JP2008255447A - 硬質膜の剥離方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属や半導体、セラミックス、プラスチックの表面に被覆したTiN、TiC、TiCN、DLCなどの硬質被膜を剥離するに際し、下地素材を損傷することなく被覆被膜のみを剥離することができる硬質膜の剥離方法を提供する。
【解決手段】金属や半導体、セラミックス、プラスチックの表面に被覆したTiN、TiC、TiCN、DLCなどの硬質被膜を剥離するに際し、フェムト秒レーザを照射することにより、下地素材を損傷することなく被覆被膜のみを剥離するようにしたことを特徴とする硬質膜の剥離方法。
【選択図】図1
【解決手段】金属や半導体、セラミックス、プラスチックの表面に被覆したTiN、TiC、TiCN、DLCなどの硬質被膜を剥離するに際し、フェムト秒レーザを照射することにより、下地素材を損傷することなく被覆被膜のみを剥離するようにしたことを特徴とする硬質膜の剥離方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、電気めっき法、無電解めっき法などで作成されためっき膜を効率よく剥離するための硬質膜の剥離方法に関するものである。
電気めっき法、無電解めっき法などで作成されためっき膜の剥離方法には、
(1)化学的または電気化学的に溶解除去する方法、
(2)機械的に削り取る方法、
(3)イオンエッチングによる方法
等がある。
(1)の化学的または電気化学的に剥がす場合、めっきの種類と素地によって剥離液や作業条件が大きく異なってくるため、素材およびめっきの種類が分かっていないと正常にめっきを剥がすことができない。
(2)は、切削や研削による除去加工であるが、加工時の応力・摩擦熱の影響により、表面変質層が生じることや、軽荷重低速切削加工では膨大な加工時間を要する。
(3)も長い加工時間を要する。
(1)化学的または電気化学的に溶解除去する方法、
(2)機械的に削り取る方法、
(3)イオンエッチングによる方法
等がある。
(1)の化学的または電気化学的に剥がす場合、めっきの種類と素地によって剥離液や作業条件が大きく異なってくるため、素材およびめっきの種類が分かっていないと正常にめっきを剥がすことができない。
(2)は、切削や研削による除去加工であるが、加工時の応力・摩擦熱の影響により、表面変質層が生じることや、軽荷重低速切削加工では膨大な加工時間を要する。
(3)も長い加工時間を要する。
近年、ドライコーティングの発達により、切削工具として使用される炭素工具鋼、合金工具鋼、ダイス鋼、高速度鋼などに硬質、耐摩耗性、耐食性、耐熱性を付加するため、TiCやTiNなどの硬質被膜を工具表面に施している。しかし、一度、これらの硬質被膜で下地を覆うと、下地と強固に結合するために、上述の(1)や(2)の手法では剥離できず、また、(3)では長時間加工を要するため、下地を廃棄しなくてはならない。
特にありません。
そこで本発明者等は、金属や半導体、セラミックス、プラスチックの表面に被覆したTiN、TiC、TiCN、DLCなどの硬質被膜の剥離において、下地素材を損傷することなく、被覆膜のみを剥離できる加工法について鋭意研究した結果、フェムト秒レーザ(フェムト秒領域[出力パルスの時間幅が(10-15オーダ)]の超短光パルスレーザ)を照射することにより、前記被覆膜が確実に剥離できることを見出したのである。
すなわちこの発明は、金属や半導体、セラミックス、プラスチックの表面に被覆したTiN、TiC、TiCN、DLCなどの硬質被膜を剥離するに際し、フェムト秒レーザを所定時間もしくは必要な回数分焦点移動して順次照射することにより、下地素材を損傷することなく被覆膜のみを剥離することができる硬質膜の剥離方法を提供しようとするものである。
そのため、本発明に係る硬質膜の剥離方法は、金属や半導体、セラミックス、プラスチックの表面に被覆したTiN、TiC、TiCN、DLCなどの硬質被膜を剥離するに際し、フェムト秒レーザを照射することにより、下地素材を損傷することなく被覆膜のみを剥離するようにしたことを特徴とする硬質膜の剥離方法。
また本発明に係る硬質膜の剥離方法は、金属や半導体、セラミックス、プラスチックの表面に被覆したTiN、TiC、TiCN、DLCなどの硬質被膜を剥離するに際し、フェムト秒レーザを硬質被膜の剥離に必要な回数分焦点移動して順次照射することにより、下地素材を損傷することなく被覆膜のみを剥離するようにしたことをも特徴とするものである。
本発明に係る硬質膜の剥離方法は、前記フェムト秒レーザの照射エネルギーを、0.5〜4μJ/pulseの範囲としたことをも特徴とするものである。
この発明によれば、金属や半導体、セラミックス、プラスチックの表面に被覆したTiN、TiC、TiCN、DLCなどの硬質被膜を、フェムト秒レーザを照射することにより、下地素材を損傷することなく被覆膜のみを剥離することができる硬質膜の剥離方法を提供することが可能となった。
またこの発明によれば、下地素材を損傷することなく被覆膜のみを剥離することができ、極めて簡便な方法により下地が再利用できるようになった。
またこの発明によれば、下地素材を損傷することなく被覆膜のみを剥離することができ、極めて簡便な方法により下地が再利用できるようになった。
以下この発明の硬質膜の剥離方法の実施の形態を図面に基いて詳細に説明する。
図1は本発明の硬質膜の剥離方法の1実施例を示す説明図、図2は加工・未加工部のSEM像とEDAXによる面分析(定性分析)の結果を示す顕微鏡写真、図3はEDAXによる点分析(定性分析)の結果を示すグラフである。
図1は本発明の硬質膜の剥離方法の1実施例を示す説明図、図2は加工・未加工部のSEM像とEDAXによる面分析(定性分析)の結果を示す顕微鏡写真、図3はEDAXによる点分析(定性分析)の結果を示すグラフである。
フェムト秒レーザ加工装置の概略図を図1に示す。本加工装置は最大出力1Wのフェムト秒レーザ出力系11、加工機光学系(フェムト秒レーザのパワー調整、ガイド光の生成・調整)12、集光光学系(対物レンズ、加工ステージ、観察)13で構成されている。
前記平均出力1W、パルス幅100フェムト秒レーザの場合には、瞬間的な最大出力は1000万kWであり、標準的な火力発電所の供給電力の10倍に相当するピーク出力を得ることが可能である。
本発明に係る硬質膜の剥離方法において使用される、前記フェムト秒レーザの照射エネルギーは、0.5〜4μJ/pulseの範囲であることが望ましい。照射エネルギーが0.5μJ/pulse以下の場合は剥離工程に時間がかかりすぎ、また4μJ/pulse以上の場合は下地に悪影響を及ぼすことが懸念される。
前記平均出力1W、パルス幅100フェムト秒レーザの場合には、瞬間的な最大出力は1000万kWであり、標準的な火力発電所の供給電力の10倍に相当するピーク出力を得ることが可能である。
本発明に係る硬質膜の剥離方法において使用される、前記フェムト秒レーザの照射エネルギーは、0.5〜4μJ/pulseの範囲であることが望ましい。照射エネルギーが0.5μJ/pulse以下の場合は剥離工程に時間がかかりすぎ、また4μJ/pulse以上の場合は下地に悪影響を及ぼすことが懸念される。
なお、フェムト(10-15)秒レーザの加工形態はナノ(10-9)秒レーザやピコ(10-12)秒レーザのそれと大きく異なっており、レーザ照射部近傍の熱拡散が非常に少ない非熱加工が可能であるため、表面変質が極めて少ない加工ができる。
炭素工具鋼(SK3)の表面に厚さ3μmのTiN膜をCVD法により被覆した。この試料表面にフェムト秒レーザを照射して除去加工を行ったところ、表面のTiN膜だけを剥離させることが確認できた。
本実験で用いた加工条件を表1に示す。加工方法としてはxy平面に1層分の加工(約0.6μm)を行い、次に材料の中側(z軸方向)へ0.6μm焦点を移動させ、同様にxy平面加工を行う。これにより5層分の加工を試みた。
また、TiN被膜された試料のレーザ加工後、EDAXによる試料表面の元素分析(面分析、点分析)を行った。さらに、ビッカース硬さ試験によりTiN被膜の剥離状態を確認した。
本実験で用いた加工条件を表1に示す。加工方法としてはxy平面に1層分の加工(約0.6μm)を行い、次に材料の中側(z軸方向)へ0.6μm焦点を移動させ、同様にxy平面加工を行う。これにより5層分の加工を試みた。
また、TiN被膜された試料のレーザ加工後、EDAXによる試料表面の元素分析(面分析、点分析)を行った。さらに、ビッカース硬さ試験によりTiN被膜の剥離状態を確認した。
図2(a)は加工・未加工部のSEM像であり、同図(b)〜(d)は(a)の領域における面分析の結果である。前記フェムト秒レーザ加工を行うことで、下地であるFeが現れ、被覆膜のTiが認められないことがわかる。
点分析の結果を図3に示す。同図(a)はTiN面、同図(b)はレーザ加工後の表面、同図(c)はTiN被覆前の下地の表面である。(a)のTiピークは(b)で極めて小さいことがわかる。なお、同図(b)のTiピークはレーザ加工後に超音波洗浄すると消失する。これより、(b)のTiはレーザ加工により生じたデブリスの表面残留に起因すると推定される。
以上の結果より、TiN被膜面にフェムト秒レーザ加工を施すことで、TiN被膜を完全に剥離できることを確認することができた。
以上の結果より、TiN被膜面にフェムト秒レーザ加工を施すことで、TiN被膜を完全に剥離できることを確認することができた。
この発明の硬質膜の剥離方法は、金属や半導体、セラミックス、プラスチックの表面に被覆したTiN、TiC、TiCN、DLCなどの硬質被膜のみならず、下地を損傷しない限度で種々の下地や、各種硬質被膜の除去のために使用することが可能である。
11 フェムト秒レーザ出力系
12 加工機光学系
13 集光光学系
12 加工機光学系
13 集光光学系
Claims (3)
- 金属や半導体、セラミックス、プラスチックの表面に被覆したTiN、TiC、TiCN、DLCなどの硬質被膜を剥離するに際し、フェムト秒レーザを照射することにより、下地素材を損傷することなく被覆膜のみを剥離するようにしたことを特徴とする硬質膜の剥離方法。
- 金属や半導体、セラミックス、プラスチックの表面に被覆したTiN、TiC、TiCN、DLCなどの硬質被膜を剥離するに際し、フェムト秒レーザを硬質被膜の剥離に必要な回数分焦点移動して順次照射することにより、下地素材を損傷することなく被覆膜のみを剥離するようにしたことを特徴とする請求項1記載の硬質膜の剥離方法。
- フェムト秒レーザの照射エネルギーを、0.5〜4μJ/pulseの範囲としたことを特徴とする請求項1または2記載の硬質膜の剥離方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007101185A JP2008255447A (ja) | 2007-04-06 | 2007-04-06 | 硬質膜の剥離方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007101185A JP2008255447A (ja) | 2007-04-06 | 2007-04-06 | 硬質膜の剥離方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008255447A true JP2008255447A (ja) | 2008-10-23 |
Family
ID=39979322
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2007101185A Pending JP2008255447A (ja) | 2007-04-06 | 2007-04-06 | 硬質膜の剥離方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008255447A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN117206670A (zh) * | 2023-10-27 | 2023-12-12 | 北京理工大学 | 真空环境下双波长平顶飞秒激光三维振镜系统一体化加工 |
-
2007
- 2007-04-06 JP JP2007101185A patent/JP2008255447A/ja active Pending
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CN117206670A (zh) * | 2023-10-27 | 2023-12-12 | 北京理工大学 | 真空环境下双波长平顶飞秒激光三维振镜系统一体化加工 |
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