JP2008248487A - 回転圧入杭の施工方法および斜面施工装置 - Google Patents

回転圧入杭の施工方法および斜面施工装置 Download PDF

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Abstract

【目的】在来の小規模斜面の地盤補強を経済的に、かつ確実に行えるようにすることである。
【構成】回転させながら地盤に圧入される回転圧入杭の斜面施工方法であり、先端に螺旋状の羽根11aを設けた鋼管抗本体の周壁にグラウト材吐出孔11c、12cを該鋼管抗本体の長さ方向に複数個散在して有し、かつ、前記鋼管抗本体の長さ方向に複数の節突起11b、12bを有する回転圧入杭10を、斜面の地盤に回転圧入して打設するステップ、該回転圧入杭の鋼管本体内にグラウト材を加圧注入するステップ、グラウト材吐出孔よりグラウト材を排出して地盤改良体(グラウト柱体)31を形成するステップを有している。
【選択図】図6

Description

本発明は斜面の地盤補強を目的とした回転圧入杭の施工方法および斜面施工装置にかかわり、特に、回転圧入杭を回転させながら斜面の地盤に打設し、回転圧入杭の鋼管本体内にグラウト材を加圧注入して鋼管抗本体の周壁に形成したグラウト材吐出孔より該グラウト材を排出して地盤改良体(グラウト柱体)を形成して斜面の安定化を可能とする回転圧入杭の施工方法および斜面施工装置に関する。
斜面安定工法には、地すべりや大規模切土・盛土法面を抑止する抑止工と、比較的小規模斜面(法高10.0m程度・すべり深度5m〜8m程度以下・必要抑止力500kN/m以下程度)の安定工がある。一般に盛土法面とは図15に示すように元の斜面2の表層付近の腐植質土等、盛土構造に際して不適な土質を排除して後、盛土に適する土質を使用し、盛土したときの斜面1であり、切土法面とは元の斜面2を切土して新たに形成される斜面3である。この法面において、法面表層部の活動しようとする部分(滑ろうとする部分)を移動層、移動層以深を不動層と定義する。すなわち、斜面は図16に示すように地盤の弱い移動層4と地盤が強固な不動層5とで構成され、移動層4は地震その他の要因で点線で示す部分に沿って滑落あるいは崩落する可能性が高い。このため、上記の抑止工あるいは安定工がなされる。
大規模斜面の安定には、抑止杭やグラウンドアンカーによる抑止工が一般的であり、小規模斜面の安定にはロックボルト工やフリーフレーム工などの抑止工がある。かかる斜面安定工に使用する場合のグラウンドアンカーとロックボルト工およびその構造的及び機能的な相違点について以下に説明する。尚、以降では、斜面安定の対象は人工的に形成された斜面及び周辺の自然斜面であり、切土法面・盛土法面・自然斜面であるものとする。
・グラウンドアンカー
グラウンドアンカー6は図17に示すように3箇所の構造部分、すなわちアンカー頭部6a、アンカー自由長部6b、 アンカー定着長部6cに大別できる。アンカー頭部6aはアンカー力を法面表層部に伝達する部分であり、アンカー自由長部6bは移動層を貫く部分でアンカー頭部にプレストレス力を与えるための伝達部分であり、アンカー定着長部6cは不動層に構築されたアンカー力を発揮する部分である。
グラウンドアンカー6は抑止機能として、定着長部6cにより不動層から得たアンカー力を自由長部6bを利用して法面表層に配置されたアンカー頭部6aに伝達し、該アンカー頭部6aを構成する受圧構造物(プレキャスト受圧板・法枠・擁壁等)を介して法面表層部より移動層4にプレストレスを与え、滑り面(移動層・不動層の境界部分)の粘着力や摩擦力を増大させ強制的に移動層を抑止するものである。
・ロックボルト工
ロックボルトは、図18に示すように移動層から不動層を貫通する定着部7a及びロックボルト頭部7bから形成されている。抑止機能としては、グラウンドアンカーとは異なり、ロックボルト定着部7aの内、移動層部分は移動層の地盤改良効果を期待して、定着材による該移動層の拘束効果により安定させるもので、不動層に配置されたロックボルト定着長部は、滑り力に対するせん段効果及び不動層での摩擦力による引き抜き効果を利用した抑止工となる。また、ロックボルト頭部7bは法面表層の風化等による剥落防止程度の目的とした法枠または吹付コンクリート工等の固定を行うものである。よって、ロックボルトによる斜面安定は移動層を安定・拘束・一体化させ、この移動層を貫通した不動層に杭工の様な定着部を設けることにより斜面全体の安定をはかるものであり、ネーリング工法とも呼ばれる。
以上から、斜面安定に於いてグラウンドアンカーとロックボルトでは類似するような工法と思われがちであるが、その構造・機能は異質なものである。
グラウンドアンカーは、図17で説明したように、不動層5にまで到達するようにある程度深く(一般的には全長が最低7m以上)打ち込んで移動層4の緩い地盤を締め付けなければならず、通常はケーシング管の中にアンカー材を入れて二重管堀りして後、そのケーシング管を抜きながら深い位置にまでグラウトを施さねばならず、さらに引張力を作用させることができるように頭部処理も施す必要があるため、構造、施工が大がかりなものとなる問題がある。
一方、ロックボルト工は図18に示すように地盤の不安定な部位に3〜5m程度のロックボルトを打設してこれを定着材で地山に全面(全長)定着し、地盤変形を抑止せんとするもので、構造、施工が簡単である。ところで、従来のロックボルト工は、比較的小型の削岩機(人力作業可能)等を用いてΦ40〜50mm程度の削孔径で削孔を行い、グラウト材を注入し鉄筋等にネジ加工を施したロックボルト材を挿入して、グラウト材により地山にロックボルト材を定着させるものである。
しかし、削孔は削岩機の回転力・打撃力・押付け力をΦ25mm程度のロッドにより先端ビットに伝達させ地山を砕きスライムをエアーにより排出して削孔を行うもので、地山の自立性(削孔孔壁の自立)が悪く削孔完了後に削孔が崩れてしまう様な地盤の場合は施工不可能となる問題がある。既存のロックボルト工法では、この様な場合、二種類の施工方法を主に採用して施工を行っている。
第1の施工方法は図19に示す自穿孔ロックボルトを使用する方法であり、自穿孔ロックボルト8で削孔完了後に削孔ロット及び先端ビット8aを残置して削孔で使用したエアー貫通用中空部分8bを利用して、グラウト材をロックボルト先端から噴射し、ロックボルト周囲をグラウトで充填する方法である。しかし、この方法では、崩壊性の高い地山に対して、ロックボルト先端から噴出したグラウト材がロックボルト周辺に確実に充填されている保障がなく、斜面が補強されている保証がない。
第2の施工方法はグラウンドアンカーと同様の削孔機によるケーシング削孔である。比較的大型の削孔機(全油圧型ロータリーパーカッションドリル等)を使用し、図20(A)に示すようにケーシング削孔を行い削孔完了後に、先端ビット9aを回収、ケーシング管9bを残置した状態で、図20(B)に示すようにケーシング管9b内にアンカー材(ロックボルト)9cを挿入し、ケーシング管9bを引き抜きながらアンカーグラウト材をロックボルト先端より吐き出し、ロックボルト周辺の地山を充填定着して造成を行う。なお、9dはグラウト材逆流防止用のパッカーである。この方法であれば、確実なロックボルトの造成が可能であるが、ケーシング削孔の削孔有効径としては、削孔機械能力・削孔径の関係より必要径より大きな径(Φ90mm〜Φ135mm程度)が採用されることとなり、通常補強材鉄筋径Φ19mm〜Φ25mmに比較すると不経済となってしまう。また、構造、施工が大がかりなものとなる問題がある。
そこで、小さな押込力で地盤に押込むことができ、任意の長さの長尺とすることができるように、外周にスパイラル状リブを設けた鋼管からなる回転圧入式のアースアンカーが提案されている(特許文献1)。
特開平2−266021号公報
しかし、このアンカー工法では、スパイラルリブによってアンカー外周の地盤の攪乱を最小限に留め、かつこれにモルタルを注入せんとするために、アンカー外周地盤にモルタルがはいっていきにくい。従って、アンカー外周のごく限られた部分、或いは偏った領域にしかモルタルが入らず、意図した通りの地盤変形抑止力が得られない可能性がある。
以上から本発明の目的は、在来の小規模斜面の地盤補強を経済的に、かつ確実に行えるようにすることである。
本発明の別の目的は、盛土部を繰り返し形成する際の地盤補強を確実に行えるようにすることである。
本発明の第1の態様は、回転させながら地盤に圧入される回転圧入杭の施工方法であり、先端に螺旋状の羽根を設けた鋼管抗本体の周壁にグラウト材吐出孔を該鋼管抗本体の長さ方向に複数個散在して有し、かつ、前記鋼管抗本体の長さ方向に複数の節突起を有する回転圧入杭を、斜面に対して所定の角度をなす形で回転圧入して該斜面の地盤に打設するステップ、該回転圧入杭の鋼管本体内にグラウト材を加圧注入するステップ、前記グラウト材吐出孔よりグラウト材を排出して地盤改良体を形成するステップを有している。
上記回転圧入杭の施工方法は、斜面を安定化するために、斜面を段階的に形成する毎に、該斜面の各段斜面より地盤に前記回転圧入杭を打設し、該回転圧入杭の鋼管本体内にグラウト材を加圧注入し、前記グラウト材吐出孔よりグラウト材を排出して地盤改良体を形成する。
本発明の第2の態様は斜面施工装置であり、先端に螺旋状の羽根を設けた鋼管抗本体の周壁にグラウト材吐出孔を該鋼管抗本体の長さ方向に複数個散在して有し、かつ、前記鋼管抗本体の長さ方向に複数の節突起を有する回転圧入杭、該回転圧入杭を回転圧入して斜面の地盤に打設するロータリー式ボーリングマシン、打設された回転圧入杭の鋼管本体内にグラウト材を加圧注入し、前記グラウト材吐出孔よりグラウト材を排出して地盤改良体を形成するグラウト注入装置を備えている。
本発明によれば、先端に螺旋状の羽根を設けた鋼管抗本体の周壁にグラウト材吐出孔を該鋼管抗本体の長さ方向に複数個散在して有し、かつ、前記鋼管抗本体の長さ方向に複数の節突起を有する回転圧入杭を、斜面に対して、所定の角度をなす形で回転圧入して斜面の地盤に打設し、該回転圧入杭の鋼管本体内にグラウト材を加圧注入し、前記グラウト材吐出孔よりグラウト材を排出して地盤改良体を形成することにより、在来の小規模斜面の地盤補強を経済的に、かつ確実に行なうことができる。特に、本発明によれば、ロックボルトのボルト本体(鉄筋や中空ボルト)に対応する補強材として小口径鋼管(Φ60〜Φ80mm以下程度)を採用でき、小口径鋼管を自穿孔ボルトと同様に直接打設することにより、在来の小規模斜面の安定を経済的に行うことができる。
また、本発明によれば、斜面が段階的に形成される毎に、該斜面の各段斜面より地盤に前記回転圧入杭を打設し、該回転圧入杭の鋼管本体内にグラウト材を加圧注入し、前記グラウト材吐出孔よりグラウト材を排出して地盤改良体を形成するようにしたから、繰り返し形成される斜面の地盤補強を確実に行なうことができる。
(A)本発明の斜面施工方法に用いる回転圧入杭の構成
図1は本発明の斜面施工方法に用いる回転圧入杭の斜視図である。回転圧入杭10は、所定の長さ(3000〜6000mm)、小口径(Φ60〜Φ80mm程度)および厚さ(7.1mm程度)を有する中空の鋼管杭であり、図2(a)〜(d)に示すように、定着長部11と1以上の継足し用鋼管12と鋼管機械式ネジ継ぎ手(カップラー式ネジ継ぎ手)13に分離できるようになっている。定着長部11は所定の長さを備え、その先端には螺旋状の羽根部11aが形成され、定着長部11の外周には第1のピッチで円形の節突起11bが形成され、かつ、定着長部11の周壁には第2のピッチで逆止弁機構付きグラウト材吐出孔11cが形成され、定着長部11の他端部には継足し用鋼管12と接続するためのネジ構成の継ぎ手11d(図2(b)参照)が形成されている。
継足し用鋼管12は所定の長さを備え、その両端部には定着長部11あるいは別の継足し用鋼管と接続するためのネジ構成の継ぎ手12a,12a(図2(d)参照)が形成されている。また、継足し用鋼管12の外周には、定着長部11と同様に円形の節突起12bが形成され、かつ、周壁には第2のピッチで逆止弁機構付きグラウト材吐出孔12cが形成されている。カップラー式ネジ継ぎ手(継ぎ手部という)13は図2(c)に示すように、定着長部11と継足し用鋼管12間、あるいは継足し用鋼管12同士を接続するものである。
図3(A)は先端羽根部11a(図1のA部分)の拡大図、図3(B)は図1のB矢視図である。先端羽根部11aは図3(A)に示すように鋼管杭の先端を外側に張り出すようにして塑性加工し、その張り出し部に切り込みを入れて螺旋状に曲げ加工を施して形成されている(特開2005-68987号公報参照)。先端羽根部11aの直径は図3(B)より鋼管本体11eの直径の2倍程度の大きさとなっている。
図4は節突起11b周辺(図1のC部分)における鋼管杭の長手方向の一部破断図である。節突起11bはビード溶接加工により形成されている。継足し用鋼管12の節突起12bも節突起11bと同一の構成を備えている。
図5は逆止弁機構付きグラウト材吐出孔11c周辺(図1のD部分)における鋼管杭の長手方向の一部破断図である。逆止弁機構付きグラウト材吐出孔11cはバルブ加工により形成され、吐出孔11c‐1、逆止弁11c‐2で構成され、グラウトの加圧注入時に逆止弁11c‐2が開いてグラウトが吐き出されるようになっている。継足し用鋼管12の逆止弁機構付きグラウト材吐出孔12cも図5に示す構成を備えている。
鋼管杭本体(回転圧入杭)10は図示例では標準的に防錆処理されたものを用いる。防錆処理された鋼管自体はグラウト材との付着が小さいが、節突起11bによって地盤と杭の荷重伝達性能が大幅に向上する。なお、図示例においては、鋼管杭の先端を外側に張り出すように塑性加工して先端羽根部11aとしたが、螺旋状の羽根は、別途製造したものを鋼管杭に溶接一体化しても構わず、また、羽根を先端のみならず、鋼管杭の長さ方向複数箇所に設けて地盤の圧密効果を高めても構わない。
(B)施工状態
図6は回転圧入杭10を斜面の地盤に施工した状態を示す説明図であり、回転圧入杭10、その定着長部11及び継足し用鋼管12等の鋼管部分が斜面に対して所定の角度をなす形で地盤に打設されており、回転圧入杭10の全長に亘って均一なグラウト柱体31が形成されて定着長領域(地盤改良体)となっている。
回転圧入杭10を斜面の地盤に回転圧入後、グラウト材を加圧注入すると、羽根11aが緩ませた地盤にグラウト材が複数のグラウト材吐出孔11c、12cより排出し、均一なグラウト柱体31が形成され、これによって確実な支持力が得られる。すなわち、杭圧入によって、杭周囲の地盤を均一に攪拌した状態で、グラウトを行い、その均一なグラウトとの付着によって大きな荷重伝達性能を得ることが可能となる。この際、グラウトの不測部位への逸失等が起こらない。
また、回転圧入杭10を打設する際、杭の先端から鋼管内に土砂が入り込むが、グラウト材は杭先端からではなく鋼管杭本体の周壁に設けた逆止弁機構付きグラウト材吐出孔11c、12cから行なうので、鋼管先端部の閉塞に影響されずに注入することができる。すなわち、回転圧入杭10は、鋼管杭周辺地質全体をグラウトすることによって、周面摩擦力を増大させて引き抜き抵抗力をアップするもので、これによって斜面地盤の安定性に対し比較的短い杭でも引き抜き抵抗力をアップすることができる。つまり、施工性(杭の貫入性)は従来型の回転圧入杭と遜色ないまま、引き抜きや押し込みに対する大きな引き抜抵抗力を発揮できる。
(C)施工方法
図7は本発明の施工方法説明図であり、ロータリーヘッド部RHDを搭載したバックホー改造型ボーリングマシン(ロータリー式ボーリングマシン)101を用いて図1の回転圧入杭10を斜面に施工する施工方法の説明図であり、回転圧入杭10は図2で説明したように、定着長部11と継足し用鋼管12と継ぎ手部13を組み立てて構成される。
図7(A)に示すように、ロータリー式ボーリングマシン(回転式削孔機械)101のロータリーヘッド部RHDに定着長部11を把持させて斜面の地盤に所定ストロークづつ回転・貫入する。定着長部11の圧入が終了すれば、鋼管継ぎ足し足場102において、ロータリーヘッド部RHDから定着長部11の把持を解除する。ついで、図7(B)に示すように、継ぎ手部13を定着長部11に接続し、しかる後、ロータリー式ボーリングマシン101のロータリーヘッド部RHDに継足し用鋼管12を把持させ、該把持された継足し用鋼管12を継ぎ手部13により定着長部11に接続する。接続完了後、ロータリー式ボーリングマシン101により回転圧入杭10を所定ストロークづつ回転圧入する。そして、回転圧入杭10の圧入が終了すれば、図8(A)に示すように継足し用鋼管12の口元をバルブ103等で塞ぎ、図8(B)に示すようにグラウト用ミキサー105から供給されるグラウトをグラウト注入装置104より回転圧入杭10に加圧注入する。この加圧注入により、先端羽根11aが緩ませた斜面の地盤にグラウト材が定着長部11および継足し用鋼管12に形成した複数のグラウト材吐出孔より排出し、均一なグラウト柱体31が形成され、これによって確実な支持力が得られる。
図7(A)では回転圧入杭10を所定ストロークづつ回転・貫入した例を説明したが、図9に示すように、回転・貫入と引き抜き動作による上下繰り返し削孔を行って地盤をかき乱せば、グラウトの加圧注入時にグラウト材が緩んだ斜面の地盤に排出してより均一なグラウト柱体31を形成することができる。
また、グラウト材の加圧注入は図10に示すように回転圧入杭の鋼管本体内に注入用ホース107を挿入し、グラウト用ポンプ106より該ホース介して鋼管本体内にグラウト材を注入し、前記グラウト材吐出孔よりグラウト材を排出してグラウト柱体31を形成することができる。
また、グラウト材の加圧注入は図11に示すようにパッカー201を設置して行うことができる。すなわち、回転圧入杭10の鋼管本体内にパッカー201を設けると共に、該パッカーを貫通して注入管202を設け、更に、パッカーを膨らませる膨張媒体送入管203を設ける。適所にでパッカー201を配置し、膨張媒体送入管203より水、エアーなどを該パッカー201に送入して膨らませ、かかる状態でグラウト注入管202よりグラウト材を鋼管本体内に注入し、グラウト材吐出孔よりグラウト材を排出してグラウト柱体31を形成する。
(D)斜面部の施工方法
図12〜図14は斜面を段階的に形成する毎に、各段斜面より地盤に回転圧入杭を打設する例として、盛土の各段斜面を形成する毎に斜面より地盤に回転圧入杭を打設する実施例の説明図である。図12(A)ではすでに斜面51に回転圧入杭10が打設され、グラウト材の加圧注入によりグラウト柱体31が形成されている。以後、この斜面の上に盛土部52,53,54が順次形成される。今回の盛土部52が形成されると、図12(B)に示すようにロータリー式ボーリングマシン110のロータリーヘッド部111に定着長部11を把持させて盛土部52の斜面より地盤に所定ストロークづつ回転・貫入する。定着長部11の圧入が終了すれば、ロータリーヘッド部111から定着長部11の把持を解除する。ついで、図13に示すように、継ぎ手部13を定着長部11に接続し、しかる後、ロータリー式ボーリングマシン110のロータリーヘッド部111に継足し用鋼管12を把持させ、該把持された継足し用鋼管12を継ぎ手部13により定着長部11に接続する。接続完了後、ロータリー式ボーリングマシン110により回転圧入杭10を所定ストロークづつ回転圧入する。そして、回転圧入杭10の圧入が終了すれば、図14に示すように継足し用鋼管12の口元をバルブ103で塞ぐか、或いは鋼管内部の位置にパッカーをセットして、グラウト用ミキサー105から供給されるグラウトをグラウト注入装置104より回転圧入杭10に加圧注入する。この加圧注入により、予め螺旋状の先端羽根11aが攪拌して緩ませた斜面の鋼管周辺の地盤にグラウト材が定着長部11および継足し用鋼管12に形成した複数のグラウト材吐出孔より排出し、均一なグラウト柱体31が斜面に対して所定の角度をなす形で形成され、これによって確実な支持力が得られる。以後、盛土部53,54が形成される毎に各盛土部の斜面より地盤に回転圧入杭を打設し、しかる後、グラウトを回転圧入杭に加圧注入して均一なグラウト柱体31を形成する。
なお、切土斜面を段階的に形成する際には上記した盛土と同様に、但し、斜面全体の上から下に段階的に、鋼管打設及びグラウト柱体の形成と切土斜面の形成を繰り返す。
本発明によれば、以下の効果が得られる。
・回転圧入によって地盤に押し込み方向の力を作用させることができる。
・先端羽根が鋼管材周囲の地盤を所定の外径だけ均一に掻き乱しながら圧入され、その一旦掻き乱された地盤に定着材をグラウトする形となるため、確実且つ均一なグラウトができる。これは、ロックボルトのように単に材を定着させるだけでなく、鋼管材の周囲の地山に改良体を形成するこが可能であり、しかも、羽根で乱した部分に逆止バルブ加工吐出孔から加圧グラウト材を噴出でするためである。通常のロックボルト工ではボアホールに定着材を充填して地山にロックボルトを定着させるだけなので鉄筋材の軸力でしか山の動きを支えられない。
・内外にグラウトされた鋼管は曲げ及びせん断応力に強く、曲げ及びせん断を考慮した設計に対応できる。
・先端羽根がアンカーとなるため先端支持力をとることができ、さらに、鋼管材は引張方向の力も負担し、小規模斜面の地盤補強を経済的に、かつ確実に行なうことができる。
以上により、本発明によれば、在来の小規模斜面の地盤補強を経済的に、かつ確実に行なうことができる。
また、本発明によれば、斜面を段階的に形成する毎に、該斜面の各段斜面より地盤に前記回転圧入杭を打設し、該回転圧入杭の鋼管本体内にグラウト材を加圧注入し、前記グラウト材吐出孔よりグラウト材を排出して地盤改良体(グラウト柱体)を形成するようにしたから、繰り返し形成される盛土部の地盤補強を確実に行なうことができる。
また、本発明によれば、鋼管内部の所定深さ位置にパッカーをセットして、段階的にグラウト注入したり、それより奥側だけ限定注入することができる。
本発明の斜面施工方法に用いる回転圧入杭の正面図である。 回転圧入杭の分解図である。 先端羽根部である。 節突起周辺における鋼管杭の長手方向の一部破断図である。 逆止弁機構付きグラウト材吐出孔周辺における鋼管杭の長手方向の一部破断図である。 回転圧入杭を斜面の地盤に施工した状態を示す説明図である。 本発明の施工方法説明図である。 グラウトの加圧注入説明図である。 回転圧入杭の回転・貫入の別の説明図である。 グラウトを注入用ホースを用いて鋼管本体内に加圧注入する説明図である。 パッカーを用いたグラウトの加圧注入説明図である。 盛土部が形成される毎に、該盛土部の斜面より地盤に回転圧入杭を打設する実施例の第1の説明図である。 盛土部が形成される毎に、該盛土部の斜面より地盤に回転圧入杭を打設する実施例の第2の説明図である。 盛土部にグラウトを加圧注入する説明図である。 盛土法面、切土法面の説明図である。 斜面における地盤の弱い移動層と地盤が強固な不動層の説明図である。 グラウンドアンカーによる抑止工説明図である。 ロックボルト工説明図である。 ロックボルト工法の第1の施工方法の説明図である。 ロックボルト工法の第2の施工方法の説明図である。
符号の説明
10 回転圧入杭
11 定着長部
11a 先端羽根部
11b、12b 円形の節突起
11c、12c 逆止弁機構付きグラウト材吐出孔
11d,12a 継ぎ手
12 継足し用鋼管
13 継ぎ手部

Claims (3)

  1. 回転させながら地盤に圧入される回転圧入杭の斜面施工方法において、
    先端に螺旋状の羽根を設けた鋼管抗本体の周壁にグラウト材吐出孔を該鋼管抗本体の長さ方向に複数個散在して有し、かつ、前記鋼管抗本体の長さ方向に複数の節突起を有する回転圧入杭を、斜面に対して所定の角度をなす形で回転圧入して該斜面の地盤に打設し、
    該回転圧入杭の鋼管本体内にグラウト材を加圧注入し、
    前記グラウト材吐出孔よりグラウト材を排出して地盤改良体を形成する、
    ことを特徴とする回転圧入杭の斜面施工方法。
  2. 斜面を段階的に形成する毎に、該斜面の各段斜面より地盤に前記回転圧入杭を打設し、
    該回転圧入杭の鋼管本体内にグラウト材を加圧注入し、
    前記グラウト材吐出孔よりグラウト材を排出して地盤改良体を形成する、
    ことを特徴とする請求項1記載の回転圧入杭の斜面施工方法。
  3. 先端に螺旋状の羽根を設けた鋼管抗本体の周壁にグラウト材吐出孔を該鋼管抗本体の長さ方向に複数個散在して有し、かつ、前記鋼管抗本体の長さ方向に複数の節突起を有する回転圧入杭、
    該回転圧入杭を回転圧入して斜面の地盤に打設するボーリングマシン、
    打設された回転圧入杭の鋼管本体内にグラウト材を加圧注入し、前記グラウト材吐出孔よりグラウト材を排出して地盤改良体を形成するグラウト注入装置、
    を備えたことを特徴とする斜面施工装置。
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