲にある各リピータ40、他の車両モジュール10のゲートウェイ20は、最適な通信ルートに含まれるリピータ40から中継された制御信号を受信する。ステップS38の処理が終了すると、ステップS35の処理へと戻り、通信先である制御対象の車載ユニット30を備える車両モジュール10のゲートウェイ20で制御信号が受信されるまで、ステップS35、ステップS36、ステップS37、ステップS38の処理が繰り返される。
ステップS39において、車両モジュール10のゲートウェイ20は、受信した制御信号を制御対象である車載ユニット30に送信する。
このようにして、通信ルート選定部27は、最適ルート判断部28によって、制御対象側の車載ユニット30の要求に応じて、無線通信環境把握部22によって把握された無線通信環境に基づき最短距離ルート算出部28aによって算出される最短距離通信ルート、または最信頼ルート算出部28bによって算出される最信頼通信ルートのいずれかを最適な通信ルートであると判断する。したがって、通信ルート選定部27の最適ルート判断部28によって判断され、選定される通信ルートを、車載ユニット30で要求される、動作レスポンスや通信信頼性といたスペックに応じた最適な通信ルートとすることができる。
また、通信ルート選定部27によるリアルタイムな通信ルートの選定処理は、車載ユニット30から制御信号が送信される度に実行されるため、現在の無線通信環境を最大限に反映した最新の通信ルートを選定することができる。
(非リアルタイムな選定処理)
次に、図14に示すフローチャートを用いて、通信ルート選定部27による非リアルタイムな通信ルートの選定処理を実行するにあたり必要となる最適な通信ルートをメモリ内にあらかじめ記憶させておく処理動作について説明をする。
この非リアルタイムな通信ルートの選定処理を実行するにあたり、あらかじめメモリ内に最適な通信ルートを記憶させる処理は、上述した図9、図11に示すフローチャートを用いて説明した無線通信環境を把握する処理の後に実行される。
まず、図14に示すように、ステップS31において、各車両モジュール10のゲートウェイ20は、通信を取り纏めている全ての車載ユニット30を、それぞれ制御信号を送信する制御指示側とした場合に、制御対象側となる他の車両モジュール10の車載ユニット30に関する通信先情報を所定のメモリ内から一つ読み出し取得する。
ステップS32において、各車両モジュール10のゲートウェイ20の最適ルート判断部28は、最短距離ルート算出部28a、最信頼ルート算出部28bを制御して、他の車両モジュール10の車載ユニット30に関する通信先情報と、無線通信環境把握部22によって把握された無線通信環境に基づき、最短距離通信ルート、最信頼通信ルートをそれぞれ算出させる。各車両モジュール10のゲートウェイ20は、最短距離ルート算出部28a、最信頼ルート算出部28bによって算出させた最短距離通信ルート、最信頼通信ルート、つまり最適な通信ルートとなる候補を、制御指示側の車載ユニット30、制御対象側の車載ユニット30をキーにして、経由するリピータ40を一意に特定するID情報、制御対象の車載ユニット30を含む車両モジュール10のゲートウェイ20を一意に特定する識別情報を対応付けたテーブルとして所定のメモリに記憶させる。
ステップS33において、各車両モジュール10のゲートウェイ20は、制御対象側となる他の車両モジュール10の車載ユニット30に関する通信先情報があるかどうか判断する。各車両モジュール10のゲートウェイ20は、通信先情報がある場合はステップS31へと処理を戻し、ステップS32の処理を繰り返させる一方、通信先情報がない場合には処理を終了する。
このようにして、所定のメモリに記憶された最適な通信ルートの候補は、制御指示側の車載ユニット30から送信された制御信号を、この車載ユニット30を取り纏めるゲートウェイ20で受信したことに応じて、通信ルート選定部27の最適ルート判断部28によって、制御指示側の車載ユニット30の要求に応じて、制御指示側の車載ユニット30、制御対象側の車載ユニット30をキーにして読み出され、制御対象となる車載ユニット30への制御信号の送信に用いられる。
これにより、所定のメモリから読み出され選定された通信ルートを、車載ユニット30で要求される、動作レスポンスや通信信頼性といったスペックに応じた最適な通信ルートとすることができる。
また、通信ルート選定部27による非リアルタイムな通信ルートの選定処理は、あらかじめ算出した通信ルートを記憶させる記憶容量のメモリを必要とするものの、車載ユニット30から送信される制御信号に応じて、迅速に通信ルートを選定することができるため、処理負荷が少なく快適な選定処理を実現することができる。
[第2の実施の形態]
続いて、図15を用いて、本発明の第2の実施の形態として示す車両無線通信システム2について説明をする。図15に示すように車両無線通信システム2は、図7を用いて説明した車両無線通信システム1において、車両モジュール10の各ゲートウェイ20の無線通信環境把握部22に通信エラー判断部26を付加した構成となっている。したがって、車両無線通信システム1の機能部と同一の機能部については、同一符号を付して説明を省略する。
通信エラー判断部26は、無線通信環境把握部22で把握された無線通信環境に基づき算出され、通信ルート選定部27で選定された最短距離通信ルート、または最優先通信ルートを利用して制御信号を送信した場合に制御信号を確実に送信することができないといった通信エラーに対処するために設けられている。このような通信エラーは、無線通信環境把握部22の通信可能リンク検出部24のように、直接リピータ40と通信することで通信可能なリンクを検出するといったことをせずに、通信可能リンク推定部25のように、障害物の検知結果に応じて通信可能リンクを推定した場合に発生する可能性が高い。
通信可能リンク推定部25は、車載ユニット30の障害物検知部32によって検知される障害物の存在に応じて間接的に通信可能なリンクを推定している。したがって、障害物が存在しているのにも関わらず存在していないという検知結果が出た場合、例えば、助手席に設けられた質量センサによって障害物を検知する構成とした際に、質量センサに反応しないくらい非常に軽いが、無線通信の障害となってしまう程、大きな形状の荷物を助手席に載置すると、通信可能リンク推定部25は、障害物が存在しないものとして通信可能なリンクを推定することになる。したがって、このように推定された通信可能なリンクに基づき最短距離ルート算出部28a、最信頼ルート算出部28bで最短距離通信ルート、最信頼通信ルートを算出すると通信エラーが発生してしまうことになる。
このような状況を回避するために、通信エラー判断部26は、制御指示側の車載ユニット30から制御信号が送信されてから計時を開始し、通信先の制御対象側の車載ユニット30を備える車両モジュール10のゲートウェイ20から通信完了時に送信される通信完了信号を、所定の時間内に受信することができるかどうかで通信エラーが発生したかどうかを判断する。通信エラー判断部26は、通信エラーが発生した場合、無線通信環境把握部22で無線通信環境を把握する機能部を、通信可能リンク推定部25から、確実に通信可能リンクを検出することができる通信可能リンク検出部24へと切り替え、通信可能リンク検出部24で把握される無線通信環境に基づき、最短距離ルート算出部28a、最信頼ルート算出部28bで最短距離通信ルート、最信頼通信ルートを算出させるようにする。
続いて、図16に示すフローチャートを用いて、通信エラー判断部26による通信エラー判断処理を含んだ最適な通信ルートを選定する処理動作について説明をする。
なお、説明のため、通信ルート選定部27による通信ルートの選定処理は、車載ユニット30から制御信号が無線通信により送信される度に行われるリアルタイムな選定処理を実行するものとする。また、説明のため、制御信号を送信する制御指示側の車載ユニット30を含む車両モジュール10を車両モジュール10とし、制御信号を送信する対象である制御対象側の車載ユニット30を含む車両モジュール10を車両モジュール10とする。
ステップS41において、ユーザの操作などに応じて車両モジュール10の車載ユニット30が、制御信号を無線通信にて車両モジュール10内のゲートウェイ20に送信する。
ステップS42において、車両モジュール10のゲートウェイ20は、車載ユニット30から無線通信により送信される制御信号を受信したことに応じて、全ての車両モジュール10のゲートウェイ20に指示を出し、通信可能リンク推定部25によって生成されたリンク推定リストを取得することで無線通信環境を把握する。
さらに、車両モジュール10のゲートウェイ20は、最適ルート判断部28を制御して、把握した無線通信環境に基づき、最短距離ルート算出部28a、または最信頼ルート算出部28bにより算出された通信ルートから、制御対象である車載ユニット30の要求を満足する通信ルートを判断させる。
制御対象である車載ユニット30の要求が動作レスポンスであった場合、最適ルート判断部28は、最短距離ルート算出部28aで算出される最短距離通信ルートを最適な通信ルートであると判断する。また、制御対象である車載ユニット30の要求が通信の信頼性であった場合、最適ルート判断部28は、最信頼ルート算出部28bで算出される最信頼ルートを最適な通信ルートであると判断する。
ステップS43において、車両モジュール10のゲートウェイ20は、最適ルート判断部28で判断された最適な通信ルートの情報、具体的には、最適な通信ルートを経由するリピータ40のID情報や、制御対象である車載ユニット30を備える車両モジュール10のゲートウェイ20を特定する識別情報を含む制御信号を無線通信により送信する。
このとき、車両モジュール10のゲートウェイ20は、通信エラー判断部26を制御し、通信完了信号待ち受けるタイマーによる計時を開始させる。この通信エラー判断部26によるタイマーの計時は、制御対象である通信先の車載ユニット30において制御信号を受信したことに応じて送信される通信完了信号を受信した場合、または、所定の時間経過してタイムアウトとなった場合に停止される。
ステップS44において、車両モジュール10のゲートウェイ20の通信範囲にある各リピータ40、他の車両モジュール10のゲートウェイ20は、車両モジュール10のゲートウェイ20から送信された制御信号を受信する。
ステップS45において、車両モジュール10のゲートウェイ20の通信エラー判断部26は、タイマーによって計時されている時間が所定の時間を経過してタイムアウトとなったかどうかを判断する。通信エラー判断部26は、タイムアウトとなった場合、ステップS51へと処理を進める一方、タイムアウトとなっていない場合、ステップS46へと処理を進める。
ステップS46において、制御信号を受信したリピータ40のリンク制御部44、または他の車両モジュール10のゲートウェイ20は、制御信号に含まれるリピータ40を一意に特定するID情報、通信先のゲートウェイ20を一意に特定する識別情報を用いて、自身が最適な通信ルートに含まれているかどうかを判断する。リピータ40のリンク制御部44、または他の車両モジュール10のゲートウェイ20は、自身が最適な通信ルートに含まれている場合には、ステップS47へと処理を進め、自身が最適な通信ルートに含まれていない場合には、受信した制御信号を中継することなく処理を終了し、次回の制御信号の受信待機状態となる。
ステップS47において、リピータ40、または他の車両モジュール10のゲートウェイ20は、通信先である制御対象の車載ユニット30を備える車両モジュール10のゲートウェイ20であるかどうかを判断する。車両モジュール10のゲートウェイ20である場合には、ステップS50へと処理を進め、車両モジュール10のゲートウェイ20でない場合には、リピータ40であるためステップS48へと処理を進める。
ステップS48において、最適な通信ルートに含まれるリピータ40は、受信した制御信号を中継する。
ステップS49において、最適な通信ルートに含まれるリピータ40の通信範囲にある各リピータ40、他の車両モジュール10のゲートウェイ20は、最適な通信ルートに含まれるリピータ40から送信された制御信号を受信する。ステップS49の処理が終了すると、ステップS45の処理へと戻る。
ステップS50において、車両モジュール10のゲートウェイ20は、受信した制御信号を制御対象である車載ユニット30に送信する。
ステップS51において、通信エラー判断部26は、タイマーによって計時している時間がタイムアウトとなったことに応じて、現在使用している通信ルートを形成している、通信可能リンク推定部25により推定された通信可能なリンクの少なくとも一つが通信不可能となり通信エラーが発生したと判断する。さらに、通信エラー判断部26は、通信エラーが発生したと判断したことに応じて、通信可能リンク推定部25によってなされていた無線通信環境の把握処理を通信可能リンク検出部24による処理へと切り替えるよう指示をする。
ステップS52において、車両モジュール10のゲートウェイ20は、全ての車両モジュール10のゲートウェイ20に指示を出し、通信可能リンク検出部24によって生成されたID情報全体リストを取得することで無線通信環境を把握する。
さらに、車両モジュール10のゲートウェイ20は、最適ルート判断部28を制御して、把握した無線通信環境に基づき、最短距離ルート算出部28a、または最信頼ルート算出部28bにより算出された通信ルートから、制御対象である車載ユニット30の要求を満足する通信ルートを判断させる。
制御対象である車載ユニット30の要求が動作レスポンスであった場合、最適ルート判断部28は、最短距離ルート算出部28aで算出される最短距離通信ルートを最適な通信ルートであると判断する。また、制御対象である車載ユニット30の要求が通信の信頼性であった場合、最適ルート判断部28は、最信頼ルート算出部28bで算出される最信頼ルートを最適な通信ルートであると判断する。このようにして判断された最適な通信ルートは、所定のメモリに記憶される。
ステップS52の処理が終了すると、ステップS43の処理へと戻り、新たに選定された最適な通信ルートを利用して制御信号が送信される。
なお、通信エラー判断部26による通信エラーの判断処理は、図16に示すフローチャートを用いて説明したように、リアルタイムに最適な通信ルートを選定する場合に限らず、非リアルタイムに最適な通信ルートを選定する場合においても適用することができる。
例えば、通信可能リンク推定部25で推定された通信可能なリンクに基づき最短距離ルート算出部28a、または最信頼ルート算出部28bで算出され、通信ルート選定部27で選定された通信ルートでの無線通信がタイムアウトとなった場合、通信可能リンク検出部24によって検知された通信可能なリンクに基づき最短距離ルート算出部28a、または最信頼ルート算出部28bで算出され、通信ルート選定部27で選定された通信ルートをメモリから読み出して用いるようにする。
これにより、通信ルート選定部27で選定された通信ルートの通信エラーを確実に検出するとともに、より確実な無線通信を実現が可能な通信ルートを早急に提供することができる。
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
本発明の第1の実施の形態として示す車両無線通信システムの構成について説明するための図である。 前記車両無線通信システムにおいて、リピータの設置位置について説明するための図である。 前記車両無線通信システムにおいて、リピータの設置位置について具体的に示した図である。 前記車両無線通信システムにおいて、リピータの設置位置について具体的に示した図である。 前記車両無線通信システムにおける無線通信処理の概要について説明するためのフローチャートである。 前記車両無線通信システムの別な構成について示した図である。 前記車両無線通信システムの詳細な構成について説明するための図である。 前記車両無線通信システムで用いられるデフォルト通信ルートの一例を示した図である。 前記車両無線通信システムにおいて、無線通信環境の把握処理動作について説明するためのフローチャートである。 無線通信環境の把握処理において、通信可能なリンクを検出する様子を示した図である。 前記車両無線通信システムにおいて、無線通信環境の把握処理動作について説明するためのフローチャートである。 前記車両無線通信システムにおいて、リアルタイムな通信ルートの選定処理動作について説明するためのフローチャートである。 前記車両無線通信システムで用いられる最短距離通信ルートの一例を示した図である。 前記車両無線通信システムにおいて、非リアルタイムな通信ルートの選定処理動作について説明するためのフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態として示す車両無線通信システムの構成について説明するための図である。 前記車両無線通信システムにおける無線通信処理において、通信エラーを検出する際の処理動作について説明するためのフローチャートである。
符号の説明
1 車両無線通信システム
2 車両無線通信システム
6 ルーフ部
6A ルーフ
6B 電波遮蔽層
6C ルーフライニング部
7 ピラー部
8 ピラー部
10 車両モジュール
20 ゲートウェイ
22 無線通信環境把握部
23 イベント受付部
24 通信可能リンク検出部
25 通信可能リンク推定部
26 通信エラー判断部
27 通信ルート選定部
28 最適ルート判断部
28a 最短距離ルート算出部
28b 最信頼ルート算出部
28c デフォルトルート記憶部
30 車載ユニット
32 障害物検知部
33 イベント検出部
40 リピータ
42 リピータ利用可能応答部
43 ID付与部
44 リンク制御部

Claims (15)

  1. 車両に搭載された車載ユニット間の無線通信により、制御信号を制御対象である車載ユニットに対して送信することで前記車載ユニットを制御する車両無線通信システムであって、
    前記車載ユニット間の無線通信を中継する複数のリピータと、
    無線通信を行う前記車載ユニット間の無線通信環境を把握する無線通信環境把握手段と、
    前記無線通信環境把握手段によって把握された無線通信環境に基づき求められる複数の通信ルートの候補から、所定の選定基準に応じた通信ルートを選定する通信ルート選定手段とを備えること
    を特徴とする車両無線通信システム。
  2. 車両を複数のモジュールで構成した場合に、前記モジュールに含まれる車載ユニットの無線通信を取り纏め、モジュール間で無線通信を行うよう制御するゲートウェイを備え、
    前記ゲートウェイは、前記無線通信環境把握手段と、前記通信ルート選定手段とを有すること
    を特徴とする請求項1記載の車両無線通信システム。
  3. 前記車載ユニットは、前記無線通信環境把握手段と、前記通信ルート選定手段とを有すること
    を特徴とする請求項1記載の車両無線通信システム。
  4. 前記リピータは、車体のルーフ部に形成した電波遮蔽されたルーフ閉空間内と、
    前記ルーフを支持するピラー部に形成される前記ルーフ閉空間と接続されたピラー閉空間内へ電波を伝搬させるとともに、車両に搭載されたいずれかの車載ユニットの通信範囲内となる位置とに設置されること
    を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両無線通信システム。
  5. 前記ルーフ閉空間内に設置されるリピータは、前記ルーフ閉空間内の前記ピラーとの接合部近傍位置、車両の車幅方向に対向する前記接合部近傍位置の中間位置の少なくとも1箇所以上に設置されること
    を特徴とする請求項4記載の車両無線通信システム。
  6. 前記リピータは、前記通信ルート選定手段によって選定された通信ルートに当該リピータが含まれない場合、無線通信を中継する中継機能を停止させること
    を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の車両無線通信システム。
  7. 前記無線通信環境把握手段は、全てのリピータに対して無線通信により送信した要求信号に対するリピータからの応答信号に基づき無線通信環境を把握すること
    を特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の車両無線通信システム。
  8. 前記リピータは、前記応答信号に、当該リピータを一意に特定する識別情報を添付し、
    前記無線通信環境把握手段は、前記応答信号に添付された前記識別情報を参照して、通信可能なリピータを把握すること
    を特徴とする請求項7記載の車両無線通信システム。
  9. 前記車両内に存在する無線通信の障害となる障害物を検出する障害物検知手段を備え、
    前記無線通信環境把握手段は、前記障害物検知手段による障害物の検知結果に基づき、無線通信環境を把握すること
    を特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の車両無線通信システム。
  10. 前記障害物検知手段は、前記車載ユニットが有すること
    を特徴とする請求項9記載の車両無線通信システム。
  11. 車両利用時に発生する所定のイベントを検出するイベント検出手段を備え、
    前記無線通信環境把握手段は、前記イベント検出手段によって、前記イベントが検出されたことに応じて、無線通信環境の把握処理を開始すること
    を特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載の車両無線通信システム。
  12. 前記通信ルート選定手段は、無線通信により制御信号を送信する制御対象である車載ユニットの要求を、前記所定の選定基準として通信ルートを選定すること
    を特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の車両無線通信システム。
  13. 前記通信ルート選定手段は、車載ユニットの要求に応じて、通信距離の最も短い通信ルート、通信信頼性の最も高い通信ルートのいずれかを通信ルートとして選定すること
    を特徴とする請求項12記載の車両無線通信システム。
  14. 前記通信ルート選定手段によって選定された通信ルートによる無線通信を開始してから計時される時間に応じて、前記通信ルートによる無線通信の可否を判断する通信エラー判断手段を備え、
    前記通信エラー判断手段によって、前記通信ルートによる無線通信ができないと判断された場合、前記通信ルート選定手段は、前記通信ルートとは異なる新たな通信ルートを選定すること
    を特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の車両無線通信システム。
  15. 車両に搭載された車載ユニット間の無線通信を中継する複数のリピータを備え、前記車載ユニット間の無線通信により、制御信号を制御対象である車載ユニットに対して送信することで前記車載ユニットを制御する車両無線通信システムの車両無線通信方法であって、
    無線通信を行う前記車載ユニット間の無線通信環境を把握する無線通信環境把握工程と、
    前記無線通信環境把握工程によって把握された無線通信環境に基づき求められる複数の通信ルートの候補から、所定の選定基準に応じた通信ルートを選定する通信ルート選定工程とを備えること
    を特徴とする車両無線通信方法。
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