JP2008257222A - 多心光コネクタの端面研磨方法 - Google Patents

多心光コネクタの端面研磨方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光ファイバ(MMファイバ)のコア部に生じた凹み(凹所)を解消することのできる多心光コネクタの端面研磨方法を提供する。
【解決手段】ショア硬さ30未満の柔軟材の上に、研磨材を含有しない厚さ75μm未満のフィルムが有り、このフィルムの上面に研磨材が有る研磨盤を用意する。つぎに、マルチモードファイバとしての複数の光ファイバを有した多心光コネクタを、前記光ファイバ(MMファイバ)の先端が、前記フィルムの上面に、定められた圧力をもって接触するように配置する。つぎに、前記光ファイバ(MMファイバ)の先端と、前記フィルムの上面との前記接触を保ったまま、前記研磨盤または前記多心光コネクタの少なくとも一方を運動させて、前記光ファイバ(MMファイバ)の先端を研磨する。
【選択図】図7

Description

本発明は、多心光コネクタに接着により固定された複数の光ファイバ、とくにマルチモードファイバ(MMファイバ)、の端面を研磨する多心光コネクタの端面研磨方法に関する。
一般に、多心光コネクタは、複数または多数の光ファイバが、フェルール内部に、整列され、接着により固定される。これらの光ファイバは、先端部が、フェルールの接続用端面から外方へ、所定長さ突出している。この多心光コネクタと、これと同様の多心光コネクタとを、フェルールの接続用端面どうしを互いに向かい合わせ、光ファイバの先端部どうしを互いに光接続する。これにより、大容量データの高速伝送が実現される。
このような多心光コネクタは、例えば、つぎのようにして製造される。まず、複数の光ファイバを、樹脂製のフェルール内部に、整列し、接着により固定する。つぎに、フェルールの接続用端面を、平面研磨する(平面研磨工程)。続いて、フェルールの接続用端面を、微粒研磨材を用いてバフ研磨する。これにより、光ファイバの先端部が、フェルールの接続用端面から外方へ、所定長さ突出する(突出工程)。
多心光コネクタの製造に用いる従来の端面研磨方法は、例えば、特許文献1,2,3に開示されている。
特開平10−48467号公報 特開平8−126951号公報 特開2003−334749号公報
しかしながら、前述のような多心光コネクタの製造において、平面研磨工程の後の突出工程では、フェルールの接続用端面から外方へ突出する光ファイバの突出長さが、不揃いとなる。とくに、フェルールの接続用端面に整列された複数の光ファイバの中で、両サイドに位置する光ファイバは、両サイド以外の部分に位置する他の光ファイバに比べて、突出長さが短くなる。
これは、つぎのような理由による。両サイド以外の部分に位置する光ファイバは、各光ファイバが、両隣の光ファイバの間にある。そのため、これらの光ファイバは、光ファイバの突出長さが、両隣の光ファイバの突出長さよりも短くなるまで過大に研磨されることはない。
これに対し、両サイドに位置する光ファイバは、片方の隣りにだけ光ファイバがある。反対方の隣りには、光ファイバがなく、フェルールを構成する樹脂材料があるだけである。そのため、両サイドに位置する光ファイバは、両サイド以外の部分に位置する光ファイバに比べて過大に研磨され、その結果、長さが短くなる。
このような多心光コネクタどうしを光接続すると、両サイドに位置する光ファイバどうしの接触力が弱くなることが避けられない。
ところで、通常の石英系の光ファイバの場合、コア部の硬さは、クラッド部の硬さに比べて柔らかい。そのため、多心光コネクタの製造において、突出工程におけるバフ研磨によって、コア部の先端に凹み(凹所)が発生しやすい傾向にある。
とはいえ、光ファイバがシングルモードファイバ(SMファイバ)である場合は、コア部の先端に発生した凹み(凹所)を実質的に無視できる。シングルモードファイバは、直径が例えば約125μm程度のクラッド部と、クラッド部のほぼ中心に位置し、直径が例えば約8μm程度のコア部とで構成される。
このように、シングルモードファイバは、クラッド部の直径に比べて、コア部の直径がきわめて微小である。そのため、シングルモードファイバの場合、突出工程におけるバフ研磨によってコア部に発生する凹み(凹所)は、きわめて微小で、先端からの深さがきわめて浅い。
そのため、シングルモードファイバの場合は、前述のような多心光コネクタどうしの光接続において、接続損失に問題は生じない。光ファイバ(SMファイバ)どうしの接触力が弱いことは、光ファイバ(SMファイバ)の先端と先端との間に、隙間が生じることに繋がらない。そのため、光ファイバ(SMファイバ)どうしの接続損失、とくに反射減衰量が、コア部の凹み(凹所)によって実質的に影響を受けることはない。
これに対し、マルチモードファイバ(MMファイバ)は、直径が例えば約125μm程度のクラッド部と、クラッド部のほぼ中心に位置し、直径が例えば約50μmまたは62.5μmのコア部とで構成される。
このように、マルチモードファイバは、シングルモードファイバに比べて、コア部の直径がはるかに大きい。そのため、マルチモードファイバの場合、突出工程におけるバフ研磨によってコア部に発生する凹み(凹所)は、シングルモードファイバの場合に比べてはるかに大きい。つまり、マルチモードファイバのコア部の先端には、大きく、かつ、深い凹み(凹所)が発生する。
そのため、マルチモードファイバの場合は、前述のような多心光コネクタどうしの光接続において、接続損失に問題が生じる。光ファイバ(MMファイバ)どうしの接触力が弱いことは、光ファイバ(MMファイバ)の先端と先端との間に、隙間が生じることに繋がる。そのため、光ファイバ(MMファイバ)どうしの接続損失、とくに反射減衰量が、大きくなる。
上記の課題を解決するために、本発明の目的は、光ファイバ(マルチモードファイバ)のコア部に生じた凹み(凹所)を解消できる、多心光コネクタの端面研磨方法を提供する。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明によれば、以下の工程を含む多心光コネクタの端面研磨方法が提供される:
ショア硬さ30未満の柔軟材の上に、研磨材を含有しない厚さ75μm未満のフィルムが有り、このフィルムの上面に研磨材が有る研磨盤を用意する工程、
マルチモードファイバとしての複数の光ファイバを有した多心光コネクタを、前記光ファイバ(MMファイバ)の先端が、前記フィルムの上面に、定められた圧力をもって接触するように配置する工程、および
前記光ファイバ(MMファイバ)の先端と、前記フィルムの上面との前記接触を保ったまま、前記研磨盤または前記多心光コネクタの少なくとも一方を運動させて、前記光ファイバ(MMファイバ)の先端を研磨する工程。
前記柔軟材は、スポンジ状の多孔質物質で構成されることが好ましい。
前記フィルムは、少なくとも前記上面が、表面処理により粗面化されることが好ましい。
前記研磨材は、前記フィルムの粗面化された前記上面に塗布されることが好ましい。
前記柔軟材は、スポンジパッドであることが好ましい。
前記柔軟材は、厚さ5mm程度であることが好ましい。
前記フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)であることが好ましい。
前記PETフィルムは、厚さ25μm程度であることが好ましい。
前記研磨材は、平均粒径が0.5μm以下であることが好ましい。
請求項10に係る発明によれば、請求項1記載の多心光コネクタの端面研磨方法において、前記用意する工程は、以下の工程を含む:
研磨機の研磨盤の上に、ショア硬さ30未満の柔軟材を載せる工程、
前記柔軟材の上に、研磨材を含有しない厚さ75μm未満のフィルムを載せる工程、および
前記フィルムの上面に、研磨材を供給する工程。
前記研磨する工程は、前記研磨盤が、回転しない姿勢を保ったままで、研磨盤の中心軸線が円の軌跡を描くように運動する。
前記研磨する工程は、前記多心光コネクタが、回転しない姿勢を保ったままで、多心光コネクタの中心軸線が円の軌跡を描くように運動する。
前記多心光コネクタは、事前に、接続用端面が平面状に研磨され、および、前記接続用端面から前記光ファイバ(MMファイバ)の先端が所定長さ突出される。
請求項14に係る発明によれば、以下の工程を含む多心光コネクタの端面研磨方法が提供される:
研磨機の研磨盤の上に、ショア硬さ30未満のスポンジパッドを載せる工程、
前記スポンジパッドの上に、研磨材を含有しない厚さ75μm未満のポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を載せる工程、
前記PETフィルムの上面に、研磨材を供給する工程、
マルチモードファイバとしての複数の光ファイバを有した多心光コネクタを、前記光ファイバ(MMファイバ)の先端が、前記フィルムの上面に、定められた圧力をもって接触するように配置する工程、および
前記光ファイバ(MMファイバ)の先端と、前記PETフィルムの上面との前記接触を保ったまま、前記研磨盤または前記多心光コネクタの少なくとも一方を運動させて、前記光ファイバ(MMファイバ)の先端を研磨する工程。
前記スポンジパッドは、厚さ5mm程度であることが好ましい。
前記PETフィルムは、厚さ25μm程度であることが好ましい。
前記研磨材は、平均粒径が0.5μm以下であることが好ましい。
本発明によれば、多心光コネクタの平面研磨工程に続く突出工程において、光ファイバ(MMファイバ)のコア部の先端に生じた凹み(凹所)を、効果的に解消することができる。
そのうえ、多心光コネクタは、光ファイバ(MMファイバ)の先端において、コア部を頂点とした凸球面が形成される。
本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明による端面研磨方法に用いる多心光コネクタの一実施形態を示す概略的斜視図、図2(a),(b)は、本発明による多心光コネクタに用いる光ファイバ(マルチモードファイバ)の概略的な拡大端面図および拡大断面図である。
図1に示すように、この多心光コネクタ10は、MT(Mechanically Transferable)タイプのコネクタであり、直方体状のフェルール20を備えている。複数または多数の光ファイバ30が、フェルール20内に、整列され、接着により固定される。光ファイバの先端部35が、フェルール20の接続用端面25から外方へ、所定長さ突出している。
フェルール20は、光ファイバ30がそれぞれ配置される光ファイバ挿入孔21を備えている。これら光ファイバ挿入孔21の先端は、フェルール20の接続用端面25に開口している。
フェルール20の一方の側面、図1では上方の側面、には、接着剤注入孔22が形成されている。接着剤注入孔22は、光ファイバ挿入孔21と繋がっている。光ファイバ30が、光ファイバ挿入孔21に配置され、接着剤注入孔22から、接着剤40が注入される。すると、光ファイバ30が、フェルール20に、接着により固定される。
多心光コネクタ10は、これと同様の多心光コネクタと、互いに対向し、光接続される。そのため、ガイドピン挿入孔23が、フェルール20の接続用端面25に形成されている。多心光コネクタ10どうしを光接続する際に、位置合わせを行うための図示しないガイドピンを、ガイドピン挿入孔23に挿入する。
このようなフェルール20は、例えば、ガラス入りエポキシ系樹脂材料を用いて構成することができる。
図2(a),(b)に示すように、光ファイバ30は、クラッド部31と、クラッド部31のほぼ中心に位置するコア部32とで構成される。クラッド部31の直径D1は、例えば約125μmであり、コア部32の直径D2は、例えば、約50μmまたは62.5μmである。光ファイバ30は、いわゆるマルチモードファイバ(MMファイバ)である。
次に、上記のような多心光コネクタ10の端面を研磨する方法について説明する。
複数または多数の光ファイバ(MMファイバ)30を、フェルール20の光ファイバ挿入孔21に、配置する。つぎに、接着剤注入孔22から、接着剤40を注入する。これにより、光ファイバ30がフェルール20に、接着により固定される。つまり、多心光コネクタ10が構成される。
このとき、接着剤注入孔22から注入された接着剤40は、光ファイバ挿入孔21を通り、その先端開口から溢れ出る。溢れ出た接着剤40は、フェルール20の接続用端面25から外方へ突出している、光ファイバの先端部35を覆う。
最初に、多心光コネクタ10の接着剤除去工程を行う。図3(a),(b)に示すように、フェルール20の接続用端面25から外方へ突出している、光ファイバの先端部35、を覆う接着剤40を除去する。図3(a),(b)は、多心光コネクタ10の要部を概略的に図示する。そのため、各部の形状や寸法は、分かりやすいように誇張して示す。
図3(a)に示すように、研磨機の研磨盤(基盤)50の上に、ラバーパッド51を載せる。ラバーパッド51の上に、研磨シート52を載せる。光ファイバの先端部35、または先端部35を覆う接着剤40が、研磨シート52の上面に、定められた圧力をもって接触するように、多心光コネクタ10を配置する。
前記接触を保った状態で、研磨盤50が、回転しない姿勢を保ちながら、研磨盤50の中心軸線が円の軌跡を描くように運動する。または、多心光コネクタ10が、回転しない姿勢を保ちながら、多心光コネクタ10の中心軸線が円の軌跡を描くように運動する。
このような研磨盤50または多心光コネクタ10の運動により、光ファイバの先端部35を覆っている接着剤40が研磨される。これにより、接着剤40が除去される。
このとき、光ファイバの先端部35が、研磨シート52に、比較的強い力で押し付けられる。この力を、ラバーパッド51が変形することで逃がす。そのため、光ファイバ30に過度の負荷がかかることはない。これにより、光ファイバ(MMファイバ)30の割れが防止され、接着剤40の除去を良好に行うことができる。
図3(b)に、接着剤40が除去された状態を示す。
つぎに、多心光コネクタ10の平面研磨工程を行う。図4(a),(b)に示すように、フェルール20の接続用端面25を平面状に研磨する。図4(a),(b)は、多心光コネクタ10の要部を概略的に図示する。そのため、各部の形状や寸法は、分かりやすいように誇張して示す。
図4(a)に示すように、研磨機の研磨盤(基盤)50の上に、研磨シート52を載せる。光ファイバの先端部35が、研磨シート52の上面に、定められた圧力をもって接触するように、多心光コネクタ10を配置する。
前記接触を保った状態で、研磨盤50が、回転しない姿勢を保ちながら、研磨盤50の中心軸線が円の軌跡を描くように運動する。または、多心光コネクタ10が、回転しない姿勢を保ちながら、多心光コネクタ10の中心軸線が円の軌跡を描くように運動する。
このような研磨盤50または多心光コネクタ10の運動により、フェルール20の接続用端面25から突出した光ファイバ(MMファイバ)30の先端部35が研磨される。これにより、フェルール20の接続用端面25から突出した光ファイバ(MMファイバ)30の先端部35が完全に除去されて、フェルール20の接続用端面25がほぼ平坦となる。
平面研磨工程が終了した状態を図4(b)に示す。
つぎに、多心光コネクタ10の突出工程を行う。図5(a),(b)に示すように、フェルール20の接続用端面から、光ファイバ(MMファイバ)30の先端部35を所定長さ突出させる。図5(a),(b)は、多心光コネクタ10の要部を概略的に図示する。そのため、各部の形状や寸法は、分かりやすいように誇張して示す。
図5(a)に示すように、研磨機の研磨盤(基盤)50の上に、微粒研磨材を用いてバフ研磨する研磨シート53を載せる。フェルール20の接続用端面25が、研磨シート53の上面に、定められた圧力をもって接触するように、多心光コネクタ10を配置する。
前記接触を保った状態で、研磨盤50が、回転しない姿勢を保ちながら、研磨盤50の中心軸線が円の軌跡を描くように運動する。または、多心光コネクタ10が、回転しない姿勢を保ちながら、多心光コネクタ10の中心軸線が円の軌跡を描くように運動する。
このような研磨盤50または多心光コネクタ10の運動により、フェルール20の接続用端面25が研磨される。これにより、フェルール20の一部が除去される。
そして、光ファイバ(MMファイバ)30の先端部35が、フェルール20の接続用端面25から、所定長さだけ突出する。
突出工程が終了した状態を図5(b)に示す。
図5(b)に示す多心光コネクタ10を上下反転させ、1本の光ファイバ(MMファイバ)30の先端部35を拡大した断面図が図6である。
MMファイバ30の場合、コア部32の直径が、SMファイバに比べてはるかに大きい。コア部32は、クラッド部31に比べて、硬さが柔らかい。そのため、突出工程におけるバフ研磨によって、図6に示すように、コア部32の先端には、大きく、かつ、深い凹み(凹所)が発生する。
このように大きく、深い凹み(凹所)33は、同様の多心光コネクタ10どうしを光接続するとき、問題を生じさせる。光ファイバ(MMファイバ)30どうしの接触力が弱いことは、MMファイバ30の先端と先端との間に、実質的に隙間を生じさせる。このような隙間は、多心光コネクタ10どうしの光接続において、接続損失、とくに反射減衰量、を大きくさせる。
そこで、これを解決するため、光ファイバ(MMファイバ)30のコア部32に生じた凹み(凹所)33を、図7に示すようにして解消する。図7は、多心光コネクタ10の要部を概略的に図示する。そのため、各部の形状や寸法は、分かりやすいように誇張して示す。
図7に示すように、研磨機の研磨盤50の上に、ショア硬さ30未満の柔軟材55を載せる。柔軟材55の上に、研磨材を含有しない厚さ75μm未満のフィルム56を載せる。フィルム56の上面に、研磨材(研磨砥粒)60を供給する。光ファイバの先端部35が、フィルム56の上面に、定められた圧力をもって接触するように、多心光コネクタ10を配置する。
前記接触を保った状態で、研磨盤50が、回転しない姿勢を保ちながら、研磨盤50の中心軸線が円の軌跡を描くように運動する。または、多心光コネクタ10が、回転しない姿勢を保ちながら、多心光コネクタ10の中心軸線が円の軌跡を描くように運動する。
このような研磨盤50または多心光コネクタ10の運動により、光ファイバ(MMファイバ)30の先端が研磨される。これにより、光ファイバ(MMファイバ)30のコア部32の先端にある凹み(凹所)33が除去される。
柔軟材55は、例えば、スポンジ状の多孔質物質で構成される。柔軟材(柔軟パッド)55の硬さは、ショア硬さ30未満である。実際には、柔軟材(柔軟パッド)55の硬さは、スポンジのように非常に柔らかいことが好ましい。また、柔軟材(スポンジパッド)55の厚さは、例えば、数mm程度が好ましい。
フィルム56は、例えば、少なくとも片面にプライマリコートが施されたポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)で構成される。ここでのプライマリコートとは、表面処理により粗面化されることをいう。フィルム(PETフィルム)56の厚さは、75μm未満である。
実際には、フィルム(PETフィルム)56の厚さは、25μm程度であることが好ましい。また、フィルム(PETフィルム)56は、プライマリコートされた面(粗面化された面)が上向きにされることが好ましい。この面(粗面化された面)に、研磨材(研磨砥粒)60が供給される。
研磨材(研磨砥粒)60は、超微粒子の研磨材(研磨砥粒)を使用することが好ましい。ここでの超微粒子の研磨材とは、平均粒径0.5μm以下の研磨材(研磨砥粒)をいう。また、研磨材(研磨砥粒)60は、フィルム56のプライマリコートされた面(粗面化された面)に、塗布されることが好ましい。
図7に示す研磨により、光ファイバ(MMファイバ)30のコア部32の先端にある凹み(凹所)33は解消される。
図7に示す研磨が終了した光ファイバ(MMファイバ)30の先端部35を、拡大した断面図が図8である。光ファイバ(MMファイバ)30の先端は、コア部32の凹み(凹所)33が解消されただけでなく、コア部32を頂点とした凸球面に形成されていることが分かる。図7に示す研磨は、光ファイバ(MMファイバ)30の先端を、コア部32を頂点とした凸球面研磨する。
研磨機の研磨盤50の上に、ショア硬さ30未満で、厚さ5mmのスポンジ(スポンジパッド)55を載せた。スポンジパッド55の上に、厚さ25μmで、片面がプライマリコートされた(表面処理により粗面化された)ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)56を載せた。
PETフィルム56は、プライマリコートされた面(粗面化された面)を上向きにした。PETフィルム56の上面(プライマリコートされた面)に、超微粒子の研磨材(研磨砥粒)60を塗布した。
多心光コネクタ10を、光ファイバ(MMファイバ)30の先端部35が、PETフィルム56の上面に、定められた圧力をもって接触するように配置した。
光ファイバ(MMファイバ)30の先端と、PETフィルム56の上面との前記接触を保った状態で、研磨盤50が、回転しない姿勢を保ちながら、研磨盤50の中心軸線が円の軌跡を描くように運動した。
これにより、光ファイバ(MMファイバ)30は、コア部32の先端に比べて突出しているクラッド部31の先端が最初に研磨された。その結果、コア部32の凹み(凹所)33が解消された。
また、研磨盤50を静止しておき、代わりに、多心光コネクタ10が、回転しない姿勢を保ちながら、多心光コネクタ10の中心軸線が円の軌跡を描くように運動した。
この場合も、光ファイバ(MMファイバ)30は、コア部32の先端に比べて突出しているクラッド部31の先端が最初に研磨された。その結果、コア部32の凹み(凹所)33が解消された。
研磨盤50、多心光コネクタ10のどちらが運動した場合も、得られた多心光コネクタ10は、光ファイバ(MMファイバ)30の先端において、コア部32を頂点とした凸球面が形成された。
この多心光コネクタ10どうしを光接続したところ、接続損失、反射減衰量ともに、定められた許容範囲内に収まった。とくに、反射減衰量は40dB以上であり、非常に好い結果が得られた。
[比較例1]
研磨機の研磨盤50の上に、ショア硬さ30、厚さ5mmのラバーパッドを載せた。ラバーパッドの上に、厚さ25μmで、片面がプライマリコートされた(表面処理により粗面化された)ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)56を載せた。
PETフィルム56は、プライマリコートされた面(粗面化された面)を上向きにした。PETフィルム56の上面(プライマリコートされた面)に、超微粒子の研磨材(研磨砥粒)60を塗布した。
多心光コネクタ10を、光ファイバ(MMファイバ)30の先端部35が、PETフィルム56の上面に、定められた圧力をもって接触するように配置した。
光ファイバ(MMファイバ)30の先端と、PETフィルム56の上面との前記接触を保った状態で、研磨盤50が、回転しない姿勢を保ちながら、研磨盤50の中心軸線が円の軌跡を描くように運動した。
しかし、光ファイバ(MMファイバ)30は、突出工程においてコア部32の先端に形成された凹み(凹所)33が、充分には解消されず、幾分残った。
また、研磨盤50を静止しておき、代わりに、多心光コネクタ10が、回転しない姿勢を保ちながら、多心光コネクタ10の中心軸線が円の軌跡を描くように運動した。
この場合も、光ファイバ(MMファイバ)30は、コア部32の先端にある凹み(凹所)33が、充分には解消されず、幾分残った。
研磨盤50、多心光コネクタ10のどちらが運動した場合も、得られた多心光コネクタ10は、光ファイバ(MMファイバ)30の先端において、コア部32の凹み(凹所)33が幾分残った。
この多心光コネクタ10どうしを光接続したところ、接続損失、反射減衰量ともに、大きなバラツキがあった。とくに、反射減衰量は15〜35dBのバラツキがあり、定められた許容範囲から外れるものがあった。
研磨機の研磨盤50の上に、ショア硬さ30未満で、厚さ5mmのスポンジ(スポンジパッド)55を載せた。スポンジパッド55の上に、厚さ75μmで、片面がプライマリコートされた(表面処理により粗面化された)ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)56を載せた。
PETフィルム56は、プライマリコートされた面(粗面化された面)を上向きにした。PETフィルム56の上面(プライマリコートされた面)に、超微粒子の研磨材(研磨砥粒)60を塗布した。
多心光コネクタ10を、光ファイバ(MMファイバ)30の先端部35が、PETフィルム56の上面に、定められた圧力をもって接触するように配置した。
光ファイバ(MMファイバ)30の先端と、PETフィルム56の上面との前記接触を保った状態で、研磨盤50が、回転しない姿勢を保ちながら、研磨盤50の中心軸線が円の軌跡を描くように運動した。
これにより、光ファイバ(MMファイバ)30は、コア部32の先端に比べて突出しているクラッド部31の先端が最初に研磨された。その結果、コア部32の凹み(凹所)33が解消された。
また、研磨盤50を静止しておき、代わりに、多心光コネクタ10が、回転しない姿勢を保ちながら、多心光コネクタ10の中心軸線が円の軌跡を描くように運動した。
この場合も、光ファイバ(MMファイバ)30は、コア部32の先端に比べて突出しているクラッド部31の先端が最初に研磨された。その結果、コア部32の凹み(凹所)33が解消された。
研磨盤50、多心光コネクタ10のどちらが運動した場合も、得られた多心光コネクタ10は、光ファイバ(MMファイバ)30の先端において、コア部32を頂点とした凸球面研磨が形成された。
この多心光コネクタ10どうしを光接続したところ、接続損失、反射減衰量ともに、定められた許容範囲内に収まった。とくに、反射減衰量は35dB以上であり、好い結果が得られた。
[比較例2]
研磨機の研磨盤50の上に、ショア硬さ30未満で、厚さ5mmのスポンジ(スポンジパッド)55を載せた。スポンジパッド55の上に、厚さ75μmで、研磨材(研磨砥粒)を含有するポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)56を載せた。
多心光コネクタ10を、光ファイバ(MMファイバ)30の先端部35が、PETフィルム56の上面に、定められた圧力をもって接触するように配置した。
光ファイバ(MMファイバ)30の先端と、PETフィルム56の上面との前記接触を保った状態で、研磨盤50が、回転しない姿勢を保ちながら、研磨盤50の中心軸線が円の軌跡を描くように運動した。
しかし、光ファイバ(MMファイバ)30は、突出工程においてコア部32の先端に形成された凹み(凹所)33が、充分には解消されず、幾分残った。
また、研磨盤50を静止しておき、代わりに、多心光コネクタ10が、回転しない姿勢を保ちながら、多心光コネクタ10の中心軸線が円の軌跡を描くように運動した。
この場合も、光ファイバ(MMファイバ)30は、コア部32の先端にある凹み(凹所)33が、充分には解消されず、幾分残った。
研磨盤50、多心光コネクタ10のどちらが運動した場合も、得られた多心光コネクタ10は、光ファイバ(MMファイバ)30の先端において、コア部32の凹み(凹所)33が幾分残った。
この多心光コネクタ10どうしを光接続したところ、接続損失、反射減衰量ともに、大きなバラツキがあった。とくに、反射減衰量は15〜35dBのバラツキがあり、定められた許容範囲から外れるものがあった。
[比較例3]
研磨機の研磨盤50の上に、ショア硬さ80、厚さ5mmのラバーパッドを載せた。ラバーパッドの上に、厚さ75μmで、研磨材(研磨砥粒)を含有するポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)56を載せた。
多心光コネクタ10を、光ファイバ(MMファイバ)30の先端部35が、PETフィルム56の上面に、定められた圧力をもって接触するように配置した。
光ファイバ(MMファイバ)30の先端と、PETフィルム56の上面との前記接触を保った状態で、研磨盤50が、回転しない姿勢を保ちながら、研磨盤50の中心軸線が円の軌跡を描くように運動した。
しかし、光ファイバ(MMファイバ)30は、突出工程においてコア部32の先端に形成された凹み(凹所)33が、ほとんど解消されず、研磨前と実質的に同程度残った。
また、研磨盤50を静止しておき、代わりに、多心光コネクタ10が、回転しない姿勢を保ちながら、多心光コネクタ10の中心軸線が円の軌跡を描くように運動した。
この場合も、光ファイバ(MMファイバ)30は、コア部32の先端にある凹み(凹所)33が、ほとんど解消されず、研磨前と実質的に同程度残った。
研磨盤50、多心光コネクタ10のどちらが運動した場合も、得られた多心光コネクタ10は、光ファイバ(MMファイバ)30の先端において、コア部32の凹み(凹所)33が、研磨前と実質的に同程度残った。
この多心光コネクタ10どうしを光接続したところ、接続損失、反射減衰量ともに、定められた許容範囲から大きく外れた。とくに、反射減衰量は15dB以下であり、定められた許容範囲を大きく下回った。
本発明による端面研磨方法に用いる多心光コネクタの一実施形態を示す概略的斜視図である。 本発明による多心光コネクタに用いる光ファイバ(MMファイバ)の概略的な(a)拡大端面図および(b)拡大断面図である。 接着剤除去工程の(a)開始時および(b)終了後の状態を示す要部の概略的説明図であり、各部の寸法等は分かりやすいように誇張して示してある。 平面研磨工程の(a)開始時および(b)終了後の状態を示す要部の概略的説明図であり、各部の寸法等は分かりやすいように誇張して示してある。 突出工程の(a)開始時および(b)終了後の状態を示す要部の概略的説明図であり、各部の寸法等は分かりやすいように誇張して示してある。 突出工程後の光ファイバ(MMファイバ)の概略的な拡大断面図である。 コア部の凹み解消工程を示す要部の概略的説明図であり、各部の寸法等は分かりやすいように誇張して示してある。 コア部の凹み解消工程後の光ファイバ(MMファイバ)の概略的な拡大断面図である。
符号の説明
10 多心光コネクタ
20 フェルール
21 光ファイバ挿入孔
22 接着剤注入孔
23 ガイドピン挿入孔
25 接続端面
30 光ファイバ(マルチモードファイバ;MMファイバ)
31 クラッド部
32 コア部
33 凹み(凹所)
35 光ファイバ先端部
40 接着剤
50 研磨盤(基盤)
55 柔軟材(パッド;スポンジパッド)
56 フィルム材(ポリエチレンテレフタレートフィルム;PETフィルム)
60 研磨材(研磨砥粒)

Claims (17)

  1. 複数のマルチモード光ファイバを備えた多心光コネクタの端面研磨方法において、
    基盤上に、ショア硬さ30未満の柔軟材と、厚さ75μm未満で研磨材を含まないフィルムとを順次重ねた研磨盤の前記フィルム上面に、研磨材を配して、前記複数のマルチモード光ファイバの先端を所定の押圧力で当接させ、前記マルチモード光ファイバの先端と、前記フィルムの上面との前記接触を保ったまま、前記研磨盤または前記多心光コネクタの少なくとも一方を運動させて、前記マルチモード光ファイバの先端を研磨することを特徴とする多心光コネクタの端面研磨方法。
  2. 前記柔軟材は、スポンジ状の多孔質物質からなることを特徴とする請求項1記載の多心光コネクタの端面研磨方法。
  3. 前記フィルムは、少なくとも前記上面が表面処理により粗面化されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の多心光コネクタの端面研磨方法。
  4. 前記研磨材は、前記フィルムの前記粗面化された前記上面に塗布されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の多心光コネクタの端面研磨方法。
  5. 前記柔軟材は、スポンジパッドであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の多心光コネクタの端面研磨方法。
  6. 前記柔軟材は、厚さ5mm程度であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の多心光コネクタの端面研磨方法。
  7. 前記フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の多心光コネクタの端面研磨方法。
  8. 前記PETフィルムは、厚さ25μm程度であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の多心光コネクタの端面研磨方法。
  9. 前記研磨材は、平均粒径が0.5μm以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の多心光コネクタの端面研磨方法。
  10. 複数のマルチモード光ファイバを備えた多心光コネクタの端面研磨方法において、
    研磨機の研磨盤の上に、ショア硬さ30未満の柔軟材と、厚さ75μm未満で研磨材を含まないフィルムとを順次重ねた研磨盤の前記フィルム上面に、研磨材を配給することを特徴とする請求項1記載の多心光コネクタの端面研磨方法。
  11. 前記研磨する工程は、前記研磨盤が、回転しない姿勢を保ったままで、研磨盤の中心軸線が円の軌跡を描くように運動することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載の多心光コネクタの端面研磨方法。
  12. 前記研磨する工程は、前記多心光コネクタが、回転しない姿勢を保ったままで、多心光コネクタの中心軸線が円の軌跡を描くように運動することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載の多心光コネクタの端面研磨方法。
  13. 前記多心光コネクタは、事前に、接続用端面が平面状に研磨され、および、前記接続用端面から前記光ファイバの先端が所定長さ突出されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項記載の多心光コネクタの端面研磨方法。
  14. 複数のマルチモード光ファイバを備えた多心光コネクタの端面研磨方法において、
    研磨機の基盤上に、ショア硬さ30未満のスポンジパッドと、厚さ75μm未満で研磨材を含まないポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムとを順次重ねた研磨盤の前記PETフィルムの前記上面に、研磨材を塗布して、前記複数のマルチモード光ファイバの先端を前期フィルムの上面に所定の押圧力で当接させ、前記光ファイバの先端と、前記PETフィルムの上面との前記接触を保ったまま、前記研磨盤または前記多心光コネクタの少なくとも一方を運動させて、前記マルチモード光ファイバの先端を研磨することを特徴とする多心光コネクタの端面研磨方法。
  15. 前記スポンジパッドは、厚さ5mm程度であることを特徴とする請求項14記載の多心光コネクタの端面研磨方法。
  16. 前記PETフィルムは、厚さ25μm程度であることを特徴とする請求項14または請求項15記載の多心光コネクタの端面研磨方法。
  17. 前記研磨材は、平均粒径が0.5μm以下であることを特徴とする請求項14〜16のいずれか1項記載の多心光コネクタの端面研磨方法。
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