JP2008248487A - 回転圧入杭の施工方法および斜面施工装置 - Google Patents
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Abstract
【構成】回転させながら地盤に圧入される回転圧入杭の斜面施工方法であり、先端に螺旋状の羽根11aを設けた鋼管抗本体の周壁にグラウト材吐出孔11c、12cを該鋼管抗本体の長さ方向に複数個散在して有し、かつ、前記鋼管抗本体の長さ方向に複数の節突起11b、12bを有する回転圧入杭10を、斜面の地盤に回転圧入して打設するステップ、該回転圧入杭の鋼管本体内にグラウト材を加圧注入するステップ、グラウト材吐出孔よりグラウト材を排出して地盤改良体(グラウト柱体)31を形成するステップを有している。
【選択図】図6
Description
大規模斜面の安定には、抑止杭やグラウンドアンカーによる抑止工が一般的であり、小規模斜面の安定にはロックボルト工やフリーフレーム工などの抑止工がある。かかる斜面安定工に使用する場合のグラウンドアンカーとロックボルト工およびその構造的及び機能的な相違点について以下に説明する。尚、以降では、斜面安定の対象は人工的に形成された斜面及び周辺の自然斜面であり、切土法面・盛土法面・自然斜面であるものとする。
グラウンドアンカー6は図17に示すように3箇所の構造部分、すなわちアンカー頭部6a、アンカー自由長部6b、 アンカー定着長部6cに大別できる。アンカー頭部6aはアンカー力を法面表層部に伝達する部分であり、アンカー自由長部6bは移動層を貫く部分でアンカー頭部にプレストレス力を与えるための伝達部分であり、アンカー定着長部6cは不動層に構築されたアンカー力を発揮する部分である。
グラウンドアンカー6は抑止機能として、定着長部6cにより不動層から得たアンカー力を自由長部6bを利用して法面表層に配置されたアンカー頭部6aに伝達し、該アンカー頭部6aを構成する受圧構造物(プレキャスト受圧板・法枠・擁壁等)を介して法面表層部より移動層4にプレストレスを与え、滑り面(移動層・不動層の境界部分)の粘着力や摩擦力を増大させ強制的に移動層を抑止するものである。
ロックボルトは、図18に示すように移動層から不動層を貫通する定着部7a及びロックボルト頭部7bから形成されている。抑止機能としては、グラウンドアンカーとは異なり、ロックボルト定着部7aの内、移動層部分は移動層の地盤改良効果を期待して、定着材による該移動層の拘束効果により安定させるもので、不動層に配置されたロックボルト定着長部は、滑り力に対するせん段効果及び不動層での摩擦力による引き抜き効果を利用した抑止工となる。また、ロックボルト頭部7bは法面表層の風化等による剥落防止程度の目的とした法枠または吹付コンクリート工等の固定を行うものである。よって、ロックボルトによる斜面安定は移動層を安定・拘束・一体化させ、この移動層を貫通した不動層に杭工の様な定着部を設けることにより斜面全体の安定をはかるものであり、ネーリング工法とも呼ばれる。
以上から、斜面安定に於いてグラウンドアンカーとロックボルトでは類似するような工法と思われがちであるが、その構造・機能は異質なものである。
一方、ロックボルト工は図18に示すように地盤の不安定な部位に3〜5m程度のロックボルトを打設してこれを定着材で地山に全面(全長)定着し、地盤変形を抑止せんとするもので、構造、施工が簡単である。ところで、従来のロックボルト工は、比較的小型の削岩機(人力作業可能)等を用いてΦ40〜50mm程度の削孔径で削孔を行い、グラウト材を注入し鉄筋等にネジ加工を施したロックボルト材を挿入して、グラウト材により地山にロックボルト材を定着させるものである。
しかし、削孔は削岩機の回転力・打撃力・押付け力をΦ25mm程度のロッドにより先端ビットに伝達させ地山を砕きスライムをエアーにより排出して削孔を行うもので、地山の自立性(削孔孔壁の自立)が悪く削孔完了後に削孔が崩れてしまう様な地盤の場合は施工不可能となる問題がある。既存のロックボルト工法では、この様な場合、二種類の施工方法を主に採用して施工を行っている。
そこで、小さな押込力で地盤に押込むことができ、任意の長さの長尺とすることができるように、外周にスパイラル状リブを設けた鋼管からなる回転圧入式のアースアンカーが提案されている(特許文献1)。
以上から本発明の目的は、在来の小規模斜面の地盤補強を経済的に、かつ確実に行えるようにすることである。
本発明の別の目的は、盛土部を繰り返し形成する際の地盤補強を確実に行えるようにすることである。
上記回転圧入杭の施工方法は、斜面を安定化するために、斜面を段階的に形成する毎に、該斜面の各段斜面より地盤に前記回転圧入杭を打設し、該回転圧入杭の鋼管本体内にグラウト材を加圧注入し、前記グラウト材吐出孔よりグラウト材を排出して地盤改良体を形成する。
本発明の第2の態様は斜面施工装置であり、先端に螺旋状の羽根を設けた鋼管抗本体の周壁にグラウト材吐出孔を該鋼管抗本体の長さ方向に複数個散在して有し、かつ、前記鋼管抗本体の長さ方向に複数の節突起を有する回転圧入杭、該回転圧入杭を回転圧入して斜面の地盤に打設するロータリー式ボーリングマシン、打設された回転圧入杭の鋼管本体内にグラウト材を加圧注入し、前記グラウト材吐出孔よりグラウト材を排出して地盤改良体を形成するグラウト注入装置を備えている。
また、本発明によれば、斜面が段階的に形成される毎に、該斜面の各段斜面より地盤に前記回転圧入杭を打設し、該回転圧入杭の鋼管本体内にグラウト材を加圧注入し、前記グラウト材吐出孔よりグラウト材を排出して地盤改良体を形成するようにしたから、繰り返し形成される斜面の地盤補強を確実に行なうことができる。
図1は本発明の斜面施工方法に用いる回転圧入杭の斜視図である。回転圧入杭10は、所定の長さ(3000〜6000mm)、小口径(Φ60〜Φ80mm程度)および厚さ(7.1mm程度)を有する中空の鋼管杭であり、図2(a)〜(d)に示すように、定着長部11と1以上の継足し用鋼管12と鋼管機械式ネジ継ぎ手(カップラー式ネジ継ぎ手)13に分離できるようになっている。定着長部11は所定の長さを備え、その先端には螺旋状の羽根部11aが形成され、定着長部11の外周には第1のピッチで円形の節突起11bが形成され、かつ、定着長部11の周壁には第2のピッチで逆止弁機構付きグラウト材吐出孔11cが形成され、定着長部11の他端部には継足し用鋼管12と接続するためのネジ構成の継ぎ手11d(図2(b)参照)が形成されている。
継足し用鋼管12は所定の長さを備え、その両端部には定着長部11あるいは別の継足し用鋼管と接続するためのネジ構成の継ぎ手12a,12a(図2(d)参照)が形成されている。また、継足し用鋼管12の外周には、定着長部11と同様に円形の節突起12bが形成され、かつ、周壁には第2のピッチで逆止弁機構付きグラウト材吐出孔12cが形成されている。カップラー式ネジ継ぎ手(継ぎ手部という)13は図2(c)に示すように、定着長部11と継足し用鋼管12間、あるいは継足し用鋼管12同士を接続するものである。
図4は節突起11b周辺(図1のC部分)における鋼管杭の長手方向の一部破断図である。節突起11bはビード溶接加工により形成されている。継足し用鋼管12の節突起12bも節突起11bと同一の構成を備えている。
鋼管杭本体(回転圧入杭)10は図示例では標準的に防錆処理されたものを用いる。防錆処理された鋼管自体はグラウト材との付着が小さいが、節突起11bによって地盤と杭の荷重伝達性能が大幅に向上する。なお、図示例においては、鋼管杭の先端を外側に張り出すように塑性加工して先端羽根部11aとしたが、螺旋状の羽根は、別途製造したものを鋼管杭に溶接一体化しても構わず、また、羽根を先端のみならず、鋼管杭の長さ方向複数箇所に設けて地盤の圧密効果を高めても構わない。
図6は回転圧入杭10を斜面の地盤に施工した状態を示す説明図であり、回転圧入杭10、その定着長部11及び継足し用鋼管12等の鋼管部分が斜面に対して所定の角度をなす形で地盤に打設されており、回転圧入杭10の全長に亘って均一なグラウト柱体31が形成されて定着長領域(地盤改良体)となっている。
回転圧入杭10を斜面の地盤に回転圧入後、グラウト材を加圧注入すると、羽根11aが緩ませた地盤にグラウト材が複数のグラウト材吐出孔11c、12cより排出し、均一なグラウト柱体31が形成され、これによって確実な支持力が得られる。すなわち、杭圧入によって、杭周囲の地盤を均一に攪拌した状態で、グラウトを行い、その均一なグラウトとの付着によって大きな荷重伝達性能を得ることが可能となる。この際、グラウトの不測部位への逸失等が起こらない。
また、回転圧入杭10を打設する際、杭の先端から鋼管内に土砂が入り込むが、グラウト材は杭先端からではなく鋼管杭本体の周壁に設けた逆止弁機構付きグラウト材吐出孔11c、12cから行なうので、鋼管先端部の閉塞に影響されずに注入することができる。すなわち、回転圧入杭10は、鋼管杭周辺地質全体をグラウトすることによって、周面摩擦力を増大させて引き抜き抵抗力をアップするもので、これによって斜面地盤の安定性に対し比較的短い杭でも引き抜き抵抗力をアップすることができる。つまり、施工性(杭の貫入性)は従来型の回転圧入杭と遜色ないまま、引き抜きや押し込みに対する大きな引き抜抵抗力を発揮できる。
図7は本発明の施工方法説明図であり、ロータリーヘッド部RHDを搭載したバックホー改造型ボーリングマシン(ロータリー式ボーリングマシン)101を用いて図1の回転圧入杭10を斜面に施工する施工方法の説明図であり、回転圧入杭10は図2で説明したように、定着長部11と継足し用鋼管12と継ぎ手部13を組み立てて構成される。
図7(A)に示すように、ロータリー式ボーリングマシン(回転式削孔機械)101のロータリーヘッド部RHDに定着長部11を把持させて斜面の地盤に所定ストロークづつ回転・貫入する。定着長部11の圧入が終了すれば、鋼管継ぎ足し足場102において、ロータリーヘッド部RHDから定着長部11の把持を解除する。ついで、図7(B)に示すように、継ぎ手部13を定着長部11に接続し、しかる後、ロータリー式ボーリングマシン101のロータリーヘッド部RHDに継足し用鋼管12を把持させ、該把持された継足し用鋼管12を継ぎ手部13により定着長部11に接続する。接続完了後、ロータリー式ボーリングマシン101により回転圧入杭10を所定ストロークづつ回転圧入する。そして、回転圧入杭10の圧入が終了すれば、図8(A)に示すように継足し用鋼管12の口元をバルブ103等で塞ぎ、図8(B)に示すようにグラウト用ミキサー105から供給されるグラウトをグラウト注入装置104より回転圧入杭10に加圧注入する。この加圧注入により、先端羽根11aが緩ませた斜面の地盤にグラウト材が定着長部11および継足し用鋼管12に形成した複数のグラウト材吐出孔より排出し、均一なグラウト柱体31が形成され、これによって確実な支持力が得られる。
また、グラウト材の加圧注入は図10に示すように回転圧入杭の鋼管本体内に注入用ホース107を挿入し、グラウト用ポンプ106より該ホース介して鋼管本体内にグラウト材を注入し、前記グラウト材吐出孔よりグラウト材を排出してグラウト柱体31を形成することができる。
また、グラウト材の加圧注入は図11に示すようにパッカー201を設置して行うことができる。すなわち、回転圧入杭10の鋼管本体内にパッカー201を設けると共に、該パッカーを貫通して注入管202を設け、更に、パッカーを膨らませる膨張媒体送入管203を設ける。適所にでパッカー201を配置し、膨張媒体送入管203より水、エアーなどを該パッカー201に送入して膨らませ、かかる状態でグラウト注入管202よりグラウト材を鋼管本体内に注入し、グラウト材吐出孔よりグラウト材を排出してグラウト柱体31を形成する。
図12〜図14は斜面を段階的に形成する毎に、各段斜面より地盤に回転圧入杭を打設する例として、盛土の各段斜面を形成する毎に斜面より地盤に回転圧入杭を打設する実施例の説明図である。図12(A)ではすでに斜面51に回転圧入杭10が打設され、グラウト材の加圧注入によりグラウト柱体31が形成されている。以後、この斜面の上に盛土部52,53,54が順次形成される。今回の盛土部52が形成されると、図12(B)に示すようにロータリー式ボーリングマシン110のロータリーヘッド部111に定着長部11を把持させて盛土部52の斜面より地盤に所定ストロークづつ回転・貫入する。定着長部11の圧入が終了すれば、ロータリーヘッド部111から定着長部11の把持を解除する。ついで、図13に示すように、継ぎ手部13を定着長部11に接続し、しかる後、ロータリー式ボーリングマシン110のロータリーヘッド部111に継足し用鋼管12を把持させ、該把持された継足し用鋼管12を継ぎ手部13により定着長部11に接続する。接続完了後、ロータリー式ボーリングマシン110により回転圧入杭10を所定ストロークづつ回転圧入する。そして、回転圧入杭10の圧入が終了すれば、図14に示すように継足し用鋼管12の口元をバルブ103で塞ぐか、或いは鋼管内部の位置にパッカーをセットして、グラウト用ミキサー105から供給されるグラウトをグラウト注入装置104より回転圧入杭10に加圧注入する。この加圧注入により、予め螺旋状の先端羽根11aが攪拌して緩ませた斜面の鋼管周辺の地盤にグラウト材が定着長部11および継足し用鋼管12に形成した複数のグラウト材吐出孔より排出し、均一なグラウト柱体31が斜面に対して所定の角度をなす形で形成され、これによって確実な支持力が得られる。以後、盛土部53,54が形成される毎に各盛土部の斜面より地盤に回転圧入杭を打設し、しかる後、グラウトを回転圧入杭に加圧注入して均一なグラウト柱体31を形成する。
なお、切土斜面を段階的に形成する際には上記した盛土と同様に、但し、斜面全体の上から下に段階的に、鋼管打設及びグラウト柱体の形成と切土斜面の形成を繰り返す。
・回転圧入によって地盤に押し込み方向の力を作用させることができる。
・先端羽根が鋼管材周囲の地盤を所定の外径だけ均一に掻き乱しながら圧入され、その一旦掻き乱された地盤に定着材をグラウトする形となるため、確実且つ均一なグラウトができる。これは、ロックボルトのように単に材を定着させるだけでなく、鋼管材の周囲の地山に改良体を形成するこが可能であり、しかも、羽根で乱した部分に逆止バルブ加工吐出孔から加圧グラウト材を噴出でするためである。通常のロックボルト工ではボアホールに定着材を充填して地山にロックボルトを定着させるだけなので鉄筋材の軸力でしか山の動きを支えられない。
・内外にグラウトされた鋼管は曲げ及びせん断応力に強く、曲げ及びせん断を考慮した設計に対応できる。
・先端羽根がアンカーとなるため先端支持力をとることができ、さらに、鋼管材は引張方向の力も負担し、小規模斜面の地盤補強を経済的に、かつ確実に行なうことができる。
以上により、本発明によれば、在来の小規模斜面の地盤補強を経済的に、かつ確実に行なうことができる。
また、本発明によれば、斜面を段階的に形成する毎に、該斜面の各段斜面より地盤に前記回転圧入杭を打設し、該回転圧入杭の鋼管本体内にグラウト材を加圧注入し、前記グラウト材吐出孔よりグラウト材を排出して地盤改良体(グラウト柱体)を形成するようにしたから、繰り返し形成される盛土部の地盤補強を確実に行なうことができる。
また、本発明によれば、鋼管内部の所定深さ位置にパッカーをセットして、段階的にグラウト注入したり、それより奥側だけ限定注入することができる。
11 定着長部
11a 先端羽根部
11b、12b 円形の節突起
11c、12c 逆止弁機構付きグラウト材吐出孔
11d,12a 継ぎ手
12 継足し用鋼管
13 継ぎ手部
Claims (3)
- 回転させながら地盤に圧入される回転圧入杭の斜面施工方法において、
先端に螺旋状の羽根を設けた鋼管抗本体の周壁にグラウト材吐出孔を該鋼管抗本体の長さ方向に複数個散在して有し、かつ、前記鋼管抗本体の長さ方向に複数の節突起を有する回転圧入杭を、斜面に対して所定の角度をなす形で回転圧入して該斜面の地盤に打設し、
該回転圧入杭の鋼管本体内にグラウト材を加圧注入し、
前記グラウト材吐出孔よりグラウト材を排出して地盤改良体を形成する、
ことを特徴とする回転圧入杭の斜面施工方法。 - 斜面を段階的に形成する毎に、該斜面の各段斜面より地盤に前記回転圧入杭を打設し、
該回転圧入杭の鋼管本体内にグラウト材を加圧注入し、
前記グラウト材吐出孔よりグラウト材を排出して地盤改良体を形成する、
ことを特徴とする請求項1記載の回転圧入杭の斜面施工方法。 - 先端に螺旋状の羽根を設けた鋼管抗本体の周壁にグラウト材吐出孔を該鋼管抗本体の長さ方向に複数個散在して有し、かつ、前記鋼管抗本体の長さ方向に複数の節突起を有する回転圧入杭、
該回転圧入杭を回転圧入して斜面の地盤に打設するボーリングマシン、
打設された回転圧入杭の鋼管本体内にグラウト材を加圧注入し、前記グラウト材吐出孔よりグラウト材を排出して地盤改良体を形成するグラウト注入装置、
を備えたことを特徴とする斜面施工装置。
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