JP2008252542A - 音響再生装置 - Google Patents

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Masayuki Tsuji
雅之 辻
Noboru Yashima
昇 八嶋
Yoshihiro Nishida
好宏 西田
Isao Otsuka
功 大塚
Yoshiyuki Inoue
禎之 井上
Kazuhiro Sugiyama
和宏 杉山
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Abstract

【課題】 任意の音量レベルにおいてオーディオ信号のクリッピングを発生させず、しかも、受聴位置において本来のオーディオ信号に基づく音響を忠実に再現できる音響再生装置を得ることを目的とする。
【解決手段】 音響空間に対する周波数振幅特性の第1の逆特性を発生させる第1の補正係数を演算する第1の演算ブロック100と、第1の逆特性の周波数に対する振幅が増加している部分で、その振幅を所定量だけ抑制する第2の逆特性を発生させる第2の補正係数を演算する第2の演算ブロック100aと、第1の補正係数と、第2の補正係数とを保持するメモリ8と、オーディオ信号の音量に基づいて、メモリ8に保持された第1の補正係数または第2の補正係数のいずれかを選択する選択手段9と、選択手段9により選択された第1の補正係数または第2の補正係数に基づき、オーディオ信号を補正するようにした。
【選択図】 図1

Description

この発明は、スピーカーから受聴位置までの周波数振幅特性の逆特性を発生させる補正係数によりオーディオ入力信号を補正し、受聴位置において本来のオーディオ信号を忠実に再現するように再生特性を改善した音響再生装置に関するものである。
テレビやステレオ等の各種AV機器のオーディオ再生系において、スピーカーから受聴位置までの音響空間には、様々な音響を変化させる要因がある。そのため、本来のオーディオ信号に基づく音響をスピーカーから放射したとしても、受聴位置においては音響特性が変化した音を受聴することになる。そこで、スピーカーから受聴位置までの音響空間に対する周波数振幅特性の逆特性を発生させる補正係数によりオーディオ信号を補正し、受聴位置にて本来のオーディオ信号に忠実な音が受聴できるような音響再生装置が提案されている。(例えば特許文献1および特許文献2参照。)
特開昭58−50812号公報(第5段、第1図) 特開平8−228396号公報(段落0044、第1図)
しかしながら、上記のように、逆特性に忠実な補正を行う場合、逆特性の周波数に対する振幅が大きく増大している部分がある場合には、増大部分に対応する周波数域での補正量が際立って大きくなる。そのため、音量を大きくした場合に、増大部分に対応する周波数域で補正後のオーディオ信号にクリッピングを生じてしまうという問題があった。また、このクリッピングを回避するために音量を上げることができず、快適な音を受聴することができないという問題があった。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、任意の音量レベルにおいてオーディオ信号のクリッピングを発生させず、しかも、受聴位置において本来のオーディオ信号に基づく音響を忠実に再現できる音響再生装置を得ることを目的とする。
この発明にかかる音響再生装置では、第1の補正係数または第2の補正係数をもつ非巡回型デジタルフィルタによりオーディオ信号を補正し、スピーカーから音響を放射する音響再生装置であって、前記スピーカーから前記音響の受聴位置までの音響空間に対する周波数振幅特性の第1の逆特性を発生させる第1の補正係数を演算する第1の演算ブロックと、前記第1の逆特性の周波数に対する振幅が増加している部分で、その振幅を所定量だけ抑制する第2の逆特性を発生させる第2の補正係数を演算する第2の演算ブロックと、前記第1の補正係数と、前記第2の補正係数とを保持する補正係数保持手段と、前記スピーカーに入力される前記オーディオ信号の音量に基づいて、前記補正係数保持手段に保持された前記第1の補正係数または前記第2の補正係数のいずれかを選択する選択手段とを備え、前記選択手段により選択された前記第1の補正係数または前記第2の補正係数に基づき、前記オーディオ信号を補正するようにした。
この発明によれば、音響空間に対する周波数振幅特性の逆特性を発生させる第1の補正係数と、第1の逆特性を示す周波数に対する振幅が増加している部分で、その振幅を所定量だけ抑制する第2の逆特性を発生させる第2の補正係数とを保持し、保持した補正係数の中から選択した補正係数によってオーディオ信号を補正することにより、任意の音量レベルにおいてオーディオ信号のクリッピングを発生させず、しかも、受聴位置において本来のオーディオ信号に基づく音響を忠実に再現できる音響再生装置を得ることができる。
実施の形態1.
図1〜図3は、本発明の実施の形態1に係る音響再生装置を説明するためのもので、図1は、音響再生装置の基本構成を示すブロック図、図2は音響再生装置のスピーカーから受聴位置までの音響空間に対する周波数振幅特性、つまり、全周波数領域に均等(平坦)な振幅のオーディオ信号がスピーカーに入力されたときの受聴位置での周波数振幅特性を示す図であり、横軸は周波数、縦軸は振幅(レベル)を示す。図3は図2の周波数振幅特性に対する第1の逆特性を示すものである。図1において、音響再生装置は、第1の補正係数H0または第2の補正係数H0aを用いて、非巡回型デジタルフィルタ2によって補正したオーディオ信号をスピーカー4から音響として放射するものである。
そして、音響再生装置は、スピーカー4から音響の受聴位置7までの音響空間に対する周波数振幅特性の第1の逆特性を発生させる第1の補正係数を演算する第1の演算ブロック100と、第1の逆特性の周波数に対する振幅が増加している部分で、その振幅を所定量だけ抑制する第2の逆特性を発生させる第2の補正係数H0aを演算する第2の演算ブロック100aと、第1の補正係数H0と、第2の補正係数H0aとを保持する補正係数保持手段であるメモリ8と、メモリ8に保持された第1の補正係数H0または第2の補正係数H0aのいずれかを選択する選択手段9を有し、非巡回型デジタルフィルタ2では、選択手段9により選択された第1の補正係数H0または第2の補正係数H0aに基づき、オーディオ信号を補正する。補正したオーディオ信号は電力増幅器3に出力され、電力増幅器3で増幅された補正後のオーディオ信号はスピーカー4から音響として放射される。スピーカー4から放射された音響は、音導管5とパンチングメタルからなる保護板6を経由して受聴位置までの音響空間を経て受聴位置7に達する。このとき、スピーカー4に全周波数領域に対して均等なレベルの周波数特性のオーディオ信号が入力された場合に、スピーカー4から放射された音響が受聴位置7に達したとき、つまり、受聴位置7で受聴される音響の周波数振幅特性は、図2に示すように、周波数に対して振幅が異なる特性を示す。これは、スピーカー4から受聴位置7までの音響伝達経路となる音響空間の図2に示すような周波数振幅特性によって変化したためである。
そこで、受聴位置7において、信号入力端子1に入力されたオーディオ信号を忠実に再現するためには、入力信号端子1からスピーカー4までの周波数振幅特性が図3に示す第1の逆特性となるように、第1の逆特性を発生させる第1の補正係数でオーディオ信号を補正すればよい。そこで、演算ブロック90には、音響空間に対する周波数振幅特性の第1の逆特性を発生させる第1の補正係数H0を演算するための、第1の演算ブロック100を有している。第1の演算ブロック100は、スピーカー4に対する周波数振幅特性の逆特性を発生させる補正係数H1を演算する演算ブロック101、音導管5に対する周波数振幅特性の逆特性を発生させる補正係数H2を演算する演算ブロック102、保護板6に対する周波数振幅特性の逆特性を発生させる補正係数H3を演算する演算ブロック103、保護板6の出力端から受聴位置7までの音響空間に対する周波数振幅特性の逆特性を発生させる補正係数H4を演算する演算ブロック104を有する。そして、第1の演算ブロック100は、各演算ブロック101〜104得られた各補正係数H1〜H4の積(H1×H2×H3×H4)から図3に示す第1の逆特性を発生させる第1の補正係数H0を演算する。
さらに、演算ブロック90は、第1の補正係数H0を修正した第2の補正係数H0aを演算する第2の演算ブロック100aを有している。第2の補正係数H0aは、第1の補正係数H0が発生させる第1の逆特性について、周波数に対する振幅が振幅の平均的な値より大きく増大する部分について、その振幅を所定量抑制した第2の逆特性を発生させるものである。
なお、上記各補正係数H1〜H4を求めるための周波数振幅特性は、平均的な機器構成に基づいて所定の雑音を発生させ、その再生音を測定して、LMS(Least Mean Square)アルゴリズム等の既存の適応信号処理アルゴリズムを用いて求めた値を採用している。
そして、第1の演算ブロック100及び第2の演算ブロック100aにて演算された第1の補正係数H0、および第2の補正係数H0aは補正係数保持手段であるメモリ8に保持される。メモリ8は選択手段子9から入力される選択信号に基づいて、第1の補正係数H0または第2の補正係数H0aのいずれかを非巡回型デジタルフィルタ2に出力する。非巡回型デジタルフィルタ2は、図示しない周波数域ごとに対応した複数の係数乗算器を有し、メモリ8から出力された第1の補正係数H0または第2の補正係数H0aを複数の係数乗算器に入力することにより、信号入力端子1から入力された、オーディオ信号を補正する。つまり、オーディオ信号を第1の補正係数H0または第2の補正係数H0aによって補正する。選択手段9は、スピーカー4に入力されるオーディオ信号の音量レベルに基づいて、非巡回型デジタルフィルタ2にて使用する補正係数を第1の補正係数H0と第2の補正係数H0aとのどちらかに切り替えることができる。あるいは、図示しない操作スイッチにより、スピーカー4に入力されるオーディオ信号の音量に基づいて、第1の補正係数H0と第2の補正係数H0aとのどちらかに切り替えることができる。
ここで、第2の補正係数H0aの算出について説明する前に、選択手段9にて第1の補正係数H0を選択している場合の動作について説明する。
信号入力端子1に平坦な周波数振幅特性のオーディオ信号が入力されると、非巡回型デジタルフィルタ2から出力される信号は図3に示す周波数振幅特性、つまり第1の補正係数H0に等しい周波数振幅特性に補正される。非巡回型デジタルフィルタ2により補正され、出力されたオーディオ信号は、電力増幅器3で増幅された後、スピーカー4から周波数振幅特性がH0の音響が出力される。このとき、入力信号端子1からスピーカー4までの周波数振幅特性は、図3に示すような第1の逆特性と等しくなる。そしてスピーカー4に入力されたオーディオ信号が図3に示す特性で音響として放射され、受聴位置7に到達したときには、スピーカー4から受聴位置7までの音響空間の周波数振幅特性(図2に示す特性)により、図4に示すように200Hz〜10数kHzの周波数領域で平坦な周波数振幅特性の、つまり、オーディオ信号に忠実な音として再生される。なお、周波数振幅特性の第1の逆特性を発生させる第1の補正係数H0は、スピーカー4の再生能力及び人間の聴覚特性上、オーディオ信号に対する補正効果の低い領域である200Hz以下および10数kHz以上の周波数領域については補正量を抑えている。
ここで、第2の補正係数H0aの演算についての説明を容易にするために、スピーカー4から受聴位置7までの音響空間に対する周波数振幅特性が、図5に示すように20dB相当のピークP(1kHz)とディップD(3kHz)を各1箇所のみ存在させた単純なものとし、第1の逆特性を発生させる第1の補正係数H0により補正した場合について再度説明する。
スピーカー4から受聴位置7までの音響空間に対しての図5に示す周波数振幅特性の第1の逆特性は図6のようになる。この場合、信号入力端子1に平坦な周波数振幅特性のオーディオ信号が入力されると、非巡回型デジタルフィルタ2から出力されるオーディオ信号は図6に示すような周波数振幅特性に補正される。そしてスピーカー4から放射された音響は、受聴位置7に到達したときには、スピーカー4から受聴位置7までの図5に示す周波数振幅特性により、図7に示すようにピークPやディップDが相殺され、200kHz〜10数kHzの周波数領域に対して、信号入力端子1に入力されたオーディオ信号と同じ平坦な周波数振幅特性の音として再生される。なお、オーディオ信号に対する補正効果の低い領域に対する考え方は単純化する前と同様であり、200Hz以下および10数kHz以上の周波数領域については補正量を抑えている。
このように、スピーカー4から受聴位置7までの周波数振幅特性の第1の逆特性を発生させる第1の補正係数H0に基づき補正を行うと、本来平坦なオーディオ信号が一度図6に示すような第1の逆特性に補正され、最終的に受聴位置7における放射音響特性は図7に示すようなオーディオ信号に忠実な平坦な受聴特性となる。この例では、ディップDに対する振幅の3kHzにおける振幅の補正量は、図6に示す第1の逆特性の平均的な振幅より、最大20dBも大きくなっている。
ここで、第1の補正係数H0によりオーディオ信号の補正を行うときの、オーディオ信号の音量の影響について検討する。図8は、2種類の音量レベルのオーディオ信号が非巡回型デジタルフィルタ2に入力されたときに非巡回型デジタルフィルタ2から出力される補正後のオーディオ信号(a)と、受聴位置7での音響の周波数振幅特性(b)を示し、大音量時をア、低音量時をイで示している。図において、上限レベルとは、非巡回型デジタルフィルタ2において、出力できる振幅の上限であり、下限レベルとは、受聴位置7において、音響を快適に受聴できる音量を維持するのに必要な非巡回型デジタルフィルタ2から出力されるオーディオ信号の平均レベルの下限値である。非巡回型デジタルフィルタ2の出力の上限レベルに近い音量のオーディオ信号が入力端子1に入力された場合(ア)、第1の補正係数H0により補正しようとしても、ディップDを相殺するための3kHz部分でのオーディオ信号の振幅は、図8(a)のアの矢印に示すように上限レベルを超えることはできず、上限レベルで規制(クリッピングC)され、第1の逆特性から外れた周波数振幅特性に補正される。その場合、受聴位置7での周波数振幅特性は、図5に示す3kHz部分のディップDが十分に補正されずに残留し、図8(b)のアの矢印に示すように補正漏れが生じたものとなる。あるいは、非巡回型デジタルフィルタ2において上限レベルを超えた出力ができ、受聴位置において見かけ上平坦な周波数振幅特性が得られたとしても、3kHz部分で歪が発生し、結果的に全体として歪のある音響を受聴することになる。
このような不具合を避けるためには、図8(a)のイに示すようにオーディオ信号のレベルを下げて、ディップDに対する補正量(20dB)を上回る補正余地(図では24dB)を有するようにする。これにより、受聴位置7での周波数振幅特性は図8(b)のイに示すように歪のないオーディオ信号に忠実な音を再生することできる。しかし、補正後のオーディオ信号の平均値は快適に受聴できる音量を維持できる値を下回ることになり、全体的な音圧が低下して快適な音を再生することが困難となる。
つまり、スピーカー4から受聴位置7までの音響空間に対する周波数振幅特性の第1の逆特性を発生させる第1の補正係数H0に基づく補正により、オーディオ信号に忠実な音を再生することができるが、その補正を徹底すると、オーディオ信号のレベルによっては逆に歪や音量低下を招き、快適な音を再生することができないことになる。図8(a)で説明すれば、音圧の下限レベルと上限レベル間のマージンが24dBあったとしても、第1の逆特性を発生させる第1の補正係数H0に基づく補正を徹底した場合、つまり補正係数H0で補正した場合に許容されるオーディオ信号のレベルの変化はディープDを補正するための振幅20dB分を減じた4dBのみとなり、それ以外の範囲では上記のように忠実で快適な音を再生することはできなくなる。
さらに、上記第1の逆特性を発生させる第1の補正係数H0による図5から図7に示す補正の例は、説明のために単純化した場合であり、受聴特性が完全な直線によって平坦化されることは現実には困難である。また、非巡回型デジタルフィルタ2の乗算器の数は有限個であり、周波数の分解能も有限であるので、例えば、図2に示す複雑な周波数振幅特性に対してピークPおよびディップDを完全に取り去ることは困難であり、結果として図4のように小さなピークPやディップDが残留することになる。また、乗算器数を増加させて、理想的に補正することができるとしても、スピーカー4から受聴位置7までの各構成要素の特性には、ばらつきや経時変化がある。つまり、極端に大きなディップDやピークPを抑制することができれば、実質的には問題なくオーディオ信号を再生できることになる。
そこで、第2の演算ブロック100aでは、第1の逆特性の周波数に対する振幅が振幅の平均値に対して大きく増大しているディップD部分に対し、その振幅を図9に示すように抑制するようにした。つまり、周波数3kHz部分のディップDを相殺するための振幅を第1の逆特性における20dBの振幅の半分にあたる10dBに抑制した第2の逆特性を発生させる第2の補正係数H0aを演算した。但し、特定の周波数(3kHz)の補正量のみを変化させるように修正すると、受聴時に違和感のある音となるので、3kHzを中心として周波数方向に亘って連続的に補正量が変化するように修正をかけた。
第2の補正係数H0aによる補正では、3kHz近傍についてのディップDを相殺するための振幅量を抑制しているので、図6のディップDを完全に取り去ることはできないが、音圧の下限レベルと上限レベル間のマージンが24dBあった場合に許容されるオーディオ信号の音量レベルの変化はディープDに対する抑制した振幅の10dB分を減じた14dBに拡大され、広い音量範囲でオーディオ信号に忠実でしかも快適な音を再生することができる。
本実施の形態1においては、音響空間に対する周波数振幅特性の第1の逆特性を発生させる第1の補正係数H0と、第1の逆特性の周波数に対する振幅が増加している部分で、その振幅を所定量だけ抑制する第2の逆特性を発生させる第2の補正係数H0aを有し、ユーザの嗜好に応じて選択した第1の補正係数H0または第2の補正係数H0aによりオーディオ信号を補正するようにした。これにより、音量が小さな領域では、オーディオ信号に忠実な再生ができるとともに、広い音量範囲の領域で実質的にオーディオ信号に忠実でしかも快適な音を再生することができる音響再生装置を得ることができる。
実施の形態2.
図10に本発明の実施の形態2に係る音響再生装置を示す。本実施の形態2では、音響再生装置の非巡回型デジタルフィルタ2の前に入力調整手段10、非巡回型デジタルフィルタ2の後にスピーカー4から放射する音響の音量を音量設定値に基づいて調整するボリューム調整手段(音量調整手段)11を設け、選択手段9は、音量調整手段11の音量設定値に基づいて選択信号を出力するようにした。他の構成については実施の形態1と同様であり、対応する部分については説明を省略する。
信号入力端子1から入力されたオーディオ信号は、入力調整手段10によって所定の音量レベルのオーディオ信号に調整される。所定の音量レベルに調整されたオーディオ信号は、非巡回型デジタルフィルタ2によって所定の補正係数によって補正された後、音量調整手段11に出力される。音量調整手段11は、ユーザに操作される図示しない操作つまみを有し、操作つまみによって設定された音量設定値にしたがって入力された補正後のオーディオ信号を増幅(減衰)して、電力増幅器3に出力する。また、音量調整手段11は、設定された音量設定値を示す音量設定信号を選択手段9に出力する。
選択手段9は、音量調整手段11から出力された音量設定信号(音量設定値)を所定値と比較し、音量設定値が所定値(10)以下の場合(入力信号が最低レベルである0から中音量域である10までの値を示す場合)、第1の補正係数H0を選択する切替信号を出力し、音量設定値が10を超えた大音量に設定された場合(入力信号が10を超える値を示す場合)、第2の補正係数H0aを選択する切替信号を出力する。したがって、非巡回型デジタルフィルタ2は、音量調整手段11の音量設定値に応じて補正係数保持手段(メモリ8)に保持された補正係数を自動的に切り替え、音量設定値が所定値(10)以下のときは第1の補正係数H0を使用し、音量設定値が所定値(10)より大きいときは第2の補正係数H0aを使用してオーディオ信号を補正する。
ここで、選択手段9が切替信号を変更する目安としたボリューム調整手段11の音量設定値(10)は、実施の形態1において述べた第1の補正係数H0を用いたときにクリッピングを発生させる、つまり、第1の逆特性における振幅のうち、ディップDを相殺させるために増大された3kHz部分の振幅が電力増幅器3での振幅の上限レベルに一致する音量設定値である。これにより、音量設定値を変化させるだけで、音量設定値が小さな場合には、最も忠実にオーディオ信号が再生できる第1の補正係数によりオーディオ信号を補正でき、音量設定値が大きくなった場合には、歪みや補正漏れがなく、忠実にオーディオ信号が再生できる第2の補正係数によりオーディオ信号を補正できるようになる。
なお、本実施の形態2においては、第1の補正係数H0と第2の補正係数H0aとを、音量調整手段11の音量設定値に基づいて切り替えるようにしたが、入力調整手段10における音量に基づいて切り替えるようにしてもよい。また、入力調整手段10の音量およびボリューム調整手段11の音量設定値双方の値(例えば積や和)に基づいて切り替えるようにしてもよい。
本実施の形態2においては、音響空間に対する周波数振幅特性の第1の逆特性を発生させる第1の補正係数H0と、第1の逆特性の周波数に対する振幅が増加している部分で、その振幅を所定量だけ抑制する第2の逆特性を発生させる第2の補正係数H0aを有し、音量調整手段11の音量設定値に連動して、音量設定値が小さいときは第1の補正係数H0を使用し、音量設定値が大きいときは第2の補正係数H0aを使用してオーディオ信号を補正するようにした。これにより、任意の音量レベルにおいて、歪や補正漏れが無く、しかもオーディオ信号に忠実な音を再生することができる音響再生装置を得ることができる。
実施の形態3.
図11は、本発明の実施の形態3に係る音響再生装置における、音量調整手段の音量設定値と音量調整手段から出力されるオーディオ信号の音量レベルの関係を示すものである。本実施の形態3は、実施の形態2における音響再生装置において、音量調整手段11の音量設定値と出力される音量レベルとの関係を調整したものである。他の構成については実施の形態2と同様であり、対応する部分については説明を省略する。
図において、横軸は音量調整手段11の音量設定値で縦軸は音量調整手段11から出力される音量レベルである。一般的な音量調整手段では、一点鎖線で示すように音量設定値が大きくなるにしたがって、音量レベルは連続的に大きくなる。一方、本実施の形態3における音量調整手段11では、実線(A−B−C−D)で示すように音量設定値がVsの部分において、出力する音量レベルがB点からC点にステップ状に変化するように設定している。そして、このVsは、実施の形態2において、選択手段9が切替信号を切り替える音量設定値(10)に対応する。
図12は、第1の補正係数H0と第2の補正係数H0aが発生させる第1の逆特性と第2の逆特性との振幅の平均値の説明を容易にするために示した第1の逆特性(図12(a))と、第2の逆特性(図12(b))の例である。図中の破線で示したレベルav1が第1の逆特性における振幅の平均値であり、一点鎖線で示したレベルav2が第2の逆特性における振幅の平均値である。第2の逆特性では、振幅が増大している2kHz〜5kHzの振幅を抑制した分、振幅の平均値が低下している。
このとき、図11における破線のようにボリューム調整手段11における出力が直線状に変化する場合、ボリューム調整手段1のボリューム設定を上げて、音量設定値がVsを超えた瞬間に、非巡回型デジタル信号フィルタ手段2において補正係数が第1の補正係数H0から第2の補正係数H0aに切り替わる。すると、音量レベルを上げているにも関わらず、レベルav1とレベルav2の差に由来する音圧が低下することになる。しかし、本実施の形態3においては、音量設定値Vsの部分で第1の逆特性における振幅の平均値と第2の逆特性における振幅の平均値との差に由来する音圧の低下を補償するようにステップ状に音量レベルが増大する(C点とB点の差)ように設定している。したがって、音量設定値を第1の補正係数H0と第2の補正係数H0aが切り替わるVsを超えて変化させる際に、受聴位置7で感じる音圧が音量の調整方向と逆方向に変化することがなく、違和感のない音量操作が可能となる。
つまり、本実施の形態3によれば、第1の逆特性を発生させる第1の補正係数H0と、第2の逆特性を発生させる第2の補正係数H0aを有し、選択手段9が音量設定値に連動して補正係数を切り替えてオーディオ信号を補正する際に、音量調整手段11は、第1の補正係数H0が発生させる第1の逆特性における振幅の平均値と第2の補正係数H0aが発生させる第2の逆特性における振幅の平均値との差に由来する音圧差を補償するように音量を調整するようにした。これにより、任意の音量レベルにおいて、歪や補正漏れが無く、オーディオ信号に忠実な音を再生することができ、しかも、違和感無く音量調整ができる音響再生装置を得ることができる。
実施の形態4.
図13は、本発明の実施の形態4に係る音響再生装置における、第2の逆特性を示す図である。本実施の形態4での第2の逆特性は、逆特性の変化に由来する音圧差を補償するように第2の逆特性における振幅の平均値を調整したものである。本実施の形態4は、音圧差を補償するために、実施の形態2における音響再生装置において、第2の補正係数H0aが発生させる第2の逆特性における振幅の平均値を第1の補正係数H0が発生させる第1の逆特性における振幅の平均値と一致するように第2の補正係数H0aを調整した。他の構成については実施の形態2と同様であり、対応する部分については説明を省略する。
図において、破線av1は本実施の形態における第2の逆特性における振幅の平均値であり、図12(a)に示す第1の逆特性における振幅の平均値と一致している。実施の形態3で述べたように、単に振幅が増大する周波数領域の振幅を抑制すると、図12(b)の一点鎖線で示したように第2の逆特性における振幅の平均値はav2に低下する。そこで、第2の演算ブロック100a(図10)は、図13に示すように第2の逆特性における振幅の平均値が第1の逆特性における振幅の平均値av1に一致するように第2の補正係数H0aを演算する。
このとき、音量調整手段11が、実施の形態3の図11における一点鎖線のように設定値に対して連続的に出力が変化するような特性である場合にも、第1の補正係数H0から第2の補正係数H0aに切り替わっときに出力される音圧は、音量の調整方向と逆方向に変化することがなく、違和感のない音量操作が可能となる。
つまり、本実施の形態4によれば、第1の逆特性を発生させる第1の補正係数H0と、第1の逆特性の振幅が増大する周波数領域の振幅を抑制する第2の補正係数H0aを有し、かつ、第2の補正係数H0aが発生させる第2の逆特性における振幅の平均値と第1の補正係数H0が発生させる第1の逆特性における振幅の平均値との差に由来する音圧差を補償するように、第2の補正係数H0aを調整し、音量設定値に連動して補正係数を切り替えてオーディオ信号を補正するようにした。これにより、任意の音量レベルにおいて、歪や補正漏れが無く、オーディオ信号に忠実な音を再生することができ、しかも、音圧差に起因する違和感が無く、快適に音量調整ができる音響再生装置を得ることができる。
なお、本実施の形態3では、音圧差を補償するために第1の逆特性、および第2の逆特性における振幅の平均値であるレベルav1とレベルav2を一致させるようにしたが、これに限定されることは無く、例えば、特定の周波数域の振幅を一致させる、あるいは、入力信号の特性に基づいてその他の変数を操作するようにしてもよい。
実施の形態5.
図14は、本発明の実施の形態5に係る音響再生装置における、逆特性を示す図であり、(a)は音量設定値がVs以下のときの音響空間に対する周波数振幅特性の第1の逆特性を、(b)は音量設定値がVs以上のときの音響空間に対する周波数振幅特性の第1の逆特性の周波数に対する振幅が増加している部分で、その振幅を所定量だけ抑制する第2の逆特性を示す。つまり、本実施の形態5では、音量設定値がVs以下のときとVs以上ときとで、スピーカー4から受聴位置7までの音響空間に対する周波数振幅特性が変化する場合に、両状態間で異なる周波数振幅特性を基にした逆特性を発生させる補正係数を使用するものである。他の構成については上記実施の形態2〜4と同様であり、対応する部分については説明を省略する。
つまり、本実施の形態5によれば、第1の補正係数H0は、中音量域、つまり音量設定値がVs以下のときの周波数振幅特性に対する逆特性を発生させるものである。そして、第2の補正係数H0aLは、大音量域、つまり、音量設定値がVs以上のときの周波数振幅特性に対する第1の逆特性の周波数に対する振幅が増加している部分で、その振幅を所定量だけ抑制する第2の逆特性を発生させるものとした。これにより、任意の音量レベルにおいて、歪や補正漏れが無く、オーディオ信号に忠実な音を再生することができ、しかも、違和感無く音量調整ができる音響再生装置を得ることができる。
なお、上記各実施の形態においては、説明の間便化のために、補正係数としては第1の補正係数H0および第2の補正係数H0aによる2種類の補正係数を切り替えて使用するように構成しているが、これに限定するものではない。音量の区分をさらに多くの段階に区切り、段階ごとに異なる逆特性を発生させる補正係数を保持し、音量設定値に応じて段階的に補正係数を切り替える構成としてもよい。
実施の形態6.
上記各実施の形態では、音響再生装置が設置される環境が一定であると仮定し、平均的な設置状況における音響空間に対する周波数振幅特性の逆特性を発生させる補正係数によってオーディオ信号に忠実な音響を再生するようにしていた。
本実施の形態6は、スピーカー4から受聴位置7までの音響空間の周波数振幅特性が、音響再生装置の設置される環境によって変化することを考慮したものである。図15〜図17は、本発明の実施の形態6に係る音響再生装置を示すもので、図15は、スピーカーから受聴位置までの音響空間の例を示す図、図16は音響再生装置が音響空間に放射された音響を反射する反射面が存在する音響空間に設置されたときの構成を示す図、図17は音響再生装置が音響空間に放射された音響を吸収する吸収体(受聴者)が存在する音響空間に設置されたときの構成を示す図である。他は上記各実施の形態1〜5と同様であり、対応する部分の説明は省略する。
図15において、スピーカー4から放射された音響は、受聴位置7に直接到達する直接波201による音響と、反射面200で反射されて受聴位置7に到達する反射波202による音響とに分かれる。つまり、受聴位置7の受聴特性としては直接波201と反射波202の合成となり、反射波202の強度が、直接波201に対して無視できない程度に大きい場合には、反射波202を考慮して音響空間の周波数振幅特性を設定する必要がある。
このとき、反射波202の特性は、反射面200の材質によって変化する。しかし、音響再生装置が設置される部屋の床材(フローリング、じゅうたん、畳等)、壁材(板、土、紙、コンクリート等)、天井材(板、石膏ボード等)及びスピーカー4から受聴位置7までの距離等について複数のパターンを想定し、それぞれのパターンについてパラメータを設定することにより、ほとんどの設置環境に対応した音響空間に対する周波数振幅特性を得ることができる。また、音響空間での受聴者等の存在は音響放射を減衰させる吸収体となり、これも音響空間の周波数振幅特性を変化させる要因となるが、吸収体の配置について複数のパターンを想定し、それぞれのパターンについてパラメータを設定することにより、ほとんどの受聴状況に対応した音響空間に対する周波数振幅特性を得ることができる。
そこで、スピーカー4から受聴位置7までの距離、音響空間の周波数振幅特性を変化させる反射面200や吸収体300a〜300c(総称して300と記す)の配置といった音響再生装置の設置状況について複数のパターンを設定する。そして、設定したパターン毎に上述したLMSアルゴリズム等の演算方法により周波数振幅特性を求め、求めた周波数振幅特性の変化を補償するように、第1の補正係数H0と第2の補正係数を修正するための修正関数を補正係数修正手段12は保持する。修正関数としては、第1の補正係数H0、第2の補正係数H0aと同様に、周波数ごとに対応した係数で構成し、周波数ごとの振幅に対して係数を乗ずることにより、第1の補正係数H0および第2の補正係数H0aを修正することができる。そして、想定したパターンの中から音響再生装置の設置状況を選択すると、補正係数修正手段12は選択された設置状況のパターンに対応した修正関数により、第1の演算ブロック100で演算された第1の補正係数H0を第3の補正係数H0mに、第2の演算ブロック100aで演算された第2の補正係数H0aを第4の補正係数H0amに修正し、第3の補正係数H0mと第4の補正係数H0amを補正係数保持手段であるメモリ8に出力する。
このような構成では、設置状況選択手段13は、図示しない音響再生装置のメニューで、受聴位置7までの距離や反射面200や吸収体300等が存在するパターン化された音響空間の状況の中から実際の設置状況に適したひとつのパターンを選択できるように設定している。そして設置状況選択手段13は、選択されたパターンのパターン番号を補正係数修正手段12に出力する。補正係数修正手段12は、入力されたパターン番号にしたがって予め保持された修正関数の中から必要な修正関数を選択し、第1の演算ブロック100から出力された第1の補正係数H0と第2の演算ブロック100aから出力された第2の補正係数H0aを第3の補正係数H0mおよび第4の補正係数H0amに修正してメモリ8に出力する。
例えば、図16のように反射面200が存在する設置状況が選択された場合、修正関数によって修正された第3の補正係数H0mは、反射面200の存在する音響空間に対して修正された周波数振幅特性の第3の逆特性を発生させるものとなり、修正関数によって修正された第4の補正係数H0amは、第3の逆特性の振幅が増加している部分の振幅を抑制した第4の逆特性を発生させるものとなる。また、図17のように音響空間に吸収体である受聴者300が存在する状況を選択した場合には、修正関数によって、第1の補正係数H0は、受聴者300が存在する音響空間に対して修正された周波数振幅特性の第3の逆特性を発生させるもの(H0m)に修正され、第2の補正係数H0aは、第3の逆特性の振幅が増加している部分の振幅を抑制した第4の逆特性を発生させるもの(H0am)に修正される。なお、図17においては、説明のため、吸収体である受聴者300を300a〜300cの3人として示しているが、これに限定されることなく、吸収体としての受聴者数や受聴者以外のもの(ソファー等)の配置についてパターン化されていることはいうまでもない。
そして、メモリ8は第3の補正係数H0mと、第4の補正係数H0amを保持することになる。
これにより、非巡回型デジタルフィルタ2では、音響再生装置の設置状況に対して最適な第3の補正係数H0mおよび第4の補正係数H0amを使用してオーディオ信号を補正し、オーディオ信号に忠実な音を再生することができる音響再生装置が得られる。
なお、本実施の形態6では、簡便化のために第1の補正係数H0、第2の補正係数H0aを元にした第3の補正係数H0m、第4の補正係数H0amの例について説明したが、音量設定値や音量を複数段階に区切り、その段階ごとに異なる逆特性を発生させる補正係数に対して修正を行うこともできる。また、上記各実施の形態2〜5における音量設定値と連動した切り替え機能と組み合わせることができることはいうまでもない。
つまり、本実施の形態6によれば、スピーカー4から受聴位置7までの距離および、音響空間に放射された音響を反射する反射体200、音響空間に放射された音響を吸収する吸収体300に配置について、予め設定された複数のパターンを有し、そのパターンの中からひとつの配置パターンを選択する設置状況選択手段13と、複数のパターン毎に周波数振幅特性の変化を補償する修正関数を保持し、選択されたパターンに対応する修正関数を用いて、第1の演算ブロック100で演算された第1の補正係数H0と第2の演算ブロック100aで演算された第2の補正係数H0aを修正する補正係数修正手段12とを有し、メモリ8は、補正係数修正手段12から出力された第3の補正係数H0mと第4の補正係数H0amとを保持することにより、音響再生装置の設置環境や受聴状況に応じて最適な補正係数によりオーディオ信号を補正できるので、様々な設置環境や受聴環境に対応して最適な補正により、オーディオ信号に忠実な音を再生することができる。
実施の形態7
本実施の形態7も、スピーカー4から受聴位置7までの音響空間の周波数振幅特性が、音響再生装置の設置される環境によって変化することを考慮したものである。図18は、本発明の実施の形態7に係る音響再生装置を示す図である。他は上記実施の形態6と同様であり、対応する部分の説明は省略する。
図18において、演算ブロック190には、10個の演算ブロック190a、190b、190c〜190jを有している。ここで、本実施の形態7では、スピーカー4から受聴位置7までの距離、音響空間の周波数振幅特性を変化させる反射面200や吸収体300の配置といった音響再生装置の設置状況について想定される設置パターンの内、10種の設置パターンを設定している。そして、各演算ブロックは、設定された各設置パターンに対応し、上述したLMSアルゴリズム等の演算方法により、設置パターン毎に求めた周波数振幅特性の逆特性を発生させる補正係数Hma〜Hmjを演算する。そして、各演算ブロック190a〜190jが演算した各補正係数Hma〜Hmjは、補正係数保持手段であるメモリ8に保持される。そして、設置状況選択手段13により、設定したパターンの中から音響再生装置の設置状況を選択すると、メモリ8は保持している補正係数Hma〜Hmjの中から選択された設置状況のパターンに対応した補正係数を選択し、選択した補正係数を非巡回型デジタルフィルタ2に出力する。
非巡回型デジタルフィルタ2は、図示しない周波数域ごとに対応した複数の係数乗算器を有し、補正係数Hma〜Hmjのうち、メモリ8から出力された補正係数を複数の係数乗算器に入力することにより、信号入力端子1から入力された、オーディオ信号を補正する。つまり、オーディオ信号を補正係数Hma〜Hmjのうち、音響再生装置の設置状況に応じた補正係数によって補正する。これにより、音響再生装置の設置状況に対応して最適な補正により、オーディオ信号に忠実な音を再生することができる。
なお、上記各演算ブロック190a〜190jのうち、演算ブロック190aは上記各実施の形態1〜6における演算ブロック100に相当し、補正係数Hmaは第1の補正係数H0に相当するものである。また、設置状況選択手段13は、図示しない表示画面で表示させたメニューに基づき、ユーザにパターン選択させることができるが、自動的に選択できるようにしてもよい。例えば、個々の音響再生装置において、実際の設置状況に対して上述したELMアルゴリズムにより周波数振幅特性を発生させるための全周波数レベルに対する測定を実施することは困難である。しかし、予め設定されたパターンの中で、実際の設置状況に最も適合しているパターンを選択することのみを目的として、所定のパターン(周波数、波形等)の音響に対する特性を測定する場合は、簡易な構成で実現することができる。
例えば、図示しないが、所定のパターンの音響をスピーカー4から放射させる発信装置と、受聴位置での音響を受信するマイクと、判定手段を設ける。そして、例えば、ディップDを発生させる3kHzの音響と平坦な特性と想定される500kHzの音響を発生させ、マイクで受信した両周波数の振幅により、設置状況がどのパターンに該当するかの判定結果を設置状況選択手段13に出力する。これにより、特に補正の際に問題となるディップDに対する補正が最適となる補正係数を音響再生装置の設置状況に対応して自動的に選択し、設置状況に対応した最適な補正係数により、オーディオ信号に忠実な音を再生することができる。
なお、本実施の形態7における設置状況のパターン数は10に限定されること無く、他の数に変更できることはいうまでもない。また、上述した実施の形態1〜5における音量により補正係数を切り替える構成を、本実施の形態7における設置状況に応じて補正係数を切り替える構成に組み合わせてもよい。
その場合、設置状況の変化によるスピーカー4から受聴位置7までの音響空間における周波数振幅特性の変化がディップDに関するものであるとき、第1の補正係数でのディップに対する逆特性の振幅が最適化されることにより、第2の補正係数を演算する際のディップに対する振幅の抑制量も好適化され、オーディオ信号に忠実で、しかも歪の無い音響を再生することが可能となる。
本発明の実施の形態1に係る音響再生装置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る音響空間の周波数振幅特性を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る音響空間の周波数振幅特性に対する第1の逆特性を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る受聴位置での音響の周波数振幅特性を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る音響空間の周波数振幅特性を単純化して示す図である。 本発明の実施の形態1に係る音響空間の単純化した周波数振幅特性に対する第1の逆特性を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る音響空間の単純化した周波数振幅特性に対応する受聴位置での音響の周波数振幅特性を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る補正後のオーディオ信号と受聴位置での周波数振幅特性を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る第2の逆特性を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る音響再生装置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態3に係る音響再生装置における音量設定手段の特性を示す図である。 本発明の実施の形態3に係る音響再生装置における第1の逆特性と第2の逆特性を示す図である。 本発明の実施の形態4に係る音響再生装置における第1の逆特性と第2の逆特性を示す図である。 本発明の実施の形態5に係る音響再生装置における第1の逆特性と第2の逆特性を示す図である。 本発明の実施の形態6に係る音響空間の例を示す図である。 本発明の実施の形態6に係る反射体の影響が大きな音響空間に設置された音響再生装置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態6に係る吸収体の影響が大きな音響空間に設置された音響再生装置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態7に係る音響再生装置の構成を示す図である。
符号の説明
1 オーディオ信号入力端子、 2 非巡回型デジタルフィルタ、 3 電力増幅器、 4 スピーカー、 5 音導管、 6 保護板、 7 受聴位置、 8 補正係数保持手段(メモリ)、 9 選択信号入力端子、 10入力調整手段、 11 音量調整手段、 12 補正係数修正手段、 13 設置状況選択手段、 90、190 演算ブロック、 100 第1の演算ブロック、 100a 第2の演算ブロック、200a〜200j 演算ブロック、 110 態様選択手段、

Claims (7)

  1. 第1の補正係数または第2の補正係数をもつ非巡回型デジタルフィルタによりオーディオ信号を補正し、スピーカーから音響を放射する音響再生装置であって、
    前記スピーカーから前記音響の受聴位置までの音響空間に対する周波数振幅特性の第1の逆特性を発生させる第1の補正係数を演算する第1の演算ブロックと、
    前記第1の逆特性の周波数に対する振幅が増加している部分で、その振幅を所定量だけ抑制する第2の逆特性を発生させる第2の補正係数を演算する第2の演算ブロックと、
    前記第1の補正係数と、前記第2の補正係数とを保持する補正係数保持手段と、
    前記スピーカーに入力される前記オーディオ信号の音量に基づいて、前記補正係数保持手段に保持された前記第1の補正係数または前記第2の補正係数のいずれかを選択する選択手段とを備え、
    前記選択手段により選択された前記第1の補正係数または前記第2の補正係数に基づき、前記オーディオ信号を補正するようにした音響再生装置。
  2. 前記スピーカーから放射する音響の音量を音量設定値に基づいて調整する音量調整手段を有し、
    前記選択手段は、前記音量設定値が所定値以下の場合は前記第1の補正係数を、前記音量設定値が前記所定値以上の場合は前記第2の補正係数を選択する
    ことを特徴とする請求項1に記載の音響再生装置。
  3. 前記音量調整手段は、前記音量設定値が前記所定値を超えて変化するとき、前記第1の逆特性における振幅の平均値と前記第2の逆特性における振幅の平均値との差に由来する音圧差を補償するように音量を調整する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音響再生装置。
  4. 前記第2の演算ブロックは、前記第2の逆特性における振幅の平均値と前記第1の逆特性における振幅の平均値との差に由来する音圧が一致するように前記第2の補正係数を演算する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音響再生装置。
  5. 前記第1の補正係数は、前記音量設定値が前記所定値以下の場合は、前記音量所定値が前記所定値以下のときの前記音響空間に対する周波数振幅特性の第1の逆特性を発生させ、
    前記第2の補正係数は、前記音量設定値が前記所定値以上の場合は、前記音量設定値が前記所定値以上のときの前記音響空間に対する周波数振幅特性の第1の逆特性を示す周波数に対する振幅が増加している部分で、その振幅を所定量だけ抑制する第2の逆特性を発生させる、
    ことを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか一項に記載の音響再生装置。
  6. 第3の補正係数または第4の補正係数をもつ非巡回型デジタルフィルタによりオーディオ信号を補正し、スピーカーから音響を放射する音響再生装置であって、
    前記スピーカーから前記音響の受聴位置までの音響空間に対する周波数振幅特性の第1の逆特性を発生させる第1の補正係数を演算する第1の演算ブロックと、
    前記第1の逆特性の周波数に対する振幅が増加している部分で、その振幅を所定量だけ抑制する第2の逆特性を発生させる第2の補正係数を演算する第2の演算ブロックと、
    前記スピーカーから前記受聴位置までの距離、前記音響空間に放射された音響を反射する反射体、前記音響空間に放射された音響を吸収する吸収体に関する複数の配置パターンを有し、前記複数の配置パターンの中からひとつの配置パターンを選択する設置状況選択手段と、
    前記複数の配置パターン毎に前記周波数振幅特性の変化を補償する修正関数を保持し、前記選択した配置パターンに対応した修正関数により前記第1の補正係数を第3の補正係数に修正し、前記第2の補正係数を第4の補正係数に修正する補正係数修正手段と、
    前記第3の補正係数と、前記第4の補正係数とを保持する補正係数保持手段と、
    前記スピーカーに入力される前記オーディオ信号の音量に基づいて、前記補正係数保持手段に保持された前記第3の補正係数または前記第4の補正係数のいずれかを選択する選択手段とを備え、
    前記選択手段により選択された前記第3の補正係数または前記第4の補正係数に基づき、前記オーディオ信号を補正するようにした音響再生装置。
  7. 補正係数をもつ非巡回型デジタルフィルタによりオーディオ信号を補正し、スピーカーから音響を放射する音響再生装置であって、
    前記スピーカーから前記受聴位置までの距離、前記音響空間に放射された音響を反射する反射体、前記音響空間に放射された音響を吸収する吸収体に関する複数の配置パターン毎の前記スピーカーから前記音響の受聴位置までの音響空間に対する周波数振幅特性の逆特性を発生させる補正係数を演算する演算ブロックと、
    前記複数の配置パターン毎の演算ブロックにより演算された複数の補正係数を保持する係数保持手段と、
    前記複数の配置パターンの中から1つの配置パターンを選択し、選択された配置パタ−ンに応じて、前記係数保持手段に保持された前記複数の補正係数の中から1つの補正係数を選択する設置状況選択手段と、
    前記設置状況選択手段により選択された補正係数に基づき、前記オーディオ信号を補正するようにした音響再生装置。
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