JP2008253587A - 内視鏡システム - Google Patents

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Abstract

【課題】ストロボ光源の発光タイミングと声帯の運動周期とを精度良く同期させる。
【解決手段】内視鏡先端部周辺の音を音声信号として得るマイクと、該音声信号を解析し、その解析結果に基づいて当該音声信号の周波数スペクトルを算出する周波数スペクトル算出手段と、該算出された周波数スペクトルを参照し、所定の条件を満たす周波数帯を選択する周波数帯選択手段と、該選択された周波数帯に基づいタイミングで光源部をストロボ発光させる発光制御手段とを具備した内視鏡システムを提供する。
【選択図】図3

Description

この発明は、体腔内を観察するための内視鏡システムであり、特に声帯を観察するための内視鏡システムに関する。
体腔内を観察するために用いられるシステムとして内視鏡システムが広く知られ実用に供されている。このような内視鏡システムには、例えば電子内視鏡、該電子内視鏡の観察領域に照明光を供給する光源装置、該電子内視鏡で得られた信号を処理するプロセッサ、及び該プロセッサで処理された信号を映像として表示するディスプレイから構成されるものがある。内視鏡システムには観察対象部位に合わせて種々のタイプのものがあり、その1つに声帯を観察するためのものがある。
例えば下記特許文献1に声帯観察用の内視鏡システムが開示されている。下記特許文献1に記載の内視鏡システムによれば、声帯から発せられる音声を検出するためのマイクが電子内視鏡先端部に設置されている。そして、プロセッサはマイクによって検出された音声の波形(音声信号)を解析してストロボ光源の明滅制御を行うと共に、電子内視鏡で得られた信号を処理してディスプレイに出力する。この明滅制御は声帯の運動周期に基づいてストロボ光源を同調発光させるものである。より具体的には、プロセッサが音声信号の波形を矩形波に整形する。次いで、矩形波の立ち上がりに同期させて光源発光用のパルスを出力し、光源を数マイクロ秒程度だけ発光させる。このような明滅制御でストロボ光源の発光タイミングと声帯の運動周期との同期がとれることにより、声帯が静止しているような状態(又はスローモーション)でディスプレイに表示されることになる。このため術者は、実質的に静止したような映像(又はスローモーション)で声帯を観察することができる。
特開2002−291699号公報
ここで、プロセッサに入力する音声信号には、例えばマイクで電気信号に変換される際やケーブルで伝送される際等に種々の原因でノイズが重畳してしまう。このようにノイズが重畳すると波形が乱れ、プロセッサで整形される矩形波の立ち上がりのタイミングが理想的なタイミングに対してずれてしまう。このためストロボ光源の発光タイミングと声帯の運動周期にずれが生じて同期の精度が低下する。同期の精度が低下すると、静止したような映像で声帯を表示させるよう明滅制御が行われた場合であっても、その声帯が本来望まない動的な映像で表示されてしまう。ノイズの影響が大きければ大きいほど声帯がより動的に表示され、術者は、当該声帯を明瞭な画像として視認することができず十分な声帯観察を行えなくなることがある。
そこで、本発明は上記の事情に鑑みて、ストロボ光源の発光タイミングと声帯の運動周期とを精度良く同期させることが可能な内視鏡システムを提供することを課題としている。
上記の課題を解決する本発明の一態様に係る内視鏡システムは、声帯を観察するための内視鏡と、内視鏡の観察領域に照明光を供給する光源部とを備えたシステムである。この内視鏡システムは、内視鏡先端部周辺の音を音声信号として得るマイクと、該音声信号を解析し、その解析結果に基づいて当該音声信号の周波数スペクトルを算出する周波数スペクトル算出手段と、該算出された周波数スペクトルを参照し、所定の条件を満たす周波数帯を選択する周波数帯選択手段と、該選択された周波数帯に基づいたタイミングで光源部をストロボ発光させる発光制御手段とを具備したことを特徴としたシステムである。
このように構成された内視鏡システムによれば、周波数スペクトルに含まれる所定の条件を満たす周波数帯に基づいたタイミングでストロボ発光される。従って、音声信号に重畳し得る微弱で高周波な周波数成分であるノイズの影響が除去された周波数帯に基づいてストロボ発光のタイミングを決定することが可能となる。これにより、ストロボ光源の発光タイミングと声帯の運動周期とを精度良く同期させることが可能となり、例えば静止したような状態の声帯の映像を容易に得ることができるようになる。
なお、上記所定の条件を満たす周波数帯とは、例えば周波数スペクトル算出手段によって算出された周波数スペクトルの各周波数帯の中で最も強い成分を持つものであっても良い。
また、上記内視鏡システムにおいて周波数スペクトル算出手段は、例えば該音声信号をデジタル符号化し、該デジタル符号化された音声信号を離散フーリエ変換して周波数スペクトルを算出しても良い。
また、上記内視鏡システムは、例えば内視鏡先端部に組み込まれ、該観察領域を撮像して画像信号を得る撮像手段と、撮像手段からの該画像信号を処理する信号処理手段と、信号処理手段が処理した信号を映像として表示する表示手段とを更に具備したものであっても良い。
ここで、上記発光制御手段は、各ストロボ光の発光タイミングが、周波数帯選択手段によって選択された周波数帯の周期の整数倍の間隔となるよう光源部をストロボ発光させるよう構成されていても良い。
また、上記撮像手段は、例えば該観察領域からの光を電荷として蓄積する電荷蓄積期間と、該蓄積された電荷を転送して信号処理手段に出力する転送出力期間を交互に繰り返して動作するものであっても良い。この場合、上記発光制御手段は、1組の電荷蓄積期間及び転送出力期間のうちの当該電荷蓄積期間中に1度だけ前記光源部をストロボ発光させても良い。
また、上記内視鏡システムは、例えば周波数スペクトル算出手段によって算出された周波数スペクトルを表す画像を生成する画像生成手段を更に具備したものであっても良い。上記内視鏡システムは、画像生成手段によって該生成された画像を表示手段に表示させる構成としても良い。
また、上記内視鏡システムにおいては、例えば表示手段に該生成された画像を信号処理手段が処理した信号による映像に重畳して表示させても良い。
また、上記内視鏡システムは、例えば周波数スペクトル算出手段によって算出された周波数スペクトルを解析する周波数スペクトル解析手段と、該解析された周波数スペクトルに基づいてマイクへの入力音声が異常なものであるか否かを判定する異常判定手段と、該入力音声が異常と判定されたときにその旨を報知する報知手段とを更に具備したものであっても良い。
この報知手段は、例えば異常であることを報知する情報を表示手段に表示させる構成としても良い。
また、上記内視鏡システムにおいてマイクは例えば内視鏡先端部に設置されたものであっても良い。
本発明に係る内視鏡システムによれば、音声信号に重畳し得る微弱で高周波な周波数成分であるノイズの影響が除去された周波数帯に基づいてストロボ発光のタイミングを決定することが可能となる。従って、ストロボ光源の発光タイミングと声帯の運動周期とを精度良く同期させることができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態の電子内視鏡システムの構成及び作用について説明する。
図1は、本発明の実施の形態の電子内視鏡システム10の外観を概略的に示した図である。また、図2は、本発明の実施の形態の電子内視鏡システム10の構成を示したブロック図である。本実施形態の電子内視鏡システム10は、患者の体腔内を観察・診断するためのシステムであり、特に、患者の声帯観察に適合した構成を有している。電子内視鏡システム10は、電子内視鏡100、プロセッサ200、及びモニタ300を備えている。
本実施形態の電子内視鏡100の基端部にはコネクタユニット110が設けられている。このコネクタユニット110には2本のプラグp1、p2が設けられている。また、プロセッサ200のフロント面にはプロセッサ側コネクタ部210が設けられている。このプロセッサ側コネクタ部210には2本のジャックj1、j2が設けられている。ピンプラグp1とジャックj1とが接続されることにより、電子内視鏡100とプロセッサ200とが光学的に接続される。また、ピンプラグp2とジャックj2とが接続されることにより、電子内視鏡100とプロセッサ200とが電気的に接続される。
コネクタユニット110にはユニバーサルコード120の一端が結合している。ユニバーサルコード120は可撓性を有しており、もう一端が操作部130に結合している。すなわちコネクタユニット110と操作部130がユニバーサルコード120を介して連結するよう構成されている。
操作部130は電子内視鏡100を術者に操作させるための入力インターフェースである。操作部130の操作釦を操作することにより、例えば体腔内に送気させたり洗浄液を噴射させたりすることができる。操作部130には挿入部可撓管140の一端が結合している。
挿入部可撓管140は患者の体腔内に挿入される管であり、可撓性を有している。挿入部可撓管140の先端には先端部150が設けられている。術者が操作部130のアングルノブを操作すると、その操作に応じて先端部150根元付近の挿入部可撓管140が屈曲する。これにより、先端部150のアングルが変化する。このアングルの変化によって先端部150の前面が正対する方向も変わり、これに伴って、術者が視認可能な観察領域も変わる。
先端部150は硬質性の素材(例えば樹脂)で形成されている。この先端部150には撮像処理に必要とされる各要素が設けられている。本実施形態における上記要素は、配光レンズ152、対物レンズ154、及び、CCD(Charge Coupled Device)156である。配光レンズ152及び対物レンズ154は、先端部150の前面に設置されたレンズである。CCD156は例えばベイヤー方式のカラーCCDである。受光面には多数の画素(受光素子)がマトリクス状に配列されている。受光面前面にはオンチップカラーフィルタが搭載されている。カラーフィルタは、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の何れかのカラーチップが各画素に対応してマトリクス状に配列されたフィルタである。なお、ここで用いられるCCD156は原色フィルタを搭載したものに限定されず、例えば補色フィルタを搭載したものであっても良い。
電子内視鏡100内部にはその長手方向に沿ってライトガイド160が設置されている。ライトガイド160は光ファイバ束である。ライトガイド160の一端はコネクタユニット110のピンプラグに接続されている。また、もう一端は配光レンズ152近傍に配置されている。
コネクタユニット110内部には回路基板が取り付けられている。この回路基板には、CCD156を駆動制御するためのCCD駆動制御回路170、CCD出力信号(後述)を増幅するアンプ172、及び電子内視鏡100全体の統括的な制御を司るCPU(Central Processing Unit)180が実装されている。
プロセッサ200は、システム全体の制御を統括的に行うシステムコントロールユニット220を備えている。またプロセッサ200には、入力インターフェースであるタッチパネル260がそのフロント面に設けられている。タッチパネル260は例えば周知の抵抗膜方式であり、種々の画像(例えば操作メニュー画像等)を表示可能なLCD(Liquid Crystal Display)を有している。例えばLCDで表示される操作メニューのアイコン等がタッチされると、そのタッチされたアイコンに応じた制御パルスがシステムコントロールユニット220に入力する。システムコントロールユニット220は、この入力した制御パルスに応じてプロセッサ200の各構成要素を制御する。
また、プロセッサ200は光源装置として、ランプ230、ランプ制御回路232、及び集光レンズ234を備えている。ランプ230は例えばキセノン放電管のような発光時間が1ミリ秒未満の放電管であり、体腔内を照射するための白色光の光源である。ランプ制御回路232は、システムコントロールユニット220から受け取る所定の制御パルスに応じてランプ230を駆動制御する。ランプ230はランプ制御回路232の駆動制御に応じて連続光又は間欠光(所謂ストロボ光)を放射する。ランプ230からの放射光は、ランプ230の前方に設置された集光レンズ234によって集光される。集光された光は、プロセッサ側コネクタ部210を介して電子内視鏡100内部(より正確にはライトガイド160である光ファイバ束のコア)に入射する。
ライトガイド160に入射した光はその内部を伝送して、先端部150側の端部から出射される。この出射光は、配光レンズ152を介して外部に放射されて例えば患者の体腔内を照明する。これにより、外部から光の届かない体腔内が明るく照らされる。
配光レンズ152から放射された照明光は、体腔内の壁部等によって反射して対物レンズ154に入射する。ここで、CCD156は、その受光面が対物レンズ154の結像面と実質的に同位置となるように配置されている。従って対物レンズ154に入射した光は、対物レンズ154のパワーによりCCD156の受光面上で体腔内の光学像として結像する。
CCD156は、CCD駆動制御回路170からの駆動パルスに従って駆動する。そして各画素において結像された光学像を、その受光光量に応じた電荷として蓄積してCCD出力信号に変換する。CPU156は、この変換したCCD出力信号を上記駆動パルスに応じたタイミングでCCD駆動制御回路170に出力する。CCD156から出力されたCCD出力信号は、CCD駆動制御回路170を介してアンプ172に入力する。アンプ172は、このCCD出力信号を増幅してプロセッサ200に出力する。なお上記駆動パルスの出力タイミングは、システムコントロールユニット220からの同期パルスの入力タイミングに基づいて決定される。この同期パルスは、システムコントロールユニット220から出力されてCPU180を介してCCD駆動制御回路170に所定のタイミング毎に入力する。
次に、プロセッサ200で実行される信号処理について説明する。プロセッサ200は、CCD出力信号の処理に関わる手段として、絶縁回路240、CCD出力信号処理回路242、フレームメモリ244、出力回路246、及びOSD(On Screen Display)処理部248を有している。
電子内視鏡100から出力された各画素のCCD出力信号は、プロセッサ側コネクタ部210及び絶縁回路240を介してCCD出力信号処理回路242に入力する。なお絶縁回路240は、電子内視鏡100とプロセッサ200との間で送受信される信号を例えばフォトカップラ等で別の媒体(ここでは光)に一時的に変換する。本実施形態の電子内視鏡システム10では、この変換処理により、電子内視鏡100とプロセッサ200とを電気的に絶縁させて安全性を保っている。
CCD出力信号処理回路242はA/D変換、サンプリングホールド、γ補正等の周知の信号処理をCCD出力信号に施して画像信号を生成し、フレームメモリ244に出力する。フレームメモリ244にはCCD出力信号処理回路242からの画像信号が蓄積される。
ここで、モニタ300はNTSC(National Television Standards Committee)方式であるものとする。システムコントロールユニット220は、NTSC方式に対応したタイミングでフレームメモリ244に同期パルスを出力する。フレームメモリ244は同期パルスの入力を検知すると、蓄積されている画像信号を出力回路246に出力する。このとき上記同期パルスがNTSC方式に対応したタイミングであるため、フレームメモリ244は1フレームに相当する画像信号(以下、「フレーム画像」と記す)を蓄積して出力回路246に出力するよう動作することになる。附言するにフレームメモリ244は毎秒30のフレーム画像を出力する。なおこの同期パルスはCCD駆動制御回路170に出力されるものと同一である。この同期パルスにより、プロセッサ200側での信号処理のタイミングとCCD156の駆動タイミングとが同期する。
出力回路246は入力したフレーム画像を各種形式のビデオ信号(例えばコンポジットビデオ信号やSビデオ信号、RGBビデオ信号等)に変換してモニタ300に出力する。これにより、体腔内の映像がモニタ300に表示される。
OSD処理回路248は、CCD156により撮像された映像に所定の情報(例えば所定のキャラクタや画像等)を重畳表示させるための回路である。OSD処理回路248はシステムコントロールユニット220の制御に従って、所定の情報が該映像に重畳表示されるよう出力回路246と連携して動作する。これにより、例えば患者の体腔内の映像に所定の情報を重畳したものがモニタ300に表示される。
ここで、上述したように電子内視鏡システム10は声帯観察に適合した構成を有している。電子内視鏡100には声帯観察を成すための構成として、その先端部150にマイク158が設けられている。またプロセッサ200にはA/D変換部250が設けられている。マイク158は先端部150近傍の音声を集音して、その入力音声をアナログ音声信号に変換する。先端部150が患者の声帯近傍に位置するよう挿入部可撓管140を挿入したとき(すなわち声帯観察時)、マイク158は声帯から発せられる音声をアナログ音声信号として取り出す。このアナログ音声信号はA/D変換部250に入力する。A/D変換部250は例えば数十KHzのサンプリング周波数により、入力したアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換してシステムコントロールユニット220に逐次出力する。
次に、システムコントロールユニット220が実行する声帯観察処理について説明する。例えばタッチパネル260を用いて声帯観察用のプログラムを起動させるようユーザ・オペレーションが行われると、図3のフローチャートに示される声帯観察処理が実行される。
図3のフローチャートの声帯観察処理が開始されると、システムコントロールユニット220は、A/D変換部250からのデジタル音声信号を内部メモリM(バッファ)に逐次格納する(ステップ1、以下、明細書及び図面においてステップを「S」と略記)。システムコントロールユニット220は、内部メモリMに格納されたデジタル音声信号に対して離散フーリエ変換を随時行い(S2)、その演算結果を内部メモリM(デジタル音声信号の格納領域とは別の領域)に保持する(S3)。つまり内部メモリMには声帯の各周波数帯の成分を表す周波数成分データが保持される。
システムコントロールユニット220はS3の処理に次いで、内部メモリMに保持されている周波数成分データの解析処理を行う(S4)。ここでいう解析処理とは、声帯の各周波数帯の中で最も強い成分を持つ周波数帯を選定する処理である。すなわちS4の処理においてシステムコントロールユニット220は、声帯から発せられる音声の波形を成す最も主となる周波数帯を求める。
システムコントロールユニット220は、S4の処理で求められた周波数(以下、「選定周波数」と記す)に基づいた所定のタイミングで所定の制御パルスをランプ制御回路232に出力する(S5)。そしてランプ制御回路232は、この制御パルスに基づいてランプ230を駆動制御する。これによりランプ230はストロボ発光する。なお、このときの1回当たりのストロボ発光時間は例えば数マイクロ秒程度である。
ここで、この所定の制御パルスが出力されるタイミングについて説明する。システムコントロールユニット220は、例えば選定周波数の位相の山側の頂点と一致するタイミングでストロボ光が発光されるよう所定の制御パルスを出力する。附言するにこのときの制御パルス出力タイミングは、当該所定の制御パルスが出力されてからランプ230がストロボ発光するまでの遅延時間を加味したタイミングとなっている。
また、露光オーバーによる白飛びを防止するため、CCD156の1回の電荷蓄積期間中に1度だけストロボ発光し、且つ各画素に蓄積された電荷を転送してCCD駆動制御回路170に出力する転送出力期間中にはストロボ発光しないようにすることが必要である。このようなストロボ発光制御を実現するため、システムコントロールユニット220は電荷蓄積期間の開始を監視している。説明を加えると、同期パルスを出力してから所定の遅延時間後にCCD156の電荷蓄積期間が開始されることがシステムコントロールユニット220にとって既知であることから、システムコントロールユニット220が電荷蓄積期間の開始を監視することは可能である。
システムコントロールユニット220は電荷蓄積期間の開始を検知すると、例えば当該期間が開始してから選定周波数のn番目の位相の山側の頂点が来るタイミングでストロボ光が発光されるよう所定の制御パルスを出力する。換言すると、システムコントロールユニット220は電荷蓄積期間の開始を検知する毎に、前回のストロボ発光から選定周波数数の周期の整数倍の時間が経過するタイミングでランプ230をストロボ発光させるよう所定の制御パルスをランプ制御回路232に出力する。
ランプ230がCCD156の電荷蓄積期間中にストロボ発光すると、ある瞬間の声帯が照明されてその反射光がCCD156で受光される。そしてCCD156で光電変換された後、電子内視鏡100及びプロセッサ200において上述した一連の処理を施され、声帯の映像としてモニタ300に出力され表示される。各ストロボ光の発光タイミングの間隔は声帯の主たる運動周期の整数倍であることから、常に同位相で同一の状態の声帯が照明される。従って、モニタ300には、ある状態の声帯が見かけ上静止したような映像で表示される。このため術者は、患者の声帯を静止したような状態で視認することができる。
このように、声帯から発せられた音声に対してデジタル信号処理(本実施形態におけるデジタル音声信号への変換、離散フーリエ変換による周波数スペクトルの取得等)を施すことで、声帯の主たる運動周期の情報を取得することができる。ここで、ノイズは一般に高周波成分であるため、声帯の主たる運動周期の周波数帯とは全く異なる。このため、音声信号に重畳し得るノイズ(すなわち微弱な周波数成分)の影響を除去することが可能となる。この結果、ランプ230による各ストロボ光の発光タイミングを声帯の運動周期に精度良く同期させることができる。従って、見かけ上静止したような映像で声帯を表示することが容易に実現されるようになる。
また、システムコントロールユニット220はS5の処理と共に、S3の処理で保持された演算結果をOSD処理回路248に出力する(S6)。次いで、声帯観察用のプログラムを終了するようにユーザ・オペレーションが行われているか否かを判定する(S7)。このようなユーザ・オペレーションが行われている場合(S7:YES)、システムコントロールユニット220は本フローチャートの処理を終了させる。また、このようなユーザ・オペレーションが行われていない場合(S7:NO)、システムコントロールユニット220はS1の処理に復帰する。
OSD処理回路248は、システムコントロールユニット220から受け取った演算結果に基づいて、声帯の周波数スペクトルをグラフ化した子画面の画像を生成する。次いで、出力回路246と連携して動作し、子画面の画像を声帯の映像に重畳させるよう処理する。これにより、モニタ300において子画面の画像を重畳した声帯の映像が表示されるようになる。
ここで、図4に、モニタ300に子画面の画像が重畳して表示された際の声帯の映像の一例を示す。子画面の画像iは声帯の周波数スペクトルを示すグラフである。このグラフの横軸は周波数を示し、縦軸は強度を示す。このグラフによれば、800Hz近傍が、声帯から発せられる音声に最も強い成分として含まれている周波数帯であると言える。
本実施形態の電子内視鏡システム10では、このようなグラフにより、声帯から発せられる音声の周波数スペクトルを視覚的且つ定量的に表すことができる。このグラフは例えば患者の声帯の状態を表す1つの指標となり得る。術者は、このグラフにより他の患者と大きくかけ離れたイレギュラーな周波数スペクトルを視認したときには、例えば診断中の患者の声帯に異常がある等の判断を下すことができる。
以上が本発明の実施の形態である。本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく様々な範囲で変形が可能である。例えばシステムコントロールユニット220が声帯の周波数成分データに対して更なる解析処理を行う。そして解析の結果、その周波数スペクトルがある条件を満たさない場合、システムコントロールユニット220が、当該声帯に異常がある(例えば声帯にポリープができて嗄声になっている等)と判断するようにしても良い。この場合、システムコントロールユニット220は例えばモニタ300の表示制御を行い、異常を報知する情報(例えば画像やメッセージ等)を表示させても良い。
また、システムコントロールユニット220が、各ストロボ光の発光タイミングの間隔を(選定周波数数の周期の整数倍+n/N(π))とし、ストロボ発光する毎にnが1ずつ増加するよう所定の制御パルスを出力するようにしても良い。なお、N>nで、nが初期的には「1」であり、N、nが共に自然数であるとする。この場合、ストロボ光で照明される声帯の開閉具合の位相が1/N(π)ずつ進むことになる。この結果、モニタ300には声帯がスローモーションで表示されることになる。
本発明の実施の形態の電子内視鏡システムの外観を概略的に示した図である。 本発明の実施の形態の電子内視鏡システムの構成を示したブロック図である。 本発明の実施の形態のシステムコントロールユニットが実行する声帯観察処理を示したフローチャートである。 本発明の実施の形態においてモニタに子画面の画像が重畳して表示された際の声帯の映像の一例を示す。
符号の説明
10 電子内視鏡システム
100 電子内視鏡
156 CCD
158 マイク
200 プロセッサ
220 システムコントロールユニット
230 ランプ
232 ランプ制御回路
248 OSD処理回路
250 A/D変換部
260 タッチパネル
300 モニタ

Claims (11)

  1. 声帯を観察するための内視鏡と、前記内視鏡の観察領域に照明光を供給する光源部と、を備えた内視鏡システムにおいて、
    前記内視鏡先端部周辺の音を音声信号として得るマイクと、
    該音声信号を解析し、その解析結果に基づいて当該音声信号の周波数スペクトルを算出する周波数スペクトル算出手段と、
    該算出された周波数スペクトルを参照し、所定の条件を満たす周波数帯を選択する周波数帯選択手段と、
    該選択された周波数帯に基づいたタイミングで前記光源部をストロボ発光させる発光制御手段と、を具備したこと、を特徴とする内視鏡システム。
  2. 該所定の条件を満たす周波数帯とは、前記周波数スペクトル算出手段によって算出された周波数スペクトルの各周波数帯の中で最も強い成分を持つものであること、を特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
  3. 前記周波数スペクトル算出手段は該音声信号をデジタル符号化し、該デジタル符号化された音声信号を離散フーリエ変換して周波数スペクトルを算出すること、を特徴とする請求項1又は請求項2の何れかに記載の内視鏡システム。
  4. 前記内視鏡先端部に組み込まれ、該観察領域を撮像して画像信号を得る撮像手段と、
    前記撮像手段からの該画像信号を処理する信号処理手段と、
    前記信号処理手段が処理した信号を映像として表示する表示手段と、を更に具備したこと、を特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の内視鏡システム。
  5. 前記発光制御手段は、各ストロボ光の発光タイミングが、前記周波数帯選択手段によって選択された周波数帯の周期の整数倍の間隔となるよう前記光源部をストロボ発光させること、を特徴とする請求項4に記載の内視鏡システム。
  6. 前記撮像手段は、該観察領域からの光を電荷として蓄積する電荷蓄積期間と、該蓄積された電荷を転送して前記信号処理手段に出力する転送出力期間を交互に繰り返して動作し、
    前記発光制御手段は、1組の電荷蓄積期間及び転送出力期間のうちの当該電荷蓄積期間中に1度だけ前記光源部をストロボ発光させること、を特徴する請求項5に記載の内視鏡システム。
  7. 前記周波数スペクトル算出手段によって算出された周波数スペクトルを表す画像を生成する画像生成手段を更に具備し、
    該生成された画像を前記表示手段に表示させること、を特徴する請求項4から請求項6の何れかに記載の内視鏡システム。
  8. 前記表示手段に、該生成された画像を、前記信号処理手段が処理した信号による映像に重畳して表示させること、を特徴する請求項7に記載の内視鏡システム。
  9. 前記周波数スペクトル算出手段によって算出された周波数スペクトルを解析する周波数スペクトル解析手段と、
    該解析された周波数スペクトルに基づいて前記マイクへの入力音声が異常なものであるか否かを判定する異常判定手段と、
    該入力音声が異常と判定されたときにその旨を報知する報知手段と、を更に具備したこと、を特徴とする請求項1又は請求項8の何れかに記載の内視鏡システム。
  10. 前記報知手段は、異常であることを報知する情報を前記表示手段に表示させること、を特徴とする請求項9に記載の内視鏡システム。
  11. 前記マイクは前記内視鏡先端部に設置されていること、を特徴とする請求項1から請求項10の何れかに記載の内視鏡システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015167414A1 (en) * 2014-05-02 2015-11-05 Mi̇tos Medi̇kal Teknoloji̇ler Sanayi̇ Ve Ti̇caret Anoni̇m Şi̇rketi̇ Instrument for early diagnosis of larynx cancer

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