JP2008251542A - 発光装置および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】トップエミッション型の発光装置において、発光スペクトルの狭帯域化または出射光量の増大を達成する。
【解決手段】基板11と、基板11上に形成され、光を反射する光反射層13と、光反射層13上に形成され、光を透過させる透明層1と、透明層1上に形成され、光を透過させる透明電極14と、透明電極14上に形成され、発光する発光層15と、発光層15上に形成され、発光層15からの光の一部を透過させ、当該光の他の一部を反射する半反射電極16とを備える。透明層1は消光係数が透明電極14よりも小さい材料から形成されている。半反射電極16は仕事関数が4エレクトロンボルト以下である。
【選択図】図1
【解決手段】基板11と、基板11上に形成され、光を反射する光反射層13と、光反射層13上に形成され、光を透過させる透明層1と、透明層1上に形成され、光を透過させる透明電極14と、透明電極14上に形成され、発光する発光層15と、発光層15上に形成され、発光層15からの光の一部を透過させ、当該光の他の一部を反射する半反射電極16とを備える。透明層1は消光係数が透明電極14よりも小さい材料から形成されている。半反射電極16は仕事関数が4エレクトロンボルト以下である。
【選択図】図1
Description
本発明は、発光装置および電子機器に関する。
有機EL(Electro Luminescent)素子や無機EL素子などのEL素子を備えた発光装置には、その多くの用途で、発光スペクトルの狭帯域化と出射光量の増大とが望まれている。これらの要望に応えることができる発光装置として、EL素子とその基板との間に誘電体ミラーを配置してマイクロキャビティを構成した発光装置が挙げられる(特許文献1)。この発光装置はボトムエミッション型であり、EL素子からの光は、その基板を透過して出射する。
EL素子を備えた発光装置において、EL素子の基板は極めて厚い。したがって、出射光量の増大の観点では、ボトムエミッション型の発光装置よりも、EL素子からの光が基板とは反対の側に出射するトップエミッション型の発光装置の方が望ましいことになる。また、トップエミッション型の発光装置においても、出射光量の更なる増大が望まれている。また、有機EL素子を備えた発光装置を、電子写真方式の画像形成装置の露光装置として用いる用途や、画像を表示する表示装置として用いる用途では、発光スペクトルの更なる狭帯域化が望まれている。そこで、特許文献1に記載の技術をトップエミッション型の発光装置に適用することを考える。
しかし、特許文献1に記載の技術を適用したトップエミッション型の発光装置では、その製造において、基板上に形成したEL素子上に誘電体ミラーを形成する必要があり、この形成によってEL素子(例えば発光層)が大きく損傷する虞がある。大きく損傷したEL素子の発光特性は著しく悪くなるため、特許文献1に記載の技術を、トップエミッション型の発光装置に適用することは困難である。
そこで、本発明は、発光スペクトルの狭帯域化または出射光量の増大を達成可能なトップエミッション型の発光装置および電子機器を提供する。
本発明は、基板と、前記基板上に形成され、光を反射する反射層と、前記反射層上に形成され、光を透過させる透明層と、前記透明層上に形成され、光を透過させる第1電極と、前記第1電極上に形成され、発光する発光層と、前記発光層上に形成され、前記発光層からの光の一部を透過させ、当該光の他の一部を反射する第2電極とを備え、前記透明層は消光係数が前記第1電極よりも低い材料から形成されており、前記第2電極は仕事関数が4エレクトロンボルト以下である、ことを特徴とする発光装置を提供する。
この発光装置では、発光層から発した光が第2電極を透過する。したがって、この発光装置は、トップエミッション型の発光装置になり得る。また、この発光装置では、発光層から発した光が光反射層と第2電極または第2電極上の層との間で往復することによって特定波長の光の強度が増幅される共振構造つまりマイクロキャビティを構成可能である。よって、本発明によれば、発光層上に誘電体ミラーを形成することなくマイクロキャビティを構成可能なトップエミッション型の発光装置を提供することができる。以上より、本発明によれば、発光スペクトルの狭帯域化または出射光量の増大を達成可能なトップエミッション型の発光装置を提供することができる。
また、この発光装置では、反射層と第1電極との間に透明層が存在するため、第1電極を厚くせずとも、透明層を厚くすることにより、光反射層と第2電極または第2電極上の層との距離と発光層の発光主波長とが所定の関係を満たして発光主波長の光が十分に共振するようにすることが可能である。透明層の形成材料の消光係数は第1電極の形成材料の消光係数よりも小さいから、第1電極を厚くするよりは、透明層を厚くした方が、光の吸収を抑制することができる。つまり、この発光装置によれば、出射光量の更なる増大を達成可能である。
なお、第1電極、発光層および第2電極は発光素子を構成する。この発光素子としては、励起子の励起状態を経て発光するEL素子を例示することができる。EL素子としては、発光層が有機材料から形成された有機EL素子や、発光層が無機材料から形成された無機EL素子を例示することができる。
この発光装置では、発光層から発した光が第2電極を透過する。したがって、この発光装置は、トップエミッション型の発光装置になり得る。また、この発光装置では、発光層から発した光が光反射層と第2電極または第2電極上の層との間で往復することによって特定波長の光の強度が増幅される共振構造つまりマイクロキャビティを構成可能である。よって、本発明によれば、発光層上に誘電体ミラーを形成することなくマイクロキャビティを構成可能なトップエミッション型の発光装置を提供することができる。以上より、本発明によれば、発光スペクトルの狭帯域化または出射光量の増大を達成可能なトップエミッション型の発光装置を提供することができる。
また、この発光装置では、反射層と第1電極との間に透明層が存在するため、第1電極を厚くせずとも、透明層を厚くすることにより、光反射層と第2電極または第2電極上の層との距離と発光層の発光主波長とが所定の関係を満たして発光主波長の光が十分に共振するようにすることが可能である。透明層の形成材料の消光係数は第1電極の形成材料の消光係数よりも小さいから、第1電極を厚くするよりは、透明層を厚くした方が、光の吸収を抑制することができる。つまり、この発光装置によれば、出射光量の更なる増大を達成可能である。
なお、第1電極、発光層および第2電極は発光素子を構成する。この発光素子としては、励起子の励起状態を経て発光するEL素子を例示することができる。EL素子としては、発光層が有機材料から形成された有機EL素子や、発光層が無機材料から形成された無機EL素子を例示することができる。
上記の発光装置において、前記透明層の形成材料は二酸化珪素または窒化珪素であるようにしてもよいし、前記反射層の形成材料には、銀、マグネシウムまたはアルミニウムが含まれている、ようにしてもよい。このようにすることにより、上記の効果を確実に得ることができる。なお、発光スペクトルの狭帯域化および出射光量の増大の観点では銀を含む材料が好適であり、発光装置の製造の容易性向上の観点ではアルミニウムを含む材料が好適である。
上記の発光装置において、前記第1電極の厚みは60ナノメートル未満であり、前記透明層および前記発光層の一方または両方の厚みは、前記反射層と前記第2電極との距離と前記発光層の発光主波長とが所定の関係を満たすように定められている、ようにしてもよい。第1電極の厚みが60ナノメートル未満であれば、透明層、発光層および第2電極の少なくとも1つを厚くする必要がある。出射光量の増大の観点では、第2電極を厚くするよりは、透明層および発光層の一方または両方を厚くする方が好ましい。以上より明らかなように、この態様によれば、出射光量の更なる増大を達成可能である。なお、ここでいう所定の関係とは、発光主波長の光が光反射層と第2電極との間で往復して十分に増幅されて第2電極から出射する条件であり、この態様における共振条件とほぼ一致している。つまり、この態様における所定の関係の充足は、この態様における共振条件をほぼ満たすことと等価である。
上記の発光装置において、前記第2電極上に形成され、第2電極からの光の一部を透過させ、当該光の他の一部を反射する導電性半反射層を備え、前記導電性半反射層は、光の反射率が前記第2電極よりも高い金属材料から形成されている、ようにしてもよい。この態様によれば、仕事関数が4エレクトロンボルト以下の第2電極を厚く形成し、導電性半反射層を不要とする構成に比べて、第2電極以上の層で吸収される光を低減することができる。したがって、この発光装置によれば、出射光量の更なる増大を達成可能である。
上記の態様において、前記導電性半反射層の形成材料には、銀、マグネシウムまたはアルミニウムが含まれている、ようにしてもよい。このようにすることにより、上記の効果を確実に得ることができる。なお、発光スペクトルの狭帯域化の観点では、銀よりもアルミニウム、アルミニウムよりもマグネシウムの方が好適であり、出射光量の増大の観点では、アルミニウムよりもマグネシウム、マグネシウムよりも銀の方が好適である。
また上記の態様において、前記第1電極の厚みは60ナノメートル未満であり、前記透明層、前記発光層および前記導電性半反射層の少なくとも1つの厚みは、前記反射層と前記導電性半反射層との距離と前記発光層の発光主波長とが所定の関係を満たすように定められている、ようにしてもよい。第1電極の厚みが60ナノメートル未満であれば、透明層、発光層、第2電極および導電性半反射層の少なくとも1つを厚くする必要がある。出射光量の増大の観点では、第2電極を厚くするよりは、透明層、発光層および導電性半反射層の少なくとも1つを厚くする方が好ましい。以上より明らかなように、この態様によれば、出射光量の更なる増大を達成可能である。なお、ここでいう所定の関係とは、発光主波長の光が光反射層と導電性半反射層との間で往復して十分に増幅されて導電性半反射層から出射する条件であり、この態様における共振条件とほぼ一致している。つまり、この態様における所定の関係の充足は、この態様における共振条件をほぼ満たすことと等価である。
また、本発明は、上記の発光装置または上記の各態様を備える電子機器を提供する。この電子機器によれば、発光装置の発光スペクトルの狭帯域化または出射光量の増大に起因する各種の効果が得られる。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明に係る実施の形態を説明する。これらの図面においては、各層や各部材の寸法の比率は、実際のものとは適宜に異なっている。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る発光装置10の一部を示す断面図である。この発光装置10は、基板11上に配置された多数の発光素子12を有する。図においては、三つの発光素子12のみを例示する。各発光素子12は、有機EL素子すなわちOLED(Organic Light Emitting Diode)素子である。つまり、発光装置10は有機EL装置である。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る発光装置10の一部を示す断面図である。この発光装置10は、基板11上に配置された多数の発光素子12を有する。図においては、三つの発光素子12のみを例示する。各発光素子12は、有機EL素子すなわちOLED(Organic Light Emitting Diode)素子である。つまり、発光装置10は有機EL装置である。
基板11は例えばガラスから形成されており、その厚さは例えば500μmである。基板11上には、光を全反射する光反射層13が形成されている。光反射層13は、光の共振を可能とするものであり、光反射率が高い材料から形成されており、その上面は平滑であり、その厚みは例えば200nmである。光反射層13の形成材料は具体的には銀であるが、本実施の形態を変形し、アルミニウムとしてもよいし、銀またはアルミニウムの一方または両方を含む合金としてもよい。
光反射層13上には光を透過させる透明層1が形成されており、透明層1上には複数の発光素子12が形成されている。各発光素子12は、光反射層13上に形成された透明電極(第1電極)14と、透明電極14上に形成された厚みが170nmの発光層15と、発光層15上に形成された半透明の半反射電極(第2電極)16とを有する。透明電極14は、入射光を透過させる電極であり、屈折率が1.7のITO(Indium Tin Oxide)から形成されており、その厚みは、透明電極14が電極として十分に機能することができる最小限の厚み(導電性を確保可能な最小限の厚み)以上であり、60nm未満である。ITOの消光係数は大きいから、後述の共振における光のロスを低減するには、透明電極14をできるだけ薄くすべきである。このため、本実施の形態では、透明電極14の厚みを30nmとしてある。
透明層1はITOに比較して消光係数が小さい材料から形成されており、その厚みは135nmである。透明層1の形成材料は、具体的には屈折率が1.49の二酸化珪素であるが、本実施の形態を変形し、屈折率が1.87の窒化珪素から形成してもよい。この場合には、透明層1の厚みは105nmとなる。
発光層15は、正孔と電子との再結合による励起子の励起を経て発光する発光層を当該発光層に正孔を注入する正孔注入層上に積層して形成されている。このことから明らかなように、本実施の形態では、透明電極14が陽極となり、半反射電極16が陰極となるが、本実施の形態を変形し、陰陽を逆転させてもよい。正孔注入層の厚みは50nmであり、その形成材料の屈折率は例えば1.45である。正孔注入層上の発光層の厚みは120nmであり、その形成材料の屈折率は例えば1.67である。なお、発光層15を発光素子12毎に区画する隔壁を形成してもよいし、形成しなくてもよい。また、本実施の形態を変形し、発光層15が正孔注入層を含まないようにしてもよいし、発光層15が正孔輸送層、電子注入層または電子輸送層を含むようにしてもよい。
半反射電極16は、全ての発光層15に共通する厚みが5nmの電極であり、全ての発光層15を覆っている。また、半反射電極16は、光の共振を可能とするハーフミラーであり、発光層15からの光の一部を透過させ、当該光の他の一部を反射する。また、半反射電極16は、電子注入性の金属から形成されており、その仕事関数は4eV(エレクトロンボルト)以下である。半反射電極16の形成材料は具体的にはカルシウムであるが、本実施の形態を変形し、半反射電極16をリチウム、ストロンチウム、バリウム、セシウム、イッテルビウムまたはサマリウムとしてもよい。
半反射電極16上には半透明の導電性半反射層17が形成されている。導電性半反射層17は、半反射電極16からの光の一部を透過させ、当該光の他の一部を反射するものであり、半反射電極16を覆っており、半反射電極16に比較して光反射率が高く消光係数の小さい金属から形成されており、その厚みは8nmである。導電性半反射層17の形成材料は具体的には銀であるが、本実施の形態を変形し、導電性半反射層17をマグネシウム、プラチナまたはアルミニウムから形成してもよい。
導電性半反射層17上には透明補助電極18が形成されている。透明補助電極18は、半反射電極16の導電性を補助する透明電極であり、導電性半反射層17を覆っている。透明補助電極18はITOで形成されているが、本実施の形態を変形し、インジウムジンクオキサイドまたはインジウムゲルマニウムオキサイドで形成してもよい。透明補助電極18の厚みは100nmであるが、十分な導電性が得られる範囲内で任意に定めてよい。なお、発光素子12に重ならない部分において、透明補助電極18の上にまたは透明補助電極18に代えて金属補助電極を設けてもよい。金属補助電極は、半反射電極16の導電性を補助する金属電極であり、不透明で導電率の高い金属から形成される。
透明補助電極18上には封止層19が形成されている。封止層19は全ての発光素子12を外気から保護するものであり、透明な無機材料から形成されている。従って、発光層15での発光に起因する放出光は、半反射電極16、導電性半反射層17、透明補助電極18および封止層19を通じて出射する。一方、光反射層13が存在するため、放出光が基板11から出射することはない。つまり、発光装置10は、発光素子12からの光が基板11とは反対の側に出射するトップエミッション型の発光装置である。なお、本実施の形態では成膜によって封止層19が形成される膜封止が採用されているが、本実施の形態を変形し、他の公知の封止方式を採用してもよい。
各発光素子12は、光反射層13、透明層1および導電性半反射層17とともに、共振構造、つまりマイクロキャビティを構成する。そのため、光反射層13と導電性半反射層17との距離である共振距離(L)とマイクロキャビティ内の各層の厚み及び屈折率は、波長がλの光が光反射層13と導電性半反射層17との間で往復して波長がλの光が増幅されて発光装置10から出射する条件である共振条件をほぼ満たすように定められている。
具体的には、各マイクロキャビティにおいて、光反射層13と導電性半反射層17との間の光路長をdとしたとき、d=3/4・λとなるように、Lが定められている。λは発光層15の発光主波長であり、具体的には630nmである。したがって、Lは、dが3/4・630=472.5nmに略一致するように定められている。なお、上記の条件式(d=3/4・λ)は3次光を対象としたものであり、本実施の形態を変形して異なる次数の光を対象とする場合には上記の条件式も異なる。
図2は、発光素子12から放出されて発光装置10から出射した光(出射光)のスペクトルを示す図である。図3は図2の出射光の特性を示す図である。これらの図に示すように、出射光のスペクトルの半値幅は49.6nmとなった。この半値幅は、従来のトップエミッション型の発光装置(従来装置)における出射光のスペクトルの半値幅以下である。つまり、発光装置10は、発光スペクトルの狭帯域化を達成している。
また、発光素子12の全放出光束に対する出射光束の割合である全光束取り出し効率は0.299となった。この効率は、従来装置における効率より高い。つまり、発光装置10は、出射光量の増大を達成している。なお、出射光のCIE1931による色度のx値であるCIE1931xは0.688、出射光のCIE1931による色度のy値であるCIE1931yは0.311となった。
また、出射光のうち、出射面の法線とのなす角が±15度の範囲内の方向(正面方向)に進行する光(正面出射光)については、半値幅が48.3nm、発光素子12の全放出光の光パワーに対する光パワーの割合である正面方向パワー取り出し効率は0.03143となった。つまり、発光装置10は、正面出射光についても、発光スペクトルの狭帯域化および出射光量の増大を達成している。
また、真正面に進行する出射光(真正面出射光)に対する上記±15度の範囲の縁を進行する出射光(正面縁出射光)の色差である真縁色差は0.005となった。これは十分に小さな値であり、出射光の色度が眺める方向にあまり依存しないことを示している。なお、真縁色差は、真正面出射光と正面縁出射光とのCIE1931xの差の2乗と、真正面出射光と正面縁出射光とのCIE1931yの差の2乗との和の正の平方根である。
図4は、発光装置10の変形例(第1変形例)に係る発光装置からの出射光のスペクトルを示す図である。図5は、図4の出射光の特性を示す図である。この発光装置では、導電性半反射層17を備えていない代わりに、半反射電極16の厚みを15nmとしてある。この発光装置では、出射光のスペクトルの半値幅は57.4nm、全光束取り出し効率は0.272となった。また、正面出射光については、半値幅は55.4nm、正面方向パワー取り出し効率は0.02709となった。つまり、この発光装置は、発光スペクトルの狭帯域化および出射光量の増大を達成している。
発光装置10と第1変形例に係る発光装置との間で半値幅や全光束取り出し効率、正面方向パワー取り出し効率を比較すれば明らかなように、発光スペクトルの狭帯域化および出射光量の増大の観点では、半反射電極16を厚くして導電性半反射層17を不要とするよりも、半反射電極16を薄くして導電性半反射層17を必須とする方が好適である。
図6は、発光装置10の別の変形例(第2変形例)に係る発光装置からの出射光のスペクトルを示す図である。図7は、図6の出射光の特性を示す図である。この発光装置の光反射層13はアルミニウムから形成されている。この発光装置では、出射光のスペクトルの半値幅は51.3nm、全光束取り出し効率は0.224となった。また、正面出射光については、半値幅は49.6nm、正面方向パワー取り出し効率は0.02593となった。つまり、この発光装置は、発光スペクトルの狭帯域化および出射光量の増大を達成している。
発光装置10と第2変形例に係る発光装置との間で半値幅や全光束取り出し効率、正面方向パワー取り出し効率を比較すれば明らかなように、発光スペクトルの狭帯域化および出射光量の増大の観点では、光反射層13の形成材料として、アルミニウムよりも銀の方が好適である。一方、発光装置の製造の容易性向上の観点では、銀よりもアルミニウムの方が好適である。
図8は、発光装置10のさらに別の変形例(第3変形例)に係る発光装置からの出射光のスペクトルを示す図である。図9は、図8の出射光の特性を示す図である。この発光装置において、光反射層13はアルミニウムから形成されており、透明層1は窒化珪素から形成されている。透明層1の厚みは105nmである。この発光装置では、出射光のスペクトルの半値幅は55.2nm、全光束取り出し効率は0.281となった。また、正面出射光については、半値幅は53.8nm、正面方向パワー取り出し効率は0.02516となった。つまり、この発光装置は、発光スペクトルの狭帯域化および出射光量の増大を達成している。
第2変形例と第3変形例との間で半値幅を比較すれば明らかなように、発光スペクトルの狭帯域化の観点では、透明層1の形成材料として、窒化珪素よりも二酸化珪素の方が好適である。なお、全光束取り出し効率については窒化珪素の方が好適であり、正面方向パワー取り出し効率については二酸化珪素の方が好適である。
図10は、発光装置10や各変形例に係る発光装置と比較すべき従来例(第1従来例)に係る発光装置からの出射光のスペクトルを示す図である。図11は、図10の出射光の特性を示す図である。第1従来例は、第1変形例に係る発光装置において、光反射層13をアルミニウムから形成し、透明電極14を厚くして透明層1を不要としたものである。透明電極14の厚さは125nmである。
第1従来例に係る発光装置では、出射光のスペクトルの半値幅は60.6nm、全光束取り出し効率は0.202となった。また、正面出射光については、半値幅は59.0nm、正面方向パワー取り出し効率は0.01923となった。これらの数値を発光装置10やその変形例に係る各発光装置における数値と比較すると、発光スペクトルの狭帯域化の観点でも、出射光量の増大の観点でも、発光装置10やその変形例に係る各発光装置の方が優れていることが分かる。このことから、発光スペクトルの狭帯域化および出射光量の増大の観点では、透明電極14を厚くして透明層1を不要とした構成よりも、透明電極14を薄くして消光係数が小さい透明層1を必須とした構成の方が優れているといえる。
なお、発光スペクトルの狭帯域化の観点では、導電性半反射層17の材料として、銀よりもアルミニウム、アルミニウムよりもマグネシウムの方が好適である。一方、出射光量の増大の観点では、導電性半反射層17の材料として、アルミニウムよりもマグネシウム、マグネシウムよりも銀の方が好適である。また、光反射層13の形成材料がマグネシウムの場合にも上述した各種の効果が得られる。
<第2の実施の形態>
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る発光装置20の一部を示す断面図である。この発光装置20はフルカラー画像の表示に好適な発光装置であり、透明層2上にマトリクス状に配置された多数の画素を有する。各画素は、赤色に近い色のR光を発する発光素子22Rと、緑色に近い色のG光を発する発光素子22Gと、青色に近い色のB光を発する発光素子22Bとを1つずつ有する。透明層2より下側の構成は発光装置10における透明層1より下側の構成と同様である。
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る発光装置20の一部を示す断面図である。この発光装置20はフルカラー画像の表示に好適な発光装置であり、透明層2上にマトリクス状に配置された多数の画素を有する。各画素は、赤色に近い色のR光を発する発光素子22Rと、緑色に近い色のG光を発する発光素子22Gと、青色に近い色のB光を発する発光素子22Bとを1つずつ有する。透明層2より下側の構成は発光装置10における透明層1より下側の構成と同様である。
透明層2が発光装置10の透明層1と異なる点は、厚みが一様でない点である。透明層2の厚みは、発光素子22Rの下側では130nm、発光素子22Gの下側では135nm、発光素子22Bの下側では35nmである。厚みが異なる層の形成は、例えば、同一の材料による成膜を複数回に分けて行うことにより実現可能である。
発光素子22R,22G,22Bは、それぞれ、発光装置10の発光素子12と同様の構成を有する。例えば、発光素子22Rは、透明電極24Rと半反射電極26とで発光層25Rを挟んで構成されており、透明電極24R、発光層25Rおよび半反射電極26の形成材料および厚みは、透明電極14、発光層15および半反射電極16と同様である。
ただし、発光素子22Gの発光層25Gの発光主波長は550nmであり、発光素子22Bの発光層25Bの発光主波長は480nmである。また、発光層25Gおよび発光層25Bに含まれる正孔注入層上の発光層の厚みは、それぞれ、80nmである。一方、透明電極24Gおよび24Bの厚みは、それぞれ、30nmである。よって、図に示すように、発光層25R,25Gおよび25Bの上面は面一にならず、半反射電極26には凹凸がある。
発光素子22R,22G,22Bよりも上側の構成は、半反射電極26に沿った凹凸がある点を除いて、発光装置10における発光素子12の上側の構成と略同様である。すなわち、半反射電極26の上に銀製の導電性半反射層27が、その上に透明補助電極28が、その上に封止層29が積層されている。透明補助電極28および封止層29の形成材料および厚みは、発光装置10における透明補助電極18および封止層19と同様である。導電性半反射層27の厚みは、発光素子22Rの上側では8nm、発光素子22Gの上側では15nm、発光素子22Bの上側では18nmである。
発光装置20からの出射光のスペクトルのうち、発光素子22Rから放出されて発光装置20から出射したR光のスペクトルは、図2に示すもの(発光装置10からの出射光のスペクトル)と同様となる。したがって、発光装置20は、R光について、発光スペクトルの狭帯域化および出射光量の増大を達成している。
図13は、発光素子22Gから放出されて発光装置20から出射したG光のスペクトルを示す図である。図14は、図13の出射光の特性を示す図である。これらの図に示すように、G光のスペクトルの半値幅は30.9nmとなった。この半値幅は、従来装置におけるG光のスペクトルの半値幅以下である。また、発光素子22Gの全放出光束に対する出射光束の割合である全光束取り出し効率は0.311となった。この効率は、従来装置におけるG光に関する全光束取り出し効率より高い。つまり、発光装置20は、G光について、発光スペクトルの狭帯域化および出射光量の増大を達成している。なお、図14から、発光装置20が、正面出射光(G光)についても、発光スペクトルの狭帯域化および出射光量の増大を達成している、ということが分かる。
図15は、発光素子22Bから放出されて発光装置20から出射したB光のスペクトルを示す図である。図16は、図15の出射光の特性を示す図である。これらの図に示すように、B光のスペクトルの半値幅は17.8nmとなった。この半値幅は、従来装置におけるB光のスペクトルの半値幅以下である。また、発光素子22Bの全放出光束に対する出射光束の割合である全光束取り出し効率は0.123となった。この効率は、従来装置におけるB光に関する全光束取り出し効率より高い。つまり、発光装置20は、B光について、発光スペクトルの狭帯域化および出射光量の増大を達成している。なお、図16から、発光装置20が、正面出射光(B光)についても、発光スペクトルの狭帯域化および出射光量の増大を達成している、ということが分かる。
以上より、発光装置20は、R光、G光、B光の全てについて、発光スペクトルの狭帯域化および出射光量の増大を達成している、といえる。なお、発光装置20についても、発光装置10に対する変形と同様の変形を行うことができる。
図17は、発光装置20の変形例(第4変形例)に係る発光装置からの出射光(G光)のスペクトルを示す図である。図18は、図17の出射光の特性を示す図である。この発光装置では、導電性半反射層27を備えていない代わりに、半反射電極26の厚みを22nmとしてある。この発光装置では、G光のスペクトルの半値幅は47.9nm、全光束取り出し効率は0.296となった。また、正面出射光については、半値幅は47.4nm、正面方向パワー取り出し効率は0.03157となった。つまり、この発光装置は、発光スペクトルの狭帯域化および出射光量の増大を達成している。以上より、発光スペクトルの狭帯域化および出射光量の増大の観点では、半反射電極26を厚くして導電性半反射層27を不要とするよりも、半反射電極26を薄くして導電性半反射層27を必須とする方が好適である、という傾向は、発光素子の発光主波長に依存しない、ということが分かる。
図19および図21は、それぞれ、発光装置20の変形例(第5変形例)に係る発光装置からの出射光のスペクトルを示す図である。図19のスペクトルは図20に示す特性のG光のものであり、図21のスペクトルは図22に示す特性のB光のものである。この発光装置では、光反射層13はアルミニウムから形成されており、半反射電極26の厚みが発光層25Gの上側では22nm、発光層25Bの上側では17nmとなっており、導電性半反射層27が不要となっている。
この発光装置では、G光については、半値幅が49.9nm、全光束取り出し効率が0.225となり、その一部である正面出射光については、半値幅が47.6nm、正面方向パワー取り出し効率が0.02718となった。また、B光については、半値幅が25.1nm、全光束取り出し効率が0.065となり、その一部である正面出射光については、半値幅が24.6nm、正面方向パワー取り出し効率が0.00963となった。つまり、この発光装置は、G光およびB光について、発光スペクトルの狭帯域化および出射光量の増大を達成している。
図23および図25は、それぞれ、発光装置20と比較すべき従来例(第2従来例)に係る発光装置からの出射光のスペクトルを示す図である。図23のスペクトルは図24に示す特性のG光のものであり、図25のスペクトルは図26に示す特性のB光のものである。第2従来例は、第5変形例に係る発光装置から、透明層2を取り除き、発光素子22Gに係るマイクロキャビティについては透明電極24Gの厚みを適切に定めて共振条件を満たすようにし、発光素子22Bに係るマイクロキャビティについては透明電極24Bの厚みを適切に定めて共振条件を満たすようにし、半反射電極26の厚みを15nmとしたものである。透明電極24Gの厚みは115nmであり、透明電極24Bの厚みは60nmである。
この発光装置では、G光について、出射光のスペクトルの半値幅は56.2nm、全光束取り出し効率は0.228、正面出射光のスペクトルの半値幅は54.2nm、正面方向パワー取り出し効率は0.02354となった。また、B光について、出射光のスペクトルの半値幅は28.7nm、全光束取り出し効率は0.092、正面出射光のスペクトルの半値幅は27.0nm、正面方向パワー取り出し効率は0.01057となった。
これらの数値を発光装置20や第4変形例に係る発光装置おける数値と比較すると、発光スペクトルの狭帯域化の観点でも、出射光量の増大の観点でも、発光装置20や第4変形例に係る発光装置の方が優れていることが分かる。また、これらの数値を第5変形例に係る発光装置おける数値と比較すると、発光スペクトルの狭帯域化の観点では、第5変形例に係る発光装置の方が優れていることが分かる。なお、G光の正面方向に限れば、発光スペクトルの狭帯域化の観点でも、出射光量の増大の観点でも、第5変形例に係る発光装置の方が優れていることが分かる。
<他の変形>
上述した各種の発光装置では、発光素子として有機EL素子すなわちOLED素子を用いるが、本発明の範囲をOLED素子に限定する意図ではなく、他の適切な発光素子を使用してもよい。他の適切な発光素子の一例としては、無機EL素子を挙げることができる。また、例示した発光装置の構造の細部は本発明の理解を容易にするために具体的に説明したものであり、本発明をこれらに限定する意図でなく、他の構造であってもよい。
上述した各種の発光装置では、発光素子として有機EL素子すなわちOLED素子を用いるが、本発明の範囲をOLED素子に限定する意図ではなく、他の適切な発光素子を使用してもよい。他の適切な発光素子の一例としては、無機EL素子を挙げることができる。また、例示した発光装置の構造の細部は本発明の理解を容易にするために具体的に説明したものであり、本発明をこれらに限定する意図でなく、他の構造であってもよい。
<応用>
上述した各種の発光装置は様々な電子機器に応用可能である。例えば、発光装置10およびその変形例に係る各種の発光装置は、画像形成装置の像担持体の感光面に光を照射するライン型の露光装置や、画像を示す画像データの供給を受けて当該画像データに応じた輝度で各発光素子を発光させることによって当該画像を表示する表示装置として利用可能である。露光装置として利用される場合には、発光素子12が像担持体の感光面の進行方向を横切る方向に並ぶことになる。表示装置として利用される場合には、発光素子12がマトリクス状に配置されることになる。また例えば、発光装置20およびその変形例に係る各種の発光装置は、表示装置として利用可能である。
上述した各種の発光装置は様々な電子機器に応用可能である。例えば、発光装置10およびその変形例に係る各種の発光装置は、画像形成装置の像担持体の感光面に光を照射するライン型の露光装置や、画像を示す画像データの供給を受けて当該画像データに応じた輝度で各発光素子を発光させることによって当該画像を表示する表示装置として利用可能である。露光装置として利用される場合には、発光素子12が像担持体の感光面の進行方向を横切る方向に並ぶことになる。表示装置として利用される場合には、発光素子12がマトリクス状に配置されることになる。また例えば、発光装置20およびその変形例に係る各種の発光装置は、表示装置として利用可能である。
[画像形成装置]
図27は、発光装置10を露光装置として用いた画像形成装置の一例を示す縦断面図である。この画像形成装置は、ベルト中間転写体方式を利用したタンデム型のフルカラー画像形成装置である。
図27は、発光装置10を露光装置として用いた画像形成装置の一例を示す縦断面図である。この画像形成装置は、ベルト中間転写体方式を利用したタンデム型のフルカラー画像形成装置である。
この画像形成装置では、同様な構成の4個の露光装置10K,10C,10M,10Yが、同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)110K,110C,110M,110Yの露光位置にそれぞれ配置されている。露光装置10K,10C,10M,10Yは上述した発光装置10である。
この図に示すように、この画像形成装置には、駆動ローラ121と従動ローラ122が設けられており、これらのローラ121,122には無端の中間転写ベルト120が巻回されて、矢印に示すようにローラ121,122の周囲を回転させられる。図示しないが、中間転写ベルト120に張力を与えるテンションローラなどの張力付与手段を設けてもよい。
この中間転写ベルト120の周囲には、互いに所定間隔をおいて4個の外周面に感光層を有する感光体ドラム110K,110C,110M,110Yが配置される。添え字K,C,M,Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの顕像を形成するために使用されることを意味している。他の部材についても同様である。感光体ドラム110K,110C,110M,110Yは、中間転写ベルト120の駆動と同期して回転駆動される。
各感光体ドラム110(K,C,M,Y)の周囲には、コロナ帯電器111(K,C,M,Y)と、露光装置10(K,C,M,Y)と、現像器114(K,C,M,Y)が配置されている。コロナ帯電器111(K,C,M,Y)は、対応する感光体ドラム110(K,C,M,Y)の外周面を一様に帯電させる。露光装置10(K,C,M,Y)は、感光体ドラムの帯電させられた外周面に静電潜像を書き込む。各露光装置10(K,C,M,Y)は、複数のEL素子の配列方向が感光体ドラム110(K,C,M,Y)の母線(主走査方向)に沿うように設置される。静電潜像の書き込みは、上記の複数のEL素子により光を感光体ドラムに照射することにより行う。現像器114(K,C,M,Y)は、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラムに顕像すなわち可視像を形成する。
このような4色の単色顕像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各顕像は、中間転写ベルト120上に順次一次転写されることにより、中間転写ベルト120上で重ね合わされて、この結果フルカラーの顕像が得られる。中間転写ベルト120の内側には、4つの一次転写コロトロン(転写器)112(K,C,M,Y)が配置されている。一次転写コロトロン112(K,C,M,Y)は、感光体ドラム110(K,C,M,Y)の近傍にそれぞれ配置されており、感光体ドラム110(K,C,M,Y)から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写コロトロンの間を通過する中間転写ベルト120に顕像を転写する。
最終的に画像を形成する対象としてのシート102は、ピックアップローラ103によって、給紙カセット101から1枚ずつ給送されて、駆動ローラ121に接した中間転写ベルト120と二次転写ローラ126の間のニップに送られる。中間転写ベルト120上のフルカラーの顕像は、二次転写ローラ126によってシート102の片面に一括して二次転写され、定着部である定着ローラ対127を通ることでシート102上に定着される。この後、シート102は、排紙ローラ対128によって、装置上部に形成された排紙カセット上へ排出される。
図28は、発光装置10をライン型の露光装置として用いた他の画像形成装置の一例を示す縦断面図である。この画像形成装置は、ベルト中間転写体方式を利用したロータリ現像式のフルカラー画像形成装置である。
この図に示す画像形成装置において、感光体ドラム(像担持体)165の周囲には、コロナ帯電器168、ロータリ式の現像ユニット161、露光装置167、中間転写ベルト169が設けられている。
コロナ帯電器168は、感光体ドラム165の外周面を一様に帯電させる。露光装置167は、感光体ドラム165の帯電させられた外周面に静電潜像を書き込む。露光装置167は、上述した発光装置10であり、複数のEL素子の配列方向が感光体ドラム165の母線(主走査方向)に沿うように設置される。静電潜像の書き込みは、上記の複数のEL素子により光を感光体ドラムに照射することにより行う。
現像ユニット161は、4つの現像器163Y,163C,163M,163Kが90°の角間隔をおいて配置されたドラムであり、軸161aを中心にして反時計回りに回転可能である。現像器163Y,163C,163M,163Kは、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナーを感光体ドラム165に供給して、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラム165に顕像すなわち可視像を形成する。
無端の中間転写ベルト169は、駆動ローラ170a、従動ローラ170b、一次転写ローラ166およびテンションローラに巻回されて、これらのローラの周囲を矢印に示す向きに回転させられる。一次転写ローラ166は、感光体ドラム165から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写ローラ166の間を通過する中間転写ベルト169に顕像を転写する。
具体的には、感光体ドラム165の最初の1回転で、露光装置167によりイエロー(Y)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Yにより同色の顕像が形成され、さらに中間転写ベルト169に転写される。また、次の1回転で、露光装置167によりシアン(C)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Cにより同色の顕像が形成され、イエローの顕像に重なり合うように中間転写ベルト169に転写される。そして、このようにして感光体ドラム9が4回転する間に、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の顕像が中間転写ベルト169に順次重ね合わせられ、この結果フルカラーの顕像が転写ベルト169上に形成される。最終的に画像を形成する対象としてのシートの両面に画像を形成する場合には、中間転写ベルト169に表面と裏面の同色の顕像を転写し、次に中間転写ベルト169に表面と裏面の次の色の顕像を転写する形式で、フルカラーの顕像を中間転写ベルト169上で得る。
画像形成装置には、シートが通過させられるシート搬送路174が設けられている。シートは、給紙カセット178から、ピックアップローラ179によって1枚ずつ取り出され、搬送ローラによってシート搬送路174を進行させられ、駆動ローラ170aに接した中間転写ベルト169と二次転写ローラ171の間のニップを通過する。二次転写ローラ171は、中間転写ベルト169からフルカラーの顕像を一括して静電的に吸引することにより、シートの片面に顕像を転写する。二次転写ローラ171は、図示しないクラッチにより中間転写ベルト169に接近および離間させられるようになっている。そして、シートにフルカラーの顕像を転写する時に二次転写ローラ171は中間転写ベルト169に当接させられ、中間転写ベルト169に顕像を重ねている間は二次転写ローラ171から離される。
上記のようにして画像が転写されたシートは定着器172に搬送され、定着器172の加熱ローラ172aと加圧ローラ172bの間を通過させられることにより、シート上の顕像が定着する。定着処理後のシートは、排紙ローラ対176に引き込まれて矢印Fの向きに進行する。両面印刷の場合には、シートの大部分が排紙ローラ対176を通過した後、排紙ローラ対176が逆方向に回転させられ、矢印Gで示すように両面印刷用搬送路175に導入される。そして、二次転写ローラ171により顕像がシートの他面に転写され、再度定着器172で定着処理が行われた後、排紙ローラ対176でシートが排出される。
以上、画像形成装置を例示したが、発光装置10は、他の電子写真方式の画像形成装置にも応用可能である。例えば、中間転写ベルトを使用せずに感光体ドラムから直接シートに顕像を転写するタイプの画像形成装置や、モノクロの画像を形成する画像形成装置、像担持体として感光体ベルトを用いる画像形成装置にも応用可能である。上述と同様の応用は、発光装置10の変形例に係る各種の発光装置についても可能である。
また例えば、発光装置20を有する電子機器としては、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。これらと同様の応用は、発光装置20の変形例に係る各種の発光装置や、発光装置10、発光装置10の変形例に係る各種の発光装置についても可能である。なお、カラーフィルタや色変換層を用いることにより、発光装置10や発光装置10の変形例に係る各種の発光装置を応用した表示装置においてフルカラー画像を表示することも可能である。
1,2…透明層、10,20…発光装置、12,22R,22G,22B…発光素子、11…基板、13…光反射層、14,24R,24G,24B…透明電極(第1電極)、15,25R,25G,25B…発光層、16,26…半反射電極(第2電極)、17,27…導電性半反射層、18,28…透明補助電極、19,29…封止層。
Claims (8)
- 基板と、
前記基板上に形成され、光を反射する反射層と、
前記反射層上に形成され、光を透過させる透明層と、
前記透明層上に形成され、光を透過させる第1電極と、
前記第1電極上に形成され、発光する発光層と、
前記発光層上に形成され、前記発光層からの光の一部を透過させ、当該光の他の一部を反射する第2電極とを備え、
前記透明層は消光係数が前記第1電極よりも小さい材料から形成されており、
前記第2電極は仕事関数が4エレクトロンボルト以下である、
ことを特徴とする発光装置。 - 前記透明層の形成材料は二酸化珪素または窒化珪素である、
ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。 - 前記反射層の形成材料には、銀、マグネシウムまたはアルミニウムが含まれている、
ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。 - 前記第1電極の厚みは60ナノメートル未満であり、
前記透明層および前記発光層の一方または両方の厚みは、前記反射層と前記第2電極との距離と前記発光層の発光主波長とが所定の関係を満たすように定められている、
ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。 - 前記第2電極上に形成され、第2電極からの光の一部を透過させ、当該光の他の一部を反射する導電性半反射層を備え、
前記導電性半反射層は、光の反射率が前記第2電極よりも高い金属材料から形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。 - 前記導電性半反射層の形成材料には、銀、マグネシウムまたはアルミニウムが含まれている、
ことを特徴とする請求項5に記載の発光装置。 - 前記第1電極の厚みは60ナノメートル未満であり、
前記透明層、前記発光層および前記導電性半反射層の少なくとも1つの厚みは、前記反射層と前記導電性半反射層との距離と前記発光層の発光主波長とが所定の関係を満たすように定められている、
ことを特徴とする請求項5に記載の発光装置。 - 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の発光装置を備える電子機器。
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