以下、図を参照しながら、この発明の実施の一形態について説明する。映像信号処理装置は、映像信号の切り換えが可能な装置であり、例えば、テレビジョン装置、記録媒体(磁気テープ,磁気ディスク,光ディスク,半導体メモリ等)を用いて映像信号の記録再生を行う映像記録再生装置、セットトップボックス等である。以下、映像信号処理装置がテレビジョン装置であるものとして説明を行う。
図1は、映像信号処理装置の構成を示している。映像信号処理装置10は、例えば地上アナログ放送や地上ディジタル放送、ディジタル衛星放送等の放送信号を受信する機能を有している。衛星放送用アンテナ11は、ディジタル衛星放送を受信するアンテナであり、衛星放送用アンテナ11で受信された受信信号RF1は衛星放送用チューナ12に供給される。衛星放送用チューナ12は、所望のチャネル(周波数)を選局して得られた中間周波信号RS1をディジタル復調部13に供給する。ディジタル復調部13は、衛星放送で用いられている変調方式に対応した復調処理例えばQPSK復調処理等を行い、得られたトランスポートストリームTS1をストリーム切換部21に供給する。なお、衛星放送用チューナ12の選局動作は、後述する制御部50からの制御信号CTによって制御される。
地上放送用アンテナ15は、地上放送を受信するアンテナであり、地上放送用アンテナ15で受信された受信信号RF2は地上放送用チューナ16に供給される。地上放送用チューナ16は、地上ディジタル放送受信時に、所望のチャネルを選局して得られた中間周波信号RS2をディジタル復調部17に供給する。また、地上放送用チューナ16は、地上アナログ放送受信時に、所望のチャネルを選局して得られた中間周波信号RS3を映像/音声復調部26に供給する。ディジタル復調部17は、地上ディジタル放送で用いられている変調方式に対応した復調処理例えばQFDM復調処理等を行い、得られたトランスポートストリームTS2をストリーム切換部21に供給する。
ストリーム切換部21は、ディジタル衛星放送を受信するときにはトランスポートストリームTS1を選択してデマルチプレクサ22に供給する。また、地上ディジタル放送を受信するときにはトランスポートストリームTS2を選択してデマルチプレクサ22に供給する。
デマルチプレクサ22は、トランスポートストリームTS1,TS2に時分割的に多重して含まれている映像データDTv、音声データDTa、放送データDTdなどを分離して、映像データDTvおよび音声データDTaをデコーダ部23に供給し、放送データDTdを放送データ処理部24に供給する。
デコーダ部23は、映像データDTvの復号を行い、得られた映像信号VSaを映像切換部31に供給する。また、デコーダ部23は、音声データDTaの復号を行い、得られた音声信号ASaを音声切換部41に供給する。
放送データ処理部24は、ユーザ操作に応じた所定の処理、例えばEPG(Electric Program Guide)表示等を行うための制御信号CSを生成して信号生成部33に供給する。
映像/音声復調部26は、地上アナログ放送の受信時に地上放送用チューナ16から供給された中間周波信号RS3の復調処理を行い、得られた映像信号をディジタルの映像信号VSbに変換して映像切換部31に供給し、得られた音声信号ASbを音声切換部41に供給する。
映像切換部31には、外部入力端子28が接続されており、この外部入力端子28を介して外部機器からコンポジット方式やコンポーネント方式、HDMI(High Definition Multimedia Interface)方式、DVI(Digital Visual Interface)方式等の映像信号の入力を行うことができるようになされている。また、映像切換部31には信号処理部32が接続されており、信号処理部32に供給する映像信号を、デコーダ部23から供給された映像信号VSa、映像/音声復調部26からの映像信号VSb、外部入力端子28を介して供給された映像信号VScのいずれかに切り換える。
信号処理部32は、映像切換部31から供給された映像信号VSdを用いてインタレース/プログレッシブ変換(I/P変換)処理や画素数変換処理等を必要に応じて行い、処理後の映像信号VSeを合成処理部34に供給する。また、信号処理部32は、映像信号VSdの平均輝度レベルを検出して、検出結果を示す平均輝度レベル信号YLを制御部50に供給する。例えば、信号処理部32は、供給された映像信号VSdが輝度信号と色差信号で構成されている場合、輝度信号を平均することにより平均輝度レベル信号YLを生成する。また、映像信号VSdが三原色信号やコンポジット信号等であるときは、輝度信号を生成して、生成した輝度信号を平均することにより平均輝度レベル信号YLを生成する。ここで、信号処理部32から出力する映像信号VSeをプログレッシブ方式とする場合、輝度信号をフレーム単位で平均して平均輝度レベル信号YLを生成する。また、映像信号VSeをインタレース方式とする場合、輝度信号をフィールド単位で平均して平均輝度レベル信号YLを生成する。なお、信号処理部32にはメモリ32a接続されており、このメモリ32aを使用してI/P変換処理や画素数変換処理等が行われる。
信号生成部33は、放送データ処理部24から供給された制御信号CS又は後述する制御部50からの制御信号CTに基づき、オンスクリーン表示用映像信号VSoscを生成して合成処理部34に供給する。例えば、信号生成部33は、放送データ処理部24から供給された制御信号CSや制御部50からの制御信号CTに基づき、EPG表示やチャネル表示等を行うためのオンスクリーン表示用映像信号VSoscを生成して合成処理部34に供給する。また、信号生成部33は、制御部50からの制御信号CTに基づき、合成用映像信号VSfを生成して合成処理部34に供給する。この合成用映像信号VSfは、後述するように信号切換操作が行われたとき、映像のフェードアウト・フェードイン動作やミュート動作を行うための例えば単一表示の映像信号である。
合成処理部34は、信号処理部32から供給された映像信号VSeに信号生成部33から供給されたオンスクリーン表示用映像信号VSoscや合成用映像信号VSfを合成して、映像出力信号VSgとして映像出力処理部35に供給する。また、合成処理部34は、映像信号VSeにオンスクリーン表示用映像信号VSoscや合成用映像信号VSfを合成するとき、いわゆるアルファブレンド処理を行い、映像出力信号VSgにおける映像信号VSeと合成用映像信号VSfの合成比を可変できるようにする。
図2は合成処理部34の構成を示している。信号処理部32から供給された映像信号(例えば三原色信号)VSeは乗算器341に供給される。乗算器341は、映像信号VSeに係数αを乗算して加算器343に供給する。また、信号生成部33から供給された合成用映像信号(例えば三原色信号)VSfは乗算器342に供給される。乗算器342は、合成用映像信号VSfや,オンスクリーン表示用映像信号VSoscに係数(1−α)を乗算して加算器343に供給する。加算器343は、乗算器341から供給された映像信号α×VSeと乗算器342から供給された映像信号(1−α)×VSfあるいは映像信号(1−α)×VSoscを加算して、加算結果を映像出力信号VSgとして映像出力処理部35に供給する。
このように合成処理部34を構成すれば、制御部50からの制御信号CTによって係数αの値を「0≦α≦1」の範囲内で可変ことにより、映像出力信号VSgにおける映像信号VSeと合成用映像信号VSfの合成比(割合)を変化させることができる。
映像出力処理部35には、例えばLCD(Liquid Crystal Display),PDP(Plasma Display Panel),EL(Electro Luminescence),陰極線管などの表示デバイスを用いて構成された表示部36が接続されている。映像出力処理部35は、映像出力信号VSgに基づき、表示デバイスを駆動するための表示駆動信号DRを生成して表示部36に供給する。このため表示部36で映像表示を行うことができる。また、映像出力処理部35は、外部機器(図示せず)に映像信号を供給するとき、映像出力信号VSgを外部機器に対応したフォーマットの出力信号Voutとして出力する。
音声切換部41には、外部入力端子28が接続されており、この外部入力端子28を介して外部機器から音声信号AScの入力を行うことができるようになされている。また、音声切換部41には音声出力処理部42が接続されており、音声出力処理部42に供給する音声信号を、デコーダ部23から供給された音声信号ASa、映像/音声復調部26からの音声信号ASb、外部入力端子28を介して供給された音声信号AScのいずれかに切り換える。
音声出力処理部42には、スピーカを用いて構成された音声出力部43が接続されている。音声出力処理部42は、音声切換部41から供給された音声信号ASdを用いて音声処理例えば信号レベル調整や音質調整、ノイズ除去処理等を行い、音声処理後の音声出力信号DRaを音声出力部43に供給して音声出力を行う。また、音声出力処理部42は、外部機器(図示せず)に音声信号を供給するとき、音声処理後の信号を外部機器に対応したフォーマットの出力信号Aoutとして出力する。
制御部50にはユーザインタフェース部51が接続されている。ユーザインタフェース部51はユーザ操作に応じた操作信号PSを制御部50に供給するものであり、例えば操作キーやリモートコントロール信号受信部等で構成されている。
制御部50は、バス55を介して上述の各部と接続されている。制御部50は、ユーザインタフェース部51からの操作信号PSに基づき、制御信号CTを生成して各部に供給することで、映像信号処理装置の動作がユーザ操作に応じた動作となるように制御する。例えば、ユーザインタフェース部51から供給された操作信号PSによって、チャネル切り換えや放送切り換え又は入力切り換え等の信号切り換え操作が行われたことが示されたとき、制御部50は、所望のチャネルや所望の放送方式の映像/音声又は外部から供給された映像/音声の提示等を行うことができるように、衛星放送用チューナ12や地上放送用チューナ16の選局動作や、ストリーム切換部21や映像切換部31および音声切換部41の切り換え動作等を制御する。また、制御部50は、信号切り換えを行うとき、信号生成部33や合成処理部34の動作を制御して、映像のフェードアウト・フェードイン動作や映像のミュート動作を行い、信号切り換え時の品位を低下させることなく、また違和感なくスムーズに映像の切り換えを行う。
図3は、信号切り換え時の動作を示すフローチャートであり、フェードアウト・フェードイン動作を行う場合を示している。なお、信号切り換え操作が行われる前では、係数αが「1」に設定されており、信号処理部32から供給された映像信号VSeが映像出力信号VSgとして映像出力処理部35に供給されているものとする。フェードアウト・フェードイン動作では、例えば係数αの変化量を示すステップレベルdが予め設定されており、このステップレベルdに応じて映像信号の合成比が変化されてフェードアウト動作やフェードイン動作が行われる。
ステップST1で制御部50は、信号切り換え操作が行われたか否かを判別する。制御部50は、ユーザインタフェース部51から信号切り換え操作を示している操作信号PSが供給されたときステップST2に進み、信号切り換え操作を示している操作信号PSが供給されないときはステップST1に戻る。
ステップST2で制御部50は、係数αからステップレベルdを減算した減算結果(α−d)が「0」以下であるか否かを判別する。制御部50は、減算結果(α−d)が「0」以下でないときステップST3に進み、減算結果(α−d)が「0」以下であるときステップST5に進む。
ステップST3で制御部50は、減算結果(α−d)を係数αに設定してステップST4に進む。ステップST4で制御部50は、所定時間Twの待機を行ったのちステップST2に戻る。ここで、制御部50は、所定時間Twを例えばフレーム期間単位の時間とする。この場合合成比の切り換えをフレーム画像単位で行うことが可能となる。
ステップST5で制御部50は、係数αを「0」に設定してステップST6に進む。
ステップST6で制御部50は切換処理を行う。例えば、操作信号PSによってチャネル切り換え操作が行われたと判別されたときは、衛星放送用チューナ12や地上放送用チューナ16で選局するチャネルを切り換える。また、1つの周波数チャネルで複数の編成チャネルの番組が放送されているときは、デマルチプレクサ22やデコーダ部23を制御して、所望のチャネルの映像信号VSaや音声信号ASaが得られるようにする。また、操作信号PSによって放送切り換え操作や入力切り換え操作が行われたことが示されたとき、制御部50は、ストリーム切換部21や映像切換部31および音声切換部41を制御して、所望の映像信号を映像信号VSdとして信号処理部32に供給し、所望の音声信号を音声信号ASdとして音声出力処理部42供給する。
ステップST7で制御部50は、係数αにステップレベルdを加算した加算結果(α+d)が「1」以上であるか否かを判別する。制御部50は、加算結果(α+d)が「1」以上でないときステップST8に進み、加算結果(α+d)が「1」以上であるときステップST10に進む。
ステップST8で制御部50は、加算結果(α+d)を係数αに設定してステップST9に進む。ステップST9で制御部50は、所定時間Twの待機を行ったのちステップST7に戻る。
このように、係数αからステップレベルdを順次減算して、減算結果を係数αの新たな値とすれば、映像出力信号VSgにおける映像信号VSeの割合がステップ的に減少して、合成用映像信号VSfの割合がステップ的に増加する。係数αからステップレベルdを順次加算して、減算結果を係数αの新たな値とすれば、映像出力信号VSgにおける映像信号VSeの割合がステップ的に増加して、合成用映像信号VSfの割合がステップ的に減少する。したがって、合成用映像信号VSfを黒レベルの信号とすれば、フェードアウト動作が行われて黒色のみの映像とされたときに信号切り換えが行われる。また、信号切り換え後にフェードイン動作が行われて黒色のみの映像から信号切り換え後の映像に順次切り換えられる。
なお、ステップレベルdの値を小さくすれば、フェードアウト動作やフェードイン動作が滑らかに行われる。また、所定時間Twを調整すればフェードアウト動作やフェードイン動作の速さを調整できる。例えば、フェードアウト動作に要する時間や、フェードイン動作に要する時間を0.1秒〜0.5秒程度とすれば、容易に違和感なくスムーズに映像の切り換えを行うことができる。また、フェードアウト・フェードイン動作によって信号切換に時間を要してしまい、ユーザ操作に対する応答の遅れを生じさせてしまうこともない。さらに、ステップレベルdや所定時間Twを予め設定しておくだけでなく、ステップレベルdや所定時間Twを変更可能とすれば、自由度の高いフェードアウト・フェードイン動作を行うこともできる。
また図3に示す信号切り換え時の動作では、係数αにステップレベルdを加減することで、フェードアウト・フェードイン動作を行うものとしたが、係数αを予め複数設定しておき、所定時間Twが経過する毎に係数を切り換えることで、フェードアウト・フェードイン動作を行うものとしてもよい。
図4は、信号切り換え時の映像変化を示している。なお、図4では、合成用映像信号VSfを黒レベルの信号としている。
図4の(A)は、信号切り換え操作が行われたときの映像を示している。ここで、信号切り換え操作が行われてフェードアウト動作が行われると、係数αは「1」から順に小さい値に変更される。また、映像出力信号VSgは、映像信号VSeと合成用映像信号VSfが「α:(1−α)」の合成比で合成されたものであるから、例えば係数αが「0.66」となると、このときの映像は、図4の(B)に示すように、信号切り換え操作が行われたときの映像よりも暗い映像となる。また、時間が経過すると係数αがさらに小さい値となり、例えば係数αが「0.33」となると、このときの映像は、図4の(C)に示すように、図4の(B)に示す映像よりも暗い映像となる。
さらに時間が経過すると、係数αは「0」に設定される。したがって、映像出力信号VSgは、合成用映像信号VSfを示すものとなり、このときの映像は、図4の(D)に示すように黒画面表示となる。また、図4の(D)に示す映像が表示されているとき切り換え処理が行われる。
切り換え処理終了時の係数αは「0」となっているので、このときの映像は、図4の(E)に示すように引き続き黒画面表示となる。切り換え処理が終了してフェードイン動作が行われると、係数αは「0」から順に大きい値に変更される。ここで係数αが例えば「0.33」となると、このときの映像は、図4の(F)に示すように、切り換え処理終了時の映像よりも明るい映像となる。また、時間が経過すると係数αがさらに大きな値となり、例えば係数αが「0.66」となると、このときの映像は、図4の(G)に示すように、図4の(F)に示す映像よりも明るい映像となる。
さらに時間が経過すると、係数αは「1」に設定される。したがって、映像出力信号VSgは、映像信号VSeを示すものとなり、このときの映像は、図4の(H)に示すように信号切り換え操作によって選択した映像となる。
このように、信号切り換え操作が行われたときには、映像信号VSeに合成用映像信号VSfを合成してフェードアウト・フェードイン動作が行われるので、信号切り換え時の品位の低下を防止できる。また、信号生成部33や合成処理部34は、信号切り換え時のフェードアウト・フェードイン動作だけでなく、オンスクリーン表示にも用いられることから、アルファブレンド処理によってEPG表示等を行っている映像信号処理装置では、コストアップを招くことなく信号切り換え時の品位の低下を防止できる。また、メモリ32aを用いてフェードアウト・フェードイン動作を行うものでないことから、映像信号処理装置を安価に構成することができるだけでなく、リアルタイム処理に遅延を生じさせてしまうこともない。
ところで、上述の実施の形態は、合成用映像信号VSfが黒レベルの信号とされていることから、例えば信号切り換え操作が行われたときの映像が明るいときにはフェードアウト動作における映像の輝度変化が大きい。例えば信号切り換え操作が行われたときの映像が図5の(A)に示すように明るい映像であるとき、フェードアウト動作を行うと、係数αが例えば「0.66」であるときの映像は図5の(B)、係数αが例えば「0.33」であるときの映像は図5の(C)、係数αが「0」であるときの映像は図5(D)に示すものとなり、フェードアウト動作における映像の輝度変化が大きくなってしまう。また、合成用映像信号VSfを白レベルの信号としても、信号切り換え操作が行われたときの映像が暗いときは、フェードアウト動作における映像の輝度変化が大きくなってしまう。
このため、信号切り換え操作を繰り返し行うものとすると、画面の点滅が緩やかとなるもの、引き続き画面が点滅したようになってしまうおそれがある。そこで、制御部50は、信号処理部32で得られた平均輝度レベル信号YLに基づき、信号切り換え操作が行われたときの映像の輝度に応じて合成用映像信号VSfの信号レベルを設定することで、フェードアウト動作における映像の輝度変化を少なくする。
図6は、信号切り換え時の他の動作として、信号切り換え操作が行われたときの映像の明るさに応じて合成用映像信号VSfの信号レベルを設定するときのフローチャートを示している。
ステップST21で制御部50は、信号切り換え操作が行われたか否かを判別する。制御部50は、ユーザインタフェース部51から信号切り換え操作を示している操作信号PSが供給されたときステップST22に進み、信号切り換え操作を示している操作信号PSが供給されないときはステップST21に戻る。
ステップST22で制御部50は、平均輝度レベルを判別する。すなわち、制御部50は信号処理部32で平均輝度レベル信号YLの生成を行わせて、この平均輝度レベル信号YLに基づき、信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルを判別してステップST23に進む。
ステップST23で制御部50は、合成用映像信号VSfの信号レベル設定を行う。制御部50は、フェードアウト動作における映像の輝度変化が少なくなるように、合成用映像信号VSfの信号レベルを、ステップST22で判別した平均輝度レベルに応じて設定してステップST24に進む。
ステップST24からステップST32の処理は、図3のステップST2からステップST10の処理に対応するものであり、ステップST24からステップST27の処理を行うことで、フェードアウト動作を行うことができる。その後、ステップST28でステップST6と同様に切り換え処理を行う。さらに、ステップST29からステップST32の処理を行うことで、フェードイン動作を行うことができる。
このように、信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルに応じて合成用映像信号VSfの信号レベルを設定すれば、フェードアウト動作における映像の輝度変化を少なくできる。また、信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルに応じた明るさの映像が表示されているときに信号切り換えが行われる。さらに、信号切り換え後にフェードイン動作が行われて信号切り換え後の映像に順次切り換えられる。
図7は、信号切り換え時の映像変化を示しており、信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルに応じて合成用映像信号の信号レベルを設定する場合、例えば信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルと合成用映像信号に基づく映像の輝度レベルが等しくなるように、合成用映像信号の信号レベルを設定する場合である。
図7の(A)は、信号切り換え操作が行われたときの映像を示している。ここで、信号切り換え操作が行われてフェードアウト動作が行われると、係数αは「1」から順に小さい値に変更される。また、映像出力信号VSgは、映像信号VSeと合成用映像信号VSfが「α:(1−α)」の合成比で合成されたものであり、合成用映像信号VSfの信号レベルは、信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルに応じて設定されていることから、例えば係数αが「0.66」となると、このときの映像は、図7の(B)に示すように、信号切り換え操作が行われたときの映像と同等の明るさの映像となり、図5の(B)に示すような暗い映像とはならない。また、時間が経過すると係数αがさらに小さい値となり、例えば係数αが「0.33」となると、このときの映像は、図7の(C)に示すように、図7の(B)に示す映像と同等の明るさの映像となり、図5の(C)に示すようなさらに暗い映像とはならない。
さらに時間が経過すると、係数αは「0」に設定される。したがって、映像出力信号VSgは、合成用映像信号VSfを示すものとなり、このときの映像は、図7の(D)に示すように、信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルである画面表示となる。
切り換え処理終了時の係数αは「0」となっているので、このときの映像は、図7の(E)に示すように、信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルである画面表示が引き続き行われる。切り換え処理が終了してフェードイン動作が行われると、係数αは「0」から順に大きい値に変更される。ここで係数αが例えば「0.33」となると、このときの映像は、図7の(F)に示すように、信号切り換え操作によって選択した映像が含まれた映像となる。また、時間が経過すると係数αがさらに大きな値となり、例えば係数αが「0.66」となると、このときの映像は、図7の(G)に示すように、図7の(F)に示す映像よりも信号切り換え操作によって選択した映像がより多く含まれた映像となる。
さらに時間が経過すると、係数αは「1」に設定される。したがって、映像出力信号VSgは、映像信号VSeを示すものとなり、このときの映像は、図7の(H)に示すように信号切り換え操作によって選択した映像となる。
このように、信号切り換え操作が行われたとき、信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルに応じて合成用映像信号VSfの信号レベルを設定して、この合成用映像信号VSfを映像信号VSeに合成してフェードアウト・フェードイン動作が行われるので、映像出力信号VSgに基づく映像は、信号切り換え操作を繰り返しても画面が点滅したように表示されてしまうことを防止できる。
ところで、信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルに応じて合成用映像信号VSfの信号レベルを設定すると、上述のようにフェードアウト動作における輝度変化を少なくできる。したがって、信号切り換え操作が行われたときに、映像のフェードアウト・フェードイン動作に換えて、映像のミュート動作を行うものとしても、信号切り換え時の品位の低下や、信号切り換え操作を繰り返したとき点滅したように映像表示が行われてしまうことを防止できる。
次に、信号切り換え操作が行われたときにミュート動作を行う場合について説明する。ミュート動作を行う場合、制御部50は、信号処理部32からの平均輝度レベル信号YLに基づき、信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルに応じて合成用映像信号VSfの信号レベルを設定する。また、制御部50は係数αを「0」又は「1」のいずれかに切り換える。このとき、合成処理部34から出力される映像出力信号VSgは映像信号VSe又は映像信号VSfのいずれかとなり、合成処理部34は信号切換処理部として動作する。
図8は、信号切り換え時にミュート動作を行う場合のフローチャートを示している。
ステップST41で制御部50は、信号切り換え操作が行われたか否かを判別する。制御部50は、ユーザインタフェース部51から信号切り換え操作を示している操作信号PSが供給されたときステップST42に進み、信号切り換え操作を示している操作信号PSが供給されないときはステップST41に戻る。
ステップST42で制御部50は、平均輝度レベルの判別を行う。すなわち、図6のステップST22と同様に、制御部50は信号処理部32で平均輝度レベル信号YLの生成を行わせて、この平均輝度レベル信号YLに基づき、信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルを判別してステップST43に進む。
ステップST43で制御部50は、合成用映像信号VSfの信号レベル設定を行う。制御部50は、ミュート動作における映像の輝度変化が少なくなるように、合成用映像信号VSfの信号レベルを、ステップST42で判別した平均輝度レベルに応じて設定してステップST44に進む。
ステップST44で制御部50は、ミュート動作を開始する。制御部50は、係数αを「1」から「0」に切り換えてステップST45に進む。このとき、合成処理部34から出力される映像出力信号VSgは、映像信号VSeから合成用映像信号VSfに切り換えられる。したがって、合成処理部34は信号切換処理部として動作することとなる。
ステップST45で制御部50は切換処理を行ってステップST46に進む。この切換処理では、図3のステップST6と同様な処理を行う。
ステップST46で制御部50は、ミュート動作を終了する。すなわち、制御部50は、係数αを「0」から「1」に切り換えて信号切り換え処理を終了する。
このような処理を行うことで、切換処理の期間中はミュート動作が行われる。また、ミュート動作が行われているときの映像は、信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルに応じた映像とされる。
図9は、信号切り換え時の映像変化を示しており、ミュート動作を行う場合である。図9の(A)(B)は、信号切り換え操作が行われたときの映像を示している。ここで、信号切り換え操作が行われてミュート動作が行われると、係数αは「1」から「0」に変更されて、映像出力信号VSgは、合成用映像信号VSfを示すものとなる。ここで、合成用映像信号VSfの信号レベルは、信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルに応じて設定されることから、図9の(A)に示すように暗い映像のときは、合成用映像信号VSfの信号レベルが低く設定されて、図9の(C)に示すように、信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルに応じた暗い映像となる。また、図9の(B)に示すように明るい映像のときは、合成用映像信号VSfの信号レベルが高く設定されて、図9の(D)に示すように、信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルに応じた明るい映像となる。
この図9の(C)(D)に示す映像が表示されているミュート期間中に切り換え処理が行われて、切り換え処理が終了したときにはミュート動作を終了される。すなわち、係数αが「0」から「1」に変更されるので、映像出力信号VSgは、映像信号VSeを示すものとなる。したがって、ミュート動作の終了後は、図9の(E)(F)に示すように、信号切り換え操作によって選択した映像となる。
このように、信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルに応じて合成用映像信号VSfの信号レベルを設定すると、切換処理の期間にミュート動作を行っても、ミュート動作時による輝度レベルの変化を少なくできるので、信号切り換え時の品位の低下や、信号切り換え操作を繰り返したとき点滅したように映像表示が行われてしまうことを防止できる。
なお、信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルに応じて合成用映像信号の信号レベルを設定する場合、合成用映像信号の信号レベルは、信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルと合成用映像信号に基づく映像の輝度レベルが等しくなるように設定する場合に限られるものではない。例えば、信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルが非常に高い場合、その後信号切り換え操作によって選択される映像は、信号切り換え操作が行われたときの映像よりも暗い映像となる場合が多い。また、信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルが非常に低い場合、その後信号切り換え操作によって選択される映像は、信号切り換え操作が行われたときの映像よりも明るい映像となる場合が多い。したがって、信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルが、所定の閾値よりも高いときには、合成用映像信号に基づく映像の輝度レベルが信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルよりも低くなるいように合成用映像信号の信号レベルを設定する。また、信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルが、所定の閾値よりも低いときには、合成用映像信号に基づく映像の輝度レベルが信号切り換え操作が行われたときの映像の平均輝度レベルよりも高くなるように合成用映像信号の信号レベルを設定する。このように合成用映像信号の信号レベルを設定すれば、フェードイン動作における輝度レベル変化や、ミュート動作を終了したときの輝度レベル変化を小さくすることができる。
10・・・映像信号処理装置、11・・・衛星放送用アンテナ、12・・・衛星放送用チューナ、13,17・・・ディジタル復調部、15・・・地上放送用アンテナ、16・・・地上放送用チューナ、21・・・ストリーム切換部、22・・・デマルチプレクサ、23・・・デコーダ部、24・・・放送データ処理部、26・・・映像/音声復調部、28・・・外部入力端子、31・・・映像切換部、32・・・信号処理部、32a・・・メモリ、33・・・信号生成部、34・・・合成処理部、35・・・映像出力処理部、36・・・表示部、41・・・音声切換部、42・・・音声出力処理部、43・・・音声出力部、50・・・制御部、51・・・ユーザインタフェース部、55・・・バス、341,342・・・乗算器、343・・・加算器