JP2008249750A - 光配線フィルムおよびそれを用いた光モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のコアの形状が均一、かつコアの位置がフィルム幅方向に等間隔で配列し、低コストで大面積化、長尺化が可能であり、また、フィルム表面に存在する凹凸を利用することでコネクタに接続時の位置合わせを容易に行うことが可能な光配線フィルムを提供するものである。
【解決手段】断面形状としてクラッドとなる熱可塑性樹脂Bに周りを囲まれたコアとなる熱可塑性樹脂Aからなる分散体(コア)がフィルム長手方向に延在しながらフィルム幅方向に配列した構造である光配線フィルムであって、フィルム中央部に位置するコアの断面積(Ac)とフィルム幅方向に配列した任意のコアの断面積(A)が下記式(1)を満足するコアが少なくとも5個以上存在する光配線フィルム。
0.8≦A/Ac≦1.2 式(1)
【選択図】図1

Description

本発明は、導光路を有した光配線フィルムに関するものである。
光通信技術は、電気通信技術と比較して、大量のデータを長距離にわたり、かつ高速に伝送することが可能であるため、長距離基幹伝送を中心に発達してきた。一方で、電気通信技術はチップ内などの超短距離から装置間といった中・近距離のデータ伝送に用いられてきた。しかし、近年、FTTH(Fiber To The Home)の普及などに伴い、サーバーやルータなど情報通信機器のデータ伝送量が急激に増加し、従来の電気配線によるデータ伝送に限界が近づいてきている。これに対応するために、装置内といった場所においても、電気配線よりも高速なデータ伝送が可能な光配線を用いる動きが加速しつつある。
特に、このようなボード間、ボード内、チップ間、チップ内の光配線化を牽引する流れは、高価で取扱いが難しい石英系のシングルモード光ファイバーでなく、安価で取扱い性の易しいポリマー光導波路やプラスチック光ファイバーシートに注目が集まっている。たとえば、プラスチック光ファイバーシートの製造法としては、複数本の光ファイバーを所定の間隔で配列したガイドリングに通して、接着材を介して一体成形したものが知られている(特許文献1)。また、導光路となる複合体の周りを樹脂などで融着被覆したシート状のものとしては、ダイを用いてファイバーアレイごとに一括成形する方法などが提案されている(特許文献2)。しかしながら、前者の光ファイバーシートの製造方法は、光ファイバーを正確に位置決めして配列させることが難しく、生産上の歩留まりが多く、高コスト化の問題となっていた。一方、後者については、この製造方法では、フィルム巾方向の全てのコアの形状を均一に保ったまま並べることが困難であり、得られたコアの形状もバラバラであるため、光接続が難しい問題があった。
また、ポリマー光導波路の製造方法としては、例えば、選択重合法、反応性イオンエッチング(RIE)とフォトリソグラフィーを組み合わせた方法(特許文献3)、直接露光法(特許文献4)、射出成形法をもとにした方法(特許文献5)、フォトブリーチング法(特許文献6)などが知られている。しかしながら、これらの製造方法は、工程数が非常に多いために製造時間が長く、また、製造コストが高く、生産収率が低いことが問題となっていた。さらに、ポリマー光導波路を構成するコア・クラッドは、光硬化および熱硬化性樹脂の反応現象を利用しているため、大面積かつ長尺化が困難であった。
特開昭60−178405号公報 特開平04−043304号公報 特開2004−206016号公報 特開2003−185860号公報 特開2003−172841号公報 特開2004−012635号公報
本発明の課題は、かかる問題を解決し、複数のコアの形状が均一、かつコアの位置がフィルム幅方向に等間隔で配列し、低コストで大面積化、長尺化が可能であり、また、フィルム表面に存在する凹凸を利用することでコネクタに接続時の位置合わせを容易に行うことが可能な光配線フィルムを提供するものである。本光配線フィルムは、装置間、装置内ボード間、ボード内チップ間などの短〜中・長距離通信に最適である。
断面形状としてクラッドとなる熱可塑性樹脂Bに周りを囲まれたコアとなる熱可塑性樹脂Aからなる分散体(コア)がフィルム長手方向に延在しながらフィルム幅方向に配列した構造である光配線フィルムであって、フィルム中央部に位置するコアの断面積(Ac)とフィルム幅方向に配列した任意のコアの断面積(A)が下記式(1)を満足するコアが少なくとも5個以上存在する光配線フィルム。
0.8≦A/Ac≦1.2 式(1)
本発明によれば、溶融押出プロセスを利用するため、低コストで、大面積・長尺化が可能である。また、複数のコアの形状が均一、かつフィルム幅方向に直線状にコアを配列するため、光接続がし易く、さらにコネクタへの接続が容易であるため、装置間、装置内ボード間、ボード内チップ間などの短〜中・長距離用通信用途に好適な光配線フィルムを提供することができる。
以下に、本発明の詳細を説明する。本発明である光配線フィルムは、断面形状としてクラッドとなる熱可塑性樹脂Bに周りを囲まれたコアとなる熱可塑性樹脂Aからなる分散体(コア)がフィルム長手方向に延在しながらフィルム幅方向に配列した構造である光配線フィルムであって、フィルム中央部に位置するコアの断面積(Ac)とフィルム幅方向に配列した任意のコアの断面積(A)が下記式(1)を満足するコアが少なくとも4個以上連続的に存在することが必要である。
0.8≦A/Ac≦1.2 (1)
式(1)を満たしていると、コア径の精度寸法が非常に高いために、光導波性能のばらつきが小さい。1.2以上もしくは0.8であると、コア断面積のばらつきが大きいため、連続する全てのコアにおいて同等の性能を達成することが困難である。つまり、各コアにおけるデータ転送精度にばらつきが生じるため、通信用途に使用することが困難となる。より好ましくは、式(2)を満たす。このような場合、各コアの光導波性能にほとんど差がなくなるものである。
0.9≦A/Ac≦1.1 (2)
また、データの大容量転送を考慮し、式(1)を満たすコアは連続4個以上存在する必要がある。大容量のデータ転送を行うためには、双方向送受信に少なくとも2個ずつ計4個以上のコアが必要となるためである。
本発明の光配線フィルムとは、フィルム内部に光が導波するコアが埋め込まれた光導波路のことである。本発明である光配線フィルム断面図および全体図の例を図1に示す。式(1)を満たすコアとなる熱可塑性樹脂Aからなる分散体(コア):1は、フィルム幅方向:4の方向に少なくとも5個以上配列し、また、各々のコアはフィルム長手方向:5の方向に伸びている構造を有することが必要である。コア数は、数が多ければ多いほど、多くの情報を伝送できる観点から、32個以上が好ましく、より好ましくは64個以上、さらに好ましくは、128個以上である。その数は、積層装置のコアとクラッド樹脂の積層数を調整することにより、容易に任意の数を達成することができる。コアの数が多いほど、より多チャンネルでの通信が可能な高密度配線となり、効率の高い光伝送が可能となる。コア数の上限については特に限定するものではないが、実用上の特性を維持するためには、2000個以下であることが好ましい。また、その長さは、短〜中距離用通信用途に用いる観点から、少なくとも1cm以上であることが好ましい。また、必要な長さのみ取り出して利用できるように、数十〜数百m以上の長さでロール状に巻かれていることがより好ましい。
一方、図1のフィルム断面における海島構造の海である熱可塑性樹脂Bからなるクラッド:2は、分散体である各々のコアの周りを囲い、フィルム状の外形を形成するものである。なお、フィルム厚み方向:3とフィルム幅方向:4の断面内のコア形状は、円、楕円、四角、台形などのいかなる幾何学図形でも良い。情報通信用途に用いる場合は、コア形状に依存したモード分散が発生する観点から、できるだけ対称性が良い図形であることが好ましく、最も好ましい形状は、円形である。対称性には、線対称、転対称などがある。コア径は、小さ過ぎると光量が少なくなる観点から10μm以上が好ましく、一方、大きすぎるとコア内に光を閉じ込めることが難しくなる観点から、5mm以下が好ましい。より好ましくは、20μm以上1mm以下である。特に、情報通信用途に用いる場合は、マルチモード対応の観点から20μm以上100μm以下であることが好ましい。ここでのコア径とは、図2に示したように、フィルム厚み方向の2本の平行線とコアが接する間隔:7とフィルム幅方向の2本の平行線とコアが接する間隔:6の長さの平均値である。
本発明に用いる熱可塑性樹脂としては、ポリメチルメタクリレート(屈折率nが1.49、以下、屈折率はn)およびメチルメタクリレートを主成分とするコポリマー(n=1.47〜1.50)、ポリスチレン(n=1.58)およびスチレンを主成分とするコポリマー(n=1.50〜1.58)、脂環式オレフィン(n=1.51〜1.53)、スチレンアクリロニトリルコポリマー(n=1.56)、ポリ4−メチルペンテン1(n=1.46)、エチレン/酢ビコポリマー(n=1,46〜1.50)、ポリカーボネート(n=1.50〜1.57)、ポリエチレンテレフタレート(n=1.58〜1.68)、ポリエチレンテレフタレートコポリマー(n=1.54〜1.64)、ポリエチレンナフタレート(n=1.65〜1.73)、ポリクロロスチレン(n=1.61)、ポリ塩化ビニリデン(n=1.63)、ポリ酢酸ビニル(n=1.47)、メチルメタククリレート/スチレン、ビニルトルエン又はα−メチルスチレン/無水マレイン酸三元コポリマー又は四元コポリマー(n=1.50〜1.58)、ポリジメチルシロキサン(n=1.40)、ポリアセタール(n=1.48)、ポリイミド(n=1.56〜1.60)、フッ化ポリイミド(n=1.51〜1.57)、ポリテトラフルオロエチレン(n=1.35)、ポリフッ化ビニリデン(n=1.42)、ポリトリフルオロエチレン(n=1.40)、パーフルオロプロピレン(n=1.34)、およびこれらフッ化エチレンの二元系、又は三元系コポリマー(n=1.35〜1.40)、ポリフッ化ビニリデンとポリメチルメタクリレート・ブレンドポリマー(n=1.42〜1.46)、CF=CF−O−(CF)x−CF=CFモノマーの重合体(n=1.34)およびフッ化エチレンのコポリマー(n=1.31〜1.34)、CF=CF−O−(CF)−0−CF=CFモノマーの重合体(n=1.31)およびフッ化エチレンのコポリマー(n=1.31〜1.34)、一般式CH=C(CH)COORfで表わされるフッ化メタクリレートを主成分とするコポリマーで、基Rfが(CH)n(CFHであるコポリマー(n=1.37〜1.42)、Rfが(CH(CFFのもの(n=1.37〜1.40)、RfがCH・(CFのもの(n=1.38)、RfがC(CFのもの(n=1.36) 、RfがCHCFCHFCFのもの(n=1.40)、RfがCHCF(CFのもの(n=1.37)、およびこれらのフッ化メタクリレートのコポリマー(n=1.36〜1.40)、およびこれらのフッ化メタクリレートとメチルメタクリレートコポリマー(n=1.37〜1.43)、一般式CH2=CH・COOR’fで表わされるフッ化アクリレートを主成分とするポリマー、但しRf’が(CH(CFFのもの(n=1.37〜1.40)、Rf’が(CH(CFHのもの(n=1.37〜1.41)、Rf’がCHCFCHF・CFのもの(n=1.41)、RfがCH(CHのもの(n=1.38)、およびこれらフッ化アクリレートコポリマー(n=1.36〜1.41)、およびこれらフッ化アクリレートと前記フッ化メタクリレートコポリマー(n=1.36〜1.41)、およびこれらフッ化アクリレートとフッ化メタクリレートとメチルメクレートコポリマー(n=1.37〜1.43)、一般式CH=CF・COOR″fで表わされる2−フルオロアクリレートを主成分とするポリマー、およびそのコポリマー(n=1.37〜1.42)(但し、式中R”fはCH、(CH(CFF、(CH(CFH 、CHCFCHFCF、C(CFを示す)などがある。
この中で、強度・耐熱性・透明性・低損失の観点から、特に、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、脂環式オレフィン、ポリイミド樹脂、フッ化ポリマーであることがより好ましい。また、損失を低下するために、ポリマー中の水素が重水素化されていることがより好ましい。
これらの樹脂としてはホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上のブレンドであってもよい。また、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。
また、光導波路フィルムの90wt%以上が熱可塑性樹脂からなっていると、ダイヤモンドナイフ加工や、熱圧縮加工などの表面加工が容易となるため、装置間、装置内ボード間、ボード内チップ間光の接続がさらに容易となり、低コストな光情報伝送システムを提供できる。
本発明の光配線フィルムは、溶融押出プロセスを用いて幅方向に積層したフィルムとして製膜されることにより得ることができる。つまり、2台の押出機を用いて、コアとなる熱可塑性樹脂Aとクラッドとなる熱可塑性樹脂Bを押出し、これを積層装置を用いて交互に積層し、さらにこの幅方向に積層されたポリマー流を厚み方向の上下から熱可塑性樹脂Bで挟み込み、ダイスリット部から溶融状態でシート上に押し出し、その後キャスティングドラムにて固化することで、光配線フィルムが得られる。ここで、幅方向に交互に積層とは、2種類の熱可塑性樹脂よりなるA層とB層がフィルム幅方向にABABAB・・・と交互に並んでいる構造をさしている。両端の層が同じポリマーよりなるため、合計の総数は奇数となる。
押出機には、単軸押出機と二軸押出機のどちらを用いても良い。本発明に用いる熱可塑性樹脂の屈折率を調整する手段として、2種以上の異なる屈折率の熱可塑性樹脂をナノレベルで相溶(アロイ)化することにより屈折率の調整を可能とする混練化技術がある。このような場合は、スクリュー構成が非常に重要である。例えば、アロイ化を行う際は、単軸スクリューでは、ダルメージタイプ、マドックスタイプが好ましく、二軸スクリューでは、パドルの組合せにより練りを強くしたスクリュー構成にすることが好ましい。一方、1台の押出機から1種の熱可塑性樹脂を押出す場合は、余り混練が強すぎると、光損失の原因となる異物が発生するため、フルフライトスクリューを用いた単軸押出機が好ましい。そのスクリューのL/Dは、28以下であることが好ましく、より好ましくは、24以下である。また、スクリューの圧縮比は、3以下であることが好ましく、より好ましくは、2.5以下である。また、光損失の原因となる異物を除去する方法としては、真空ベント押出や濾過フィルターなどの公知の技術を用いることが効果的である。真空ベントの圧力は、差圧で1〜300mmHg程度が好ましい。また、濾過フィルターとしては、溶融押出中にFSS(Fiber Sintered Stereo)リーフディスクフィルタを用いことにより、高精度濾過することができる。異物の大きさや量などの発生状態、及び樹脂粘度による濾圧に依存したフィルターの濾過精度を適宜変更することが好ましいが、本発明においては25μm以下の濾過精度フィルターを用いることが好ましい。より好ましくは、10μm以下、さらに好ましくは5μmである。また、その際の押出機先端の樹脂圧は、樹脂漏れを少なくする観点から、20MPa以下が好ましく、よりこの好ましくは、10MPa以下である。
本フィルムを作製するための積層装置としては、高い積層精度を達成することが可能であるという点から、コームタイプフィードブロックを用いることが好ましい。このコームタイプフィードブロックの詳細は、特開2005−352237に記載されている。
該コームタイプフィードブロックを用いた本光配線フィルムの製造方法を説明する。2台の押出機を用いて、図4に示すようなフィードブロック:11の両側に存在するマニホールド:9に、コアとなる熱可塑性樹脂Aとクラッドとなる熱可塑性樹脂Bを送る。マニホールド:9の間に挟まれたスリット板:10の細孔部にそれぞれの樹脂が交互に流入し、これが合流することで幅方向に積層した構造を得ることができる。スリット板:10の各スリットの長さおよび間隙を調整することにより、各層ごとの吐出量を調節することが可能となる。具体的にスリット板:10の細孔部に流入する樹脂の吐出量と圧力損失の関係は、下記(3)式で表されることが知られている。
ΔP=12・L・μ/h/t3・Q ・・・ (3)式
ΔP:圧力損失
L :細孔部の長さ
μ :樹脂粘度
t :細孔部の間隙
h :細孔部の奥行き
Q :吐出量
すなわち、圧力損失を一定とすることで容易に流量を変化させることができるため、コア径、クラッド径を任意の径へ調整することができるのである。一方、コア数については、スリット板:10の細孔部の数を調整することに達成することができる。
本光配線フィルムでは、スリット板の中央部とスリット板の壁面付近との圧力損失の違いより生じるコア断面積の差をなくすため、スリット長さを微調整することにより、断面積が均一なコアが連続的に並んでいる構造を達成することができる。つまり、図5のように、スリット板の中央部からスリット板の壁面付近に向かうにつれて、スリット長を徐々に短くすることにより、断面積が均一なコアを得ている。中央部スリット:12の先端と端部スリット:13の先端がなす角度:14は3°以上が好ましい。より好ましくは5°以上である。スリット数が偶数の場合は、中央に位置する二つのスリットと、そのスリットに対応する再壁面側にあるスリットとのなす角度とする。熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bの粘度により角度の最適値は変化するが、5°以上の傾斜があると、おおよその樹脂に対して断面積が均一なコアを得ることができる。また、このスリット長の傾斜は直線的でなくてもよく、例えば複数段傾斜構造やあるいは曲線傾斜構造であってもよい。複数段傾斜構造とは傾斜角度が変化する点が存在するような構造である。また、曲線傾斜構造とはスリット長の傾斜が曲線を描く構造であり、例えば2次関数的にスリット長が変化する構造である。また、スリット細孔部の間隙を徐々に大きくすることで、断面積が均一なコアを得ることも可能である。
また、該コームタイプフィードブロック:11を用いるに当たり、熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bの加熱ムラより生じる積層乱れを低減するために、マニホールド:9に接続する短管内にスタティックミキサーを入れるのが好ましい。スタティックミキサーを入れることにより、熱可塑性樹脂の加熱ムラは解消され、精密な幅方向積層が可能となる。
次に、図6のように、積層構造となった熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂B溶融積層体は、マルチマニホールドダイ:15へ導かれる。ここで、本光配線フィルムの製造工程においては、2種3層複合型(α/β/α構造)のダイを用いることで、熱可塑性樹脂B/幅方向積層体/熱可塑性樹脂Bと積層された溶融体を得ている。その後、マルチマニホールドダイ:15よりシート状に押し出された溶融積層体を、キャスティングドラムなどを用いて冷却個化することで、コアが長手方向に延在し、クラッドとなる熱可塑性樹脂Bに周りを囲まれたコアとなる熱可塑性樹脂Aからなる分散体(コア)がフィルム長手方向に延在しながらフィルム幅方向に配列した構造である光配線フィルムであって、フィルム中央部に位置するコアの断面積(Ac)とフィルム幅方向に配列した任意のコアの断面積(A)が下記式(1)を満足するコアが少なくとも4個以上連続的に存在する光配線フィルムが得られる
0.8≦A/Ac≦1.2 式(1)
ここで、コア形状を崩さないようにするという観点から、コームタイプフィードブロック:11におけるポリマー流の幅方向圧縮比は、0.5以上が好ましい。幅方向圧縮比が0.5より小さくなると、幅方向の圧縮が大きくなることでコア形状が大きく乱れ、精密な積層構造を保つことができない。より好ましくは0.7以上である。ここで、ポリマー流の圧縮比とは、コームタイプフィードブロック:11出口の幅:16をスリット板両壁面の幅:17で割った値である。また、同様の観点から、ダイの拡幅比は0.8以上1.2以下が好ましい。より好ましくは、0.9以上1.1以下である。ここで、ダイの拡幅比とは、ダイのポリマー吐出部の幅:18をダイのポリマー流入部(コームタイプフィードブロック出口の幅):16で除した値である。
また、同様の観点から、本光配線フィルム製造する際、コームタイプフィードブロック:11とマルチマニホールドダイ:15の間に短管を入れずに直接連結することが好ましい。直接連結することで、ポリマー合流部からポリマー吐出口までの距離が短くなり、ポリマー合流後のコア形状の乱れを防ぐことができる。コア形状の乱れを防ぐためには、ポリマー流入部からダイ吐出口までの距離:20を、最も長いスリットのスリット長:19で除した値が20以下であることが好ましい。20以上であると、ポリマーが流路を通過する時間が長くなるため、積層乱れが生じやすくなり、コア形状が乱れる。
また、得られるフィルム表面の平面性を保つために、冷却個化の際は、静電印加法によりキャスティングドラム上にシートを密着させるのが好ましい。静電印加法とは、タングステンなどのワイヤーに3〜10kV程度の電圧をかけることにより、電界を発生させて、溶融状態のシートをキャスティングドラムに静電密着させて、冷却固化されたシート得る方法のことである。その他、公知の表面粗さが0.4〜0.2SレベルのHCrメッキのタッチロールなどにより、カレンダリングキャストしても良い。
また、本発明における光配線フィルムでは、フィルム長手方向におけるコアの断面積のばらつきが5%以内であることが好ましい。フィルム長手方向のコアの断面積のばらつきが5%以内であると、伝送するデータの波形が乱れないため、正確なデータ転送が可能となる。より好ましくは3%以内である。さらに好ましくは1%以内である。ここで、フィルム長手方向のコア断面積のばらつきとは、ある一つのコアにおける断面積を、フィルム長手方向10cmおきに10点計測し、その平均値を基準として計算する。
フィルム長手方向のばらつきを小さくする手段としては、コアとなる熱可塑性樹脂Aとクラッドに用いる熱可塑性樹脂Bに、溶融粘度の低い樹脂を用いることが好ましい。溶融粘度の値は、フィルム成形温度にて900Pa・s以下であることが好ましい。溶融粘度の低い樹脂を用いると、ポリマーと壁面の界面での応力が小さくなり、フィルム厚み方向の乱れが低減されるため、その結果フィルム長手方向におけるコアの断面積のばらつきが少なくなる。
本製造法により製造した光配線フィルムは、光接続に必要不可欠なコア間隔の位置精度が高く、およびコア形状が均一なものとなる。コア間隔の位置精度を表すものとして、隣り合うコアの中心間の距離のばらつき(Vl)がある。ここで、コアの中心の距離とは、図3で示すように、コアと接するフィルム厚み方向の2本の平行線の中心同士の距離:8のことである。隣り合うコアの中心間の距離のばらつきは、下記の式を用いて算出される。
Vl=L/Lc
Vl:隣り合うコアの中心間の距離のばらつき
L :任意の隣接するコアの中心間の距離(L)
Lc:中央部に位置するコアとその隣接するコアの中心間の距離
ここで、コア数が奇数の場合、Lcは中央部に位置するコアに隣接する2つのコアの平均値をとる。偶数の場合は、中央に位置する二つのコアの中心間の距離とする。隣り合う中心間の距離のばらつきが10%以下であると、光の入出力の調整が容易であり、接続作業の時間を大幅に短縮することが可能である。さらには、調芯精度も向上するため、接続損失が低減できる。ばらつきは小さいほど好ましく、5%以下が好ましい。また、フィルム端部の方ほど、ネックダウンの影響などが原因でコア間隔が狭くなり、ばらつきが大きくなる傾向があるため、コア間隔ばらつきの小さい中央部のみを用いるために切断して用いることも好ましい。
本発明の光配線フィルムは、使用条件に左右されず精密なデータ転送を行うという観点から、100℃、24時間の熱処理によるフィルム長手方向の熱収縮率が5%以下であることが好ましい。より好ましくは3%以下である。更に好ましくは、1%以下である。その達成方法としては、コア、クラッドのいずれか一方、もしくは両方に、できるだけ結晶性の低い熱可塑性樹脂を用いることが望ましい。
本発明の光配線フィルムでは、少なくとも一方の面に10μm以上の凹凸が存在していることが好ましい。各コア間のクラッド部が陥没することにより、フィルム長手方向において、各コア間に存在するクラッド部が凹、コア部が凸となって存在している。この凹凸をコネクタ接続時のガイドとして利用することで、精密な調芯が可能となる。凹凸が10μmよりも小さいと、コネクタ接続のガイドとして使用することが困難となる。また、フィルム切断時に凹部をガイドとすることで、簡便かつ正確にフィルムを切断することが可能となる。また、凹凸構造はフィルムの両面に存在してもかまわない。この達成方法としては、クラッドに結晶性樹脂を用いることが好ましい。
本発明の光配線フィルムは、フィルムの機械強度を高める観点から、フィルム長手方向に一軸延伸してもかまわない。延伸方法は、この未延伸状態の光配線フィルムを樹脂組成物のガラス転移点(Tg)以上の温度で延伸する方法で得ることができる。例えば、コアとなる熱可塑性樹脂Aが、ポリメチルメタクリレートの場合、延伸温度及び延伸倍率はいくらであっても良いが、通常は、延伸温度は100℃以上200℃以下であり、延伸倍率は1.2倍以上3倍以下が好ましい。長手方向の延伸方法は、ロール間の周速度変化を利用して行う。次いで、この延伸された光配線フィルムを、引き続きオーブン内で弛緩熱処理することが好ましい。この弛緩熱処理は、延伸温度より高く、融点より低い温度で行うのが一般的である。熱可塑性樹脂Aがポリメチルメタクリレートの場合、100℃ないし200℃の範囲で行うのが好ましい。
また、本発明の光配線フィルムに用いる光の波長は可視〜近赤外光線領域(400nm〜1550nm)であることが好ましい。特に1200nm以下であることが好ましい。通常、長距離光通信に用いられる波長は、1.55μm、1.31μmなどの近赤外領域であるが、本発明では熱可塑性樹脂を用いているため、一般的に、前記した近赤外線領域に光吸収端をもつことが多い。そのため、光吸収が小さく、かつ伝送容量が多い特徴を有する波長850nmの光を用いることが本発明の光配線フィルムには好適である。
また、本発明の光配線フィルムは、光を導光させる光導波路であるため光損失が低いことが重要である。好ましくは、1dB/cm以下である。より好ましくは、0.1dB/cm以下である。光散乱、吸収損失が少ない熱可塑性樹脂、およびフィルム幅方向の均一なコアの配列により達成することができる。
本発明に使用した物性値の評価法を記載する。なお、評価法(1)、(2)、(4)においては、コア断面積や中心間距離の正確な値を得るために、フィルムをカッターにて切り出した後、その断面を研磨し、平均粗さが500μm以下の平滑面を得ている。
(物性値の評価法)
(1)コア中心間の距離のばらつきおよびコア面積の評価方法
カッターもしくはミクロトームを用いて断面(幅方向−厚み方向断面)を切り出したサンプルについて、光学顕微鏡により、その断面を観察した。観察倍率は、20倍〜700倍程度で観察し、その画像をパソコン内部へ取り込んだ。次に、画像処理ソフト Image-Pro Plus ver.4(販売元 プラネトロン(株))を用いて、このファイルを開き、必要であれば、画像処理を行った。画像処理は、コアの形状を鮮明にするために行うものであり、例えば、ソフト付属の2値化およびローパスフィルタ処理などを行った。
続いて、画像解析にて、平行シックプロファイルモードで、フィルム幅方向の2本の平行ライン間に全てのコアが挟まれるよう配置し、位置とライン間の平均明るさとの関係を、数値データとして読み取った。表計算ソフト(Excel2000)を用いて、位置(μm)と明るさのデータに対してサンプリングステップ4(間引き4)でデータ採用した後に、3点移動平均の数値処理を施した。さらに、この得られた明るさが変化するデータを微分し、VBAプログラムにより、その微分曲線の極大値と極小値を読み込み、コアの両端部に位置する極値2つの中点をコア中心位置として全てについて算出した。次いで、隣り合うこれらの間隔をコア間隔として算出し、この操作を光配線フィルムのフィルム厚み方向−幅方向断面すべての写真について行った。隣り合うコアの中心間の距離のばらつき(Vl)は、下記の式のように定義する。
Vl=L/Lc
Vl:隣り合うコアの中心間の距離のばらつき
L :任意の隣接するコアの中心間の距離(L)
Lc:中央部に位置するコアとその隣接するコアの中心間の距離
ここで、コア数が奇数の場合、Lcは中央部に位置するコアに隣接する2つのコアの平均値をとる。偶数の場合は、中央に位置する二つのコアの中心間の距離とする。
コア断面積の求め方は、得られたフィルム幅方向断面写真全てについて、上記同様に2値化などの画像処理によりコアとクラッドを区別し、コアの面積を求める。すわなち、Count/Sizeダイアログボックスの測定メニューから、測定項目のうち、“Area(面積)”を選択し、Countボタンを押し、自動測定を行った。こうして全てのコアに関して断面積を求め、式(1)を満たすコアが連続的に並んでいる個数の最大値を求めた。
(2)コア長手方向のばらつき評価方法
式(1)を満たし、幅方向に4個以上連続して存在しているコアについて、断面積を(1)の手法を用いて求め、その後フィルム長手方向に10cm進んだ場所における該コアの断面積を、同様の手法を用いて計算した。これを10回行い、得られた10点での該コアの断面積の平均値(Savg)を算出した。コア長手方向における断面積のばらつき(Sv)を、下記式を用いて算出し、その値が何パーセント以下になるかを求めた。
Sv=(Smax―Smin)/Savg × 100(%)
Sv :コアのフィルム長手方向10cmおき10点での断面積の平均値
Smax:10点のコア面積の最大値
Smin:10点のコア面積の最小値
(3)熱収縮率
サンプル片150mm×10mmを準備し、この際、サンプル片の長軸が測定対象となるフィルム長手方向と一致するようにした。このサンプル片を、23℃、60%RHの雰囲気に30分間放置し、その雰囲気下で、フィルム長手方向に約100mmの間隔で2つの印をつけ、Nikon社製万能投影機(Model V−16A)を用いて、その印の間隔を測定し、その値をAとした。次に、サンプルを、張力フリーの状態で100℃の雰囲気中で24時間放置し、次いで、23℃・60%RHの雰囲気中で1時間冷却、調湿後、先につけた印の間隔を測定し、これをBとした。このとき、次式より、熱収縮率を求めた。なお、n数は3開とし、その平均値を採用した。
熱収縮率(%)=100×(A−B)/A
(4)光伝搬損失
25℃、65%RHの環境下で、JIS C6823(1999)カットバック法(IEC60793−C1A)に準じて行った。光源には、波長850nmのファブリペローレーザ(アジレントテクノロジーズ社製81655A-E01)を用い、モードコンディショナーを介してサンプルに光入力を行った。光ファイバーは、入力側φ50μm、検出側φ1mmのマルチモードタイプを用いた。なお、光の入出力には、調芯器を用いて光軸合わせを行った。また、検出器には、光パワーセンサ(アジレントテクノロジーズ社製81623B)を用いた。
なお、損失の評価基準は、以下の基準で判断し、測定に用いたコアは、フィルム幅方向中央部のコアとした。
○:0.1dB/cm未満
△:0.1dB/cm以上 1dB/cm未満
×:1dB/cm以上
(実施例1)
コアとなる熱可塑性樹脂Aとしては、ポリメチルメタクリレート(住友化学製 MGSS)、クラッドとなる熱可塑性樹脂Bとしては、ポリフッ化ビニリデン(呉羽化学工業 KFポリマー タイプT10)を用いた。熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれの単軸押出機にて250℃で溶融させ、濾過精度5μmのFSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比が熱可塑性樹脂A組成物/熱可塑性樹脂B組成物=3.3/1になるように計量しながら、スリット長の傾斜角度が3°のスリット板を用いて101層のコームタイプのフィードブロック(幅方向圧縮比0.8)にて合流させて、フィルム幅方向に交互に積層された積層体とした。その内訳は、熱可塑性樹脂Aが51層、熱可塑性樹脂Bが50層からなる幅方向に交互に積層された周期構造を有する積層体であった。さらに、3台目の単軸押出機から、250℃で溶融したクラッドとなる熱可塑性樹脂Bが、フィルム厚み方向の最外層部にくるように、ギアポンプを用いて、積層体との吐出比が10/1となるようにマルチマニホールドダイ部(拡幅比0.8、熱可塑性樹脂B/101層積層体/熱可塑性樹脂B=1/20/1)で合流させて、厚み方向上下がクラッドに覆われたフィルム幅方向積層体とした。また、本装置構成におけるスリット流入口からダイ吐出口までの距離の比は7とした。その後、ワイヤーで9kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し未延伸シートである光配線フィルムを得た。得られたフィルムの幅は、100mmであり、その厚みは、800μmであった。採取した光配線フィルムのコア径は、600μmであり、フィルム幅方向に直線的に整列しており、その数は51個であり、これがフィルム長手方向に数m以上も続くものであった。得られた光配線フィルムの物性結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1の熱可塑性樹脂Aをスチレン共重ポリメチルメタクリレート(電気化学工業製 タイプTX800LF)に変更し、フィードブロックのスリット傾斜角度を4°のものを使用し、それ以外は、実施例1と同様にして、光配線フィルムを得た。得られたフィルムの幅は、105mmであり、その厚みは、820μmであった。採取した光配線フィルムのコア径は、620μmであり、フィルム幅方向に直線的に整列しており、その数は51個であり、これがフィルム長手方向に数m以上も続くものであった。得られた光配線フィルムの物性結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1の熱可塑性樹脂Aをポリメチルメタクリレート(三菱レイヨン製 タイプMD)に変更し、フィードブロックのスリット傾斜角度を5°のものを用い、マルチマニホールドダイに拡幅比1.1のものを使用し、スリット流入口からダイ吐出口までの距離の比を10とした。それ以外は、実施例1と同様にして、光配線フィルムを得た。得られたフィルムの幅は、99mmであり、その厚みは、850μmであった。採取した光配線フィルムのコア径は、630μmであり、フィルム幅方向に直線的に整列しており、その数は51個であり、これがフィルム長手方向に数m以上も続くものであった。得られた光配線フィルムの物性結果を表1に示す。
(実施例4)
コアとなる熱可塑性樹脂Aとしては、ポリメチルメタクリレート(住友化学製 スミペックス タイプMH)、クラッドとなる熱可塑性樹脂Bとしては、四フッ化エチレン・エチレン共重合(旭硝子製 タイプLM−730−AP)を用いた。熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれの単軸押出機にて250℃で溶融させ、濾過精度20μmのFSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比が熱可塑性樹脂A組成物/熱可塑性樹脂B組成物=3.3/1になるように計量しながら、スリットの傾斜角度が5°のスリット板を用いて301層のコームタイプのフィードブロック(幅方向圧縮比0.5)にて合流させて、フィルム幅方向に交互に積層された積層体とした。その内訳は、熱可塑性樹脂Aが151層、熱可塑性樹脂Bが150層からなる幅方向に交互に積層された周期構造を有する積層体であった。また、本装置構成におけるスリット流入口からダイ吐出口までの距離の比は7とした。さらに、3台目の単軸押出機から、250℃で溶融したクラッドとなる熱可塑性樹脂Bが、フィルム厚み方向の最外層部にくるように、ギアポンプを用いて、積層体との吐出比が7/1となるようにマルチマニホールドダイ部(拡幅比0.9、熱可塑性樹脂B/301層積層体/熱可塑性樹脂B=1/14/1)で合流させて、厚み方向上下がクラッドに覆われたフィルム幅方向積層体とした。その後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し未延伸シートである光配線フィルムを得た。得られたフィルムの幅は、154mmであり、その厚みは、120μmであった。採取した光配線フィルムのコア径は、約100μmであり、フィルム幅方向に直線的に整列しており、その数は151個であり、これがフィルム長手方向に数m以上も続くものであった。得られた光配線フィルムの物性結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例4の熱可塑性樹脂Bを四フッ化エチレン・エチレン共重合(ダイキン工業製 タイプEFEP RP−4020)に変更し、マルチマニホールドダイの拡幅比が1.2のものを用い、スリット流入口からダイ吐出口までの距離の比を20とした。それ以外は、実施例4と同様にして、光配線フィルムを得た。得られたフィルムの幅は、153mmであり、その厚みは、120μmであった。採取した光配線フィルムのコア径は、約100μmであり、フィルム幅方向に直線的に整列しており、その数は149個であり、これがフィルム長手方向に数m以上も続くものであった。得られた光配線フィルムの物性結果を表1に示す。
(比較例1)
コアとなる熱可塑性樹脂Aとしては、ポリメチルメタクリレート(住友化学製 タイプLG2)、クラッドとなる熱可塑性樹脂Bとしては、四フッ化エチレン・エチレン共重合(旭硝子製 タイプLM−730−AP)を用いた。熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれの単軸押出機にて250℃で溶融させ、濾過精度20μmのFSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比が熱可塑性樹脂A組成物/熱可塑性樹脂B組成物=3.3/1になるように計量しながら、スリットの傾斜角度が3°のスリット板を用いて101層のコームタイプのフィードブロック(幅方向圧縮比0.7)にて合流させて、フィルム幅方向に交互に積層された積層体とした。その内訳は、熱可塑性樹脂Aが51層、熱可塑性樹脂Bが50層からなる幅方向に交互に積層された周期構造を有する積層体であった。積層された熱可塑性樹脂はフィードブロック下に取り付けられた短管を通った後、マルチマニホールドダイへ流入する装置構成とした。本装置構成におけるスリット流入口からダイ吐出口までの距離の比は40となった。3台目の単軸押出機から、250℃で溶融したクラッドとなる熱可塑性樹脂Bが、フィルム厚み方向の最外層部にくるように、ギアポンプを用いて、積層体との吐出比が10/1となるように2種3層複合マルチマニホールドダイ(拡幅比0.5、熱可塑性樹脂B/101層積層体/熱可塑性樹脂B=1/20/1)で合流させて、厚み方向上下がクラッドに覆われたフィルム幅方向積層体とした。該積層体をTダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで9kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し未延伸シートである光配線フィルムを得た。得られたフィルムの幅は、112mmであり、その厚みは、950μmであった。採取した光配線フィルムのコアは、フィルム幅方向両端部では酷く変形しており、光接続するには難しいものであった。また、コア中心間距離のばらつきが大きく、精密な調芯が困難であった。なお、フィルム幅方向に乱れながら整列しているコア数は51個であり、これがフィルム長手方向に数m以上も続くものであった。得られた光配線フィルムの物性結果を表1に示す。
(比較例2)
コアとなる熱可塑性樹脂Aとしては、ポリメチルメタクリレート(住友化学製 スミペックス タイプMH)、クラッドとなる熱可塑性樹脂Bとしては、ポリフッ化ビニリデン(呉羽化学工業 KFポリマー タイプT10)を用いた。熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれの単軸押出機にて250℃で溶融させ、濾過精度10μmのFSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比が熱可塑性樹脂A組成物/熱可塑性樹脂B組成物=3.3/1になるように計量しながら、スリットの傾斜角度が0°のスリット板を用いて101層のコームタイプのフィードブロック(幅方向圧縮比0.5)にて合流させて、フィルム幅方向に交互に積層された積層体とした。その内訳は、熱可塑性樹脂Aが51層、熱可塑性樹脂Bが50層からなる幅方向に交互に積層された周期構造を有する積層体であった。本装置構成におけるスリット流入口からダイ吐出口までの距離の比は20となった。さらに、3台目の単軸押出機から、250℃で溶融したクラッドとなる熱可塑性樹脂Bが、フィルム厚み方向の最外層部にくるように、ギアポンプを用いて、積層体との吐出比が10/1となるようにフィードブロックに取り付けた短管下の2種3層複合マルチマニホールドダイ(拡幅比1.8、熱可塑性樹脂B/101層積層体/熱可塑性樹脂B=1/20/1)から合流させて、厚み方向上下がクラッドに覆われたフィルム幅方向積層体とした。該積層体をTダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し未延伸シートである光配線フィルムを得た。得られたフィルムの幅は、111mmであり、その厚みは、890μmであり、フィルム表面にはフローマークが見られた。採取した光配線フィルムのコアは、フィルム幅方向両端部では酷く変形しており、光接続するには難しいものであった。また、コア中心間距離のばらつきが大きく、精密な調芯が困難であった。なお、フィルム幅方向に乱れながら整列しているコア数は51個であり、これがフィルム長手方向に数m以上も続くものであった。得られた光配線フィルムの物性結果を表1に示す。
(比較例3)
比較例2と同様の熱可塑性樹脂を用い、それぞれの単軸押出機にて265℃で溶融させ、FSSタイプのリーフディスクフィルタを2枚介した後、ギアポンプにて吐出比が熱可塑性樹脂A組成物/熱可塑性樹脂B組成物=0.125/1になるように計量しながら、スリットの傾斜角度が2°のスリット板を用いて301層のコームタイプのフィードブロック(幅方向圧縮比1.2)にて合流させて、フィルム幅方向に交互に積層された積層体とした。その内訳は、熱可塑性樹脂Aが151層、熱可塑性樹脂Bが150層からなる幅方向に交互に積層された周期構造を有する積層体であった。積層された熱可塑性樹脂はフィードブロック下に取り付けられた短管を通った後、マルチマニホールドダイへ流入する装置構成とした。本装置構成におけるスリット流入口からダイ吐出口までの距離の比は30となった。さらに、3台目の単軸押出機から、250℃で溶融させられたクラッドとなる熱可塑性樹脂Bが、フィルム厚み方向の最外層部にくるように、ギアポンプを用いて、積層体との吐出比が5/1となるようにフィードブロック下の2種3層複合マルチマニホールドダイ(拡幅比0.8、熱可塑性樹脂B/101層積層体/熱可塑性樹脂B=1/10/1)で合流させて、厚み方向上下がクラッドに覆われた積層体とした。該積層体をTダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し未延伸シートである光配線フィルムを得た。得られたフィルムの幅は、130mmであり、その厚みは、120μmであり、フィルム表面にはフローマークも見られた。採取した光配線フィルムのコアは、フィルム幅方向両端部では酷く変形しており、また、腰が弱いため光接続するには難しいものであった。また、コア中心間距離のばらつきが大きく、精密な調芯が困難であった。なお、採取した光配線フィルムのコアは、フィルム幅方向に乱れながら整列しており、その数は151であり、これがフィルム長手方向に数m以上も続くものであった。得られた光配線フィルムの物性結果を表1に示す。
Figure 2008249750
本発明は、ディスプレイ部材、太陽電池部材、情報通信部材、装飾部材、照明部材などの用途に用いることができるが、特に装置間通信や装置内通信などの短〜中・長距離用の光導波路に好適に用いることができる。
光配線フィルムの断面図および全体図の例 コア径の説明 隣接するコアのコア間隔の説明 コームタイプフィードブロックによるマルチコア光配線の製造方法の上面図 スリット板の正面図 コームタイプフィードブロックによるマルチコア光配線の製造方法の正面図
符号の説明
1 :コアとなる熱可塑性樹脂Aからなる分散体(コア)
2 :クラッドとなる熱可塑性樹脂B
3 :フィルム厚み方向
4 :フィルム幅方向
5 :フィルム長手方向
6 :フィルム幅方向の2本の平行線とコアが接する間隔
7 :フィルム厚み方向の2本の平行線とコアが接する間隔
8 :コア間隔
9 :マニホールド
10:スリット板
11:積層装置(コームタイプフィードブロック)
12:スリット板の中央部に位置するスリット
13:スリット板の最端部に位置するスリット
14:中央スリットと端部スリットがなす角度
15:マルチマ二ホールドダイ
16:コームタイプフィードブロック出口の幅(マルチマニホールドダイのポリマー流入部の幅)
17:スリット板両壁面の幅
18:マルチマニホールドダイのポリマー吐出部の幅
19:最も距離の長いスリット部のスリット長
20:コームタイプフィードブロックのポリマー流入部からマルチマニホールドダイのポリマー吐出部までの距離

Claims (6)

  1. 断面形状としてクラッドとなる熱可塑性樹脂Bに周りを囲まれたコアとなる熱可塑性樹脂Aからなる分散体(コア)がフィルム長手方向に延在しながらフィルム幅方向に配列した構造である光配線フィルムであって、フィルム中央部に位置するコアの断面積(Ac)とフィルム幅方向に配列した任意のコアの断面積(A)が下記式(1)を満足するコアが少なくとも4個以上連続的に隣り合って存在する光配線フィルム。
    0.8≦A/Ac≦1.2 式(1)
  2. 式(1)を満たすコアのフィルム長手方向における断面積のばらつきが5%以下である請求項1に記載の光配線フィルム。
  3. 式(1)を満たすコアの、隣り合うコアの中心間の距離のばらつきが10%以下である請求項1〜2のいずれかに記載の光配線フィルム。
  4. 100℃、24時間の熱処理によるフィルム長手方向の熱収縮率が5%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の光配線フィルム。
  5. 少なくとも一方のフィルム表面に深さ10μm以上の凹凸が存在し、その凹部が各コアの間のクラッド部で、かつフィルム長手方向に存在する請求項1〜4のいずれかに記載の光配線フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光配線フィルムを用いた光モジュール。
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