JP2008248619A - 断熱遮音材 - Google Patents
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Abstract
【課題】表層部が硬質であって、低周波領域(300Hz程度以下)の騒音を効果的に吸収し得る断熱遮音材を提供する。
【解決手段】本発明の断熱遮音材1は、多孔質材料から成る多孔質体層2と、多孔質体層2の前面側に配置される中空構造のボード3とを備えている。
ボード3は、二枚のプラスチック製のシート41a、41bの片面にそれぞれ突設された複数の中空突起体42a、42bの頂部43a、43bどうしを突き合わせた状態で一体化された芯部材4と、芯部材の前面側および背面側にそれぞれ貼り合わせられたプラスチック製の平板5、6とを備えており、音源側の平板5には空隙45と連通する穿設孔51が設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の断熱遮音材1は、多孔質材料から成る多孔質体層2と、多孔質体層2の前面側に配置される中空構造のボード3とを備えている。
ボード3は、二枚のプラスチック製のシート41a、41bの片面にそれぞれ突設された複数の中空突起体42a、42bの頂部43a、43bどうしを突き合わせた状態で一体化された芯部材4と、芯部材の前面側および背面側にそれぞれ貼り合わせられたプラスチック製の平板5、6とを備えており、音源側の平板5には空隙45と連通する穿設孔51が設けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、断熱遮音材に係り、特に断熱性に優れ、低周波領域の遮音を効果的に吸収することができる断熱遮音材に関する。
従来から、この種の断熱材・吸音材としては、主にグラスウールや樹脂フォームなどから成る断熱遮音材が用いられている。
このうち、吸音材としては、出願人が先に開発した低周波吸音材が用いられ、断熱材としては、樹脂製の中空ボードが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、前者の低周波吸音材としては、空気の粘性抵抗を利用し、音波のエネルギーを熱エネルギーに変換して吸音する多孔質吸音構造体に、さらに密度が異なる繊維集合体を積層した第1、第2の吸音材が知られている。(例えば、特許文献2参照)。
第1の吸音材は、発泡体層と、この発泡体層の背面側に積層される汎用のグラスウールで形成されている多孔質体層とを備えており、発泡体層は、分子量500〜5000の第1のジオール、分子量500以下の第2のジオール、無機充填材、発泡剤としての水、およびイソシアネートの各成分を含有する発泡体で形成されている。また、第2の吸音材は、発泡体層と、発泡体層の前面側に積層される第1の多孔質体層と、発泡体層の背面側に積層される第2の多孔質体層とを備えており、発泡体層は、分子量500〜5000の第1のジオール、分子量500以下の第2のジオール、無機充填材、発泡剤としての水、およびイソシアネートの各成分を原料成分としている。
しかしながら、これらの第1、第2の吸音材は何れも300Hz程度までの低周波領域の騒音を吸収することができるものの、300Hz程度以下の低周波領域の騒音を効果的に吸収することができないという難点があり、また、これらの第1、第2の吸音材は、その表層部が軟質のため、このままの構成では建築内装材などの表層部が硬いほうが望ましい分野への適用が難しいという問題があった。
一方、後者の樹脂製の中空ボードにおいては、表層部が硬く、断熱性にも優れていることから建築内装材として好適するものの、300Hz程度以下の低周波領域の騒音を吸収することができないという難点があった。
本発明は、音源側の表層部が硬質であって、300Hz程度以下の低周波領域の騒音を効果的に吸収することができる断熱遮音材を提供することを目的としている。
本発明の第1の態様である断熱遮音材は、多孔質材料から成る多孔質体層と、多孔質体層の前面側に配置される中空構造のボードとを備え、ボードは、二枚のプラスチック製のシートの片面にそれぞれ突設された複数の中空突起体の頂部どうしを突き合わせた状態で一体化された芯部材と、芯部材の前面側および背面側にそれぞれ貼り合わせられたプラスチック製の平板とを備えるものである。
本発明の第2の態様である断熱遮音材は、多孔質材料から成る多孔質体層と、多孔質体層の前面側に所定の空隙を介して多孔質体層に固定される中空構造のボードとを備え、ボードは、二枚のプラスチック製のシートの片面にそれぞれ突設された複数の中空突起体の頂部どうしを突き合わせた状態で一体化された芯部材と、芯部材の前面側および背面側にそれぞれ貼り合わせられたプラスチック製の平板とを備えるものである。
本発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様である断熱遮音材において、中空突起体は、一方のシートから他方のシートに向かって順次縮径する円錐台形状を呈しているものである。
本発明の第4の態様は、第1の態様乃至第3の態様の何れかの態様である断熱遮音材において、ボードは、ポリプロピレン樹脂で形成されているものである。
本発明の第1の態様乃至第4の態様の断熱遮音材によれば、300Hz程度以下の低周波領域の騒音を効果的に吸収することができ、前面側に表層部が硬質の中空構造のボードが配設されていることから、建築内装材として好適な断熱遮音材を提供することができる。
以下、本発明の断熱遮音材の好ましい実施の形態例について、図面を参照して説明する。
[実施例1]
図1は本発明の第1の実施例における断熱遮音材の一実施例の断面図を示している。同図において、本発明の断熱遮音材1は、多孔質材料から成る多孔質体層2と、多孔質体層2の前面側(音源側)に積層するように載置される中空構造のボード3とを備えている。ここで、ボード3の背面側に多孔質体層2を積層するのは、ボード3部分が付加質量、すなわち錘の役割として作用し、多孔質体層2がバネ、すなわち空気バネの役割として作用し、膜振動による吸音を行わせるためである。
[実施例1]
図1は本発明の第1の実施例における断熱遮音材の一実施例の断面図を示している。同図において、本発明の断熱遮音材1は、多孔質材料から成る多孔質体層2と、多孔質体層2の前面側(音源側)に積層するように載置される中空構造のボード3とを備えている。ここで、ボード3の背面側に多孔質体層2を積層するのは、ボード3部分が付加質量、すなわち錘の役割として作用し、多孔質体層2がバネ、すなわち空気バネの役割として作用し、膜振動による吸音を行わせるためである。
多孔質体層2は、難燃性を有する材料、具体的にはボード状若しくはフェルト状のグラスウール、セラミック繊維によるフェルト材料(シリカ)若しくはウレタンフォームなどで形成されている。多孔質体層2は、厚さが1〜50mmのもので形成することが好ましい。ここで、厚さを1〜50mmとしたのは、厚さが1mm未満では多孔質体層2の骨格部分の振動による吸音効果が低下し、厚さが50mmを超えると板材としての振動が減少し、吸音効果が低下するからである。なお、吸音体としての強度とスペースファクターとを考慮すると、厚さが10〜25mmのものが好適する。
このような構成の多孔質体層2においては、低周波数領域から高周波数領域までの広範囲に亘って吸音特性が優れており、また固体伝搬音や振動の低減にも効果的な制振性を発揮する。
ボード3は、樹脂製で、すなわち表層部が硬質で、内部に多数個の空隙を有するもので構成されている。ボード3は、具体的には図2(a)に示すように、中空構造の芯部材4と、芯部材4の前面側および背面側にそれぞれ貼り合わせられるポリプロピレン製の平板5、6とを備えている。
芯部材4は、図2(b)に示すように、二枚のポリプロピレン製のシート41a、41bの片面にそれぞれ多数個の円錐台形状の中空突起体42a、42bを千鳥格子状に突設し、このようにして得られた二枚のポリプロピレン製のシート41a、41bの中空突起体42a、42bの頂部43a、43bどうしを、図2(c)に示すように、突き合わせた状態で一体化することで形成することができる。
このようにして得られた芯部材4の前面側および背面側には、図2(d)に示すように、ポリプロピレン製の平板5、6が貼り合わせられ、これにより、シート41a、41bと平板5、6とによって区画された領域に中空部44a、44bが形成され、また、対向するシート41a、41b間にハニカム状の空隙45が形成されることになる。また、音源側の平板5には、図2(e)に示すように、ハニカム状の空隙45と対応する位置に空隙45と連通する穿設孔51が設けられている。この穿設孔51は、穿設孔51を通じて開口するボード2の空隙45(空気層)の共鳴吸音効果を高めるために設けるもので、必要に応じて音源側と反対側の平板6に設けてもよい。なお、穿設孔51の大きさは0.3mm〜7.0mm程度とされ、穿設孔51の数は吸音すべき周波数に応じて適宜調整することができる。
このような構成の芯部材4は、例えば、減圧チャンバ内に設置され外周部に金属製突起体を規則的に配置したエンボスロールを使用し、真空成形を行うことで製造することができる。具体的には、例えば、減圧チャンバ内に回転可能に配設された一対のエンボスローラ間に二枚のポリプロピレン製シートを導入し、各ポリプロピレン製シートを対応するエンボスローラの外周面に吸着させて各エンボスローラに突設された突起体の形状に対応する突起体をポリプロピレン製シートにそれぞれ多数個の円錐台形状の中空突起体を形成し、中空突起体の頂部どうしを熱融着することで芯部材を得ることができる。
ここで、ボード3の形成材料としては、特に制限されるものではないが、成形性、物性およびコストなどを考慮すると、ポリプロピレン樹脂が好適する。また、ボードの形成材料としてポリプロピレン樹脂を用いた場合においてはリサイクル性にも優れ、環境に優しいエコ製品を提供することができる。
この実施例においては、芯部材の厚さが12mm程度、中空突起体42a、42bの先端部(小径部)の外径が2mm程度、中空突起体42a、42bの後端部(大径部)の外径が6mm程度、隣接する中空突起体42a、42bの後端部(大径部)の間隔が1〜5mmとされている。
このような中空構造のボード3においては、多数個の空隙部(中空部44a、44bおよび空隙45)が存在することから、軽量である上、断熱性や吸音特性に優れ、また、円錐台形状の中空突起体42a、42bが千鳥格子状に配置されていることから曲げ特性や圧縮特性にも優れている。
図3は、本発明の実施例における断熱遮音材の吸音特性を比較例と共に示した説明図である。同図において、横軸は周波数[Hz]、縦軸は残響室法吸音率、L1は、厚さが100mmで面密度が32kg/m3のグラスウール(多孔質体層)の前面側にシリコーンゴムから成る皮膜を積層した従来の吸音体(以下「比較例」という。)の吸音特性、L2は、ポリプロピレン製の芯部材(目付:1000g/m2)の前面側および背面側にポリプロピレンシート(目付:400g/m2)を貼り合わせて、全体として製品の厚みを12mmとしたボード3の背面側に厚さ75mmのウレタンフオーム(多孔質体層)を積層した本発明の断熱遮音材(以下「実施例」という。)の吸音特性を示している。
同図より、実施例においては、L2で示すように、100〜2000Hzの周波数帯域においては、従来の吸音材(L1)と比較して、吸音率のピークを低周波領域側へ移行させることができ、特に300Hz程度以下の周波数帯域における比較例(L1)と実施例(L2)とを対比すると、0.3〜0.4程度吸音率が改善していることが判る。
以上のように、本発明の断熱遮音材によれば、樹脂製の中空ボードを用いて、膜状吸音機構に近似する原理で動作する板状吸音機構と中空ボード自身の有するヘルムホルツ吸音機構のデュアルモードで、300Hz程度以下の低周波領域の騒音を効果的に吸収することができ、また、前面側に製品の表層部が硬質の中空構造のボードが配設されていることから、建築内装材として好適する断熱遮音材を提供することができる。
[実施例2]
図4は、本発明の第2の実施例における断熱遮音材の断面図を示している。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
[実施例2]
図4は、本発明の第2の実施例における断熱遮音材の断面図を示している。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図4において、この実施例における断熱遮音材7おいては、多孔質体層2の前面側(音源側)に中空構造のボード3が所定の空隙8を介して積層するようにして固定されている。このような構成の断熱遮音材7は、多孔質体層2の前面側(音源側)に例えば直径が1mm程度の線条のアクリル樹脂から成る接着部材9が15〜30mmの間隔で長手方向に沿って平行に接着され、この上に中空構造のボード3を積層するように載置することで多孔質体層2とボード3とが一体化されるとともに、多孔質体層2とボード3との界面に所定の空隙8が形成されることになる。ここで、多孔質体層2とボード3との間に空隙8を設けたのは、多孔質体層2とボード3との界面で音響エネルギーを吸収させるためである。また、線条の接着部材8の接着間隔を15〜30mmとしたのは、15mm未満では吸音率が低下し、30mmを超えると密着性が悪くなるからである。
このような構成の断熱遮音材7においても、実施例1の断熱遮音材と同様の作用効果を奏する上、多孔質体層2とボード3とが一体化されることで、製品形態の自由度が向上し、現場における施工を簡単に行なうことができる。
1・・・断熱遮音材
2・・・多孔質体層
3・・・ボード
4・・・芯部材
41a、41b・・・シート
44a、44b・・・中空部
5・・・平板
51・・・穿設孔
6・・・平板
2・・・多孔質体層
3・・・ボード
4・・・芯部材
41a、41b・・・シート
44a、44b・・・中空部
5・・・平板
51・・・穿設孔
6・・・平板
Claims (4)
- 多孔質材料から成る多孔質体層と、前記多孔質体層の前面側に配置される中空構造のボードとを備え、
前記ボードは、二枚のプラスチック製のシートの片面にそれぞれ突設された複数の中空突起体の頂部どうしを突き合わせた状態で一体化された芯部材と、前記芯部材の前面側および背面側にそれぞれ貼り合わせられたプラスチック製の平板とを備えることを特徴とする断熱遮音材。 - 多孔質材料から成る多孔質体層と、前記多孔質体層の前面側に所定の空隙を介して前記多孔質体層に固定される中空構造のボードとを備え、
前記ボードは、二枚のプラスチック製のシートの片面にそれぞれ突設された複数の中空突起体の頂部どうしを突き合わせた状態で一体化された芯部材と、前記芯部材の前面側および背面側にそれぞれ貼り合わせられたプラスチック製の平板とを備えることを特徴とする断熱遮音材。 - 前記中空突起体は、前記一方のシートから前記他方のシートに向かって順次縮径する円錐台形状を呈していることを特徴とする請求項1または請求項2記載の断熱遮音材。
- 前記ボードは、ポリプロピレン樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3何れか1項記載の断熱遮音材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007092876A JP2008248619A (ja) | 2007-03-30 | 2007-03-30 | 断熱遮音材 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008248619A true JP2008248619A (ja) | 2008-10-16 |
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JP2007092876A Withdrawn JP2008248619A (ja) | 2007-03-30 | 2007-03-30 | 断熱遮音材 |
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2007
- 2007-03-30 JP JP2007092876A patent/JP2008248619A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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